説明

車両用ドアハンドル装置およびその製造方法

【課題】サブアッセンブリ状態の組付ユニットをハンドルグリップに簡単かつ能率的に組み付けることができ、組付作業の簡素化・能率化を図ることができるもの。
【解決手段】本発明に係る車両用ドアハンドル装置10は、ドアハンドル12のハンドルグリップ14に内側あるいは外側に開放するユニット組付スペース20を設け、ハンドルグリップ14のユニット組付スペース20に、アンテナ30およびロックスイッチ31の少なくとも一方を備えた組付ユニット22を、一端側を凹凸係合で、他端側を締付手段41で締め付けて組み付けられ、組み付けられた組付ユニットの露出面がハンドルグリップ14のグリップ外表面の一部を構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用ドアやハッチの開閉操作を行なう車両用ドアハンドル装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが携帯機を携帯して車両に対し接近または離間することで車両のドアを自動的にロックまたはアンロックを行なうシステムが開発されている。このシステムは、スマートエントリシステムと称される。
【0003】
スマートエントリシステムでは、車外に向けて送信要求の電波を発信する車載機と、この送信要求の電波を受信して所定のコードの電波を返送する携帯機とを備える。スマートエントリシステムは、携帯機から返送される電波が特定コードと合致していることが車載機で判別された場合にはドアアンロック(ドアの開錠)を行なう一方、携帯機から送信される電波を車載機が受信できなくなった後、ドアロックを行なうようになっている。
【0004】
スマートエントリシステムに用いられる従来の車両用ドアハンドル装置には、特開2000−160897号公報(特許文献1)や特開2005−120792号公報(特許文献2)等に開示されたものがある。
【0005】
特許文献1に記載された車両用ドアハンドル装置は、ドアアウタパネルの外側から組み付けられるドアハンドルのハンドルグリップをグリップアウタとグリップインナとを重ね合せて構成し、上記ハンドルグリップにアンテナ収納スペースを凹設して、この収納スペースに送信アンテナを収容し、内蔵させたものである。
【0006】
このドアハンドルは、ハンドルグリップのグリップインナに凹成形されるアンテナ収納スペースに、数部品からなる送信アンテナを組み込んで取り付け、送信アンテナをグリップインナに組み込んで設置した後、グリップインナにグリップアウタを被せて一体化したもので、ハンドルグリップ内に送信アンテナを内蔵させた構成となっている。
【0007】
また、特許文献2に記載された車両用ドアハンドル装置は、ドアハンドルのハンドルグリップを、ハンドル本体を形成するグリップアウタとハンドルカバーを形成するグリップインナとから構成し、グリップインナにアンテナを一体に設けるとともに、グリップアウタにアンテナ収納スペースを凹設し、この収納スペースにグリップインナに一体成形されたアンテナを収容させたものである。
【特許文献1】特開2000−1690897号公報
【特許文献2】特開2005−120792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された車両用ドアハンドル装置は、ドアハンドルのハンドルグリップ内にアンテナ収納スペースを凹設し、このアンテナ収納スペースに送信アンテナを設置して内蔵させ、その後にグリップインナにグリップアウタを被せて一体化し、ハンドルグリップを構成したものである。このため、ドアハンドルを製造するのに、組付工数が多く、組付作業が複雑化し、ドアハンドルの組立作業を効率よく能率的に行なうことが困難であった。
【0009】
また、特許文献2に記載された車両用ドアハンドル装置では、複数のアンテナ部品を組み立ててアンテナを構成しており、組み立てられたアンテナをグリップインナと一体に成形するための成形加工に困難性を伴なう。このため、グリップインナにアンテナを一体成形するのを、グリップインナの成形とは別工程で行なわなければならず、ハンドルグリップは、グリップアウタにアンテナ収納スペースを凹成形し、この収納スペースに、グリップインナと一体のアンテナを収納して、グリップインナをグリップアウタに組み付けることが製造される。
【0010】
このため、ハンドルグリップの製造では、グリップアウタにアンテナ収納スペースの成形が、また、グリップインナには組み立てられたアンテナをグリップインナに一体成形する成形加工がそれぞれ必要となる。ハンドルグリップ製造のために、成形工数が多く、成形作業に時間がかかり、作業能率を向上させることが困難であった。
【0011】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、アンテナ等を収納したサブアッセンブリ状態の組付ユニットをハンドルグリップに簡単かつ能率的に組み付けることができ、組付作業の簡素化・能率化を図ることができ、経済性に優れた車両用ドアハンドル装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的は、ハンドルグリップに組み付けられる組付ユニットの露出面がドアハンドルのグリップ外表面の一部を構成し、ハンドルグリップを2分割可能に組み立てることを不要とした車両用ドアハンドル装置およびその製造方法を提供するにある。
【0013】
本発明の別の目的は、アンテナおよびロックスイッチの少なくとも一方をユニットケースに組み付けて組付ユニットをサブアッセンブリ化し、このユニットケースをハンドルグリップに後付けにて組み付け、組付作業の簡素化・能率化を図ることができる車両用ドアハンドル装置およびその製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る車両用ドアハンドル装置は、上述した課題を解決するために、ドアハンドルのハンドルグリップに内側あるいは外側に開放するユニット組付スペースを設け、前記ハンドルグリップのユニット組付スペースに、アンテナおよびロックスイッチの少なくとも一方を備えた組付ユニットを、一端側を凹凸係合で、他端側を締付手段で締め付けて組み付けられ、組み付けられた組付ユニットの露出面がハンドルグリップのグリップ外表面の一部を構成したものである。
【0015】
また、本発明に係る車両用ドアハンドル装置の製造方法は、上述した課題を解決するために、ドアハンドルのハンドルグリップに内側あるいは外側に開放する細長いユニット組付スペースを成形するとともに、ユニットケースにアンテナおよびロックスイッチの少なくとも一方を収納してサブアッセンブリ状態の組付ユニットを構成し、前記ハンドルグリップのユニット組付スペースに、組付ユニットの一端側を凹凸係合させ、かつその他端側を締付手段で締め付けて組み付け、組み付けられた組付ユニットの露出面が、ハンドルグリップのグリップ外表面を構成する方法である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用ドアハンドル装置およびその製造方法は、ハンドルグリップのユニット組付スペースに、サブアッセンブリ状態の組付ユニットを組み付け、組付ユニットの露出面がハンドルグリップのグリップ外表面の一部を構成したので、ハンドルグリップを単体で構成することができ、部品点数が少なく、経済性を向上させることができる。
【0017】
また、サブアッセンブリ状態の組付ユニットは、一端側をユニット組付スペースに凹凸係合により、他端側を締付手段で締め付けてハンドルグリップに組み付けたので、組付作業が簡素化され、短時間で効率よくドアハンドルを組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る車両用ドアハンドル装置およびその製造方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1および図2は、本発明に係る車両用ドアハンドル装置の第1実施形態を示すものである。
【0020】
この車両用ドアハンドル装置10は、車両用ドア11や図示しないハッチを開閉操作するために設けられる。車両用ドア11には、グリップタイプのドアハンドル12が備えられ、このドアハンドル12は、金属製のドアアウタパネル13の外側から取り付けられる。ドアハンドル12は、操作性が考慮され、車両幅方向外側に突出して設けられる。
【0021】
ドアハンドル12は、図2に示すように、外側に略湾曲したハンドルグリップ14を備えて両端がドアアウタパネル13側に支持される。ドアハンドル12はハンドルグリップ14の中央部を手でつかみ、車両用ドア11を開閉する構造となっている。
【0022】
ドアハンドル12は、一方の端部から支持アーム16が延設されており、この支持アーム16はドアアウタパネル13を貫通して車両用ドア11の内部に挿入される。支持アーム16の先端は、車両用ドア11内部の支持軸17に回動可能に支持される。
【0023】
ドアハンドル12は、他方の端部から連係レバー18が延設される。この連係レバー18は、ドアアウタパネル13を貫通して車両用ドア11内部に挿入され、レバー先端はフック形状をなして図示しないドア開閉機構に連結される。
【0024】
ドアハンドル12は、図2に示すように、ハンドルグリップ14を手で把持して車両幅方向外側に引張ると、支持軸17を中心としてハンドルグリップ14が反時計方向に回動する。このハンドルグリップ14の回動により連係レバー18が矢印X方向に変位してドア開閉機構が駆動されて車両用ドア11が開く。
【0025】
ドアアウタパネル13には操作レバー18の近傍にシリンダ錠19が取り付けられる。シリンダ錠19はドアアウタパネル13を貫通して車両用ドア11の内部に入り、鍵穴面を外部に露出させた状態でドアアウタパネル13に取り付けられる。
【0026】
図3は、図2に示されたドアハンドル12のIII−III線に沿う断面図を示すものである。このドアハンドル12は、金属製あるいは樹脂製のハンドルグリップ14を備える。このハンドルグリップ14はグリップアウタ単体で構成され、グリップアウタとグリップインナとを組み合せて構成する必要がない。
【0027】
ハンドルグリップ14には、中抜き加工により、少なくとも内側に開放された細長いユニット組付スペース20が長手方向に形成され、このユニット組付スペース20にサブアッセンブリ状態の組付ユニット22が設けられる。
【0028】
組付ユニット22は、図4および図5に示すようにアンテナユニットとスイッチユニットとを一体的に構成したもので、樹脂製のユニットロアケース23とユニットアッパケース24とを備える。ユニットロアケース23は上方に開放されたユニットアウタケースを構成しており、このユニットロアケース23にユニットアッパケース24を組み込んで構成されるユニットケース25は全体的に細長い長尺ボックス状に形成される。
【0029】
ユニットケース25の内部には、図4に示すように、アンテナ収納スペース27とスイッチ収納スペース28とが長手方向に並設状態で設けられる。アンテナ収納スペース27には送受信手段のアンテナ30が、またスイッチ収納スペース28にはロックスイッチ31がそれぞれ収納される。アンテナ30は、フェライト板、コイル、コンデンサ等のアンテナ構成部品を組み立てたアンテナ組立体を構成している。また、ユニットケース25はアンテナケースとスイッチケースとを一体的に構成したものである。
【0030】
また、ロックスイッチ31を備えた車両用ドアハンドル装置10はキーレスエントリシステムとしても機能する。ロックスイッチ31はプッシュ−プッシュ式ボタンを有し、このボタンはドアハンドル12のハンドルグリップ14の外表面より外方に膨出している。キーレスエントリシステムでは、シリンダ錠19は補助的な錠として作用する。ロックスイッチ31は、例えばシリンダ錠19の近傍に設けられる。補助的なシリンダ錠19を操作することにより、前述したドア開閉機構のロック(施錠)およびアンロック(開錠)が操作される。
【0031】
また、ロックスイッチ31を操作することにより携帯機55と送受信手段(30,51,52)との間で交信が行なわれ、携帯機55がECU53によって認証されるとロック開閉機構の施錠・開錠が行なわれる。ロック開閉機構が施錠されると、ドアハンドル12を操作してもドアロックは解除されず、ドアの開閉を行なうことができる。
【0032】
ドアロックされた車両にユーザが乗車する場合、携帯機55を携帯したユーザ(通常は運転者)がロックスイッチ31を押下操作すると、ECU53が送受信手段30,51,52を稼動させてアンテナ30から交信電波を発信し、ユーザが携帯する携帯機55との間で交信する。この交信により携帯機55がECU53に認証されると、ECU53がドアロック部59のロック開閉機構を開錠する。この状態でユーザがドアハンドル12を操作して車両用ドア11を開いて乗車することができる。
【0033】
さらに、ユーザが車両から降車し、施錠する場合、ユーザが車外に出てロックスイッチ31を押下操作すると、ECU53がロック開閉機構を施錠(ロック)させることができる。
【0034】
ユニットケース25を構成するユニットアッパケース24のケース両側壁には複数、例えば4個の係合突起33が、ユニットロアケース23のケース両側壁には係合突起33にそれぞれ係合する係合穴または係合溝34が形成される。ユニットアッパケース24およびユニットロアケース23は各係合突起33を係合穴または係合溝34に凹凸係合させることでユニットケース25がワンタッチで組み立てられる。
【0035】
この意味で、ユニットケース25はユニットロアケース23およびユニットアッパケース24の一方に係合突起33を、その他方に係合穴または係合溝34を形成して凹凸係合されるものであればよい。
【0036】
また、ユニットケース25のユニットロアケース23の外側壁には、複数の係止爪あるいは係止突起36が設けられ、これらの係止爪あるいは係止突起36は、図6に示すように、ハンドルグリップ14のユニット組付スペース20の内側壁の係止溝または係止穴37に凹凸係合するようになっている。係止爪あるいは係止突起36をハンドルグリップ14側に設け、ユニットケース25側に係止溝または係止穴37を設けてもよい。
【0037】
さらに、ハンドルグリップ14の連係レバー18側に取付溝38が形成され、この取付溝38に、ユニットロアケース23の先端に形成された取付用突起39が凹凸係合可能となっている。取付溝38と取付用突起39はユニットロアケース23とハンドルグリップ14にユニットケース25の反対側には取付孔40が貫通して形成され、この取付孔40を介して締付ねじ41がハンドルグリップ14のねじ孔43にねじ結合するようになっている。このねじ孔43はハンドルグリップ14のユニット組付スペース20側に設けられた取付ボス44に形成される。
【0038】
ユニットケース25に送受信手段のアンテナ30とロックスイッチ31を収納させて組付ユニット22を構成することで、組付ユニット22はワンタッチ操作で凹凸係合させ、サブアッセンブリ状態にユニット化させ、一体化させることができる。
【0039】
この組付ユニット22の取付用突起(または取付溝)39をハンドルグリップ14の取付溝(または取付用突起)38に挿入して凹凸係合させた状態で、ユニットケース25の反対側を締付ねじ41を用いてハンドルグリップ14のねじ孔43に締着させることで、ハンドルグリップ14に組付ユニット22を簡単かつ容易に組み付けることができる。また、符号45はユニットケース25のユニットロアケース23に設けられる補強間リブである。
【0040】
ハンドルグリップ14のユニット組付スペース20に組付ユニット22を組み付けた状態で、ユニットケース25のユニットロアケース23はハンドルグリップ14のグリップ外表面の一部を構成している。すなわち、組付ユニット22の露出面がハンドルグリップ14のグリップ外表面の一部を構成している。組付ユニット22を構成するユニットケース25露出面がハンドルグリップ14のグリップ外表面を形成することで、ハンドルグリップ14は単体(単一部材)で構成でき、従来のようにグリップアウタとグリップインナの2部品を組み合せてハンドルグリップを構成する必要がない。ハンドルグリップ14にはグリップインナを必要としない。
【0041】
また、この車両用ドアハンドル装置10は、スマートエントリシステムに適用されるものであり、組付ユニット22のアンテナ30やロックスイッチ31から延びるワイヤハーネス(通信ケーブル)47は、図7[A]および[B]に示すように、ケーブルガイド48に案内されて車両用ドア11の内部に導かれる。ケーブルガイド48は支持アーム16の車軸49に着脱可能に設けられる。
【0042】
ケーブルガイド48はドアハンドル12の支持アーム16に装着され、ワイヤハーネス47をガイドし、その脱落を防止している。ワイヤハーネス47は車両用ドア11の内部で図8に示すように送信回路51および受信回路52を介して電子制御装置(ECU)53に接続される。
【0043】
ECU53は、送信回路51に所要のリクエストコードを送信し、偏調させて所要周波数のリクエスト信号を送信アンテナ30aから携帯機55に送信している。また、携帯機55からの送信信号は受信アンテナ30bで受信され、受信回路52で復調されてECU53に送信される。
【0044】
また、ECU53にはメモリ56が接続されており、このメモリ56にはドアロックやエンジン始動等の互いに異なる複数のコードが格納されている。メモリ56はEEPROM等の不揮発性メモリであり、電源が遮断されても、記憶内容は保持される。
【0045】
さらに、ECU53には、ロックスイッチ31が接続される一方、エンジン制御部57、ステアリングロック部58、ドアロック部59およびイモビライザ部60等が接続され、エンジンの始動、エンジンへの燃料供給、イグニッション動作等を制御している。
【0046】
また、ECU53には、各種スイッチ操作を検出する操作検出部62や、車両用ドアの開閉を検出するドア開閉検出部63、車速や窓の開閉、室内外温度を検出する各種センサのセンサ群64等がそれぞれ接続され、検出された各種の検出信号はECU53に送られるようになっている。
【0047】
次に、車両用ドアハンドル装置の作用を説明する。
【0048】
この車両用ドアハンドル装置10において、ドアハンドル12を製造する場合には、ドアハンドル12のハンドルグリップ14を中抜き成形して、ハンドルグリップ14の内側に、ユニット組付スペース20を長手方向に形成する。このユニット組付スペース20は必ずしも凹成形を必要とせず、フラット形状あるいは湾曲形状であってもよい。
【0049】
一方、ハンドルグリップ14のユニット組付スペース20に組み付けられる組付ユニット22は、ユニットケース25内に送受信手段のアンテナ30およびロックスイッチ31を収納してサブアッセンブリ状態にユニット化して一体化させる。
【0050】
その際、ユニットケース25は、ユニットロアケース23とユニットアッパケース24とを樹脂モールド成形等で成形加工して構成し、ユニットロアケース32にユニットアッパケース24を組み付け、組み合せたとき、ユニットケース25は細長いボックス状、いわゆる長尺ボックス状に形成され、ユニットケース25内にアンテナ収納スペース27とスイッチ収納スペース28が長手方向に並設状態で形成される。
【0051】
ユニットケース25を組み合せて構成する前に、ユニットアッパケース24に例えば、シリコン等の防水シール材を充填させて、送受信手段のアンテナ30およびロックスイッチ31を収納させる。ユニットアッパケース24にアンテナ30およびロックスイッチ31を収納させた状態で、ユニットアッパケース24をユニットロアケース23に組み付ける。この組付は、係合突起33と係合溝または係合穴34とを凹凸係合させることにより行なわれ、ユニットケース25はワンタッチで組み立てることができる。ユニットケース25にアンテナ30とロックスイッチ31とを組み込んで組付ユニット22をサブアッセンブリ状態に組み立て、一体化させることができる。
【0052】
この組付ユニット22をハンドルグリップ14のユニット組付スペース20に組み付ける場合、初めに組付ユニット22の一端側の取付用突起(取付溝)39をハンドルグリップ14の取付溝(取付用突起)38に挿入して、凹凸係合により、組付ユニット22の一端(先側)側をハンドルグリップ14に位置決めして取り付ける。
【0053】
次に、組付ユニット22の両側壁に形成された係止爪あるいは係止突起(係止溝または係止孔)36を、ハンドルグリップ14の係止孔または係止溝(係止爪または係止突起)37に凹凸係合させ、組付ユニット22のユニット両側壁をハンドルグリップ14のユニット組付スペース20に暫定的に取り付ける。
【0054】
組付ユニット22をハンドルグリップ14に取り付けた状態で組付ユニット22の他端側を締付ねじ41で締着し、この締付ねじ41をハンドルグリップ14のねじ孔43にねじ結合させることで、ハンドルグリップ14に組付ユニット22が組み付けられる。
【0055】
最後に、送受信手段のアンテナ30やロックスイッチ31から延びるワイヤハーネス47は、組付ユニット22のケーブルガイド溝に案内され、ケーブルガイド48によりグリップアーム16に沿ってドアアウチパネル13内に導き、車両用ドア11の内部に設けられた車載機側の送受信回路51,52やECU53に接続される。
【0056】
この車両用ドアハンドル10は、組付ユニット22をハンドルグリップ14に組み付けた状態で、組付ユニット22のユニットケース25がハンドルグリップ14のグリップ外表面の一部を構成するので、ハンドルグリップ14のグリップインナが不要となり、その分、部品点数を減らして経済性を向上させることができる。
【0057】
第1実施形態に係る車両用ドアハンドル装置10は、ハンドルグリップ14はグリップアウタ単体でよく、グリップアウタとグリップインナとを組み合せて結合させることを必要としない。また、ハンドルグリップ14に組み付けられる組付ユニット22は、アンテナユニットとスイッチユニットとを一体化させたユニットケース25で構成される。このユニットケース25はユニットロアケース23とユニットアッパケース24とを凹凸係合を利用して組み付けるので、取付手段を別途必要とせず、ケース組付作業が簡素化され、ケース組付が容易にかつ短時間で作業を実施できる。
【0058】
また、ユニットケース25のアンテナ収納スペース27やスイッチ収納スペース28に送受信手段のアンテナ30やロックスイッチ31を収納させるだけでよく、アンテナ30やロックスイッチ31をユニットケース25内に固定手段を用いて固定させる必要がない。このため、ユニットケース25内へのアンテナ30やロックスイッチ31の組付も容易となる。
【0059】
[第1実施形態の変形例]
図9は、車両用ドアハンドル装置の第1実施形態における変形例を示す斜視図である。
【0060】
この変形例に示された車両用ドアハンドル装置は、組付ユニット22aに送受信手段のアンテナ30を収納させたもので、ロックスイッチ31が組み込まれていない。他の構成および作用は、第1実施形態に示された車両用ドアハンドル装置10と異ならないので同じ構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0061】
組付ユニット22aはロックスイッチを備えない場合にも、アンテナユニットとして成立し、また、アンテナ30を備えない場合にも、スイッチユニットとして成立する。
【0062】
[第2実施形態]
図11ないし図13は本発明に係る車両用ドアハンドル装置の第2実施形態を示すものである。
【0063】
第2実施形態に示された車両用ドアハンドル装置10Aは、ハンドルグリップ14Aの外側にユニット組付スペース22Aを肉抜き加工で構成し、この組付スペース20Aに組付ユニット22Aを外側から組み込み、締付ねじ41で締着したものであり、他の構成および作用は、第1実施形態に示された車両用ドアハンドル装置10と実質的に異ならないので同一構成には同一符号を付して重複説明を省略する。
【0064】
第2実施形態に示された車両用ドアハンドル装置10Aは、ハンドルグリップ14Aに外側に開放するユニット組付スペース20Aを長手方向に形成し、この組付スペース20Aにアンテナ30とロックスイッチ31を収納した組付ユニット20Aを外側から挿入し、凹凸係合と締付手段である締付ねじ41を用いて組み付けたものである。
【0065】
組付ユニット22Aをハンドルグリップ14Aの組付スペース20Aに外側から挿入して一端側を凹凸係合により取り付ける。続いて、組付ユニット22Aの外側壁をハンドルグリップ14Aの内側壁に凹凸係合により係合させて、組付ユニット22Aをハンドルグリップ14Aのユニット組付スペース20Aに暫定的に取り付ける。
【0066】
ハンドルグリップ14Aに組付ユニット22Aを仮に組み付けた状態で、ハンドルグリップ14Aのユニット組付スペース20Aの底部に穿けた取付孔66に締付ねじ41を挿入し、組付ユニット22Aのユニットアッパケース67に設けられた取付ボス44のボス孔43にねじ結合させて締め付ける。締付手段を構成する締付ねじ41の締付により、組付ユニット22Aはハンドルグリップ14Aに簡単に組み付けることができる。
【0067】
ハンドルグリップ14Aに組付ユニット22Aを組み付けた状態で、組付ユニット22Aはハンドルグリップ14Aのグリップ外表面の一部を構成する。このため、ハンドルグリップ14Aはグリップインナ単体で構成することができ、グリップアウタは不要となる。
【0068】
組付ユニット22Aを構成するユニットケース68はユニットロアケース69とユニットアッパケース67の組付で構成される。第1実施形態に示された組付ユニット22とは逆の組付関係となるが、凹凸係合によりワンタッチで脱着させる点は異ならないので、説明を省略する。
【0069】
第2実施形態に示された車両用ドアハンドル装置10Aも、第1実施形態に示された車両用ドアハンドル装置10と同様に、ハンドルグリップ14Aをグリップインナ単体で構成することができ、ハンドルグリップ14Aをグリップアウタとグリップインナとを組み合せて結合させる必要がない。このため、第1実施形態で説明した車両用ドアハンドル装置と同様な作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る車両用ドアハンドル装置を備えた車両用ドアを簡略的に示す斜視図。
【図2】本発明に係る車両用ドアハンドル装置の第1実施形態を示すもので、ドアハンドルの長手方向に沿う平断面図。
【図3】図2のIII−III線に沿う横断面図。
【図4】本発明の車両用ドアハンドル装置に備えられる組付ユニットの分解斜視図。
【図5】図4の組付ユニットをA方向から見た矢視図。
【図6】本発明の車両用ドアハンドル装置に備えられるハンドルグリップに組付ユニットを組み付ける方法を示す分解斜視図。
【図7】[A]は本発明の車両用ドアハンドル装置に使用されるワイヤハーネスのガイド装置を示す側面図、[B]は図7[A]のVII−VII線に沿う断面図。
【図8】本発明に係る車両用ドアハンドル装置をスマートエントリシステムを適用した例を示す簡略的なブロック図。
【図9】本発明に係る車両用ドアハンドル装置の第1実施形態における変形例を示す図。
【図10】本発明に係る車両用ドアハンドル装置の第2実施形態を示す側面図。
【図11】図10に示された車両用ドアハンドル装置の簡略的な分解斜視図。
【図12】図10のXII−XII線に沿う横断面図。
【符号の説明】
【0071】
10,10A 車両用ドアハンドル装置
11 車両用ドア
12,12A ドアハンドル
13 ドアアウタパネル
14,14A ハンドルグリップ
16 支持アーム
17 支持軸
18 連係レバー
19 シリンダ錠
20 ユニット組付スペース
22,22A 組付ユニット
23 ユニットロアケース
24 ユニットアッパケース
25 ユニットケース
27 アンテナ収納スペース
28 スイッチ収納スペース
30 アンテナ
31 ロックスイッチ
33 係合突起
34 係合穴または係合溝
36 係止爪あるいは係止突起
37 係止溝または係止穴
38 取付溝
39 取付用突起
40 取付孔
41 締付ねじ
43 ねじ孔
44 取付ボス
45 補強用リブ
47 ワイヤハーネス(通信ケーブル)
49 耳軸
51 送信回路
52 受信回路
53 電子制御装置(ECU)
55 携帯機
56 メモリ
57 エンジン制御部
58 ステアリングロック部
59 ドアロック部
60 イモビライザ部
62 操作検出部
63 ドア開閉検出部
64 センサ群
66 取付孔
67 ユニットアッパケース
68 ユニットケース
69 ユニットロアケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアハンドルのハンドルグリップに内側あるいは外側に開放するユニット組付スペースを設け、
前記ハンドルグリップのユニット組付スペースに、アンテナおよびロックスイッチの少なくとも一方を備えた組付ユニットを、一端側を凹凸係合で、他端側を締付手段で締め付けて組み付けられ、
組み付けられた組付ユニットの露出面がハンドルグリップのグリップ外表面の一部を構成したことを特徴とする車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記組付ユニットは、ユニットロアケースとユニットアッパケースとを組み付けて細長いボックス状のユニットケースを備え、
このユニットケース内に成形されるアンテナ収納スペースおよびスイッチ収納スペースにアンテナおよびロックスイッチを収納させる一方、
前記ユニットロアケースとユニットアッパケースとはケース側壁部を複数箇所で凹凸係合させてユニットケースを形成し、サブアッセンブリ状態の組付ユニットを構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
前記ドアハンドルは、ハンドルグリップに内側に開放する細長いユニット組付スペースを設け、
上記ユニット組付スペースに、アンテナおよびロックスイッチの少なくとも一方を備えた細長いボックス状のサブアッセンブリ状態の組付ユニットを、一端側を凹凸係合で、他端側を締付手段で締め付けて組み付け、
前記ユニット組付スペースに組み付けられた組付ユニットの露出面がハンドルグリップのグリップ外表面を構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
前記ドアハンドルは、ハンドルグリップに外側に開放する細長いユニット組付スペースを設け、
上記ユニット組付スペースに、アンテナおよびロックスイッチの少なくとも一方を備えた細長いボックス状のサブアッセンブリ状態の組付ユニットを、一端側を凹凸係合で、他端側を締付手段で締め付けて組み付け、
前記ユニット組付スペースに組み付けられた組付ユニットの露出面がハンドルグリップのグリップ外表面を構成したことを特徴とする請求項1記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
ドアハンドルのハンドルグリップに内側あるいは外側に開放する細長いユニット組付スペースを成形するとともに、
ユニットケースにアンテナおよびロックスイッチの少なくとも一方を収納してサブアッセンブリ状態の組付ユニットを構成し、
前記ハンドルグリップのユニット組付スペースに、組付ユニットの一端側を凹凸係合させ、かつその他端側を締付手段で締め付けて組み付け、
組み付けられた組付ユニットの露出面が、ハンドルグリップのグリップ外表面を構成する車両用ドアハンドル装置の製造方法。
【請求項6】
前記ユニットケースを構成するユニットロアケースおよびユニットアッパケースのケース内部に、アンテナおよびロックスイッチの少なくとも一方を収納させ、
前記アンテナおよびロックスイッチを収納したユニットロアケースとユニットアッパケースとを組み付けてケース両側壁を複数箇所で凹凸係合させてサブアッセンブリ状態の組付ユニットを構成する請求項5記載の車両用ドアハンドル装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−57199(P2008−57199A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234912(P2006−234912)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(000101916)イオインダストリー株式会社 (5)