説明

貼付材

【課題】救急ばんそう膏などの貼付材において、乾燥性に優れていて水に濡れても容易に乾燥し、皮膚を乾燥状態に保つことができ、堅牢性も良好で、皮膚の動きに充分に順応し、貼り心地の良いものを得ようとする。
【課題手段】ポリエステルフィラメントとポリウレタン弾性フィラメントによってラッセル編みしたタテ編布を基布1とする。このタテ編物はポリエステルフィラメントが編物重量の70〜95質量%、ポリウレタン弾性フィラメントが5〜30質量%の割合で編成されている。このタテ編布の基布1の一面に粘着剤層2を形成し、その粘着剤層2の中央部に当て材を定置して貼付材4とする。上記タテ編布の基布1は、静摩擦係数が小さく円滑な一面11に粘着剤層2を形成し、静摩擦係数の大きな他面12を貼付材4の表面側とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貼付材、特に手、指先、膝などの曲面の曲りが大きく、屈曲したりする部分などの患部に貼付して使い易い貼付材、特には救急ばんそう膏と言われる貼付材に関する。
【背景技術】
【0002】
体の表面にできた傷などの患部に貼り付けて保護する救急ばんそう膏は、当初、ポリ塩化ビニル製やポリエチレン製のシートを基材とし、その一面に粘着剤層を形成したものが使用されていた。しかし、こうした基材は、通気性に欠けているところから、上記基材シートには適当な間隔を置いて小さな孔を設け、通気性を得ていた。
【0003】
こうした貼付材が長年に亘って使用されてきたが、指、手首、膝などにおける皮膚の動きに対する追従性に乏しく、皮膚に対する馴染みが少ないところから、更に追従性の向上を目指してポリウレタン製の不織布を基材とするものが使用されるようになった。このものは皮膚に対する馴染みが良いところから、従来のものに比べて使い心地のよいものとなった。(特許文献1)
【0004】
上記の如きポリウレタン製の不織布を基材に使用した貼付材は、柔軟性があって透湿性が高いため、長時間貼付してもフィット感が持続する上、皮膚がふやけて白化することがないなど、従来品に比べて使い心地の良いものであるが、未だ、水仕事をしたりして貼付材が濡れたときの乾燥性や、畑仕事などの少々荒い使い方をしたときの堅牢性に問題が残っている。
【0005】
こうした現象を解決し、更に使い心地の良いものとするために、基材に織物を使用しようとする提案が一部なされているが、織物を基材とする貼付材は、伸縮性が少なくフィット感がないことや、貼付して使用しているときに基材のエッジ部にほつれなどが認められるなど、未だ充分なものではなく、実用化にも種々の問題が残っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−33585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基材を含む貼付材の乾燥性が優れており、水に濡れても容易に乾燥し、皮膚を乾燥状態に保つことができると共に、堅牢性が良好で、皮膚の動きに充分に順応して、貼り心地の良い貼付材を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリエステルフィラメントとポリウレタン弾性フィラメントによってラッセル編みしたタテ編布を基布として使用するものであって、このタテ編物は上記ポリエステルフィラメントが編物重量の70〜95質量%であり上記ポリウレタン弾性フィラメントが5〜30質量%の割合で編成されている。このタテ編布の基布の一面に粘着剤層を形成し、その粘着剤層の中央部に当て材を定置して貼付材とする。上記タテ編布の基布は、静摩擦係数が小さく円滑な一面に上記粘着剤層を形成し、静摩擦係数の大きな他面の疎面を貼付材の表面側にするようにする。
上記タテ編布は1cm当り、列数が11〜14列であり、1列当りの孔数が10〜12個であって、その孔数が110〜168個程度に形成されているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の貼付材は、水作業をした場合などのように水に濡れても乾燥性が良好で、貼付材で覆われている皮膚を容易に乾燥状態に保つことができるし、堅牢性も良好で、皮膚の動きに順応して伸縮することができ、貼り心地の良い状態を保ちながら使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すものの拡大平面図である。
【図3】図1に示すものの拡大背面図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基布1の一面に粘着剤層2を形成し、この粘着剤層2のほぼ中央部に当て材3を定置し、その粘着剤層2及び当て材3を覆うように剥離紙5を重ねて貼付材4としている。
この貼付材の基布1は、ポリエステルフィラメントと、これよりも弾性に富み伸縮性のあるポリウレタン弾性フィラメントを使用した編布で形成されている。
上記ポリエステルフィラメントとポリウレタン弾性フィラメントの割合は、編物重量の70〜95質量%がポリエステルフィラメントであり、5〜30質量%がポリウレタン弾性フィラメントによって構成されている。
【0012】
この編布は、ラッセル編みによっての編成されるタテ編布であって、このタテ編布は、1cm当りの列数が約11〜14列、好ましくは約11〜12列であり、1列当りの孔数が約10〜12個とされていて、孔数が約110〜168個、より好ましくは約110〜144個程度にされているものである。
後記するように図示する実施例1のものは、編物重量の84質量%がポリエステルフィラメントであり、16質量%がポリウレタン弾性フィラメントによって編成され、1cm当りの列数が11列であり、1列当りの孔数が10個とされていて、孔数が110個にされている。
【0013】
上記基布1のタテ編布には、表裏があって、静摩擦係数の小さな一面11と、静摩擦係数の大きな他面12を有している。この静摩擦係数(水平法によるユポ紙に対する摩擦係数:JIS P8147)(測定法については後記する)は、小さな一面で約0.37〜0.41であり、大きな他面で約0.45〜0.53程度になっている。
また、動摩擦係数(水平法によるユポ紙に対する摩擦係数:JIS P8147)(測定法については後記する)も、上記一面で約0.33〜0.35であり、上記他面で約0.34〜0.43になっている。
【0014】
静摩擦係数の小さな一面11の感触は滑らかな感じであり、静摩擦係数の大きな他面12は、その感触がややざらざらとした感じである。
上記した粘着剤層2は、上記基布の静摩擦係数の小さな一面11側に形成し、静摩擦係数の大きな他面12側が貼付材4の表面になるように形成している。
こうすることによって、基布である編布の網目がほつれることが少なくなって、ほつれにより起こる毛羽立ちが抑えられるようになった。また、貼付材の表面の滑りも低くなって、作業時に物を持つときにも都合が良く、使用したときの感じが良好になる。
上記した毛羽立ちが抑えられるのは、編布を左右に引っ張った際、網目が滑らかな一面側にカールする現象が認められ、この貼付材において網目が滑らかな一面に粘着剤を塗布していることから、皮膚表面に貼付して使用している間、基布は自然と粘着剤側にカールするようになり、基布の端部分にほつれが生じても、粘着剤層の存在によりほつれの自由な運動が妨げられて、毛羽立ちが抑えられているものと推定される。
【0015】
基布の一面側に形成する粘着剤層の粘着剤としては、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、シリコン系、ポリビニルアルコール系、ポリアミド系その他の粘着剤を使用することができるが、通常、皮膚に対する刺激が少ないところから、アクリル系粘着剤を用いると好ましいことが多い。
アクリル系粘着剤としては、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート等の炭素数4〜12程度の長鎖(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体または共重合体、あるいは(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを主成分とし、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、ビニルピロリドン、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等の共重合可能な他のモノマーの1種以上を2〜50重量%の範囲内で共重合してなる共重合体などが挙げられる。
【0016】
上記アクリル系粘着剤は、前記モノマーを、トルエン、へキサン、酢酸エチル等の有機溶剤中で、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等を開始剤として、窒素雰囲気下で重合して得られる溶剤型のものでもよいし、前記モノマーを水中で乳化剤にて乳化分散後、重合して得られるエマルジョン型のものでもよい。上記重合後、エポキシ樹脂などの多官能樹脂を基布等への塗工前に適量加えることにより、重合体を架橋することが好ましい。
また、粘着剤を発泡させたものを用いると、通気性を良好にし、クッション性を良くすることもできて一層好ましい。粘着剤を発泡させるには、通常の方法で行うことができ、発泡剤を用いることや、水溶液や有機溶剤を加熱する際に生じる気化作用を利用する方法などが挙げられる。
この粘着剤は基布である編布の滑らかな一面の全面に塗布されることが好ましいが、必要に応じて適宜のパターン塗工とすることも可能である。
【0017】
当て材3には、通常、ガーゼ、不織布、圧縮繊維、ハイドロコロイドその他の吸収性を有する材料を使用するとよいが、使用部位によっては上記材料の上面にポリエチレンその他のプラスチックによる薄膜加工を行って、患部から出る体液などにより患部に付着するのを防止するようにすることもある。
また、上記当て材には、必要により、消毒薬、治療薬その他の薬剤を保持させることができる。
【0018】
剥離紙5は、貼付材の分野で慣用されているものを用いることができ、例えば剥離処理した上質紙、グラシン紙等の紙基材やポリエステルフィルム等を用いることができる。また、剥離紙の目付けは限定はされないが、通常、50〜150g/m程度が好ましく、60〜100g/m程度がより好ましい。
上記した剥離処理をする剥離剤としては、シリコーン系または非シリコーン系が用いられ、剥離剤の塗布量は、通常0.1〜10g/m程度である。
【0019】
上記剥離紙5は、図示するように、2枚以上の剥離紙51、52とし、一方の剥離紙51に折返し部53を設け、他方の剥離紙52の覆い被さり部54で上記折返し部53を覆うように配置することができる。これを使用するときには、覆い被さり部54を持って剥離紙52を剥がし、露出されている粘着剤層2を患部に貼付し、その後で折返し部53を持って剥離紙51を剥がせばよく、粘着剤層2に触れることなく貼付材を貼り付けることができ、作業性が向上する。
また、この剥離紙には、その外形を分断するようなカット線を1本もしくは2本以上設けるようにすると、分断されている一方の剥離紙を剥がしても他の剥離紙が残るので、同様に露出されている粘着剤層に触れることなく貼付作業ができるようになる。
【0020】
本発明の貼付材においては、常法に従い、基布1の静摩擦係数の小さな一面11に粘着剤を塗工して、粘着剤層2を形成することができる。また、紙若しくは合成樹脂フィルムの表面にシリコーンなどの剥離剤を塗布した剥離紙上に、粘着剤を塗工して乾燥した後、この粘着剤を基布の一面に転写するようにしてもよい。
上記粘着剤を塗工するには、基剤高分子(例えば、ゴム、アクリレート共重合体など)及び必要に応じて添加剤成分を有機溶剤に均一に溶解または分散させた溶液を、基布若しくは剥離紙上に塗布し、乾燥すればよい。粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、通常10〜100μm、好ましくは20〜70μm、より好ましくは30〜50μm程度である。
【実施例】
【0021】
(実施例1)
84dtexのポリエステルフィラメント84質量%と310dtexのポリウレタン弾性フィラメント16質量%を使用し、ラッセル編みしたタテ編布であって、1cm当りの列数が11列、1列当りの孔数を10個とし、孔数を110個とした基布1を用いる。
加熱発泡したアクリル系粘着剤〔(アクリル酸2−エチルヘキシル/酢酸ビニル/アクリル酸=87/10/3)を100重量部、エポキシ系架橋剤(テトラッドX、三菱瓦斯化学社製)を0.03重量部として反応させたもの〕を、乾燥後の厚みが40μmの厚さになるように基布1の、滑らかな一面11側に塗布して粘着剤層2を形成する。
こうしたものを長さ70mm、幅21mmで両端が弧を描く帯状とし、上記粘着剤層2の中央部に長さ22mm、幅13mmの不織布製の当て材3を定置し、その上を2枚構成51、52の剥離紙5で覆って貼付材4を作製した。
上記基布1の滑らかな一面11の静摩擦係数は0.38、動摩擦係数は0.34であり、粗い他面12の静摩擦係数は0.49、動摩擦係数は0.35(上記いずれの係数も5枚(n=5)の平均・代表値)になっている。
【0022】
上記した基布の静摩擦係数及び動摩擦係数の測定は、下記の「水平法によりユポ紙に対する摩擦係数の測定」(JIS P8147)に準拠して行った。
(試験の準備)
水平板:幅200mm,長さ450mmの水平板
おもり:幅60mm,長さ100mm,重さ1007.5gの真チュウ製ブロック
ユポ紙:幅100mm,長さ250mm
試験片:幅60mm,長さ100mmの基布
(試験操作)
1.水平板の上に上記ユポ紙をしわやたるみが生じないようにして、両面粘着テープで固定した。また、上記試験片は、滑り面にしわやたるみが生じないように両面粘着テープによって上記おもりに固定した。
2.上記ユポ紙の上におもりを載せた。
3.インストロン型引張試験機によって上記おもりを10mm/分の速度で引張って、上記おもりを50mm移動させ、その間の摩擦力を測定した。
おもりが移動し始める瞬間に示す最初のピークが静摩擦力で、引き続きおもりが移動している間中に示す摩擦力が動摩擦力である。
4.上記得られた静摩擦力、動摩擦力より、静摩擦係数及び動摩擦係数を求めた。
静摩擦係数=静摩擦力(gf)/おもりによる垂直荷重(gf)
動摩擦係数=平均動摩擦力(gf)/おもりによる垂直荷重(gf)
【0023】
(実施例2)
44dtexのポリエステルフィラメント93質量%と44dtexのポリウレタン弾性フィラメント7質量%を使用し、ラッセル編みしたタテ編布であって、1cm当りの列数が14列、1列当りの孔数を12個とし、孔数を168個とした基布を用いたほかは、実施例1と同様にして貼付材を作製した。
上記基布1の滑らかな一面11の静摩擦係数は0.39、動摩擦係数は0.34であり、粗い他面12の静摩擦係数は0.52、動摩擦係数は0.42(上記いずれの係数も5枚(n=5)の平均・代表値)になっている。
【0024】
(比較例1)
実施例1と同じ基布1を使用し、基布の静摩擦係数が大きな他面12側に粘着剤層2を形成し、その他は実施例1と同様にして貼付材を作製した。
(比較例2)
ポリウレタン不織布を基布とし、その上にアクリル系粘着剤層と当て材を設けた市販のポリウレタン系不織布の同サイズの貼付材(ニチバン株式会社製、ケアリーヴ、品番:CL20M)を用意した。
【0025】
実施例1〜実施例2及び比較例2の性能を比較するために、下記の試験を行った。
(堅牢度試験)
摩擦に対する染色堅牢度試験法(JIS−L0849-1974)に準じて、実施例1〜実施例2及び比較例2を形成するための定型打ち抜き前の元巻き(基布+粘着剤層+剥離紙、但し当て材なし)を2.5×20cmの大きさに裁断したサンプルを3枚用意し、学振型摩擦堅牢度試験機(AB-301:テスター産業株式会社製)の試料台に剥離紙付き試料を取り付け、摩擦子にカナキン3号布(4×5cm)を装着した。摩擦子をサンプルの上に置き、往復カウントを30回に合わせて試験を行った。
摩擦後のサンプル表面の状態(サンプルの破断、毛羽立ち具合など)を目視により、下記の判断基準により評価した。
○ :サンプルは破断せず、毛羽・毛玉ともに観察されない。
△ :サンプルは破断しないが、毛羽・毛玉が観察される。
× :サンプルの破断が観察される。
【0026】
(引張試験)
JIS−K7115に準拠して、インストロン型引張試験機で実施例1〜実施例2及び比較例2の両端をまっすぐに、つかみ間隔30mm,引張速度300mm/分で引張ったときの破断時の応力を求めた。
【0027】
(含水量及び速乾性試験)
実施例1〜実施例2及び比較例2の剥離紙付き貼付材(当て材あり)の剥離紙を除去したサンプルを用意した。このサンプルを37℃の蒸留水中に30秒間浸漬して取り出し、大気中で30秒間放置し、過剰な水分を除去した。この時の水分を含んだ状態でのサンプルの重さ(g)を、含水量(g)とし、測定した。
その後、上記サンプルを赤外線水分計(AD−4715型;株式会社エー・アンド・デイ社製)にセットし、測定温度37℃で、1分毎にサンプルの重さ(g)を測定し、乾燥水分量を測定した。
サンプルの重さが一定となって4分経過後も重量変化が認められない場合、サンプルが乾燥したものとし、速乾性の時間(min)とした。
【0028】
(透気度試験)
実施例1〜実施例2及び比較例2を形成するための定型打ち抜き前の元巻き(基布+粘着剤層+剥離紙、但し当て材なし)を50×50mmの大きさに裁断し、このものから剥離紙を除去したサンプルを用意し、締付板(土台)に貼付した。この締付板を透過する面積は645.16mmの面積を有する。
ガーレー式デンソメーター(テスター産業株式会社製)の内側シリンダーを引出し、ストッパーにセットした後で、締付板の間に試験片を締付ける。内側シリンダーを静かに下降させ、300mlのエアー量が通過する秒数(sec)を測定した。
【0029】
(粘着剤成分の裏抜け試験)
実施例1〜実施例2及び比較例2の貼付材から剥離紙、当て材を除いた試料を2枚のガラス板の間に挟み、一方のガラス板の上に質量5kgの重りを載せ、40℃の恒温槽中に24時間保存した。その後、重りを取除き、基布の表面と接する側のガラス面の汚染度合いを目視し、下記の基準で評価した。
○ :汚染が全く認められない。
△ :僅かに汚染が認められる。
× :著しい汚染が認められる。
【0030】
実施例1、比較例1〜比較例2の性能を比較するために、下記の実用試験を行った。
(実用試験1:貼付中のフィット感)
実施例及び比較例の貼付材を当て材部分を手の甲側としてヒトの指の第2関節に貼付し、貼付時から24時間経過後の貼付状態を下記の評価点で評価し、平均値を求めた。(20代〜40代の男女合計n=22)
4 :違和感がない。
3 :やや違和感があるが問題ない。
2 :違和感があって問題がある。
1 :違和感があって大いに問題がある。
【0031】
(実用試験2:水仕事後の肌への付着性)
実施例及び比較例の貼付材を当て材部分を手の甲側としてヒトの指の第2関節に貼付し、途中、30分程度の水仕事(皿洗い、シャワー等)を行うこととし、貼付時から24時間経過後の貼付状態を下記の評価点で評価し、平均値を求めた。(20代〜40代の男女合計n=22)
5 :全面によく付いている。
4 :1/5程度が剥がれた又は浮いた。
3 :1/3程度が剥がれた又は浮いた。
2 :半分程度が剥がれた又は浮いた。
1 :脱落した。
【0032】
(実用試験3:水仕事後の貼付材重なり部分の付着性)
実施例及び比較例の貼付材を当て材部分を手の甲側としてヒトの指の第2関節に貼付し、途中、30分程度の水仕事(皿洗い、シャワー等)を行うこととし、貼付時から24時間経過後の貼付材の重なり部分の貼付状態を下記の評価点で評価し、平均値を求めた。(20代〜40代の男女合計n=22)
5 :全面によく付いている。
4 :1/5程度が剥がれた又はめくれた。
3 :1/3程度が剥がれた又はめくれた。
2 :半分程度が剥がれた又はめくれた。
1 :脱落した。
【0033】
(実用試験4:基布のほつれ)
実施例及び比較例の貼付材を当て材部分を手の甲側としてヒトの指の第2関節に貼付し、24時間経過後の貼付状態を下記の評価点で評価し、平均値を求めた。(20代〜40代の男女合計n=22)
4 :外観上、基布のほつれがなく、毛羽立ちは認められない。
3 :外観上、基材のほつれがあり、毛羽立ちが若干認められる。
2 :外観上、基材のほつれがあり、毛羽立ちが認められる。
1 :外観上、基材のほつれが多く、不適切な毛羽立ちが認められる。
【0034】
(結果)
上記実施例1〜実施例2及び比較例2の堅牢度試験、引張試験、含水量試験、速乾性試験、透気度試験、粘着剤成分の裏抜け試験の結果については、表1に表示した。
上記実施例1、比較例1〜比較例2の実用試験1〜4の貼付中のフィット感、水仕事後の肌への付着性、水仕事後の貼付材の重なり部分の付着性、基布のほつれ、についての結果は、表2に表した。
【0035】
(考察)
実施例1〜実施例2の基布は、比較例2の基布と比較して、堅牢度試験において破断や毛羽・毛玉の発生が見られないが、比較例2のものでは破断が起こっている。また、引張試験において破断時荷重が実施例1では比較例2の約7倍、実施例2では比較例2の約3.8倍であり強度が強く、堅牢性において良好である。また、伸度は実施例1では比較例2の約2/3、実施例2では比較例2の約1/3になっていて余り伸び過ぎないことが判る。含水量は、実施例1では比較例2と比べて約1.7倍程度、実施例2では比較例2の約1.2倍程度あるが、この含水量を乾燥することができる速乾性は、実施例1では比較例2の約1.4倍、実施例2では比較例2の約1.7倍の速さであり、速乾性に優れている。更に、透気度において実施例1及び実施例2は比較例2の約3倍と良好である。
実用試験において、実施例1は比較例1と比較して貼付中のフィット感において同等であったが、水仕事後の肌への付着性、水仕事後の貼付材の重なり部分の付着性、基布のほつれのいずれにおいても優れていることが判る。また、比較例2と比較して貼付中のフィット感においてほぼ同等であったが、水仕事後の肌への付着性、水仕事後の貼付材の重なり部分の付着性において優れていることが判った。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

注1:基布の不織布にほつれは無いため試験は不実施。
【符号の説明】
【0038】
1 :基布
2 :粘着剤層
3 :当て材
4 :貼付材
5 :剥離紙
11:静摩擦係数の小さな基布の一面
12:静摩擦係数の大きな基布の他面
51:剥離紙の一片
52:剥離紙の他片
53:剥離紙の一片の折返し部
54:剥離紙の他片の覆い被さり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィラメントとポリウレタン弾性フィラメントによってラッセル編みしたタテ編布であって、上記ポリエステルフィラメントが編物重量の70〜95質量%であり上記ポリウレタン弾性フィラメントが5〜30質量%の割合で構成されており、上記タテ編布の表面の静摩擦係数が小さい方の一面に粘着剤層を形成し、該粘着剤層の中央部に当て材を定置した貼付材。
【請求項2】
上記タテ編布のポリエステルフィラメントが編物重量の84質量%であり上記ポリウレタン弾性フィラメントが16質量%の割合で構成されている請求項1に記載の貼付材。
【請求項3】
上記タテ編布は1cm当り、列数が11〜14列であり、1列当りの孔数が10〜12個であって、孔数が110〜168個である請求項1または2に記載の貼付材。
【請求項4】
上記タテ編布の一面の静摩擦係数が0.37〜0.41、他面の静摩擦係数が0.45〜0.53である請求項1〜3のいずれかに記載の貼付材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−67615(P2011−67615A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188535(P2010−188535)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)