説明

貯湯給湯装置

【課題】 断熱材による貯湯タンクの断熱性能の維持と、貯湯タンクに設置されている温度検出手段のメンテナンスの容易性との双方を満足させ得る貯湯給湯装置を提供する。
【解決手段】 断熱材8で覆われる貯湯タンク4の側面部分に上下方向に内外方向に貫通する切欠部81を形成し、切欠部81を介して貯湯タンク4の表面にタンクサーミスタ71〜73を設置する。内外二重管式の熱交換器35を切欠部81に内嵌させて着脱可能に取り付け、タンクサーミスタ71〜73を覆う。熱交換器35の外管部351を合成樹脂により形成し、切欠部81の断熱性能を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材に覆われた貯湯タンクを備える貯湯給湯装置に関し、特に貯湯タンクに設置される温度検出手段のメンテナンスを容易にし得る貯湯給湯装置に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯タンクを備える貯湯給湯装置においては、その貯湯タンク内の湯水温度を検出するために温度検出手段が貯湯タンクの側面に設置される一方、貯湯タンクの保温のために貯湯タンクの外周囲を断熱材で覆うことが行われている。後述の特許文献1では、貯湯タンクに対しその外周面に対応する形状の断熱材を被せる一方、貯湯タンクに設置された複数の温度センサに対向する部分を連続して開口させ、この開口に対し、この開口を複数に分割した形状の複数の蓋を取り付けることが提案されている。又、特許文献2では、貯湯タンクに設置された温度センサを含んで断熱材で覆う一方、その温度センサと対応する部位の断熱材に対し、温度センサを囲むように切り込み溝を形成することで、その部位だけ切り取り易くすることが提案されている。さらに、特許文献3では、貯湯タンクを断熱材で覆う一方、その断熱材の外表面に凹部を形成し、この凹部に熱交換器を併設することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−121719号公報
【特許文献2】特開2010−14385号公報
【特許文献3】特開2011−94925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の従来技術では、貯湯タンクに設置された温度検出手段をメンテナンスするために、蓋を取り除いたり、あるいは、切り込み溝に沿って断熱材を部分的に切り取ったりするという作業が必要になる上に、一旦取り除いてしまったり切り取ってしまったりすると、元の断熱状態に復元することは難しく、メンテナンス後の貯湯タンクの断熱性能の悪化を招きかねないことになる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱材による貯湯タンクの断熱性能の維持と、貯湯タンクに設置されている温度検出手段のメンテナンスの容易性との双方を満足させ得る貯湯給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、加熱手段により加熱された湯水を貯留するための貯湯タンクを備え、前記貯湯タンクの側面には貯湯タンク内に貯留された湯水温度を検出するための温度検出手段が設置されると共に、前記貯湯タンクの外表面が断熱材により覆われている貯湯給湯装置を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、前記温度検出手段の外面側に臨む部分に相当する前記断熱材の部分を切り欠いて、内外方向に貫通した切欠部を形成する。そして、前記切欠部に対し前記温度検出手段の外面側を覆うように配管部材を着脱可能に設置し、この配管部材によって前記切欠部が覆われている構成とした(請求項1)。
【0007】
本発明の場合、温度検出手段の外面側及び切欠部が配管部材により全て覆われるため、温度検出手段の保護が図りつつも、配管部材の配設場所の確保及びそれによるレイアウトの自由度を高め得ることになる。しかも、その配管部材が着脱可能に取り付けられているため、配管部材を取り外すだけで、切欠部が開放されて温度検出手段の外面側が外部に露出することになる。このため、温度検出手段のメンテナンス等が容易に行い得るようになる。そして、配管部材を再び取り付ければ、元のように温度検出手段の外面側及び切欠部を配管部材により覆って、温度検出手段を元通りに保護された状態に復元させることが可能となる。
【0008】
本発明の貯湯給湯装置における配管部材として、配管本体と、この配管本体の外周囲に一体に取り付けられた断熱材とで構成することができる(請求項2)。このようにすることにより、温度検出手段の外面側及び切欠部が配管部材により全て覆われて温度検出手段の保護が図られるだけでなく、切欠部の部分の貯湯タンクについての断熱性能を維持し得ることになる。そして、メンテナンスのために配管部材を取り外したとしても、再び取り付けることで、温度検出手段及び切欠部を配管部材で覆うことができ、メンテナンス前の元の状態と同じ断熱性能を復元・発揮させることが可能となる。
【0009】
又、前記貯湯給湯装置における配管部材として、内部に湯水が流通可能な状態を維持しつつ前記切欠部内と切欠部外との間で移動可能に支持するようにすることができる(請求項3)。このようにすることにより、配管部材を用いて切欠部を覆うようにしたとしても、温度検出手段のメンテナンスのために、貯湯タンク等の水抜きや止水を行う必要がなくなり、メンテナンス作業を大幅に省力化することが可能となる。
【0010】
さらに、前記の貯湯給湯装置における配管部材として、内外二重管式の熱交換器により構成し、かつ、外管部を合成樹脂により形成することができる(請求項4)。このようにすることにより、熱交換器の配設場所の省略化により大幅なコンパクト化やレイアウトの自由度の増大が図られる上に、外管部を合成樹脂で形成することで、熱交換器の断熱のみならず切欠部を介した貯湯タンクの断熱性の確保をも図り得るようになる。
【発明の効果】
【0011】
以上、説明したように、本発明の貯湯給湯装置によれば、温度検出手段の外面側及び切欠部の全てを配管部材により覆うことができ、温度検出手段の保護を図りつつも、配管部材の配設場所の確保及びそれによるレイアウトの自由度を高めることができる。しかも、その配管部材を取り外すだけで、切欠部を開放して温度検出手段の外面側を外部に露出させることができ、温度検出手段のメンテナンス等を容易に行うことができるようになる。そして、配管部材を再び取り付ければ、元のように温度検出手段の外面側及び切欠部を配管部材で全て覆った状態にすることができ、温度検出手段を元通りに保護された状態に復元させることができるようになる。
【0012】
特に、請求項2によれば、配管部材として、配管本体と、この配管本体の外周囲に一体に取り付けられた断熱材とで構成することで、温度検出手段の外面側及び切欠部を配管部材により全て覆うことができ、温度検出手段の保護だけでなく、切欠部の部分の貯湯タンクについての断熱性能を維持することができるようになる。そして、メンテナンスのために配管部材を取り外したとしても、再び取り付けることで、温度検出手段及び切欠部を配管部材で覆うことができ、メンテナンス前の元の状態と同じ断熱性能を復元・発揮させることができるようになる。
【0013】
又、請求項3によれば、配管部材として、内部に湯水が流通可能な状態を維持しつつ前記切欠部内と切欠部外との間で移動可能に支持するようにすることで、配管部材を用いて切欠部を覆うようにしたとしても、温度検出手段のメンテナンスのために、貯湯タンク等の水抜きや止水を行う必要をなくすことができ、メンテナンス作業を大幅に省力化することができるようになる。
【0014】
さらに、請求項4によれば、配管部材として、内外二重管式の熱交換器により構成し、かつ、外管部を合成樹脂により形成することで、熱交換器の配設場所の省略化により大幅なコンパクト化やレイアウトの自由度の増大を図ることができる上に、外管部を合成樹脂で形成することで、熱交換器の断熱のみならず切欠部を介した貯湯タンクの断熱性の確保をも図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る貯湯給湯装置の模式図である。
【図2】図1の貯湯タンクとして第1実施形態に係るものの横断面説明図である。
【図3】図2のA−A線における断面説明図である。
【図4】図2,図3の貯湯タンクの分解斜視図である。
【図5】第2実施形態に係る貯湯タンクを示す斜視図である。
【図6】図2のものとは異なる形態を示す図2の部分対応図である。
【図7】図2,図6のものとは異なる形態を示す図2の部分対応図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る貯湯給湯装置の模式図である。この貯湯給湯装置は、加熱手段2と、貯湯ユニット3とを組み合わせたものである。加熱手段2としては、種々のものを採用することができる。例えば、冷凍サイクルを利用したヒートポンプ装置、燃料電池の排熱回収熱交換器、あるいは、太陽熱の集熱パネル等を貯湯タンク内の貯留湯水を加熱するための加熱手段2として採用することができる。なお、本発明が適用される貯湯給湯装置を構成する加熱手段2としては、以上の例示以外の種々のものを採用可能である他、貯湯ユニット3としては、加熱手段2により加熱される湯水を貯留するための貯湯タンク3と、その湯水が流される後述の配管部材とを備えたものであれば、その他の構成は必須のものではなく適宜に追加・変更し得るものである。
【0018】
ヒートポンプ装置とは、冷媒循環回路に圧縮機と、凝縮熱交換器と、膨張弁と、蒸発熱交換器とを順に接続し、プロパン等のHC系冷媒やCO2などの適宜の冷媒を循環させて、圧縮・凝縮・膨張・蒸発の各工程を繰り返させるようにしたものである。そして、熱交換加熱用の熱交換器21として前記の凝縮熱交換器を用い、この凝縮熱交換器において、前工程の圧縮により高温気相状態となった冷媒を熱源として、貯湯ユニット3側の湯水を熱交換加熱するようにすればよい。又、燃料電池の排熱回収熱交換器を熱交換加熱用の熱交換器21として用いる場合には、燃料電池による発電の際に発生する排ガスを排熱回収熱交換器に導き、この排ガスからの排熱回収により貯湯ユニット3側の湯水を熱交換加熱すればよい。さらに、太陽熱の集熱パネルを加熱手段として用いる場合には、集熱パネルと熱交換加熱用熱交換器21との間で媒体を循環させ、集熱パネルにおいて太陽熱を受けて昇温した媒体との熱交換によって貯湯ユニット3側の湯水を加熱するようにすればよい。
【0019】
貯湯ユニット3は、前記の加熱手段2により加熱された湯水を貯留するための貯湯タンク4と、循環ポンプ30を作動させることで貯湯タンク4内に貯留された湯水を前記熱交換加熱用熱交換器21との間で循環させて加熱するための蓄熱回路31と、水道圧に基づき貯湯タンク4の底部に給水して貯湯タンク4内を満水状態に維持するための給水路32と、下流端の図示省略の給湯栓が開かれることで貯湯タンク4の頂部から給湯するための給湯路33と、貯湯タンク4内の湯水を熱源として浴槽5内の湯水を加熱するための風呂加熱回路34とを備えて構成されている。
【0020】
蓄熱回路31は、循環ポンプ30の作動をコントローラ6により作動制御することで、貯湯タンク4の底部側の低温の湯水を熱交換加熱用の熱交換器21に導き、この熱交換器21で熱交換加熱された後の高温の湯水を貯湯タンク4の頂部に戻すことで、貯湯タンク4内に高温の湯の状態で蓄熱するように構成されている。その際、貯湯タンク4内の湯水温度が温度検出手段としてのタンクサーミスタ71,72,73により検出され、検出された湯水温度と加熱手段2の側の熱源状況との対比に基づいて、コントローラ6により適切な蓄熱制御が行われるようになっている。タンクサーミスタ71,72,73は、貯湯タンク4の上下方向に間隔を隔てて設置され、貯湯タンク4の所定の高さ位置毎の湯水温度を検出し得るようにされている。なお、図1では3個のタンクサーミスタ71,72,73の場合を例示しているが、これに限らず、貯湯タンク4のサイズや、貯湯タンク4内の例えば温度成層に基づく蓄熱状況の把握等の目的に応じて設置数は適宜定められる。
【0021】
風呂加熱回路34は、液−液熱交換式の風呂加熱用の熱交換器35と、この熱交換器35に熱源として貯湯タンク4内の高温の湯水を循環供給させるための熱源循環路36と、熱交換器35に対し浴槽5内の湯水を熱交換加熱するために循環供給させる浴槽水循環路37とを備えている。熱源循環路36は、循環ポンプ38の作動により、前記熱交換器35の熱源側に対し貯湯タンク4の頂部接続口41から高温の湯水を取りだして供給する往き路361と、熱交換により低温になった湯水を底部接続口42から貯湯タンク4に戻す戻り路362とを備えたものである。又、浴槽水循環路37は、同じく循環ポンプ39の作動により、前記の熱交換器35の被加熱側に対し浴槽5内の湯水を戻す戻り路371と、熱交換加熱後の湯水を浴槽5に供給する往き路372とを備えたものである。
【0022】
<第1実施形態>
以上の貯湯給湯装置を前提にして、第1実施形態に係る貯湯タンク4は、その詳細を図2〜図4に示すように、貯湯タンク4の外表面が断熱材8により覆われる一方、貯湯タンク4の側面に設置(例えば貼付)されているタンクサーミスタ71,72,73の外面側に臨む断熱材7の部位が切り欠かれて、内外方向に貫通した切欠部81が形成されている。この切欠部81の幅と長さは次のように設定される。すなわち、タンクサーミスタ71,72,73の幅以上でかつ切欠部81の外側からタンクサーミスタ71,72,73の設置作業やメンテナンスが行い得る程度の幅を有し、各タンクサーミスタ71,72,73が設置されている上下方向範囲を含む長さを有するように設定されている。
【0023】
そして、この切欠部81には、外から内方に向けて、配管部材としての風呂加熱用の熱交換器35が内嵌されている。熱交換器35は、前記の切欠部81の幅と長さに合致する形状を有するように形成され、かつ、内外二重管式の液−液熱交換器として構成され、特に外管部351が合成樹脂により形成されて全体として断熱性能を発揮するようになっている。図例の外管部351は、横断面形状が矩形の外面形状(図2参照)を有し、切欠部81の幅と長さに丁度合致するように形成されており、切欠部81に対し外から内方に押し込むことで内嵌可能である一方(図4参照)、引き抜くことで断熱材8から取り外し得るようになっている。そして、熱交換器35の設置の確実性を担保するために、熱交換器35は貯湯タンク4の側又は断熱材8の側の適所に対し着脱可能な取付手段を介して取り付けられている。例えば、図例のものは、切欠部81内の貯湯タンク4の側にブラケット43,43を固定し、このブラケット43,43に対し熱交換器35をビス431,431によりビス止めするようにしている。
【0024】
熱交換器35においては、合成樹脂製の外管部351(主として図2参照)及び熱の良導材料により形成された内管部352の両者間のドーナッツ状流路と、内管部352の内部流路との内の一方に流れる熱源としての貯湯タンク4内の湯水と、他方に流れる浴槽5(図1参照)内の湯水とが内管部352の管壁を介して液−液熱交換されるようになっている。すなわち、貯湯タンク4(主として図3参照)内の湯水が頂部接続口41及び往き路361を通して前記のドーナッツ状流路及び内部流路の内の一方に導入され、熱交換後に戻り路362に導出されて循環ポンプ38を通して底部接続口42から貯湯タンク4内に流入する。同時に、浴槽5の湯水が戻り路371を通して前記のドーナッツ状流路及び内部流路の内の他方に導入され、熱交換加熱された後に往き路372に導出されて浴槽5へ供給される。
【0025】
以上の第1実施形態に係る貯湯タンク4(主として図4参照)の場合、断熱材8により覆われた状態からタンクサーミスタ設置位置に対応する所定部位を上下方向に切り欠いて切欠部81を形成し、この切欠部81を介してタンクサーミスタ71,72,73を設置し、その上でこれらタンクサーミスタ71,72,73の外面側を覆うように熱交換器35をブラケット43,43に対しビス止めにより取り付ければよい。この状態では、タンクサーミスタ71,72,73及び切欠部81は、熱交換器35により全てが覆われ、しかも、熱交換器35の外管部351の形成素材である合成樹脂の断熱機能により断熱性能が維持されることになる。そして、ビス431,431,…を外すだけで、熱交換器35を容易に切欠部81から除去することができ、このため、開放状態の切欠部81を介してタンクサーミスタ71,72,73のメンテナンス(例えばチェックや交換)を容易に行うことができるようになる。さらに、メンテナンス後に、前記熱交換器35を切欠部81に再度内嵌してビス止めすることで、タンクサーミスタ71,72,73及び切欠部81の全てを熱交換器35で覆うことができ、熱交換器35の除去前の元の状態と同じ断熱性能を復元・発揮させることができるようになる。
【0026】
<第2実施形態>
図5に第2実施形態に係る貯湯タンク4を示す。この第2実施形態は、配管部材としての熱交換器35を、切欠部81に内嵌された状態と、タンクサーミスタ71,72,73のメンテナンス等の邪魔にならないよう外部に取り出された状態との間を相互に移動可能に支持するようにしたものである。
【0027】
すなわち、熱交換器35の上端側及び下端側からそれぞれ側方に延びる支持アーム353,354を連結し、この支持アーム353,354を、貯湯タンク4の側又は断熱材8の側に支持・固定された支持部44,45によって上下方向軸であるY軸の回りに回転移動可能に挟み込んで支持したものである。図例の支持アーム353,354は、熱交換器35が切欠部81に内嵌した状態において、熱交換器35から貯湯タンク4の径方向外方に延びた後に接線方向(又は周方向)に屈曲した先の部位で、前記支持部44,45によりY軸回りに回転移動可能に支持されている。なお、支持アーム353,354の構成としては、これに限らず、前記の熱交換器35が切欠部81に内嵌した状態において、熱交換器35から貯湯タンク4の径方向外方に単に延びたもの、あるいは、熱交換器から貯湯タンク4の接線方向又は周方向に単に延びたもので、支持アームを構成してもよい。要するに上下方向に延びるように配置される熱交換器35を、平面方向においてこの熱交換器35とは異なる位置で上下方向に延びる軸(例えば前記のY軸)の回りに回転移動可能に支持できる支持アームであればよい。
【0028】
支持部44,45は、往き路361及び372の接続部、あるいは、戻り路362及び371の接続部を兼ねる一方、支持アーム353,354は、熱交換器35と同様の内外二重管により構成し、熱交換器35の外管部351(図2参照)及び内管部352が支持アーム353,354を介して前記の各接続部に連通するように構成されている。これにより、熱交換器35の内部に、熱源循環路36内に循環される貯湯タンク4の湯水や、浴槽水循環路37内に循環される浴槽5の湯水がそれぞれ存在している状態のままで、熱交換器35のY軸回りの回転移動操作を行うことできるようになっている。なお、支持部44,45と、支持アーム353,354とを回転移動可能に連結する手段としては、例えば双方にフランジを突出させ、両フランジをC形クリップ等により回転可能に連結すればよい。
【0029】
以上の第2実施形態の場合、断熱材8により覆われた状態からタンクサーミスタ設置位置に対応する所定部位を上下方向に切り欠いて切欠部81を形成し、この切欠部81を介してタンクサーミスタ71,72,73を設置する一方、支持部44,45に対し支持アーム353,354を連結させることで熱交換器35をY軸回りに回転移動可能に支持させる。そして、熱交換器35をY軸回りに図5の平面方向から見て反時計方向に回転移動させることで切欠部81に内嵌させ、これにより、タンクサーミスタ71,72,73の外面側を覆うようにすればよい。この状態では、タンクサーミスタ71,72,73及び切欠部81は、熱交換器35により全てが覆われ、しかも、熱交換器35の外管部351の形成素材である合成樹脂の断熱機能により断熱性能が維持されることになる。
【0030】
そして、熱交換器35を前記とは逆に時計方向に回転移動させるだけで、熱交換器35を切欠部81から外部に容易に移動させることができ、開放状態の切欠部81を介してタンクサーミスタ71,72,73のメンテナンス(例えばチェックや交換)を容易に行うことができるようになる。この場合、熱交換器35と熱源循環路36や浴槽水循環路37とが互いに連通状態に維持されているため、タンクサーミスタ71,72,73のメンテナンスのために、貯湯タンク4や熱源循環路36,浴槽水循環路37等の水抜きや止水を行う必要はなく、これにより、熱交換器35を用いて切欠部81を覆うようにしたとしても、メンテナンス作業を大幅に省力化することができるようになる。さらに、メンテナンス後に、前記熱交換器35をY軸回りに反時計回りに回転移動させて切欠部81に再度内嵌させることで、タンクサーミスタ71,72,73及び切欠部81の全てを熱交換器35で覆うことができ、熱交換器35の除去前の元の状態と同じ断熱性能を復元・発揮させることができるようになる。
【0031】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1及び第2実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1実施形態のブラケット43,43に代えて、例えば図6に示すようなブラケット43aを用いるようにしてもよい。この場合には、タンクサーミスタ71〜73の設置やメンテナンスのための障害を少しでも解消することができるようになる。又、第1及び第2実施形態では、熱交換器35を配管部材として用いた例を示したが、これに限らず、図7に示すように、貯湯タンク4の湯水等の流路を構成する単なる配管300を配管部材として用いるようにしてもよい。この場合には、配管300として、断熱性のある合成樹脂管により形成するか、あるいは、金属管の配管本体に対し合成樹脂製の断熱材を外周囲に一体に被覆して形成すればよい。なお、この配管300の横断面形状としては図例の如く円形にしても、あるいは、熱交換器35の外管部351と同様の矩形にしてもいずれでもよい。さらに、熱交換器35の外管部351も配管300の如く横断面形状を円形にしてもよい。加えて、風呂加熱用の熱交換器35に限らず、温水循環式の暖房用温水を加熱するための熱交換器や、その他の熱交換器を本発明の配管部材として用いるように構成してもよい。
【0032】
又、第2実施形態において配管部材である熱交換器35をY軸回りに回転可能に支持することで、熱交換器35を切欠部81に内嵌した状態と、外部に移動された状態とに移動可能にしたが、これに限らず、例えばスライド移動可能に配管部材を支持することで、配管部材を切欠部81に内嵌した状態と、外部に移動された状態とに移動可能にするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
2 加熱手段
4 貯湯タンク
8 断熱材
35 熱交換器(配管部材)
71,72,73 タンクサーミスタ(温度検出手段)
81 切欠部
300 配管(配管部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱手段により加熱された湯水を貯留するための貯湯タンクを備え、前記貯湯タンクの側面には貯湯タンク内に貯留された湯水温度を検出するための温度検出手段が設置されると共に、前記貯湯タンクの外表面が断熱材により覆われている貯湯給湯装置であって、
前記温度検出手段の外面側に臨む部分に相当する前記断熱材の部分が切り欠かれて、内外方向に貫通した切欠部が形成され、
前記切欠部には前記温度検出手段の外面側を覆うように配管部材が着脱可能に設置され、この配管部材によって前記切欠部が覆われている、
ことを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の貯湯給湯装置であって、
前記配管部材は、配管本体と、この配管本体の外周囲に一体に取り付けられた断熱材とで構成されている、貯湯給湯装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の貯湯給湯装置であって、
前記配管部材は、内部に湯水が流通可能な状態を維持しつつ前記切欠部内と切欠部外との間で移動可能に支持されている、貯湯給湯装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の貯湯給湯装置であって、
前記配管部材は、内外二重管式の熱交換器により構成され、かつ、外管部が合成樹脂により形成されている、貯湯給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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