説明

貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理方法

【課題】複数の貸出レートでの遊技媒体の貸し出しを認めるとともに、各貸出レートで貸し出した遊技媒体の貯玉をそれぞれ認める場合に、遊技店及び遊技客のニーズに適合した貯玉移行を行うことを課題とする。
【解決手段】貯玉管理装置50の貯玉管理部55aが、会員カードIDに対応付けて4円貯玉口座及び1円貯玉口座を管理する貯玉管理テーブル54aを用いて各遊技客の貯玉数を管理しておき、振替処理部55bは、遊技店内に配設されたPOS端末40からの振替依頼信号を受信した際に、振替ルールに適合していることを条件として貯玉管理テーブル54a内の貯玉口座間の貯玉振替処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各遊技客の識別情報に対応付けて該遊技客により獲得された遊技媒体を貯遊技媒体として管理する貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理方法に関し、特に、複数の貸出レートでの遊技媒体の貸し出しを認めるとともに、各貸出レートで貸し出した遊技媒体の貯遊技媒体をそれぞれ認める場合に、遊技店及び遊技客のニーズに適合した貯遊技媒体移行を行うことができる貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ店等の遊技店では、会員カードを発行した会員により獲得されたパチンコ玉又はメダル(以下、「遊技媒体」と総称する)を会員カードに対応付けて預かる貯玉又は貯メダル(以下、単に「貯玉」と総称する)サービスが会員に対して提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、パチンコ台に併設される台間貯玉返却指令機に会員カードを挿入して暗証番号を入力するとともに貯玉返却キーを押下操作すると、コントローラに貯玉返却要求がなされ、貯玉返却可能である場合にはコントローラから台間貯玉指令機に対して玉返却指令が行われ、この玉返却指令に応答して台間玉貸機からパチンコ玉を払い出す貯玉返却システムが開示されている。
【0004】
かかる特許文献1に代表される従来の貯玉システムでは、遊技客が遊技媒体数を計数する計数機に対して会員カードと遊技媒体を投入して貯玉操作を行うと、この計数機によって計数された遊技媒体数及び計数機により会員カードから読み取られた会員カードIDが管理装置に対して通知され、この管理装置上で遊技媒体の貯玉数が管理されることになる。また、計数機で印刷したレシートをPOS端末で読み取るとともに該POS端末に会員カードを挿入して貯玉操作を行うと、同様に遊技媒体数及び会員カードIDが管理装置に対して通知され、この管理装置上で遊技媒体の貯玉数が管理される。そして、このようにして預け入れられた貯玉は、特許文献1等を用いて再プレイ又はPOS端末で景品交換されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−85436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の貯玉システムでは、パチンコ玉について1つの貯玉口座を付与しメダルについて1つの貯メダル口座を付与するというように、同一種別の遊技媒体に関して各会員に単一口座のみしか認めていなかった。このため、例えばパチンコ玉を1玉4円で貸し出す4円コーナーとパチンコ玉を1玉1円で貸し出す1円コーナーが併設され、かつ、遊技店が4円コーナーと1円コーナーの両方に対して貯玉サービスを提供しようとする場合には、各会員に対して1玉4円の貯玉を認める4円貯玉と1玉1円の貯玉を認める1円貯玉を別個に管理する必要が生ずる。
【0007】
しかしながら、遊技客側から見ると、1円貯玉について4円コーナーでの再プレイを希望するニーズや、4円貯玉について1円コーナーでの再プレイを希望するニーズが考えられる。同様に、遊技店側から見ると、4円貯玉について1円コーナーでの再プレイを認めると遊技店内での遊技客の長期滞留により収益率が低下するためかかる再プレイを認めたくないというニーズもある。
【0008】
このように、従来技術のそのまま拡張して4円貯玉と1円貯玉を別個のものとして管理したのでは、遊技客及び遊技店双方のニーズに適合した貯玉サービスを行えないという大きな課題がある。なお、かかる課題は、4円貯玉と1円貯玉を併用した場合だけではなく、4円貯玉と2円貯玉というように複数の貸出レートのコーナーを設けた場合に同様に生ずる課題である。
【0009】
この発明は、上記課題(問題点)に鑑みてなされたものであり、複数の貸出レートでの遊技媒体の貸し出しを認めるとともに、各貸出レートで貸し出した遊技媒体の貯玉をそれぞれ認める場合に、遊技店及び遊技客のニーズに適合した貯玉移行を行うことができる貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明は、各遊技客の識別情報に対応付けて該遊技客により獲得された遊技媒体を貯遊技媒体として管理する貯遊技媒体管理装置であって、各遊技客の識別情報に対応付けて同一種類の遊技媒体についての複数の貯遊技媒体口座を管理する貯遊技媒体管理テーブルを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された貯遊技媒体管理テーブルを用いて各遊技客の貯遊技媒体数を管理する貯遊技媒体管理手段と、遊技店内に配設された所定の機器からの少なくとも振替元の貯遊技媒体口座と振替貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体振替要求に応答して、前記記憶手段に記憶された貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を行う貯遊技媒体振替処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記貯遊技媒体振替処理手段は、貯遊技媒体の再プレイ利用時に前記記憶手段に記憶された貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を制限する振替ルールに適合することを条件として、貯遊技媒体振替処理を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記貯遊技媒体振替処理手段は、遊技店内に配設された所定の機器からの貯遊技媒体振替要求に応答して、所定期間内の累積振替貯遊技媒体数が所定値以内である場合に、前記記憶手段に記憶された貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、各遊技客の識別情報に対応付けて該遊技客により獲得された遊技媒体を貯遊技媒体として管理する貯遊技媒体管理方法であって、各遊技客の識別情報に対応付けて同一種類の遊技媒体についての複数の貯遊技媒体口座を管理する貯遊技媒体管理テーブルを用いて各遊技客の貯遊技媒体数を管理する貯遊技媒体管理工程と、遊技店内に配設された所定の機器からの少なくとも振替元の貯遊技媒体口座と振替貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体振替要求に応答して、前記貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を行う貯遊技媒体振替処理工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各遊技客の識別情報に対応付けて同一種類の遊技媒体についての複数の貯遊技媒体口座を管理する貯遊技媒体管理テーブルを用いて各遊技客の貯遊技媒体数を管理しておき、遊技店内に配設された所定の機器からの少なくとも振替元の貯遊技媒体口座と振替貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体振替要求に応答して、貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を行うよう構成したので、同じ遊技客が複数の口座の貯遊技媒体を利用して遊技機で再プレイすることができるため遊技客のニーズに適合するとともに、特定の口座での遊技を通じて収益率を高めようと期待する遊技店のニーズに適合した貯遊技媒体サービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例に係る貯玉管理システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図1に示した貯玉管理装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図2に示した貯玉管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】図1に示した計数機を用いた貯玉処理を説明するための説明図である。
【図5】図1に示した台間ユニットを用いた再プレイ処理を説明するための説明図である。
【図6】図1に示したPOS端末を用いた貯玉の振替処理を説明するための説明図である。
【図7】図1に示した貯玉管理装置における振替依頼信号受信時の処理手順を示すフローチャートである。
【図8−1】図7のステップS404で用いる振替ルールを説明するための説明図である。
【図8−2】図8−1に示した振替ルールに対応する状態遷移図説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、ここではパチンコ玉を1玉4円で貸し出す4円コーナーとパチンコ玉を1玉1円で貸し出す1円コーナーが遊技店内に併設され、かつ、該遊技店が4円コーナーと1円コーナーの両方に対して貯玉サービスを提供する場合について説明することとする。
【実施例】
【0017】
まず、本実施例に係る貯玉管理システムのシステム構成について説明する。図1は、本実施例に係る貯玉管理システムのシステム構成を示す図である。この貯玉管理システムは、パチンコ店等の遊技店に登録された会員に対して貯玉サービスを提供するシステムである。
【0018】
同図に示すように、遊技店内には、パチンコ機10a及び台間ユニット20aからなる4円コーナーと、パチンコ機10b及び台間ユニット20bからなる1円コーナーとが設けられている。この4円コーナーは、遊技客に対して1玉4円すなわち100円で25玉の玉貸しを行う島であり、1円コーナーは、遊技客に対して1玉1円すなわち100円で100玉の玉貸しを行う島である。貸出レートの低い1円コーナーを設けた理由は、主として、遊技客による試し打ちを可能にするとともに、遊技機に対する遊技客の客付きや評価に関する情報を得るためである。
【0019】
パチンコ機10a及びパチンコ機10bは、パチンコ玉を用いたパチンコ遊技を遊技客に提供する遊技機であり、両者には4円コーナー及び1円コーナーに係る差異はない。ただし、1円コーナーに配設されるパチンコ機10bは、遊技店の売上を担う遊技機ではなく、これから遊技店に新たに導入される新台が配設されることが多い。遊技客が大きな投資をすることなく新台の試し打ちを可能にするためである。
【0020】
台間ユニット20aは、現金による1玉4円の玉貸し及び会員カードを用いた貯玉の再プレイを行うユニットであり、例えばこの台間ユニット20aに1000円札が挿入されると、この台間ユニット20aからパチンコ機10aに対して250玉の玉投出指示がなされる。一方、台間ユニット20bは、現金による1玉1円の玉貸し及び会員カードを用いた貯玉の再プレイを行うユニットであり、例えばこの台間ユニット20bに1000円札が挿入されると、台間ユニット20bからパチンコ機10bに対して1000玉の玉投出指示がなされる。
【0021】
遊技客は、これらの台間ユニット20a及び20bを用いて貯玉の再プレイを行うことができ、遊技客が台間ユニット20a又は20bのカード挿入口に会員カードを挿入した状態でテンキーから暗証番号を入力して所定の再プレイボタンを押下操作すると、会員カードID、暗証番号、1円コーナー又は4円コーナーの種別(以下「コーナー種別情報」と言う)及び台間ユニットを一意に特定する台間ユニット識別情報を含む再プレイ要求信号が貯玉管理装置50に対して送信され、貯玉残高の範囲内で貯玉を引き落とすことができる。なお、ここでは一度の再プレイ操作で貯玉口座から引き出される玉数は固定であるものとする。
【0022】
計数機30は、遊技客が獲得したパチンコ玉数を計数する計数機であり、計数したパチンコ玉数を貯玉する機能を有する。具体的には、店員が遊技客から受け取った会員カードを計数機30のカード挿入口に挿入してパチンコ玉が投入され、上記コーナー種別情報(4円コーナー又は1円コーナーの別)が指定されると、会員カードID、計数結果であるパチンコ玉の貯玉数、コーナー種別情報を含む貯玉依頼信号が貯玉管理装置50に対して送信される。
【0023】
また、かかる計数機30は、計数したパチンコ玉数をバーコード印刷したレシートを発行することもでき、店員がパチンコ玉の計数後にコーナー種別情報を指定してレシート発行ボタンを押下操作すると、パチンコ玉数及びコーナー種別情報がバーコード印刷されたレシートが発行される。
【0024】
なお、本実施例では、一台の計数機30を用いて4円コーナーで遊技客が獲得したパチンコ玉と1円コーナーで遊技客が獲得したパチンコ玉の両方を計数することとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、4円コーナー専用の計数機と1円コーナー専用の計数機とを別個に配設することもできる。かかる場合には、店員が上記コーナー種別情報を指定する必要をなくすことができる。
【0025】
POS端末40は、遊技店内のカウンタに配設されるとともに会員カードリーダ及びバーコードリーダを備えた景品交換用の端末装置であり、レシートに印刷されたバーコードからパチンコ玉数及びコーナー種別情報を読み取って景品交換時に利用するだけではなく、会員カードを用いた貯玉を行うことができる。具体的には、このPOS端末40に設けられたバーコードリーダでレシートを読み取るとともに、カードリーダに会員カードを挿入して貯玉ボタンを押下すると、会員カードID、パチンコ玉数、4円コーナー又は1円コーナーの別が含まれる貯玉依頼信号が貯玉管理装置50に対して送信される。
【0026】
また、このPOS端末40では、預入済みの貯玉から景品交換することもできる。具体的には、遊技客が会員カードをカードリーダに挿入した状態で暗証番号を入力するとともに、店員が貯玉確認操作を行うと、会員カードID及び暗証番号を含む貯玉確認信号が貯玉管理装置50に対して送信され、4円コーナー及び1円コーナーそれぞれの貯玉残高が表示される。その後、この貯玉残高の範囲内で景品交換を行うことになる。
【0027】
また、このPOS端末40を用いて、同一の遊技客の貯玉口座間の貯玉数の振替操作を行うことができ、例えば1円貯玉が4000個ある場合に、これを4円貯玉1000個に振り替えることができる。具体的には、POS端末40のカード挿入口に会員カードを挿入して暗証番号を入力し、振替元コーナー種別及び振替貯玉数を指定すると、会員カードID、暗証番号、振替元コーナー種別情報、振替貯玉数を含む振替依頼信号が貯玉管理装置50に対して送信される。
【0028】
貯玉管理装置50は、後述する貯玉管理テーブル54aを用いて会員カードIDごとに各コーナー種別の貯玉数を管理する管理装置であり、計数機30又はPOS端末40から貯玉依頼信号を受け付けたならば該当する会員カードIDの該当するコーナー種別の貯玉口座に貯玉数を加算し、台間ユニット20a又は20bから再プレイ要求信号を受け付けたならば該当する会員カードIDの該当するコーナー種別の貯玉口座から再プレイ分の貯玉数を減算する。
【0029】
また、この貯玉管理装置50は、POS端末40から振替要求信号を受信した際に、同一の遊技客の複数の貯玉口座間の貯玉数の振替処理を行う。ただし、たとえ振替元の貯玉口座に振替分の貯玉数が存在する場合であっても、一定の振替ルールに適合しない場合には、振替処理を行わない。
【0030】
次に、図1に示した貯玉管理装置50の構成について説明する。図2は、図1に示した貯玉管理装置50の構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、この貯玉管理装置50は、入力部51と、表示部52と、インターフェース部(I/F部)53と、記憶部54と、制御部55とを有する。
【0031】
入力部51は、キーボードやマウス等の入力デバイスであり、表示部52は、液晶パネルやディスプレイ等の表示デバイスであり、I/F部53は、台間ユニット20a及び20b、計数機30又はPOS端末40との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0032】
記憶部54は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、貯玉管理テーブル54a及び振替ログデータ54bを記憶する。貯玉管理テーブル54aは、図3に示すように、各会員の会員カードIDごとに4円貯玉口座の貯玉数(4円貯玉数)と1円貯玉口座の貯玉数(1円貯玉数)を記憶する。図3の例では、会員カードID「1234」の4円貯玉数が1000個、1円貯玉数が400個であり、会員カードID「5678」の4円貯玉数が200個、1円貯玉数が8000個である場合を示している。
【0033】
振替ログデータ54bは、同じ会員カードIDについての貯玉口座間の振替処理結果のデータを順次記憶したログデータである。この振替ログデータ54bは、振替処理に異常が発生した場合や振替状況をマクロ的に分析する際に利用される。
【0034】
制御部55は、貯玉管理装置50を全体制御する制御部であり、貯玉管理部55a及び振替処理部55bを有する。実際には、図示しないROMや不揮発性メモリに記憶したプログラムをCPUにロードして実行し、貯玉管理部55a及び振替処理部55bにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0035】
貯玉管理部55aは、貯玉管理テーブル55aを用いて各遊技客(会員)の4円貯玉口座及び1円貯玉口座の貯玉数をそれぞれ管理する管理部であり、計数機30又はPOS端末40から貯玉依頼信号を受け付けた場合には該当する貯玉口座に貯玉数を加算する。また、台間ユニット20a又は20bから再プレイ要求信号を受け付けたならば、暗証番号を用いて正当に本人確認が行われ、かつ、該当する貯玉口座に再プレイ分の貯玉残高がある場合に、再プレイ分の貯玉数を減算する。
【0036】
振替処理部55bは、一定の振替ルールに適合することを条件として、同一の会員カードIDに対応付けられた貯玉口座間の振替処理を行う処理部である。例えば、4円貯玉口座から1円貯玉口座への振替処理を認めると、お試し遊技用の1円コーナーに遊技客が滞留することになり、1円コーナーを設けた本来の趣旨に反することとなるため、4円貯玉口座から1円貯玉口座への振替処理は認めない。一方、1円貯玉口座から4円貯玉口座への振替処理については認める。遊技客にとっては、1円コーナーの貯玉を用いて4円コーナーで遊技したいというニーズが大きく、遊技店にとっても、収益率の高い4円コーナーでの遊技を促す方が収益率向上を図れるためである。
【0037】
具体的には、POS端末40から振替依頼信号を受信したならば、会員カードIDと暗証番号を用いて本人認証を行い、正当である場合には、振替元コーナー種別情報から振替元の貯玉口座を特定し、この振替元貯玉口座の口座残高が振替貯玉数以上あるか否かを確認する。その結果、口座残高が振替貯玉数以上ある場合には、振替ルールに適合するか否かを判定し、振替ルールに適合する場合には、振替元貯玉口座(例えば1円貯玉口座)から他方の貯玉口座(例えば4円貯玉口座)に振替貯玉数分の貯玉を移行処理する。
【0038】
次に、図1に示した計数機30を用いた貯玉処理について説明する。図4は、図1に示した計数機30を用いた貯玉処理を説明するための説明図である。同図に示すように、遊技客は、計数機30のカード挿入口に会員カードを挿入し(ステップS101)、獲得したパチンコ玉を投入し(ステップS102)、コーナー種別を選択操作して貯玉ボタンの押下操作を行う(ステップS103)。
【0039】
かかる一連の操作が行われると、計数機30から貯玉管理装置50に対して貯玉依頼信号が送信される(ステップS104)。この貯玉依頼信号には、会員カードID、計数機30で計数されたパチンコ玉数からなる貯玉数、コーナー種別情報が含まれる。
【0040】
そして、この貯玉依頼信号を受信した貯玉管理装置50は、会員カードID及びコーナー種別情報から貯玉対象となる貯玉口座を特定し、特定した貯玉口座に対して貯玉数を加算する貯玉登録処理を行う(ステップS105)。なお、上記一連の説明では、説明の便宜上、計数機30にて計数したパチンコ玉数を全て貯玉する場合を示したが、計数したパチンコ玉数の一部を貯玉数とすることもできる。かかる場合には、遊技客が貯玉数を指定する必要がある。
【0041】
次に、図1に示した台間ユニット20aを用いた再プレイ処理について説明する。図5は、図1に示した台間ユニット20aを用いた再プレイ処理を説明するための説明図である。同図に示すように、遊技客は、台間ユニット20aのカード挿入口に会員カードを挿入し(ステップS201)、図示しないテンキーを用いて暗証番号を入力したうえで、再プレイボタンを押下操作する再プレイ操作を行う(ステップS202)。
【0042】
かかる一連の操作が行われると、台間ユニット20aから貯玉管理装置50に対して再プレイ要求信号が送信される(ステップS203)。この再プレイ要求信号には、会員カードID、暗証番号、並びに台間ユニット20a内に記憶したコーナー情報種別及び台間ユニット識別情報が含まれる。
【0043】
そして、この再プレイ要求信号を受信した貯玉管理装置50は、再プレイ対象となる貯玉口座を特定し、暗証番号を用いた本人確認を行うとともに、該貯玉口座内に再プレイ分以上の口座残高が存在するか否かの再プレイ可否判定を行い(ステップS204)、本人確認結果が正しく口座残高も存在する場合には対象となる貯玉口座から再プレイ分の貯玉数を減算する貯玉数減算処理を行い(ステップS205)、台間ユニット20aに対して再プレイ許可信号を送信する(ステップS206)。この再プレイ許可信号を受信した台間ユニット20aは、パチンコ機10aに対して再プレイ分の玉投出指示を行う。
【0044】
次に、図1に示したPOS端末40を用いた貯玉の振替処理に説明する。図6は、図1に示したPOS端末40を用いた貯玉の振替処理を説明するための説明図である。同図に示すように、店員は、POS端末40のカード挿入口に会員カードを挿入した状態(ステップS301)で図示しないテンキーから暗証番号を入力し、振替元コーナー種別及び振替貯玉数を指定する貯玉振替操作を行う(ステップS302)。
【0045】
かかる一連の操作が行われると、POS端末40から貯玉管理装置50に対して振替依頼信号が送信される(ステップS303)。この振替依頼信号には、会員カードID、暗証番号、振替元コーナー種別情報、振替貯玉数が含まれる。
【0046】
そして、この振替依頼信号を受信した貯玉管理装置50は、会員カードID及び暗証番号に基づいて本人確認を行い、振替元口座に振替貯玉数以上の口座残高があるか否か、振替ルールに適合した振替依頼であるか否かの振替可否判定を行う(ステップS304)。その結果、本人確認結果が正しく、振替ルールに適合し、振替元口座に口座残高があり、振替ルールにも適合している場合には、対象となる貯玉口座間の振替処理を行い(ステップS305)、振替完了信号をPOS端末40に対して送信し(ステップS306)、その結果をPOS端末40上に表示する。
【0047】
次に、図1に示した貯玉管理装置50における振替依頼信号受信時の処理手順について説明する。図7は、図1に示した貯玉管理装置50における振替依頼信号受信時の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは説明の便宜上、暗証番号を用いた本人確認についての説明を省略している。
【0048】
同図に示すように、貯玉管理装置50は、振替依頼信号を受信すると(ステップS401)、会員カードID及び振替元コーナー情報に対応する振替元貯玉口座を検索する(ステップS402)。そして、この振替元貯玉口座に振替貯玉数以上の貯玉残高が存在するか否かを確認し(ステップS403)、振替貯玉数以上の貯玉残高が存在する場合には(ステップS403肯定)、振替ルールに適合するか否かを調べる(ステップS404)。
【0049】
その結果、振替ルールに適合している場合には(ステップS404肯定)、会員カードIDの振替元貯玉口座から他方の貯玉口座への振替貯玉数の移行処理を行うとともに(ステップS405)、振替結果を振替ログデータ54bに記録し(ステップS406)POS端末40に対して振替完了信号を送信する(ステップS407)。
【0050】
なお、振替貯玉数以上の貯玉残高が存在しない場合や(ステップS403否定)、振替ルールに適合していない場合には(ステップS404否定)、POS端末40に対してエラー信号を送信して(ステップS408)処理を終了する。
【0051】
次に、図7のステップS404で用いる振替ルールについて説明する。図8−1は、図7のステップS404で用いる振替ルールを説明するための説明図であり、図8−2は、図8−1に示した振替ルールに対応する状態遷移図説明図である。
【0052】
図8−1及び図8−2に示すように、本実施例では、1円貯玉の4円コーナーでの再プレイ及び1円貯玉の1円コーナーでの再プレイについては問題なしとして認めている。その反面で、4円貯玉の1円コーナーでの再プレイについては認めていない。4円コーナーで獲得したパチンコ玉を4倍に増やして1円コーナーで遊技する状況を認めると、1円コーナーで一人の遊技客の長時間のパチンコ遊技を認める結果となり、他の遊技客が1円コーナーでお試し遊技を行う機会を奪う結果となるためである。
【0053】
一方、1円貯玉の4円コーナーでの再プレイは積極的に認めている。これにより、1円コーナーでお試し遊技を行った遊技客が4円コーナーに移動させることができ、1円コーナーでより多くの遊技客にお試し遊技の機会を与えることができるだけでなく、1円コーナーで獲得した貯玉を4円コーナーで消却させることも可能だからである。また、遊技客側から見ても、1円コーナーで継続して遊技するニーズだけではなく、この1円コーナーで獲得した貯玉を使って4円コーナーで遊技したいとするニーズも大きいためである。これらのことから、1円貯玉口座の貯玉を4円口座に振替処理する場合には、振替貯玉数を単純に1/4にするのではなく1/3で振替処理する(1円貯玉1000玉を4円貯玉250玉に振替処理するのではなく4円貯玉330玉に振替処理する)ことが望ましい。
【0054】
上述してきたように、本実施例では、貯玉管理装置50の貯玉管理部55aが、会員カードIDに対応付けて4円貯玉口座及び1円貯玉口座を管理する貯玉管理テーブル54aを用いて各遊技客の貯玉数を管理しておき、振替処理部55bは、遊技店内に配設されたPOS端末40からの振替依頼信号を受信した際に、振替ルールに適合していることを条件として貯玉管理テーブル54a内の貯玉口座間の貯玉振替処理を行うよう構成したので、複数の貸出レートでの遊技媒体を貸し出しを認めるとともに、各貸出レートで貸し出した遊技媒体の貯玉をそれぞれ認める場合に、遊技店及び遊技客のニーズに適合した貯玉移行を行うことができる。
【0055】
なお、本実施例では、貸出レートが4円及び1円の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の貸出レートの運用を行う様々なケースに適用することができる。また、本実施例では、パチンコ玉の貯玉を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく複数の貸出レートを導入する場合の貯メダルに適用することもできる。
【0056】
さらに、本実施例では、POS端末40を振替端末として用いる場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、台間ユニット若しくは振替専用機を用いて振替依頼を行う場合にも適用することができる。
【0057】
また、本実施例では、説明の便宜上、振替処理する際の貯玉上限についての詳細な説明を省略したが、所定期間内の累積振替貯玉数が所定値以内である場合に、貯玉管理テーブル54a内の貯玉口座間の貯玉振替処理を行うことにより、4円貯玉から1円貯玉への移行を所定数に制限する等して、遊技客のニーズと遊技店のニーズのバランスを図ることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる貯遊技媒体管理装置及び貯遊技媒体管理方法は、複数の貸出レートでの遊技媒体の貸し出しを認めるとともに、各貸出レートで貸し出した遊技媒体の貯遊技媒体をそれぞれ認める場合に、遊技店及び遊技客のニーズに適合した貯遊技媒体移行を行う場合に有用である。
【符号の説明】
【0059】
10a パチンコ機(4円コーナー)
10b パチンコ機(1円コーナー)
20a 台間ユニット(4円コーナー)
20b 台間ユニット(1円コーナー)
30 計数機
40 POS端末
50 貯玉管理装置
51 入力部
52 表示部
53 インターフェース部(I/F部)
54 記憶部
54a 貯玉管理テーブル
54b 振替ログデータ
55 制御部
55a 貯玉管理部
55b 振替処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各遊技客の識別情報に対応付けて該遊技客により獲得された遊技媒体を貯遊技媒体として管理する貯遊技媒体管理装置であって、
各遊技客の識別情報に対応付けて同一種類の遊技媒体についての複数の貯遊技媒体口座を管理する貯遊技媒体管理テーブルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された貯遊技媒体管理テーブルを用いて各遊技客の貯遊技媒体数を管理する貯遊技媒体管理手段と、
遊技店内に配設された所定の機器からの少なくとも振替元の貯遊技媒体口座と振替貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体振替要求に応答して、前記記憶手段に記憶された貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を行う貯遊技媒体振替処理手段と
を備えたことを特徴とする貯遊技媒体管理装置。
【請求項2】
前記貯遊技媒体振替処理手段は、貯遊技媒体の再プレイ利用時に前記記憶手段に記憶された貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を制限する振替ルールに適合することを条件として、貯遊技媒体振替処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の貯遊技媒体管理装置。
【請求項3】
前記貯遊技媒体振替処理手段は、遊技店内に配設された所定の機器からの貯遊技媒体振替要求に応答して、所定期間内の累積振替貯遊技媒体数が所定値以内である場合に、前記記憶手段に記憶された貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の貯遊技媒体管理装置。
【請求項4】
各遊技客の識別情報に対応付けて該遊技客により獲得された遊技媒体を貯遊技媒体として管理する貯遊技媒体管理方法であって、
各遊技客の識別情報に対応付けて同一種類の遊技媒体についての複数の貯遊技媒体口座を管理する貯遊技媒体管理テーブルを用いて各遊技客の貯遊技媒体数を管理する貯遊技媒体管理工程と、
遊技店内に配設された所定の機器からの少なくとも振替元の貯遊技媒体口座と振替貯遊技媒体数を含む貯遊技媒体振替要求に応答して、前記貯遊技媒体管理テーブル内の貯遊技媒体口座間の貯遊技媒体振替処理を行う貯遊技媒体振替処理工程と
を含んだことを特徴とする貯遊技媒体管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公開番号】特開2013−31768(P2013−31768A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253706(P2012−253706)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【分割の表示】特願2006−356399(P2006−356399)の分割
【原出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】