説明

貯湯式給湯装置

【課題】貯湯タンクとミキシング弁とが離れていても、給湯開始からアンダーシュートやオーバーシュートがなく、設定温度の給湯が供給出来る貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】入水管7と出湯管5が接続され湯水を貯湯する貯湯タンク4と、前記貯湯タンク4内の湯水を加熱する加熱手段2と、前記出湯管5からの高温水と入水管7からの給水とをミキシングして設定温度の給湯を行うミキシング弁26とを、それぞれ別々に設置したもので、前記貯湯タンク4内の湯温を検知する貯湯温度センサ11を備えると共に、ミキシング弁26近傍の出湯管5には出湯温度センサ27を備え、前記貯湯温度センサ11による検知温度と出湯温度センサ27による検知温度との温度差が所定温度差になるまで、給湯設定温度Thと給水温度T1と出湯温度センサ27の検知温度でミキシング弁26の混合比をフィードフォワード制御するので、良好な給湯が行えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ヒートポンプ給湯機や電気温水器等の貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものに於いては、貯湯タンクを床下に設置し、ミキシング弁を有した配管制御ユニットをこれからは離れた場所に設置して、貯湯タンクに取り付けられている貯湯温度センサによる貯湯温度によって、ミキシング弁の混合比を制御するものであった。
(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特願2003−84213号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、貯湯タンクに取り付けられた貯湯温度センサと、この検知温度によって制御されるミキシング弁とが離れていて配管も長いことから、給湯開始当初は貯湯温度センサで検知した湯温ではなく、配管内の温度低下した湯水が供給されて、給湯は大きく設定温度に対してアンダーシュートし、その後貯湯タンク内の湯水が供給されることで、急激な温度上昇でオーバーシュートが発生し、火傷の危険も有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を、請求項1では、入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記出湯管からの高温水と入水管からの給水とをミキシングして設定温度の給湯を行うミキシング弁とを、それぞれ別々に設置したものに於いて、前記貯湯タンク内の湯温を検知する貯湯温度センサを備えると共に、ミキシング弁近傍の出湯管には出湯温度センサを備え、前記貯湯温度センサによる検知温度と出湯温度センサによる検知温度との温度差が所定温度差になるまで、給湯設定温度と給水温度と出湯温度センサの検知温度でミキシング弁の混合比をフィードフォワード制御するものである。
【0005】
又請求項2では、入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記出湯管からの高温水と入水管からの給水とをミキシングして設定温度の給湯を行うミキシング弁とを、それぞれ別々に設置したものに於いて、前記貯湯タンク内の湯温を検知する貯湯温度センサを備えると共に、ミキシング弁近傍の出湯管には出湯温度センサを備え、前記貯湯温度センサによる検知温度と出湯温度センサによる検知温度との温度差が所定温度差になるまで、ミキンング弁の混合比を給湯設定温度と混合後の湯温によるフィードバック制御の制御速度を速くしたものである。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、貯湯タンク内の湯温とミキシング弁近傍の湯温との温度差が所定温度差になるまで、きめ細かくミキシング弁をフィードフォワード制御するので、アンダーシュートやオーバーシュートの心配がなく、給湯開始時から良好な給湯が行え、極めて使用勝手が良いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次にこの発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は横置き式で建家の床下に設置される貯湯タンクユニット、2はヒートポンプユニットよりなる加熱手段、3は前記貯湯タンクユニット1と加熱手段2とを結ぶ配管ユニットである。
【0008】
前記貯湯タンクユニット1は、湯水を貯湯する横長形状の貯湯タンク4と、貯湯タンク4の上面に接続された出湯管5及び加熱手段2からの戻り管6と、貯湯タンク4の下部に接続された入水管7、加熱手段2へ向かう往き管8とがそれぞれ接続しており、又貯湯タンク4内方中央には入水管7と連通し給水を行う円筒状の給水補助管9が長手方向に延設し2つの支持脚10に支持され備えられ、終端部は閉塞されている。
又貯湯タンク4の外周上部には、該貯湯タンク4内の湯温を検知する貯湯温度センサ11が備えられている。
【0009】
更に前記給水補助管9の上側には、等間隔で複数の給水孔12が設けられており、この給水孔12と対向する給水補助管9の上方には、該給水補助管9に向かって断面円弧状の方向変更手段13が備えられ、給水孔12から上へ向かって放出される給水を一旦下方へ向かって流した後、上方へ向かわせるものであり、方向変更手段13の大きさは給水補助管9同等以上で、該給水補助管9との間隔は貯湯タンク4の高さでも変わるが20cm以内が最適である。
【0010】
前記加熱手段2は、冷媒を圧縮するコンプレッサー14と、凝縮器としての冷媒−水熱交換器15と、減圧器16と、蒸発器としての空気熱交換器17よりなるヒートポンプ回路18と、空気熱交換器17に送風する送風機19と、前記戻り管6と往き管8から成る循環回路20途中に設けられた能力可変の循環ポンプ21と、循環回路20の冷媒−水熱交換器15入口側に設けられ、冷媒−水熱交換器15に流入する湯水の温度を検出する熱交入口温度センサ22と、循環回路20の冷媒−水熱交換器15出口側に設けられ、冷媒−水熱交換器15から流出する湯水の温度を検出する熱交出口温度センサ23と、この加熱手段2の制御を行う加熱制御部24とを備えて構成されている。
【0011】
前記配管ユニット3は、出湯管5からの高温水と入水管7から分岐された分岐管25からの低温水とを混合するステッピングモーター(図示せず)で駆動するミキシング弁26と、出湯管5途中に備えられミキシング弁26に流通する直前の湯温を検知する出湯温度センサ27と、ミキシング弁26の下流に接続された給湯栓28を有する給湯管29と、給湯管29に設けられた給湯温度センサ30と、給湯管29に設けられた給湯流量センサ31と、給湯管29から分岐し浴槽32の循環回路33に接続した湯張り管34と、循環回路33中で浴槽水の保温を行う保温ヒ−タ35及び風呂循環ポンプ36と、入水管7の減圧弁37、給水温度センサ38及び出湯管5の圧力逃がし弁39と、これらの機能部品を制御する給湯制御部40とを備えて構成されており、配管及び機能部品をこの配管ユニット3に集中させることで、設置時の配管作業及び設置後のメンテナンス作業を簡単且つ効率よく行えるようにしているもので、特に貯湯タンクユニット1を建家の床下に設置するものでは特に有効である。
【0012】
次にこの発明一実施例の作動について説明する。
先ず貯湯タンク4内の湯水を加熱する場合には、加熱制御部24がヒートポンプ回路18を作動させ、循環回路20の循環ポンプ21を駆動開始する。そして、循環ポンプ21の駆動により貯湯タンク4下部から取り出された湯水が加熱手段2の冷媒−水熱交換器15に流入して加熱され、循環回路20を介して貯湯タンク4の上部に戻されることにより高温の湯が貯湯される。
【0013】
ここで、熱交入口温度センサ22と熱交出口温度センサ23の検出値に応じて、ヒートポンプ回路18の出力と循環ポンプ21の能力を適宜調整して加熱する湯水が所定の高温になるように可変されるものである。
【0014】
そして、貯湯タンク4の側面に設けられた貯湯温度センサ11が所定の量の高温水が貯湯されたことを検出するか、又は、熱交入口温度センサ22が所定温度以上を検出すると、給湯制御部40が加熱制御部24へ加熱動作の停止を指令し、ヒートポンプ回路18と循環ポンプ21の作動が停止されるものである。
【0015】
一方この貯湯タンク4に貯湯された高温水は、給湯栓28を開くと、入水管7からの圧により貯湯タンク4上部の高温水が出湯管5に押し出され、給湯制御部40により制御されるミキシング弁26にて分岐管25の低温水と給湯温度センサ30の検出する温度が所定の温度になるように混合されて給湯管29を介して給湯されるものであるが、ここでミキシング弁26の混合比Hを、H=(Th−T1)/(T4−T1)として算出し、
Th:給湯設定温度
T1:給水温度センサ38による給水温度
T4:出湯温度センサ27による出湯温度
そして、この混合比Hになるようにミキシング弁26を制御するもので、この制御を貯湯温度センサ11により検知される貯湯タンク4内湯温T3と、出湯温度センサ27による出湯温度T4との温度差が、所定温度以内ここでは10℃以下になるまで、上記式によるフィードフォワード制御の演算を行い、この結果に従って随時、ミキシング弁26を制御し、10℃以下に達した時には、ミキシング弁26下流側の給湯温度センサ30による検知湯温T2を給湯設定温度Thになるように該ミキシング弁26の混合比Hを制御するフィードバック制御するものである。
【0016】
又この制御以外には、上記式によるフィードバック制御を給湯開始時の一回のみ行い、その後に貯湯温度センサ11により検知される貯湯タンク4内湯温T3と、出湯温度センサ27による出湯温度T4との温度差が、所定温度以内ここでは10℃以下になるまで、給湯温度センサ30による検知湯温T2を、給湯設定温度Thになるようにミキシング弁26を制御するフィードフォワード制御の速度を速くし、温度差が所定温度以内に達することで、元の制御速度に戻して制御するものである。
【0017】
従って、これらの制御によって、貯湯タンク4とミキシング弁26を備えた配管ユニット3とが離れていて、配管が長くなったような場合には、貯湯タンク内の湯温とミキシング弁近傍の湯温との温度差が所定温度差になるまで、きめ細かくミキシング弁26をフィードバック制御或いはフィードフォワード制御するので、アンダーシュートやオーバーシュートの心配がなく、給湯開始時から良好な給湯が行え、極めて使用勝手が良いものである。
【0018】
更にこの実施形態では、ヒ−トポンプ式の給湯機で説明したが、これに限定されることなく、電気ヒ−タを加熱手段とした電気温水器でも同様な効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態を示す床下設置の貯湯式給湯装置の概略構成図。
【図2】同給湯制御部の要部ブロック図。
【符号の説明】
【0020】
2 加熱手段
4 貯湯タンク
5 出湯管
7 入水管
11 貯湯温度センサ
26 ミキシング弁
27 出湯温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記出湯管からの高温水と入水管からの給水とをミキシングして設定温度の給湯を行うミキシング弁とを、それぞれ別々に設置したものに於いて、前記貯湯タンク内の湯温を検知する貯湯温度センサを備えると共に、ミキシング弁近傍の出湯管には出湯温度センサを備え、前記貯湯温度センサによる検知温度と出湯温度センサによる検知温度との温度差が所定温度差になるまで、給湯設定温度と給水温度と出湯温度センサの検知温度でミキシング弁の混合比をフィードフォワード制御する事を特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
入水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記出湯管からの高温水と入水管からの給水とをミキシングして設定温度の給湯を行うミキシング弁とを、それぞれ別々に設置したものに於いて、前記貯湯タンク内の湯温を検知する貯湯温度センサを備えると共に、ミキシング弁近傍の出湯管には出湯温度センサを備え、前記貯湯温度センサによる検知温度と出湯温度センサによる検知温度との温度差が所定温度差になるまで、ミキンング弁の混合比を給湯設定温度と混合後の湯温によるフィードバック制御の制御速度を速くした事を特徴とする貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−64337(P2006−64337A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250004(P2004−250004)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】