説明

路上設置形変圧器装置

【課題】コネクタ付きケーブルを用いることなく変圧器と開閉器とを電気的に接続するようにした路上設置形変圧器装置を提供する。
【解決手段】路上設置形変圧器装置に絶縁油が充填された変圧器1と開閉器2とを備える。開閉器2の開閉器本体を収容した開閉器ケース22に設けられたブッシング取付座4に、第1のシール部材7を介在させて出力側ブッシング3を取り付ける。出力側ブッシング3の出力側を、変圧器の変圧器本体を収容した変圧器タンク11の側面に設けられたタンク開口部11aを通して変圧器タンク内に引き込む。変圧器タンク11の側面に、第2のシール部材9を介在させてブッシング取付座を取り付ける。開閉器2を、ブッシング取付座を介して変圧器に取り付けた状態で開閉器本体と出力側ブッシングの入力端子部3bとを電気的に接続し、出力側ブッシングの出力端子部3cと変圧器本体とを実質的に電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁油が充填された変圧器と開閉器とを備えた路上設置形変圧器装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
路上設置形変圧器装置は、変圧器、開閉器等を備えて、外箱内に収容されており、変圧器は変圧器本体が変圧器タンク内に充填された絶縁油と共に収容されて構成され、開閉器は開閉器本体が開閉器ケース内に収容されて構成されている。
【0003】
開閉器ケースは、一般的に変圧器タンクの側面から離隔して配置されており、変圧器と開閉器とは、特許文献1に示されているように、開閉器ケースに設けられた出力側ブッシングと変圧器ケースに設けられた一次側ブッシングとを、コネクタと絶縁ケーブルとを組み合わせた出力側コネクタ付きケーブルを用いて接続することにより、電気的に接続されている。
【特許文献1】特開平5−258966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉器と変圧器とを電気的に接続する場合、上記のようなコネクタ付きケーブルでは、このコネクタに適合したブッシングを開閉器及び変圧器に設ける必要があるため、コストアップするという問題がある。また、コネクタ及びケーブルを用いるため、ブッシング及びコネクタの形状によるスペースの確保が必要となると共に、ケーブルを適宜に配置させることによるスペースの確保が必要となり、路上設置形変圧器装置のコンパクト化に支障が生じるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、コネクタ付きケーブルを用いることなく変圧器と開閉器とを電気的に接続するようにした路上設置形変圧器装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、絶縁油が充填された変圧器と開閉器とを備えた路上設置形変圧器装置を対象とし、開閉器の開閉器本体を収容した開閉器ケースに設けられたブッシング取付座に、第1のシール部材を介在させて出力側ブッシングが取り付けられ、出力側ブッシングの出力側が変圧器の変圧器本体を収容した変圧器タンクの側面に設けられたタンク開口部を通して変圧器タンク内に引き込まれ、変圧器タンクの側面に、第2のシール部材を介在させてブッシング取付座が取り付けられ、開閉器がブッシング取付座を介して変圧器に取り付けられた状態で開閉器本体と出力側ブッシングの入力端子部とが電気的に接続され、出力側ブッシングの出力端子部と変圧器本体とが実質的に電気的に接続されれるようにしたものである。
【0007】
第2の発明は、開閉器がガス開閉器であって、第1のシール部材はオイル用シール部材及びガス用シール部材の2つからなり、第2のシール部材がオイル用シール部材からなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、第1の発明によれば、出力側ブッシングが変圧器タンク内に入り込み、開閉器ケースがブッシング取付座を介して変圧器タンクの側面に取り付けられているので、コネクタ付きケーブルが不要となり、コストアップすることなくコンパクトに製作することができる。
【0009】
第2の発明によれば、第1のシール部材による密閉をオイル用シール部材及びガス用シール部材により2重で行い、第2のシール部材による密閉をオイル用シール部材により行っているので、ガス開閉器を用いて構成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は本発明に係る路上設置形変圧器装置の実施形態を示す概略構成図である。図示するように、変圧器1、開閉器2等を備えて、外箱3内に収容されており、変圧器1は図示しない変圧器本体が変圧器タンク11内に収容されて構成され、開閉器2は図示しない開閉器本体が開閉器ケース22内に収容されて構成され、開閉器ケース22が変圧器タンク11の側面に取り付けられている。開閉器2には、外箱3内に引き込まれた入力側コネクタ付きケーブル10が接続されている。変圧器タンク11内には絶縁油として、鉱物油等が充填され、開閉器ケース22内には絶縁ガスとして、SFガス等が封入されている。
【0011】
図2は本発明に係る路上設置形変圧器装置の実施形態の要部を示す概略構成図である。図示するように、開閉器ケース22の側面の1つには、出力側ブッシング3を設けるために、ケース開口部22aが設けられ、その開口部22aの外側周縁部にブッシング取付座4が全周溶接されて取り付けられている。
【0012】
ブッシング取付座4は、図3に示すように、矩形状の板材で形成されており、3相分の出力側ブッシング3を取り付けるためのブッシング貫通孔4a,4b,4cがそれぞれ設けられている。
【0013】
出力側ブッシング3は、その長手方向の中央部に長手方向と直角方向に延進する円形状の支持板3aを有し、その棒状部をブッシング貫通孔4a(4b,4c)に貫通させた状態で、ブッシング取付座4の変圧器タンク11側に設けられた押さえ板5をボルト6により締め付け、支持板3aをブッシング取付座4と押さえ板5との間に挟むことにより、ブッシング取付座4に取り付けられる。以上で出力側ブッシング3が取り付けられた開閉器2の製作が完了する。
【0014】
押さえ板5は、図3に示したブッシング取付座4と同様な形状をしており、ブッシング3用の貫通孔とボルト6用の貫通孔とが設けられている。
【0015】
ボルト6を螺合させるために、図3に示すように、ブッシング取付座4のブッシング貫通孔4a,4b,4cの周囲にネジ穴4dがそれぞれ設けられている。
【0016】
出力側ブッシング3を第1のシール部材7により密閉状態に取り付けるために、ブッシング取付座4には、図3に示すように、第1及び第2の溝部4e,4fがブッシング取付座4と支持板3aとの重なり部分のブッシング取付座4に、ブッシング貫通孔4a,4b,4cの周囲に沿って2重円を描くように形成されており、この2重円の外側及び内側に位置する第1及び第2の溝部4e,4fの断面形状は、図4に示すように、それぞれコ字状及びL字状に形成されている。この第1の溝部4eに、リング状のオイル用シール部材7aが収容され、第2の溝部4fに、リング状のガス用シール部材7bが収容されている。また、図4に示すように、出力側ブッシング3が取り付けられた状態で、支持板3aの開閉器ケース11側の面により第1のシール部材7が押し込まれるように、ブッシング貫通孔4aから第1及び第2の溝部4e,4fを跨って支持板3aを入り込ませる落とし込み部4gが形成されている。
【0017】
オイル用シール部材7aは、絶縁油に耐えられるだけの化学的安定性が必要であると共に、絶縁油の温度上昇にも耐えられる物理的性質を必要とし、例えば、NBR(アクリロニトリル・ブタンジエンゴム)からなる。ガス用シール部材7bは、耐SFガス性に優れた性質を必要とし、例えば、EPT(エチレン・プロピレンゴム)からなる。
【0018】
変圧器タンク11の側面の1つには、出力側ブッシング3を変圧器タンク11内に入り込ませるためのタンク開口部11aが設けられ、ブッシング取付座4は、タンク開口部11aの外側周縁部をボルト8により締め付けることにより、出力側ブッシング3が変圧器タンク11内に入り込んだ状態で取り付けられる。以上で開閉器2の変圧器1への取り付けが完了する。
【0019】
ボルト8を螺合させるために、図3に示すように、ブッシング取付座4の周縁部にネジ穴4hが設けられている。
【0020】
ブッシング取付座4を第2のシール部材9により密閉状態に取り付けるために、ブッシング取付座4には、図3に示すように、第3の溝部4iがブッシング取付座4と変圧器タンク11との重なり部分のブッシング取付座4の周縁に沿って形成されており、その断面形状は、コ字状に形成されている。この溝部4iに、例えば、上記と同じNBRからなるリング状のオイル用シール部材が収容されている。
【0021】
開閉器2は、図示しない開閉器本体と出力側ブッシング3の入力端子部3bとが電気的に接続され、変圧器1は、出力側ブッシング3の出力端子部3cと図示しない変圧器本体の一次側巻線とが図示しないヒューズを介して電気的に接続され、または、ヒューズを介することなく直接接続されている。
【0022】
上記実施形態では、第1のシール部材7として、オイル用シール部材7a及びガス用シール部材7bの2つを用いて、絶縁油及びSFガスに対するシールの安定性を格段に向上させつつ維持させるようにしているが、これらに対するシールの安定性が共に維持できるのであれば、第1のシール部材7は1つであってもよい。
【0023】
また、上記実施形態では、開閉器2をガス開閉器としたが、気中開閉器であってもよい。この場合、第1のシール部材7としてはオイル用シール部材7aのみでよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る路上設置形変圧器装置の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る路上設置形変圧器装置の実施形態の要部を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係る路上設置形変圧器装置に用いるブッシング取付座を変圧器側から見た正面図である。
【図4】本発明に係る路上設置形変圧器装置に用いるブッシング取付座に出力側ブッシングが取り付けられた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 変圧器
11 変圧器タンク
11a タンク開口部
2 開閉器
22 開閉器ケース
3 出力側ブッシング
3b 出力側ブッシングの入力端子部
3c 出力側ブッシングの出力端子部
4 ブッシング取付座
7 第1のシール部材
7a オイル用シール部材
7b ガス用シール部材
9 第2のシール部材(オイル用シール部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁油が充填された変圧器と開閉器とを備えた路上設置形変圧器装置において、
前記開閉器の開閉器本体を収容した開閉器ケースに設けられたブッシング取付座に、第1のシール部材を介在させて出力側ブッシングが取り付けられ、
前記出力側ブッシングの出力側が前記変圧器の変圧器本体を収容した前記変圧器タンクの側面に設けられたタンク開口部を通して前記変圧器タンク内に引き込まれ、
前記変圧器タンクの側面に、第2のシール部材を介在させて前記ブッシング取付座が取り付けられ、
前記開閉器が前記ブッシング取付座を介して前記変圧器に取り付けられた状態で前記開閉器本体と前記出力側ブッシングの入力端子部とが電気的に接続され、前記出力側ブッシングの出力端子部と前記変圧器本体とが実質的に電気的に接続されている路上設置形変圧器装置。
【請求項2】
前記開閉器はガス開閉器であって、前記第1のシール部材はオイル用シール部材及びガス用シール部材の2つからなり、前記第2のシール部材はオイル用シール部材からなる請求項1に記載の路上設置形変圧器装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−211765(P2006−211765A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17809(P2005−17809)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】