説明

超音波内視鏡

【課題】超音波観察によって得られる像の描画性を向上させた超音波内視鏡を提供する。
【解決手段】超音波内視鏡10は、先端部と基端部とを有する挿入部と、前記挿入部の基端部に設けられた操作部と、前記挿入部に挿通され、前記挿入部の先端部に開口部を有する少なくとも1対の吸引チャンネルと、前記吸引チャンネルの開口部の間に配設された超音波振動子とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、超音波内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、超音波内視鏡について開示されている。この超音波内視鏡は、挿入部と、挿入部の基端部に設けられた操作部とを備えている。挿入部の先端部には、光学観察用の対物レンズが固定されている。超音波振動子は挿入部の先端に対して突出可能である。このため、超音波振動子を挿入部の先端から突き出した状態でも超音波観察可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−292997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、超音波振動子を内視鏡の挿入部の先端に対して突き出した状態でも、その突出量によっては光学観察に必要な焦点距離を確保することができない場合がある。
【0005】
この発明は、超音波観察画像が安定して描出される超音波内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る超音波内視鏡は、先端部と基端部とを有する挿入部と、前記挿入部の基端部に設けられた操作部と、前記挿入部に挿通され、前記挿入部の先端部に開口部を有する少なくとも1対の吸引チャンネルと、前記吸引チャンネルの開口部の間に配設された超音波振動子とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、超音波観察画像が安定して描出される超音波内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波内視鏡を示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示す概略的な縦断面図である。
【図3A】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示し、超音波プローブの超音波振動子の中心軸(振動面)が第1のワーキングチャンネルの中心軸上にあることを示す概略図である。
【図3B】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示し、超音波プローブの超音波振動子の中心軸が第2のワーキングチャンネルの中心軸上にあることを示す概略図である。
【図4A】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部および操作部に挿通される超音波プローブの動作状態を示す概略図である。
【図4B】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の操作部を示し、スライダを移動レバーの枢支部から離隔させる状態に移動させて超音波振動子ケーブルを挿入部の先端側に押し出した状態を示す概略図である。
【図4C】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の操作部を示し、スライダを移動レバーの枢支部に近接させる状態に移動させて超音波振動子ケーブルを挿入部の基端側に引き込んだ状態を示す概略図である。
【図5A】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部に設けられた、図4Aに示す回転ノブの近傍の状態を示し、図5B中の5A−5A線に沿う概略的な縦断面図である。
【図5B】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部に設けられた回転ノブの近傍の状態を示し、図5A中の5B−5B線に沿う概略的な縦断面図である。
【図5C】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部に設けられた回転ノブの状態を示し、図5A中の5C−5C線に沿う概略的な横断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係る、超音波内視鏡、ビデオプロセッサおよび超音波観測装置を含む内視鏡システムを示す概略的なブロック図である。
【図7A】第1の実施の形態に係る内視鏡システムのビデオプロセッサに接続される光学観察用モニタを示し、そのモニタの表示画面に光学観察像を示すとともに、その光学観察像に重ね合わせて格子を表示した状態を示す概略図である。
【図7B】第1の実施の形態に係る内視鏡システムのビデオプロセッサに接続される光学観察用モニタを示し、そのモニタの表示画面に光学観察像を示すとともに、その光学観察像に重ね合わせて目盛りを表示した状態を示す概略図である。
【図8A】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端から超音波プローブの超音波振動子およびその保持部が突出し、かつ、超音波振動子の振動面を第2のワーキングチャンネルの中心軸上に配置した状態を表示する概略的な斜視図である。
【図8B】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端から超音波プローブの超音波振動子、保持部、および半球状部を突出させ、かつ、超音波振動子の振動面を第1のワーキングチャンネルの中心軸上に配置するように回動させた状態を表示する概略的な斜視図である。
【図8C】第1の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端から超音波プローブの超音波振動子、保持部、および半球状部を突出させた状態から超音波プローブの超音波振動子およびその保持部が突出する状態に引き込み、かつ、超音波振動子の振動面を第1のワーキングチャンネルの中心軸上に配置した状態を表示する概略的な斜視図である。
【図9】第1の実施の形態に係る、超音波内視鏡、ビデオプロセッサおよび超音波観測装置を含む内視鏡システムの変形例を示す概略的なブロック図である。
【図10】第1の実施の形態に係る、超音波内視鏡、ビデオプロセッサおよび超音波観測装置を含む内視鏡システムの変形例を示す概略的なブロック図である。
【図11A】第2の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示す概略図である。
【図11B】第2の実施の形態に係る超音波内視鏡の超音波プローブの先端部を示す概略図である。
【図12A】第3の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示し、超音波プローブの超音波振動子を挿入部の先端部の先端面から突出させた状態を示す概略的な斜視図である。
【図12B】第3の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示し、超音波プローブの超音波振動子を挿入部の先端部の先端面から突出させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図12C】第3の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示し、超音波プローブの超音波振動子を挿入部の先端部の先端面と略面一な状態に配置した状態を示す概略的な斜視図である。
【図12D】第3の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示し、超音波プローブの超音波振動子を挿入部の先端部の先端面と略面一な状態に配置した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図13】第4の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示し、超音波プローブの超音波振動子を挿入部の先端部の先端面から突出させた状態を示す概略的な斜視図である。
【図14A】第5の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示す概略図である。
【図14B】第5の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部の、図14Aに示す14B−14B線に沿う概略的な縦断面図である。
【図14C】第5の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部の、図14Bに示すワーキングチャンネルに処置具を挿通した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図15A】第5の実施の形態に係る超音波内視鏡の超音波振動面にワーキングチャンネルを通した処置具を交差させた状態を示す概略図である。
【図15B】第5の実施の形態に係る超音波内視鏡の超音波振動面にワーキングチャンネルを通した処置具を平行に配置した状態を示す概略図である。
【図16A】第6の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端面を示す概略的な正面図である。
【図16B】第6の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示す概略的な縦断面図である。
【図17】第7の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示す概略的な縦断面図である。
【図18】第8の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部を示す概略的な縦断面図である。
【図19】第9の実施の形態に係る2つの超音波内視鏡を、一方を経口的に胃内に、他方を経皮的に胃外に導入した状態を示す概略図である。
【図20】第9の実施の形態に係る2つの超音波内視鏡の挿入部の先端から超音波を送受信して、対向する位置を探す状態を示す概略図である。
【図21A】第9の実施の形態に係る2つの超音波内視鏡のうちの一方を経口的にまたは経肛門的に腸内に配置した状態を示す概略図である。
【図21B】第9の実施の形態に係る2つの超音波内視鏡のうちの一方を経口的にまたは経肛門的に腸内に配置し、他方を経皮的に導入して隣接する臓器を押し退けて一方の超音波内視鏡の挿入部の先端との間で超音波を送受信して、対向する位置を探す状態を示す概略図である。
【図21C】第9の実施の形態に係る2つの超音波内視鏡のうちの他方の超音波内視鏡の湾曲部を操作して、2つの超音波内視鏡の挿入部の先端が対向する状態を維持しつつ腸壁と臓器との間に空間を作った状態を示す概略図である。
【図21D】第9の実施の形態に係る2つの超音波内視鏡のうちの一方から穿刺針によって、関心部位を含む腸壁に穿刺し、その穿刺針の先に、他方の超音波内視鏡の挿入部の先端が配置されていることを示す概略図である。
【図22A】第10の実施の形態に係る内視鏡システムを示す概略的な斜視図である。
【図22B】第10の実施の形態に係る内視鏡システムのシースの先端から突出する光学観察用内視鏡、超音波観察用内視鏡および超音波プローブを示す概略図である。
【図22C】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図22B中の符号22Cで示す位置の光学観察用内視鏡の挿入部の先端部を示す概略図である。
【図22D】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図22B中の符号22Dで示す位置の超音波観察用内視鏡の挿入部の先端部を示す概略図である。
【図22E】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける、図22B中の符号22Eで示す位置の超音波プローブの挿入部の先端部を示す概略図である。
【図23】第10の実施の形態に係る内視鏡システムの本体ケースのスロットに光学観察用内視鏡を配置可能であることを示す概略図である。
【図24】第10の実施の形態に係る内視鏡システムの本体ケースの裏側を示す概略図である。
【図25A】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける光学観察用内視鏡で体壁を観察しながら穿刺針をチャンネルから突出させて関心部位から離れた位置を穿刺する状態を示すとともに、超音波観察用内視鏡で関心部位を超音波観察する状態を示す概略図である。
【図25B】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける光学観察用内視鏡で体壁を観察し、超音波観察用内視鏡で関心部位を観察し、超音波プローブを穿刺針で穿刺した位置から導入して、超音波プローブの先端の超音波振動子を関心部位の裏側に配置しようとすることを示す概略図である。
【図25C】第10の実施の形態に係る内視鏡システムにおける光学観察用内視鏡で体壁を観察し、超音波観察用内視鏡で関心部位を観察し、超音波プローブの先端で臓器を体壁から押し退けて空間を作成しようとすることを示す概略図である。
【図26】第11の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部の概略的な正面図である。
【図27A】第11の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部にキャップを装着した状態で内視鏡の挿入部のキャップの先端を体壁に当接させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図27B】第11の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部のキャップ内に生体組織を吸引しながら超音波観察する状態を示す概略的な縦断面図である。
【図27C】第11の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部のキャップ内に生体組織を吸引しながら超音波観察するとともに、吸引路を通じて体壁に穿刺針を穿刺した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図27D】第11の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部のキャップ内に生体組織を吸引しながら超音波観察するとともに、吸引路を通じて体壁にTバーを含む穿刺針を穿刺してTバーを体壁に留置する状態を示す概略的な縦断面図である。
【図28A】第12の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端面を示す概略的な正面図である。
【図28B】第12の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部の先端面を体壁に当接させる状態を示す概略的な縦断面図である。
【図28C】第12の実施の形態に係る超音波内視鏡の挿入部の先端部の先端面を体壁に当接させた状態で、穿刺針で体壁を穿刺した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図29】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を示す概略図である。
【図30A】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて留置されるTバーを示す概略的な斜視図である。
【図30B】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて留置されるTバーを示す概略的な縦断面図である。
【図31A】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて留置されるTバーのバーの形状を示す概略的な斜視図である。
【図31B】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて留置されるTバーのバーの形状を示す概略的な斜視図である。
【図31C】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて留置されるTバーのバーの形状を示す概略的な斜視図である。
【図32】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管およびTバーのバーを示す概略図である。
【図33】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管の概略的な斜視図である。
【図34A】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管にTバーのバーを装着しようとする状態を示す概略的な斜視図である。
【図34B】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管にTバーのバーを装着した状態を示す概略的な斜視図である。
【図34C】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管にTバーのバーを装着してシースを被せた状態を示す概略的な斜視図である。
【図35】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管にTバーのバーを装着してシースを被せた状態からシースを基端側に除去した状態を示す概略的な斜視図である。
【図36A】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管の先端で体壁を穿孔した状態を示す概略図である。
【図36B】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管の先端で体壁を穿孔し、超音波内視鏡で針管の先端を観察しながらプッシャでTバーのバーを脱落させた状態を示す概略図である。
【図36C】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管の先端からTバーのバーを脱落させた後、Tバー結紮装置の針管を体壁から引き抜いた状態を示す概略図である。
【図36D】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて体壁にTバーを配置した後、他の把持鉗子でTバーの紐状部材または球体を把持する状態を示す概略図である。
【図36E】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて体壁にTバーを配置し、他の把持鉗子でTバーの紐状部材または球体を把持した後、把持鉗子の外周を覆うシースの先端でストッパをバーに近接する状態に紐状部材に沿って移動させる状態を示す概略図である。
【図37】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて留置される、ダブルバーを有するTバーを示す概略的な斜視図である。
【図38】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置を用いて留置される、ダブルバーを有するTバーを示す概略的な斜視図である。
【図39】第13の実施の形態に係るTバー結紮装置の針管の内部に、ダブルバーを有するTバーを配置した状態を示す概略的な縦断面図である。
【図40】第14の実施の形態に係る超音波内視鏡のワーキングチャンネルに挿通されるシースを示す概略図である。
【図41A】第14の実施の形態に係る超音波内視鏡のワーキングチャンネルに挿通されるシースの先端部を示す概略的な縦断面図である。
【図41B】第14の実施の形態に係る超音波内視鏡のワーキングチャンネルに挿通されるシースの先端部のバルーンを膨張させた状態を示す概略的な縦断面図である。
【図42】第14の実施の形態に係る超音波内視鏡のワーキングチャンネルに挿通されるシースの基端部を示す概略的な縦断面図である。
【図43】第14の実施の形態に係る超音波内視鏡のワーキングチャンネルに挿通されるシースの先端部に配設されるバルーンを示す概略的な縦断面図である。
【図44A】第14の実施の形態に係る超音波内視鏡のワーキングチャンネルにシースを挿通させずに超音波観察しようとする状態を示す概略的な縦断面図である。
【図44B】第14の実施の形態に係る超音波内視鏡のワーキングチャンネルにシースを挿通させてバルーンを膨張させて超音波観察しようとする状態を示す概略的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について図1ないし図10を用いて説明する。
【0011】
図1に示す超音波内視鏡10は、被写体を超音波観察する超音波観察機能と、光学観察する光学観察機能とを備えている。超音波内視鏡10は、細長い挿入部12と、この挿入部12の基端部に設けられた操作部14と、操作部14から延出されたユニバーサルコード16とを備えている。ユニバーサルコード16には、図示しない光源や、図6に示す超音波観測装置84や、ビデオプロセッサ82が接続されるコネクタ18が配設されている。
【0012】
図2ないし図3Bに示すように、挿入部12から操作部14の一部にかけては第1のワーキングチャンネル(鉗子チャンネル、処置具挿通チャンネル)22、第2のワーキングチャンネル(鉗子チャンネル、処置具挿通チャンネル)24、および、超音波プローブ用チャンネル26が挿通されている。第1のワーキングチャンネル22、第2のワーキングチャンネル24、および、超音波プローブ用チャンネル26は並設されている。
【0013】
図1に示すように、挿入部12は、先端硬性部32と、湾曲部34と、可撓管部36とを備えている。可撓管部36は、挿入部12が生体の管腔の形状等に導入されたときに、管腔壁から与えられる反力に応じて曲げられる。湾曲部34は、操作部14の湾曲操作ノブ14aを回動させることにより所望の方向に湾曲させることが可能である。図3Aおよび図3Bに示すように、先端硬性部32は、光学観察用の対物レンズ(光学観察系)38と、ワーキングチャンネル22,24のチャンネル開口部22a,24aと、超音波プローブ用チャンネル26のプローブ用チャンネル開口部26aとを備えている。先端硬性部32は、光学観察用に被写体を照明するために照明光を出射する照明レンズ(図示せず)をさらに備えている。
【0014】
図3Aおよび図3Bに示すように、プローブ用チャンネル26のプローブ用チャンネル開口部26aは、略正六角形状に形成されている。プローブ用チャンネル開口部26aは、先端硬性部32の外径を細くするため、外周面の一部が除去されている。プローブ用チャンネル開口部26aは、先端硬性部32の先端面側では略正六角形状であるが、その基端部側では、挿入部12の基端部側に凸状態の略半球状に縁部26bが形成されている。さらに、この略半球状の縁部26bの基端部には、チャンネル開口部26aに内接する円の直径よりも内径が小さく可撓性を有するチューブ26cが配設されている。このように、先端硬性部32のチャンネル開口部26a、略半球状の縁部26b、および、可撓性を有するチューブ26cにより超音波プローブ用チャンネル26が形成されている。
【0015】
内視鏡10の挿入部12の先端面に設けられた第1のチャンネル開口部22aは、後述する超音波プローブ50が配設されるプローブ用チャンネル26の正六角形の4つの縁部28a,28b,28c,28dのうち、第2の縁部28bに対して直交するとともに、正六角形の中心を通る方向に設けられている。第2のチャンネル開口部24aは、第3の縁部28cに対して直交するとともに、正六角形の中心を通る方向に設けられている。さらに、対物レンズ38は、第1のチャンネル22および第2のチャンネル24のそれぞれのチャンネル開口部22a,24aから処置具等(図示せず)を観察可能な位置に設けられている。対物レンズ38から第1のチャンネル22および第2のチャンネル24のそれぞれのチャンネル開口部22a,24aの中心C,Cまでの距離は等距離であることが好適である。すなわち、対物レンズ38の中心Oと、第1のワーキングチャンネル開口部22aの中心Cと、第2のワーキングチャンネル開口部24aの中心Cとを頂点とする正三角形または二等辺三角形が形成される。
【0016】
これら第1および第2のワーキングチャンネル22,24の基端部は、操作部14に設けられている。ワーキングチャンネル22,24の基端側の開口部(鉗子口)には、例えば隣接した位置に鉗子栓22b,24bが配設されている。
【0017】
第1および第2のワーキングチャンネル22,24には、処置具や鉗子を挿通させることができる。このため、これら処置具や鉗子の先端を体内に挿入することができる。また、第1および第2のワーキングチャンネル22,24を通して液体や気体を体内に送り込むことができ、また、体内から液体や気体を吸引することができる。
【0018】
図4Aに示すように、超音波プローブ用チャンネル26には、細長い超音波プローブ(超音波観察系)50が配設されている。この超音波プローブ50は、図2に示すように、超音波観察用の電子コンベックス型超音波振動子52と、この超音波振動子52を先端に保持する略正六角柱状の保持部54と、この保持部54の基端部に配設された半球状部56と、この半球状部56の基端部に設けられ可撓性を有する振動子ケーブル58とを備えている。振動子ケーブル58、半球状部56、保持部54および超音波振動子52は同軸上に配設されている。ここでは、保持部54の形状を略正六角柱として説明するが、正五角柱など、他の正多角柱であることも好適である。また、これに合わせて超音波プローブ用チャンネル26の形状も変化する。さらに、保持部54の形状は、略正六角錐などの略正多角錐状に形成されていることも好適である。これに合わせて超音波プローブ用チャンネル26の形状も変化する。この場合、保持部54のうち、横断面の面積が大きい側は挿入部12の先端面よりも外側に突出し、横断面の面積が小さい側は挿入部12の先端面よりも基端側に引き込まれる。
【0019】
振動子ケーブル58は、超音波プローブ用チャンネル26に挿通されている。半球状部56は、プローブ用チャンネル開口部26aの基端部側の略半球状の部分に嵌合される。保持部54は、超音波プローブ用チャンネル26のプローブ用チャンネル開口部26aに嵌合可能な大きさに形成されている。超音波振動子52は、略正六角形状の保持部54の中心軸上に配設されている。このため、超音波プローブ50の先端部の保持部54は、通常の使用の際には、超音波プローブ用チャンネル26のプローブ用チャンネル開口部26aに対する回動が防止される。図3Aおよび図3Bに示すように、振動子52の振動面(走査面)Sは、第1のワーキングチャンネル22または第2のワーキングチャンネル24の方向に選択的に向けられる。
【0020】
図2に示すように、保持部54の先端から半球状部56までの軸方向の長さは、超音波プローブ用チャンネル26のプローブ用チャンネル開口部26aから半球状の縁部26bまでの長さよりも長く形成されている。このため、保持部54はプローブ用チャンネル開口部26aから突出している。すなわち、超音波振動子52は、内視鏡10の挿入部12の先端硬性部32の先端面から突出した位置にある。
【0021】
なお、振動子ケーブル58の外周面には、後述する駆動ピン74が配設される凹部58aが形成されている。
【0022】
図4Bおよび図4Cに示すように、操作部14には、超音波プローブ50を挿入部12の軸方向に沿って移動させるための軸方向移動レバー62が枢支部62aに枢支されている。この移動レバー62は、リンク64およびスライダ66を介して超音波プローブ50の振動子ケーブル58の基端部に連結されている。
【0023】
このため、操作部14の移動レバー62を操作すると、リンク64を介してスライダ66が挿入部12の軸方向(超音波プローブ用チャンネル26の軸方向)に沿って移動する。したがって、スライダ66に基端部が連結された振動子ケーブル58が挿入部12の軸方向に沿って移動する。そうすると、振動子ケーブル58の先端部に配設された半球状部56および保持部54が挿入部12の軸方向に沿って移動する。
【0024】
なお、リンク64は、第1のリンク部材64aと、第2のリンク部材64bと、第1の枢支部64cと、第2の枢支部64dとを備えている。第1のリンク部材64aの一端は移動レバー62の枢支部62aに枢支されている。第1のリンク部材64aの他端は第1の枢支部64cを介して第2のリンク部材64bの一端に連結されている。第2のリンク部材64bの他端は第2の枢支部64dを介してスライダ66に連結されている。
【0025】
図4A、図5Aないし図5Cに示すように、挿入部12の基端部側には、少なくとも一部が挿入部12の外周面に露出され、プローブ用チャンネル26の軸周りに回動可能な回転ノブ72が複数のOリングを介して配設されている。この回転ノブ72には、駆動ピン74が、回転ノブ72の外側から係止ピン74aで固定されている。駆動ピン74の先端は、プローブ用チャンネル26の外周面を貫通して、振動子ケーブル58の一部に形成された凹部58aに配設されている。このため、回転ノブ72を挿入部12の軸周りに回動させると、その力が駆動ピン74を介して振動子ケーブル58に伝達される。このため、振動子ケーブル58がプローブ用チャンネル26の軸回りに回動する。そうすると、振動子ケーブル58の先端部に配設された保持部54もプローブ用チャンネル26の軸周りに回動する。
【0026】
なお、図2に示すように、超音波プローブ50の保持部54がプローブ用チャンネル26のチャンネル開口部26aに固定された状態では、観察光学系の対物レンズ38の焦点距離FLは、内視鏡10の挿入部12の先端面からの超音波プローブ50の超音波振動子52までの距離に略一致する。このため、生体組織の略同じ位置を光学観察および超音波観察の両方で観察することができる。
【0027】
なお、ここでは、図5Aおよび図5Cに示すように、振動子ケーブル58に凹部58aが形成され、その凹部58aに駆動ピン74が配設されているものとした。しかし、このような構成に限ることはない。例えば、振動子ケーブル58の外周面に凸部が形成され、その凸部を回転ノブ72に設けられた狭持片によって狭持することも好ましい。このように構成して回転ノブ72を回動させると、狭持片に狭持された振動子ケーブル58の凸部が力を受けて、振動子ケーブル58が回動する。この場合、振動子ケーブル58に凹部58aを設ける必要がないので、振動子ケーブル58の内部構成に影響を与えることが防止される。また、回転ノブ72を挿入部12の基端部に設けることで、挿入部12を体腔内に挿入する挿入径に影響を与えることが防止される。
【0028】
図6に示すように、内視鏡システム1は、超音波内視鏡10と、ビデオプロセッサ82と、超音波観測装置84と、光学観察用モニタ86と、超音波観察用モニタ88とを備えている。そして、超音波内視鏡10は、ビデオプロセッサ82と、超音波観測装置84とに電気的に接続されている。さらに、ビデオプロセッサ82は光学観察用モニタ86に電気的に接続され、超音波観測装置84は超音波観察用モニタ88に電気的に接続されている。
【0029】
図7に示すように、光学観察用モニタ86は、表示画面86aを備えている。この表示画面86aには、内視鏡10の光学観察像の寸法表示器90を表示可能である。寸法表示器90は、後述するCCD102で撮像した像と重ね合わせて表示可能である。寸法表示器90としては、図7Aに示す格子90aや、図7Bに示す目盛り90bを表示画面86a上に選択的に、または、同時に両方を表示可能である。
【0030】
図6に示すように、超音波内視鏡10は、超音波観察用の超音波振動子52(図2ないし図3B参照)と、光学観察用のCCD102とを備えている。ビデオプロセッサ82は、CPU104と、CCD駆動信号制御回路106と、CCD駆動信号発生回路108と、ビデオプロセス回路110と、グラフィックメモリ112とを備えている。CPU104には、CCD駆動信号制御回路106と、グラフィックメモリ112とが接続されている。なお、グラフィックメモリ112には、光学観察用モニタ86に重ねる寸法表示器90の画像(図7Aおよび図7B参照)がストレージされている。CCD駆動信号制御回路106には、CCD102に接続されたCCD駆動信号発生回路108が接続されている。CCD駆動信号発生回路108には、ビデオプロセス回路110が接続されている。そして、グラフィックメモリ112およびビデオプロセス回路110には、光学観察用モニタ86が接続されている。
【0031】
超音波観測装置84は、ビデオプロセッサ82のCPU104に電気的に接続された送受信制御回路114と、送受信回路116と、検波回路118と、A/D変換回路120と、デジタルスキャンコンバータ(DSC)122とを備えている。送受信制御回路114には、超音波振動子52に接続された送受信回路116が接続されている。送受信回路116には、検波回路118が接続されている。検波回路118にはA/D変換回路120が接続されている。A/D変換回路120には、DSC122が接続されている。DSC122には、超音波観察用モニタ88が接続されている。
【0032】
次に、このような構成を有する超音波内視鏡10を用いて光学観察用モニタ86に光学観察画像を表示させる場合、および、超音波観察用モニタ88に超音波観察画像を表示させる場合について説明する。
【0033】
CPU104はCCD駆動信号制御回路106を介してCCD駆動信号発生回路108を駆動させ、CCD102を制御する。CCD102で撮像された像の信号はCCD駆動信号発生回路108を通してビデオプロセス回路110に入力される。ビデオプロセス回路110はCCD102で撮像した像を光学観察用モニタ86に出力する。
【0034】
超音波振動子52を振動させるため、図示しないスイッチによりCPU104に信号が入力される。CPU104は、送受信制御回路114、送受信回路116を介して超音波振動子52を振動させる。一方、超音波振動子52で受けた信号を送受信回路116を介して送受信制御回路114および検波回路118に入力する。検波回路118に入力された信号をA/D変換回路120でA/D変換してDSC122に入力する。DSC122は超音波観察用モニタ88に超音波観察像を出力する。
【0035】
超音波観測装置84の送受信回路116を介して送受信制御回路114に入力された信号はCPU104に受け渡される。このとき、CPU104は、グラフィックメモリ112にストレージされている画像である寸法表示器90を、光学観察用モニタ86に表示させる。すなわち、符号Fで示すように、送受信制御回路114、CPU104、グラフィックメモリ112を介して光学観察用モニタ86に寸法表示器90が表示される。したがって、超音波走査のONによりグラフィックメモリ112にストレージされている画像である寸法表示器90が、CCD102で撮像した像に重ね合わせて表示される。このため、組織の大きさ等をその寸法表示器90に基づいて認識することができる。
【0036】
図示しないスイッチによりCPU104に超音波振動子52の振動を停止させる信号が入力される。CPU104は送受信制御回路114、送受信回路116を介して超音波振動子52の振動を停止させる。このため、送受信制御回路114からCPU104への信号が遮断される。そうすると、CPU104はグラフィックメモリ112に信号を送信しない。したがって、グラフィックメモリ112から寸法表示器90の画像が光学観察用モニタ86から消去される。
【0037】
次に、この実施の形態に係る超音波内視鏡10の作用について説明する。
【0038】
超音波内視鏡10の挿入部12の先端部を目的の臓器内などの管腔内(体腔内)に挿入する。そして、光学観察により管腔内の関心部位(図示せず)がある体壁BWを光学観察用モニタ86に表示させて観察しながら、超音波プローブ50の先端硬性部32の先端面に対して突出した超音波振動子52を関心部位がある体壁BWに当接させる。このとき、図2に示すように、超音波振動子52は挿入部12の先端面から突出されているので、超音波振動子52を当接させた体壁BWから対物レンズ38まで適当な距離が保たれる。したがって、体壁BWに超音波振動子52を当接させた状態で、その関心部位を含む体壁BWの表面を光学観察可能である。そして、この状態で超音波プローブ50の超音波振動子52を超音波振動させる(超音波走査をONにする)。このとき、体壁BWを光学観察するための焦点距離FLが合わせられている。このため、体腔内の体壁BWの表面を光学観察しながら、その体壁BWの内部側を超音波観察することができる。
【0039】
図3Bに示すように、超音波振動子52の振動面Sと同一の面上に、第2のワーキングチャンネル24があるとする。このとき、第2のワーキングチャンネル24のチャンネル開口部24aから処置具が突出するのを光学観察により観察することができる。そして、例えば穿刺針などの処置具の先端が体壁BWの内部に入れられたときには、その処置具の先端の位置を超音波観察により観察する。このため、処置具の先端が体壁内の関心部位に到達するのを超音波観察することができる。
【0040】
超音波観察を行うために、超音波プローブ50の超音波振動子52を体壁に当接させた場合、体壁と対物レンズ38との間の距離は略一定である。このとき、光学観察用モニタ86に格子90aや目盛り90bなどの寸法表示器90を適宜に表示することによって、観察部位の大きさを容易に認識することができる。
【0041】
第1のワーキングチャンネル22を通して他の処置具を用いる場合、超音波プローブ50の振動面Sを変更することが好ましい。このとき、図3Aに示すように、超音波プローブ50の超音波振動子52を回動させて、超音波振動子52の振動面Sを第1のワーキングチャンネル22の中心軸Cを通るようにする。すなわち、超音波振動子52の振動面Sと同一の面上に、第1のワーキングチャンネル22がある。
【0042】
超音波プローブ50を回動させる場合、超音波プローブ50の保持部54は、プローブ用チャンネル開口部26aに係合されているので、一旦係合を解除する必要がある。このため、図8Aに示す状態にある超音波振動子52を体壁BWから一旦離す。そして、軸方向移動レバー62を図4Cに示す状態から図4Bに示す状態に操作して、保持部54をプローブ用チャンネル開口部26aから突出させる。この状態で回転ノブ72を操作する。すると、振動子ケーブル58に力を受けて、図8Bに示すように、振動子ケーブル58の先端部に配設された保持部54が回動する。このため、保持部54に設けられた超音波振動子52は軸周りに回動可能である。この状態で、図8Cに示すように、移動レバー62を元の状態に戻す。すると、図3Aに示すように、超音波振動子52の振動面Sと第1のワーキングチャンネル22の中心軸Cとが交差する。
【0043】
そして、光学観察により観察しながら、再び超音波プローブ50の超音波振動子52を目的部位に当接させる。このとき、第1のワーキングチャンネル22のチャンネル開口部22aから処置具が突出するのを光学観察により観察する。そして、処置具の先端が体壁の内部に入れられたときには、その処置具の位置を超音波観察により観察する。
【0044】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0045】
超音波振動子52を超音波内視鏡10の挿入部12の先端面に対して突出した位置で固定したので、目的部位を含む体壁BWに対して挿入部12の先端面からの光学観察に必要な焦点距離FLを維持しながら、同じ位置を超音波観察によって観察することができる。すなわち、略同じ位置を光学観察および超音波観察の両方で観察することができる。
【0046】
超音波振動子52を体壁BWに当接させた場合、体壁BWと対物レンズ38との間の距離FLが固定される。このように、光学観察による焦点距離FLを固定することができるので、焦点位置の大きさを決めることができる。したがって、光学観察用モニタ86に光学観察像と重ね合わせて観察部位の寸法を認識させる寸法表示器90を表示することができ、観察部位の関心部位の大きさを特定することができる。
【0047】
超音波振動子52を挿入部12の先端硬性部32に対して回動させることができる。特に、超音波振動子52の中心軸上に第1のワーキングチャンネル22の中心軸Cが配置される位置と、第2のワーキングチャンネル24の中心軸Cが配置される位置との間を回動可能である。すなわち、超音波振動子52は回動によって複数の角度位置で固定可能である。そして、超音波振動子52の中心軸上には、超音波振動面(超音波走査面)Sがあるので、第1および第2のワーキングチャンネル22,24から突出され、体壁内に配置された処置具の先端等を超音波観察用モニタ88上で任意に選択して観察することができる。このため、細かい処置を行う際に、処置具の先端等の位置を容易に観察することができるので、より確実な処置を行うことができる。
【0048】
なお、この実施の形態では、主に超音波プローブ50の保持部54を略六角柱状として説明したが、略六角錐状などの略正多角錐状であることも好適である。この場合、超音波プローブ50の基端側に向かうにつれて横断面積が小さくなるので、挿入部12の先端硬性部32のプローブ用チャンネル開口部26aの大きさを略六角柱状である場合よりも小さくすることができる。
【0049】
なお、上述したように、光学観察用モニタ86上に寸法表示器90を表示させる場合、以下のようにすることもできる。
【0050】
図9に示すように、図6に示す構成に加えて、ビデオプロセッサ82のCPU104には、操作パネル126がさらに接続されている。操作パネル126は、寸法表示器90の表示/非表示を切り替えることができる。この場合、超音波振動子52で超音波観察を行うか否かに関わらず寸法表示器90を表示可能である。
【0051】
寸法表示器90を表示させる場合、さらに、以下のようにすることができる。
【0052】
図10に示すように、内視鏡10には、触感感知センサ128が配設されている。この触感感知センサ128は、ビデオプロセッサ82に接続されている。このため、触感感知センサ128で触感が感知されると、CPU104に信号を発生して、寸法表示器90の表示/非表示を切り替えることができる。この場合、超音波振動子52で超音波観察を行うか否かに関わらず寸法表示器90を表示可能である。
【0053】
なお、ビデオプロセッサ82のCPU104には、図9に示す操作パネル126が接続されていることも好適である。このため、触感感知センサ128で触感が感知されたとき、操作パネル126によって、寸法表示器90の表示/非表示を切り替えることができる。
【0054】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について図11Aおよび図11Bを用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
図11Aに示すように、内視鏡10の超音波プローブ用チャンネル26のプローブ用チャンネル開口部26aには、1対の角度位置固定溝(凹部)26d,26eが形成されている。一方の角度位置固定溝26dは第1のワーキングチャンネル22の中心Cの方向に延出されている。他方の角度位置固定溝26eは第2のワーキングチャンネル24の中心Cの方向に延出されている。
【0056】
一方、図11Bに示すように、超音波プローブ50の半球状部56には、超音波プローブ50の中心軸に対して放射方向に延出された例えば平板状のリブ(突出部)60が形成されている。このため、超音波プローブ50が回動して、リブ60が角度位置固定溝26d,26eのいずれかに入り込むことによって超音波プローブ50の保持部54が超音波プローブ用チャンネル26に対して位置決めされる。
【0057】
この場合、保持部54は略正六角柱などの多角柱や略多角錐状でなく、略円柱状や略円錐台状などであることも好適である。超音波プローブ用チャンネル26のプローブ用チャンネル開口部26aも同様である。
【0058】
さらに、図11B中では、リブ60は半球状部56に形成されている。このリブ60は、保持部54から半球状部56まで任意の位置に設定することによって、挿入部12の先端面に対する超音波振動子52の突出位置を適宜に規定することができる。また、リブ60の軸方向の長さも適宜に設定される。
【0059】
なお、この実施の形態では、超音波プローブ50にはリブ60を1つだけ形成した構成について説明したが、例えば半球状部56の周方向に複数形成されていることも好適である。この場合、角度位置固定溝も1対(2つ)だけでなく、複数設けられていることを要する。
【0060】
さらに、角度位置固定溝26d,26eとリブ60との関係は反対であっても良い。すなわち、角度位置固定溝の部分が凹部ではなく突出部であり、リブの部分が突出部ではなく凹部であることも好適である。このような場合であっても、超音波振動子52は回動によって複数の角度位置で固定可能である。
【0061】
また、リブ60は平板状に限らず、曲面を有する部材であることも好適である。この場合、角度位置固定溝26d,26eもこのようなリブ60に係合可能な形状に形成される。このように、形状を規定することによって超音波プローブ50の先端部を挿入部12の先端部に対して所望の状態に着脱可能に係合することができるのであれば、それぞれには種々の形状が許容される。
【0062】
後述する第5の実施の形態(図14A参照)で説明するように、超音波振動子52の中心軸(超音波振動面)Sと、例えば第1のチャンネル22の中心Cとの位置をズレDだけずらす場合、固定溝26dの位置をずらしたり、図11Aに示す固定溝26dのすぐ隣に別の固定溝を設けるなどすることも好適である。
【0063】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について図12Aないし図12Dを用いて説明する。この実施の形態は第1および第2の実施の形態の変形例であって、第1および第2の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図12Aに示すように、超音波プローブ50の保持部54には、第1の超音波振動子52aと第2の超音波振動子52bとが配設されている。第1の超音波振動子52aは第1の実施の形態と同様に設けられている。第2の超音波振動子52bは、保持部54の側面に配設されている。特に、この第2の超音波振動子52bは、第1のワーキングチャンネル22や第2のワーキングチャンネル24に近接する位置に配設されている。
【0065】
この実施の形態に係る超音波プローブ50は、第1の実施の形態と同様に、その軸方向に沿って移動可能であるとともに、その軸周りに回動可能である。そして、第1の実施の形態で説明したように、超音波プローブ50の保持部54が内視鏡10の挿入部12の先端硬性部32の先端に対して突出していることも好適である。このとき、図12Bに示すように、超音波プローブ50の先端硬性部32の先端に対する突出長が対物レンズ38の焦点距離FLに合わせられている。このとき、第2の超音波振動子52bは先端硬性部32の先端から突出した状態で第1のワーキングチャンネル22または第2のワーキングチャンネル24の方向に向けられている。
【0066】
また、この実施の形態では、図12Cおよび図12Dに示すように、超音波プローブ50の先端の第1の超音波振動子52aは、内視鏡10の挿入部12の先端硬性部32の先端面と略面一の状態に引き込まれる。したがって、この実施の形態では、第1の実施の形態で説明した場合よりも超音波プローブ50の軸方向への移動ストロークが大きく形成されているか、または、超音波プローブ50の保持部54の軸方向の長さが短く形成されている。なお、このような構成に伴って、第2の超音波振動子52bは外部に露出される状態と、挿入部12の先端硬性部32の内部に収容される状態とに切り替えられる。
【0067】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0068】
特に、超音波プローブ50の保持部54の側面に設けられた第2の超音波振動子52bを内視鏡10の挿入部12の先端硬性部32に収容した状態と、突出した状態とに固定することができる。このため、第2の超音波振動子52bを先端硬性部32内に収容した状態とすると、先端硬性部32と、この先端硬性部32から突出する超音波プローブ50の保持部54とを合わせた硬質の部分の長さを第1の実施の形態で説明した場合よりも短くすることができる。このように、硬質の部分の長さを短くすることによって、体腔内に導入する際などに、曲がらない部分が減るので、挿入性を向上させることができる。
【0069】
第1および第2の超音波振動子52a,52bを選択的に振動させたり、同時に振動させたりすることができる。このため、選択的に超音波観察像をモニタ88に表示させ、または、同時に両方の超音波観察像をモニタ88に表示させることができる。特に、両方の超音波観察像を表示させた場合、一方だけを超音波観察する場合よりも、より広い範囲を観察することができる。すなわち、より走査角の大きい超音波観察を行うことができる。
【0070】
超音波プローブ50の第1の超音波振動子52aを挿入部12の先端に対して突出させた場合、第1の実施の形態で説明したように、超音波観察する部分の近傍を同時に光学観察することができる。
【0071】
なお、超音波プローブ50の保持部54を挿入部12の先端硬性部32に格納した状態では、第2の超音波振動子52bを振動させたときに、第2の超音波振動子52bから超音波観察像を得ることができない。また、この状態で第1の超音波振動子52aによる超音波観察像と光学観察像とを併用しようとしても、光学観察のための焦点距離よりも体壁が近づき過ぎることとなるので、同時に略同一範囲を観察することはできない。しかし、このことは、従来の超音波内視鏡の構成も同様である。
【0072】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態について図13を用いて説明する。この実施の形態は第3の実施の形態の変形例であって、第3の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0073】
この実施の形態では、図13に示すように、第3の実施の形態で説明した第1の超音波振動子52aおよび第2の超音波振動子52bが繋げられて一体に形成されている。すなわち、1つの超音波振動子52cが保持部54の先端および側面に配設されている。他の構成および作用は第3の実施の形態で説明したものと同一である。
【0074】
そして、この超音波振動子52cは、先端側の部分だけを振動させる(走査させる)場合、側面側の部分だけを振動させる場合、先端側の部分および側面側の部分の両方を振動させる場合の3つのモードに制御可能である。このため、超音波振動子52cの先端側の部分、側面側の部分、および、両者を繋げた状態の超音波観察を選択的に行うことができる。
【0075】
(第5の実施の形態)
次に、第5の実施の形態について図14Aないし図15Bを用いて説明する。この実施の形態は第1ないし第4の実施の形態の変形例であって、第1ないし第4の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0076】
第1ないし第4の実施の形態で説明した超音波振動子52の振動面上には、第1のワーキングチャンネル22の中心Cまたは第2のワーキングチャンネル24の中心Cがある。このとき、図15Bに示すように、処置具132を超音波観察領域に入れると、この処置具132が超音波を反射する。このため、処置具132よりも遠位の部分Shには超音波振動子52からの超音波が到達せず、その処置具132よりも遠位の部分の超音波観察像を得ることは難しい。しかし、以下のようにすると、図15Aに示すように、超音波振動子52から遠位の部分に超音波が到達し易くなるので、その部分の超音波観察像を得ることができる。
【0077】
図14Aに示すように、超音波振動子52の中心軸(超音波振動面)Sと、第1のチャンネル22の中心Cとの位置にはズレDがある。また、超音波振動子52の中心軸(超音波振動面)Sと、第2のチャンネル24の中心Cとの位置にも同様にズレDがある。
【0078】
さらに、図14Bに示すように、第2のワーキングチャンネル24の先端は、挿入部12の軸方向に対して例えば角度αだけ僅かに傾斜されている。第2のワーキングチャンネル24の中心軸Cは、内視鏡10の挿入部12の外部で超音波振動子52の中心軸(超音波走査面)Sと交差する。なお、図14Bは、第2のワーキングチャンネル24の例について示すが、第1のワーキングチャンネル22も同様の構成である。
【0079】
次に、この実施の形態に係る超音波内視鏡10の作用について説明する。
【0080】
図14Cに示すように、処置具132を例えば第2のチャンネル24の先端から超音波観察領域S内に向かって斜めに導入する。すると、処置具132は、超音波振動子52の中心軸(振動面)Sと略所定の位置Pで交差する。なお、超音波振動子52の振動面Sと第2のチャンネル24の先端の傾斜角度αとは、僅かである。このため、超音波観察用モニタ88に表示される像は、処置具132が超音波振動子52の振動面と交差する部分のみ超音波観察可能であるわけではなく、超音波観察振動面Sと交差した部分Pが最も濃く、その交差した部分Pから遠位になるにしたがって次第に薄くなる。このため、使用状態などにもよるが、処置具132を超音波振動面Sと交差する部分Pだけでなく、観察領域S内で全体的に観察可能な場合もある。
【0081】
そして、処置具132は、振動面Sと交差する部分Pの超音波のみをほぼ全反射し、他の部分では一部の超音波を反射しない。このため、超音波振動子52からの超音波振動の伝達が妨げられることが極力防止される。したがって、処置具132と振動面Sとの交差部分Pよりも遠位の部分にも超音波が到達する。このため、超音波振動子52から遠位の位置もモニタ88上に表示される。
【0082】
ここでは、第2のワーキングチャンネル24を挿通させた処置具132について説明したが、第1のワーキングチャンネル22を挿通させた処置具についても同様である。
【0083】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0084】
ワーキングチャンネル22,24はチャンネル開口部22a,24a付近で若干曲げられている。このため、ワーキングチャンネル22,24に処置具132を通したとき、チャンネル開口部22a,24aの内周面に処置具132が当接した状態で延出される。したがって、処置具132のワーキングチャンネル22,24に対するガタ(遊び)を除去するとともに、チャンネル開口部22a,24aからの処置具132の突出時の中心軸を傾けることができる。このため、処置具132を超音波振動子52の走査面Sと交差させることができる。このとき、処置具132と交差した部分Pよりも奥側にも超音波が届く。したがって、処置具132よりも奥側であっても良好に超音波観察用画像を得ることができる。
【0085】
(第6の実施の形態)
次に、第6の実施の形態について図16Aおよび図16Bを用いて説明する。この実施の形態は第1ないし第4の実施の形態の変形例であって、第1ないし第4の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0086】
図16Bに示すように、超音波プローブ50の先端の超音波振動子52は、第1および第3の実施の形態で説明したコンベックス型とは異なり、コンケイブ型である。図16Aに示すように、超音波振動子52の中心軸S上に、第1のワーキングチャンネル22および対物レンズ38が配置されている。第1のワーキングチャンネル22は先端硬性部32の略中央に形成されている。
【0087】
このため、超音波振動子52のコンケイブの形状や焦点距離を調整することによって、超音波観察と光学観察の焦点位置を一致させることができる。したがって、略同じ位置を超音波観察と光学観察の両方で観察することができる。また、第1のワーキングチャンネル22が中央に形成されているので、第1のワーキングチャンネル22の先端から突出した処置具は光学観察および超音波観察の両方によって観察される。
【0088】
なお、超音波振動は空気等の気体を通し難いので、超音波振動子52と体壁との間には腹腔液や生理食塩水などの液体等、超音波振動を良好に伝達可能な部材が充填されていることを要する。
【0089】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0090】
超音波振動子52をコンケイブ型にすることによって、超音波観察の焦点位置と光学観察の焦点位置とを略同一の距離や略同一の位置にすることができる。そうすると、同じ位置を超音波観察と光学観察の両方で行うことができる。
【0091】
第1のワーキングチャンネル22を対物レンズ38と超音波プローブ用チャンネル26との間に配設することによって、光学観察および超音波観察の両方で、体壁BWに対する処置具の位置等を観察することができる。
【0092】
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態について図17を用いて説明する。この実施の形態は第6の実施の形態の変形例であって、第6の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0093】
図17に示すように、超音波内視鏡10の挿入部12の先端硬性部32の外周面には、透明であることが好適なキャップ142が固定されている。このキャップ142は、例えばシリコーン材など、体壁BWに当接されたときにキャップ142の先端が適当に変形してその先端が体壁BWに密着するように柔らかい素材で形成されていても良い。
【0094】
次に、この実施の形態に係る超音波内視鏡10の作用について説明する。
【0095】
図17に示すように、内視鏡10の挿入部12の先端にキャップ142を固定した状態で、挿入部12の先端を体腔内に導入する。そして、キャップ142の先端を体壁に押し当てる。このため、体壁BW、キャップ142の内周面、および、先端硬性部32の先端面によって、空間が形成される。この状態で、ワーキングチャンネル22からこの空間内に生理食塩水などの透明な液体144を注入する。すると、体壁BW、キャップ142の内周面、および、先端硬性部32の先端面によって形成される空間に液体(生理食塩水)144が満たされる。例えば生理食塩水は透明であり、かつ、超音波振動を良好に伝達可能である。このため、内視鏡10で体壁BWの表面を光学観察することができるとともに、体壁BWの表面付近を深さ方向に超音波観察を行うこともできる。
【0096】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0097】
キャップ142は体壁BWに当接されると変形するなど、柔らかい素材で形成されている。このため、キャップ142が先端硬性部32の先端から突出しているとしても、挿入部12が体腔内に導入される際にキャップ142により導入が妨げられることは防止される。
【0098】
生理食塩水などの透明で超音波振動を伝達可能な媒体144をチャンネル22用いて注入することによって超音波観察像を得ることができるとともに、その透明な媒体144を用いて光学観察像を得ることができる。このとき、第6の実施の形態で説明したように、超音波観察像と光学観察像との両方の焦点位置がほぼ一致する位置にあるので、ほぼ同じ位置の超音波観察像と光学観察像との両者を得ることができる。
【0099】
(第8の実施の形態)
次に、第8の実施の形態について図18を用いて説明する。この実施の形態は第7の実施の形態の変形例であって、第7の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0100】
体壁BW、キャップ142の内周面、および、先端硬性部32の先端面によって形成される空間に配設されるのは、第7の実施の形態で説明したように、ワーキングチャンネル22を通して注入される生理食塩水などの液体の媒体144に限ることはない。
【0101】
図18に示すように、体壁BW、キャップ142の内周面、および、先端硬性部32の先端面によって形成される空間には、例えば、超音波振動子52に密着するように透明なブロック146が配設されていることも好適である。ブロック146は、超音波透過性、光透過性、生体適合性、生体組織へのコンタクト性、機械強度などの面から、例えば、ソフトタイプのコンタクトレンズの材料として用いられているものを用いることが好適である。
【0102】
すなわち、ブロック146の材料として、含水性のゲル状高分子であるポリヒドロキシエチルメタアクリレート(PHEMA)、非含水性のシリコーンハイドゲル(SH)、含水性のゲル状高分子である寒天、非含水性のエポキシ樹脂などを用いることが好適である。
【0103】
PHEMAは、含水性のため、超音波透過性に優れているが、強度が高い方ではない。このため、処置具によってはブロック146と密接したチャンネル開口部22aから処置具を突出させたときにブロック146を貫通させることができる。その結果、ワーキングチャンネル22から突出され、ブロック146を貫通した状態の処置具も超音波画像上に描出される。
【0104】
SHは、非イオン素材のため、対汚染性に優れている。例えば、消化管壁に残存した汚物にブロック146の表面が接触しても、そのブロック146を通して良好な光学視野を確保することができる。
【0105】
寒天は、生体適合性材料であり、体内に脱落しても、生体組織に影響を与えることがない。また、強度が高い方ではない。このため、処置具によってはブロック146と密接したチャンネル開口部22aから処置具を突出させたときにブロック146を貫通させることができる。その結果、ワーキングチャンネル22から突出され、ブロック146を貫通した状態の処置具も超音波画像上に描出される。
【0106】
エポキシ樹脂は、耐薬品性に優れているものがある。このため、そのような耐薬品性を有するエポキシ樹脂を使用したブロック146は、消毒や滅菌を行うことによってリユーザブルに使用することができる。
【0107】
(第9の実施の形態)
次に、第9の実施の形態について図19ないし図21Dを用いて説明する。
【0108】
図19に示すように、この実施の形態では、2つの超音波内視鏡(第1の内視鏡および第2の内視鏡)10a,10bを用いる。第1の内視鏡10aを経口的に胃Stなどの体腔内に挿入する。一方、第2の内視鏡10bを経皮的に胃Stの外部などに挿入する。そして、図20に示すように、第1の内視鏡10aと第2の内視鏡10bとを胃壁SWを隔てて対向させる。このとき、例えば第1の内視鏡10aの挿入部12aの先端には、図示しないが、超音波送信用の超音波振動子が配置されているものとし、他方の第2の第2の内視鏡10bの挿入部12bの先端には、図示しないが、超音波受信用の超音波振動子が配置されているものとする。そして、第1の内視鏡10aの挿入部12aと第2の内視鏡10bの挿入部12bとを相対的に移動して、超音波振動を強く受信する位置に調整する。
【0109】
このため、2つの内視鏡10a,10bの各挿入部12a,12bの先端同士が対向するように容易に位置合わせすることができる。また、胃壁SW(管腔壁)ごしに穿刺針を穿刺する場合、その穿刺針の先端が貫通したとしても、第2の内視鏡10bの挿入部12bの先端部に当接される。このため、処置の安全性を向上させることができる。さらに、縫合などを行う際の糸の受け渡しを容易に行うことができる。
【0110】
なお、ここでは第1の内視鏡10aに送信用の超音波振動子が配置され、第2の内視鏡10bに受信用の超音波振動子が配置されているものとしたが、それぞれ送受信用の超音波振動子が配置されることも好適である。
【0111】
次に、このように、2つの内視鏡10a,10bを用いた場合の他の関連した作用について図21Aないし図21Dを用いて説明する。
【0112】
図21Aに示すように、腸壁IWなどの向こう側に傷つけることを防止したい臓器IOが存在する場合がある。この場合、まず、経口的に超音波内視鏡10aをその体腔内に導入する。そして、超音波観察により関心領域AOIを確認する。
【0113】
さらに、経皮的に超音波内視鏡(または超音波プローブ)10bを導入する。経口的に導入した内視鏡10aの挿入部12aの先端と、経皮的に導入した内視鏡10bの挿入部12bの先端とを腸壁IWを挟んで対向した状態に配置する。図21Bに示すように、例えば経口的に導入した超音波内視鏡10aの挿入部12aの先端の超音波振動子152aを送信用として用い、経皮的に導入した超音波内視鏡10bの挿入部12bの先端の超音波振動子152bを受信用として用いる。このとき、経皮的に導入した内視鏡10bで受信した信号が最大となる位置を探す。最も信号を大きく受信したときに、2つの超音波振動子152a,152bが向き合うこととなる。このとき、経皮的に導入した内視鏡10bの挿入部12bの先端部で、傷つけることを防止したい臓器IOを押し退けることとなる。
【0114】
さらに、経皮的に導入した超音波内視鏡10bを関心部位AOIから離す。すると、図21Cに示すように、腸壁IWと臓器IOとの間に空間SPを作ることができる。
【0115】
図21Dに示すように、この状態で穿刺針154を穿刺した場合、穿刺針154で腸壁IWを貫通させた場合であっても、対向する位置に超音波内視鏡10bの超音波振動子152bが配置されているので、他の部位に穿刺針154の先端が当接等することが防止され、他の部分を傷つけることが防止される。
【0116】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0117】
超音波振動子152a,152bをそれぞれ有する内視鏡10a,10bまたは超音波プローブを対向させようとするときに、超音波振動の送受信を行うことによって、超音波振動子152a,152b同士が対向した状態を容易に作成することができる。このため、体壁と超音波振動子152bとの間に空間SPを作成することができ、かつ、処置具154を他の超音波振動子152bに向かって穿刺等することにより、他の傷つけたくない部位を傷つけることを防止することができる。
【0118】
(第10の実施の形態)
次に、第10の実施の形態について図22Aないし図25Cを用いて説明する。
【0119】
図22Aないし図22Eに示すように、内視鏡システム200は、本体ケース202と、光学観察用内視鏡210aと、超音波観察用内視鏡210bと、超音波プローブ210cとを備えている。
【0120】
図22Aないし図22Cに示す光学観察用内視鏡210aは、細長い挿入部212aと、この挿入部212aの基端部に設けられた操作部214aとを備えている。挿入部212aおよび操作部214aには、ワーキングチャンネル222と、対物レンズ224を含む光学観察系とが挿通されている。挿入部212aは、先端硬性部232aと、湾曲部234aと、可撓管部236aとを備えている。先端硬性部232aには、対物レンズ238と、ワーキングチャンネル222のチャンネル開口部222aとが並設されている。
【0121】
光学観察用内視鏡210aの操作部214aは、本体ケース202の後述するスロット262aに配設されるように、略直方体状に形成されている。この操作部214aの外周面には、後述するスライドレバー264aが係合される係合溝(切り欠き)242が挿入部212aの軸方向に対して直交する方向に形成されている。係合溝242は、対向する状態に形成されている。この操作部214aの上面には、湾曲部234aを上下方向に湾曲させるための、ホイール状(ダイアル状)の上下方向用アングルノブ244aと、左右方向に湾曲させるための、ホイール状(ダイアル状)の左右方向用アングルノブ244bとが同軸上に配設されている。操作部214aには、ワーキングチャンネル222の基端側開口部にチャンネル開口(鉗子口金)222bが配設されている。
【0122】
図22A、図22Bおよび図22Dに示す超音波観察用内視鏡210bは、細長い挿入部212bと、この挿入部212bの基端部に設けられた操作部214bとを備えている。挿入部212bおよび操作部214bには、ワーキングチャンネル226と、超音波振動子228を含む超音波観察系とが挿通されている。挿入部212bは、先端硬性部232bと、湾曲部234bと、可撓管部236bとを備えている。先端硬性部232bには、超音波振動子228と、ワーキングチャンネル226のチャンネル開口部226aとが配設されている。
【0123】
超音波観察用内視鏡210bの操作部214bは、光学観察用内視鏡210aの操作部214aと同様に形成されている。
【0124】
超音波プローブ210cは、細長い挿入部212cと、この挿入部212cの基端部に設けられた操作部214cとを備えている。挿入部212cおよび操作部214cには、超音波振動子230を含む超音波観察系が挿通されている。挿入部212cは、先端硬性部232cと、湾曲部234cと、可撓管部236cとを備えている。超音波振動子230は先端硬性部232cの先端面に配設されている。
【0125】
超音波プローブ210cの操作部214cは、光学観察用内視鏡210aの操作部214aや、超音波観察用内視鏡210bの操作部214cと同様に形成されている。ただし、チャンネルは設けられていないので、チャンネル開口(鉗子口金)は存在しない。
【0126】
本体ケース202は、保持部252と、シース254とを備えている。保持部252は、3つに区分けされたスロット262a,262b,262cと、これらスロット262a,262b,262cにそれぞれ設けられたスライドレバー(シース254の先端に対する各挿入部212a,212b,212cの突出長調整部)264a,264b,264cとを備えている。これらスライドレバー264a,264b,264cは、図22A中の上下方向に操作可能である。
【0127】
そして、第1のスロット262aには光学観察用内視鏡210aの操作部214aが配設され、第2のスロット262bには超音波観察用内視鏡210bの操作部214bが配設され、第3のスロット262cには超音波プローブ210cの操作部214cが配設されている。さらに、本体ケース202の保持部252のうち、スライドレバー264a,264b,264cに対する裏面には、ハンドストラップ266が固定されている。このため、ユーザが本体ケース202を容易に保持することができる。スライドレバー264a,264b,264cは、各操作部214a,214b,214cの係合溝242が係合されている。このため、図22Aに示すように、光学観察用内視鏡210a、超音波観察用内視鏡210b、および、超音波プローブ210cは、スライドレバー264a,264b,264cの動作とともにその軸方向に移動する。
【0128】
シース254は、第1ないし第3のルーメン268a,268b,268cを備えている。第1のルーメン268aには、光学観察用内視鏡210aの挿入部212aが導入される。第2のルーメン268bには、超音波観察用内視鏡210bの挿入部212bが導入される。第3のルーメン268cには、超音波プローブ210cの挿入部212cが導入される。そして、第1のルーメン268aの先端からは光学観察用内視鏡210aの挿入部212aの先端硬性部232aおよび湾曲部234a、さらには可撓管部236aの一部を突出させることができる。第2のルーメン268bの先端からは超音波観察用内視鏡210bの挿入部212bの先端硬性部232bおよび湾曲部234b、さらには可撓管部236bの一部を突出させることができる。第3のルーメン268cからは超音波プローブ210cの挿入部212cの先端硬性部232cおよび湾曲部234c、さらには可撓管部236cの一部を突出させることができる。
【0129】
なお、第1ないし第3のルーメン268a,268b,268cの内径は互いに同一でも良く、互いに異なる内径を有していても良い。
【0130】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システム200の作用について説明する。
【0131】
本体ケース202に光学観察用内視鏡210a、超音波観察用内視鏡210bおよび超音波プローブ210cを配設する。そして、これらの挿入部212a,212b,212cを体腔内に導入する。
【0132】
そして、図25Aに示すように、光学観察用内視鏡210aで体壁を光学観察しながら超音波観察用内視鏡210bで関心部位AOIを超音波観察する。このとき、臓器IOなどの傷つけたくない部位が関心部位AOIの直ぐ近くにあるかどうかも確認する。
【0133】
ここで、光学観察用内視鏡210aのワーキングチャンネル222を通して穿刺針154で腸壁IWなどの体壁を穿刺する。この穿刺した部位は、関心部位AOIから離れた位置である。そして、図25Bに示すように、その穿刺した部位に、超音波プローブ210cの挿入部212cの先端部を導入する。
【0134】
そして、図25Bに示す状態から図25Cに示す状態に、腸壁IWに近い、傷付けたくない部位を超音波プローブ210cの湾曲部234cを湾曲させて押し退ける。このため、関心部位AOIに対して穿刺針154を穿刺しても安全な空間が形成される。
【0135】
なお、対応するスライドレバー264a,264b,264cを操作することによって、挿入部212a,212b,212cを相対的に移動させることができる。このため、本体ケース202に対する光学観察用内視鏡210a、超音波観察用内視鏡210bおよび超音波プローブ210cの各挿入部212a,212b,212cの先端部の位置を相対的に移動させて所望の処置を行うことができる。
【0136】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0137】
複数の内視鏡等を同時に使用する際に、本体ケース202に収容することによって1つにまとめて使用することができる。このため、複数の操作部214a,214b,214c同士を近くに配置して、操作を簡単に行うことができる。この場合、複数のユーザを要することなく、1人で複数の内視鏡等を同時に操作することができる。
【0138】
例えば光学観察用内視鏡210a、超音波観察用の内視鏡210b、超音波プローブ210c等の器具を選択して配置することができるので所望の器具を容易に配置することができ、例えば同時に表面および裏面等から光学観察や超音波観察などを同時に行うことができる。
【0139】
光学観察用内視鏡210a、超音波観察用内視鏡210bおよび超音波プローブ210cの操作部214a,214b,214cは、全て同一の形状を有するので、3つのスロット262a,262b,262cのうち、いずれのスロットにも配置することができる。すなわち、操作部214a,214b,214cの形状は同一であるので、いずれのスロット262a,262b,262cに選択した器具を配置するか、自由に設定することができる。このとき、各器具の挿入部212a,212b,212cの外径がルーメン268a,268b,268cに挿通可能な径であることはもちろんである。
【0140】
係合溝242は各操作部214aにそれぞれ1対設けられている。このため、内視鏡等の器具の操作部の向きを気にすることなく、スロット262a,262b,262c内に配置することができる。
【0141】
本体ケース202の保持部252にハンドストラップ266を配置したことにより、複数の器具を1つのものとして簡単に把持することができる。
【0142】
なお、この実施の形態では、保持部252に3つのスロット262a,262b,262cを有する場合について説明したが、保持部252に2つのスロットを有する場合等についても同様に用いることができる。この場合、シースは2つのルーメンを備えている。
【0143】
(第11の実施の形態)
次に、第11の実施の形態について図26ないし図27Dを用いて説明する。この実施の形態は第1の実施の形態の変形例であって、第1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0144】
図26に示すように、超音波内視鏡10は、超音波振動子52と、第1の吸引路322と、第2の吸引路324と、対物レンズ38とを挿入部12の先端硬性部32の先端面に備えている。特に、超音波振動子52は先端硬性部32の先端面の略中心上に配置され、第1の吸引路322および第2の吸引路324は超音波振動子52を間に挟んだ状態で配設されている。第1の吸引路322および第2の吸引路324は超音波振動子52の中心軸上である振動面(走査面)S上に配置されている。第1の吸引路322は第1のワーキングチャンネルとして用いられ、第2の吸引路324は第2のワーキングチャンネルとして用いられる。さらに、先端硬性部32の外周面には、透明なキャップ142が着脱可能に固定されている。
【0145】
次に、この実施の形態に係る超音波内視鏡10の作用について説明する。
【0146】
超音波内視鏡10の対物レンズ38(図26参照)によって体壁BWを光学観察しながら超音波振動子52を目的部位の周辺に押し当てる。そして、図27Aに示す状態で1対の吸引路322,324で生体組織を吸引する。図27Bに示すように、体壁(生体組織)BWが超音波振動子52に密着する。このため、超音波観察画像が安定して描出される。このとき、体壁が符号BW,BWで示すように二相である場合、図27C中の上側の体壁BWのみが吸引により持ち上げられる。
【0147】
そして、吸引を継続しながら吸引路322に穿刺針154を通して関心部位を穿刺する。このとき、図27Cに示すように、体壁BWの関心部位AOIは吸引により持ち上げられているので、関心部位AOIの奥側の空間には腹腔液Lが入り込む。このため、超音波観察により体壁BW,BWの位置関係を認識することができる。そして、超音波観察により体壁BW,BWの位置関係を確認するとともに、穿刺針154の針先を確認しながら穿刺することによって、穿刺針154の針先を腹腔液L内に留めることができる。したがって、穿刺針154の先端で体壁BWを穿刺するが、体壁BWまでは穿刺針154の先端を届かせないようにすることを容易に行うことができるので、体壁BWを傷つけずに体壁BWだけ安全に穿刺することができる。
【0148】
例えば、穿刺針154の先端をキャップ142の先端に対して突出することがないように穿刺針154の可動範囲を調整しておくことができる。そうすると、穿刺針154の先端は図27C中に符号BWで示す体壁を穿刺するが、符号BWで示す体壁には届かない。このため、このような処置を容易に行うことができる。
【0149】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0150】
超音波振動子52と体壁BWとを吸引により密着させることができるので、超音波観察用モニタ88に映し出される像の描出性を向上させることができる。
【0151】
穿刺針154で穿刺等を行う際に吸引によって穿刺対象部位が移動することを防止することができるので、対象部位に容易かつ確実に穿刺等の処置を行うことができる。
【0152】
なお、第13の実施の形態に後述するTバー404を図27Dに示すように、Tバー結紮装置402を用いて体壁BWに留置する処置を行うこともできる。
【0153】
(第12の実施の形態)
次に、第12の実施の形態について図28Aないし図28Cを用いて説明する。この実施の形態は第11の実施の形態の変形例であって、第11の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0154】
図28Aおよび図28Bに示すように、超音波振動子52の中心軸(振動面)S上には、第1の吸引路322、ワーキングチャンネル22、第2の吸引路324が配設されている。特に、第1の吸引路322と第2の吸引路324とは互いに離隔した位置に配設されている。そして、超音波振動子52と第1の吸引路322との間には別にワーキングチャンネル22が配設されている。
【0155】
このため、第1の吸引路322および第2の吸引路324を通して吸引によって、例えば管腔壁BWなどの関心部位を超音波内視鏡10の挿入部12の先端面に密着させることができる。したがって、良好な超音波観察像を得ることができる。また、吸引しながらワーキングチャンネル22を通して処置を行うことができるので、処置対象を超音波内視鏡10の挿入部12の先端に固定した状態で処置を行うことができる。このため、超音波内視鏡10による処置を容易に行うことができる。
【0156】
なお、この実施の形態では、ワーキングチャンネル22を第1の吸引路322および第2の吸引路324とは別に設けた場合について説明したが、第1の吸引路322および第2の吸引路324を鉗子チャンネルとして用いることもできる。
【0157】
(第13の実施の形態)
次に、第13の実施の形態について図29ないし図39を用いて説明する。
【0158】
内視鏡システムは、超音波内視鏡10(例えば図1参照)と、Tバー結紮装置402と、Tバー結紮装置402を用いて留置されるTバー404とを備えている。
【0159】
図30Aおよび図30Bに示すように、Tバー404は、バー(ロッド)412と、紐状部材414と、ストッパ416とを備えている。紐状部材414の一端はバー412の中央部に固定されている。紐状部材414には、バー412との間を接離可能なストッパ416が配設されている。この紐状部材414の他端には、球体418が配設されている。この球体418によってストッパ416が紐状部材414から抜けることが防止されている。この紐状部材414は、重力等により撓むが、重力等によっても折れ曲がり難いような、適度なコシがあり、適度な可撓性を有する素材により形成されている。
【0160】
図30Bに示すように、ストッパ416は、横断面が略二等辺三角形である。二等辺三角形の2つの等しい辺の間の頂点には、紐状部材414を係合した状態に狭持する狭持部416aが形成されている。一方、この狭持部416aに対向する辺には、紐状部材414を通す孔部416bが形成されている。なお、ストッパ416は、孔部416bがバー412に対して近接し、狭持部416aがバー412に対して孔部416bよりも離隔された位置にある。
【0161】
そして、バー412とストッパ416との間を近接させる場合(距離を縮めるとき)、ストッパ416の狭持部416aは開く方向に変形する。このため、ストッパ416は紐状部材414に沿って滑らかに移動する。一方、バー412とストッパ416との間を離隔させる場合、ストッパ416の狭持部416aが閉じる方向に変形する。このため、ストッパ416は紐状部材414との間に大きな摩擦力を受けるので紐状部材414に沿って移動させ難く、大きな力を加えなければ移動しない。
【0162】
したがって、バー412とストッパ416との間の距離を近接させる場合は、紐状部材414に沿う移動が許容されるが、バー412とストッパ416との間を離隔させる場合は、紐状部材414に沿う移動が規制される。
【0163】
そして、バー412は超音波観察によって針管442と区別するため、種々の状態に加工されている。図31Aないし図32に示すように、バー412の形状、超音波に対する反射加工などが針管442と異なる。図31Aに示すバー412は、横断面が略星型に形成されている。図31Bに示すバー412は、例えば密巻きコイル状に形成されている。図31Cに示すバー412は、横断面がC字状に形成されている。なお、バー412自体の形状は、これら図示した形状に限ることはなく、超音波に対する反射率を異ならせることにより乱反射等させて超音波観察したときに目立って、容易に認識可能であれば、種々の形状が許容される。
【0164】
図32に示すように、後述する針管442の先端の側面に形成されたディンプル加工部443aの密度、深さや形状の少なくともいずれかが、バー412に形成されたディンプル加工部413のそれとは異なる。その他、バー412の表面のコーティングと針管442の表面のコーティングを異なるものとすることも好適である。バー412の材質と針管442の材質とを超音波観察により明確に区別可能なものに変更することも好適である。
【0165】
図33に示すように、針管442の先端縁部443bに超音波に対する反射加工がなされていることも好適である。この場合、図32に示す針管442の先端部の外周面のディンプル加工部443aは図33に示す先端縁部443bとは異なる反射加工がなされていることが好適である。
【0166】
このような反射加工によって、針管442の先端の側面のディンプル加工部443a、針管442の先端縁部443b、および、Tバー404のバー412は、それぞれ超音波の反射状態がそれぞれ異なる。すなわち、超音波を異なる状態に乱反射させることになる。このため、超音波観察によって、針管442の先端縁部443b、針管442の先端の側面、針管442の先端から突出したTバー404のバー412がそれぞれ容易に認識される。
【0167】
ところで、図29に示すように、Tバー結紮装置402は、外シース432と、針構造434と、プッシャ436とを備えている。針構造434は、外シース432の内腔を移動可能である。プッシャ436は、針構造434の内腔を移動可能である。Tバー結紮装置402の外シース432は、内視鏡10のワーキングチャンネル22,24を挿通させることが必要である。このため、外シース432の外径はワーキングチャンネル22,24の口径よりもやや小さく、外シース432、針構造434およびプッシャ436は、ワーキングチャンネル22,24の長さよりも長く形成されている。
【0168】
針構造434は、針管442と、軟性チューブ(内シース)444と、針スライダ446とを備えている。軟性チューブ444の先端には、針管442が固定され、軟性チューブ444の基端には、針スライダ446が固定されている。
【0169】
図33ないし図35に示すように、針管442の先端には、スリット442aが形成されている。針管442の内径は、バー412が先端から挿入される大きさである。また、スリット442aの幅は紐状部材414が配設される程度である。
【0170】
次に、この実施の形態に係る内視鏡システムの作用について説明する。
【0171】
まず、Tバー404をTバー結紮装置402に装着する。図34Aに示すように、外シース432に対して針管442の先端を突出させる。そして、この針管442の先端側からTバー404のバー412を入れる。図34Bに示すように、紐状部材414はスリット442aから針管442の外部に延出されている。
【0172】
図34Cに示すように、針管442に対して外シース432を前方に移動させる。すると、外シース432によって紐状部材414が前方側に折り曲げられる。このとき、バー412と針管442との間や、紐状部材414と外シース432の内周面との間は摩擦力により係合されている。このため、バー412が針管442の先端側に勝手に脱落することが防止される。したがって、Tバー404のストッパ416が外シース432の先端側の内腔に配設された状態が維持される。
【0173】
第1のワーキングチャンネル22には、この状態で挿通する。内視鏡的に管腔内にTバー結紮装置402の外シース432の先端を導入する。そして、光学観察を行いながら、図35に示すように、外シース432に対して針管442の先端を突出させる。針管442の先端で管腔壁(生体組織)BW,BWを貫通させる。このとき、Tバー404のストッパ416は管腔内にある。
【0174】
プッシャ436でバー412を押圧して、そのバー412を針管442の先端から脱落させる。このとき、超音波観察によって針管442の先端縁部443b(図33参照)が認識されるとともに、針管442の先端からバー412(図31Aないし図31C参照)が突出されたときには、そのバー412も認識される。このため、針管442の先端からバー412が脱落したか否か、超音波観察によって確実に認識される。このとき、管腔外にバー412が配置され、管腔内にストッパ416が配置されている。
【0175】
例えば第2のワーキングチャンネル24にシース452で覆われた把持鉗子450を通して、その把持鉗子450の把持部450aで紐状部材414または球体418を把持する。そして、把持部450aで紐状部材414または球体418を把持したまま、把持部450aに対してシース452を先端側に移動させる。このため、シース452の先端によってTバー404のストッパ416が押圧される。このため、ストッパ416は紐状部材414に沿ってバー412に近接する側に移動する。この状態で把持部450aを開放する。したがって、管腔壁BW,BWがバー412とストッパ416によって狭持された状態が維持される。
【0176】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0177】
Tバー404のバー412と、針管442の先端縁部および先端の側面とに、超音波観察したときにそれぞれが異なるものであると容易に認識可能な反射加工の密度や形状とした。さらには、超音波観察したときに、それぞれが異なるものであると容易に認識可能なコーティングを施した。このため、Tバー404のバー412を針管442の先端から脱落させることができたか否か、超音波観察によって容易に認識することができる。
【0178】
なお、Tバー404は、上述したようにバー412が1つのシングルタイプ(図30Aおよび図30B参照)や、図37および図38に示すようにバーが2つあるダブルタイプなどがある。図37および図38に示すダブルタイプのバー412a,412b同士は、それぞれ別の反射加工が施されていることが好適である。そして、バー412a,412bの反射加工は、もちろん、針管442とも区別可能なものである。また、図38に示すダブルタイプのバー412a,412bは、バー412a,412b同士の長さが異なる。このため、ダブルタイプのバー412a,412bを有するTバー404が体腔内に留置されているとき、超音波観察により、いずれのバー412a,412bであるかは、そのバー412a,412bの反射加工だけでなく、相対的な長さの違いによっても判断される。
【0179】
図39に示すように、ダブルタイプのTバー404の紐状部材414a,414bの長さを一方を長く、他方をそれよりも短くする。すなわち、針管442の先端側に配設されるバー412に接続された紐状部材414aを、その後ろ側に配設されるバー412に接続された紐状部材414bよりも短くした。このため、Tバー結紮装置402へのTバー404の装填状態を良好にすることができる。そして、Tバー結紮装置402の針管442内および外シース432の内部に容易にTバー404を装填することができる。
【0180】
(第14の実施の形態)
次に、第14の実施の形態について図40ないし図44Bを用いて説明する。この実施の形態は第13の実施の形態の変形例であって、第13の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0181】
図40に示すシース502は超音波内視鏡10のワーキングチャンネル22,24に挿通されて使用される。図41Aないし図43に示すように、シース502は、内シース512と、外シース514と、バルーン516と、保持部518とを備えている。
【0182】
このようなバルーン516を有するシースには、第13の実施の形態で説明したTバー404を留置するときに用いられるTバー結紮装置402の外シース432(図34C参照)などが用いられる。すなわち、これらのシース432の先端にバルーン516を設けることが好適である。以下、第13の実施の形態で説明したシース432には、この実施の形態に係る符号502で示すシースを適用するものとして説明する。
【0183】
図41Aないし図42に示すように、内シース512の外側には外シース514が配設されている。図41Aおよび図41Bに示すように、内シース512の先端は外シース514の先端よりも突出されている。この内シース512の先端には、第1の口金522が配設されている。この第1の口金522の外周面には、バルーン516の後述する先端側Oリング532が配設される第1の凹部522aが形成されている。さらに、外シース514の先端には、第2の口金524が配設されている。この第2の口金524の外周面には、バルーン516の後述する基端側Oリング534が配設される第2の凹部524aが形成されている。このため、これら第1の口金522および第2の口金524の間には、バルーン516が配設される。
【0184】
バルーン516は、先端側Oリング532と、基端側Oリング534と、細径部536a,536bと、バルーン形成部538とを備えている。バルーン形成部538の先端側および基端側には細径部536a,536bが形成されている。これら細径部536a,536bには、先端側Oリング532と、基端側Oリング534とが配設されている。そして、細径部536a,536bは、上述した第1の口金522の第1の凹部522a、第2の口金524の第2の凹部524aに配設されるように、先端側Oリング532、基端側Oリング534がそれぞれ配設されている。図43に示すように、バルーン形成部538は、長手軸周りには対称に形成されているが、先端側から基端側に向かって一旦外径寸法が大径に移行した後、徐々に外径寸法が小径となるように、非対称に形成されている。すなわち、バルーン形成部538の外周面のうち、バルーン516の長手方向軸に平行な接線の位置は、先端側Oリング532に近接し、基端側Oリング534に対して離隔する側にある。このため、図41Bに示すように、バルーン516は外側および先端側に向かって膨張する。
【0185】
なお、このバルーン516が第1の口金522および第2の口金524に配置された状態で、バルーン形成部538の外径寸法がワーキングチャンネル22の内径よりも大径になることによってワーキングチャンネル22への挿入性が損なわれることを防止するため、第1の口金522の第1の凹部522aと第2の口金524の第2の凹部524aとの間の距離は適宜に設定されている。すなわち、バルーン形成部538を長手軸方向に引っ張った状態にして、バルーン形成部538ができるだけ小径に保持されている。
【0186】
図42に示すように、保持部518は、先端に折れ止め542aを有する固定部542と、シリンジコネクタ544と、処置具保持栓546とを備えている。固定部542は、内シース512の基端部と外シース514の基端部とを固定する。そして、この固定部542には、シリンジコネクタ544が配設されている。このシリンジコネクタ544には、シリンジ550が着脱可能である。そして、シリンジ550により、内シース512の外周面と外シース514の内周面との間に液体を出し入れすることができる。固定部542の基端部には、例えばゴム材により処置具保持栓546が配設されている。この処置具保持栓546は、内シース512の内側に挿通する処置具を保持するとともに、体腔内の液体等が内シース512の内側を通って外側に排出されるのを防止する。
【0187】
次に、この実施の形態に係るシース502が超音波内視鏡10のワーキングチャンネル22に配設されて用いられる場合の作用について説明する。
【0188】
図44Aに示すように、超音波内視鏡10の挿入部12の先端部の超音波振動子52を体壁に当接させた場合、超音波振動子52と体壁との間に隙間が生じる。このため、Tバー結紮装置402の針管442の先端からTバー404のバー412が突出したか否かを観察するための超音波観察像が部分的に得られない場合がある。
【0189】
このような場合、図44Bに示すように、先端にバルーン516を有するシース502をTバー結紮装置402の外シース432の代わりに設ける。そして、このように、先端にバルーン516を有するTバー結紮装置402のシース502をワーキングチャンネル22の先端から突出させる。そして、超音波内視鏡10の挿入部12の先端面よりもバルーン516を突出させた状態でシリンジによりバルーン516を膨張させる。このとき、バルーン516は図41Bに示すように内シース512の先端の第1の口金522の先端よりも突出した状態に膨張するとともに、径方向外方に向かっても膨張する。すると、バルーン516は超音波振動子52に接触するとともに、体壁にも接触する。このため、超音波振動子52の振動がバルーン516を通して体壁に伝達される。このため、超音波振動子52と体壁との間の隙間がバルーン516によって埋められ、より良好な超音波観察像が得られる。
【0190】
第1のワーキングチャンネル22には、この状態で挿通する。内視鏡的に管腔内にTバー結紮装置402のシース502の先端を導入する。そして、光学観察を行いながら、シース502に対して針管442の先端を突出させ、管腔壁(生体組織)BW,BWを貫通させる。保持部518にシリンジ550を取り付けて液体を送ってバルーン516を径方向外方および前方に向かって膨張させる。保持部518を保持するなどしてシース502を基端側に引いて、バルーン516をワーキングチャンネル22の先端開口部22aの縁部に引っ掛ける。このとき、針管442の先端の位置が動かないように調整する。
【0191】
この状態で超音波観察を行う。すると、図44Bに示すように、隙間がバルーンによって埋められる。このため、超音波観察像のうち、欠けた部分を極力小さくすることができる。
【0192】
そして、プッシャ436でバー412を押圧して、針管442の先端から脱落させる。このとき、超音波観察によって針管442の先端縁部443b(図33参照)が認識されるとともに、針管442の先端から突出されるバー412(図31Aないし図31C参照)も認識される。このため、針管442の先端からバー412が脱落したか否か、超音波観察によって確実に認識される。このとき、管腔外にバー412が配置され、管腔内にストッパ416が配置されている。
【0193】
この実施の形態によれば、以下のことが言える。
【0194】
シース502のバルーン516に液体を注入すると、バルーン516を径方向外方および前方に膨出させることができる。このため、このバルーン516を内視鏡10の挿入部12の先端面のうち、超音波振動子52に隣接した位置に配置することができる。このため、超音波振動を伝達する媒体が注入されたバルーン516が生体組織に密着する。このため、良好な超音波観察像を得ることができる。
【0195】
なお、この実施の形態では、先端にバルーン516を有するシース502を第13の実施の形態で説明したTバー結紮装置402の外シース432の代わりに設けることとした。この実施の形態で説明したシース502の内腔に第13の実施の形態で説明したTバー結紮装置402をそのまま挿通させて処置することも好適である。
【0196】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0197】
以上の説明によれば、以下の項目が得られる。
【0198】
Item 1. 超音波内視鏡は、
先端部と基端部とを有する挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作部と、
先端部を有し、前記挿入部に設けられた超音波プローブ用チャンネルと、
超音波振動子が設けられた先端部を有し、その軸周りに回動可能に前記プローブ用チャンネルに挿通されている超音波プローブと
を具備する。
Item 2. Item 1に記載の超音波内視鏡であって、
前記挿入部に設けられ、対物レンズを前記挿入部の先端部の先端面に有する観察光学系と、
前記挿入部に設けられた少なくとも2つのワーキングチャンネルと
をさらに具備し、
前記超音波振動子の中心軸は、前記少なくとも2つのワーキングチャンネルのうちのいずれかのチャンネル上にある。
Item 3. Item 2に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波振動子は、前記超音波プローブをその軸方向に沿って移動可能である。
Item 4. Item 3に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波振動子は、前記超音波プローブの先端部の先端に設けられている。
Item 5. Item 4に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波振動子は、前記超音波プローブの先端部の側面に設けられている。
Item 6. Item 1に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波プローブは、その先端部を前記挿入部の先端よりも前方に向かって突出させたときに回動可能であり、前記突出させた状態よりも引き込んだときに前記挿入部の先端部に固定される。
Item 7. Item 6に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波プローブの先端部には、少なくとも1つの第1の固定部が設けられ、
前記プローブ用チャンネルには、前記第1の固定部に係合する複数の第2の固定部が設けられている。
Item 8. Item 7に記載の超音波内視鏡であって、
前記第1の固定部は、前記超音波プローブの軸方向から外れる方向に突出する少なくとも1つの突出部を備え、
前記第2の固定部は、前記突出部に係合する複数の凹部を備えている。
Item 9. Item 6に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波プローブはその軸方向に沿って移動可能であり、
前記超音波プローブの先端部の横断面は略正多角形状であり、
前記プローブ用チャンネルの先端部の縁部は前記超音波プローブの先端部の少なくとも一部が嵌合される略正多角形状であり、
前記ワーキングチャンネルは、前記超音波プローブ用チャンネルの中心を通り、前記超音波プローブ用チャンネルの縁部に直交する線分上に配置されている。
Item 10. Item 9に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波プローブの先端部は、略正多角柱状であり、
前記プローブ用チャンネルの先端部は、略正多角形状である。
Item 11. Item 10に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波プローブの先端部は、略正六角柱状であり、
前記プローブ用チャンネルの先端部は、略正六角形状である。
Item 12. Item 9に記載の超音波内視鏡であって、
前記超音波プローブの先端部の外周面は、略正六角形状であり、
前記プローブ用チャンネルの先端部の縁部は、略正六角形状である。
Item 13. ワーキングチャンネルを有する超音波内視鏡とともに用いられるシースであって、
先端部を有する内シースと、
先端部を有し、前記内シースの外側に配設され、前記超音波内視鏡のワーキングチャンネルに挿通可能である外シースと、
前記内シースの先端部と前記外シースの先端部との間に配設されたバルーンと、
前記内シースの外周面と、前記外シースの内周面との間に超音波振動を伝達可能な媒体を配設し、前記バルーンを膨出させるためのコネクタと
を具備し、
前記バルーンは、径方向外方に膨出するとともに、前記内シースおよび外シースの先端部よりも突出した状態に膨出可能である。
Item 14. Item 13に記載のシースであって、
前記内シースの内側には、処置具を挿通可能である。
Item 15. Item 13に記載のシースであって、
前記バルーンは、前記内シースの先端部と外シースの先端部との間で、前記シースの軸方向に引っ張られた状態で配設されている。
Item 16. Item 13ないしItem 15のいずれか1に記載のシースの先端に配設されるバルーンであって、
先端部と基端部とを有するバルーン形成部を具備し、
前記バルーン形成部は、その長手軸周りに対称に形成されているとともに、前記バルーン形成部の外周面のうち、前記長手軸と平行な接線位置は、前記基端部側よりも前記先端部に近接する側にある。
【0199】
Item 21
先端部と基端部とを有する挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作部と、
前記挿入部に設けられ、対物レンズを前記挿入部の先端部の先端面に有する観察光学系と、
前記挿入部に設けられ、超音波振動子を前記挿入部の先端部の先端面またはそれよりもさらに先端側に有する超音波観察系と
を具備し、
前記光学観察系の焦点位置は、前記超音波振動子の走査面と略同一の面上にあることを特徴とする超音波内視鏡。
Item 22
前記超音波振動子は、前記挿入部の先端部の先端面に対して突出された位置に固定可能に配置されていることを特徴とするitem 21に記載の超音波内視鏡。
Item 23
前記光学観察系と前記超音波観察系との焦点位置は略同一の面上にあることを特徴とするitem 21もしくはitem 22に記載の超音波内視鏡。
Item 24
前記超音波振動子はコンケイブ型であることを特徴とするitem 23に記載の超音波内視鏡。
Item 25
前記光学観察系には、光学観察用モニタが接続され、
前記モニタには、前記光学観察系によって得られる像に重ね合わせて表示される寸法表示器が表示されることを特徴とするitem 23もしくはitem 24に記載の超音波内視鏡。
Item 26
前記寸法表示器は、格子および/または目盛りであることを特徴とするitem 25に記載の超音波内視鏡。
Item 27
前記挿入部に設けられた少なくとも2つのワーキングチャンネルをさらに具備し、
前記超音波観察系は、
先端部を有し、前記挿入部に設けられた超音波プローブ用チャンネルと、
前記超音波振動子が設けられた先端部を有し、その軸周りに回動可能に前記プローブ用チャンネルに挿通され、前記超音波振動子の中心軸が前記少なくとも2つのワーキングチャンネルのうちのいずれかのチャンネル上に向けられている超音波プローブと
を備え、
前記光学観察系は、前記挿入部の先端部において、前記少なくとも2つのワーキングチャンネルに対して略等距離の位置に配置されていることを特徴とするitem 21に記載の超音波内視鏡。
Item 28
前記光学観察系は、前記ワーキングチャンネルの間に配設されていることを特徴とするitem 27に記載の超音波内視鏡。
Item 29
前記超音波プローブはその軸方向に沿って移動可能であり、
前記超音波プローブの先端部は、前記少なくとも2つのワーキングチャンネルの方向のいずれかに振動面を有する状態で前記挿入部の先端部に対して固定可能であることを特徴とするitem 27もしくはitem 28に記載の超音波内視鏡。
Item 30
前記超音波プローブは、その先端部を前記挿入部の先端よりも前方に向かって突出させたときに回動可能であり、前記突出させた状態よりも引き込んだときに前記挿入部の先端部に固定されることを特徴とするitem 29に記載の超音波内視鏡。
Item 31
前記超音波振動子は、前記超音波プローブの先端部の先端に設けられていることを特徴とするitem 29もしくはitem 30に記載の超音波内視鏡。
Item 32
前記超音波振動子は、前記超音波プローブの先端部の側面に設けられていることを特徴とするitem 31に記載の超音波内視鏡。
Item 33
前記超音波プローブの先端部には、少なくとも1つの第1の固定部が設けられ、
前記プローブ用チャンネルには、前記第1の固定部に係合する複数の第2の固定部が設けられていることを特徴とするitem 29に記載の超音波内視鏡。
Item 34
前記第1の固定部は、前記超音波プローブの軸方向から外れる方向に突出する少なくとも1つの突出部を備え、
前記第2の固定部は、前記突出部に係合する複数の凹部を備えていることを特徴とするitem 33に記載の超音波内視鏡。
Item 35
前記超音波プローブの先端部の外周面は略正多角形状であり、
前記プローブ用チャンネルの先端部の縁部は前記超音波プローブの先端部が嵌合される略正多角形状であり、
前記ワーキングチャンネルは、前記超音波プローブ用チャンネルの中心を通り、縁部に直交する線分上に配置されていることを特徴とするitem 29に記載の超音波内視鏡。
Item 36
前記超音波プローブの先端部は、略正多角柱状であり、
前記プローブ用チャンネルの先端部は、略正多角形状であることを特徴とするitem 25に記載の超音波内視鏡。
Item 37
前記少なくとも2つのワーキングチャンネルの少なくとも一方は、前記超音波振動子による振動面と交差する挿入軸を有することを特徴とするitem 27に記載の超音波内視鏡。
Item 38
前記少なくとも2つのワーキングチャンネルの少なくとも一方は、前記挿入部の長手方向に対して傾斜した傾斜軸を備え、
その傾斜軸を有するワーキングチャンネルに処置具が挿通されたときに、前記超音波振動子は、その傾斜軸に配設された処置具の中心軸と交差する振動面を有することを特徴とするitem 27に記載の超音波内視鏡。
Item 39
前記超音波振動子は、前記超音波プローブの先端部の先端面および側面に配設されていることを特徴とするitem 27に記載の超音波内視鏡。
Item 40
前記挿入部に設けられたワーキングチャンネルをさらに具備し、
前記ワーキングチャンネルは、前記超音波振動子の振動面に交差する中心軸を備えていることを特徴とするitem 21に記載の超音波内視鏡。
Item 41
前記挿入部の先端部には、キャップが配設されていることを特徴とするitem 21に記載の超音波内視鏡。
Item 42
前記キャップ内には、前記対物レンズおよび前記超音波振動子に密着し、超音波透過性および光透過性を有するブロックが配設されていることを特徴とするitem 41に記載の超音波内視鏡。
Item 43
先端部と基端部とを有する挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作部と、
前記挿入部に挿通され、前記挿入部の先端部に開口部を有する少なくとも1対の吸引チャンネルと、
前記吸引チャンネルの開口部の間に配設された超音波振動子と
を具備することを特徴とする超音波内視鏡。
Item 44
前記吸引チャンネルには、処置具を挿通可能であることを特徴とするitem 43に記載の超音波内視鏡。
Item 45
前記挿入部には、前記吸引チャンネルの間であって、前記超音波振動子が隣接する位置に、ワーキングチャンネルが挿通されていることを特徴とするitem 43もしくはitem 44に記載の超音波内視鏡。
Item 46
本体ケースと、前記本体ケースに着脱可能に配設される複数の処置具とを具備し、
前記本体ケースは、
複数のスロットを有する保持部と、
前記保持部に連結され、それぞれ対応するスロットに連通した複数のルーメンを有するシースと
を備え、
各処置具は、
前記スロットを通して前記ルーメンに配設される挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられ、前記スロットに配設される操作部と
を備えていることを特徴とする処置具システム。
Item 47
前記複数の処置具のうち、少なくとも1つの挿入部が体管腔内に導入されることを特徴とするitem 46に記載の処置具システム。
Item 48
前記複数の処置具の挿入部の先端部には、超音波を送信、受信、または送受信可能な超音波振動子が配設されていることを特徴とするitem 46もしくはitem 47に記載の処置具システム。
Item 49
前記超音波振動子同士は対向する位置に配置されたときに、一方が少なくとも超音波を送信可能であり、他方が少なくとも超音波を受信可能であることを特徴とするitem 48に記載の処置具システム。
Item 50
前記保持部は、前記処置具の操作部に係合し、前記ルーメンの先端に対する前記挿入部の突出長さを調整する突出長調整部を備えていることを特徴とするitem 48もしくはitem 49に記載の処置具システム。
Item 51
経口的または経肛門的に管腔内に挿入される挿入部を有する第1の内視鏡と、
経皮的に管腔外に挿入される挿入部を有する第2の内視鏡と
を具備し、
前記第1の内視鏡の挿入部の先端部には、送信および/または受信可能な超音波振動子が配設され、
前記第2の内視鏡の挿入部の先端部には、送信および/または受信可能な超音波振動子が配設され、
前記第1および第2の内視鏡のそれぞれの挿入部の先端部同士が管腔壁を挟んで対向する位置に配置されたときに、いずれかの超音波振動子は最大の超音波を受信することを特徴とする内視鏡システム。
Item 52
前記第1の内視鏡の挿入部は、ワーキングチャンネルを備え、
前記ワーキングチャンネルを通して前記管腔壁を処置可能であることを特徴とするitem 51に記載の内視鏡システム。
Item 53
紐状部材と、
前記紐状部材に固定されたバーと、
前記バーに近接する方向への移動を許容し、前記バーから離隔する方向への移動を規制するストッパと
を具備し、
前記バーには、超音波観察により認識される反射加工部が設けられていることを特徴とするTバー。
Item 54
Item 53に記載のTバーが配置されるTバー結紮装置であって、
前記Tバーが先端側から着脱可能に配置される針管と、
前記針管の外周を覆うシースと、
前記針管に挿通可能に設けられ、前記針管の先端から前記Tバーを脱落させるためのプッシャと
を具備することを特徴とするTバー結紮装置。
Item 55
前記バーと前記針管とは、異なる材質であることを特徴とするitem 54に記載のTバー結紮装置。
Item 56
前記針管は、前記バーの反射加工部とは異なる反射加工部を備えていることを特徴とするitem 54もしくはitem 55に記載のTバー結紮装置。
Item 57
前記針管の反射加工部と前記バーの反射加工部とは、加工深さが異なることを特徴とするitem 56に記載のTバー結紮装置。
Item 58
前記針管の反射加工部と前記バーの反射加工部とは、加工密度が異なることを特徴とするitem 56もしくはitem 57に記載のTバー結紮装置。
Item 59
前記針管の反射加工部と前記バーの反射加工部とは、加工形状が異なることを特徴とするitem 56ないしitem 58のいずれか1に記載のTバー結紮装置。
Item 60
前記シースの先端には、超音波を伝達可能なバルーンが配設されていることを特徴とするitem 54に記載のTバー結紮装置。
Item 61
前記バーと前記針管とは、異なるコーティングが施されていることを特徴とするitem 54に記載のTバー結紮装置。
【符号の説明】
【0200】
22,24…ワーキングチャンネル、22a,24a…ワーキングチャンネル開口部、26…超音波プローブ用チャンネル、26a…超音波プローブ用チャンネル開口部、26b…縁部、32…先端硬性部、38…対物レンズ、50…超音波プローブ、52…電子コンベックス型超音波振動子、56…半球状部、58…振動子ケーブル、BW…体壁、FL…観察光学系の対物レンズの焦点距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部と基端部とを有する挿入部と、
前記挿入部の基端部に設けられた操作部と、
前記挿入部に挿通され、前記挿入部の先端部に開口部を有する少なくとも1対の吸引チャンネルと、
前記吸引チャンネルの開口部の間に配設された超音波振動子と
を具備することを特徴とする超音波内視鏡。
【請求項2】
前記吸引チャンネルには、処置具を挿通可能であることを特徴とする請求項1に記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
前記挿入部には、前記吸引チャンネルの間であって、前記超音波振動子が隣接する位置に、ワーキングチャンネルが挿通されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の超音波内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図22E】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図27D】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図32】
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【図33】
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【図34A】
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【図34B】
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【図34C】
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【図35】
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【図36A】
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【図36B】
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【図36C】
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【図36D】
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【図36E】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41A】
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【図41B】
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【図42】
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【図43】
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【図44A】
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【図44B】
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【公開番号】特開2011−19974(P2011−19974A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244509(P2010−244509)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【分割の表示】特願2007−218730(P2007−218730)の分割
【原出願日】平成19年8月24日(2007.8.24)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】