説明

超音波内視鏡装置

【課題】ラジアル型超音波内視鏡とコンベックス型超音波内視鏡のどちらの超音波信号コネクタにも超音波断層画像信号を処理するための信号処理回路を設けることなく、その超音波信号コネクタを共通の超音波信号処理装置に接続して使用することができて、経済性に優れ、超音波信号コネクタの小型化も容易な超音波内視鏡装置を提供すること。
【解決手段】超音波信号処理装置30に、ラジアル型信号処理回路31と、コンベックス型信号処理回路32とを併設すると共に、接続された超音波信号コネクタ17,27がラジアル型超音波内視鏡10のものであるかコンベックス型超音波内視鏡20のものであるかを判定する接続機種判定手段33を設け、その判定結果に対応してラジアル型信号処理回路31又はコンベックス型信号処理回路32の一方を選択して、超音波信号コネクタ17,27から入力された超音波断層画像信号を送るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体腔内に挿入される挿入部の先端に超音波プローブが設けられた超音波内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡装置は一般に、挿入部の先端に設けられた超音波プローブから出力された超音波断層画像信号が、超音波信号ケーブルの先端に設けられた超音波信号コネクタに導かれ、超音波信号コネクタに対して接続/分離自在に設けられた超音波信号処理装置で超音波断層画像信号が処理されて、モニタに超音波断層画像が表示されるように構成されている。
【0003】
ただし超音波内視鏡には、挿入部の先端の軸線周りをラジアル走査するラジアル型超音波内視鏡と、挿入部の側方を前後方向にセクタ走査するコンベックス型超音波内視鏡とがあり、超音波断層画像を表示させるためには異なる信号処理が必要となる。
【0004】
そこで従来の超音波内視鏡装置においては、ラジアル型とコンベックス型とで異なる各々のための信号処理回路を各々の超音波信号コネクタ内に配置して、共通回路を超音波信号処理装置内に配置していた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−41333
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波内視鏡装置が導入されている総合病院等においては、機種が相違する多数の超音波内視鏡に対して一台の超音波信号処理装置が共用されるのが普通である。また、超音波信号処理装置は一般に、超音波内視鏡に比べて壊れ難くて寿命が長い。
【0006】
したがって、超音波断層画像信号を処理するための信号処理回路が各超音波内視鏡に設けられている構成は、非常に経済性が悪く、また、信号処理回路を内蔵した超音波信号コネクタは大型のものになってしまうので取り回し性が悪いだけでなく、超音波内視鏡を内視鏡専用自動洗浄器に入れて洗浄することもできない等の問題があった。
【0007】
本発明は、ラジアル型超音波内視鏡とコンベックス型超音波内視鏡のどちらの超音波信号コネクタにも超音波断層画像信号を処理するための信号処理回路を設けることなく、その超音波信号コネクタを共通の超音波信号処理装置に接続して使用することができて、経済性に優れ、超音波信号コネクタの小型化も容易な超音波内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の超音波内視鏡装置は、基端が操作部に連結された挿入部の先端に超音波プローブが設けられ、超音波プローブから出力された超音波断層画像信号が、操作部から延出する超音波信号ケーブルの先端に取り付けられた超音波信号コネクタに導かれ、超音波信号コネクタに対して接続/分離自在に設けられた超音波信号処理装置で超音波断層画像信号が処理されて、モニタに超音波断層画像が表示されるように構成された超音波内視鏡装置において、超音波信号処理装置に、ラジアル型超音波内視鏡から出力される超音波断層画像信号を処理するためのラジアル型信号処理回路と、コンベックス型超音波内視鏡から出力される超音波断層画像信号を処理するためのコンベックス型信号処理回路とを併設すると共に、接続された超音波信号コネクタがラジアル型超音波内視鏡のものであるかコンベックス型超音波内視鏡のものであるかを判定する接続機種判定手段を設け、接続機種判定手段における判定結果に対応してラジアル型信号処理回路又はコンベックス型信号処理回路の一方を選択して、超音波信号コネクタから入力された超音波断層画像信号を送るようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多数の超音波内視鏡に対して一台だけ準備すればよくしかも寿命の長い超音波信号処理装置内に、ラジアル型信号処理回路とコンベックス型信号処理回路とが設けられて、各超音波内視鏡の超音波信号コネクタには断層画像信号を処理するための回路を設ける必要がないので、設備全体での装置コストが下がって経済性に優れ、超音波信号コネクタを小型化して超音波内視鏡を内視鏡用自動洗浄器で洗浄することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
基端が操作部に連結された挿入部の先端に超音波プローブが設けられ、超音波プローブから出力された超音波断層画像信号が、操作部から延出する超音波信号ケーブルの先端に取り付けられた超音波信号コネクタに導かれ、超音波信号コネクタに対して接続/分離自在に設けられた超音波信号処理装置で超音波断層画像信号が処理されて、モニタに超音波断層画像が表示されるように構成された超音波内視鏡装置において、超音波信号処理装置に、ラジアル型超音波内視鏡から出力される超音波断層画像信号を処理するためのラジアル型信号処理回路と、コンベックス型超音波内視鏡から出力される超音波断層画像信号を処理するためのコンベックス型信号処理回路とを併設すると共に、接続された超音波信号コネクタがラジアル型超音波内視鏡のものであるかコンベックス型超音波内視鏡のものであるかを判定する接続機種判定手段を設け、接続機種判定手段における判定結果に対応してラジアル型信号処理回路又はコンベックス型信号処理回路の一方を選択して、超音波信号コネクタから入力された超音波断層画像信号を送るようにする。
【実施例】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図3は、本発明の実施例のラジアル型超音波内視鏡10の全体構成を示しており、可撓性の挿入部1の基端が操作部2の下端に連結されている。
【0012】
挿入部1の先端には、軸線回りに放射状に超音波を発受信するいわゆるラジアル走査の超音波プローブ13が配置されて、そのラジアル型の超音波プローブ13に入出力される信号を伝送するための複数の超音波信号線14が挿入部1に内挿されている。
【0013】
また、挿入部1の先端には、光学観察のための図示されていない観察窓と照明窓とが併設され、照明光を伝達するための図示されていないライトガイドファイバが挿入部1に内挿されて、その射出端が照明窓の内側に位置している。
【0014】
操作部2の後面の上端部近傍位置からは、共に可撓性の超音波信号ケーブル5とライトガイドケーブル6とが延出配置されている。そして、超音波信号線14が挿入部1内から操作部2内を通って超音波信号ケーブル5に内挿され、ライトガイドファイバが挿入部1内から操作部2内を通ってライトガイドケーブル6に内挿されている。
【0015】
そして、超音波信号ケーブル5の先端には、後述する超音波信号処理装置に対して接続/分離自在な超音波信号コネクタ17が取り付けられ、ライトガイドケーブル6の先端には、図示されていない外部の光源装置(兼ビデオプロセッサ)に対して接続/分離自在なライトガイドコネクタ8が取り付けられている。
【0016】
超音波信号コネクタ17には、超音波信号処理装置のコネクタ受けに電気的に接続される多数の接続端子が配置されていて、各接続端子に超音波信号線14が個別に接続されている。ただし、超音波断層画像信号の処理を行うための回路は超音波信号コネクタ17に内蔵されていない。
【0017】
図4は、本発明の実施例のコンベックス型超音波内視鏡20の全体構成を示しており、挿入部1の先端には、挿入部1の先端の側方を前後方向(図4において上下方向)にセクタ走査するコンベックス型の超音波プローブ23が配置されて、そのコンベックス型の超音波プローブ23に入出力される信号を伝送するための複数の超音波信号線24が挿入部1に内挿されている。
【0018】
そして、超音波信号ケーブル5の先端には、ラジアル型超音波内視鏡10と同じ超音波信号処理装置に対して接続/分離自在な超音波信号コネクタ27が取り付けられて、その超音波信号コネクタ27に設けられている多数の接続端子に超音波信号線24が個別に接続されている。その他の構成はラジアル型超音波内視鏡10と同じである。
【0019】
図1は、超音波信号処理装置30にラジアル型超音波内視鏡10の超音波信号コネクタ17が接続された状態を略示している。
超音波信号処理装置30内には、ラジアル型超音波内視鏡から出力される超音波断層画像信号を処理するためのラジアル型信号処理回路31とコンベックス型超音波内視鏡から出力される超音波断層画像信号を処理するためのコンベックス型信号処理回路32とが併設されていて、ラジアル型信号処理回路31とコンベックス型信号処理回路32の各々の映像信号出力端がモニタ40に接続されている。
【0020】
超音波信号コネクタ17,27が接続/分離自在に接続されるコネクタ受けには、CPU(中央演算装置)によって制御される信号識別回路33(接続機種判定手段)が接続されていて、コネクタ受けに接続されているのがラジアル型超音波内視鏡10の超音波信号コネクタ17であるのか、コンべックス型超音波内視鏡20の超音波信号コネクタ27であるのかを判定する。
【0021】
その判定は、具体的には、例えば超音波信号線14,24の静電容量の測定を行うことにより行われる。ただし、超音波信号コネクタ17,27の多数の接点ピンの電気信号の配置状態を認識することで判定を行うようにしてもよい。
【0022】
そして、その判定結果に対応してラジアル型信号処理回路31又はコンベックス型信号処理回路32の一方が選択され、ここでは、ラジアル型超音波内視鏡10の超音波信号コネクタ17が接続されているので、超音波信号コネクタ17から入力された超音波断層画像信号がラジアル型信号処理回路31に送られて、モニタ40にラジアル走査による断層画像が表示される。
【0023】
なお、超音波信号コネクタ17,27の判定結果に基づくラジアル型信号処理回路31とコンベックス型信号処理回路32の選択等は、CPU(中央演算装置)による処理で容易に行うことができるものなので、ソフトウェアの図示等は省略する。
【0024】
そして、図2に示されるように、超音波信号処理装置30のコネクタ受けにコンべックス型超音波内視鏡20の超音波信号コネクタ27が接続されると、信号識別回路33による制御で、超音波信号コネクタ27から入力された超音波断層画像信号がコンベックス型信号処理回路32に送られて、モニタ40にセクタ走査による断層画像が表示される。
【0025】
このように構成された超音波内視鏡装置を用いることにより、多数の超音波内視鏡10,20に対して一台だけ準備すればよくてしかも寿命の長い超音波信号処理装置30内に、ラジアル型信号処理回路31とコンベックス型信号処理回路32とが設けられて、超音波信号コネクタ17,27内には断層画像信号を処理するための回路を設ける必要がないので、設備全体での装置コストが下がって経済性に優れ、超音波信号コネクタ17,27を小型化して超音波内視鏡10,20を内視鏡用自動洗浄器で洗浄することも容易に行うことができる等のメリットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例の超音波内視鏡装置において、超音波信号処理装置にラジアル型超音波内視鏡の超音波信号コネクタが接続された状態の全体構成のブロック図である。
【図2】本発明の実施例の超音波内視鏡装置において、超音波信号処理装置にコンベックス型超音波内視鏡の超音波信号コネクタが接続された状態の全体構成のブロック図である。
【図3】本発明の実施例のラジアル型超音波内視鏡の外観図である。
【図4】本発明の実施例のコンベックス型超音波内視鏡の外観図である。
【符号の説明】
【0027】
1 挿入部
2 操作部
5 超音波信号ケーブル
10 ラジアル型超音波内視鏡
13 超音波プローブ
17 超音波信号コネクタ
20 コンべックス型超音波内視鏡
23 超音波プローブ
27 超音波信号コネクタ
30 超音波信号処理装置
31 ラジアル型信号処理回路
32 コンベックス型信号処理回路
33 信号識別回路(接続機種判定手段)
40 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端が操作部に連結された挿入部の先端に超音波プローブが設けられ、上記超音波プローブから出力された超音波断層画像信号が、上記操作部から延出する超音波信号ケーブルの先端に取り付けられた超音波信号コネクタに導かれ、上記超音波信号コネクタに対して接続/分離自在に設けられた超音波信号処理装置で上記超音波断層画像信号が処理されて、モニタに超音波断層画像が表示されるように構成された超音波内視鏡装置において、
上記超音波信号処理装置に、ラジアル型超音波内視鏡から出力される超音波断層画像信号を処理するためのラジアル型信号処理回路と、コンベックス型超音波内視鏡から出力される超音波断層画像信号を処理するためのコンベックス型信号処理回路とを併設すると共に、接続された超音波信号コネクタがラジアル型超音波内視鏡のものであるかコンベックス型超音波内視鏡のものであるかを判定する接続機種判定手段を設け、上記接続機種判定手段における判定結果に対応してラジアル型信号処理回路又はコンベックス型信号処理回路の一方を選択して、上記超音波信号コネクタから入力された超音波断層画像信号を送るようにしたことを特徴とする超音波内視鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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