説明

貯湯給湯装置

【課題】貯湯タンクにおける湯水の排水と上水の注水を並行的に容易に実行可能な貯湯給湯装置を提供すること、湯水と上水との入れ替えを簡単な操作で実行可能な貯湯給湯装置を提供することである。
【解決手段】貯湯給湯装置1は、タンク2と、このタンク2の下部に接続された上水を導入可能な注水通路3と、この注水通路3の途中部から分岐し下流側がタンク2の上部に接続された循環加熱通路4と、タンク2の下部に接続された排水通路6とを備え、注水通路3から循環加熱通路4へ分岐する分岐部9に弁手段7が配置され、タンク2の内部の湯水を上水と入れ替える入れ替え運転時には、排水通路6に配置された排水栓8を開放すると共に、弁手段7はタンク2側を閉止して注水通路3と循環加熱通路4とを接続し、タンク2の上部に注水しながらタンク2の下部から排水を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯給湯装置の貯湯タンクの入れ替え運転に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯タンク内に貯湯した湯水を熱交換可能な通路を循環させて加熱し、この加熱された湯水を給湯する貯湯給湯装置において、長期間使用すると、貯湯タンク内の底部には、炭酸カルシウムやマグネシウム等(所謂、水垢)が堆積してしまい、衛生上問題が生じたり、上水を注水する為の給水通路や湯水を排水する為の排水通路を塞いでしまう虞がある。
【0003】
このため、これら堆積した炭酸カルシウムやマグネシウム等を取り除く為に、貯湯タンク内の湯水を定期的に水抜きする必要がある。この種のメンテナンスとしては、一般的に、貯湯タンク内の2〜3割り程度の湯水の入れ替えを年に2,3回実行し、貯湯タンク内の全ての湯水の入れ替えを年に1回実行している。
【0004】
貯湯タンクの水抜きとしては、例えば、特許文献1のような方法がある。この特許文献1の貯湯式給湯装置には、給湯混合弁を水側に切り換えると共に排水栓を開放して貯湯タンク内の湯水と給水系通路の残水を排水し、所定の時間経過後に、給湯混合弁をお湯側に切り換えて、出湯系通路の残水を排水することで、貯湯タンク内の湯水と給水系通路及び出湯系通路の残水の両方を排水可能にした構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−64581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、年に数回の定期的なメンテナンスを行う毎に、貯湯タンク内の湯水を排水すると、排水した湯水の分を補うために、上水源から上水を貯湯タンクに再注水する必要がある。貯湯給湯装置を速やかに使用可能状態に復帰させる為には、貯湯タンクから湯水を排水した後に上水を再注水するのではなく、湯水の排水と上水の注入を並行的に実行するのが望ましいが、一般的に貯湯タンクの下部に、注水通路と排水通路の両方が接続されている構造上、湯水の排水と上水の注入を並行的に実行しても注入された上水が直ぐに排水される為、入れ替えを容易に出来ないという問題がある。
【0007】
例えば、特許文献1の貯湯式給湯装置は、給水通路や排水通路内に残留する残水を確実に排水可能な構成ではあるが、給水通路の下流端と排水通路の上流端とは互いに接続され、これらの共通通路が貯湯タンクの下部に接続されているため、上述のように湯水と上水の入れ替えを並行的に実行可能な構成ではない。
【0008】
本発明の目的は、貯湯タンクにおける湯水の排水と上水の注水を並行的に容易に実行可能な貯湯給湯装置を提供すること、湯水と上水との入れ替えを簡単な操作で実行可能な貯湯給湯装置を提供すること、等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の貯湯給湯装置は、タンクと、このタンクの下部に接続された上水を導入可能な注水通路と、この注水通路の途中部から分岐し下流側がタンクの上部に接続された循環加熱通路と、前記タンクの下部に接続された排水通路とを備え、前記注水通路から前記循環加熱通路へ分岐する分岐部に弁手段が配置された貯湯給湯装置において、前記タンクの内部の湯水を上水と入れ替える入れ替え運転時には、前記排水通路に配置された排水栓を開放すると共に、前記弁手段は前記タンク側を閉止して前記注水通路と前記循環加熱通路とを接続し、前記タンクの上部に注水しながら前記タンクの下部から排水を行うことを特徴としている。
【0010】
請求項2の貯湯給湯装置は、請求項1の発明において、前記循環加熱通路には、流量を調整する流量調整手段と、流量を検知する流量検知手段とが設けられ、前記入れ替え運転時には、前記流量調整手段と前記流量検知手段により排水流量の調整を行いながら前記タンク内の湯水の入れ替えを行うことを特徴としている。
【0011】
請求項3の貯湯給湯装置は、請求項1又は2の発明において、前記循環加熱通路には、主加熱手段と補助加熱手段の少なくとも一方が備えられ、前記入れ替え運転時には、前記循環加熱通路を流れる上水を加熱しながら入れ替え運転を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、タンクの内部の湯水を上水と入れ替える入れ替え運転時には、排水通路に配置された排水栓を開放すると共に、弁手段はタンク側を閉止して注水通路と循環加熱通路とを接続し、タンクの上部に注水しながらタンクの下部から排水を行うことができるので、タンク内の湯水を上水と層的に入れ替えることができ、タンク内における湯水の排水と上水の注水を並行的に容易に実行することができる。
【0013】
また、従来のタンク内の湯水の入れ替え運転時に、2回の作業(排水作業と注水作業)が必要だったのを、1回の作業で済ますことができるので、貯湯給湯装置のメンテナンスの手間が減少し、メンテナンスの作業時間を短縮することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、循環加熱通路には、流量調整手段と流量検知手段とが設けられ、入れ替え運転時には、流量調整手段と流量検知手段により排水流量の調整を行いながらタンク内の湯水の入れ替えを行うので、タンク上部から注水される上水を、タンク内の湯水と攪拌させない程度に調整して、タンクの底部に堆積した炭酸カルシウムやマグネシウム等を含む湯水をタンク内から確実に排水することができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、循環加熱通路には、主加熱手段と補助加熱手段の少なくとも一方が備えられ、入れ替え運転時には、循環加熱通路を流れる上水を加熱しながら入れ替え運転を行うので、タンク内において、湯水の入れ替え運転が終了した段階でタンク内には湯水で満たされているので、湯水の再加熱を待たずに早期に給湯することができる。また、上水を加熱することで、タンク内における温度差による湯水と上水との対流を抑制し、湯水と上水とを効率良く入れ替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1に係る貯湯給湯装置の概略構成図である。
【図2】三方弁の制御パターンを示す図表である。
【図3】実施例2に係る貯湯給湯装置の概略構成図である。
【図4】第1,第2開閉弁の制御パターンを示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
先ず、貯湯給湯装置1の全体構成について説明する。
図1に示すように、貯湯給湯装置1は、貯湯タンク2、注水通路3、循環加熱通路4、出湯通路5、排水通路6、三方弁7、排水栓8等を有する。貯湯タンク2は湯水を貯留可能な上下方向に比較的長い断熱性の密閉タンクであり、貯湯タンク2内の複数の貯留層の湯水の温度が複数のタンク湯水温度センサ2a〜2dにより検出される。
【0019】
注水通路3は、上流通路部3a、下流通路部3bを有する。貯湯タンク2の下部には、注水通路3の下流端の下流通路部3bが接続され、上流通路部3aを介して上水源から上水を導入可能である。注水通路3の途中部から循環加熱通路4の往き通路部4aが分岐し、注水通路3から循環加熱通路4へ分岐する分岐部9に三方弁7(弁手段に相当する)が配置されている。
【0020】
注水通路3の上流通路部3aの下流端が三方弁7(ポートA)に接続され、循環加熱通路4の往き通路部4aの上流端が三方弁7(ポートB)に接続され、注水通路3の下流通路部3bの上流端が三方弁7(ポートC)に接続され、この三方弁7により、注水通路3の上流通路部3aと下流通路部3bとの接続(ポートA−ポートC間)、注水通路3の上流通路部3aと循環加熱通路4の往き通路部4aとの接続(ポートA−ポートB間)、注水通路3の下流通路部3bと循環加熱通路4の往き通路部4aとの接続(ポートB−ポートC間)の何れか択一的に選択される。
【0021】
循環加熱通路4は、貯湯タンク2内の湯水が循環する通路であり、往き通路部4a、中間通路部4b、戻り通路部4cを有する。貯湯タンク2から循環ポンプ11を介して湯水が注水通路3の下流通路部3b、往き通路部4aを通り、主加熱装置21の熱交換通路部21aに送られ加熱される。主加熱装置21で加熱された湯水は中間通路部4bを通り、副加熱装置22の熱交換通路部22aに送られ、主加熱装置21による加熱が不十分の場合は再度加熱される。副加熱装置22を通った湯水は、戻り通路部4cを流れて貯湯タンク2に送られる。尚、循環加熱通路4を流れる湯水は、主加熱装置21により加熱されずに、副加熱装置22でのみ加熱されても良い。
【0022】
循環加熱通路4の戻り通路部4cには、流量を調整する流量調整弁12(流量調整手段に相当する)と、流量を検知する流量検知センサ13(流量検知手段に相当する)とが設けられている。
【0023】
貯湯タンク2の上部には、循環加熱通路4の戻り通路部4cと、出湯通路5の上流通路部5aとが接続され、貯湯タンク2内に貯留された高温の湯水(例えば、80〜90℃)を出湯通路5に供給することができる。貯湯タンク2の下部には、貯湯タンク2内の湯水を排水する為の排水通路6が接続されている。排水通路6の途中部には、電磁弁からなる排水栓8が設けられている。
【0024】
出湯通路5は、高温の湯水が流れる上流通路部5a、水と高温の湯水が混合された混合湯水が流れる下流通路部5bを有している。上流通路部5aの下流端が混合弁14に接続され、下流通路部5bの上流端が混合弁14に接続され、注水通路3の上流通路部3aから分岐したバイパス通路部15が混合弁14に接続されている。下流通路部5bの下流端に給湯栓16が接続されている。混合弁14は、出湯温度が指令温度になるように、混合される水と高温の湯水の流量比が制御される。
【0025】
主加熱装置21(主加熱手段に相当する)は、内部に循環加熱通路4の一部を構成する熱交換通路部21aを備え、循環加熱通路4内を循環する湯水を、高温の媒体を利用した熱交換により加熱可能なものである。この主加熱装置21は、ヒートポンプ式加熱装置、燃料電池発電装置、ガスエンジン等を採用しても良いし、これら以外にも種々の公知なものを採用可能である。
【0026】
副加熱装置22(補助加熱手段に相当する)は、主加熱装置21と同様に、内部に循環加熱通路4の一部を構成する熱交換通路部22aを備え、主加熱装置21による湯水の加熱が不足した場合に湯水を再加熱可能なものである。副加熱装置22は、ガス給湯器を採用することができ、上記の流量調整弁12と流量検知センサ13とをこのガス給湯器が有するもので代用することができる。尚、副加熱装置22として、このガス給湯器以外にも公知なものを採用可能である。
【0027】
尚、貯湯給湯装置1には、上記の温度センサ2a〜2dや流量検知センサ13以外にも図示を省略した各種温度センサや流量センサが設けられ、これら各種センサの信号に基づいて、三方弁7、排水栓8、循環ポンプ11、流量調整弁12、混合弁14等を制御し、各種運転(通常の循環運転、給湯運転、入れ替え運転等)を実行する。
【0028】
次に、貯湯給湯装置1の作用・効果について説明する。
図2に示すように、貯湯給湯装置1は、貯湯タンク2内の湯水を循環加熱通路4に循環させて加熱する循環運転モード(a)、貯湯タンク2から湯水を出湯すると共に上水源から低温の上水を貯湯タンク2に導入する給湯運転モード(b)、貯湯タンク2の内部の湯水を上水と入れ替える入れ替え運転モード(c)との3つの運転パターンを有する。
【0029】
循環運転モード(a)においては、三方弁7をポートB−ポートC間を接続する開弁状態に設定する。つまり、三方弁7は、注水通路3の上流通路部3aを閉止して、注水通路3の下流通路部3bと循環加熱通路4の往き通路部4aとを接続して、循環加熱通路4を循環状態になるように制御される。
【0030】
循環ポンプ11の駆動により貯湯タンク2の下端部から下流通路部3bと往き通路部4aとを経て主加熱装置21に流入して湯水は加熱され、この加熱された湯水が中間通路部4bを経て副加熱装置22に流入して必要に応じて再加熱され、戻り通路部4cを通って貯湯タンク2に貯留され、この運転を繰り返すことで貯湯タンク2に高温の湯水が貯留される。この循環運転モード(a)は、制御部が貯湯タンク2内の湯水の温度が不足していると判定した場合に自動的に実行しても良いし、ユーザによるリモコン操作による指令信号に基づいて実行しても良い。
【0031】
給湯運転モード(b)においては、三方弁7をポートA−ポートC間を接続する開弁状態に設定する。つまり、三方弁7は、循環加熱通路4の往き通路部4aを閉止して、注水通路3の上流通路部3aと下流通路部3bとを接続するように制御され、貯湯タンク2から出湯通路5を介して出湯される湯水の分を補充する為に、上水源より上水が注水通路3の上流通路部3aと下流通路部3bとを経て貯湯タンク2に導入される。
【0032】
入れ替え運転モード(c)においては、年数回のメンテナンスを行う為にユーザのリモコン操作により指令信号が制御部(図示略)に送信されると、この制御部によって排水通路6に配置された排水栓8を開放すると共に三方弁7のポートA−ポートB間を接続する開弁状態に設定する。つまり、三方弁7は、注水通路3の下流通路部3b(貯湯タンク2側)を閉止して、注水通路3の上流通路部3aと循環加熱通路4の往き通路部4aとを接続するように制御される。
【0033】
上水源から注水通路3と循環加熱通路4を介して貯湯タンク2上部に上水を注水すると、この注水圧力により貯湯タンク2の下部から湯水を、排水通路6を介して外部に排水する。このとき、排水栓8の開放に伴い、貯湯タンク2の底部に堆積した炭酸カルシウムやマグネシウム等も湯水と共に排水通路6から排水される。貯湯タンク2からの排水流量は、流量検知センサ13で循環加熱通路4内を流れる上水の流量を測定し、この測定値に基づいて流量調整弁12により貯湯タンク2内の湯水が攪拌しない程度の流量となるように調整される。
【0034】
このように、貯湯タンク2の内部の湯水を上水と入れ替える入れ替え運転時には、排水通路6に配置された排水栓8を開放すると共に、三方弁7は貯湯タンク2側を閉止して注水通路3と循環加熱通路4とを接続し、貯湯タンク2の上部に注水しながら貯湯タンク2の下部から排水を行うことができるので、貯湯タンク2内の湯水を上水と層的に入れ替えることができ、貯湯タンク2内の湯水の排水と貯湯タンク2内への上水の注水を並行的に容易に実行することができる。
【0035】
また、従来の貯湯タンク2内の湯水の入れ替え運転時に、2回の作業(排水作業と注水作業)が必要だったのを、1回の作業で済ますことができるので、貯湯給湯装置1のメンテナンスの手間が減少し、メンテナンスの作業時間を短縮することができる。
【0036】
さらに、循環加熱通路4には、流量調整弁12と流量検知センサ13とが設けられ、入れ替え運転時には、流量調整弁12と流量検知センサ13により排水流量の調整を行いながら貯湯タンク2内の湯水の入れ替えを行うので、貯湯タンク2上部から注水される上水を、貯湯タンク2内の湯水と攪拌させない程度に調整して、貯湯タンク2の底部に堆積した炭酸カルシウムやマグネシウム等を含む湯水を貯湯タンク2内から確実に排水することができる。
【0037】
尚、排水栓8は電磁弁で構成され、三方弁7や流量調整弁12等と同様に、ユーザによるリモコン操作を介して制御部により制御可能であるので、この入れ替え運転モード(c)を全自動で実行することができる。
【実施例2】
【0038】
次に、実施例1の貯湯給湯装置1を部分的に変更した実施例2について説明するが、実施例1と同様の構成要素には同様の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。図3に示すように、この貯湯給湯装置1Aは、実施例1の三方弁7の代わりに第1,第2開閉弁7A,7Bが設けられている。
【0039】
図3に示すように、貯湯給湯装置1Aにおいて、注水通路3の途中部から循環加熱通路4の往き通路部4aが分岐し、注水通路3から循環加熱通路4へ分岐する分岐部9に第1,第2開閉弁7A,7B(弁手段に相当する)が配置されている。分岐部9において、第1開閉弁7Aは注水通路3の下流通路部3b側に設けられ、第2開閉弁7Bは循環加熱通路4の往き通路部4a側に設けられている。第1,第2開閉弁7A,7Bにより、注水通路3の上流通路部3aと下流通路部3bとの接続、注水通路3の上流通路部3aと循環加熱通路4の往き通路部4aとの接続、注水通路3の下流通路部3bと循環加熱通路4の往き通路部4aとの接続の何れか択一的に選択される。
【0040】
次に、貯湯給湯装置1Aの作用・効果について説明する。
図4に示すように、貯湯給湯装置1Aは、実施例1と同様の貯湯タンク2内の湯水を循環加熱通路4に循環させて加熱する循環運転モード(a)、上水源から低温の上水を貯湯タンク2に導入する給湯運転モード(b)、貯湯タンク2の内部の湯水を上水と入れ替える入れ替え運転モード(c)との3つの運転パターンを有する。
【0041】
循環運転モード(a)においては、貯湯給湯装置1Aの第1開閉弁7Aを開弁状態に設定し、第2開閉弁7Bを開弁状態に設定する。つまり、第1,第2開閉弁7A,7Bは、湯水循環通路4を循環状態になるように制御される。この循環運転モード(a)による貯湯給湯装置1Aの作用は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0042】
給湯運転モード(b)においては、貯湯給湯装置1Aの第1開閉弁7Aを開弁状態に設定し、第2開閉弁7Bを閉弁状態に設定する。つまり、第1,第2開閉弁7A,7Bは、循環加熱通路4の往き通路部4aを閉止して、注水通路3の上流通路部3aと下流通路部3bとを接続するように制御される。この給湯運転モード(b)による貯湯給湯装置1Aの作用は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0043】
入れ替え運転モード(c)においては、貯湯給湯装置1Aの第1開閉弁7Aを閉弁状態に設定し、第2開閉弁7Bを開弁状態に設定する。つまり、第1,第2開閉弁7A,7Bは、注水通路3の下流通路部3b(貯湯タンク2側)を閉止して、注水通路3の上流通路部3aと循環加熱通路4の往き通路部4aとを接続するように制御される。この入れ替え運転モード(c)による貯湯給湯装置1Aの作用は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
その他の構成、作用及び効果は前記実施例1と同様であるので説明は省略する。
【0044】
次に、前記実施例1,2を部分的に変更した形態について説明する。
[1]前記実施例1,2の入れ替え運転時において、循環加熱通路4を流れる上水を特に加熱していないが、主加熱装置21と副加熱装置22の少なくとも一方により、上水を加熱しながら入れ替え運転を行っても良い。この場合、貯湯タンク2内において、入れ替え運転が終了した段階で貯湯タンク2内は湯水で満たされているので、湯水の再加熱を待たずに早期に給湯することができる。また、上水を加熱することで、貯湯タンク2内における温度差による湯水と上水との対流を抑制し、湯水と上水とを効率良く入れ替えすることができる。尚、主加熱装置21と副加熱装置22とは、必ずしも両方とも備える必要はなく、主加熱装置21と副加熱装置22のうち少なくとも一方を備える構成でも良い。副加熱装置22を備えていない場合は、上記の流量調整弁12と流量検知センサ13とを副加熱装置22のものを代用する代わりに独立に夫々設けても良い。
【0045】
[2]前記実施例1,2の排水栓8は、リモコン操作の指令信号に基づいて自動的に開閉可能であるが、特に自動的に開閉可能な構成に限定する必要はなく、ユーザにより手動で開閉可能な排水栓8を採用しても良い。この場合、入れ替え運転モード(c)を実行する際には、排水栓8を手動により開放した後に、リモコン操作により入れ替え運転を実行し、入れ替え運転が終了した後に、排水栓8を手動で閉止すれば良い。
【0046】
[3]その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0047】
1、1A 貯湯給湯装置
2 貯湯タンク
3 注水通路
4 循環加熱通路
6 排水通路
7 三方弁(弁手段)
7A,7B 第1,第2開閉弁(弁手段)
8 排水栓
9 分岐部
12 流量調整弁(流量調整手段)
13 流量検知センサ(流量検知手段)
21 主加熱装置(主加熱手段)
22 副加熱装置(補助加熱手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、このタンクの下部に接続された上水を導入可能な注水通路と、この注水通路の途中部から分岐し下流側がタンクの上部に接続された循環加熱通路と、前記タンクの下部に接続された排水通路とを備え、前記注水通路から前記循環加熱通路へ分岐する分岐部に弁手段が配置された貯湯給湯装置において、
前記タンクの内部の湯水を上水と入れ替える入れ替え運転時には、前記排水通路に配置された排水栓を開放すると共に、前記弁手段は前記タンク側を閉止して前記注水通路と前記循環加熱通路とを接続し、前記タンクの上部に注水しながら前記タンクの下部から排水を行うことを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
前記循環加熱通路には、流量を調整する流量調整手段と、流量を検知する流量検知手段とが設けられ、前記入れ替え運転時には、前記流量調整手段と前記流量検知手段により排水流量の調整を行いながら前記タンク内の湯水の入れ替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置。
【請求項3】
前記循環加熱通路には、主加熱手段と補助加熱手段の少なくとも一方が備えられ、前記入れ替え運転時には、前記循環加熱通路を流れる上水を加熱しながら入れ替え運転を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の貯湯給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−92321(P2013−92321A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235782(P2011−235782)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】