車両用ルーフ開閉装置
【課題】 コンバーチブル車のルーフパネル及びトランクリッド等を移動させる機構を小型化した車両用ルーフ開閉装置の提供。
【解決手段】 連結機構8は、連結機構8をトランクリッド6と車体5の両方に係止する両側係止状態と、連結機構8をトランクリッド6と係止し車体5とは離脱可能とする上側係止状態と、連結機構8をトランクリッド6と離脱可能にし車体5とは係止される下側係止状態の内何れか1つの係止状態となる選択連結手段81を備え、ルーフパネル2とバックウィンドウ3をトランク60内部への格納またはトランク60からの引き出しされるように移動するとき、選択連結手段81を下側係止状態としトランクリッドの前端部の開放し、且つバックウィンドウ3とトランクリッド6を連結して作動するように構成した移動機構8を備えることを特徴とする車両用ルーフ開閉装置。
【解決手段】 連結機構8は、連結機構8をトランクリッド6と車体5の両方に係止する両側係止状態と、連結機構8をトランクリッド6と係止し車体5とは離脱可能とする上側係止状態と、連結機構8をトランクリッド6と離脱可能にし車体5とは係止される下側係止状態の内何れか1つの係止状態となる選択連結手段81を備え、ルーフパネル2とバックウィンドウ3をトランク60内部への格納またはトランク60からの引き出しされるように移動するとき、選択連結手段81を下側係止状態としトランクリッドの前端部の開放し、且つバックウィンドウ3とトランクリッド6を連結して作動するように構成した移動機構8を備えることを特徴とする車両用ルーフ開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンバーチブル車両用ルーフ開閉装置装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の装置として特開平8−244465に記載されているものがある。この装置ではルーフを支持するルーフリンク機構とトランクリッドを支持するラゲージリンク機構はそれぞれ駆動装置を備え、独立した作動をして、コンバーチブル車のルーフの全開口時にはルーフはトランク内に格納される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、独立して作動するルーフリンク機構とラゲージリンク機構はそれぞれ高い剛性が必要で、そのため機構自体が大型化して重量が増加し、製造コストも高くなっていた。また、ラゲージリンク機構を収容するトランク内に占める容積も増加して、トランク内の荷室空間が狭くなっていた。
【0004】本発明の課題はコンバーチブル車のルーフパネル及びトランクリッド等を移動させる機構を小型化した車両用ルーフ開閉装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解決するために講じた第1の技術的手段は請求項1に示すように、車両の車体上方に装着されるルーフパネルと、前記車両において該ルーフパネルの後方側に配置されるバックウィンドウと、前記ルーフパネルを前記車両の後方に移動させて前記バックウィンドウと重ねて、さらに前記車両の後方に配置され開口部を備えるトランクの内部へ前記ルーフパネルと前記バックウィンドウを移動させ格納を可能にする移動機構と、前記ルーフパネルと前記バックウィンドウの前記トランクの内部への格納または前記トランクからの引き出しと連動し、前記開口部に配設されたトランクリッドの前端部の開閉を可能とする連結機構を備える車両用ルーフ開閉装置において、前記連結機構は、前記連結機構を前記トランクリッドと前記車体の両方に係止する両側係止状態と、前記連結機構を前記トランクリッドと係止し前記車体とは離脱可能とする上側係止状態と、前記連結機構を前記トランクリッドと離脱可能にし前記車体とは係止される下側係止状態の内何れか1つの係止状態となる選択連結手段を備え、前記ルーフパネルと前記バックウィンドウを前記トランク内部への格納または前記トランクからの引き出しされるように移動するとき、前記選択連結手段を下側係止状態としトランクリッドの前端部の開放し、且つ前記バックウィンドウと前記トランクリッドを連結して作動するように構成した前記移動機構を備えるようにしたことである。
【0006】上記の構成によれば、ルーフパネルとバックウィンドウがトランクに格納またはトランクから引き出されるように移動する際、ルーフパネルとバックウィンドウはトランクリッドと連結されている。このために、移動機構は小型で剛性が高く確保され安定した作動が得られる。
【0007】また、本発明で講じた第2の技術的手段は第1の手段に加えて、前記選択連結手段は前記トランクリッドに固定される第1係止部と前記車体に固定される第2係止部と係合する係合溝を有するカムを備え、該各係止溝に前記第1係止部及び第2係止部との離脱を可能とする係合溝開口部を設けて形成するようにしたことである。
【0008】上記の手段によって、トランクリッド、ルーフパネル及びバックウィンドウを車体に係止または離脱可能とする選択連結手段が単純な機構で達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態である車両用ルーフ開閉装置10の構成を添付した図1及び2に基づいて以下に説明する。
【0010】図1は、本発明に関る車両用ルーフ開閉装置10を備える車両1の側面図である。図1に示されるように、車両1の客室1aの上方にはルーフパネル2が装着される。ルーフパネル2の車両1の後方(図1の右方、以下、車両後方)側にはバックウィンドウ3、ルーフパネル2の車両1の前方(図1の左方、以下、車両前方)側にフロントウィンドウ4がある。フロントウィンドウ4は車体5に固定されており、バックウィンドウ3とルーフパネル2は、後述するように車両用ルーフ開閉装置10によって図1に示す位置から車両後方へ移動することができる構成となっている。これによって、バックウィンドウ3とルーフパネル2をトランクリッド6が覆うトランク60内へ格納して、図5に示すように車両1の車室1aを外気に開放した状態にできる構成になっている。
【0011】図1に示すように、車両用ルーフ開閉装置10はルーフパネル2とバックウィンドウ3を移動させる移動機構20を備え、移動機構20はバックウィンドウ3を車両1の幅方向(図1の紙面に垂直方向、以下、車幅方向)両側で車体5に支持する2組のリンク31a、31bを有している。
【0012】リンク31a、31bの各上端部は枢軸32a、32bによりバックウィンドウ3に対し回転可能に結合され、各下端部は枢軸33a、33bにより車体5に対し回転可能に結合されている。枢軸33aは減速機構34を介してモータ35に連結され正転又は逆転が可能となっている。さらに、リンク31aは枢軸33aと一体的に回動するよう互いに固定されているため、モータ35の枢軸33aの駆動により、リンク31aは車両前方側または車両後方側へ回動する。リンク31bはリンク31aと共にバックウィンドウ3を支持するように回転可能に結合されている。このため、バックウィンドウ3はリンク31bとリンク31aによって所定の姿勢を保持されて移動可能となっている。
【0013】図1に示すように、ルーフパネル2の車両前方側端部とフロントウィンドウ4の車両後方側端部は互いに当接するようになっている。これらの間には図示しないゴムシールが配設され、ルーフパネル2とフロントウィンドウ4の間の水密性が確保されている。
【0014】バックウィンドウ3の車両前方側端部には車両前方へ突き出すブラケット37が固定されている。ブラケット37はその先端部で枢軸23回転支持している。枢軸23にはリンク22が一体的に結合されている。バックウィンドウ3の前方端部に配設されてモータ28と図示しない減速機構によって、枢軸23を回転軸としてリンク22が図1の時計回り方向または反時計回り方向に回転する構成となっている。また、リンク22の車両前方側端はピン21よってルーフパネル2にピン21を軸として回転自在に固定されている。
【0015】車幅方向の両側でバックウィンドウ3の枠内側には一対の案内部36が固定されている。左右の案内部36はバックウィンドウ3の枠の内側に沿って車両前方端部から後方端部へ延びる平行な2本のレールから構成される。案内部36のレールの内側にはシュー26が摺動可能に配設され、シュー26とスライダ25は回転可能に連結されている。従ってスライダ25はシュー26を介して案内部36に対し摺動可能に、且つ回転自在に連結される構成となっている。
【0016】バックウィンドウ3の車両後方側端部には車幅方向両側において一対の、先端が車両後方へ延びた略L字形のリンクアーム38が固定されている。リンクアーム38の後方先端部には車幅方向外側に突出した係合部39が形成されている。
【0017】トランクリッド6の内側で車幅方向の両側に車両前方端部から後方端部に平行に延びるレールを有する案内部61が固定されている。係合部39は案内部61の内側と摺動し移動可能となっている。そして、案内部61の車両前方端及び後方端の下側のレールには開口部62、63が形成されている。図1に示すように、リンクアーム38の係合部39は、開口部62の位置にあるとき、開口部62を通り案内部61への出入りが可能となっている。同様に係合部39が開口部63の位置に移動したときは、開口部63からの案内部61に対する出入りが可能となっている。この構成によって図1および図3に示されるように、バックウィンドウ3が後方に移動していない位置でが、係合部39が開口部62の位置にあって、トランクリッド6は開くとき係合部39によって拘束されない。また図5に示すようにバックウィンドウ3がトランク60内に格納されたとき係合部39は開口部63の位置にあって、このときもトランクリッド6は案内部61から分離できる構成となっている。
【0018】また、トランクリッド6の内側の車両前方側端部には車幅方向両側に一対の第1係止部64が固定されている。棒状の部材を屈曲しU字形状に形成した第1係止部64が図1の下方向に突き出して取り付けられている。第1係止部64のU字形状の下端部には、図8乃至10に示すように、係合部64aが形成されている。係合部64aは後述する選択連結機構8と係合するようになっている。
【0019】カム81を挟んで第1係止部64の反対側で、車体5に第2係止部65が固定されている。第2係止部65は図1の上方向に突設された逆U字形状の部材で、先端部には車幅方向に延びる係合部65aが形成されている。係合部65aは係合部64aと同様に、後述する選択連結機構8と係合可能になっている。
【0020】さらに図1、図11a、図11b及び図12R>2に示すように、トランクリッド6の車両後方端の車幅方向中央にはストライカ66が固定されている。ストライカ66は下方側へ突き出し、トランク60の開口部の後方側縁部で車体5のロアバックパネルに取り付けられるリヤロック機構91に係止可能となっている。これによって、トランクリッド6の車両後方側端部をトランク60の開口部に係止できる構成となっている。さらに図1212に示すように、トランクリッド6の車両後方端の車幅方向両側に一対の平板形状のブラケット67が下方に延びるように固定して取り付けられている。
【0021】また、トランク60の内側(図1の下側)でトランクリッド6の前方に、トランクリッド6を開閉可能に車体5に支持連結するためのピボットリンク7(回転支持部材)が配設されている。ピボットリンク7はトランクリッド6の車幅方向両側に一対配設され、それぞれのピボットリンク7の車両前方側端部は車体5に設けられた一対のブラケットにピン71を回転軸として回転自在に固定されている。一方、それぞれのピボットリンク7の車両後方側端にはダンパ72の一端が回転可能に固定されている。また、ダンパ72の他端はトランク60内の所定位置に回転可能に固定されている。ダンパ72は既知の高圧ガスが封入され、その軸方向に伸びるように作用力を及ぼすことができる装置である。ダンパ72はトランクリッド6を開ける際に、ピボットリンク7の後端に付勢力を及ぼし、トランクリッド6を開ける方向に補助する構成になっている。
【0022】さらに図1に示されるように、各ピボットリンク7の車両後方側端部の車幅方向内側には選択連結機構8が取り付けられている。選択連結機構8は車両の幅方向に水平の回転軸を有する円板状のカム81と、カム81を回転駆動するカム駆動モータ82及び減速機構83を備える。
【0023】図9にカム81を拡大して示す。回転軸と直角のカム81の側面上には2本の係合溝81a、81bが形成されている。図8に示されるように、係合溝81aと係合溝81bは回転中心81cを通る線81dに関して対称形状である。各係合溝81a、81bはカム81の外周に開口端部81e、81fを有し、開口端部81e、81fから周方向に沿って半周弱の角度で徐々に回転中心81cに近づく形状に形成されている。
【0024】カム81の回転位置に応じて、係合溝81aは開口部81eで第1係止部64先端の係合部64aを受け入れ、また係合溝81bは開口部81fで第2係止部65先端の係合部65aを受け入れることができる構成となっている。そしてカム81が回転することで各係合部64a、65aは係合溝81a、81f内を摺動する。
【0025】図8に示すように、係合溝81a、81bのほぼ中央部に各係合部64a、65aが位置するときのカム81の状態を両側係止状態とする。この状態からカム81が図9に示すように時計回りの回転すると、係合部65aはカム81の回転中心81c方向に引き寄せられ、一方係合部64aは開口端部81eの位置に来る。この状態を下側係止状態とする。また、図10に示すように両側係止状態からカム81が反時計回りの回転すると、係合部64aが回転中心81c方向に引き寄せられ、係合部65aは開口端部81fの位置に来るようになっている。この状態を上側係止状態とする。このように、両側係止状態からカム81を回転させることによって上側または下側係止状態となって、各係合部64a、65aのいずれか一方が選択的にカム81から離脱できるようになる構成である。
【0026】各係合部64a、65aは係合溝81a、81bと係合して、図8、図9、図10に点線部で示される位置から実線の位置に引き寄せられる。これによって、トランクリッド6がトランク60開口部を閉じた状態で、トランク60開口部に設けられたシール部材(図示せず)をトランクリッド6で圧縮されて、水密性が確保されるようになっている。
【0027】なお、カム81上の係合溝81a、81bは突起部とし、各係合部64a、65aを開口部を備えた係合溝として構成してもよい。
【0028】更に図1に示されるように、トランク60開口部の車両後方側縁部でトランクリッド6の車両後方側端部と、車体5のロアバックパネルとの間には連結係止機構9が配設されている。図11(a)は図1の連結係止機構9を拡大して示す側面図であり、図12は図1のA視図である。図12に示されるように、連結係止機構9はトランクリッド6に固定されたストライカ66と係合可能なリヤロック機構91と、連結リンク機構92を有している。さらに連結リンク機構92は、アッパベース92aと、アッパベース92aと、車体5に固定されるアンダベース92dと、アッパベース92aとアンダベース92dとを連結するリンク92b、92cによって構成されている。リンク92b及びリンク92cに対しても回転可能に連結されている。アッパベース92aにはスタビライザ93が固定され、スタビライザ93はトランクリッド6に固定されたブラケット67を前後方向で挟む隙間を備えている。
【0029】リヤロック機構91はラッチ(図示せず)を備え、トランクリッド6に固定されたストライカ66と係止または係止解除するように作動する。さらにリヤロック機構91の係止状態を保持することによってトランクリッド6を施錠可能とする。リヤロック機構91は連結リンク機構92のアッパベース92aに固定されている。図1及び図12に示すように、トランクリッド6のストライカ66をリヤロック機構91が係止している時、スタビライザ93はトランクリッド6のブラケット67と係合し、ストライカ66がリヤロック機構91から解放される時はブラケット67との係合は解除されるようになっている。アッパベース92aとアンダベース92dに対して、リンク92b、92cは回転可能に連結され、いわゆる4節リンク機構を形成し、アンダベース92dに対してはアッパベース92aを所定の姿勢で上下方向に移動可能とする構成である。そして、トランクリッド6の車両前方側端部が上方へ移動する際、トランクリッド6の車両後方側端部は連結リンク機構92によって持ち上げられ、トランクリッド6の後端と車体5が接触しないようになっている。
【0030】本発明の実施形態である車両用ルーフ開閉装置10の作動について、以下に図2乃至10に基づき説明する。モータの作動タイミング及び駆動量、駆動スピード等は図示しないコントローラにより制御される。
【0031】まず、図2に示すように、移動機構20が作動させ、ルーフパネル2を後方にバックウィンドウ3と重なるよう移動させる。このときモータ28は枢軸23を駆動しリンク22が図2の時計回り方向に回転させる。これに伴い、案内部36内を摺動するシュー26と連結するスライダ25に導かれてルーフパネル2は車両後方側へ移動し、図3に示されるルーフパネル2とバックウィンドウ3が重なった状態になる。
【0032】次に、図4に示す作動に移行する。この作動に際して、選択連結機構8のカム駆動モータ82に駆動されてカム81は図8の時計回り方向に回転し、図9及び図4に示す位置になる。そして、カム81の係合溝81aの開口端部81eはトランクリッド6の第1係止部64aを離脱できる位置になる。
【0033】モータ35の作動により枢軸33aが駆動され、リンク31aが図4の時計回り方向に回転する。リンク31aと共にリンク31bも時計回り方向へ回転し、リンク31a、31bで支持されるバックウィンドウ3はルーフパネル2と重なった状態でさらに後方に移動する。同時に、バックウィンドウ3の車両後方側端部に固定されたリンクアーム38の係合部39が開口部62から開口部63へ向かって案内部61上を摺動する。開口部62から開口部63間の案内部61を係合部39が移動することによって、トランクリッド6は、後部でその車両前方が向かって開くように作動する。(以下、トランクリッド6の前開き作動と呼ぶ。)トランクリッド6が前開き作動する時、連結係止機構9はトランクリッド6の車両後方側端部を係止しつつ車体5から上方に持ち上げ、トランクリッド6が車体5に対し図4の時計回り方向に回転支持するように作動する。
【0034】案内部61上を摺動するリンクアーム38の係合部39が開口部62から開口部63の間の中間位置を過ぎるとトランクリッド6の前開き作動は終了する。そして、トランクリッド6は自重とバックウィンドウ3の下降に伴うリンクアーム38の下方への引きにより、トランクリッド6は閉じ、係止部64aは開口端部81e内に収容される。車両用ルーフ開閉装置10は図5R>5に示すようにルーフパネル2及びバックウィンドウ3をトランク60内に収納しトランクリッド6を閉じた状態(以下、全閉状態と呼ぶ。)となる。
【0035】この作動の経過から明らかなようにトランクリッド6とバックウィンドウ3はトランク60への格納またはトランク60からの引き出しのとき、互いに連結支持された状態で作動するために、車両用ルーフ開閉装置10のリンク機構等の構成部材は小型に構成しても剛性が確保される。またこの移動は一つのモータ28は駆動され構成も簡単になる。
【0036】次に、リヤロック機構91をストライカ66から解除して、トランクリッド6の後方側端部を持ち上げて、トランクリッド6を車両後方側へ開く作動(以下、トランクリッド6の後ろ開き作動と呼ぶ。)について以下に説明する。この作動はトランク60内へ荷物を出し入れする際の作動である。
【0037】まず、図6に示すように、ルーフパネル2及びバックウィンドウ3が客室1aの上方及び後方に位置するときのトランクリッド6の後ろ開き作動について説明する。選択連結機構8は、カム駆動モータ82の駆動により、カム81を図8の位置から反時計回り方向に回転させ図10の位置にする。これにより第2係止部65はカム81から離脱可能となり、第1係止部64と選択連結機構8との係合は維持される。このとき、トランクリッド6は選択連結機構8によってピボットリンク7に係止されているために、トランクリッド6はダンパ72の付勢によりピン71を回転軸として図1の反時計回り方向に回転し、図6に示す後ろ開き作動をする。
【0038】次に、図7に示すようにルーフパネル2及びバックウィンドウ3がトランク60内に収納されている状態では、上記したルーフパネル2及びバックウィンドウ3が客室1aの上方及び後方に位置するときと同様に、選択連結機構8は作動する。そして、バックウィンドウ3に固定されたリンクアーム38の係合部39は、トランクリッド6に固定された案内部61の開口部63を通って離脱し、トランクリッド6の後ろ開き作動ができる。
【0039】
【発明の効果】上記構成および作動から明らかなように、ルーフパネルおよびバックウインドウを支持する機構とトランクリッドを支持するリンク機構をそれぞれ連結して作動するようにしたことによって、本発明の課題とするコンバーチブル車の小型化のルーフ開閉装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である車両用ルーフ開閉装置においてルーフパネル及びバックウィンドウが車両客室の上方及び後方にセットされた状態を示す側面図である。
【図2】ルーフパネルが開かれた状態を示す側面図である。
【図3】ルーフパネルがバックウィンドウに重ねられた状態を示す側面図である。
【図4】バックウィンドウに連動してトランクリッドが開かれ、ルーフパネル及びバックウィンドウがトランク内内へ移動している状態を示す側面図である。
【図5】ルーフパネル及びバックウィンドウがトランク内内に収納されている状態を示す側面図である。
【図6】ルーフパネル及びバックウィンドウが車両客室の上方及び後方にセットされた状態においてトランクリッドが開けられた状態を示す側面図である。
【図7】ルーフパネル及びバックウィンドウがトランク内内に収納されている状態においてトランクリッドが開けられた状態を示す側面図である。
【図8】本発明の実施形態である車両用ルーフ開閉装置の係止機構であるカムのトランクリッドがバックウィンドウに連動して開く際の作動を示す拡大図である。
【図9】トランクリッドが閉じられた際のカムの作動を示す拡大図である。
【図10】トランク内への荷物等の出し入れのためにトランクリッドが開けられる際のカムの作動を示す拡大図である。
【図11】図11(a)は図1の連結係止機構9を拡大した側面図、図11(b)はトランクリッド6の車両前方側端部を上方へ移動させる作動をした際の連結係止機構9の側面図である。
【図12】図1の連結係止機構9のA視図である。
【符号の説明】
2 ルーフパネル
3 バックウィンドウ
5 車体
6 トランクリッド
8 連結機構
10 車両用ルーフ開閉装置
20 移動機構
60 トランク
64 第1係止部
65 第2係止部
81 選択連結手段(カム)
81a 第1係合溝
81b 第2係合溝
81c、81f 係合溝開口部
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンバーチブル車両用ルーフ開閉装置装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の装置として特開平8−244465に記載されているものがある。この装置ではルーフを支持するルーフリンク機構とトランクリッドを支持するラゲージリンク機構はそれぞれ駆動装置を備え、独立した作動をして、コンバーチブル車のルーフの全開口時にはルーフはトランク内に格納される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、独立して作動するルーフリンク機構とラゲージリンク機構はそれぞれ高い剛性が必要で、そのため機構自体が大型化して重量が増加し、製造コストも高くなっていた。また、ラゲージリンク機構を収容するトランク内に占める容積も増加して、トランク内の荷室空間が狭くなっていた。
【0004】本発明の課題はコンバーチブル車のルーフパネル及びトランクリッド等を移動させる機構を小型化した車両用ルーフ開閉装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解決するために講じた第1の技術的手段は請求項1に示すように、車両の車体上方に装着されるルーフパネルと、前記車両において該ルーフパネルの後方側に配置されるバックウィンドウと、前記ルーフパネルを前記車両の後方に移動させて前記バックウィンドウと重ねて、さらに前記車両の後方に配置され開口部を備えるトランクの内部へ前記ルーフパネルと前記バックウィンドウを移動させ格納を可能にする移動機構と、前記ルーフパネルと前記バックウィンドウの前記トランクの内部への格納または前記トランクからの引き出しと連動し、前記開口部に配設されたトランクリッドの前端部の開閉を可能とする連結機構を備える車両用ルーフ開閉装置において、前記連結機構は、前記連結機構を前記トランクリッドと前記車体の両方に係止する両側係止状態と、前記連結機構を前記トランクリッドと係止し前記車体とは離脱可能とする上側係止状態と、前記連結機構を前記トランクリッドと離脱可能にし前記車体とは係止される下側係止状態の内何れか1つの係止状態となる選択連結手段を備え、前記ルーフパネルと前記バックウィンドウを前記トランク内部への格納または前記トランクからの引き出しされるように移動するとき、前記選択連結手段を下側係止状態としトランクリッドの前端部の開放し、且つ前記バックウィンドウと前記トランクリッドを連結して作動するように構成した前記移動機構を備えるようにしたことである。
【0006】上記の構成によれば、ルーフパネルとバックウィンドウがトランクに格納またはトランクから引き出されるように移動する際、ルーフパネルとバックウィンドウはトランクリッドと連結されている。このために、移動機構は小型で剛性が高く確保され安定した作動が得られる。
【0007】また、本発明で講じた第2の技術的手段は第1の手段に加えて、前記選択連結手段は前記トランクリッドに固定される第1係止部と前記車体に固定される第2係止部と係合する係合溝を有するカムを備え、該各係止溝に前記第1係止部及び第2係止部との離脱を可能とする係合溝開口部を設けて形成するようにしたことである。
【0008】上記の手段によって、トランクリッド、ルーフパネル及びバックウィンドウを車体に係止または離脱可能とする選択連結手段が単純な機構で達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態である車両用ルーフ開閉装置10の構成を添付した図1及び2に基づいて以下に説明する。
【0010】図1は、本発明に関る車両用ルーフ開閉装置10を備える車両1の側面図である。図1に示されるように、車両1の客室1aの上方にはルーフパネル2が装着される。ルーフパネル2の車両1の後方(図1の右方、以下、車両後方)側にはバックウィンドウ3、ルーフパネル2の車両1の前方(図1の左方、以下、車両前方)側にフロントウィンドウ4がある。フロントウィンドウ4は車体5に固定されており、バックウィンドウ3とルーフパネル2は、後述するように車両用ルーフ開閉装置10によって図1に示す位置から車両後方へ移動することができる構成となっている。これによって、バックウィンドウ3とルーフパネル2をトランクリッド6が覆うトランク60内へ格納して、図5に示すように車両1の車室1aを外気に開放した状態にできる構成になっている。
【0011】図1に示すように、車両用ルーフ開閉装置10はルーフパネル2とバックウィンドウ3を移動させる移動機構20を備え、移動機構20はバックウィンドウ3を車両1の幅方向(図1の紙面に垂直方向、以下、車幅方向)両側で車体5に支持する2組のリンク31a、31bを有している。
【0012】リンク31a、31bの各上端部は枢軸32a、32bによりバックウィンドウ3に対し回転可能に結合され、各下端部は枢軸33a、33bにより車体5に対し回転可能に結合されている。枢軸33aは減速機構34を介してモータ35に連結され正転又は逆転が可能となっている。さらに、リンク31aは枢軸33aと一体的に回動するよう互いに固定されているため、モータ35の枢軸33aの駆動により、リンク31aは車両前方側または車両後方側へ回動する。リンク31bはリンク31aと共にバックウィンドウ3を支持するように回転可能に結合されている。このため、バックウィンドウ3はリンク31bとリンク31aによって所定の姿勢を保持されて移動可能となっている。
【0013】図1に示すように、ルーフパネル2の車両前方側端部とフロントウィンドウ4の車両後方側端部は互いに当接するようになっている。これらの間には図示しないゴムシールが配設され、ルーフパネル2とフロントウィンドウ4の間の水密性が確保されている。
【0014】バックウィンドウ3の車両前方側端部には車両前方へ突き出すブラケット37が固定されている。ブラケット37はその先端部で枢軸23回転支持している。枢軸23にはリンク22が一体的に結合されている。バックウィンドウ3の前方端部に配設されてモータ28と図示しない減速機構によって、枢軸23を回転軸としてリンク22が図1の時計回り方向または反時計回り方向に回転する構成となっている。また、リンク22の車両前方側端はピン21よってルーフパネル2にピン21を軸として回転自在に固定されている。
【0015】車幅方向の両側でバックウィンドウ3の枠内側には一対の案内部36が固定されている。左右の案内部36はバックウィンドウ3の枠の内側に沿って車両前方端部から後方端部へ延びる平行な2本のレールから構成される。案内部36のレールの内側にはシュー26が摺動可能に配設され、シュー26とスライダ25は回転可能に連結されている。従ってスライダ25はシュー26を介して案内部36に対し摺動可能に、且つ回転自在に連結される構成となっている。
【0016】バックウィンドウ3の車両後方側端部には車幅方向両側において一対の、先端が車両後方へ延びた略L字形のリンクアーム38が固定されている。リンクアーム38の後方先端部には車幅方向外側に突出した係合部39が形成されている。
【0017】トランクリッド6の内側で車幅方向の両側に車両前方端部から後方端部に平行に延びるレールを有する案内部61が固定されている。係合部39は案内部61の内側と摺動し移動可能となっている。そして、案内部61の車両前方端及び後方端の下側のレールには開口部62、63が形成されている。図1に示すように、リンクアーム38の係合部39は、開口部62の位置にあるとき、開口部62を通り案内部61への出入りが可能となっている。同様に係合部39が開口部63の位置に移動したときは、開口部63からの案内部61に対する出入りが可能となっている。この構成によって図1および図3に示されるように、バックウィンドウ3が後方に移動していない位置でが、係合部39が開口部62の位置にあって、トランクリッド6は開くとき係合部39によって拘束されない。また図5に示すようにバックウィンドウ3がトランク60内に格納されたとき係合部39は開口部63の位置にあって、このときもトランクリッド6は案内部61から分離できる構成となっている。
【0018】また、トランクリッド6の内側の車両前方側端部には車幅方向両側に一対の第1係止部64が固定されている。棒状の部材を屈曲しU字形状に形成した第1係止部64が図1の下方向に突き出して取り付けられている。第1係止部64のU字形状の下端部には、図8乃至10に示すように、係合部64aが形成されている。係合部64aは後述する選択連結機構8と係合するようになっている。
【0019】カム81を挟んで第1係止部64の反対側で、車体5に第2係止部65が固定されている。第2係止部65は図1の上方向に突設された逆U字形状の部材で、先端部には車幅方向に延びる係合部65aが形成されている。係合部65aは係合部64aと同様に、後述する選択連結機構8と係合可能になっている。
【0020】さらに図1、図11a、図11b及び図12R>2に示すように、トランクリッド6の車両後方端の車幅方向中央にはストライカ66が固定されている。ストライカ66は下方側へ突き出し、トランク60の開口部の後方側縁部で車体5のロアバックパネルに取り付けられるリヤロック機構91に係止可能となっている。これによって、トランクリッド6の車両後方側端部をトランク60の開口部に係止できる構成となっている。さらに図1212に示すように、トランクリッド6の車両後方端の車幅方向両側に一対の平板形状のブラケット67が下方に延びるように固定して取り付けられている。
【0021】また、トランク60の内側(図1の下側)でトランクリッド6の前方に、トランクリッド6を開閉可能に車体5に支持連結するためのピボットリンク7(回転支持部材)が配設されている。ピボットリンク7はトランクリッド6の車幅方向両側に一対配設され、それぞれのピボットリンク7の車両前方側端部は車体5に設けられた一対のブラケットにピン71を回転軸として回転自在に固定されている。一方、それぞれのピボットリンク7の車両後方側端にはダンパ72の一端が回転可能に固定されている。また、ダンパ72の他端はトランク60内の所定位置に回転可能に固定されている。ダンパ72は既知の高圧ガスが封入され、その軸方向に伸びるように作用力を及ぼすことができる装置である。ダンパ72はトランクリッド6を開ける際に、ピボットリンク7の後端に付勢力を及ぼし、トランクリッド6を開ける方向に補助する構成になっている。
【0022】さらに図1に示されるように、各ピボットリンク7の車両後方側端部の車幅方向内側には選択連結機構8が取り付けられている。選択連結機構8は車両の幅方向に水平の回転軸を有する円板状のカム81と、カム81を回転駆動するカム駆動モータ82及び減速機構83を備える。
【0023】図9にカム81を拡大して示す。回転軸と直角のカム81の側面上には2本の係合溝81a、81bが形成されている。図8に示されるように、係合溝81aと係合溝81bは回転中心81cを通る線81dに関して対称形状である。各係合溝81a、81bはカム81の外周に開口端部81e、81fを有し、開口端部81e、81fから周方向に沿って半周弱の角度で徐々に回転中心81cに近づく形状に形成されている。
【0024】カム81の回転位置に応じて、係合溝81aは開口部81eで第1係止部64先端の係合部64aを受け入れ、また係合溝81bは開口部81fで第2係止部65先端の係合部65aを受け入れることができる構成となっている。そしてカム81が回転することで各係合部64a、65aは係合溝81a、81f内を摺動する。
【0025】図8に示すように、係合溝81a、81bのほぼ中央部に各係合部64a、65aが位置するときのカム81の状態を両側係止状態とする。この状態からカム81が図9に示すように時計回りの回転すると、係合部65aはカム81の回転中心81c方向に引き寄せられ、一方係合部64aは開口端部81eの位置に来る。この状態を下側係止状態とする。また、図10に示すように両側係止状態からカム81が反時計回りの回転すると、係合部64aが回転中心81c方向に引き寄せられ、係合部65aは開口端部81fの位置に来るようになっている。この状態を上側係止状態とする。このように、両側係止状態からカム81を回転させることによって上側または下側係止状態となって、各係合部64a、65aのいずれか一方が選択的にカム81から離脱できるようになる構成である。
【0026】各係合部64a、65aは係合溝81a、81bと係合して、図8、図9、図10に点線部で示される位置から実線の位置に引き寄せられる。これによって、トランクリッド6がトランク60開口部を閉じた状態で、トランク60開口部に設けられたシール部材(図示せず)をトランクリッド6で圧縮されて、水密性が確保されるようになっている。
【0027】なお、カム81上の係合溝81a、81bは突起部とし、各係合部64a、65aを開口部を備えた係合溝として構成してもよい。
【0028】更に図1に示されるように、トランク60開口部の車両後方側縁部でトランクリッド6の車両後方側端部と、車体5のロアバックパネルとの間には連結係止機構9が配設されている。図11(a)は図1の連結係止機構9を拡大して示す側面図であり、図12は図1のA視図である。図12に示されるように、連結係止機構9はトランクリッド6に固定されたストライカ66と係合可能なリヤロック機構91と、連結リンク機構92を有している。さらに連結リンク機構92は、アッパベース92aと、アッパベース92aと、車体5に固定されるアンダベース92dと、アッパベース92aとアンダベース92dとを連結するリンク92b、92cによって構成されている。リンク92b及びリンク92cに対しても回転可能に連結されている。アッパベース92aにはスタビライザ93が固定され、スタビライザ93はトランクリッド6に固定されたブラケット67を前後方向で挟む隙間を備えている。
【0029】リヤロック機構91はラッチ(図示せず)を備え、トランクリッド6に固定されたストライカ66と係止または係止解除するように作動する。さらにリヤロック機構91の係止状態を保持することによってトランクリッド6を施錠可能とする。リヤロック機構91は連結リンク機構92のアッパベース92aに固定されている。図1及び図12に示すように、トランクリッド6のストライカ66をリヤロック機構91が係止している時、スタビライザ93はトランクリッド6のブラケット67と係合し、ストライカ66がリヤロック機構91から解放される時はブラケット67との係合は解除されるようになっている。アッパベース92aとアンダベース92dに対して、リンク92b、92cは回転可能に連結され、いわゆる4節リンク機構を形成し、アンダベース92dに対してはアッパベース92aを所定の姿勢で上下方向に移動可能とする構成である。そして、トランクリッド6の車両前方側端部が上方へ移動する際、トランクリッド6の車両後方側端部は連結リンク機構92によって持ち上げられ、トランクリッド6の後端と車体5が接触しないようになっている。
【0030】本発明の実施形態である車両用ルーフ開閉装置10の作動について、以下に図2乃至10に基づき説明する。モータの作動タイミング及び駆動量、駆動スピード等は図示しないコントローラにより制御される。
【0031】まず、図2に示すように、移動機構20が作動させ、ルーフパネル2を後方にバックウィンドウ3と重なるよう移動させる。このときモータ28は枢軸23を駆動しリンク22が図2の時計回り方向に回転させる。これに伴い、案内部36内を摺動するシュー26と連結するスライダ25に導かれてルーフパネル2は車両後方側へ移動し、図3に示されるルーフパネル2とバックウィンドウ3が重なった状態になる。
【0032】次に、図4に示す作動に移行する。この作動に際して、選択連結機構8のカム駆動モータ82に駆動されてカム81は図8の時計回り方向に回転し、図9及び図4に示す位置になる。そして、カム81の係合溝81aの開口端部81eはトランクリッド6の第1係止部64aを離脱できる位置になる。
【0033】モータ35の作動により枢軸33aが駆動され、リンク31aが図4の時計回り方向に回転する。リンク31aと共にリンク31bも時計回り方向へ回転し、リンク31a、31bで支持されるバックウィンドウ3はルーフパネル2と重なった状態でさらに後方に移動する。同時に、バックウィンドウ3の車両後方側端部に固定されたリンクアーム38の係合部39が開口部62から開口部63へ向かって案内部61上を摺動する。開口部62から開口部63間の案内部61を係合部39が移動することによって、トランクリッド6は、後部でその車両前方が向かって開くように作動する。(以下、トランクリッド6の前開き作動と呼ぶ。)トランクリッド6が前開き作動する時、連結係止機構9はトランクリッド6の車両後方側端部を係止しつつ車体5から上方に持ち上げ、トランクリッド6が車体5に対し図4の時計回り方向に回転支持するように作動する。
【0034】案内部61上を摺動するリンクアーム38の係合部39が開口部62から開口部63の間の中間位置を過ぎるとトランクリッド6の前開き作動は終了する。そして、トランクリッド6は自重とバックウィンドウ3の下降に伴うリンクアーム38の下方への引きにより、トランクリッド6は閉じ、係止部64aは開口端部81e内に収容される。車両用ルーフ開閉装置10は図5R>5に示すようにルーフパネル2及びバックウィンドウ3をトランク60内に収納しトランクリッド6を閉じた状態(以下、全閉状態と呼ぶ。)となる。
【0035】この作動の経過から明らかなようにトランクリッド6とバックウィンドウ3はトランク60への格納またはトランク60からの引き出しのとき、互いに連結支持された状態で作動するために、車両用ルーフ開閉装置10のリンク機構等の構成部材は小型に構成しても剛性が確保される。またこの移動は一つのモータ28は駆動され構成も簡単になる。
【0036】次に、リヤロック機構91をストライカ66から解除して、トランクリッド6の後方側端部を持ち上げて、トランクリッド6を車両後方側へ開く作動(以下、トランクリッド6の後ろ開き作動と呼ぶ。)について以下に説明する。この作動はトランク60内へ荷物を出し入れする際の作動である。
【0037】まず、図6に示すように、ルーフパネル2及びバックウィンドウ3が客室1aの上方及び後方に位置するときのトランクリッド6の後ろ開き作動について説明する。選択連結機構8は、カム駆動モータ82の駆動により、カム81を図8の位置から反時計回り方向に回転させ図10の位置にする。これにより第2係止部65はカム81から離脱可能となり、第1係止部64と選択連結機構8との係合は維持される。このとき、トランクリッド6は選択連結機構8によってピボットリンク7に係止されているために、トランクリッド6はダンパ72の付勢によりピン71を回転軸として図1の反時計回り方向に回転し、図6に示す後ろ開き作動をする。
【0038】次に、図7に示すようにルーフパネル2及びバックウィンドウ3がトランク60内に収納されている状態では、上記したルーフパネル2及びバックウィンドウ3が客室1aの上方及び後方に位置するときと同様に、選択連結機構8は作動する。そして、バックウィンドウ3に固定されたリンクアーム38の係合部39は、トランクリッド6に固定された案内部61の開口部63を通って離脱し、トランクリッド6の後ろ開き作動ができる。
【0039】
【発明の効果】上記構成および作動から明らかなように、ルーフパネルおよびバックウインドウを支持する機構とトランクリッドを支持するリンク機構をそれぞれ連結して作動するようにしたことによって、本発明の課題とするコンバーチブル車の小型化のルーフ開閉装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である車両用ルーフ開閉装置においてルーフパネル及びバックウィンドウが車両客室の上方及び後方にセットされた状態を示す側面図である。
【図2】ルーフパネルが開かれた状態を示す側面図である。
【図3】ルーフパネルがバックウィンドウに重ねられた状態を示す側面図である。
【図4】バックウィンドウに連動してトランクリッドが開かれ、ルーフパネル及びバックウィンドウがトランク内内へ移動している状態を示す側面図である。
【図5】ルーフパネル及びバックウィンドウがトランク内内に収納されている状態を示す側面図である。
【図6】ルーフパネル及びバックウィンドウが車両客室の上方及び後方にセットされた状態においてトランクリッドが開けられた状態を示す側面図である。
【図7】ルーフパネル及びバックウィンドウがトランク内内に収納されている状態においてトランクリッドが開けられた状態を示す側面図である。
【図8】本発明の実施形態である車両用ルーフ開閉装置の係止機構であるカムのトランクリッドがバックウィンドウに連動して開く際の作動を示す拡大図である。
【図9】トランクリッドが閉じられた際のカムの作動を示す拡大図である。
【図10】トランク内への荷物等の出し入れのためにトランクリッドが開けられる際のカムの作動を示す拡大図である。
【図11】図11(a)は図1の連結係止機構9を拡大した側面図、図11(b)はトランクリッド6の車両前方側端部を上方へ移動させる作動をした際の連結係止機構9の側面図である。
【図12】図1の連結係止機構9のA視図である。
【符号の説明】
2 ルーフパネル
3 バックウィンドウ
5 車体
6 トランクリッド
8 連結機構
10 車両用ルーフ開閉装置
20 移動機構
60 トランク
64 第1係止部
65 第2係止部
81 選択連結手段(カム)
81a 第1係合溝
81b 第2係合溝
81c、81f 係合溝開口部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の車体上方に装着されるルーフパネルと、前記車両において該ルーフパネルの後方側に配置されるバックウィンドウと、前記ルーフパネルを前記車両の後方に移動させて前記バックウィンドウと重ねて、さらに前記車両の後方に配置され開口部を備えるトランクの内部へ前記ルーフパネルと前記バックウィンドウを移動させ格納を可能にする移動機構と、前記ルーフパネルと前記バックウィンドウの前記トランクの内部への格納または前記トランクからの引き出しと連動し、前記開口部に配設されたトランクリッドの前端部の開閉を可能とする連結機構を備える車両用ルーフ開閉装置において、前記連結機構は、前記連結機構を前記トランクリッドと前記車体の両方に係止する両側係止状態と、前記連結機構を前記トランクリッドと係止し前記車体とは離脱可能とする上側係止状態と、前記連結機構を前記トランクリッドと離脱可能にし前記車体とは係止される下側係止状態の内何れか1つの係止状態となる選択連結手段を備え、前記ルーフパネルと前記バックウィンドウを前記トランク内部への格納または前記トランクからの引き出しされるように移動するとき、前記選択連結手段を下側係止状態としトランクリッドの前端部の開放し、且つ前記バックウィンドウと前記トランクリッドを連結して作動するように構成した前記移動機構を備えることを特徴とする車両用ルーフ開閉装置。
【請求項2】 前記選択連結手段は前記トランクリッドに固定される第1係止部と係合する第1係止溝と、前記車体に固定される第2係止部と係合する第2係合溝を有するカムを備え、前記第1および第2係止溝には前記第1係止部及び第2係止部との離脱を可能とする係合溝開口部をそれぞれ設けて形成することを特徴とする、請求項1に記載の車両用ルーフ開閉装置。
【請求項1】 車両の車体上方に装着されるルーフパネルと、前記車両において該ルーフパネルの後方側に配置されるバックウィンドウと、前記ルーフパネルを前記車両の後方に移動させて前記バックウィンドウと重ねて、さらに前記車両の後方に配置され開口部を備えるトランクの内部へ前記ルーフパネルと前記バックウィンドウを移動させ格納を可能にする移動機構と、前記ルーフパネルと前記バックウィンドウの前記トランクの内部への格納または前記トランクからの引き出しと連動し、前記開口部に配設されたトランクリッドの前端部の開閉を可能とする連結機構を備える車両用ルーフ開閉装置において、前記連結機構は、前記連結機構を前記トランクリッドと前記車体の両方に係止する両側係止状態と、前記連結機構を前記トランクリッドと係止し前記車体とは離脱可能とする上側係止状態と、前記連結機構を前記トランクリッドと離脱可能にし前記車体とは係止される下側係止状態の内何れか1つの係止状態となる選択連結手段を備え、前記ルーフパネルと前記バックウィンドウを前記トランク内部への格納または前記トランクからの引き出しされるように移動するとき、前記選択連結手段を下側係止状態としトランクリッドの前端部の開放し、且つ前記バックウィンドウと前記トランクリッドを連結して作動するように構成した前記移動機構を備えることを特徴とする車両用ルーフ開閉装置。
【請求項2】 前記選択連結手段は前記トランクリッドに固定される第1係止部と係合する第1係止溝と、前記車体に固定される第2係止部と係合する第2係合溝を有するカムを備え、前記第1および第2係止溝には前記第1係止部及び第2係止部との離脱を可能とする係合溝開口部をそれぞれ設けて形成することを特徴とする、請求項1に記載の車両用ルーフ開閉装置。
【図1】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図5】
【図4】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2003−220833(P2003−220833A)
【公開日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−22546(P2002−22546)
【出願日】平成14年1月30日(2002.1.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【公開日】平成15年8月5日(2003.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年1月30日(2002.1.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
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