説明

車両用戸閉制御装置

【課題】リレーのハードシーケンス回路のみで、一方の運転台の戸閉制御装置で開けた
ドアを反対側の運転台の戸閉制御装置で閉めることを可能にする。
【解決手段】電車の両先頭車に設置してある戸閉制御装置の戸開指令を保持するためのリレーを励磁する線を引き通し、反対側車両の戸閉制御装置を経由して反対側車両のグランドに落とす。その引き通し線にドアを閉めるためのリレーのb接点を入れることにより、ドアを開けている運転台の戸閉制御装置とは反対側の戸閉制御装置のドアを閉めるためのリレーのb接点を開放することにより、ドア開指令を消滅させて、ドアを閉めることができる。終端駅で一方の運転台の戸閉制御装置でドアを開いた後、もう一方の先頭車両の運転台に乗務員が移動するとき、ドアを閉じることなく開いたまま移動できるため乗降時間の短縮することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電車の両先頭車に設置してある戸閉制御装置でドアを開けている運転台の戸閉制御装置とは反対側の戸閉制御装置でドアを閉めることができる戸閉制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電車のドアを開けた運転台の戸閉制御装置でしかドアを閉めることができなかった。しかし、終端駅で一方の運転台の戸閉制御装置でドアを開いた後、もう一方の先頭車両の運転台に乗務員が移動するとき、そのたびにドアを閉めていては乗客の乗降時間短くなる上、乗客を車両内に閉じ込めてしまう等の事故が発生する可能性がある。それらの事情を鑑み、車両のユーザー側からドアを開いた運転台とは反対側の運転台でもドアを閉めることができることを要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−44991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーのハードシーケンス回路のみで、一方の運転台の戸閉制御装置で開けたドアを反対側の運転台の戸閉制御装置で閉めることを可能にすること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その目的を達成するため、請求項1の発明によれば、戸開指令を保持するためのリレーを有し、電車の両先頭車に設置される戸閉制御装置において、該リレーを励磁する引き通し線を、いずれの先頭車より反対側先頭車の該戸閉制御装置を経由して反対側先頭車両のグランドに落とし、該引き通し線にドアを閉めるためのリレーの接点を接続することを特徴とする。
【0006】
すなわち両先頭車両の戸閉制御装置において、以下〔0007〕、〔0008〕の回路をリレーのハードシーケンス回路のみで構成する。
【0007】
ドア開スイッチを押すとドア閉スイッチを押さない限りドア電磁弁へ開指令を伝達し続けるためのドア開指令保持リレーを持つ回路。
【0008】
両先頭車に設置してある戸閉制御装置の戸開指令保持のためのリレーの接地線を引き通し、反対側戸閉制御装置内のドアを閉指令のリレーのb接点に接続し、その反対側車両の接地線に接続する回路。
【発明の効果】
【0009】
本発明を使用することにより終端駅で一方の運転台の戸閉制御装置でドアを開いた後、もう一方の先頭車両の運転台に乗務員が移動するとき、ドアを閉じることなく開いたまま移動できるため乗降時間の短縮することが可能。
【0010】
また、一方の先頭車両の戸閉制御装置が故障によりドアが閉じられなくなった時、もう一方の先頭車両の戸閉制御装置でドアを閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】戸閉制御装置の実施方法を示した回路図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
ドア開スイッチ1を押すと3のドア開指令保持リレー1が励磁され、引き通し線に電流が流れ反対側先頭車の戸閉制御装置を経由しての反対側車両のグランドに落ちる。それによりドア開指令保持リレー1のa接点4が閉じる。
【0014】
それにより5のドア開指令保持リレー2が励磁され、そのa接点6が閉じることにより3のドア開指令保持リレー1が自己保持される。
【0015】
ドア開指令保持リレー1のa接点4も閉じたままになるので、ドア開指令実行リレー7が励磁状態になる。
【0016】
よって、ドア開指令実行リレー7のa接点8が閉じたままになりドア電磁弁へドア開指令を伝達し続け、車両のドアが開状態になる。
【0017】
上記より3のドア開指令保持リレー1の励磁が解消されないかぎり、車両のドアは閉まらない。
【0018】
反対側の先頭車両の戸閉制御装置のドア閉スイッチ11を押すと、反対側の先頭車両の戸閉制御装置のドア閉実行リレー12のコイルが励磁され、そのb接点13が開く。
【0019】
それにより3のドア開指令保持リレー1を励磁していた電流は消滅し、反対側先頭車両の戸閉制御装置を操作することにより車両ドア閉じることができる。
【0020】
上記により車両ドアを開けた運転台の戸閉制御装置と反対側の戸閉制御装置の操作で車両ドアを閉じることができる回路が実現できる。
【符号の説明】
【0021】
1 ドア開スイッチ
2 ドア閉スイッチ
3 ドア開指令保持リレー1
4 ドア開指令保持リレー1のa接点
5 ドア開指令保持リレー2
6 ドア開指令保持リレー2のa接点
7 ドア開指令実行リレー
8 ドア開指令実行リレー
9 ドア閉実行リレー
10 ドア閉実行リレーのb接点
11 反対側の先頭車両の戸閉制御装置のドア閉スイッチ
12 反対側の先頭車両の戸閉制御装置のドア閉実行リレー
13 反対側の先頭車両の戸閉制御装置のドア閉実行リレーのb接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸開指令を保持するためのリレーを有し、電車の両先頭車に設置される戸閉制御装置において、該リレーを励磁する引き通し線を、いずれの先頭車より反対側先頭車の該戸閉制御装置を経由して反対側先頭車両のグランドに落とし、該引き通し線にドアを閉めるためのリレーの接点を接続することを特徴とする戸閉制御装置。

【図1】
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【公開番号】特開2013−14238(P2013−14238A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148824(P2011−148824)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)