説明

貯湯式給湯装置

【課題】貯湯タンク内に熱交換効率のよい間接熱交換器を備えた貯湯式給湯装置を提供する。
【解決手段】覆椀状の上部鏡板212と、筒状の胴体213と、椀状の下部鏡板214とで構成され、内部に湯水を貯湯する貯湯タンク2と、貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段3と、貯湯タンク2内の湯水を給湯する給湯回路25と、上部鏡板212内に設けられ貯湯タンク2内の湯水の熱を利用して受熱管26aを流通する湯水を加熱する間接熱交換器26とを備えたものにおいて、間接熱交換器26は、受熱管26aを渦巻き状にし、渦巻きの内側から外側に向かうほど巻径が大きく、かつ下側に位置するような円錐螺旋形状としたことで、浴槽水の追い焚きの際、間接熱交換器26が設けられた周囲の貯湯タンク2内の湯水の対流が良好に形成され、間接熱交換器26での熱交換効率を向上することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の貯湯式給湯風呂装置においては、図6に示すようなものがあった。110は湯水を貯湯する貯湯タンク、120は貯湯タンク110内の湯水を加熱する加熱手段、130は貯湯タンク110内の湯水を給湯する給湯回路、140は浴槽、150は貯湯タンク110内に配設され受熱管150a内の浴槽水を貯湯タンク110内の湯水と熱交換して加熱する間接熱交換器、160は浴槽140と間接熱交換器150とを浴槽水が循環可能に環状に接続した風呂循環回路である。
【0003】
前記貯湯タンク110は、図7に示されているように、覆椀状の上部鏡板111、筒状の胴体112、椀状の下部鏡板113とで構成されており、上部鏡板111の側周面に設けられた接続穴114と上部鏡板111の上面に設けられた接続穴115とに、受熱管150aの端部が接続され、上部鏡板111内に巻径が同径の螺旋形状をした間接熱交換器150が設けられていたものであった。
【0004】
上記構成により、浴槽140内の浴槽水を風呂循環回路160を循環させて貯湯タンク110内の受熱管150aに流通させることで、浴槽140内の浴槽水を追い焚きまたは保温することを可能としたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−214711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この従来のものにおいて、間接熱交換器150は同径の螺旋形状で、螺旋の最下部は上部鏡板111の下部に位置することとなり、間接熱交換器150の能力向上のために間接熱交換器150の長さを長くすると、上部鏡板111を更に深絞りしなければならず加工上好ましくないと共に、間接熱交換器150の最下部の位置も低くなり、貯湯タンク110内の貯湯熱量をより多く確保する必要があった。
【0007】
また、間接熱交換器150は巻径が同径の螺旋形状で、図8に示すように、上下隣り合う受熱管150aは一直線上に並んでおり、浴槽水の追い焚きの際は、間接熱交換器150の周囲の貯湯タンク110内の湯水は浴槽水との熱交換によって冷却され下降流となり、この下降流に対応して間接熱交換器150の中心部に上昇流が生じるものであるが、図8中の下向き矢印が示すように、上下隣り合う受熱管150aのうち、上側の受熱管150aの熱交換によって冷却されて生じる下降流は、下側の受熱管150aによって妨げられ、上昇流と下降流による貯湯タンク110内の湯水の対流がうまく形成されず、間接熱交換器150での熱交換効率が悪いものとなってしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、この発明は上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、覆椀状の上部鏡板と、筒状の胴体と、椀状の下部鏡板とで構成され、内部に湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内の湯水を給湯する給湯回路と、前記上部鏡板内に設けられ該貯湯タンク内の湯水の熱を利用して受熱管を流通する湯水を加熱する間接熱交換器とを備えたものにおいて、前記間接熱交換器は、前記受熱管を渦巻き状に形成したものとした。
【0009】
また、請求項2では、前記間接熱交換器は、前記受熱管の渦巻きの内側から外側に向かうほど巻径が大きく、かつ下側に位置するような円錐螺旋形状としたものとした。
【0010】
また、請求項3では、前記間接熱交換器は、上下隣り合う前記受熱管において、上側の前記受熱管の外縁部が下側の前記受熱管の内縁部より内側にくるように形成したものとした。
【0011】
また、請求項4では、前記間接熱交換器は、浴槽と風呂循環回路で接続され、浴槽水を循環加熱するものである。
【0012】
また、請求項5では、前記間接熱交換器は、温水暖房端末と暖房循環回路で接続され、暖房循環水を循環加熱するものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、間接熱交換器は、貯湯タンク内に貯湯された湯の最も温度が高い最上部の上部鏡板内に設けられているので、外部からの湯水の加熱能力が大きくなり、貯湯タンク内の熱を有効利用することができるものであり、受熱管の長さを長くしても間接熱交換器全体を上部鏡板内の上部に配置できるため、外部の湯水の加熱のために貯湯タンク内の熱量を給湯分とは別に余分に確保する量を低減でき、沸き上げ温度を低下することができて加熱効率を向上できると共に、自然放熱量を低減できるものである。
【0014】
また、間接熱交換器は、受熱管の渦巻きの内側から外側に向かうほど巻径が大きく、かつ下側に位置するような円錐螺旋形状としたことで、上部鏡板内の最上部に無駄なく間接熱交換器を配置することができると共に、浴槽水の追い焚きの際、間接熱交換器が設けられた周囲の貯湯タンク内の湯水の対流が良好に形成されるので、間接熱交換器での熱交換効率を向上することができるものである。
【0015】
また、間接熱交換器は、上下隣り合う受熱管において、上側の受熱管の外縁部が下側の受熱管の内縁部より内側にくるように形成されていることで、浴槽水の追い焚きの際、上側の受熱管を流通する浴槽水との熱交換によって冷却されて生じる貯湯タンク内の湯水の下降流は、下側の受熱管によって妨げられることがなく、貯湯タンク内の湯水の対流が良好に形成されるので、間接熱交換器での熱交換効率を向上することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施形態の貯湯式給湯風呂装置の概略構成図。
【図2】同一実施形態の貯湯タンクの断面図。
【図3】同一実施形態の間接熱交換器の平面図。
【図4】図2中の点線で囲んだ間接熱交換器の要部拡大図。
【図5】他の実施形態の貯湯式給湯暖房装置の概略構成図。
【図6】従来の貯湯式給湯風呂装置の概略構成図。
【図7】従来の貯湯タンクの断面図。
【図8】図7中の点線で囲んだ間接熱交換器の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の貯湯式給湯風呂装置の一実施形態について図1〜3に基づき説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク2を有した貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプユニット、4は貯湯タンク2とヒートポンプユニット3とを湯水が循環するよう環状に接続した加熱循環回路、5は台所や洗面所等に設けられた給湯端末としての給湯栓、6はこの貯湯式給湯風呂装置を遠隔操作するリモコン、7は浴槽である。
【0018】
前記ヒートポンプユニット3は、冷媒を圧縮する圧縮機8と、圧縮機8から吐出された高温高圧の冷媒と加熱循環回路4を循環する貯湯タンク2内の湯水とを熱交換する水冷媒熱交換器9と、水冷媒熱交換器9通過後の冷媒を減圧させる減圧器としての電子膨張弁10と、電子膨張弁10からの低温低圧の冷媒を蒸発させる蒸発器としての空気熱交換器11とを冷媒配管で環状に接続したヒートポンプサイクル12と、加熱循環回路4途中に設けられて貯湯タンク2の湯水を循環させる加熱循環ポンプ13と、ヒートポンプユニット3内の圧縮機8等のアクチュエータを制御するヒーポン制御部14とを備えており、ヒートポンプサイクル12内には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。
【0019】
15は貯湯タンク2の下部に接続され貯湯タンク2に給水する給水管、16は給水管15途中に設けられ給水圧を所定の圧力まで減圧する減圧弁、17は給水管15途中に設けられ給水の温度を検出する給水温度センサ、18は貯湯タンク2の上部に接続され貯湯タンク2上部から高温水を取り出す出湯管、19は貯湯タンク2の上部に設けられ貯湯タンク2内の過圧を逃がす負圧作動弁付きの過圧逃がし弁、20は給水管15から分岐された給水バイパス管、21は給水バイパス管20からの給水と出湯管18から高温水とを給湯設定温度に混合する混合弁、22は混合弁21で混合された湯を給湯栓5に供給する給湯管、23は給湯管22に設けられ混合弁21で混合後の給湯温度を検出する給湯温度センサ、24は給湯管22に設けられ給湯流量をカウントする給湯流量センサであり、これらによって給湯回路25を構成しているものである。
【0020】
26は貯湯タンク2内に設けられ、貯湯タンク2内の湯水を熱源とし、その湯水から熱を得て浴槽7の浴槽水を加熱し追い焚きするための間接熱交換器で、この間接熱交換器26は、浴槽水が流通するステンレス製の受熱管26aを下方向に向かうほど巻径が大きくなるような円錐螺旋形状とし、上下隣り合う受熱管26aにおいて、上側の受熱管26aの外縁部が下側の受熱管26aの内縁部より内側にくるように形成され、図3に示されているように平面視で受熱管26a同士が重ならないよう受熱管26a同士の間には隙間が形成されるものである。
【0021】
27は浴槽7と間接熱交換器26とを接続する風呂往き管28および風呂戻り管29からなる環状の風呂循環回路で、風呂往き管28は浴槽7の浴槽水を間接熱交換器26に流通させる風呂配管で、風呂戻り管29は間接熱交換器26を流通した浴槽水を浴槽7に戻す風呂配管である。また、30は風呂循環回路27に設けられ浴槽水を循環させる風呂循環ポンプ、31は流水の有無を検出する流水センサ、32は風呂循環回路27を流れる浴槽水の温度を検出する風呂温度センサ、33は浴槽水の水圧から浴槽7内の水位を検出する水位センサである。
【0022】
34は間接熱交換器26をバイパスして風呂往き管28と風呂戻り管29とを接続する風呂バイパス管で、三方弁よりなる流路切換弁35が風呂バイパス管34と風呂往き管28の接続部に設けられており、流路切換弁35は、風呂循環回路27を流れる湯水を間接熱交換器26に流すか否かを選択的に切り換えるものである。
【0023】
36は給湯管22から分岐され風呂循環回路27に接続されて浴槽7への注湯を行う湯張り管で、この湯張り管36には、浴槽7への注湯の開始/停止を行う湯張り弁37と、浴槽7への注湯量をカウントする風呂流量センサ38と、浴槽7の浴槽水が逆流するのを防止する二重に配設した逆止弁39とが設けられているものである。
【0024】
40は貯湯タンク2の上下方向に複数個配置された貯湯温度検出手段としての貯湯温度センサで、この貯湯温度センサ40が検出する温度情報によって、貯湯タンク2内にどれだけ熱量が残っているかを検知すると共に、貯湯タンク2内の上下方向の温度分布を検知するものである。
【0025】
前記リモコン6には、給湯設定温度を設定する給湯温度設定スイッチ41と、風呂設定温度を設定する風呂温度設定スイッチ42と、浴槽7へ風呂設定温度の湯をリモコン6の湯張り量設定スイッチ(図示せず)で設定された湯張り量注湯させ、所定時間保温させる風呂自動スイッチ43と、浴槽7内の浴槽水を間接熱交換器26を構成する受熱管26aに循環させて追い焚きさせるあつめスイッチ44とが設けられているものである。
【0026】
45はヒートポンプユニット3の駆動開始・停止制御や、貯湯タンクユニット1内の各センサの入力やリモコン6の各種スイッチの入力を受けて各アクチュエータの駆動を制御する制御手段としての貯湯制御部であり、貯湯制御部45はリモコン6と無線または有線により通信可能に接続されていると共に、ヒーポン制御部14と有線にて通信可能に接続されているものである。
【0027】
ここで、貯湯タンク2について図2に示した断面図に基づいて説明すると、貯湯タンク2は、ステンレス板を深絞り加工により形成した覆椀状で頂部に湯水取出し用の開口部211を有した上部鏡板212と、ステンレス板を筒状に形成した胴体213と、ステンレス板を深絞り加工により形成した椀状の下部鏡板214とで構成されており、上部鏡板212の周縁端部と胴体213の上端周縁部とが溶接接続され、下部鏡板214の周縁端部と胴体213の下端周縁部とが溶接接続されているものである。
【0028】
前記上部鏡板212には、その側周面に側周面接続穴215と、その上面に上面接続穴216とが設けられ、前記受熱管26aの一端側が上部鏡板212の側周面接続穴215に挿入され、溶接によって固定されると共に、前記受熱管26aの他端側が上部鏡板212の上面接続穴216に挿入され、溶接によって固定されることで、上部鏡板212の覆椀形状に合わせて下方向に向かうほど巻径が大きくなるような円錐螺旋形状の間接熱交換器26が上部鏡板212内に設けられるものである。このように、上部鏡板212内に間接熱交換器26を収めるようにしたので、貯湯タンク2内に貯湯された湯の最も温度が高い最上部に設けることができ、浴槽水の追い焚きまたは保温のための加熱能力が大きくなり、貯湯タンク2内の熱を有効利用することができるものである。なお、側周面接続穴215に固定された受熱管26aの一端側は、側周面継手217を介して風呂戻り管29が接続されると共に、上面接続穴216に固定された受熱管26aの他端側は、上面継手218を介して風呂往き管28が接続されるものである。
【0029】
次に、この一実施形態の貯湯式給湯風呂装置の動作について説明する。
先ず、貯湯タンク2内の湯水をヒートポンプユニット3により沸き上げる沸き上げ運転について説明すると、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜電力時間帯になって貯湯温度センサ40が貯湯タンク2内に翌日に必要な熱量が残っていないことを検出すると、貯湯制御部45はヒーポン制御部14に対して沸き上げ運転開始を指示する。指示を受けたヒーポン制御部14は圧縮機8や加熱循環ポンプ13の駆動を開始させ、加熱循環回路4を介して貯湯タンク2下部から供給される低温の湯水を水冷媒熱交換器9にて高温に沸き上げ、貯湯タンク2上部に戻し、貯湯タンク2上部から順次積層して高温水を貯湯していく。そして、貯湯温度センサ40が必要な熱量が貯湯タンク2内に貯湯されたことを検出すると、貯湯制御部45はヒーポン制御部14に対して沸き上げ運転停止を指示し、指示を受けたヒーポン制御部14は圧縮機8や加熱循環ポンプ13の駆動を停止させ、沸き上げ運転を終了するものである。
【0030】
次に、この一実施形態の貯湯式給湯風呂装置の浴槽水の追い焚き動作について説明する。
前記リモコン6のあつめスイッチ44の操作によって浴槽7の浴槽水の追い焚きが指示される、または、浴槽7内の浴槽水を所定温度に保温するために所定時間毎に行われる追い焚きの指示があると、貯湯制御部45は、流路切換弁35を間接熱交換器26側に切り換えて風呂循環ポンプ30を駆動し、浴槽7内の浴槽水を貯湯タンク2内に設けられた受熱管26aに流通させ、貯湯タンク2内の湯水の熱を利用して浴槽水を加熱するものである。
【0031】
ここで、間接熱交換器26は、浴槽水が流通する受熱管26aを下方向に向かうほど巻径が大きくなるような円錐螺旋形状とし、図4に示すように、上下隣り合う受熱管26aは、上側の受熱管26aの外縁部が下側の受熱管26aの内縁部より内側にくるように形成され、上側の受熱管26aの外縁部と下側の受熱管26aの内縁部との間には水平方向において隙間が形成されており、前記浴槽水の追い焚き動作を行っている時、間接熱交換器26の周囲の貯湯タンク2内の湯水は、間接熱交換器26を構成する受熱管26aを流通する浴槽水との熱交換によって冷却され下降流となり、この下降流に対応して間接熱交換器26の中心部に上昇流が生じるものである。
【0032】
この時、図4中の下向き矢印が示すように、上下隣り合う受熱管26aのうち、上側の受熱管26aを流通する浴槽水との熱交換によって冷却されて発生する貯湯タンク2内の湯水の下降流は、下側の受熱管26aによって妨げられることがなく、図4中の上向き矢印が示す上昇流と下向き矢印が示す下降流による貯湯タンク2内の湯水の対流が良好に形成されるので、間接熱交換器26での熱交換効率を向上することができるものである。
【0033】
また、給湯を行うと貯湯タンク2内の高温の湯が出湯管18から流出していき、貯湯タンク2下部から給水が流入し、給湯量が多くなると貯湯タンク2内の残りの高温湯が少なくなる。この時に、浴槽水の追い焚きまたは保温が指示されると、間接熱交換器26としての受熱管26a内に浴槽水が流入して貯湯タンク2内の残りの高温湯と熱交換して加熱されて流出していくものであるが、間接熱交換器26は上部鏡板212内に設けられ、間接熱交換器26の取り付けられた高さ位置が貯湯タンク2内の最上部であるため、給湯により貯湯量が減ったとしても、貯湯タンク2内に残った高温湯を浴槽水の追い焚きまたは保温に最後まで利用することが可能となり、貯湯タンク2内の熱を有効利用することができ、浴槽水の加熱のために貯湯タンク内の熱量を給湯分とは別に余分に確保する量を低減できるものである。
【0034】
また、浴槽水の追い焚きまたは保温を行っている途中で、貯湯タンク2内の貯湯量が減少し、前記沸き上げ運転を行うことになった場合において、間接熱交換器26は上部鏡板212内に設けられ、間接熱交換器26の取り付けられた高さ位置が貯湯タンク2内の最上部であるため、ヒートポンプユニット3で沸き上げられ、貯湯タンク2上部に戻される高温湯を浴槽水の追い焚きまたは保温用の熱としてすぐに利用することができるものであり、これによって、貯湯タンク2内に担保しておく熱量を少なくすることができ、一日の終了時に貯湯タンク内に使われずに残る湯の量を減少することができる。
【0035】
また、間接熱交換器26は、図3に示されているように平面視で受熱管26a同士が重ならないよう受熱管26a同士の間には隙間が形成されているが、この隙間は受熱管26aの配管径より小さく設定されており、そうすることで、浴槽水の追い焚きの際に、上下隣り合う受熱管26aのうち、上側の受熱管26aを流通する浴槽水との熱交換によって冷却されて発生する貯湯タンク2内の湯水の下降流が、下側の受熱管26aに妨害されず、下側の受熱管26aに影響を与えることがなく、貯湯タンク2内の湯水の対流が良好に形成され、また、間接熱交換器26の巻径が大きくなり過ぎることなく、上部鏡板212内にコンパクトに収納することができるものである。
【0036】
そして、従来よりも間接熱交換器26を貯湯タンク2内のさらに上部に配置することによって、ヒートポンプユニット3で沸き上げる湯の温度を低くしても間接熱交換器26による加熱能力を担保することができるため、間接熱交換器26で消費する熱量を従来と同じ熱量としたときに、深夜時間帯での沸き上げ温度を下げても間接熱交換器26での出力を同じに保つことができると共に、自然放熱量を低減し、さらにヒートポンプユニット3での加熱効率を向上させられるため、年間給湯保温効率(JIS S9220に基づくAPF)を向上することができる。
【0037】
本発明はこの一実施形態に限定されることはなく、発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能なものであり、例えば、貯湯式給湯暖房装置にも用いることができる。この他の実施形態の貯湯式給湯暖房装置を図5に基づいて説明する。なお、先の一実施形態と同一のものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
ここで、46は床暖房パネル等の温水暖房端末で、暖房循環ポンプ47および暖房温度センサ48を有した暖房循環回路49によって、間接熱交換器26に暖房循環水が循環可能に環状に接続されているものである。50は給湯および暖房の制御を行う給湯暖房制御部である。
【0039】
そして、給湯暖房制御部50に接続された暖房リモコン(図示せず)により、暖房の開始が指示されると、給湯暖房制御部50は暖房循環ポンプ47を駆動し、暖房循環水を貯湯タンク2内に設けられた受熱管26aに流通させ、貯湯タンク2内の湯水の熱を利用して暖房循環水を加熱するものである。この加熱された暖房循環水が温水暖房端末46に流入することで暖房が行われるものである。
【0040】
前記温水暖房端末46による暖房の際、上下隣り合う受熱管26aのうち、上側の受熱管26aを流通する暖房循環水との熱交換によって冷却されて発生する貯湯タンク2内の湯水の下降流は、下側の受熱管26aによって妨げられることがなく、上昇流と下降流による貯湯タンク2内の湯水の対流が良好に形成され、間接熱交換器26での熱交換効率を向上することができるものである。また、間接熱交換器26は上部鏡板212内に設けられ、間接熱交換器26の取り付けられた高さ位置が貯湯タンク2内の最上部であるため、貯湯タンク2内の最も高温の雰囲気にさらされることとなって、温水暖房端末46による暖房のための加熱能力が大きく、暖房の立ち上がりを早くすることができるものである。
【0041】
また、給湯を行うと貯湯タンク2内の高温の湯が出湯管18から流出していき、貯湯タンク2下部から給水が流入し、給湯量が多くなると貯湯タンク2内の残りの高温湯が少なくなる。この時に、暖房が指示されると、間接熱交換器26としての受熱管26a内に暖房循環水が流入して貯湯タンク2内の残りの高温湯と熱交換して加熱されて流出していくものであるが、間接熱交換器26は上部鏡板212内に設けられ、間接熱交換器26の取り付けられた高さ位置が貯湯タンク2内の最上部であるため、給湯により貯湯量が減ったとしても、貯湯タンク2内に残った高温湯を温水暖房の熱源として最後まで利用することが可能となり、暖房可能な時間を延ばすことができ、貯湯タンク2内の熱を有効利用することができ、暖房循環水の加熱のために貯湯タンク内の熱量を給湯分とは別に余分に確保する量を低減できるものである。
【0042】
また、温水暖房端末46による暖房を行っている途中で、貯湯タンク2内の貯湯量が減少し、前記沸き上げ運転を行うことになった場合において、間接熱交換器26は上部鏡板212内に設けられ、間接熱交換器26の取り付けられた高さ位置が貯湯タンク2内の最上部であるため、ヒートポンプユニット3で沸き上げられ、貯湯タンク2上部に戻される高温湯を暖房の熱としてすぐに利用することができるものであり、これによって、貯湯タンク2内に担保しておく熱量を少なくすることができ、一日の終了時に貯湯タンク2内に使われずに残る湯の量を減少することができる。
【0043】
そして、従来よりも間接熱交換器26を貯湯タンク2内のさらに上部に配置することによって、ヒートポンプユニット3で沸き上げる湯の温度を低くしても間接熱交換器26による加熱能力を担保することができるため、間接熱交換器26で消費する熱量を従来と同じ熱量としたときに、深夜時間帯での沸き上げ温度を下げても間接熱交換器26での出力を同じに保つことができると共に、自然放熱量を低減し、さらにヒートポンプユニット3での加熱効率を向上させられるため、年間給湯保温効率(JIS S9220に基づくAPF)を向上することができる。
【0044】
なお、本発明の一実施形態および他の実施形態において、間接熱交換器26は、浴槽水が流通する受熱管26aを下方向に向かうほど巻径が大きくなるような円錐螺旋形状とし、上下隣り合う受熱管26aは、上側の受熱管26aの外縁部が下側の受熱管26aの内縁部より内側にくるように形成されているが、上下隣り合う受熱管26aは、上側の受熱管26aの外縁部が、下側の受熱管26aの内縁部より外側かつ下側の受熱管26aの外縁部より内側にくるようにして、図3のような平面視で受熱管26a同士が一部重なっている状態であってもよく、そうすることで、上下隣り合う受熱管が一直線上に並んだ従来の間接熱交換器よりも熱交換効率を向上できるものであり、一実施形態および他の実施形態で説明したような、上側の受熱管26aの外縁部が下側の受熱管26aの内縁部より内側にくるように形成した間接熱交換器26は、熱交換効率の向上をさらに促進したものである。
【0045】
なお、本発明の間接熱交換器は、上記一実施形態および他の実施形態の円錐螺旋形状だけでなく、例えば蚊取り線香のような平面上の渦巻き形状としてもよいものである。渦巻き形状とすることで、受熱管の長さを長くしても間接熱交換器全体を上部鏡板内の上部に平面的に配置できるため、従来のように長さを長くすることによって間接熱交換器の下端位置が下方になることがなく、外部の湯水の加熱のために貯湯タンク内の熱量を給湯分とは別に余分に確保する量を低減できるものである。
【符号の説明】
【0046】
2 貯湯タンク
212 上部鏡板
213 胴体
214 下部鏡板
3 ヒートポンプユニット
7 浴槽
25 給湯回路
26 間接熱交換器
26a 受熱管
27 風呂循環回路
46 温水暖房端末
49 暖房循環回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
覆椀状の上部鏡板と、筒状の胴体と、椀状の下部鏡板とで構成され、内部に湯水を貯湯する貯湯タンクと、該貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンク内の湯水を給湯する給湯回路と、前記上部鏡板内に設けられ該貯湯タンク内の湯水の熱を利用して受熱管を流通する湯水を加熱する間接熱交換器とを備えたものにおいて、前記間接熱交換器は、前記受熱管を渦巻き状に形成したことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記間接熱交換器は、前記受熱管の渦巻きの内側から外側に向かうほど巻径が大きく、かつ下側に位置するような円錐螺旋形状としたことを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記間接熱交換器は、上下隣り合う前記受熱管において、上側の前記受熱管の外縁部が下側の前記受熱管の内縁部より内側にくるように形成したことを特徴とする請求項2記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記間接熱交換器は、浴槽と風呂循環回路で接続され、浴槽水を循環加熱するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記間接熱交換器は、温水暖房端末と暖房循環回路で接続され、暖房循環水を循環加熱するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−122710(P2012−122710A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34107(P2011−34107)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【特許番号】特許第4825315号(P4825315)
【特許公報発行日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】