説明

超音波内視鏡用穿刺針装置

【課題】簡単な構造でありながら、超音波内視鏡の口金に不動状態で接続することが可能な超音波内視鏡用穿刺針装置を提供する。
【解決手段】超音波内視鏡に突設した非円形の鍔部18を備える口金17と当接して口金のそれ以上の挿入を規制する挿入規制部37、及び、鍔部が嵌合する鍔部と同じ形状の鍔部受容孔36、を有する筒状接続部31と、筒状接続部内に支持した、口金の挿脱を許容する挿脱許容位置と、鍔部に接触して鍔部の筒状接続部に対する脱出方向への移動を規制する抜止位置との間を相対可能なロック部材60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波内視鏡の内部管路に挿入して使用する超音波内視鏡用穿刺針装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作部に口金を突設した超音波内視鏡と、該口金に着脱可能な穿刺針装置とが開示してある。
この穿刺針装置は、本体部である筒状接続部と、筒状接続部の内部空間を通って外部に突出するシースと、シース内に進退可能に挿入した穿刺針と、を具備している。
穿刺針装置を使用する際には、口金にゴム等の弾性材料からなる筒状の鉗子栓の一端をその弾性力を利用して装着し、鉗子栓の他端に穿刺針装置の筒状接続部の一端を鉗子栓の弾性力を利用して接続する。すると、シース(及び穿刺針)が口金の内部を通って超音波内視鏡の内部管路に挿入し、シース(及び穿刺針)の先端部が超音波内視鏡の挿入部の先端付近から外部に突出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−137814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
術者が超音波内視鏡に接続した穿刺針装置を正確に操作するためには、筒状接続部の口金に対する傾きや回転を出来る限り規制する必要がある。
しかし、特許文献1の鉗子栓は弾性材料製なので、穿刺針装置を鉗子栓を介して超音波内視鏡の口金に接続した際に、穿刺針装置が口金(超音波内視鏡)に対して傾いてしまう。
さらに、穿刺針装置の口金に対する軸線回りの回転を穿刺針装置及び口金と鉗子栓との間の摩擦抵抗力を利用して規制しようとしている。しかし、穿刺針装置に大きな回転力が掛かった場合には、上記摩擦抵抗力だけではこの回転力に抗しきれず、穿刺針装置が軸線回りに自由に回転してしまう。
【0005】
本発明は、簡単な構造でありながら、超音波内視鏡の口金に対する傾きや回転を出来る限り規制可能な超音波内視鏡用穿刺針装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超音波内視鏡用穿刺針装置は、超音波内視鏡に突設した非円形の鍔部を備える口金を内部空間の所定位置まで挿入したときに上記口金と当接して該口金のそれ以上の挿入を規制する挿入規制部、及び、上記口金を上記所定位置まで挿入したときに上記鍔部が相対回転不能に嵌合する非円形の鍔部受容孔、を有する筒状接続部と、上記内部空間を通って筒状接続部の外部に突出し、上記口金を該内部空間に挿入したときに該口金の内部を通って上記超音波内視鏡の内部管路に挿入する可撓性を有するシースと、該シース内に進退可能に挿入した穿刺針と、上記筒状接続部内に支持した、上記口金の上記所定位置までの挿脱を許容する挿脱許容位置と、上記所定位置まで挿入した上記鍔部に接触して該鍔部の上記筒状接続部に対する脱出方向への移動を規制する抜止位置との間を相対可能なロック部材と、を備えることを特徴としている。
【0007】
上記鍔部受容孔が上記鍔部と同じ形状であるのが好ましい。
【0008】
別の態様によると、本発明の超音波内視鏡用穿刺針装置は、超音波内視鏡に突設した鍔部を備える口金を内部空間の所定位置まで挿入したときに上記口金と当接して該口金のそれ以上の挿入を規制する挿入規制部、及び、上記口金を上記所定位置まで挿入したときに該鍔部が上記口金の軸線周りに相対回転するのを所定角度内で規制する鍔部受容孔、を有する筒状接続部と、上記内部空間を通って筒状接続部の外部に突出し、上記口金を該内部空間に挿入したときに該口金の内部を通って上記超音波内視鏡の内部管路に挿入する可撓性を有するシースと、該シース内に進退可能に挿入した穿刺針と、上記筒状接続部内に支持した、上記口金の上記所定位置までの挿脱を許容する挿脱許容位置と、上記所定位置まで挿入した上記鍔部が上記所定角度内のいずれの位置に位置するときも、該鍔部に上記挿入規制部と反対側から接触して該鍔部の上記筒状接続部に対する脱出方向への移動を規制する抜止位置との間を相対可能なロック部材と、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記ロック部材と上記筒状接続部の間に、該ロック部材を上記抜止位置に向けて移動付勢する付勢手段を設けるのが好ましい。
【0010】
上記口金が、上記鍔部よりも超音波内視鏡の本体側に位置し、かつ口金を上記所定位置まで挿入したときに上記挿入規制部に当接する、該口金の軸線に対して略直交するフランジを外周部に備え、上記挿入規制部が、上記筒状接続部の軸線に対して略直交する挿入規制面であるのが好ましい。
また、上記口金がこのようなフランジを外周部に備えた上で、上記挿入規制部を弾性材料からなる弾性挿入規制部としてもよい。
これらの場合は、上記フランジが環状フランジであり、上記筒状接続部に、上記口金を上記内部空間に上記所定位置まで挿入したときに該環状フランジの周面が接触する環状面を形成するのが好ましい。
【0011】
上記ロック部材に、上記筒状接続部の外側に位置する摘み部を形成するのが好ましい。
【0012】
上記ロック部材が上記筒状接続部を貫通し、かつ、該ロック部材の両端部に上記摘み部を形成するのが好ましい。
【0013】
上記鍔部受容孔の表面を金属により構成してもよい。
この場合は、上記鍔部受容孔の表面と上記口金を同一の金属により構成するのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、簡単な構造でありながら、ロック部材を挿脱許容位置に位置させた状態で、超音波内視鏡の口金を筒状接続部の内部空間の所定位置まで挿入し、その後にロック部材を抜止位置まで移動させれば、筒状接続部の口金(超音波内視鏡)に対する軸線方向移動が完全に規制される。
さらに、口金に突設した非円形の鍔部が筒状接続部に形成した鍔部受容孔に相対回転不能に嵌合するので、軸線回りの回転も完全に規制される。
そのため、術者は超音波内視鏡に接続した穿刺針装置を正確に操作できる。
さらに請求項2のように鍔部受容孔と鍔部を同じ形状にすれば、両者の相対回転をより確実に規制できるようになる。
【0015】
請求項3記載の発明も、ロック部材を挿脱許容位置に位置させた状態で、超音波内視鏡の口金を筒状接続部の内部空間の所定位置まで挿入し、その後にロック部材を抜止位置まで移動させれば、筒状接続部の口金(超音波内視鏡)に対する軸線方向移動が完全に規制される。
さらに、口金を鍔部受容孔に嵌合することにより、口金の軸線周りの相対回転を所定角度内で規制できる。
このように穿刺針装置の口金に対する軸線方向移動を完全に防止でき、かつ、口金に対する回転を所定範囲内に規制できるので、術者は超音波内視鏡に接続した穿刺針装置を正確に操作できる。
【0016】
請求項4のように構成すれば、穿刺針装置を口金へ接続するとロック部材が抜止位置に自動的に移動するので、接続操作性が向上する。さらに、ロックし忘れによる穿刺針装置の口金からの脱落を防止できる。
また、ロック部材を挿脱許容位置側に押圧する外力が不意に及んだ場合もロック部材を抜止位置に保持できるので、ロック部材によるロックが不意に解除されるのを効果的に防止できる。
【0017】
請求項5のように構成すれば、筒状接続部が口金に対して倒れるのを規制できるようになり、さらに筒状接続部と口金の間の軸線方向移動の規制力が向上する。
【0018】
請求項6のように構成すれば、口金のフランジと筒状接続部の挿入規制部(弾性挿入規制部)の間にクリアランスが形成され難くなるので、穿刺針装置の口金に対するがたつきをより効果的に防止できる。
【0019】
請求項7のように構成すれば、筒状接続部の口金に対する倒れ防止力がさらに向上する。
【0020】
請求項8のように構成すれば、術者は、筒状接続部の外側に位置する摘み部を掴むことによりロック部材を簡単に操作できるので、穿刺針装置の操作性が向上する。
さらに請求項9のように構成すれば、穿刺針装置の操作性がより一層向上する。
【0021】
請求項10のように構成すれば、口金が鍔部受容孔に摺接しても、鍔部受容孔の表面が削れるおそれは小さい。
さらに請求項11のように構成すれば、鍔部受容孔の表面が削れるおそれをより小さくすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態の超音波内視鏡と操作部最短状態の穿刺針装置の接続状態における側面図である。
【図2】操作部最短状態から伸張させた穿刺針装置の斜視図である。
【図3】口金の斜視図である。
【図4】口金の正面図である。
【図5】筒状接続部の斜視図である。
【図6】筒状接続部の正面図である。
【図7】図6のVII−VII矢線に沿う断面図である。
【図8】図1のVIII−VIII矢線に沿う、ロック部材が抜止位置に位置するときの断面図である。
【図9】ロック部材が挿脱許容位置に位置するときの図8と同様の断面図である。
【図10】図1のX−X矢線に沿う、ロック部材が抜止位置に位置するときの断面図である。
【図11】ロック部材が挿脱許容位置に位置するときの図10と同様の断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の穿刺針装置の操作部最短状態の斜視図である。
【図13】図8と同様の断面図である。
【図14】図9と同様の断面図である。
【図15】図10と同様の断面図である。
【図16】図11と同様の断面図である。
【図17】本発明の第3の実施形態の図13と類似する断面図であり、図1のVIII−VIII矢線とは逆向きの矢線に沿った断面図である。
【図18】ロック部材が抜止位置に位置したまま穿刺針装置が口金に対して回転したときの図17と同様の断面図である。
【図19】変形例の補強部材の斜視図である。
【図20】補強部材の側面図である。
【図21】補強部材の正面図である。
【図22】図8と同様の断面図である。
【図23】図9と同様の断面図である。
【図24】別の変形例の補強部材の斜視図である。
【図25】補強部材の正面図である。
【図26】図8と同様の断面図である。
【図27】図9と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1〜図11を参照しながら本発明の第1の実施形態を説明する。なお、以下の説明中の前後方向は、超音波内視鏡10については挿入部13の先端部側を「前方」、操作部11側を「後方」と定義し、穿刺針装置30については穿刺針51の先端側を「前方」、スタイレット支持キャップ55側を「後方」としている。まず、穿刺針装置30を着脱可能な超音波内視鏡10の構造について説明する。
超音波内視鏡10は、操作部11と、操作部11から前方に延びかつ先端に超音波プローブ12を備える挿入部13と、共に操作部11から挿入部13と反対側に延びるライトガイド用チューブ及び超音波画像伝送用チューブ(いずれも図示略)と、を備え、ライトガイド用チューブと超音波画像伝送用チューブの端部には光源用コネクタと超音波画像用コネクタがそれぞれ設けてある。挿入部13の先端部近傍をなす湾曲部14は、操作部11に設けた湾曲操作レバー15の回転操作に応じて上下方向に湾曲する。操作部11には処置具挿通用突部16が突設してあり、処置具挿通用突部16の後端面には略円筒形状をなしかつ両端が開口するSUS304(JIS規格)からなる口金17が突設してある。図3及び図4等に示すように、口金17の外周面の先端部近傍には、円の両側部を該円の中心点に関して対称をなす一対の円弧(2つの円弧の長さは同一)に沿って切り落とした非円形形状の鍔部18が一体的に突設してある。また、口金17の外周面には鍔部18と軸線方向の位置をずらして正面視円形の環状フランジ(フランジ)19が突設してある。この環状フランジ19の外径は鍔部18の長手寸法(上記円の径)よりも僅かに大きく、かつ環状フランジ19(及びその鍔部18側の面)は口金17の軸線に対して直交している。さらに、操作部11及び挿入部13の内部には、一端が口金17に接続し他端が挿入部13に超音波プローブ12の直後に位置させて形成した処置具用開口21に接続する内部管路20(図1参照)が設けてある。
超音波画像用コネクタを超音波診断装置(図示略)に接続すると共に超音波診断装置をCRTモニタに接続し、さらに超音波プローブ12にゴム製のバルーン(図示略)を被せた上で、該超音波診断装置の超音波画像描出スイッチを押すと、超音波プローブ12の表面から被検部に向けて超音波が発信され、被検部によって反射された超音波を超音波プローブ12が受信する。挿入部13、操作部11及び超音波画像伝送用チューブの内部には超音波プローブ12と超音波画像用コネクタを接続する超音波信号伝送用ケーブル(図示略)が設けてあるので、超音波プローブ12が受信した超音波信号は超音波診断装置により電気的に処理された上でCRTモニタに表示される。
【0024】
続いて穿刺針装置30の構造について説明する。
穿刺針装置30は硬質樹脂(PC(ポリカーボネイト)や、ノリル等のEOG滅菌可能な樹脂材料)によって成形した略円筒形状の筒状接続部31を有している。筒状接続部31の内部空間の前部を除く部分は断面円形のスライダ支持孔32となっており、筒状接続部31の後部にはスライダ支持孔32と外部空間を連通する雌ねじ孔33が貫通孔として形成してある。スライダ支持孔32の前端部は、スライダ支持孔32より小径かつ同心をなす中間円形孔34と連通しており、筒状接続部31の前端部には口金17の環状フランジ19と同じ断面形状である倒れ防止用凹部35が凹設してある。中間円形孔34と倒れ防止用凹部35の間には、正面形状が口金17の鍔部18と同一であり、かつ中間円形孔34及び倒れ防止用凹部35より小寸の非円形形状である鍔部受容孔36が中間円形孔34及び倒れ防止用凹部35と同心をなすように形成してある。倒れ防止用凹部35の底面(後面)は筒状接続部31の軸線に対して直交する平面である挿入規制面(挿入規制部)37となっている。筒状接続部31の前部には、筒状接続部31を筒状接続部31の軸線に対して直交する方向に貫通する互いに平行な一対の貫通支持孔38A、38Bが形成してある。
【0025】
筒状接続部31のスライダ支持孔32には、筒状接続部31の後端開口から硬質樹脂(PC等)からなる筒状部材である第1スライダ40がスライド自在に挿入してある。第1スライダ40は前後両端が開口しており、その外径はスライダ支持孔32の径と略同一である。第1スライダ40の後端部にはスライダ支持孔32より大径の筒状部材である硬質樹脂製の第1ストッパ部材41が固定してある。従って第1スライダ40は、第1ストッパ部材41が筒状接続部31の後端面に当接する最大押込位置と、図示を省略したストッパによってそれ以上の後方移動が規制される最大引出位置との間を筒状接続部31に対してスライド可能であり、かつスライダ支持孔32に挿入(螺合)した第1固定ねじ部材43のボルトの先端面(内端面)を第1スライダ40の外周面に圧接することにより、第1スライダ40の筒状接続部31に対する位置を固定可能である。第1ストッパ部材41の内面には樹脂等の可撓性材料からなり両端が開口するシース44の後端部が、第1スライダ40と同心状態で固定してある。このシース44の前部はスライダ支持孔32、中間円形孔34、鍔部受容孔36及び倒れ防止用凹部35を通って筒状接続部31の前方に突出している。そのため、シース44の筒状接続部31に対する突出量は、第1スライダ40及び第1ストッパ部材41の筒状接続部31に対するスライド位置を変化させることにより調整可能である。
【0026】
第1スライダ40の内部空間には、第1スライダ40の内径より小径の硬質樹脂(PC等)からなる筒状部材である第2スライダ45がスライド自在に挿入してある。第2スライダ45は前後両端が開口しており、第2スライダ45の後端部には硬質樹脂(PC(ポリカーボネイト)やノリル等)からなる後端固定部材46が固定してある。後端固定部材46は後部が前部に比べて小径の筒状部材であり、後端固定部材46の後部の外周面には雄ねじが形成してある。さらに、第2スライダ45の外周面には第2スライダ45に対してスライド可能な硬質樹脂製(PC等)の第2ストッパ部材48がスライド自在に装着してある。第2ストッパ部材48には、第2ストッパ部材48を径方向に貫通する雌ねじ孔(図示略)が形成してあり、この雌ねじ孔には第1固定ねじ部材43と同様の第2固定ねじ部材49が挿入(螺合)してある。従って、第2ストッパ部材48の第2スライダ45に対するスライド位置は、第2固定ねじ部材49のボルトの先端面(内端面)を第2スライダ45の外周面に圧接することにより固定可能である。第2スライダ45及び後端固定部材46は、第2ストッパ部材48が第1ストッパ部材41の後端面に当接する押込位置と、図示を省略したストッパによって第2スライダ45の第1スライダ40及び第1ストッパ部材41に対するそれ以上の後方移動が規制される最大引出位置との間を第1スライダ40及び第1ストッパ部材41に対してスライド可能である。さらに、第2ストッパ部材48の第2スライダ45に対するスライド位置を調整することにより、上記押込位置を調整することも可能である。後端固定部材46の内面には可撓性を有する中空の金属材からなりかつ後端が開口する穿刺針51の後端部が同心状態で固定してある。この穿刺針51の前部は、シース44の内部を通ってシース44の前方に突出しており、その前端部近傍には開口52が形成してある。従って、第2スライダ45(後端固定部材46)の第1スライダ40に対するスライド位置を変化させることにより、穿刺針51の前端部のシース44に対する突出量が変化する。
さらに、後端固定部材46の後部の上記雄ねじには、硬質樹脂製(例えばPOM等)の筒状部材であるスタイレット支持キャップ55の内周面に形成した雌ねじが着脱可能に螺合してある。スタイレット支持キャップ55には可撓性部材であるスタイレット56の後端が固定してあり、スタイレット56は穿刺針51の後端開口から穿刺針51の内部空間に相対移動可能に挿入してある。
【0027】
筒状接続部31の貫通支持孔38A、及び、貫通支持孔38Bには硬質樹脂のロック部材60が設けてある。
ロック部材60は貫通支持孔38Aと貫通支持孔38Bにそれぞれ挿入した棒状部材でありかつ真鍮もしくはSUS等の金属材料からなる一対のスライド部材61と、各スライド部材61の一方の端部どうしを接続する硬質樹脂(例えばPC等)からなる摘み部66と、スライド部材61の他方の端部どうしを接続する硬質樹脂(例えばPC等)からなる摘み部68と、を具備している。
図8及び図9に示すように、一対のスライド部材61は貫通支持孔38A、38Bと同じ断面形状であるストッパ部62と、貫通支持孔38A、38Bより断面形状が小さい(細い)通過許容部63とを有しており、ストッパ部62の先端部にはストッパ部62より狭幅の係合突部64が突設してあり、通過許容部63の先端部には通過許容部63より狭幅の係合突部65が突設してある。摘み部66には係合突部64が着脱自在に嵌合可能な一対の取付孔67が形成してあり、摘み部68には係合突部65が着脱自在に嵌合可能な一対の取付孔69が形成してある。
ロック部材60を筒状接続部31に装着するには、摘み部66の取付孔67に一対の係合突部64をそれぞれ嵌合した状態で、一対の通過許容部63及び係合突部65を貫通支持孔38Aと貫通支持孔38Bにそれぞれ挿入する。そして、各係合突部65を貫通支持孔38A、38Bの外側に突出させた後に、各係合突部65に摘み部68の取付孔69を嵌合する。このようにロック部材60は、スライド部材61と摘み部66と摘み部68からなる簡単な構造なので、部品点数が少なく組み付け作業は容易である。また、組み付けと逆の手順により簡単に分離することも出来る。
【0028】
続いて穿刺針装置30の口金17に対する着脱要領と穿刺針装置30の使用要領について説明する。
超音波内視鏡10から分離されている穿刺針装置30を超音波内視鏡10の口金17に接続するには、まず摘み部68を筒状接続部31に対して摘み部66側に押圧することにより、ロック部材60を図9及び図11に示す挿脱許容位置に移動させる。次いで、筒状接続部31を口金17と同軸上に位置させかつ筒状接続部31の鍔部受容孔36の向きを口金17の鍔部18と同じ向きにした上で筒状接続部31の倒れ防止用凹部35を口金17に接近させ、倒れ防止用凹部35を口金17の鍔部18に被せる。図9に示すように、一対の通過許容部63間の間隔は鍔部受容孔36及び鍔部18の同方向の寸法より長い。従って、筒状接続部31をさらに口金17側に接近させて口金17を筒状接続部31内の所定位置まで挿入すれば、鍔部18は一対の通過許容部63間を通って筒状接続部31の鍔部受容孔36に嵌合し、かつ環状フランジ19の周面が倒れ防止用凹部35の内周面である環状面に面接触すると共に環状フランジ19の鍔部18側の面が挿入規制面37に面接触する(図9及び図11参照)。この状態で摘み部66を筒状接続部31に対して摘み部68側に押圧して図8に示す抜止位置まで移動させれば、一対のストッパ部62が鍔部18の環状フランジ19側の面に接触する(図8及び図10参照)。
このような状態になると、筒状接続部31の口金17に対する脱出方向への移動(スタイレット支持キャップ55側への移動)は一対のストッパ部62と鍔部18の当接によって規制され、筒状接続部31の口金17に対する挿入方向への移動(シース44及び穿刺針51の先端側への移動)は環状フランジ19と挿入規制面37の当接によって規制されるので、筒状接続部31の口金17に対する軸線方向への移動は完全に防止される。さらに、互いに同一形状かつ非円形形状である鍔部18と鍔部受容孔36が互いに嵌合するので、筒状接続部31の口金17に対する軸線回りの回転も完全に防止される。しかも、口金17に鍔部18とは軸線方向位置をずらして形成した環状フランジ19と挿入規制面37が面接触し、かつ環状フランジ19の周面が倒れ防止用凹部35の内周面に面接触するので、筒状接続部31の口金17に対する倒れも完全に防止される。
このように穿刺針装置30が口金17(超音波内視鏡10)に対して完全に不動状態となるので、術者はCRTモニタに表示された画像を見ながら超音波内視鏡10に接続した穿刺針装置30を正確に操作できる。即ち、第1ストッパ部材41や後端固定部材46をスライドさせたり、スタイレット支持キャップ55の後端固定部材46に対する螺合を解除してスタイレット56を穿刺針51に対して進退させることにより、シース44、穿刺針51、及びスタイレット56を正確に操作できる。
穿刺針装置30による処置が完了した場合や、口金17に穿刺針装置30とは別の処置具を挿入したい場合は、まず摘み部68を筒状接続部31に対して摘み部66側に押圧することにより、ロック部材60を図9及び図11に示す挿脱許容位置まで移動させる。すると、上述のように一対のストッパ部62が鍔部18の環状フランジ19側の面から側方に移動し口金17の鍔部18が一対の通過許容部63間を通過可能になる。従って、筒状接続部31をその軸線に沿ってスタイレット支持キャップ55側に移動させると、口金17の鍔部18が鍔部受容孔36から脱出するので、筒状接続部31の口金17からの取り外し作業が完了する。
【0029】
続いて、本発明の第2の実施形態を図12〜図16を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材及び構成には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の穿刺針装置70は以下の構造である。
穿刺針装置70は、筒状接続部31と同じ材質である略円筒形状の筒状接続部71を有している。筒状接続部71の内部空間の前部を除く部分はスライダ支持孔32となっており、筒状接続部71の後部にはスライダ支持孔32と外部空間を連通する雌ねじ孔33(図12〜図16では図示略)が貫通孔として形成してある。筒状接続部71の前端部には正面視環状の環状凹部72が凹設してあり、環状凹部72の内周面には雌ねじ73が形成してある。さらに筒状接続部71には、スライダ支持孔32の前端と環状凹部72の後端とを連通する、スライダ支持孔32及び環状凹部72より断面形状が小さい鍔部受容孔36が、スライダ支持孔32及び環状凹部72と同心をなすように形成してある。
環状凹部72の底面(後端面)には、環状凹部72より小径かつシリコンゴム等の弾性材料からなる環状部材である弾性ワッシャ(弾性挿入規制部)75が設けてある。さらに、雌ねじ73には硬質材料(PC(ポリカーボネイト)やノリル等)によって形成した抑え環76の雄ねじ77が螺合してあり、環状凹部72の底面と抑え環76との間に弾性ワッシャ75を位置させている。自由状態にある弾性ワッシャ75の内径は、環状フランジ19の外径より僅かに小さく、一方、鍔部18の長手寸法よりは大きくてもよいし小さくてもよい。また、抑え環76の内周孔の後部78は環状フランジ19と同じ形状であり、該内周孔の前部はテーパ形状となっている。
【0030】
筒状接続部71の前部には互いに平行な一対の貫通支持孔38A、38Bが形成してあり、貫通支持孔38A、38Bにはロック部材60がスライド可能に取り付けてある。
図12〜図14に示すように、筒状接続部71の外周面における摘み部66と対向する部分には、貫通支持孔38A及び貫通支持孔38Bの摘み部66側の端部とそれぞれ連通する一対の支持凹部74が凹設してある。そして、各スライド部材61の通過許容部63の周囲には圧縮コイルばね(付勢手段)S1が配置してあり、各圧縮コイルばねS1の両端が対応する支持凹部74の底面と摘み部68とに接触している。一対の圧縮コイルばねS1は、ロック部材60がいずれの位置に位置するときも常に圧縮されている(弾性変形している)ので、ロック部材60から手を離すとロック部材60は圧縮コイルばねS1の付勢力によって図13及び図15に示す抜止位置に移動すると共に当該位置に保持される。そして、圧縮コイルばねS1の付勢力に抗して摘み部68を貫通支持孔38A及び貫通支持孔38B側に押し込むと、ロック部材60は図14及び図16に示す挿脱許容位置に移動する。
【0031】
筒状接続部71のスライダ支持孔32には、筒状接続部71の後端開口から第1スライダ40(図12〜図16では図示略)がスライド自在に挿入してある。第1スライダ40の後端部にはスライダ支持孔32より大径の筒状部材である硬質樹脂製の第1ストッパ部材81が固定してあり、第1スライダ40の先端部にはシース44の後端部が固定してある。第1スライダ40の内部空間には第2スライダ45(図12〜図16では図示略)がスライド自在に挿入してあり、第2スライダ45の後端部には硬質樹脂(PC(ポリカーボネイト)やノリル等)からなる後端固定部材86が固定してある。さらに、第2スライダ45の外周面には第2スライダ45に対してスライド可能な硬質樹脂製(PC等)の第2ストッパ部材88がスライド自在に装着してある。第2ストッパ部材88には、第2ストッパ部材88を径方向に貫通する雌ねじ孔(図示略)が形成してあり、この雌ねじ孔には第2固定ねじ部材49が挿入(螺合)してある。さらに、後端固定部材86の後部の雄ねじには、スタイレット56の後端の後端を支持したスタイレット支持キャップ55の雌ねじが着脱可能に螺合してある。
本実施形態の第1ストッパ部材81、後端固定部材86、第2ストッパ部材88は、第1の実施形態の第1ストッパ部材41、後端固定部材46、第2ストッパ部48とは具体的な形状は異なるものの、その基本構造は同じであり、かつ周辺部材に対して第1の実施形態の穿刺針装置30と同じ態様で組み付けてあるので、穿刺針装置70の基本的な動作(穿刺針装置70全体の伸縮動作、シース44、穿刺針51、及びスタイレット56のスライド操作など)は穿刺針装置30と同じである。
【0032】
続いて穿刺針装置70の口金17に対する着脱要領について説明する。
超音波内視鏡10から分離されている穿刺針装置70を口金17に接続するには、まず手で摘み部68を筒状接続部71に対して摘み部66側に押圧することにより、圧縮コイルばねS1の付勢力によって抜止位置に保持されているロック部材60を図14及び図16に示す挿脱許容位置に移動させ、手で当該状態を保持する。
次いで、筒状接続部71を口金17と同軸上に位置させかつ筒状接続部71の鍔部受容孔36の向きを口金17の鍔部18と同じ向きにした上で、口金17を筒状接続部71内の所定位置まで挿入する。すると、鍔部18が一対の通過許容部63間を通って筒状接続部71の鍔部受容孔36に嵌合し、環状フランジ19が弾性ワッシャ75の前面(筒状接続部71の軸線方向に見たときに抑え環76より内周側に位置する部分)に接触することにより弾性ワッシャ75の当該部分を後方に弾性変形させ(凹ませ)、さらに環状フランジ19の周面が抑え環76の内周面の後部78(環状面)に面接触する(図14及び図16参照)。
この状態でロック部材60から手を離すと、ロック部材60は圧縮コイルばねS1の付勢力によって自動的に抜止位置までスライドし、一対のストッパ部62が鍔部18の環状フランジ19側の面に接触する(図13及び図15参照)。
このような状態になると、筒状接続部71の口金17に対する脱出方向への移動は一対のストッパ部62と鍔部18の当接によって規制され、かつ、筒状接続部71の口金17に対する挿入方向への移動は環状フランジ19と弾性ワッシャ75によって規制される。従って、筒状接続部71の口金17に対する軸線方向への移動が完全に防止される。
さらに、互いに同一形状かつ非円形形状である鍔部18と鍔部受容孔36によって筒状接続部71の口金17に対する軸線回りの回転が防止される。
また、口金17に鍔部18とは軸線方向位置をずらして形成した環状フランジ19が弾性ワッシャ75に接触し、かつ環状フランジ19の周面が抑え環76の内周面の後部78に面接触するので、筒状接続部71の口金17に対する倒れも完全に防止される。
穿刺針装置70を口金17から取り外したい場合は、ロック部材60を圧縮コイルばねS1の付勢力に抗して挿脱許容位置まで移動させ、ロック部材60を挿脱許容位置に保持したまま、穿刺針装置70をその軸線に沿ってスタイレット支持キャップ55側に移動させ、口金17の鍔部18及び環状フランジ19を筒状接続部71の内部空間から脱出させる。
【0033】
以上説明したように本実施形態でも、穿刺針装置70を口金17に対して不動状態にすることが可能である。
しかも、穿刺針装置70を口金17へ接続してロック部材60から手を離すと、ロック部材60が自動的に抜止位置に移動するので、穿刺針装置70の口金17に対する接続操作性が良好である。さらに、ロックし忘れによる穿刺針装置70の口金17からの脱落を防止できる。
また、ロック部材60を挿脱許容位置側に押圧する外力が不意に及んだ場合も、ロック部材60は圧縮コイルばねS1によって抜止位置に保持されるので、ロック部材60によるロックが不意に解除されるのを効果的に防止できる。
さらに、穿刺針装置70を口金17に接続したときに弾性ワッシャ75が弾性変形しながら環状フランジ19に接触するので、環状フランジ19と弾性ワッシャ75の間にクリアランスが形成されることはなく、そのため筒状接続部71の口金17に対するがたつきをより効果的に防止できる。
なお、穿刺針装置70を口金17に接続してロック部材60を抜止位置に移動させた後に穿刺針装置70を強い力で口金17側にスライドさせると、弾性ワッシャ75が大きく圧縮することにより、鍔部18とストッパ部62の間に小さな隙間が形成されるおそれがある。このような状態になると、ストッパ部62と鍔部18の間に生じていた摩擦抵抗力が消失するため、圧縮コイルばねS1を具備しない場合は、ロック部材60が自重によって挿脱許容位置まで移動してしまい、穿刺針装置70が口金17から脱落する可能性がある。しかし、本実施形態の穿刺針装置70のようにロック部材60の自重に抗することが可能な付勢力を有する圧縮コイルばねS1によってロック部材60を抜止位置に保持する構造の場合は、このような問題が生じるおそれは極めて小さい。
【0034】
続いて、本発明の第3の実施形態を図17及び図18を参照しながら説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材及び構成には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態の穿刺針装置90の筒状接続部91の基本構造は筒状接続部31と同じであるが、筒状接続部31の鍔部受容孔36の代わりに図示する正面視略矩形をなす鍔部受容孔92を有している。図示するように鍔部受容孔92は口金17の鍔部18より大寸であり、鍔部18が鍔部受容孔92内に位置するとき両者の間には両者の(筒状接続部91の軸線周りの)相対回転を許容するだけのクリアランスが生じる。ただし、鍔部18と鍔部受容孔92の相対回転可能範囲は、鍔部18の当接面18a及び当接面18cが鍔部受容孔92の周面に接触する図18の位置と、当接面18b及び当接面18dが鍔部受容孔92の周面に接触する図示を省略した位置との間に制限される。
この構造の穿刺針装置90のロック部材60を図示する抜止位置まで移動させると、鍔部18と鍔部受容孔92(筒状接続部91)の相対回転位置がいずれの位置に移動しても、鍔部18の両端部(図17、図18では上端部と下端部)の直前(超音波内視鏡10側)にスライド部材61のストッパ部62が位置する。従って、例えば図17に示すように鍔部18の長手方向と鍔部受容孔92の長手方向が一致しているときだけでなく、鍔部18と鍔部受容孔92が図18の相対回転位置まで回転したときも、筒状接続部91の口金17に対する脱出方向への移動は一対のストッパ部62と鍔部18の当接によって規制され、筒状接続部91の口金17に対する挿入方向への移動は環状フランジ19と挿入規制面37の当接によって規制されるので、筒状接続部91の口金17に対する軸線方向への移動は完全に防止される。しかも、口金17の環状フランジ19と挿入規制面37が面接触し、かつ環状フランジ19の周面が倒れ防止用凹部35の内周面に面接触するので、筒状接続部91の口金17に対する倒れも完全に防止される。
なお、ロック部材60が抜止位置に移動した場合であっても穿刺針装置90(鍔部受容孔92)は鍔部18に対して僅かに相対回転であるが、回転可能領域は極めて小さいため術者は穿刺針装置90を正確に操作できる。
【0035】
以上、第1から第3の実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は様々な変更を施しながら実施可能である。
例えば、図19〜図23に示すように、第2の実施形態(第2の実施形態と完全に同一の部材のみならず、形状が多少異なるものの同じ形状の部材にも同じ符号を付してある)の筒状接続部71の倒れ防止用凹部35及び鍔部受容孔36の表面をSUS304製の補強部材95で覆っても(例えば、インサート成形により一体化)よい。補強部材95は、倒れ防止用凹部35と同じ正面形状で、かつ中央部に鍔部受容孔36と略同じ形状の貫通孔97が穿設された円盤部96と、貫通孔97の周縁部から突出し、その断面形状が鍔部受容孔36と略同一である筒状部98と、を具備しており、筒状部98には一対の側部孔99が穿設してある。円盤部96の後面は弾性ワッシャ75に接触し、筒状部98の外周面は鍔部受容孔36の内周面に接触している。また、一対の側部孔99は貫通支持孔38A、38B内にそれぞれ位置しており、一対の通過許容部63は対応する側部孔99内をスライドするので、一対の通過許容部63が筒状部98と干渉することはない。
このように口金17と同じ材質からなる補強部材95によって倒れ防止用凹部35及び鍔部受容孔36の表面を構成すると、口金17を穿刺針装置30、70の内部に挿脱する際に鍔部18や環状フランジ19が補強部材95にスライドしながら接触しても、穿刺針装置70側(補強部材95)は削れ難くなる。
なお、第1の実施形態の穿刺針装置30の倒れ防止用凹部35及び鍔部受容孔36に補強部材95を嵌合して実施してもよい。
【0036】
さらに図24〜図27に示すように、図19〜図23の変形例の筒状接続部71に鍔部受容孔36の代わりとして鍔部受容孔92を形成し、鍔部受容孔92の表面をSUS304製の補強部材100で覆っても(例えば、インサート成形により一体化)よい。補強部材100は、鍔部受容孔92と同じ正面形状の角筒形状であり、その側面に一対の半円筒形状の側部孔101を凹設したものである。補強部材100の外周面は鍔部受容孔92の内周面に接触している。また、一対の側部孔101は貫通支持孔38A、38B内にそれぞれ位置しており、一対の通過許容部63は対応する側部孔101内をスライドするので、一対の通過許容部63が補強部材100と干渉することはない。
また、口金17の鍔部18’は円の両側部を互いに平行な直線に沿って切り落とした非円形形状であり、該直線によって切り落とした側面は一対の当接面18eを構成している。この鍔部18’を鍔部受容孔92に挿入すると一対の当接面18eが鍔部受容孔92の側面に接触し、かつ、鍔部18’の一対の円弧面(当接面18e以外の部分)が鍔部受容孔92の側面に接触するので、鍔部受容孔92の鍔部18’に対する相対回転は規制される。
そして、口金17と同じ材質からなる補強部材100によって鍔部受容孔92の表面を構成しているので、口金17を穿刺針装置70の内部に挿脱する際に鍔部18’が補強部材100にスライドしながら接触しても、穿刺針装置70側(補強部材100)は削れ難くなる。
【0037】
なお、口金17、補強部材95、補強部材100をSUS304以外の金属(例えば、真鍮、銅など)によって構成してもよく、この場合も補強部材95や補強部材100を設けない場合に比べて穿刺針装置30、70側の口金17による削れを抑制できる。また、口金17、補強部材95、補強部材100をSUS304以外の金属によって構成する場合も、補強部材95、補強部材100の材質は口金17の材質と同じにするのが好ましい。
さらに、穿刺針装置90の鍔部受容孔92にSUS304やその他の金属からなる補強部材100を設けてもよい。
【0038】
さらに、第1及び第2の実施形態における口金17に形成した鍔部18、及び、筒状接続部31、71の鍔部受容孔36の形状は、非円形であれば上記の形状でなくてもよく、第3の実施形態の鍔部受容孔92の形状は口金17との相対回転を所定の範囲に制限できるものであれば上記の形状でなくてもよい。また、補強部材95、100の断面形状は上記のものには限定されず、対応する鍔部受容孔の断面形状に合わせて設計変更してもよい。
また、環状フランジ19を環状とせずに、口金17の外周に突出する非環状の突部材としてもよい。
さらに、環状フランジ19を鍔部18、18’よりも口金17の先端開口側に位置させて形成してもよい。
また、ロック部材60の片側にだけ摘み部66または摘み部68を設けても良い。
さらに、第2の実施形態や上記変形例において圧縮コイルばねS1以外の付勢手段を利用することも可能である。例えば、板ばねや皿ばね、あるいはゴム等の弾性部材を利用してもよい。また、筒状接続部71の表面に磁性を有する金属を配置し、摘み部66と摘み部68の少なくとも一方を、当該金属との間でロック部材60を抜止位置側に移動させる引力を発生する磁石材料で構成してもよい。
さらに、第1、第3の実施形態や上記変形例の筒状接続部31、91に環状凹部72(雌ねじ73)を形成し、環状凹部72に弾性ワッシャ75及び抑え環76を設けても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 超音波内視鏡
11 操作部
12 超音波プローブ
13 挿入部
14 湾曲部
15 湾曲操作レバー
16 処置具挿通用突部
17 口金
18 18’ 鍔部
18a 18b 18c 18d 18e 当接面
19 環状フランジ(フランジ)
20 内部管路
21 処置具用開口
30 穿刺針装置
31 筒状接続部
32 スライダ支持孔
33 雌ねじ孔
34 中間円形孔
35 倒れ防止用凹部
36 鍔部受容孔
37 挿入規制面(挿入規制部)
38A 38B 貫通支持孔
40 第1スライダ
41 第1ストッパ部材
43 第1固定ねじ部材
44 シース
45 第2スライダ
46 後端固定部材
48 第2ストッパ部材
49 第2固定ねじ部材
51 穿刺針
52 開口
55 スタイレット支持キャップ
56 スタイレット
60 ロック部材
61 スライド部材
62 ストッパ部
63 通過許容部
64 65 係合突部
66 68 摘み部
67 69 取付孔
70 穿刺針装置
71 筒状接続部
72 環状凹部
73 雌ねじ
74 支持凹部
75 弾性ワッシャ(弾性挿入規制部)(挿入規制部)
76 抑え環
77 雄ねじ
78 内周孔の後部(環状面)
81 第1ストッパ部材
86 後端固定部材
88 第2ストッパ部材
90 穿刺針装置
91 筒状接続部
92 鍔部受容孔
95 補強部材
96 円盤部
97 貫通孔
98 筒状部
99 側部孔
100 補強部材
101 側部孔
S1 圧縮コイルばね(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波内視鏡に突設した非円形の鍔部を備える口金を内部空間の所定位置まで挿入したときに上記口金と当接して該口金のそれ以上の挿入を規制する挿入規制部、及び、上記口金を上記所定位置まで挿入したときに上記鍔部が相対回転不能に嵌合する非円形の鍔部受容孔、を有する筒状接続部と、
上記内部空間を通って筒状接続部の外部に突出し、上記口金を該内部空間に挿入したときに該口金の内部を通って上記超音波内視鏡の内部管路に挿入する可撓性を有するシースと、
該シース内に進退可能に挿入した穿刺針と、
上記筒状接続部内に支持した、上記口金の上記所定位置までの挿脱を許容する挿脱許容位置と、上記所定位置まで挿入した上記鍔部に接触して該鍔部の上記筒状接続部に対する脱出方向への移動を規制する抜止位置との間を相対可能なロック部材と、
を備えることを特徴とする超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項2】
請求項1記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記鍔部受容孔が上記鍔部と同じ形状である超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項3】
超音波内視鏡に突設した鍔部を備える口金を内部空間の所定位置まで挿入したときに上記口金と当接して該口金のそれ以上の挿入を規制する挿入規制部、及び、上記口金を上記所定位置まで挿入したときに該鍔部が上記口金の軸線周りに相対回転するのを所定角度内で規制する鍔部受容孔、を有する筒状接続部と、
上記内部空間を通って筒状接続部の外部に突出し、上記口金を該内部空間に挿入したときに該口金の内部を通って上記超音波内視鏡の内部管路に挿入する可撓性を有するシースと、
該シース内に進退可能に挿入した穿刺針と、
上記筒状接続部内に支持した、上記口金の上記所定位置までの挿脱を許容する挿脱許容位置と、上記所定位置まで挿入した上記鍔部が上記所定角度内のいずれの位置に位置するときも、該鍔部に上記挿入規制部と反対側から接触して該鍔部の上記筒状接続部に対する脱出方向への移動を規制する抜止位置との間を相対可能なロック部材と、
を備えることを特徴とする超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記ロック部材と上記筒状接続部の間に、該ロック部材を上記抜止位置に向けて移動付勢する付勢手段を設けた超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記口金が、上記鍔部よりも超音波内視鏡の本体側に位置し、かつ口金を上記所定位置まで挿入したときに上記挿入規制部に当接する、該口金の軸線に対して略直交するフランジを外周部に備え、
上記挿入規制部が、上記筒状接続部の軸線に対して略直交する挿入規制面である超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記口金が、上記鍔部よりも超音波内視鏡の本体側に位置し、かつ口金を上記所定位置まで挿入したときに上記挿入規制部に当接する、該口金の軸線に対して略直交するフランジを外周部に備え、
上記挿入規制部が、弾性材料からなる弾性挿入規制部である超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項7】
請求項5または6項記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記フランジが環状フランジであり、
上記筒状接続部に、上記口金を上記内部空間に上記所定位置まで挿入したときに該環状フランジの周面が接触する環状面を形成した超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記ロック部材に、上記筒状接続部の外側に位置する摘み部を形成した超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項9】
請求項8記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記ロック部材が上記筒状接続部を貫通し、かつ、該ロック部材の両端部に上記摘み部を形成した超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記鍔部受容孔の表面を金属により構成した超音波内視鏡用穿刺針装置。
【請求項11】
請求項10記載の超音波内視鏡用穿刺針装置において、
上記鍔部受容孔の表面と上記口金を同一の金属により構成した超音波内視鏡用穿刺針装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−269126(P2010−269126A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95(P2010−95)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】