説明

貼付剤の包装構造

【課題】包装体から貼付剤を容易に取り出すことができる貼付剤の包装構造を提供する。
【解決手段】貼付剤の包装構造100aは、積層された第1及び第2の基材120、130を含み、貼付剤を収容する。第1及び第2の基材120、130は、第1〜第4の辺121〜124、131〜134を有する。第1及び第2の基材120、130の少なくとも一方は、第1〜第3の開封部125〜127、135〜137を有する。第1〜第3の開封部125〜127(135〜137)は、封止部120c(130c)の内周縁120c1、120c2、120c4(130c1、130c2、130c4)に沿って開封するように導くものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付剤の包装構造に関し、より特定的には、貼付剤と、この貼付剤を内部に収容する包装体とを備えた貼付剤の包装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
貼付剤は、皮膚に貼付して皮膚面を保護したり、薬物を経皮投与したりするために用いられるため、粘着剤層を含んでいる。貼付剤は、薬物の安定性や長期の保管が望まれることから、貼付剤を包装する包装体は重要である。
【0003】
このような包装体として、例えば特開2008−213923号公報(特許文献1)には、経皮吸収剤の包装袋が開示されている。特許文献1に開示の包装袋は、合成樹脂フィルムを基材とする二層以上の積層構造をなす包装材により構成され、経皮吸収剤を収容した状態で四周の少なくとも三辺で表裏がヒートシールされて密閉されてなる。また、特許文献1の包装体は、隣接する縦横2辺の各シール部と収容された経皮吸収剤との間の領域において、各シール部の内縁に沿って、それぞれミシン目状の切目列による開封助成手段が縦横の交差方向に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−213923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の経皮吸収剤の包装袋において、開封助成手段は、隣接する縦横2辺のシール部に沿って形成されている。上記特許文献1の包装袋を開封すると、開封助成手段が形成された縦横2辺を開封することになる。経皮吸収剤は粘着剤層を含んでいるので、経皮吸収剤が包装袋に付着している場合がある。このため、上記特許文献1では、付着する場所によっては、包装袋から経皮吸収剤を取り出しにくい場合がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、包装体から貼付剤を容易に取り出すことができる貼付剤の包装構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の貼付剤の包装構造は、貼付剤と、積層された第1及び第2の基材を含むと共に、貼付剤を内部に収容し、内部が密封された包装体とを備え、第1及び第2の基材のそれぞれは、第1の辺と、第1の辺と接続され、かつ第1の辺と交差する第2の辺と、第2の辺と接続され、かつ第2の辺と交差する第3の辺と、第1及び第3の辺と接続され、かつ第1及び第3の辺と交差する第4の辺とを有し、第1及び第2の基材のそれぞれは、第1及び第2の基材を接合すると共に、内部を密封するように、第1〜第4の辺に沿って形成された封止部をさらに有し、第1及び第2の基材の少なくとも一方は、第1の開封部と、第2の開封部と、第3の開封部とを有し、第1の開封部は、封止部の内周側において、第1の辺に沿って形成された封止部の内周縁に沿って、第2の辺から第4の辺に向かって開封するように導くものであり、第2の開封部は、封止部の内周側において、第2の辺に沿って形成された封止部の内周縁に沿って、第3の辺から第1の辺に向かって開封するように導くものであり、第3の開封部は、封止部の内周側において、第4の辺に沿って形成された封止部の内周縁に沿って、第3の辺から第1の辺に向かって開封するか、または第3の辺に沿って形成された封止部の内周縁に沿って、第4の辺から第2の辺に向かって開封するように導くものである。
【0008】
本発明の貼付剤の包装構造によれば、第1の開封部により第1の辺に沿って開封可能であり、第2の開封部により第2の辺に沿って開封可能であり、第3の開封部により第3の辺または第4の辺に沿って開封可能である。このため、貼付剤を取り出す際に、第1及び第2の基材において、4つの辺のうち、少なくとも3つの辺に沿った方向に開封が可能である。したがって、仮に第1及び第2の基材の少なくとも一方に貼付剤が付着している場合であっても、第1または第2の基材から貼付剤を容易に分離できるので、包装体から貼付剤を容易に取り出すことができる。
【0009】
上記貼付剤の包装構造において好ましくは、第1〜第3の開封部は、ノッチを含む。
【0010】
これにより、ノッチの先端に向けた方向に包装体を容易に開封することができるので、包装体から貼付剤をより容易に取り出すことができる。
【0011】
上記貼付剤の包装構造において好ましくは、第1〜第3の開封部は、開封する順序及び開封する方向の少なくとも一方を表示する表示部を含む。
【0012】
表示部にしたがって第1〜第3の開封部を開封することにより、少なくとも3つの辺に沿った方向に容易に開封することができる。したがって、包装体から貼付剤をより容易に取り出すことができる。
【0013】
上記貼付剤の包装構造において好ましくは、第1〜第3の開封部は、弱め線を含む。
【0014】
弱め線にしたがって開封することにより、3つの辺に沿った方向に容易に開封することができる。したがって、包装体から貼付剤をより容易に取り出すことができる。
【0015】
上記貼付剤の包装構造において好ましくは、貼付剤は、支持体と、支持体の少なくとも一方の面に形成され、かつ薬物を含有する粘着剤層とを有する。
【0016】
これにより、貼付剤が薬物を含有する粘着剤層を有する場合であっても、未使用時には貼付剤を密封できるとともに、開封時には包装体から貼付剤を容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、包装体から貼付剤を容易に取り出すことができる貼付剤の包装構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1における貼付剤の包装構造を概略的に示す断面図であり、図2におけるI−I線に沿った図である。
【図2】本発明の実施の形態1における貼付剤の包装構造を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における貼付剤の包装構造を概略的に示す断面図であり、図2におけるIII−III線に沿った図である。
【図4】本発明の実施の形態1において包装構造から貼付剤を取り出すときの一工程を概略的に示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1において包装構造から貼付剤を取り出すときの一工程を概略的に示す平面図である。
【図6】本発明の実施の形態1において包装構造から貼付剤を取り出すときの一工程を概略的に示す平面図である。
【図7】本発明の実施の形態2における貼付剤の包装構造を概略的に示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態3における貼付剤の包装構造を概略的に示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態4における貼付剤の包装構造を概略的に示す平面図である。
【図10】本発明の実施の形態5における貼付剤の包装構造を概略的に示す平面図である。
【図11】本発明の実施の形態6における貼付剤の包装構造を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施態様を示すが、それらの詳細な説明および特定の例は、例示の目的のみのためのものであることが意図されており、本発明の範囲を限定しない。以下の好ましい実施態様の説明は、単に例示的な性質のものであり、決して本発明、その応用、または用途を限定することが意図されるわけではない。
また、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明するが、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0020】
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、本発明の一実施の形態における貼付剤の包装構造100aについて説明する。貼付剤の包装構造100aは、内部に貼付剤110を収容する包装体である。
【0021】
図1〜図3に示すように、本実施の形態における貼付剤の包装構造100aは、貼付剤110と、積層された第1の基材120及び第2の基材130を含み、かつ貼付剤110を内部に収容し、この内部(貼付剤110の周囲)が密封された包装体とを備えている。つまり、貼付剤110は、第1の基材120と第2の基材130との間の密封された空間に収容されている。
【0022】
まず、主に図1を参照して、貼付剤110について説明する。貼付剤110は、支持体111と、支持体111の少なくとも一方の面上に形成された粘着剤層112と、粘着剤層112上に形成された剥離ライナー113とを含んでいる。貼付剤110の平面形状は、特に限定されないが、例えば矩形であり、頂点は湾曲していてもよく(Rが設けられていてもよく)、角張らせていてもよい。
【0023】
支持体111は特に限定されないが、プラスチックフィルム、不織布、紙、織布、編布、金属箔、またはこれらを積層したものが採用可能であり、さらに金属蒸着を施したものを採用することも可能である。
【0024】
プラスチックフィルムとしては、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル単体、若しくはエチレン、プロピレン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニリデンなどのモノマーと、その他モノマーとの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルポリエステルなどのポリエステル系ポリマー、ポリエーテルポリアミドブロックポリマーなどのポリアミド系ポリマーなどからなる各種フィルムが挙げられる。
【0025】
支持体111の厚さは、例えば5μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上200μm以下である。
【0026】
粘着剤層112は、常温(例えば25℃)で粘着性を示す粘着面112aを有し、常温(例えば25℃)で粘着性を有する粘着剤によって層状に形成されている。
【0027】
粘着剤は特に限定されず、例えば、アクリル系重合体からなるアクリル系粘着剤;スチレン−ジエン−スチレンブロック共重合体(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等を含むゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベース等を含むシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート等のカルボン酸成分とエチレングリコール等の多価アルコール成分からなるポリエステル系粘着剤等が挙げられる。
【0028】
粘着剤層112がゴム系粘着剤を含む場合、粘着剤層112には、適度な粘着性を付与するために、例えば、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂、キシレン樹脂等の粘着付与剤が配合されていてもよく、これらは1種を用いても、2種以上を混合して用いてもよい。前記石油系樹脂としては、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、共重合体系(C5−C9系)石油樹脂、及び芳香族系(C9系)石油樹脂を部分水素添加または完全水素添加することによって得られる脂環族飽和炭化水素樹脂等が例示される。
【0029】
また、粘着剤層112にさらに種々の有機液状成分を加えてもよい。粘着剤層112に含有させる有機液状成分は、特に限定されないが、経皮吸収促進効果を有するものが好ましい。このような有機液状成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、オリーブ油、ヒマシ油、スクアラン、ラノリン等の油脂類、流動パラフィンのような炭化水素類、各種界面活性剤、エトキシ化ステアリルアルコール、オレイン酸モノグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、ラウリル酸モノグリセリド等のグリセリンモノエステル類、グリセリンジエステル類、グリセリントリエステル類またはそれらの混合物、ラウリル酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピル等の脂肪酸アルキルエステル類、オレイン酸、カプリル酸等の高級脂肪酸類、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、1−ヘキサデカノール等の直鎖脂肪族アルコール、2−ヘキシル−1−デカノール、2−オクチル−1−ドデカノール、2−ヘキシル−1−テトラデカノール等の分岐鎖脂肪族アルコールといった長鎖脂肪族アルコール、その他、N−メチルピロリドン、1,3−ブタンジオール等が挙げられる。
【0030】
粘着剤層112が有機液状成分を含む場合には、粘着剤層112における有機液状成分の含有量は、粘着剤層112の総質量に基づき、5質量%以上70質量%以下とすることが好ましく、10質量%以上65質量%以下とすることがより好ましく、15質量%以上60質量%以下とすることが最も好ましい。また、粘着剤層112の厚みは、20μm以上300μm以下であることが好ましく、30μm以上250μm以下であることがより好ましく、50μm以上200μm以下であることが最も好ましい。粘着剤層112が有機液状成分を含む場合には、使用前の貼付剤110の周縁部や剥離ライナー113に形成された切れ目から有機液状成分等がはみ出すおそれがある。しかし、粘着剤層112における有機液状成分の含有量、及び、粘着剤層112の厚みを上記範囲内にすることにより、使用前の貼付剤110の周縁部や剥離ライナー113に形成された切れ目から有機液状成分等がはみ出すことを抑制できる。
【0031】
なお、粘着剤層112は、皮膚貼付時におけるソフト感を付与できる観点からアクリル系粘着剤またはゴム系粘着剤であることが好ましく、容易に架橋でき多量の液状成分を粘着剤層に保持可能である観点からアクリル系粘着剤であることが好ましい。
好ましいアクリル系粘着剤としては、(メタ)アクリル酸C218アルキルエステルを重合成分として含む重合体を主成分とするアクリル酸エステル系粘着剤が挙げられる。
好ましいゴム系粘着剤としては、ポリイソブチレン、ポリイソプレン及びスチレン−ジエン−スチレン共重合体から選ばれる少なくとも一種を主成分とするゴム系粘着剤が挙げられる。
【0032】
粘着剤層112は、薬物をさらに含有してもよい。ここで、薬物を含有する粘着剤層を備える貼付剤を特に貼付製剤と称することがあるが、本明細書における貼付剤という用語は、貼付製剤を含む意図で用いている。つまり、本発明の貼付剤は、薬物を含有する粘着剤層を備える貼付剤と、薬物を含有しない粘着剤層を備える貼付剤とを含む。
【0033】
上記薬物は特に限定されず、例えば、コルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗不整脈剤、心不全治療剤、抗高血圧剤、利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン、抗うつ剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、生体医薬などの種類の薬物であって、経皮吸収可能な薬物が使用でき、これらの薬物は必要に応じて2種類以上併用することができる。このような薬物としては、例えば、ビソプロロールまたはその薬学的に許容される塩を用いることができる。薬学的に許容される塩としては、例えば、フマル酸塩を用いることができる。
【0034】
これらの薬物の含有量は、薬物種や投与目的に応じて適宜設定することができるが、通常、粘着剤層112中に0.1重量%以上40重量%以下、好ましくは0.5重量%以上30重量%以下含有させる。含有量が0.1重量%以上の場合には、治療に有効な量の薬物放出が期待でき、0.5重量%以上の場合には、治療により有効である。40重量%以下の場合には、治療効果を発現できると共に経済的に有利であり、30重量%以下の場合には、治療効果をより高めることができると共に経済的により有利である。
【0035】
剥離ライナー113は、粘着剤層112の粘着面112aを覆っている。剥離ライナー113は、貼付剤110を使用するまで保護するためのものである。
【0036】
剥離ライナー113は、特に限定されないが、例えば、PETフィルム、PETフィルム以外のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルム;該プラスチックフィルムに金属を蒸着させた金属蒸着プラスチックフィルム;和紙、洋紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙などの紙類;不織布、布帛などの繊維質材料;金属箔が挙げられる。
また、プラスチックフィルムと紙類との積層シート、プラスチックフィルムと金属箔との積層シートなども剥離ライナー113の材料として採用が可能である。
工業製品としての種類が多く、貼付剤に用いるのに適切な厚さのものが数多く市販されており、求める品質のものを選択しやすい観点から、剥離ライナー113の材料として、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。
【0037】
剥離ライナー113には、粘着剤層112から容易に剥がすために、切れ目が形成されていてもよく、粘着面112aに接する側に離型処理が施されて軽剥離面が形成されていてもよい。
【0038】
次に、上述した貼付剤110を内部に収容する包装体について説明する。包装体は、図1〜図3に示すように、第1の基材120と、第1の基材120上に配置された第2の基材130とを含んでいる。第1の基材120と第2の基材130とは、外周側で接合されている。本実施の形態では、第1の基材120と第2の基材130とは、外周縁を含む領域で(封止部120c、130cにより)接合されている。
【0039】
本実施の形態における第1の基材120及び第2の基材130は、略同一形状であり、外周縁が互いに重なり合うように積層されている。なお、第1の基材120と、第2の基材130とは、異なる形状であってもよい。
【0040】
図1に示すように、第1の基材120は、主面120aと、この主面120aと反対側の裏面120bと、第2の基材130と接合された封止部120cとを有している。第2の基材130は、主面130aと、この主面130aと反対側の裏面130bと、第1の基材120と接合された封止部130cとを有している。
【0041】
図2に示すように、第1の基材120の主面120a及び第2の基材130の主面130aは、平面形状が矩形(本実施の形態では正方形)である。つまり、第1の基材120の主面120a及び第2の基材130の主面130aのそれぞれは、第1の辺121、131と、第1の辺121、131と接続され、かつ第1の辺121、131と交差する第2の辺122、132と、第2の辺122、132と接続され、かつ第2の辺122、132と交差する第3の辺123、133と、第1の辺121、131及び第3の辺123、133と接続され、かつ第1の辺121、131及び第3の辺123、133と交差する第4の辺124、134とを有している。本実施の形態における第1の基材120の主面120a及び第2の基材130の主面130aのそれぞれは、第1の辺121、131と、第1の辺121、131と連続し、かつ第1の辺121、131と直交する第2の辺122、132と、第2の辺122、132と連続し、かつ第2の辺122、132と直交する第3の辺123、133と、第1の辺121、131及び第3の辺123、133と連続し、かつ第1の辺121、131及び第3の辺123、133と直交する第4の辺124、134とを有している。
【0042】
なお、主面120a、130aの各頂点は湾曲していてもよく(Rが設けられていてもよく)、角張らせていてもよい。第1〜第4の辺121〜124、131〜134は、主面120a、130aの外周縁である。
【0043】
封止部120c、130cは、第1〜第4の辺121〜124、131〜134に沿って形成されている。なお、封止部120c、130cは、第1〜第4の辺121〜124、131〜134を含んでいてもよく、第1〜第4の辺121〜124、131〜134を含んでいなくてもよい。本実施の形態の封止部120c、130cは、第1〜第4の辺121〜124、131〜134を含んでおり、その外周縁が第1〜第4の辺121〜124、131〜134であり、内周縁120c1〜120c4、130c1〜130c4は第1〜第4の辺121〜124、131〜134にそれぞれ平行である。つまり、本実施の形態の封止部120c、130cの内周縁120c1〜120c4、130c1〜130c4は、平面形状が矩形である。
【0044】
この封止部120c、130cに囲まれた内部の空間は密封され、貼付剤110が収容される。このため、貼付剤110は、封止部120c、130cにより密閉されるので、貼付剤110の粘着剤層112が薬物を含んでいる場合には、薬物を安定かつ長期に保管をすることができる。
【0045】
第1及び第2の基材120、130を接合する方法(封止部120c、130cの形成方法)は特に限定されないが、ヒートシールにより接合されることが好ましい。この場合の封止部120c、130cは、シール部である。なお、第1及び第2の基材120、130は、例えば、接着剤などの接続部材を用いて接続されてもよい。この場合の封止部120c、130cは、接続部材を含む。
【0046】
第1及び第2の基材120、130の少なくとも一方は、第2の辺122、132に形成されたノッチ125a、135aを含む第1の開封部125、135と、第3の辺123、133に形成されたノッチ126a、136aを含む第2の開封部126、136と、同じく第3の辺123、133に形成されたノッチ127a、137aを含む第3の開封部127、137とを有している。本実施の形態では、第1及び第2の基材120、130の両方に第1〜第3の開封部125〜127、135〜137が形成されている。
【0047】
図2に示すように、第1の開封部125(135)は、封止部120c(130c)の内周側において、第1の辺121(131)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c1(130c1)に沿って、第2の辺122(132)から第4の辺124(134)に向かって開封するように導くものである。つまり、第1の開封部125(135)は、第1の辺121(131)に形成された封止部120c(130c)の内周縁120c1(130c1)に沿う非シール部(封止部120c(130c)の内周側)に開封線を形成するように方向付けられている。
【0048】
第2の開封部126(136)は、封止部120c(130c)の内周側において、第2の辺122(132)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c2(130c2)に沿って、第3の辺123(133)から第1の辺121(131)に向かって開封するように導くものである。つまり、第2の開封部126(136)は、第2の辺122(132)に形成された封止部120c(130c)の内周縁120c2(130c2)に沿う非シール部に開封線を形成するように方向付けられている。第2の開封部126(136)は、第3の辺123(133)において第2の辺122(132)側に形成されている。
【0049】
第3の開封部127(137)は、封止部120c(130c)の内周側において、第4の辺124(134)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c4(130c4)に沿って、第3の辺123(133)から第1の辺121(131)に向かって開封するように導くものである。つまり、第3の開封部127(137)は、第4の辺124(134)に形成された封止部120c(130c)の内周縁120c4(130c4)に沿う非シール部に開封線を形成するように方向付けられている。第3の開封部127(137)は、第3の辺123(133)において第4の辺124(134)側に形成されている。
【0050】
第1〜第3の開封部125〜127(135〜137)の各々は、ノッチ125a〜127a(135a〜137a)を含む。第1の開封部125(135)のノッチ125a(135a)は、第2の辺122(132)に形成された封止部120c(130c)において、第1の辺121(131)近傍に、第2の辺122(132)から第4の辺124(134)に向けて切り込みが形成されている。第2の開封部126(136)のノッチ126a(136a)は、第3の辺123(133)に形成された封止部120c(130c)において、第2の辺122(132)近傍に、第3の辺123(133)から第1の辺121(131)に向けて切り込みが形成されている。第3の開封部127(137)のノッチ127a(137a)は、第3の辺123(133)に形成された封止部120c(130c)において、第4の辺124(134)近傍に、第3の辺123(133)から第1の辺121(131)に向けて切り込みが形成されている。
【0051】
ノッチ125a〜127a(135a〜137a)は、例えば平面形状が三角形(V字状)の切り込みである。ノッチ125a〜127a(135a〜137a)の形状は特に限定されず、例えば直線状又はU字状の切り込みやくぼみなどであってもよい。
【0052】
図2及び図3に示すように、本実施の形態のノッチ125a〜127a(135a〜137a)は、主面120a(130a)から裏面120b(130b)にかけて貫通するように形成されている。
【0053】
第1〜第3の開封部125〜127(135〜137)は、開封する順序を表示する表示部125b〜127b(135b〜137b)をさらに含む。表示部125b〜127b(135b〜137b)は、包装体に印刷により形成され、使用者に開封する順序を指示するためのものである。この表示部125b〜127b(135b〜137b)は、封止部120c(130c)の内周側であって、ノッチ125a〜127a(135a〜137a)の近傍に形成されている。
【0054】
第1の開封部125(135)の表示部125b(135b)は、最初に開封することを示すため、「1」の表示が形成されている。第2の開封部126(136)の表示部126b(136b)は、2番目に開封することを示すため、「2」の表示が形成されている。第3の開封部127(137)の表示部127b(137b)は、3番目に開封することを示すため、「3」の表示が形成されている。
【0055】
なお、本実施の形態においては、第2の開封部126(136)の表示部126b(136b)に「3」の表示がされており、第3の開封部127(137)の表示部127b(137b)に「2」の表示がされていてもよい。
【0056】
第1〜第3の開封部125〜127(135〜137)は、開封する方向を表示する表示部125c〜127c(135c〜137c)をさらに含む。表示部125c〜127c(135c〜137c)は、包装体に印刷により形成され、使用者に開封する方向を指示するためのものである。この表示部125c〜127c(135c〜137c)は、開封する順序を表示する表示部125b〜127b(135b〜137b)近傍に形成されている。
【0057】
第1の開封部125(135)の表示部125c(135c)は、封止部120c(130c)の内周側において、第1の辺121(131)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c1(130c1)に沿って、第2の辺122(132)から第4の辺124(134)に向けて矢印が表示されている。第2の開封部126(136)の表示部126c(136c)は、封止部120c(130c)の内周側において、第2の辺122(132)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c2(130c2)に沿って、第3の辺123(133)から第1の辺121(131)に向けて矢印が表示されている。第3の開封部127(137)の表示部127c(137c)は、封止部120c(130c)の内周側において、第4の辺124(134)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c4(130c4)に沿って、第3の辺123(133)から第1の辺121(131)に向けて矢印が表示されている。
【0058】
ここで、第1及び第2の基材120、130を構成する材料について説明する。第1及び第2の基材120、130を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルハライド、ポリビニルエステル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、セルロースなどを主成分材料としたフィルムもしくはシートを採用できる。
第1及び第2の基材120、130は、一層のみからなる単層構造体であっても、二層以上を有する複数層構造体であってもよい。また、第1及び第2の基材120、130は、上記の材料層を内面層として各種プラスチックフィルムまたは金属箔とを積層した積層構造体であってもよく、また、最外層に金属蒸着、塗料コーテング、印刷などを施した包装材料であってもよい。一例として、薬物を含有する粘着剤層を備える貼付剤110の場合、貼付剤110に含有される薬物の外気による汚染や酸化分解を防止するためには、第1及び第2の基材120、130として、ポリエステルフィルムや金属箔等のガス不透過性フィルムを積層したものを用いることが好ましい。さらに、第1及び第2の基材120、130の最内層(上記包装材料の最内層)にバリアー性の高いポリアクリロニトリル系共重合体を用いたものがより好ましい。
なお、第1の基材120と、第2の基材130とは、同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。
【0059】
第1及び第2の基材120、130の厚みは特に限定されないが、保存安定性や、開封しやすさの観点から、例えば10μm以上200μm以下であり、好ましくは20μm以上100μm以下である。
【0060】
第1及び第2の基材120、130の大きさは特に限定されないが、開封操作上の観点、コスト及び生産性の観点などから、対向する辺の最短の距離は10mm以上250mm以下であることが好ましい。なお、対向する辺の最短の距離とは、図2に示すように各辺が交差する頂点が丸みを有する場合には、丸みを有する部分を除き、第1の辺121(131)と第3の辺123(133)との距離(すなわち第2及び第4の辺122(132)、124(134)の長さ)を、及び、第2の辺122(132)と第4の辺124(134)との距離(すなわち第1及び第3の辺121(131)、123(133)を意味する。
【0061】
続いて、図1〜図6を参照して、本実施の形態における貼付剤の包装構造100aの包装体から、貼付剤110を取り出す方法について説明する。
【0062】
まず、図1〜図3に示すように、第1の開封部125(135)のノッチ125a(135a)を用いて、封止部120c(130c)の内周側において、第1の辺121(131)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c1(130c1)に沿って開封する。このとき、表示部125c(135c)で示されている矢印の方向に従って、第1及び第2の基材120、130の一部を切り取ることになる。これにより、図4に示すように、第1の辺121(131)を含む封止部120c(130c)を分離することができるので、第1の辺121(131)側が開口した開口部101を形成することができる。この開口部101を形成すると、包装体の内部の空間は、密封された状態から大気に開放された状態になる。
【0063】
次に、第2の開封部126(136)のノッチ126a(136a)を用いて、封止部120c(130c)の内周側において、第2の辺122(132)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c2(130c2)に沿って第1及び第2の基材120、130の一部を切り取る。このとき、表示部126c(136c)で示されている矢印の方向に従って切り取る。これにより、図5に示すように、第2の辺122(132)を含む封止部120c(130c)を分離することができるので、第2の辺122(132)側が開口した開口部102を形成することができる。
【0064】
次に、第3の開封部127(137)のノッチ127a(137a)を用いて、封止部120c(130c)の内周側において、第4の辺124(134)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c4(130c4)に沿って第1及び第2の基材120、130の一部を切り取る。このとき、表示部127c(137c)で示されている矢印の方向に従って切り取る。これにより、図6に示すように、第4の辺124(134)を含む封止部120c(130c)を分離することができるので、第4の辺124(134)側が開口した開口部104を形成することができる。
【0065】
以上の工程を実施することにより、第1及び第2の基材120、130の4つの辺のうち、第1、第2及び第4の辺121(131)、122(132)、124(134)に沿った方向が開封される。これにより、開口部101、102、104から指先を挿入して、貼付剤110の一部を掴んで取り出す。この時、仮に、貼付剤110の粘着剤層112から粘着剤等の成分が滲出して、滲出成分で第1及び第2の基材120、130の少なくとも一方の内面(裏面120b、130bの少なくとも一方)に貼付剤110が付着していても、3つの辺に沿った方向に開封された開口部101、102、104により、包装体から貼付剤110を容易に取り出すことができる。
【0066】
また、本実施の形態では、第1〜第3の開封部125〜127(135〜137)は、開封する順序を表示する表示部125b〜127b(135b〜137b)を含んでいる。このため、表示部125b〜127b(135b〜137b)に記載の順序で開封することで、3つの辺に沿った方向に容易に開封することができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、第2の開封部126(136)により第2の辺122(132)に沿った方向に開封した後、第3の開封部127(137)により第4の辺124(134)に沿った方向に開封しているが、この順序は逆でもよい。つまり、本実施の形態では、最初に第1の開封部125(135)を開封すれば、第2及び第3の開封部126(136)、127(137)はいずれから開封しても、3方が開封される。
【0068】
また、本実施の形態では、第1〜第3の開封部125〜127(135〜137)により、4つの辺のうち、3つの辺に沿った方向を開封しているが、4つの辺に沿った方向に開封してもよい(さらに第3の辺123(133)に沿った方向に開封してもよい)。この場合、全ての辺に沿った方向に開口部を設けることができるので、より容易に貼付剤110を取り出すことができる。
【0069】
(実施の形態2)
図7を参照して、本実施の形態における貼付剤の包装構造100bについて説明する。図7に示すように、本発明の実施の形態2の貼付剤の包装構造100bは、図2に示す実施の形態1の包装構造100aと基本的には同様であるが、第3の開封部127(137)が異なる。
【0070】
具体的には、本実施の形態の第3の開封部127(137)は、第4の辺124(134)に形成されたノッチ127a(137a)を含んでおり、封止部120c(130c)の内周側において、第3の辺123(133)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c3(130c3)に沿って、第4の辺124(134)から第2の辺122(132)に向かって開封するように導くものである。
【0071】
第4の辺124(134)に形成された第3の開封部127(137)のノッチ127a(137a)は、第4の辺124(134)に形成された封止部120c(130c)において、第3の辺123(133)近傍に、第4の辺124から第2の辺122(132)に向けて切り込みが形成されている。
【0072】
また、第3の開封部127(137)は、封止部120c(130c)の内周側であって、ノッチ127a(137a)の近傍に形成された、開封順序を表示する表示部127b(137b)をさらに含んでいる。
【0073】
また、第3の開封部127(137)は、封止部120c(130c)の内周側において、第3の辺123(133)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c3(130c3)に沿って、第4の辺124(134)から第2の辺122(132)に向けて矢印が表示されている表示部127c(137c)をさらに含んでいる。
【0074】
本実施の形態では、少なくとも3辺(第2〜第4の辺122(132)〜124(134)のそれぞれに開封部(第1〜第3の開封部125(135)〜127(137))のノッチ125a(135a)〜127a(137a)が形成され、開封部125(135)〜127(137)の開封方向における対向する辺近傍に他の開封部のノッチを設けていない。
【0075】
本実施の形態の貼付剤の包装構造100bの包装体から貼付剤110を取り出す方法は、基本的には実施の形態1と同様であるが、第3の開封部127(137)により包装体を開封する方向が異なる。
【0076】
具体的には、まず、実施の形態1と同様に、第1及び第2の開封部125(135)、126(136)により、第1及び第2の辺121(131)、122(132)に沿った方向に、この順で開封する。次に、第3の開封部127(137)により、封止部120c(130c)の内周側において、第3の辺123(133)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c3(130c3)に沿って開封する。これにより、第1及び第2の基材120、130の4つの辺のうち、第1〜第3の辺121〜123(131〜133)に沿った方向に開口部を形成することができる。したがって、3辺に沿った方向の開口部から貼付剤110を容易に取り出すことができる。
【0077】
本実施の形態の貼付剤の包装構造100bによれば、包装体から貼付剤110を取り出す際に、第1の開封部125(135)、第2の開封部126(136)及び第3の開封部127(137)をこの順で開封する場合、切り取ろうとする辺(その辺を含む封止部の内側の非シール部)は常に右側になる。このため、右利きの使用者は、左手で包装体を保持し、切り取ろうとする辺を右手でつまんで、つまんだ側を右手で引っ張って開封することができる。包装体を回転させることで、利き手である右手のみで包装体の少なくとも3方を開封できるので、開封時にストレスを感じることを低減できる。
【0078】
(実施の形態3)
図8を参照して、本実施の形態における貼付剤の包装構造100cについて説明する。本実施の形態における貼付剤の包装構造100cは、基本的には実施の形態2の包装構造100bと同様であるが、第1〜第3の開封部125(135)〜127(137)が弱め線125d(135d)〜127d(137d)をさらに含む点において異なる。
【0079】
具体的には、第1の開封部125(135)の弱め線125d(135d)は、ノッチ125a(135a)の先端から第4の辺124(134)に向けて直線状に形成されている。第2の開封部126(136)の弱め線126d(136d)は、ノッチ126a(136a)の先端から第1の辺121(131)に向けて直線状に形成されている。第3の開封部127(137)の弱め線127d(137d)は、ノッチ127a(137a)の先端から第2の辺122(132)に向けて直線状に形成されている。
【0080】
本実施の形態では、弱め線125d(135d)〜127d(137d)は、開封する方向を示す表示部125c(135c)〜127c(137c)に沿って形成されると共に、表示部125c(135c)〜127c(137c)と、封止部120c(130c)の内周縁120c1(130c1)〜120c4(130c4)との間に形成されている。
【0081】
ここで、弱め線とは、他の領域よりも接続が弱い線を意味し、例えばミシン目などのように、分離しやすいように加工されている線である。弱め線は、例えばミシン目、ハーフカット、カットテープ等による方法により形成される。
【0082】
なお、開封する順序を示す表示部125b(135b)〜127b(137b)、及び開封する方向を示す表示部125c(135c)〜127c(137c)の少なくとも一方は省略されてもよい。
【0083】
本実施の形態における貼付剤の包装構造100cの包装体から貼付剤110を取り出す方法は、基本的には実施の形態2と同様であるが、弱め線125d(135d)〜127d(137d)で切断する点において異なる。
【0084】
以上説明したように、本実施の形態における貼付剤の包装構造100cにおいて、第1〜第3の開封部125(135)〜127(137)は、弱め線125d(135d)〜127d(137d)を含んでいる。弱め線125d(135d)〜127d(137d)にしたがって開封することにより、第1〜第3の開封部125(135)〜127(137)の開封方向を容易に導くことができるので、容易に包装体を開封することができる。したがって、貼付剤110を包装体から容易に取り出すことができる。
【0085】
なお、本実施の形態の包装構造100cの第1〜第3の開封部125(135)〜127(137)は、弱め線125d(135d)〜127d(137d)を含んでいるが、ノッチ125a(135a)〜127a(137a)から開封できるので、本発明の包装構造は、弱め線125d(135d)〜127d(137d)を必ずしも必要としない。弱め線を省略可能な点において、上記特許文献1とは異なる。
【0086】
(実施の形態4)
図9を参照して、本発明の実施の形態4の貼付剤の包装構造100dについて説明する。本実施の形態の貼付剤の包装構造100dは、基本的には実施の形態2の包装構造100bと同様であるが、第1及び第2の基材120、130の少なくとも一方が第4の開封部128(138)をさらに有する点において異なる。
【0087】
具体的には、第4の開封部128(138)は、第1の辺121(131)から第3の辺123(133)に向けて、封止部120c(130c)の内周側において、第4の辺124(134)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c4(130c4)に沿って開封するように導くものである。
【0088】
第4の開封部128(138)は、ノッチ128a(138a)と、表示部128c(138c)とを含む。第1の辺121(131)に形成されたノッチ128a(138a)は、第1の辺121(131)から第3の辺123(133)に向けて切り込みが形成されている。表示部128c(138c)は、封止部120c(130c)の内周側において、第4の辺124(134)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c4(130c4)に沿って、第1の辺121(131)から第3の辺123(133)に向けて矢印が表示されている。
【0089】
本実施の形態の第1〜第4の開封部125〜128(135〜138)は、開封する順序を表示する表示部は省略されている。
【0090】
本実施の形態における包装構造100dから貼付剤110を取り出す方法は、基本的には実施の形態2と同様であるが、第1〜第4の開封部125(135)〜128(138)のいずれを最初に開封してもよい点において異なる。
【0091】
具体的には、まず、第1〜第4の開封部125(135)〜128(138)のいずれかをその表示部125c(135c)〜128c(138c)に表示された方向に沿って開封する。次に、第1〜第4の開封部125(135)〜128(138)のうち、右回り(時計周り)に位置する開封部を、順次表示部に表示された方向に沿って開封する。このとき、第1〜第4の開封部125(135)〜128(138)のうち、3つ以上の開封部を開封する。これにより、包装構造100dのうち、少なくとも3辺に沿った方向が開封される。このため、包装体の内部に収容された貼付剤110を容易に取り出すことができる。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態の貼付剤の包装構造100dは、第1及び第2の基材120、130の少なくとも一方は、第1〜第4の辺121(131)〜124(134)の全てに開封部125(135)〜128(138)のノッチ125a(135a)〜128a(138a)が形成され、開封部125(135)〜128(138)の開封方向における対向する辺近傍に他の開封部のノッチを設けていない。このため、最初に開封する開封部は特に制限されず、開封する順序を表示する表示部が省略されていても、包装構造100dのうち、少なくとも3辺に沿った方向に容易に開封することができる。したがって、包装体から貼付剤110を容易に取り出すことができる。
【0093】
ここで、実施の形態2〜4の貼付剤の包装構造100b〜100dは、片側の面(主面120a、130a及び裏面120b、130bの一方)のみに表示部が形成された場合を想定して、右利きの使用者に好適に用いられる態様として説明した。実施の形態2〜4の貼付剤の包装構造100b〜100dにおいて、主面120a、130a及び裏面120b、130bを鏡像にして両方の面に表示部を形成した場合には、左利きの使用者にも適用することができる。
【0094】
(実施の形態5)
図10を参照して、本発明の実施の形態5の貼付剤の包装構造100eについて説明する。本実施の形態の貼付剤の包装構造100eは、基本的には実施の形態4の包装構造100dと同様であるが、第5〜第8の開封部をさらに有している点において異なる。
【0095】
具体的には、本実施の形態の第5〜第8の開封部は、ノッチ225a(235a)〜228a(238a)である。
【0096】
第2の辺122(132)において、第1の開封部のノッチ125a(135a)は第1の辺121(131)側に形成され、第5の開封部のノッチ225a(235a)は第3の辺123(133)側に形成されている。つまり、第5の開封部のノッチ225a(235a)は、第2の辺122(132)に形成され、かつ封止部120c(130c)の内周側において、第3の辺123(133)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c3(130c3)に沿って開封するように導くものである。
【0097】
第3の辺123(133)において、第2の開封部のノッチ126a(136a)は第2の辺122(132)側に形成され、第6の開封部のノッチ226a(236a)は第4の辺124(134)側に形成されている。つまり、第6の開封部のノッチ226a(236a)は、第3の辺123(133)に形成され、かつ封止部120c(130c)の内周側において、第4の辺124(134)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c4(130c4)に沿って開封するように導くものである。
【0098】
第4の辺124(134)において、第3の開封部のノッチ127a(137a)は第3の辺123(133)側に形成され、第7の開封部のノッチ227a(237a)は第1の辺121(131)側に形成されている。つまり、第7の開封部のノッチ227a(237a)は、第4の辺124(134)に形成され、かつ封止部120c(130c)の内周側において、第1の辺121(131)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c1(130c1)に沿って開封するように導くものである。
【0099】
第1の辺121(131)において、第4の開封部のノッチ128a(138a)は第4の辺124(134)側に形成され、第8の開封部のノッチ228a(238a)は第2の辺122(132)側に形成されている。つまり、第8の開封部のノッチ228a(238a)は、第1の辺121(131)に形成され、かつ封止部120c(130c)の内周側において、第2の辺122(132)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c2(130c2)に沿って開封するように導くものである。
【0100】
本実施の形態では、第1の開封部のノッチ125a(135a)と、第7の開封部のノッチ227a(237a)とは、対向している。第2の開封部のノッチ126a(136a)と、第8の開封部のノッチ228a(238a)とは、対向している。第3の開封部のノッチ127a(137a)と、第5の開封部のノッチ225a(235a)とは、対向している。第4の開封部のノッチ128a(138a)と、第6の開封部のノッチ226a(236a)とは、対向している。
【0101】
続いて、本実施の形態における貼付剤の包装構造100eから貼付剤110を取り出す方法について説明する。貼付剤110を取り出す方法は、大別すると、2通りある。1つ目の方法は、実施の形態4と同様であり、第1〜第4の開封部のノッチ125a(135a)〜128a(138a)の少なくとも3つを用いて包装体を開封する。
【0102】
2つ目の方法は、第5〜第8の開封部のノッチ225a(235a)〜228a(238a)の少なくとも3つを用いて包装体を開封する。具体的には、まず、第5〜第8の開封部のノッチ225a(235a)〜228a(238a)のいずれかを開封する。次に、第5〜第8の開封部のノッチ225a(235a)〜228a(238a)のうち、左回り(反時計周り)に位置する開封部を、順次開封する。このとき、第5〜第8の開封部のノッチ125a(135a)〜128a(138a)のうち、3つ以上の開封部を開封する。これにより、包装構造のうち、少なくとも3辺に沿った方向が開封される。
【0103】
以上説明したように、本実施の形態の貼付剤の包装構造100eは、第1〜第4の辺121(131)〜124(134)に2つずつ形成された第1〜第8の開封部を備えている。このため、右利きの使用者は、第1〜第4の開封部を右回り(時計周り)に順次開封することで、包装体の少なくとも3方を開封できる。左利きの使用者は、第5〜第8の開封部を左周り(反時計周り)に順次開封することで、包装体の少なくとも3方を開封できる。したがって、使用者の特性によらず、包装体の少なくとも3辺に沿った方向に容易に開封できるので、容易に貼付剤110を取り出すことができる。
【0104】
(実施の形態6)
図11を参照して、本発明の実施の形態6の貼付剤の包装構造100fについて説明する。本実施の形態の包装構造100fは、基本的には実施の形態5の包装構造100eと同様であるが、第1〜第8の開封部125(135)〜128(138)、225(235)〜228(238)が、開封する方向を表示する表示部125c(135c)〜128c(138c)、225c(235c)〜228c(238c)を含む点において異なる。
【0105】
第1〜第4の開封部125(135)〜128(138)の表示部125c(135c)〜128c(138c)は、実施の形態4とほぼ同様であるので、その説明を繰り返さない。第5〜第8の表示部225c(235c)〜228c(238c)のそれぞれは、第3、第4、第1及び第2の開封部127(137)、128(138)、125(135)、126(136)の表示部127c(137c)、128c(138c)、125c(135c)、126c(136c)と反対の方向を表示する。
【0106】
具体的には、第5の開封部225の表示部225cは、封止部120c(130c)の内周側において、第3の辺123(133)に形成された封止部120c(130c)の内周縁120c3(130c3)に沿って、第2の辺122(132)から第4の辺124(134)に向けて矢印が表示されている。第6の開封部226の表示部226cは、封止部120c(130c)の内周側において、第4の辺124(134)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c4(130c4)に沿って、第3の辺123(133)から第1の辺121(131)に向けて矢印が表示されている。第7の開封部227の表示部227cは、封止部120c(130c)の内周側において、第1の辺121(131)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c1(130c1)に沿って、第4の辺124(134)から第2の辺122(132)に向けて矢印が表示されている。第8の開封部228の表示部228cは、封止部120c(130c)の内周側において、第2の辺122(132)に沿って形成された封止部120c(130c)の内周縁120c2(130c2)に沿って、第1の辺121(131)から第3の辺123(133)に向けて矢印が表示されている。
【0107】
本実施の形態の貼付剤の包装構造100fから貼付剤を取り出す方法は、実施の形態5と同様であるので、その説明を繰り返さない。
【0108】
以上説明したように、本実施の形態の貼付剤の包装構造100fにおいて、第1〜第8の開封部125(135)〜128(138)、225(235)〜228(238)は、開封する方向を表示する表示部125c(135c)〜128c(138c)、225c(235c)〜228c(238c)を含む。これにより、使用者の特性によらず、包装体の3辺に沿った方向により容易に開封できるので、より容易に貼付剤110を取り出すことができる。
【0109】
ここで、本実施の形態の貼付剤の包装構造100fにおいて、主面120a、130a及び裏面120b、130bの一方の面のみに表示部125c(135c)〜128c(138c)、225c(235c)〜228c(238c)が形成されていればよい。本実施の形態の貼付剤の包装構造100fは、実施の形態2〜4の貼付剤の包装構造100b〜100dと異なり、片側の面のみに表示部を形成した場合であっても、使用者の特性によらず、より容易に貼付剤110を取り出すことができる点で有利である。
【0110】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、各実施の形態の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0111】
100a〜100f 包装構造、101,102,104 開口部、110 貼付剤、111 支持体、112 粘着剤層、112a 粘着面、113 剥離ライナー、120 第1の基材、120a,130a 主面、120b,130b 裏面、120c,130c 封止部、120c1〜120c4,130c1〜130c4 内周縁、121,131 第1の辺、122,132 第2の辺、123,133 第3の辺、124,134 第4の辺、125,135 第1の開封部、125a,126a,127a,128a,135a,136a,137a,138a,225a,226a,227a,228a,235a,236a,237a,238a ノッチ、125b,125c,126b,126c,127b,127c,128c,135b,135c,136b,136c,137b,137c,138c,225c,226c,227c,228c,235c,236c,237c,238c 表示部、125d,126d,127d,135d,136d,137d 弱め線、126,136 第2の開封部、127,137 第3の開封部、128,138 第4の開封部、130 第2の基材、225,235 第5の開封部、226,236 第6の開封部、227,237 第7の開封部、228,238 第8の開封部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貼付剤と、
積層された第1及び第2の基材を含むと共に、前記貼付剤を内部に収容し、前記内部が密封された包装体とを備え、
前記第1及び第2の基材のそれぞれは、第1の辺と、前記第1の辺と接続され、かつ前記第1の辺と交差する第2の辺と、前記第2の辺と接続され、かつ前記第2の辺と交差する第3の辺と、前記第1及び第3の辺と接続され、かつ前記第1及び第3の辺と交差する第4の辺とを有し、
前記第1及び第2の基材のそれぞれは、前記第1及び第2の基材を接合すると共に、前記内部を密封するように、前記第1〜第4の辺に沿って形成された封止部をさらに有し、
前記第1及び第2の基材の少なくとも一方は、第1の開封部と、第2の開封部と、第3の開封部とを有し、
前記第1の開封部は、前記封止部の内周側において、前記第1の辺に沿って形成された前記封止部の内周縁に沿って、前記第2の辺から前記第4の辺に向かって開封するように導くものであり、
前記第2の開封部は、前記封止部の内周側において、前記第2の辺に沿って形成された前記封止部の内周縁に沿って、前記第3の辺から前記第1の辺に向かって開封するように導くものであり、
前記第3の開封部は、前記封止部の内周側において、前記第4の辺に沿って形成された前記封止部の内周縁に沿って、前記第3の辺から前記第1の辺に向かって開封するか、
または前記第3の辺に沿って形成された前記封止部の内周縁に沿って、前記第4の辺から前記第2の辺に向かって開封するように導くものである、貼付剤の包装構造。
【請求項2】
前記第1〜第3の開封部は、ノッチを含む、請求項1に記載の貼付剤の包装構造。
【請求項3】
前記第1〜第3の開封部は、開封する順序及び開封する方向の少なくとも一方を表示する表示部を含む、請求項1または2に記載の貼付剤の包装構造。
【請求項4】
前記第1〜第3の開封部は、弱め線を含む、請求項1または2に記載の貼付剤の包装構造。
【請求項5】
前記貼付剤は、支持体と、前記支持体の少なくとも一方の面に形成され、かつ薬物を含有する粘着剤層とを有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の貼付剤の包装構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−22060(P2013−22060A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156771(P2011−156771)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【出願人】(000109831)トーアエイヨー株式会社 (25)