説明

買い物袋

【課題】 上下に直接重ねて収容したり、互いに接触した状態で収容するのが好ましくない品物同士であっても、それらを別々に分けて収容することができる、機能性に勝れた買い物袋を得る。
【解決手段】 購入した品物を入れるための袋本体1の内部中間位置に、切り込み7と舌片8a,8b,8c及び9a,9b,9cとを有する2つのプレート2a,2bを仕切位置と開放位置とに起倒自在なるように取り付けると共に、上記切り込み7及び舌片8a,8b,8c及び9a,9b,9cを組み合わせることによって上記仕切位置に係止可能とし、両プレート2a,2bを開放位置に変移させた状態で野菜などの重たい品物を袋の底部に収容したあと、上記両プレート2a,2bを仕切位置に回動させて相互に係止させ、その上に刺身等の柔らかく変形し易い商品を載置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットや商店等で食品や日曜雑貨等の各種商品を購入した際にそれらの品物を入れるための買い物袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、スーパーマーケットや一般の商店などで買い物をする際には、購入した品物をその店舗で用意した合成樹脂製の手提げ袋に入れて持ち帰るのが一般的である。この合成樹脂製手提げ袋は、各家庭に持ち帰ったあとごみとして廃棄されるが、その廃棄の過程で環境汚染の問題が発生することになる。
このため最近では、何回でも使用できる専用の買い物袋を各自が用意し、それに購入した品物を入れて持ち帰る例が多くなっている。
【0003】
ところが、上記スーパーマーケットや商店などで同時に購入する品物は多種多様に亘ることが多く、例えば、柔かくて変形し易い刺身と重量の大きい野菜であったり、低温の冷凍食品と加熱調理された暖かい食品であったりすることがあり、これらの品物が一つの買い物袋内に同時に収容される。その場合、買い物袋の底に刺身のような柔軟で変形しやすい品物を収容し、その上に野菜やその他の重たい品物を置くと、柔らかい品物が押し潰されて変形してしまうことになる。その逆に、野菜を買い物袋の底に置き、その上に刺身等を置いたとしても、野菜類は複雑な形をしていて上面が平坦ではないため、刺身が斜めに置かれて中身が一側に片寄ってしまという問題が生じる。また、冷凍食品と加熱調理された暖かい食品とが接触して不都合を生じることもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の目的は、上述した従来の問題点に鑑み、上下に直接重ねて収容したり、互いに接触した状態で収容するのが好ましくない品物同士であっても、それらを別々に分けて収容することができる、機能性に勝れた買い物袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明によれば、品物を収容する袋本体の内部中間位置に、該袋本体の内部を上下に仕切るための仕切部材を、仕切位置と開放位置とに変移自在に配設し、仕切位置においてその上に品物を載置可能としたことを特徴とする買い物袋が提供される。
【0006】
本発明においては、上記仕切部材が相対する2つのプレートからなっていて、これらのプレートは、基端部を上記袋本体に起倒自在なるように取り付けられ、上記仕切位置で先端部同士が互いに重合した状態で係止し合うように構成されている。
【0007】
本発明において好ましくは、上記2つのプレートが、先端部の互いに相対する位置に切り込みと舌片とを有し、これらの切り込みと舌片とによって互いに係止し合うように構成されていることである。
【0008】
あるいは、上記2つのプレートがそれぞれ、先端部から基端部側に向けて平行に設けられた複数の切り込みと、これらの切り込みにより区画、形成された複数の舌片とを有し、相対する切り込み及び舌片同士を組み合わせることによって相互に係止し合うように構成されていることである。
【0009】
また、本発明においては、上記2つのプレートに、上記仕切位置において相互に係止する面ファスナーを設けることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の買い物袋は、その内部中間位置に仕切部材を設けているため、上下に直接重ねて収容したり、相互に接触した状態で収容するのが好ましくない品物を一緒に入れる場合でも、その一方を袋の底部に収容し、他方を上記仕切部材の上に載置して収容することにより、それらを別々に分けて収容することができ、機能性に勝れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図5は本発明に係る買い物袋の好ましい一実施形態を示すもので、この買い物袋は、品物を入れるための上部が開放する袋本体1と、この袋本体1の内部を上下に仕切るための仕切部材2とで構成されていて、この仕切部材2が、購入した品物を載置するための中間棚を兼ねている。
【0012】
上記袋本体1は、布や紙あるいは合成樹脂製シート又はネット等の柔軟性素材によって折り畳み自在に形成されたもので、不使用時には小さく折り畳んで携帯し、内部に品物を入れて使用するときに、図に示すように、略矩形をした有底の筒形に広げることができるようになっている。図中3は該袋本体1の上端部に取り付けられた提げ手である。
【0013】
上記仕切部材2は、図2に示すように、相対する2枚のプレート2a,2bからなっている。これらのプレート2a,2bは、合成樹脂製ボードや厚紙等の硬質又は半硬質の板状素材で形成されていて、その上にスーパーマーケットや商店等で購入するそれほど重くない品物、例えば刺身や魚介類、葉物などの野菜類、日用雑貨等を載置することができる程度の強度と剛性とを備えるものであり、それぞれの基端部を上記袋本体1の相対する側面1a,1aの内部中間位置に横向に取り付けることにより、上下方向に起倒自在となっている。そして、通常は、両プレート2a,2bを袋本体1の側面1a,1aに沿ってそれぞれ下向きに倒しておくことにより、図4に示す開放位置に保持され、それらを水平位置まで回動、変移させて相互に係止させることにより、図1及び図5に示す仕切位置に保持させ得るようになっている。
上記プレート2a,2bを袋本体1に取り付ける方法は任意であって、例えば接着や溶着あるいは縫着等の手段のうち、袋本体1及びプレート2a,2bの材質や形態等に適した取り付け方法を選択すれば良い。
【0014】
上記仕切位置において両プレート2a,2bは、先端部同士が相互に重なり合った状態で係止し合うことにより、その位置に保持されるが、そのための係止機構がこれら両プレート2a,2bに設けられている。この係止機構は、各プレート2a,2bにその先端部側から基端部側に向けて途中まで設けられた複数の平行な切り込み7と、これらの切り込み7により区画、形成された複数の舌片8a,8b,8c及び9a,9b,9cとで構成されている。図示した例では、各プレート2a,2bにそれぞれ2つの切り込み7,7と3つの舌片8a,8b,8c及び9a,9b,9cとが形成されていて、一方の第1プレート2aにおいては、中央の第1舌片8aの前方への突出長さが長く、その両側に位置する第2及び第3舌片8b,8cの長さは短く形成されており、他方の第2プレート2bにおいては、中央の第1舌片9aの長さは短く、両側の第2及び第3舌片9b,9cの長さが長く形成されている。
上記第1舌片8a及び9aと第2及び第3舌片8b,8c及び9b,9cとの横幅は、互いに同じであっても良いが、異なっていても良く、例えば第1舌片8a及び9aの横幅を、第2及び第3舌片8b,8c及び9b,9cの横幅より大きくすることもできる。
【0015】
そして、図3に示すように、両プレート2a,2bの相対する切り込み及び舌片同士を相互に組み合わせることによりこれらのプレート2a,2bを上記仕切位置に保持させるが、その際、図示したように、第1プレート2aの長尺の第1舌片8aが第2プレート2bの短尺の第1舌片9aの上側に位置し、第2プレート2bの長尺の第2及び第3舌片9b,9cが第1プレート2aの短尺の第2及び第3舌片8b,8cの上側に位置するように組み合わせる。あるいは、それとは逆の上下関係になるように組み合わせても良い。要するに、各プレート2a及び2bの隣接する舌片8a,8b,8c及び9a,9b,9cが、相手方のプレートの舌片に対して交互に上下逆の位置関係を占めるように組み合わせれば良い。これにより、袋本体1の内部が上記仕切部材2即ち2つのプレート2a,2bによって上下2つの空間部分に仕切られることになる。
【0016】
上記構成を有する買い物袋の不使用時には、両プレート2a,2bを図4に示すように開放位置である下向きの位置に倒し、その状態で小さく折り畳んで携帯する。そして、スーパーマーケットや一般の商店などで購入した品物を入れるときは、折り畳んだ買い物袋を広げ、両プレート2a,2bを上記開放位置に倒したまま入れることもできるが、刺身などの柔らかくて変形し易い品物と、野菜などの重たい品物とを分けて入れるときは、先ず、野菜などの重たい品物を袋の底に収容したあと、図1及び図5に示す上記プレート2a,2bを水平位置まで回動させ、舌片8a,8b,8c及び9a,9b,9cと切り込み7とを相互に組み合わせることによりそれらを仕切位置に係止させる。そして、中間棚を兼ねるこの仕切部材2上即ちプレート2a,2b上に、上記刺身などの品物を載せるようにする。
【0017】
これにより、上下に直接重ねて収容したり、相互に接触した状態で収容するのが好ましくない品物を一緒に入れる場合でも、その一方を袋の底部に収容し、他方を上記仕切部材2の上に載置して収容することにより、それらを別々に分けて収容することができ、機能性に勝れる。
また、上記仕切部材2は、その上に刺身等の品物を載せた場合でも載せない場合でも、その下側に収容した品物を覆う蓋としても機能する。
【0018】
上記仕切位置での両プレート2a,2bの係止強度を高めるため、上記係止機構を構成するその他のものとして、図2に示すように、両プレート2a,2bの互いに接触する部分に、面ファスナーを構成する一対の係止部材11a,11b、即ち、鈎形突子を有する雄側係止部材11aと輪奈を有する雌側係止部材11bとを取り付けることもできる。図示した例では、各プレート2a,2bの中央部の位置、即ち、第1プレート2aの第1舌片8aの下面と第2プレート2bの第1舌片9aの上面とに上記雄側係止部材11aと雌側係止部材11bとが取り付けられているが、その他の場所に取り付けることもでき、例えば第2舌片8b,9b及び第3舌片8c,9cの位置にそれらを設けることもでき、あるいは、各プレート2a,2bの中央部と両端部の3カ所に設けることもできる。
【0019】
上述した実施例では、上記プレート2a,2bがそれぞれ2つの切り込み7,7と3つの舌片8a,8b,8c及び9a,9b,9cとを有していて、ほぼ凸字状と凹字状に形成されているが、切り込みと舌片の数はこのようなものに限定されない。例えば、中間に位置する1つの切り込みとその両側の2つの舌片とを有するものであっても良く、3つ以上の切り込みと4つ以上の舌片とを有するものであっても構わない。
【0020】
あるいは、図6に示すように、仕切部材2を構成する一方のプレート2aの面内の左右方向中央位置に横向きの切り込み13を形成すると共に、他方のプレート2bの先端部中央位置に舌片14を形成し、この舌片14を上記切り込み13に嵌入、係止させるようにしても良い。この場合にも、両プレート2a,2bに面ファスナーの雄側係止部材11aと雌側係止部材11bとを取り付けて、それらの係止強度を高めるようにすることができる。
【0021】
更には、上述したように舌片と切り込みとを組み合わせる方式ではなく、2つのプレート2a,2bを何れも舌片と切り込みとを持たない矩形やその他の適宜形状に形成し、これら両プレートの先端部同士を互いに重ね合わせて面ファスナーやフック等の係止機構で結合、係止させるようにしても良い。
【0022】
また、仕切部材2を1枚のプレートだけで形成し、このプレートの一端を袋本体の一側の内側面に起倒自在に取り付け、先端を該袋本体の反対側の内側面に面ファスナーやフック等の係止機構で係脱自在としても良い。
【0023】
あるいはまた、上記仕切部材2の適宜位置、例えば該仕切部材が2つのプレート2a,2bからなる場合は、一方又は両方のプレート2a,2bの端部などの適宜位置に、ねぎや飲料ボトルのような細長い品物が嵌合できる孔を設け、これらの品物をこの孔内に挿入することで縦向きに収容できるように構成することも可能である。
なお、上記仕切部材2は、上下2段かあるいは3段以上設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る買い物袋の斜視図である。
【図2】仕切部材を構成する一対のプレートの分解斜視図である。
【図3】一対のプレートを仕切位置で組み合わせる過程を示す要部斜視図である。
【図4】買い物袋の使用状態での断面図である。
【図5】買い物袋の不使用状態での断面図である。
【図6】仕切部材の変形例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 袋本体
2 仕切部材
2a,2b プレート
7 切り込み
8a,8b,8c 舌片
9a,9b,9c 舌片
13 切り込み
14 舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
品物を収容する袋本体の内部中間位置に、該袋本体の内部を上下に仕切るための仕切部材を、仕切位置と開放位置とに変移自在に配設し、仕切位置においてその上に品物を載置可能としたことを特徴とする買い物袋。
【請求項2】
上記仕切部材が相対する2つのプレートからなっていて、これらのプレートは、基端部を上記袋本体に起倒自在なるように取り付けられ、上記仕切位置で先端部同士が互いに重なり合った状態で係止し合うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の買い物袋。
【請求項3】
上記2つのプレートは、先端部の互いに相対する位置に切り込みと舌片とを有し、これらの切り込みと舌片とによって互いに係止し合うように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の買い物袋。
【請求項4】
上記2つのプレートがそれぞれ、先端部から基端部側に向けて平行に設けられた複数の切り込みと、これらの切り込みにより区画、形成された複数の舌片とを有し、相対する切り込み及び舌片同士を組み合わせることによって相互に係止し合うように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の買い物袋。
【請求項5】
上記2つのプレートが、上記仕切位置において相互に係止する面ファスナーを有することを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の買い物袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−198333(P2006−198333A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−15859(P2005−15859)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【出願人】(000101363)アズマ工業株式会社 (33)