説明

車両の外装部品

【課題】後側に配置される電波レーダユニットの機能の妨げにならないように構成し、意匠膜に黒色塗膜が映り込んで意匠部分が暗く見えることを確実に防止して意匠性に優れたものにし、しかも、製造コストを低減し、更に、意匠部分の立体感を高めて意匠性に非常に優れたものにすることができる、車両の外装部品を提供する。
【解決手段】車両の外装部品としてのエンブレム6は、合成樹脂材料を主体に成形された黒色系のベース部材10、ベース部材10の表面部分に固定された意匠部材20、ベース部材10及び意匠部材20を被覆する透明な合成樹脂製の表層部材30を備え、意匠部材20は、光透過性を有する意匠本体21、意匠本体21の背面に形成された電波透過性を有する金属膜からなる意匠膜25を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントエンド部分に配置された電波レーダユニットの前側に配設されるエンブレム等の外装部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両において、前方の障害物(先行車両等)との衝突を余地して、シートベルトを引締めたり、ブレーキを作動させて衝突を回避したりする制御技術や、先行車両に一定の車間距離を保って追従走行する制御技術が周知であり、そのために、ミリ波レーダ等を有する電波レーダユニットが車両のフロントエンド部分に(その車幅方向中央部に前向きに)配置され、この電波レーダユニットにより、前方の障害物との距離を検出可能に、また、先行車両を認識可能に構成されている。
【0003】
車両のフロントエンド部分は、車両のデザインを印象付ける部分であり、意匠性や商品性の観点から重要な部分であるため、電波レーダユニットがフロントエンド部分に配置された車両では、その電波レーダユニットを隠蔽することが行われるが、更に、紋章等の固有のマークが入ったエンブレム等の外装部品がフロントエンド部分に取付けられた車両では、その外装部品を電波レーダユニットの前側に配設して、その外装部品で電波レーダユニットを隠蔽することができる。
【0004】
ところで、車両のエンブレム等の外装部品については、その意匠部分(マーク部分)が光沢を有し他の部分よりも際立つようにして、意匠性が高められるが、この外装部品が電波レーダユニットの前側に配設される場合には、電波透過性に優れたものにする必要がある。ここで、特許文献1には、光沢を有して意匠性を高めつつ、電波透過性に優れた、車両のエンブレムからなる外装部品が開示されている。
【0005】
図8に示すように、この外装部品100は、合成樹脂製のベース部材101と、ベース部材101の前面側に設けられた意匠部分102と、ベース部材101及び意匠部分102を被覆する透明な合成樹脂製の表層部材103とを備えている。意匠部分102において、ベース部材101に凸部101aが形成され、表層部材103に凹部103aが形成され、凹部103aの奥端面に電波透過性に優れたインジュームからなる金属膜104が形成され、意匠部分102の前面(金属膜104)は平坦に形成されている。
【0006】
金属膜104の背面にマスキング塗膜105が形成され、このマスキング塗膜105の背面と表層部材103の背面全体にアクリル製の黒色塗膜106が形成され、ベース部材102の前面と黒色塗膜106の背面とが接着剤107で接着されている。金属膜104については、先ず、表層部材103の凹部103aと背面全体に金属膜を蒸着させて形成し、次に、マスキング塗膜105を形成してから、そのマスキング塗膜105の背面以外の金属膜を剥離除去することで形成されている。
【0007】
一方、本願発明者は、図9のような構造の外装部品の実用化を検討した。この外装部品200は、ベース部材201、意匠部分202、表層部材203を備え、意匠部分202において、ベース部材201に突部201aが形成され、表層部材203に溝部203aが形成され、突部201aの表面に金属膜204が形成され、意匠部分202は断面にて先細状に形成されている。ベース部材201の突部201aを含む前面全体に金属膜が形成され、この金属膜のうち意匠部分202以外の前面全体に黒色塗膜205が形成され、突部201aの表面の金属膜204のみが表層部材203の方へ露出している。
【0008】
【特許文献1】特開2002−135030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8の特許文献1に記載の外装部品では、意匠部分が前方へ凸状に形成され、その前面に光沢を有する金属膜が形成され、この意匠部分は黒色塗膜の背景によって引立てられるが、黒色塗膜が表層部材の背面側全体に形成されているため、更に、金属膜については、表層部材の背面側全体に金属膜を蒸着させて形成し、次に、マスキング塗膜を形成してから、そのマスキング塗膜の背面以外の金属膜を剥離除去して形成されるので、製造コストが高くなり、しかも、意匠部分の前面(金属膜)は平坦に形成されているため、意匠部分の立体感を高めるには限界があり、意匠部分自体のデザイン性も制限される。
【0010】
一方、図9の本願発明者が検討した外装部品では、意匠部分が前方へ突出し、断面にて先細状に形成されているため、意匠部分の立体感が高められる。しかし、ベース部材の突部を含む前面全体に金属膜が形成され、この金属膜のうち意匠部分以外の前面全体に黒色塗膜が形成されているため、製造コストが高くなるという問題がある。特に、断面にて先細状の意匠部分の表面に金属膜が形成されているため、この傾斜状の金属膜に黒色塗膜が映り込んで、意匠部分(金属膜)が暗く見えるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、後側に配置される電波レーダユニットの機能の妨げにならないように構成して、意匠膜に黒色塗膜が映り込んで意匠部分が暗く見えることを確実に防止して意匠性に優れたものにし、しかも、製造コストを低減し、更に、意匠部分の立体感を高めて意匠性に非常に優れたものにすることができる、車両の外装部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の車両の外装部品は、車両のフロントエンド部分に配置された電波レーダユニットの前側に配設される外装部品において、合成樹脂材料を主体に成形された黒色系のベース部材と、前記ベース部材の表面部分に固定された意匠部材であって、光透過性を有する意匠本体と、この意匠本体の背面に形成された電波透過性を有する意匠膜とを有する意匠部材と、前記ベース部材及び意匠部材を被覆する透明な合成樹脂製の表層部材とを備えたことを特徴とする。
【0013】
この外装部品では、意匠部材が光透過性を有する意匠本体と電波透過性を有する意匠膜とを有するので、また、ベース部材が合成樹脂材料を主体に成形され、表層部材が合成樹脂製であるので、後側に配置される電波レーダユニットの機能の妨げにならないように構成される。意匠本体の背面に形成された意匠膜の色が意匠本体の表面に浮上がって見えて、意匠部材の立体感が高められ、この意匠部材が黒色系のベース部材の表面部分に固定されているので、その黒色系の背景によって引立てられる。意匠膜が意匠本体の背面に平坦に形成され、特に、ベース部材の前面と平行に形成されて、意匠膜に黒色系のベース部材が映り込んで、意匠部材(意匠膜)が暗く見えることが防止され、故に、意匠部材の立体感の向上が確保され、透明な表層部材によりベース部材及び意匠部材が被覆されているため、外装部品の質感も高められ、意匠性に非常に優れたものになる。
【0014】
ここで、請求項1の従来請求項として次の構成を採用可能である。
前記意匠本体の屈折率と表層部材の屈折率とを異ならせる(請求項2)。前記意匠本体は、その後端部がベース部材に形成された凹部に嵌合固定されて前方へ突出され、断面にて先細状に形成される(請求項3)。
【0015】
前記意匠膜は、光沢を有する金属製の意匠膜からなる(請求項4)。前記意匠膜は、インジューム、クロム、錫、アルミニウム、金の何れかからなる金属で構成される(請求項5)。前記意匠膜は、前記金属を意匠本体の背面に蒸着させて形成される(請求項6)。前記意匠膜は、光沢を有するシリコン製の意匠膜からなる(請求項7)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の車両の外装部品によれば、合成樹脂材料を主体に成形された黒色系のベース部材、ベース部材の表面部分に固定された意匠部材、ベース部材及び意匠部材を被覆する透明な合成樹脂製の表層部材を備え、意匠部材が、光透過性を有する意匠本体と、この意匠本体の背面に形成された電波透過性を有する意匠膜とを有する。従って、この外装部品を、その後側に配置される電波レーダユニットの機能の妨げにならないように構成でき、しかも、意匠本体の背面に形成された意匠膜の色を意匠本体の表面に浮上がらせて見せて、意匠部材の立体感を高めて、意匠部材自体のデザイン性も高まり、この意匠部材を黒色系の背景によって引立てることができ、これを、従来の黒色塗装を省略して、また、意匠膜を意匠本体の背面にのみ形成して達成できるので、製造コストを低減できる。しかも、意匠膜を意匠本体の背面に平坦に形成し、特に、ベース部材の前面と平行に形成することで、意匠膜に黒色系のベース部材が映り込んで、意匠部材(意匠膜)が暗く見えることを防止できるので、意匠部材の立体感の向上を確保でき、表層部材により質感も高めることができるので、意匠性に非常に優れたものにすることができる。
【0017】
請求項2の車両の外装部品によれば、意匠本体の屈折率と表層部材の屈折率とを異ならせたので、意匠本体の背面に形成された意匠膜の色を意匠本体の表面に確実に浮上がらせて表層部材を通して見せることができる。
【0018】
請求項3の車両の外装部品によれば、意匠本体を、その後端部をベース部材に形成された凹部に嵌合固定して前方へ突出させ、断面にて先細状に形成したので、意匠部材の立体感を確実に高め、また、意匠部材をベース部材に確実に固定できる。
【0019】
請求項4の車両の外装部品によれば、意匠膜は、光沢を有する金属製の意匠膜からなるので、光沢色を意匠本体の表面に浮上がらせて見せて、意匠部材を黒色系の背景によって一層引立てることができる。
【0020】
請求項5の車両の外装部品によれば、意匠膜を、インジューム、クロム、錫、アルミニウム、金の何れかからなる金属で構成したので、意匠膜の電波透過性を確保して、光沢色を確実に見せることができる。
【0021】
請求項6の車両の外装部品によれば、意匠膜を、金属を意匠本体の背面に蒸着させて形成したので、意匠本体の背面に意匠膜を簡単に確実に形成できる。
【0022】
請求項7の車両の外装部品によれば、意匠膜は、光沢を有するシリコン製の意匠膜からなるので、意匠膜の電波透過性を確保して、光沢色を確実に見せることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の車両の外装部品は、車両のフロントエンド部分に配置された電波レーダユニットの前側に配設される外装部品であり、合成樹脂材料を主体に成形された黒色系のベース部材と、ベース部材の表面部分に固定された意匠部材であって、光透過性を有する意匠本体と、この意匠本体の背面に形成された電波透過性を有する意匠膜とを有する意匠部材と、ベース部材及び意匠部材を被覆する透明な合成樹脂製の表層部材とを備えている。
【実施例1】
【0024】
図1に示すように、自動車1のフロントエンド部分2には、フロントバンパ3、フロントグリル4が設けられ、フロントグリル4の中央部分に、電波レーダユニット5が配置され、電波レーダユニット5の前側に外装部品としてのエンブレム6が配設されている。
【0025】
電波レーダユニット5は、電波を発信・受信するミリ波レーダ等を有し、自動車1において、前方の障害物(先行車両等)との衝突を余地して、シートベルトを引締めたり、ブレーキを作動させて衝突を回避したりする制御や、先行車両に一定の車間距離を保って追従走行する制御を行うために装備されている。
【0026】
図2〜図4に示すように、エンブレム6は、紋章等の固有のマーク(後述の意匠部材20であり、ここでは「A」)の入ったものであり、例えば、図示のように正面視円形に形成され、電波レーダユニット5の機能の妨げにならない(電波レーダユニット5が発信・受信する電波を減衰させない)ように、電波透過性を有する材料で構成されている。
【0027】
エンブレム6について詳細に説明する。
図2〜図4に示すように、エンブレム6は、黒色系のベース部材10と、ベース部材10の表面部分(前面部分)に固定された意匠部材20と、ベース部材10及び意匠部材20の表面(前面)を被覆する透明な表層部材30とを備えている。
【0028】
ベース部材10は、合成樹脂(例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)材料を主体に、例えば、その合成樹脂材料にカーボンブラック等の顔料を混合した材料で構成され、射出成形により円板状に成形され、このベース部材10の前部には、意匠部材20の後端部が嵌合される凹部11が前方開放状に形成されている。
【0029】
意匠部材20は、光透過性を有する意匠本体21と、この意匠本体21の背面に形成された電波透過性を有する意匠膜25とを有し、意匠部材20の後端部がベース部材10の凹部11に嵌合固定され、ベース部材10の凹部11の奥端面と意匠膜25の背面とが接着剤26で接着され、意匠部材20は、ベース部材10から前方へ突出し、断面にて前方へ先細状に形成されている。
【0030】
意匠本体21は、意匠部材20の大部分を構成し、透明な合成樹脂(例えば、アクリル樹脂)材料で構成されている。意匠本体21は、一定幅の断面矩形状に形成された意匠本体後部22と、前方へ先細状に断面3角形状に形成された意匠本体前部23とを有し、意匠本体後部22が、ベース部材10の凹部11に嵌合固定されて、意匠本体前部23がベース部材10から前方へ突出している。
【0031】
意匠膜25は、光沢を有する金属製の意匠膜からなり、意匠本体21の背面全体に形成されている。この意匠膜25は、インジューム、クロム、錫、アルミニウム、金の何れかからなる金属で構成され、この金属を意匠本体の背面に蒸着させて形成されている。ここで、意匠膜25として、前記金属のうちミリ波の電波透過性に非常に優れたインジュームを適用することが好適である。尚、意匠膜25として、光沢を有する金属製の意匠膜の代わりに、光沢を有するシリコン製の意匠膜を適用してもよい。
【0032】
表層部材30は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート樹脂)材料で構成され、意匠部材20の意匠本体21の屈折率と表層部材30の屈折率とを異ならせている。表層部材30は、射出成形によりベース部材10と同径の円板状に成形され、この場合、ベース部材10及びベース部材10の表面部分に固定された意匠部材20にインサート成形されて一体化され、即ち、表層部材30が、ベース部材10の前面に固着されると共に、意匠本体21の意匠本体前部23を嵌合させ表層部材30に内装する溝部31を形成して、その溝部31が意匠本体前部23の表面に固着されている。
【0033】
ここで、エンブレム6の製造方法について説明する。
先ず、図5−1に示すように、意匠部材20の意匠本体21を射出成形し、次に、図5−2に示すように、意匠本体21の背面に金属膜25を蒸着させて形成して、意匠部材20を構成する。次に、図5−3に示すように、ベース部材10を射出成形しておく一方、意匠部材20の意匠膜25の背面に接着剤26を塗布する。
【0034】
次に、図5−4に示すように、意匠部材20の後端部をベース部材10の凹部11に嵌合固定し、接着剤26により意匠膜25の背面とベース部材10の凹部11の奥端面とを接着し、次に、このベース部材10と意匠部材20との一体部品を所定のインサート成形型に入れて、表層部材30をインサート成形し、表層部材30をベース部材10と意匠部材20と一体化して、図4のエンブレム6を構成する。
【0035】
接着剤26については、意匠部材20の意匠膜25の背面にではなく、ベース部材10の凹部11の奥端面に塗布してもよい。また、表層部材30をインサート成形することでベース部材10及び意匠部材20と一体化でき、意匠部材20も確実に固定できるため、エンブレム6において、接着剤26(製造方法においては、接着剤26の塗布工程)を省略してもよい。また、表層部材30をインサート成形せずに単体で射出成形しておいて、その表層部材30をベース部材10に接着剤で接着してもよい。
【0036】
以上説明したエンブレム6によれば、合成樹脂材料を主体に成形された黒色系のベース部材10、ベース部材10の表面部分に固定された意匠部材20、ベース部材10及び意匠部材20を被覆する透明な合成樹脂製の表層部材30を備え、意匠部材20が、光透過性を有する意匠本体21と、この意匠本体21の背面に形成された電波透過性を有する意匠膜25とを有する。
【0037】
従って、このエンブレム6を、後側に配置される電波レーダユニット5の機能の妨げにならないように構成でき、しかも、意匠本体21の背面に形成された意匠膜25の色を意匠本体21の表面に浮上がらせて見せて、意匠部材20の立体感を高めて、意匠部材20自体のデザイン性も高まり、この意匠部材21を黒色系の背景によって引立てることができ、これを、従来の黒色塗装を省略して、また、意匠膜25を意匠本体21の背面にのみ形成して達成できるので、製造コストを低減できる。
【0038】
しかも、意匠膜25を意匠本体21の背面に平坦に形成し、特に、ベース部材10の前面と平行に形成することで、意匠膜25に黒色系のベース部材10が映り込んで、意匠部材20(意匠膜25)が暗く見えることを防止できるので、意匠部材20の立体感の向上を確保でき、表層部材30により質感も高めることができるので、意匠性に非常に優れたものにすることができる。
【0039】
意匠本体21の屈折率と表層部材30の屈折率とを異ならせたので、意匠本体21の背面に形成された意匠膜25の色を意匠本体21の表面に確実に浮上がらせて表層部材30を通して見せることができる。意匠本体21を、その後端部をベース部材10に形成された凹部11に嵌合固定して前方へ突出させ、断面にて先細状に形成したので、意匠部材20の立体感を確実に高め、また、意匠部材20をベース部材10に確実に固定できる。
【0040】
意匠膜25は、光沢を有する金属製の意匠膜からなるので、光沢色を意匠本体21の表面に浮上がらせて見せて、意匠部材20を黒色系の背景によって一層引立てることができる。意匠膜25を、インジューム、クロム、錫、アルミニウム、金の何れかからなる金属で構成したので、意匠膜25の電波透過性を確保して、光沢色を確実に見せることができる。意匠膜25を、意匠本体21の背面に蒸着させて形成したので、意匠本体21の背面に意匠膜25を簡単に確実に形成できる。
【0041】
ここで、意匠膜25として、光沢を有する金属製の意匠膜の代わりに、光沢を有するシリコン製の意匠膜を適用した場合でも、意匠膜25の電波透過性を確保して、光沢色を確実に見せることができる。
【実施例2】
【0042】
図6に示すように、この外装部品としてのエンブレム6Aは、黒色系のベース部材40と、ベース部材40の表面部分(前面部分)に固定された意匠部材50と、ベース部材40及び意匠部材50の表面(前面)を被覆する透明な表層部材60とを備えている。
【0043】
ベース部材40は、実施例1のベース部材10よりも厚さを多少薄くしたものであり、ベース部材40には、実施例1のベース部材10の凹部11よりも浅い凹部41が形成されている。意匠部材50は、実施例1の意匠部材20と同様の構造であり、意匠本体51、意匠膜55を有し、意匠本体51が、意匠本体後部52、意匠本体前部53を有する。
【0044】
但し、意匠本体51の意匠本体後部52の後端部のみがベース部材40の凹部41に嵌合固定され、この凹部41の奥端面と意匠膜55の背面とが接着剤56で接着されている。つまり、意匠本体51の意匠本体前部53と共に意匠本体後部52の後端部以外の部分が表層部材60に内装され、これにより、意匠部材50の立体感が一層高められ、意匠部材50のデザイン性も一層高められる。
【0045】
これに対応するように、表層部材60が、実施例1の表層部材30の厚さよりも多少厚く形成されて、意匠本体前部53と意匠本体後部52の後端部以外の部分を嵌合させる溝部61を形成して、その溝部61が意匠本体前部53と意匠本体後部52の後端部以外の部分に固着されている。また、ベース部材40の前面と表層部材60の背面とが接着剤57で接着されている。
【0046】
ここで、エンブレム6Aの製造方法について説明する。
先ず、実施例1の図5−1,2と同様に、意匠部材50の意匠本体51を射出成形し、この意匠本体51の背面に金属膜55を蒸着させて形成して、意匠部材50を構成する。
【0047】
次に、図7−1に示すように、この意匠部材50を所定のインサート成形型に入れて、表層部材60をインサート成形し、表層部材60を意匠部材50と一体化する。次に、図7−2に示すように、ベース部材40を射出成形しておく一方、意匠部材50の意匠膜55の背面と表層部材60の背面に接着剤56,57を塗布し、意匠部材50の後端部をベース部材40の凹部41に嵌合固定し、接着剤56により意匠膜55の背面とベース部材40の凹部41の奥端面とを接着剤56で接着するとともに、ベース部材40の前面と表層部材60の背面とを接着剤57で接着して、図6のエンブレム6Aを構成する。
【0048】
接着剤56,57については、意匠部材50の意匠膜55の背面と表層部材60の背面にではなく、ベース部材10の凹部11の奥端面とベース部材10の前面に塗布してもよい。尚、実施例1のように、先ず、ベース部材40に意匠部材50を固定してから、表層部材60をインサート成形してもよく、この場合、接着剤56,57を省略できる。また、実施例1のエンブレム6を実施例2のエンブレム6Aのように製造してもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を付加して実施可能である。例えば、エンブレム(ベース部材、意匠部材(意匠本体、意匠膜)、表層部材)のサイズ・形状については任意に設定可能である。また、本発明については、電波レーダユニットの前側に配設される外装部品として、エンブレム以外の種々の外装部品に適用可能であり、また、自動車以外の種々の車両に対しても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1の外装部品としてのエンブレムを備えた自動車の正面図である。
【図2】エンブレムの斜視図である。
【図3】エンブレムの分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5−1】意匠部材の意匠本体の断面図である。
【図5−2】意匠部材の断面図である。
【図5−3】ベース部材と意匠部材の分解断面図である。
【図5−4】ベース部材と意匠部材の断面図である。
【図6】実施例2のエンブレムの図4相当図である。
【図7−1】意匠部材と表層部材の断面図である。
【図7−2】ベース部材と意匠部材及び表層部材の分解断面図である。
【図8】従来のエンブレムの要部断面図である。
【図9】別の従来のエンブレムの要部断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 自動車
2 フロントエンド部分
5 電波レーダユニット
6,6A エンブレム(外装部品)
10,40 ベース部材
20,50 意匠部材
21,51 意匠本体
25,55 意匠膜
30,60 表層部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントエンド部分に配置された電波レーダユニットの前側に配設される外装部品において、
合成樹脂材料を主体に成形された黒色系のベース部材と、
前記ベース部材の表面部分に固定された意匠部材であって、光透過性を有する意匠本体と、この意匠本体の背面に形成された電波透過性を有する意匠膜とを有する意匠部材と、
前記ベース部材及び意匠部材を被覆する透明な合成樹脂製の表層部材と、
を備えたことを特徴とする車両の外装部品。
【請求項2】
前記意匠本体の屈折率と表層部材の屈折率とを異ならせたことを特徴とする請求項1に記載の車両の外装部品。
【請求項3】
前記意匠本体は、その後端部がベース部材に形成された凹部に嵌合固定されて前方へ突出され、断面にて先細状に形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の外装部品。
【請求項4】
前記意匠膜は、光沢を有する金属製の意匠膜からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両の外装部品。
【請求項5】
前記意匠膜は、インジューム、クロム、錫、アルミニウム、金の何れかからなる金属で構成されたことを特徴とする請求項4に記載の車両の外装部品。
【請求項6】
前記意匠膜は、前記金属を意匠本体の背面に蒸着させて形成されたことを特徴とする請求項5に記載の車両の外装部品。
【請求項7】
前記意匠膜は、光沢を有するシリコン製の意匠膜からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の外装部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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