説明

車両用灯具および車両用前照灯装置

【課題】グレアの対策について考慮されていない点、LEDからの光をほぼ全部有効に利用していない点にある。
【解決手段】発光体5から構成されている半導体型光源1と、この発光体5からの光を発光体5の形状のままの像であってスポット配光パターンSPとして外部に出射するレンズ2と、半導体型光源1とレンズ2とを所定の相対位置関係で保持するホルダ3と、を備え、発光体5がすれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2に対応する少なくとも1つの直線の辺8、10を有する。この結果、グレアを確実に防止することができ、発光体5からの光をほぼ全部有効利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LEDやEL(有機EL)などの半導体型発光素子を光源とする車両用灯具に関するものである。特に、この発明は、ヘッドランプから出射(放射、照射、投影)されるカットオフラインを有する基本配光パターンに対して、スポット配光パターンを出射する車両用灯具に関するものである。また、この発明は、カットオフラインを有する基本配光パターンとスポット配光パターンとをそれぞれ出射する車両用前照灯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具および車両用前照灯装置(以下、「車両用前照灯システム」と称する)は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2)。以下、この車両用前照灯システムについて説明する。なお、括弧つきの符号は、特許文献1、特許文献2にそれぞれ対応する。前者の車両用前照灯システム(特許文献1)は、発光ダイオード(11)、(21)を光源とする凸型発光体(10)と扇型発光体(20)とから構成されている。凸型発光体(10)は、スポット的な配光を外部に出射する。扇型発光体(20)は、幅広な配光を外部に出射する。前記の配光を合成することにより、カットライン(CL)を有するロービームの配光が得られる。一方、後者の車両用前照灯システム(特許文献2)は、発光ダイオード(32)、(52A)、(52B)、(72)を光源とする灯具ユニット(20)、(40A)、(40B)、(60)から構成されている。前記灯具ユニット(20)は、水平および斜めカットオフライン(CL1)、(CL2)を有するカットオフライン形成用パターン(Pa)を外部に出射する。前記灯具ユニット(40A)は、水平カットオフライン(CL1)に沿った直線状の上端縁を有する略半円状のホットゾーン形成用パターン(Pb1)を外部に出射する。前記灯具ユニット(40B)は、斜めカットオフライン(CL2)に沿った直線状の上端縁を有する略半円状のホットゾーン形成用パターン(Pb2)を外部に出射する。前記灯具ユニット(60)は、拡散領域形成用パターン(Pc)を外部に出射する。前記のパターン(Pa)、(Pb1)、(Pb2)、(Pc)を合成することにより、所定のロービーム用配光パターン(PL)が得られる。
【0003】
ところが、前者は、凸型発光体(10)からスポット的な配光がただ単に外部に出射されだけであり、また、扇型発光体(20)から幅広な配光がただ単に外部に出射されるだけであるから、スポット的な配光またはおよび幅広な配光がロービームのカットライン(CL)から突出してグレア(眩惑)となる場合があり、グレアの対策について考慮されていないという課題がある。一方、後者は、発光ダイオード(52A)、(52B)からの出射光の一部をシェード(54A)、(54B)によりカットオフするので、発光ダイオード(52A)、(52B)からの出射光をほぼ全部有効に利用していないという課題がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−71409号公報
【特許文献2】特開2004−95480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする問題点は、グレアの対策について考慮されていない点と、LEDからの光をほぼ全部有効に利用していない点とにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具は、発光体から構成されている半導体型光源と、この発光体からの光を発光体の形状のままの像であってスポット配光パターンとして外部に出射するレンズと、半導体型光源とレンズとを所定の相対位置関係で保持するホルダと、を備え、発光体が基本配光パターンのカットオフラインに対応する少なくとも1つの直線の辺を有する、ことを特徴とする。また、この発明(請求項6にかかる発明)の車両用前照灯装置は、カットオフラインを有する基本配光パターンを外部に出射するヘッドランプと、スポット配光パターンを外部に出射する前記の車両用灯具と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の車両用前照灯システムは、半導体型光源の発光体を発光させると、この発光体からの光がレンズから外部に発光体の形状のままの像であってスポット配光パターンとして出射される。このとき、発光体が基本配光パターンのカットオフラインに対応する少なくとも1つの直線の辺を有するので、この発光体の1つの直線の辺を基本配光パターンのカットオフラインに沿わせることにより、スポット配光パターンが基本配光パターンのカットオフラインから突出することがない。この結果、この発明の車両用前照灯システムは、グレアを確実に防止することができる。また、この発明の車両用前照灯システムは、発光体からの光をほぼ全部そのまま使用するので、発光体からの光をほぼ全部有効利用することができ、その分、消費電力を減らすことができ、省エネルギーに貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明にかかる車両用前照灯システムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。この実施例は、車両(自動車)Cが左側通行の場合の車両用前照灯システムについて説明する。車両Cが右側通行の場合の車両用前照灯システムは、構造や配光パターンなどがほぼ左右逆となる。
【0009】
この明細書および図面において、符号「F」は、車両Cの前進方向であって、ドライバー側から見た前側を示す。符号「B」は、車両Cの前進方向と逆方向であって、ドライバー側から見た後側を示す。符号「U」は、ドライバー側から見た上側を示す。符号「D」は、ドライバー側から見た下側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前側Fを見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前側Fを見た場合の右側を示す。符号「HL−HR」は、左右の水平線(左右水平方向)、もしくは、配光パターンが出射される25m先のスクリーン上の左右の水平線を示す。符号「VU−VD」は、同じく、上下の垂直線(上下垂直方向)、もしくは、配光パターンが出射される25m先のスクリーン上の上下の垂直線を示す。符号「HF−HB」は、前後の水平線(前後水平方向)を示す。また、この特許請求の範囲中の「左側」、「右側」、「左右」は、この明細書および図面中の「左側」、「右側」、「左右」と同意である。
【実施例】
【0010】
図1〜図7は、この実施例における車両用前照灯システムに使用される車両用灯具L1、L2、L3について示す。前記車両用灯具L1、L2、L3は、図7に示すように、基本配光パターンとしてのすれ違い用配光パターンLPに対して、所定の位置にスポット配光パターンSP(SP1、SP2、SP3)をそれぞれ出射する車両用灯具、すなわち、スポットランプユニットである。
【0011】
前記すれ違い用配光パターンLPは、ヘッドランプ(図8中の固定ヘッドランプユニットL0を参照)から出射される配光パターンである。前記すれ違い用配光パターンLPは、図3、図5、図7に示すように、左右の水平線HL−HRとほぼ同レベルの上位の水平のカットオフラインCL1と、斜めカットオフラインCL2と、左右の水平線HL−HRよりも約0.57°下側Dの下位の水平のカットオフラインCL3と、上下の垂直線VU−VD上の前記斜めカットオフラインCL2と前記下位の水平カットオフラインCL3との交点であるエルボー点EPと、を有する。前記すれ違い用配光パターンLPにおいて、エルボー点EPから斜めカットオフラインCL2に沿って斜め左上の部分は、遠方視認を担う部分である。
【0012】
前記スポットランプユニット(車両用灯具)L1、L2、L3は、半導体型光源1と、レンズ2と、ホルダ3とを備えるものである。前記半導体型光源1は、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。前記半導体型光源1は、基板4と、前記基板4の一面に固定された光源チップ(半導体チップ)の発光体5と、前記発光体5を覆う光透過部材6と、前記基板4の他面に固定された放熱部材7とから構成されている。前記発光体5は、基本的には微小な四角形、すなわち、4つの直線の辺からなる矩形形状(この例では、菱形形状、正方形形状)をなす。前記発光体5の1辺は、後述するように、前記すれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2に対応する。
【0013】
前記レンズ2は、焦点F0を有する屈折レンズであって、前記発光体5からの光(図2中の実線矢印)を前記発光体5の形状のほぼそのままの像であってスポット配光パターンSP1、SP2、SP3として外部に出射する。すなわち、前記レンズ2からの出射像は、図3、図5、図7に示すように、矩形の像(前記スポット配光パターンSP1、SP2、SP3)として配光される。なお、前記スポット配光パターンSP1、SP2、SP3の像、すなわち、前記発光体5の形状のほぼそのままの像は、前記発光体5の矩形以外に、たとえば、光学系素子を用いて左右方向L−Rに伸ばした菱形、長方形をも含むものである。前記光学系素子としては、たとえば、前記半導体型光源1の光透過部材6をレンズチップとしたもの、または、アウターレンズのうち前記半導体型光源1から出射される光に対応する部分に設けられたプリズム素子などである。このように、前記スポット配光パターンSP1、SP2、SP3の像を左右方向L−Rに伸ばした菱形、長方形にすることにより、左右方向L−Rに広がる車両Cの配光パターンに最適である。
【0014】
前記ホルダ3は、前記半導体型光源1と前記レンズ2とを所定の相対位置関係で保持する。この例では、図2に示すように、前記半導体型光源1の発光体5と前記レンズ2の焦点F0とがほぼ一致する相対位置関係で前記半導体型光源1と前記レンズ2とを保持する。この結果、前記レンズ2からの出射像は、図3、図5、図7に示すように、最も集光された矩形の像として配光される。ここで、前記半導体型光源1の発光体5と前記レンズ2の焦点F0とが前記スポットランプユニットL1、L2、L3の光軸(前記レンズ2の中心軸)Z−Z方向にずれるように、前記半導体型光源1と前記レンズ2との相対位置関係を前後水平線HF−HB上において前後水平方向HF−HBにずらすことにより、前記スポット配光パターンSP1、SP2、SP3の矩形の像が最も集光(縮小)された矩形の像から拡散(拡大)された矩形の像となる。
【0015】
このように、前記スポットランプユニットL1、L2、L3は、前記半導体型光源1の発光体5からの光を前記レンズ2により直接配光する直射型光学系から構成されているものである。前記3個のスポットランプユニットL1、L2、L3は、図6に示すように、左右水平線HL−HR上において左右水平方向HL−HRに右側Rから順に並設されている。また、前記3個のスポットランプユニットL1、L2、L3は、図7に示すように、前記すれ違い用配光パターンLPに対して、所定の位置にスポット配光パターンSP(SP1、SP2、SP3)をそれぞれ出射するものである。
【0016】
すなわち、右側Rに位置する前記第1スポットランプユニットL1は、前記すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL2およびエルボー点EPの左側Lに第1スポット配光パターンSP1を出射するように構成されている。また、中央に位置する前記第2スポットランプユニットL2は、前記第1スポット配光パターンSP1の左側Lに第2スポット配光パターンSP2を出射するように構成されている。さらに、左側Lに位置する前記第3スポットランプユニットL3は、前記第2スポット配光パターンSP2の左側Lに第3スポット配光パターンSP3を出射するように構成されている。
【0017】
そして、前記第1スポットランプユニットL1は、図4の正面図(正面視図)に示すように、前記発光体5の1辺が左右水平線HL−HRに対して角度θ(約10°〜約60°)をなすように、前記半導体型光源1を光軸Z−Z回りに回転させた状態で配置するものである。この結果、前記第1スポットランプユニットL1は、図5、図7に示すように、矩形の第1スポット配光パターンSP1の1辺(菱形の右上の斜辺)が前記すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL2に対応する。すなわち、前記発光体5の1辺(図4中の符号8)が前記すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL2に対応し、かつ、前記発光体5の1角(図4中の符号9)が前記すれ違い用配光パターンLPのエルボー点EPに対応する。
【0018】
また、前記第2スポットランプユニットL2および前記第3スポットランプユニットL3は、図1の正面図(正面視図)に示すように、前記発光体5の1辺が左右水平線HL−HRに対してほぼ平行となるように、前記半導体型光源1を光軸Z−Z回りに回転させた状態で配置するものである。この結果、前記第2スポットランプユニットL2および前記第3スポットランプユニットL3は、図3、図7に示すように、矩形の第2スポット配光パターンSP2および矩形の第3スポット配光パターンSP3の1辺(正方形の水平な上辺)が前記すれ違い用配光パターンLPの上位の水平カットオフラインCL1にそれぞれ対応する。すなわち、前記発光体5の1辺(図1中の符号10)が前記すれ違い用配光パターンLPの上位の水平カットオフラインCL1にそれぞれ対応する。
【0019】
この実施例における車両用前照灯システムに使用される車両用灯具、すなわち、スポットランプユニットL1、L2、L3は、LEDを光源とする半導体型光源1を使用するものである。この半導体型光源1の発光体5、すなわち、LEDの光源チップ(半導体チップ)の形状は、微小な四角形を基本としている。そして、この半導体型光源1をレンズ2すなわち屈折レンズと組み合わせて、ホルダ3により、半導体型光源1の発光体5とレンズ2の焦点F0とを合わせれば、発光体5からの光がピントの合った像(直射像)、すなわち、最も集光された四角形の像として得られる。この最も集光された四角形の像をスポット配光パターンSP1、SP2、SP3としてレンズ2から外部に出射すれば、すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL2およびエルボー点EPの左側Lにおいて、遠方視認用配光に適したいわゆる「集光配光」が容易に形成することができるものである。しかも、この「集光配光」が、斜めのカットオフラインを有し、かつ、すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL2およびエルボー点EPの直ぐ左側Lに存在して、エルボー点EPから斜め左上への立ち上がり部分の配光を担うことができれば、最も遠方視認に優れた配光となるものである。そこで、この実施例の第1スポットランプユニットSP1は、発光体5からのピントの合った(最も集光された)四角形の像の1辺がエルボー点EPから斜め左上に立ち上がる「斜めカットオフラインCL2」に対応するように、予め、発光体5を左右水平線HL−HRから約10°〜約60°回転させた状態で光学系に配置するものである。この結果、この実施例の第1スポットランプユニットSP1は、すれ違い用配光パターンLPを出射するランプユニットと併用することにより、遠方視認性に優れた理想的なすれ違い用配光パターンLPを得ることができるものである。
【0020】
以下、この実施例における車両用前照灯システムに使用される車両用灯具、すなわち、スポットランプユニットL1、L2、L3の作用効果について説明する。
【0021】
3個のスポットランプユニットL1、L2、L3をそれぞれ点灯する。すると、各スポットランプユニットL1、L2、L3の半導体型光源1の発光体5からの光は、図3、図5、図7に示すように、レンズ2から外部に矩形の発光体5の形状のままの像であってスポット配光パターンSP1、SP2、SP3としてそれぞれ出射される。このとき、発光体5がすれ違い用配光パターンLPの上位の水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2に対応する1つの直線の辺を有する。このために、この発光体5の1つの直線の辺をすれ違い用配光パターンLPの上位の水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2に沿わせる。すると、スポット配光パターンSP(SP1、SP2、SP3)がすれ違い用配光パターンLPの上位の水平カットオフラインCL1および斜めカットオフラインCL2から突出することがない。この結果、このスポットランプユニットL1、L2、L3は、グレアを確実に防止することができる。また、このスポットランプユニットL1、L2、L3は、発光体5からの光をほぼ全部そのまま使用するので、発光体5からの光をほぼ全部有効利用することができ、その分、消費電力を減らすことができ、省エネルギーに貢献することができる。
【0022】
図8〜図14は、この実施例における車両用前照灯システムLSについて示す。図中、前記の図1〜図7と同符号は、同一のものを示す。前記車両用前照灯システムLSは、車両Cの前部の左右両側にそれぞれ装備されるものである。以下、車両Cの前部の右側に装備される前記車両用前照灯システムLSの構成について説明する。なお、車両Cの前部の左側に装備される前記車両用前照灯システムLSの構成は、右側の前記車両用前照灯システムLSの構成とほぼ同様である。すなわち、後記第1、第2、第3可変スポットランプユニットの位置がそのままであり、かつ、後記第4スイブル装置がほぼ左右対称(左右逆)の位置となる。
【0023】
前記車両用前照灯システムLSは、前記の図1〜図7に示されたスポットランプユニットL1、L2、L3の構成とほぼ同等の構成からなる右側の第1可変スポットランプユニットL1R、第2可変スポットランプユニットL2R、第3可変スポットランプユニットL3Rと、ヘッドランプとしての固定ヘッドランプユニットL0と、を備えるものである。前記固定ヘッドランプユニットL0および前記可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rは、ランプハウジング11とランプレンズ(図示せず、たとえば、素通しのアウターレンズなど)とにより区画されている灯室12内にそれぞれ配置されている。
【0024】
前記固定ヘッドランプユニットL0は、前記可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの上下にそれぞれ配置された上側の固定ヘッドランプユニット群L0Uと下側の固定ヘッドランプユニット群L0Dとからなる。前記上側の固定ヘッドランプユニット群L0Uは、LEDなどの半導体型光源からなる4個のヘッドランプユニットからなり、固定配光の前記すれ違い用配光パターンLPの拡散配光を主に担うものである。一方、前記下側の固定ヘッドランプユニット群L0Dは、同じくLEDなどの半導体型光源からなる3個のヘッドランプユニットからなり、前記すれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2、CL3の配光を主に担うものである。
【0025】
前記可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rは、図12〜図14に示すように、前記の図1〜図7に示されたスポットランプユニットL1、L2、L3とほぼ同様に、半導体型光源1と、レンズ2と、ホルダ群とを備え、可変配光のスポット配光パターンSP1、SP2、SP3をそれぞれ外部に出射する。前記ホルダ群は、第1ホルダ13と、第2ホルダ14と、第3ホルダ15と、第4ホルダ16と、第5ホルダ17と、からなる。
【0026】
前記第1ホルダ13は、中空の円筒形状をなす。前記第1ホルダ13の前側Fの端部には、前記レンズ2が保持されている。前記第2ホルダ14は、前側Fが開口されかつ後側Bが閉塞された中空の円筒形状をなす。前記第1ホルダ13の外径が前記第2ホルダ14の内径とほぼ等しいか若干小さい。前記第2ホルダ14の後側Bの閉塞端には、前記半導体型光源1が、前記各可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R毎に前記の図1〜図7に示されたスポットランプユニットL1、L2、L3と同じように固定されている。また、前記第2ホルダ14中には、前記第1ホルダ13が前記可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの光軸(前記レンズ2の中心軸)Z1−Z1、Z2−Z2、Z3−Z3方向、すなわち、前後方向F−Bにスライド可能に収納されている。前記レンズ2は、前記第2ホルダ14の前側Fの開口端に配置されている。
【0027】
前記第1ホルダ13にはガイドピン18が設けられており、一方、前記第2ホルダ14にはガイド長溝19が光軸方向Z1−Z1、Z2−Z2、Z3−Z3方向に設けられている。前記第1ホルダ13のガイドピン18は、前記第2ホルダ14のガイド長溝19にスライド可能に係合されている。また、前記第1ホルダ13と前記第2ホルダ14とには、集光装置としての右側の第1スライド装置20R1、第2スライド装置20R2、第3スライド装置20R3が、前記各可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R毎に設けられている。この結果、前記第1ホルダ13は、前記第2ホルダ14に対して光軸方向Z1−Z1、Z2−Z2、Z3−Z3方向にスライド可能に構成されている。
【0028】
集光装置としての前記スライド装置20R1、20R2、20R3は、たとえば、ソレノイド、シリンダ、ステッピングモータなどを使用する。前記スライド装置20R1、20R2、20R3は、前記第1ホルダ13を前側Fの第1位置(図12および図13に示す位置)と後側Bの第2位置(図14に示す位置)との間をスライドさせる。前記第1位置は、前記レンズ2が前側Fに位置して前記レンズ2の焦点F0が前記半導体型光源1の発光体5よりも前側Fに位置するものであって、出射されるスポット配光パターンSP1、SP2、SP3は、やや拡散(拡大)された矩形の像となるものである。一方、前記第2位置は、前記レンズ2がやや後側Bに位置して前記レンズ2の焦点F0が前記半導体型光源1の発光体5に位置するものであって、出射されるスポット配光パターンSP1、SP2、SP3は、最も集光(縮小)された矩形の像となるものである。
【0029】
前記第3ホルダ15は、前記第2ホルダ14よりも一回り大きい中空の四角筒形状をなす。前記第3ホルダ15の前側Fの端部には、円形の透孔21が設けられている。前記第3ホルダ15中には、前記第1ホルダ13および前記第2ホルダ14がそれぞれ収納されており、かつ、前記透孔21中には、前記第2ホルダ14の前側Fの端部が嵌合されている。また、前記第3ホルダ15の下水平板部と前記第2ホルダ14とは、一体に固定されている。一方、前記第4ホルダ16は、上下方向U−Dの長さが前記第3ホルダ15よりも大きく、かつ、縦断面形状がコの字形状をなす。
【0030】
前記第3ホルダ15の上下の水平板部には、回転軸21が上下方向U−Dすなわちほぼ垂直軸V1−V1、V2−V2、V3−V3方向にそれぞれ設けられている。一方、前記第4ホルダ16の上水平板部には、軸受22が設けられている。前記回転軸21が前記軸受22に回転可能に軸受されている。また、前記第3ホルダ15の下側Dの回転軸21と前記第4ホルダ16の下水平板部とには、スイブル装置としての右側の第1スイブル装置23R1、第2スイブル装置23R2、第3スイブル装置23R3が、前記各可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R毎に設けられている。この結果、前記第1ホルダ13および前記第2ホルダ14および前記第3ホルダ15は、前記第4ホルダ16に対してほぼ垂直軸V1−V1、V2−V2、V3−V3回りに回転可能に構成されている。
【0031】
スイブル装置としての前記スイブル装置23R1、23R2、23R3は、たとえば、ステッピングモータ、ソレノイド、シリンダなどを使用する。前記スイブル装置23R1、23R2、23R3は、前記第1ホルダ13および前記第2ホルダ14および前記第3ホルダ15を、前記各可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R毎にそれぞれ別個に(それぞれ異なった角度に)ほぼ垂直軸V1−V1、V2−V2、V3−V3回りに回転させる。たとえば、図11(C)に示すように、前記第1可変スポットランプユニットL1Rをほぼ垂直軸V1−V1回りに時計方向に角度θ1分、また、前記第2可変スポットランプユニットL2Rをほぼ垂直軸V2−V2回りに時計方向に角度θ2分、さらに、前記第3可変スポットランプユニットL3Rをほぼ垂直軸V3−V3回りに時計方向に角度θ3分、それぞれ別個に回転させることができる。これにより、前記各可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R毎の光軸Z1−Z1、Z2−Z2、Z3−Z3は、それぞれ別個に図10中の矢印方向に回転するので、これに伴なって、スポット配光パターンSP1、SP2、SP3は、それぞれ別個に左右方向L−Rに移動(スイブル)する。なお、前記第1ホルダ13および前記第2ホルダ14および前記第3ホルダ15を、前記可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R全部同じ角度に回転させても良い。
【0032】
前記第5ホルダ17は、上水平板部と、垂直板部と、下水平板部とからなる。前記第5ホルダ17の下水平板部の左右方向L−Rの長さは、前記3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの前記第4ホルダ16を左右方向L−Rに並設できる長さを有する。前記第4ホルダ16の上下の水平板部には、固定軸24、回転軸25が上下方向U−Dすなわちほぼ垂直軸V0−V0方向にそれぞれ設けられている。一方、前記第5ホルダ17の下水平板部には、軸受26が設けられている。前記回転軸25が前記軸受26に回転可能に軸受されている。これにより、前記3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの前記第1ホルダ13および前記第2ホルダ14および前記第3ホルダ15および前記第4ホルダ16は、1個の前記第5ホルダ17に対してほぼ垂直軸V0−V0回りにそれぞれ回転可能に構成されている。
【0033】
前記第5ホルダ17の上水平板部には、スイブル装置としての右側の第4スイブル装置23R4が設けられている。前記第4スイブル装置23R4は、たとえば、ステッピングモータなどから構成されている。前記第4スイブル装置23R4には、駆動力伝達機構や減速機構などを介して駆動装置27が設けられている。前記駆動装置27には、駆動軸28が設けられている。前記駆動軸28と、前記3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの固定軸24とには、4本の駆動リンク29と1本の連結バー30とがそれぞれ連結されている。前記4本の駆動リンク29と前記1本の連結バー30とは、4本の連結ピン31によりそれぞれ連結されている。
【0034】
ここで、前記第4スイブル装置23R4を駆動させて、前記駆動装置27を介して前記駆動軸28を図10中の矢印方向に回転させる。すると、4本の駆動リンク29と1本の連結バー30と4本の連結ピン31と3本の固定軸24を介して、前記3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの前記第1ホルダ13および前記第2ホルダ14および前記第3ホルダ15および前記第4ホルダ16が、同時にほぼ垂直軸V0−V0回りに回転する。たとえば、図11(B)に示すように、前記3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rをほぼ垂直軸V0−V0回りに時計方向に同じく角度θ0分それぞれ同時に回転させることができる。これにより、前記3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの光軸Z1−Z1、Z2−Z2、Z3−Z3は、それぞれ同時に図10中の矢印方向に回転するので、これに伴なって、スポット配光パターンSP1、SP2、SP3は、それぞれ同時に左右方向L−Rに移動(スイブル)する。
【0035】
図15は、この実施例における車両用前照灯システムLSについて示すブロック図である。図中、前記の図1〜図14と同符号は、同一のものを示す。前記車両用前照灯システムLSは、図15に示すように、右側RHの前記第1可変スポットランプユニットL1R、前記第2可変スポットランプユニットL2R、前記第3可変スポットランプユニットL3R、前記第1スイブル装置23R1、前記第2スイブル装置23R2、前記第3スイブル装置23R3、前記第4スイブル装置23R4、前記第1スライド装置20R1、前記第2スライド装置20R2、前記第3スライド装置20R3、左側LHの第1可変スポットランプユニットL1L、第2可変スポットランプユニットL2L、第3可変スポットランプユニットL3L、第1スイブル装置23L1、第2スイブル装置23L2、第3スイブル装置23L3、第4スイブル装置23L4、第1スライド装置20L1、第2スライド装置20L2、第3スライド装置20L3、前記固定ヘッドランプユニットL0、L0U、L0D、ヘッドランプスイッチ32、操舵角センサー33、車速センサー34、照度センサー35、GPSレシーバー36、撮像装置37、コントロールユニット38を備えるものである。
【0036】
前記右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、スイブル装置23R1、23R2、23R3、23R4、スライド装置20R1、20R2、20R3、前記固定ヘッドランプユニットL0、L0U、L0D、ヘッドランプスイッチ32の構成は、前記の図8〜図14に示す構成のとおりである。また、前記左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3L、スイブル装置23L1、23L2、23L3、23L4、スライド装置20L1、20L2、20L3の構成は、前記右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、スイブル装置23R1、23R2、23R3、23R4、スライド装置20R1、20R2、20R3の構成とほぼ同様である。すなわち、前記第1、第2、第3可変スポットランプユニットの位置がそのままであり、かつ、前記第4スイブル装置がほぼ左右対称(左右逆)の位置となる。
【0037】
前記ヘッドランプスイッチ32、前記操舵角センサー33、前記車速センサー34、前記照度センサー35、前記GPSレシーバー36、前記撮像装置37は、車両Cの周囲の環境を検知して環境検知信号を出力する環境検知装置である。
【0038】
前記ヘッドランプスイッチ32は、ドライバーがON、OFFを操作して前記固定ヘッドランプユニットL0、L0U、L0Dを点灯、消灯させるものであって、ONのときON信号(たとえば、ハイレベル信号)を出力し、OFFのときOFF信号(たとえば、ローレベル信号)を前記コントロールユニット38に出力するものである。
【0039】
前記操舵角センサー33は、ステアリングハンドル(ステアリングホイール、ハンドル)の操舵角(舵角)および操舵方向および角速度を検出して、操舵角信号および操舵方向信号および角速度信号を前記コントロールユニット38に出力するものである。すなわち、前記操舵角センサー33は、たとえば、車両Cが曲路(左カーブの道路や右カーブの道路)を走行する場合に、また、車両Cが交差路を左折したり右折したりする場合に、ドライバーが操舵するステアリングハンドルの操舵角(回転角)および操舵方向(回転方向)および角速度(回転速度)を検出して、操舵角信号および操舵方向信号および角速度信号を前記コントロールユニット38に出力するものである。前記操舵角信号および前記操舵方向信号は、たとえば、車両Cに搭載されている前記操舵角センサー33および前記コントロールユニット38がネットワーク化され、具体的な数値データとして得られる。具体的な数値データとしては、たとえば、ステアリングハンドルを右側に10°切ると、+10°の数値データ、一方、ステアリングハンドルを左側に10°切ると、−10°の数値データとして得られる。また、具体的な数値データとしては、たとえば、ステアリングハンドルを右側に10°切ると、「1000」のニュートラル数値に対して「990」の数値データ、一方、ステアリングハンドルを左側に10°切ると、「1000」のニュートラル数値に対して「1010」の数値データとして得られる。一方、前記操舵角信号および前記操舵方向信号は、たとえば、車両に搭載されている前記操舵角センサー33(たとえば、光学センサ)が前記コントロールユニット38に出力する電気信号として得られる。
【0040】
前記車速センサー34は、車速を検出して車速信号として前記コントロールユニット38に出力するものである。前記照度センサー35は、車両Cの周囲の明るさを検知して、車両Cの周囲の明るさがある値以上のときにHIレベルの信号を、また、ある値未満のときにLOレベルの信号を前記コントロールユニット38に出力するものである。前記GPSレシーバー36は、GPSや地上局(電子基準点など)から出力される位置情報信号を受信して前記コントロールユニット38に出力するものである。前記撮像装置37は、たとえば、車両Cに搭載されたCCDカメラやCMOSカメラなどの半導体素子の撮像装置などであって、車両Cの周囲の環境情報を撮像して画像処理した画像信号を前記コントロールユニット38に出力するものである。
【0041】
前記コントロールユニット38は、車両Cに搭載されているコンピュータ、たとえば、カーナビゲーション(ナビゲーションシステム)のコンピュータ、また、制御回路部やECU・電子制御ユニットのコンピュータなどを使用する。前記コントロールユニット38は、前記環境検知装置からの環境検知信号に基づいて調光制御信号を出力する調光制御装置と、前記調光制御装置からの調光制御信号に基づいて前記発光体5からの出力光束を増減して前記スポット配光パターンSP(SP1、SP2、SP3)の光度を変える調光装置(たとえば、電流制御装置)と、前記環境検知装置からの環境検知信号に基づいてスイブル制御信号を前記スイブル装置23R1、23R2、23R3、23R4、23L1、23L2、23L3、23L4に出力するスイブル制御装置と、前記環境検知装置からの環境検知信号に基づいて集光制御信号を前記スライド装置20R1、20R2、20R3、20L1、20L2、20L3に出力する集光制御装置と、を備えるものである。
【0042】
以下、この実施例における車両用前照灯システムLSの作用効果について図16〜図28を参照して説明する。図16〜図18、図28は、コンピュータのシミュレーションで得られたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。たとえば、図28(B)の中央の等光度曲線は、50000(cd)であり、以下、20000(cd)、10000(cd)、5000(cd)、2000(cd)、1000(cd)、300(cd)である。また、図16(C)および図28(A)の中央の等光度曲線は、20000(cd)であり、以下、10000(cd)、5000(cd)、2000(cd)、1000(cd)、300(cd)である。図16(A)の中央の等光度曲線は、10000(cd)であり、以下、5000(cd)、2000(cd)、1000(cd)、300(cd)である。さらに、図16(A)(B)および図17(B)の中央の等光度曲線は、20000(cd)であり、以下、10000(cd)、2000(cd)、300(cd)である。さらにまた、図17(A)の中央の等光度曲線は、10000(cd)、2000(cd)、300(cd)である。
【0043】
また、図20、図22、図23、図27は、コンピュータのシミュレーションで得られた道路上の配光パターンを簡略化して示す等照度曲線の平面から見た説明図であって、中央の等照度曲線は、高照度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる照度帯である。たとえば、中央の等照度曲線は、100(lx)であり、以下、70(lx)、50(lx)、30(lx)、20(lx)、10(lx)、3(lx)である。
【0044】
まず、固定ヘッドランプユニットL0、L0U、L0Dを点灯すると、図16(A)に示す固定配光のすれ違い用配光パターンLPが得られる。このすれ違い用配光パターンLPは、前記の図3、図5、図7に示すすれ違い用配光パターンLPと同様に、カットオフラインCL1、CL2、CL3とエルボー点EPとを有する基本配光パターンである。このすれ違い用配光パターンLPは、単独で該当するロービーム(すれ違い用配光パターンLP)の配光規格に適合する性能を有するものである。なお、このすれ違い用配光パターンLPの規定出力光束(すなわち、固定ヘッドランプユニットL0、L0U、L0Dからの規定出力光束)100%を標準状態として、前記の配光規格に適合する。ここで、上側の固定ヘッドランプユニット群L0Uは、可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの上側Uに配置されているので、上側の固定ヘッドランプユニット群L0Uから出射される拡散配光は、可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rから出射されるスポット配光パターンSPよりも手前側の路面などを照明することとなり、すれ違い用配光パターンLPの拡散配光に最適である。一方、下側の固定ヘッドランプユニット群L0Dは、可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの下側Dに配置されているので、下側の固定ヘッドランプユニット群L0Dから出射されるカットオフラインCL1、CL2、CL3の配光は、可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rから出射されるスポット配光パターンSPよりも遠方側の路面などを照明することとなり、すれ違い用配光パターンLPのカットオフラインCL1、CL2、CL3の配光に最適である。
【0045】
また、可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、L1L、L2L、L3Lを点灯すると、図16(B)に示す可変配光のスポット配光パターンSPが得られる。このスポット配光パターンSPは、すれ違い用配光パターンLPのエルボー点EPおよび斜めカットラインCL2から左側Lに、かつ、左右水平線HL−HRから約2°下の範囲でほぼ帯状もしくは扇状をなしている。このスポット配光パターンSPは、各可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、L1L、L2L、L3Lの半導体型光源1(LED)の発光体5からの規定出力光束が100%の場合で、約20000cd以上の分布特性を有するものである。また、このスポット配光パターンSPの全光束は、約100(lm)以上である。なお、このスポット配光パターンSPの規定出力光束(すなわち、各可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、L1L、L2L、L3Lの半導体型光源1(LED)の発光体5からの規定出力光束)100%を標準状態とする。
【0046】
このように、この実施例における車両用前照灯システムLSは、固定ヘッドランプユニットL0、L0U、L0Dと、可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、L1L、L2L、L3Lとをそれぞれ点灯すると、図16(A)に示す固定配光のすれ違い用配光パターンLPと図16(B)に示す可変配光のスポット配光パターンSPとが合成された図16(C)に示す配光パターン、すなわち、スポット配光パターンSPにより遠方視認性に優れた理想的なすれ違い用配光パターンLPを得ることができるものである。
【0047】
また、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lのうち、スポット配光パターンSPの右端を担う可変スポットランプユニットL1R(L1L)は、前記の図4に示すように、発光体5の1辺が左右水平線HL−HRに対して角度θ(約10°〜約60°)をなすように、半導体型光源1を光軸Z−Z回りに回転させた状態で配置するものである。この結果、スポット配光パターンSPの右端は、図17(A)に示すように、傾斜角度θ(約10°〜約60°)でカットされている。これにより、スポット配光パターンSPは、右方向Rに水平移動、すなわち、スイブルした位置で改めてエルボー点および斜めカットラインを形成することができる。
【0048】
さらに、スポット配光パターンSP(SP1、SP2、SP3)は、コントロールユニット38の制御を介して、右側RHの3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの3個の可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lにより、同一に変化をしたり、または、別個に変化をしたりすることができる。たとえば、図17(B)に示すように、右側RHの3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rからの出力光束をそれぞれ100%としたり、また、図18(A)に示すように、右側RHの3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rからの出力光束をそれぞれ50%としたり、さらに、図18(B)に示すように、右側RHの3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rからの出力光束をそれぞれ10%、50%、100%としたりすることができる。
【0049】
以下、夜間の郊外路走行と市街路走行とにおけるスポット配光パターンSPの光度制御について図19のアルゴリズムを参照して説明する。図19は、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束(縦軸%)と、照度センサー35で路面の水平面照度を換算して得られる換算路面水平照度(横軸lx)との制御相対関係(制御アルゴリズム)を示す説明図である。この説明図から明らかなように、換算路面水平照度10(lx)を第1のしきい値とし、換算路面水平照度15(lx)を第2のしきい値とする。そして、換算路面水平照度が10(lx)未満の場合には、郊外路走行とみなして出力光束を100%とし、換算路面水平照度が10(lx)以上15(lx)未満の場合には、市街路走行とみなして出力光束を50%とし、換算路面水平照度が15(lx)以上の場合には、繁華街路走行とみなして出力光束を10%とするものである。このように、コントロールユニット38は、照度センサー35からの信号により、図19に示すアルゴリズムに基づいて、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束を制御して、スポット配光パターンSPの光度(照度)を可変制御するものである。
【0050】
以下、夜間の郊外路走行と市街路走行(特に繁華街路走行)とにおけるスポット配光パターンSPの光度制御について図20を参照して説明する。まず、夜間の郊外路について。夜間の郊外路は、道路照明などのインフラストラクチャーが十分に整備されておらず車両Cの周囲環境が暗い環境であり、かつ、交通量が比較的少なく車速が高速となる傾向にある。このために、車両Cによる夜間の郊外路走行においては、遠方視認性が特に重要となる。ところが、先行車や対向車と遭遇する確率は高いので、ハイビームによる走行用配光パターン(図示せず)で走行することは稀である。
【0051】
そこで、夜間の郊外路の換算路面水平照度が10(lx)未満の場合には、図19のアルゴリズムに基づいて、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束は、図20(A―2)に示すように、100%となる。この結果、スポット配光パターンSPの出力光束は、標準状態の100%となるので、図16(C)に示すすれ違い用配光パターンLPおよびスポット配光パターンSPが得られる。この図16(C)に示すすれ違い用配光パターンLPおよびスポット配光パターンSPは、前記の配光特性(すなわち、エルボー点EPから左側Lの約20000cd以上の光の帯)を有するので、図20(A−1)の道路上の配光パターンに示すように、遠方視認性に優れた理想的な配光パターンであって、夜間の郊外路走行に非常に有効かつ適した配光パターンである。
【0052】
つぎに、夜間の市街路(特に繁華街路)について。夜間の市街路は、道路照明により路面照度は高く、遠方視認性が確保されている。ところが、道路照明の範囲は基本的に車道であり、歩道側は十分な照度が確保されていない場合が多い。そこで、市街路走行においては郊外路走行のようにスポット配光パターンSPの100%出力による遠方配光は必要なく、主に歩道側の配光、すなわち、図16(A)に示す固定配光のすれ違い用配光パターンLPだけで十分である。また、市街路走行では右左折や加減速による車両Cの方向や姿勢の変化が頻繁にあり、図16(B)に示す可変配光のスポット用配光パターンSPが対向車や旋回方向側に存在する車両のドライバーなどにグレアを与える位置関係になる確率が高くなる。さらに、渋滞や徐行走行においてはランプユニット内部の温度が上昇し、半導体型光源1は厳しい条件下の使用となる。
【0053】
そこで、夜間の市街路の換算路面水平照度が15(lx)以上の場合には、図19のアルゴリズムに基づいて、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束は、図20(B―2)に示すように、10%となる。この結果、スポット配光パターンSPの出力光束は10%となるので、不必要な過渡の配光をする必要がなく、他車へのグレアやランプユニット内部の温度上昇や電力消費などを抑制することができる。しかも、図20(B−1)の道路上の配光パターンに示すように、夜間の市街路走行に非常に有効かつ適した配光パターンが得られる。
【0054】
なお、スポット配光パターンSPの出力光束を10%としたことは、出力光束を0%とした場合には、中段の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、L1L、L2L、L3Lが消灯状態にあり、上下段の固定ヘッドランプユニットL0、L0U、L0Dが点灯状態にあるので、ランプ点灯時の見栄えや発光面積などを考慮してのことである。また、夜間の一般の市街路は、前記の夜間の繁華街路と比較して暗く、かつ、前記の夜間の郊外路と比較して明るい。このために、夜間の一般の市街路の換算路面水平照度が10(lx)以上15(lx)未満の場合には、図19のアルゴリズムに基づいて、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束を50%とするものである。
【0055】
以下、夜間の曲路走行におけるスポット配光パターンSPの光度制御について図21のアルゴリズムを参照して説明する。図21(A)は、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束(縦軸%)と、操舵角センサー33からの操舵角信号および操舵方向信号で得られる切増し方向の舵角(横軸°)との制御相対関係(制御アルゴリズム)を示す説明図である。また、図21(B)は、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束(縦軸%)と、操舵角センサー33からの操舵角信号および操舵方向信号で得られる切戻し方向の舵角(横軸°)との制御相対関係(制御アルゴリズム)を示す説明図である。さらに、図21(C)は、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lを回転させる角度すなわち右スイブル角左スイブル角(縦軸°)と、操舵角センサー33からの操舵角信号および操舵方向信号で得られる右舵角左舵角(横軸°)との制御相対関係(制御アルゴリズム)を示す説明図である。
【0056】
前記の図21(A)から明らかなように、切増し方向の舵角(右舵角)が20°に達した時点で、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束を100%から50%にし、右側RHの第3可変スポットランプユニットL3Rからの出力光束を100%から75%にする。また、切増し方向の舵角(右舵角)が約26°に達した時点で、右側RHの第2可変スポットランプユニットL2Rからの出力光束を100%から80%にする。さらに、切増し方向の舵角(右舵角)が40°に達した時点で、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束を50%から30%にし、右側RHの第3可変スポットランプユニットL3Rからの出力光束を75%から40%にする。さらにまた、切増し方向の舵角(右舵角)が60°に達した時点で、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束を30%から10%にする。なお、前記の切増し方向の制御においては、図21(A)中の2点鎖線に示すように、リニアに制御するようにしても良い。
【0057】
また、前記の図21(B)から明らかなように、ステアリングハンドルの切り戻しが開始された時点で、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束を瞬時に100%にし、右側RHの第1可変スポットランプユニットL1Rからの出力光束を瞬時に100%から30%にし、右側RHの第2可変スポットランプユニットL2Rからの出力光束を瞬時に80%から40%にし、右側RHの第3可変スポットランプユニットL3Rからの出力光束を瞬時に40%から50%にする。また、切戻し方向の舵角(右舵角)が10°に達した時点で、右側RHの第1可変スポットランプユニットL1Rからの出力光束を30%から100%にし、右側RHの第2可変スポットランプユニットL2Rからの出力光束を40%から100%にし、右側RHの第3可変スポットランプユニットL3Rからの出力光束を50%から100%にする。なお、図21(B)中の点線矢印は、前記の図21(A)のステアリングハンドルの切増し方向を示すものである。
【0058】
さらに、前記の図21(C)から明らかなように、ステアリングハンドルの右舵角が10°に達した時点で、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rが右方向に回転を開始し、ステアリングハンドルの右舵角が60°に達した時点で、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの右スイブル角が15°に達して右方向の回転が停止する。一方、ステアリングハンドルの右舵角が60°未満になった時点で、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rが左方向に回転を開始し、ステアリングハンドルの右舵角が10°未満になった時点で、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rの右スイブル角が0°に達して左方向の回転が停止する。また、ステアリングハンドルの左舵角が60°に達した時点で、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lが左方向に回転を開始し、ステアリングハンドルの左舵角が90°に達した時点で、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lの左スイブル角が15°に達して左方向の回転が停止する。一方、ステアリングハンドルの左舵角が90°未満になった時点で、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lが右方向に回転を開始し、ステアリングハンドルの左舵角が60°未満になった時点で、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lの左スイブル角が0°に達して右方向の回転が停止する。なお、この可変制御は、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rと左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lとを別個に制御しているが、同時に制御しても良い。
【0059】
このように、コントロールユニット38は、操舵角センサー33からの操舵角信号および操舵方向信号により、図21(A)、(B)、(C)に示すアルゴリズムに基づいて、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束を制御したり、また、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rまたはおよび左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lの回転角度を制御したりして、スポット配光パターンSPの光度(照度)や方向(形状)を可変制御するものである。
【0060】
以下、夜間の曲路走行、特に右カーブ走行におけるスポット配光パターンSPの光度制御や方向制御について図22を参照して説明する。まず、夜間の曲路走行、特に右カーブ走行ではドライバーの視線(図22(A−1)、(B−1)中の実線矢印を参照)は、すれ違い用配光パターンLPのエルボー点EPから右側Rの下位の水平カットオフラインCL3(直線路で対向車へのグレアを防止するために設定されている。図3、図5、図7参照)より上側Uに向けられている。このために、すれ違い用配光パターンLPのエルボー点EPおよび斜めカットオフラインCL2から左側Lの配光部分であって、下位の水平カットオフラインCL3よりも上方の配光部分を右側Rに水平移動、すなわち、右カーブに合わせてエルボー点EPを視線方向にスイブルさせて、視認性を確保することが有効である。このとき、すれ違い用配光パターンLP全体を右側Rにスイブルさせた場合、特に、片側たとえば右側のランプのすれ違い用配光パターン全体をスイブルさせた場合や右側のランプのすれ違い用配光パターン全体と左側のランプのすれ違い用配光パターン全体とを非対称にスイブルさせた場合においては、車両Cの左側のランプからの配光と右側のランプからの配光との重ね合わせが全体で変化する。このために、すれ違い用配光パターンの各所において配光むらや配光抜けが生じる傾向にある。そこで、すれ違い用配光パターンLPに対してスポット配光パターンSPのみをスイブルすれば、すれ違い用配光パターンLPの各所において配光むらや配光抜けがさほど生じることがなく、本来配光すべきところ(ドライバーの視線が向くすれ違い用配光パターンLPのエルボー点EPから右側Rの下位の水平カットオフラインCL3の若干上側Uのところ)のみを配光することができる。これにより、曲路走行に非常に有効な配光パターンが得られる。
【0061】
ここで、スポット配光パターンSPのスイブルは、片側たとえば右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rによるスイブルまたは左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lによるスイブル、両側の可変スポットランプユニットによるスイブル、両側の可変スポットランプユニットによる非対称のスイブルのいずれでも良い。ところが、たとえば、図22(A−2)に示すように、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rのみを右側Rに約15°スイブルさせた場合。図22(A−1)に示すように、スイブルした配光とスイブルしない配光との間に谷間や配光抜け40ができ、また、スイブルしない配光が車両Cの旋回方向以外のところ(右カーブ走行の場合、ドライバーの視線方向と逆側のところ)39を積極的に照明する配光パターンとなり、好ましくない。なお、図22(A−1)および(A−2)において、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rからの出力光束および左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束は、それぞれ、100%である。
【0062】
そこで、夜間の右カーブ走行時には図21(A)のアルゴリズムに基づいてスポット配光パターンSPの配光制御を行う。たとえば、ステアリングハンドルの右舵角が60°に達した場合には、図22(B−2)に示すように、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rのみを右側Rに約15°スイブルさせ、かつ、右側RHの第1可変スポットランプユニットL1Rの出力光束を100%、第2可変スポットランプユニットL2Rの出力光束を80%、第3可変スポットランプユニットL3Rの出力光束を40%にそれぞれ個別に制御し、一方、スイブルさせない左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lの出力光束を10%にそれぞれ同一に制御する。すると、図22(B−1)に示すように、谷間や配光抜けがなく、また、車両Cの旋回方向のところ(右カーブ走行の場合、ドライバーの視線方向のところ)41が最も明るくなり、夜間の右カーブ走行に好ましくかつ非常に有効な配光パターンが得られる。
【0063】
つぎに、夜間の曲路、たとえば、右カーブから直線路に移行する際におけるスポット配光パターンSPの光度制御や方向制御について図23を参照して説明する。まず、ステアリングハンドルの切り戻しが開始されると、ドライバーの視線(図23(A−1)、(B−1)中の実線矢印を参照)は、すでに直線路方向に向いている。ここで、スポット配光パターンSPの配光制御(図23(A−2)を参照)が前記の図22(B−2)の配光制御の状態のままでは、図23(A−1)に示すように、視線方向と逆の方向のところ42が最も明るく配光されている配光パターンとなり、好ましくない。
【0064】
そこで、夜間の右カーブから直線路に移行する際には図21(B)のアルゴリズムに基づいてスポット配光パターンSPの配光制御を行う。すなわち、図23(B−2)に示すように、ステアリングハンドルの切り戻しが開始された時点で、スイブルしていない左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lからの出力光束を全て100%に瞬時に同一制御し、一方、スイブルしている右側RHの第1可変スポットランプユニットL1Rからの出力光束を100%から30%、右側RHの第2可変スポットランプユニットL2Rからの出力光束を80%から40%、右側RHの第3可変スポットランプユニットL3Rからの出力光束を40%から50%に瞬時に別個に制御する。すると、図22(B−1)に示す配光パターンから図23(B−1)に示す配光パターンに瞬時に変化して、瞬間的に移動するドライバーの視線方向に対応する。しかも、図23(B−1)に示すように、視線方向のところ43が最も明るくなり、夜間の右カーブから直線路に移行する走行に好ましくかつ非常に有効な配光パターンが得られる。なお、図23(B−2)に示す配光制御において、ステアリングハンドルの右舵角が10°に達した場合には、図21(B)のアルゴリズムに示すように、スイブルしている右側RHの第1可変スポットランプユニットL1Rの出力光束が30%から100%、右側RHの第2可変スポットランプユニットL2Rの出力光束が40%から100%、右側RHの第3可変スポットランプユニットL3Rの出力光束が50%から100%に瞬時に別個に制御される。また、図21(C)のアルゴリズムに示すように、右側Rにスイブルしている右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3Rが正面に向く。
【0065】
以下、夜間の高速走行におけるスポット配光パターンの制御を図24を参照して説明する。図24(A)は、スクリーン上の配光パターンであって、通常走行に適したすれ違い用配光パターンLPを示す説明図、図24(B)は、スクリーン上の配光パターンであって、高速走行に適した第1モータウエイ用配光パターンMP1を示す説明図、図24(C)は、スクリーン上の配光パターンであって、同じく高速走行に適した第2モータウエイ用配光パターンMP2を示す説明図である。図中、図1〜図23と同符号は、同一のものを示す。
【0066】
前記スポット配光パターンSPは、前記第1スポット配光パターンSP1および第2スポット配光パターンSP2および第3スポット配光パターンSP3を合成してなる「集光配光」の配光パターンである。菱形の第1スポット配光パターンSP1の右上の斜辺は、すれ違い用配光パターンLPの斜めカットオフラインCL2に沿い、また、正方形の第2スポット配光パターンSP2および第3スポット配光パターンSP3の水平な上辺は、すれ違い用配光パターンLPの上位の水平カットオフラインCL1に沿い、さらに、前記スポット配光パターンSPは、すれ違い用配光パターンLPのエルボー点EPおよび斜めカットオフラインCL2より左側Lに位置するものである。この結果、前記スポット配光パターンSPは、遠方視認性に優れた理想的なすれ違い用配光パターンLPを得ることができるものである。
【0067】
また、前記スポット配光パターンSPは、半導体型光源1とレンズ2との間の相対位置が図12および図13に示す第1位置(レンズ2の焦点F0が半導体型光源1の発光体5よりも前側Fに位置する位置)にあるときに得られる像であって、やや拡散(拡大)された像の配光パターンである。ここで、半導体型光源1とレンズ2との間の相対位置を図14に示す第2位置(レンズ2の焦点F0と半導体型光源1の発光体5とがほぼ同一位置に位置する位置)にすると、像が集光(収縮)されたスポット配光パターンSP01およびSP02(第1スポット配光パターンSP11、第2スポット配光パターンSP21、第3スポット配光パターンSP31、および、第1スポット配光パターンSP12、第2スポット配光パターンSP22、第3スポット配光パターンSP32)が得られる。
【0068】
さらに、前記集光されたスポット配光パターンSP01、SP02の第2スポット配光パターンSP21、22および第3スポット配光パターン31、32の上辺がスクリーン上の左右水平線HL−HRよりも約0.23°下側Dに位置するように、前記半導体型光源1と前記レンズ2とが構成されている。ここで、前記集光されたスポット配光パターンSP01およびSP02をたとえば右側Rにスイブルすると、前記集光されたスポット配光パターンSP01およびSP02の上辺がすれ違い用配光パターンLPの下位の水平カットオフラインCL3(左右の水平線HL−HRよりも約0.57°下側Dに位置する水平カットオフライン)よりも若干上側Uに突出して、新たな水平なカットオフライン、すなわち、中位の水平カットオフラインCL4が形成される。また、集光されたスポット配光パターンSP01、SP02の第1スポット配光パターンSP11、12の右上の斜辺により、新たな斜めのカットオフラインCL5が形成される。
【0069】
以下、夜間の第1高速走行におけるスポット配光パターンSP01の光度制御について図25のアルゴリズムを参照して説明する。図25(A)および(B)は、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lにおける車速(横軸km/h)と、レンズ移動(右縦軸ONOFF)とスイブル角(左縦軸°)との制御相対関係(制御アルゴリズム)を示す説明図である。
【0070】
前記の図25(A)から明らかなように、夜間の高速走行において車速が90km/h以上となると、スライド装置20R1、20R2、20R3、20L1、20L2、20L3が駆動してレンズ移動がOFFからONとなり、レンズ2が第1位置から第2位置に位置する。また、図27(A−2)に示すように、スイブル装置23R1、23R2、23R3、23L1、23L2、23L3が駆動して可変スポットランプユニットL1R、L2R、LR3、L1L、L2L、L3Lが右側Rに約6°全部同じにスイブルする。
【0071】
すると、図24(B)に示すように、拡散タイプのスポット配光パターンSP0が最も集光されて集光タイプのスポット配光パターンSP01が得られ、この集光タイプのスポット配光パターンSP01が右側Rに約6°スイブルする。この結果、スクリーン上の上下垂直線VU−VDから右側Rに約6°のところに、最も集光された集光タイプのスポット配光パターンSP01の上辺により、スクリーン上の左右水平線HL−HRよりも約0.23°下側Dに位置する新たな中位の水平カットオフラインCL4が形成される。また、この新たな中位の水平カットオフラインCL4と下位の水平カットオフラインCL3との間には、新たな斜めカットオフラインCL5が形成される。
【0072】
これにより、図27(A−1)および図28(A)に示すように、第1モータウエイ用配光パターンMP1が得られる。この第1モータウエイ用配光パターンMP1は、通常のすれ違い用配光パターンLPと比較して、下位の水平カットオフラインCL3の一部が新たな中位の水平カットオフラインCL4となってスクリーン上の左右水平線HL−HRよりも約0.57°下側Dから約0.23°下側Dに最大約0.34°上側Uに位置し、かつ、最高高度が1.8倍向上する。また、中位の水平カットオフラインCL4がスクリーン上の上下垂直線VU−VDから右側Rに少なくとも約4.5°までの範囲において得られる。このために、この第1モータウエイ用配光パターンMP1は、夜間の高速走行に非常に有効な配光パターンである。また、図24(B)に示すように、第1スポット配光パターンSP1、SP11、SP12の右上の斜辺により、中位の水平カットオフラインCL4と下位の水平カットオフラインCL3との間に新たな斜めカットオフラインCL5が形成される。この結果、この新たな斜めカットオフラインCL5により、スクリーン上の上下垂直線VU−VDから右側Rに少なくとも約4.5°までの範囲において、下位の水平カットオフラインCL3よりも最大約0.34°上側Uに位置する新たな中位の水平カットオフラインCL4が形成されていても、対向車のドライバーや右側の路肩の歩行者などにグレアを与えることがないので、夜間の高速走行に最適である。
【0073】
また、前記の図25(B)から明らかなように、夜間の高速走行において車速が80km/h以下なると、スイブル装置23R1、23R2、23R3、23L1、23L2、23L3が駆動してスイブルしていた可変スポットランプユニットL1R、L2R、LR3、L1L、L2L、L3Lが全部0°正面に向く。また、スライド装置20R1、20R2、20R3、20L1、20L2、20L3が駆動してレンズ移動がONからOFFとなり、レンズ2が第2位置から第1位置に復帰する。すると、図24(B)に示す集光タイプのスポット配光パターンSP01が図24(A)に示すように、拡散タイプのスポット配光パターンSP0に復帰するので、図27(A−1)および図28(A)に示す第1モータウエイ用配光パターンMP1から通常のすれ違い用配光パターンLPに復帰する。
【0074】
このように、この実施例における車両用前照灯システムは、レンズ2の移動と可変スポットランプユニットL1R、L2R、LR3、L1L、L2L、L3Lのスイブルとにより、夜間の高速走行に非常に有効な第1モータウエイ用配光パターンMP1が得られるものである。このために、光束を追加したりカットオフラインを切り直したりするものと比較して、構造が簡単であり、かつ、夜間の高速走行に非常に有効な第1モータウエイ用配光パターンMP1を確実に得ることができる。
【0075】
また、スクリーン上の上下垂直線VU−VDから左側Lの上位の水平カットオフラインCL1と斜めカットオフラインCL2との交点の位置は、スクリーン上の左右水平線HL−HR上のままで変わらないので、先行車を追い越す際に問題となるミラーを介したグレアを先行車のドライバーに与えることがない。
【0076】
さらに、最も集光されたスポット配光パターンSP01が右側Rに約6°スイブルするので、高速走行でドライバーが車両Cの中心の遠方付近を注視する傾向と一致し、しかも、配光は路面照度分布においてハイビームによる走行用配光パターン(図示せず)のように車両Cの中心に左右に対称な分布が望ましいことと一致する。
【0077】
以下、夜間の第2高速走行におけるスポット配光パターンSP02の光度制御について図26のアルゴリズムを参照して説明する。図26(A)および(B)は、前記の図25(A)および(B)と同様に、右側RHの可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、左側LHの可変スポットランプユニットL1L、L2L、L3Lにおける車速(横軸km/h)と、レンズ移動(右縦軸ONOFF)とスイブル角(左縦軸°)との制御相対関係(制御アルゴリズム)を示す説明図である。
【0078】
前記の図26(A)から明らかなように、夜間の高速走行において車速が90km/h以上となると、スライド装置20R1、20R2、20R3、20L1、20L2、20L3が駆動してレンズ移動がOFFからONとなり、レンズ2が第1位置から第2位置に位置する。また、図27(B−2)に示すように、スイブル装置23R1、23R2、23R3、23L1、23L2、23L3が駆動して第1可変スポットランプユニットL1R、L1Lが右側Rに約5°、第2可変スポットランプユニットL2R、L2Lが右側Rに約6°、第3可変スポットランプユニットL3R、L3Lが右側Rに約10°それぞれ別個にスイブルする。
【0079】
すると、図24(C)に示すように、拡散タイプのスポット配光パターンSP0が最も集光されて集光タイプのスポット配光パターンSP02が得られ、この集光タイプのスポット配光パターンSP02が右側Rにスイブルする。すなわち、第1スポット配光パターンSP12が右側Rに約5°、第2スポット配光パターンSP22が右側Rに約6°、第3スポット配光パターンSP32が右側Rに約10°それぞれ別個にスイブルする。この結果、スクリーン上の上下垂直線VU−VDから右側Rに少なくとも約4.5°のところに、最も集光された集光タイプのスポット配光パターンSP02の上辺により、スクリーン上の左右水平線HL−HRよりも約0.23°下側Dに位置する新たな中位の水平カットオフラインCL4が形成される。また、この新たな中位の水平カットオフラインCL4と下位の水平カットオフラインCL3との間には、新たな斜めカットオフラインCL5が形成される。
【0080】
これにより、図27(B−1)および図28(B)に示すように、第2モータウエイ用配光パターンMP2が得られる。この第2モータウエイ用配光パターンMP2は、前記第1モータウエイ用配光パターンMP1と同様に、夜間の高速走行に非常に有効な配光パターンである。
【0081】
また、前記の図26(B)から明らかなように、夜間の高速走行において車速が80km/h以下なると、スイブル装置23R1、23R2、23R3、23L1、23L2、23L3が駆動してスイブルしていた可変スポットランプユニットL1R、L2R、LR3、L1L、L2L、L3Lが全部0°正面に向く。また、スライド装置20R1、20R2、20R3、20L1、20L2、20L3が駆動してレンズ移動がONからOFFとなり、レンズ2が第2位置から第1位置に復帰する。すると、図24(C)に示す集光タイプのスポット配光パターンSP02が図24(A)に示すように、拡散タイプのスポット配光パターンSP0に復帰するので、図27(B−1)および図28(B)に示す第2モータウエイ用配光パターンMP2から通常のすれ違い用配光パターンLPに復帰する。
【0082】
このように、この第2モータウエイ用配光パターンMP2は、前記第1モータウエイ用配光パターンMP1と同様の作用効果を達成することができる。特に、この第2モータウエイ用配光パターンMP2は、第1スポット配光パターンSP12を右側Rに約5°スイブルさせ、かつ、第2スポット配光パターンSP22および第3スポット配光パターンSP32をそれ以上すなわち右側Rに約6°および約10°スイブルさせるものであるから、前記の第1モータウエイ用配光パターンMP1よりもさらに集光させることができる。また、この第2モータウエイ用配光パターンMP2の右端は、スクリーン上の上下垂直線VU−VDから右側Rに少なくとも約4.5°以上に位置するので、夜間の高速走行に有効なモータウエイ用配光パターンを満足することができる。
【0083】
以下、夜間の高速曲路走行におけるスポット配光パターンの制御について説明する。夜間の高速曲路走行においては、前記の第1モータウエイ用配光パターンMP1および第2モータウエイ用配光パターンMP2を左右にスイブルすることが望ましい。そこで、コントロールユニット38の作動により、第1、第2、第3スイブル装置23R1、23R2、23R3、23L1、23L2、23L3を駆動させて可変スポットランプユニットL1R、L2R、LR3、L1L、L2L、L3Lをスイブルさせた状態において、第4スイブル装置23R4、23L4を駆動させてスイブル状態の可変スポットランプユニットL1R、L2R、LR3、L1L、L2L、L3Lを全部同時にさらに左右にスイブルさせる。すると、前記の第1モータウエイ用配光パターンMP1および第2モータウエイ用配光パターンMP2がさらに左右にスイブルする。この結果、夜間の高速曲路走行に有効な配光パターンが得られる。なお、前記の第1モータウエイ用配光パターンMP1において、右側R方向のスイブルは、可変スポットランプユニットL1R、L2R、LR3、L1L、L2L、L3Lが予め右側Rに約6°スイブルしているので、可動範囲が約6°分減少してしまう。しかしながら、スイブル範囲がたとえば一般的なスイブル範囲の約15°の場合、高速曲路走行では右側R方向のスイブルが約9°までとなるが、この約9°のスイブル量は高速走行でのカーブ曲率半径、すなわち、約250m以上では十分なスイブル量である。
【0084】
図29は、車両用前照灯システムの変形例を示す横断面図である。この変形例のものは、3個のスポットランプユニットL1、L2、L3(もしくは3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、L1L、L2L、L3L)が一体構造のホルダ300に保持されていて、一体構造のレンズ200との相対位置が保持されているものである。
【0085】
図30は、同様に、車両用前照灯システムの変形例を示す横断面図である。この変形例のものは、半導体型光源1の発光体500の形状が少なくとも1つの直線の辺501を有するものであれば、どのような形状のものでも良い。また、この実施例においては、半導体型光源1としてLEDを使用した例であるが、この発明においては、EL(有機EL)を使用しても良い。このEL(有機EL)の発光体は、LEDの光源チップ(半導体チップ)に対して、光源板(半導体基板)となり、少なくとも1つの直線の辺を有するものであれば良い。さらに、この実施例においては、1個の半導体型光源1に対して1個の発光体(光源チップ、半導体チップ)5、500を有するものであるが、この発明においては、1個の半導体型光源1に対して複数個の発光体(光源チップ、半導体チップ)5、500を備えるものでも良い。
【0086】
また、前記の実施例においては、レンズ2の焦点F0を発光体5よりも前側Fに位置させておいて、集光する場合に、レンズ2を後側Bにスライドさせるものである。ところが、この発明においては、レンズ2の焦点F0を発光体5よりも後側Bに位置させておいて、集光する場合に、レンズ2を前側Fにスライドさせるものでも良い。
【0087】
さらに、前記の実施例においては、固定ヘッドランプユニットL0として、LEDを光源とするランプユニットを複数個使用するものである。ところが、この発明においては、固定ヘッドランプユニットして、放電灯、ハロゲンバルブ、白熱バルブなどを光源とするランプユニットを複数個もしくは1個使用しても良い。
【0088】
さらにまた、前記の実施例においては、3個のスポットランプユニットL1、L2、L3(もしくは3個の可変スポットランプユニットL1R、L2R、L3R、L1L、L2L、L3L)を使用した例について説明するものである。ところが、この発明においては、スポットランプユニット(もしくは可変スポットランプユニット)の個数を特に限定しない。たとえば、スポットランプユニット(もしくは可変スポットランプユニット)の個数を1個、2個、4個以上にしても良い。但し、少なくとも、斜めカットオフラインCL2に沿う斜辺を有するスポット配光パターンを出射する第1スポットランプユニット(もしくは第1可変スポットランプユニット)を1個備えるものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】この発明にかかる車両用前照灯システムに使用される車両用灯具の実施例を示し、第2、第3スポットランプユニットの正面図である。
【図2】同じくスポットランプユニットの断面図である。
【図3】同じく第2スポットランプユニットにより得られる配光パターンを示す説明図である。
【図4】同じく第1スポットランプユニットの正面図である。
【図5】同じく第1スポットランプユニットにより得られる配光パターンを示す説明図である。
【図6】同じくスポットランプユニットの正面図である。
【図7】同じくスポットランプユニットにより得られる配光パターンを示す説明図である。
【図8】この発明にかかる車両用前照灯システムの実施例を示し、アウターレンズを取り外した状態の正面図である。
【図9】同じく右側の可変スポットランプユニットの正面図である。
【図10】同じく右側の可変スポットランプユニットの平面図である。
【図11】同じく右側の可変スポットランプユニットのスイブル状態を示す説明図である。
【図12】同じく右側の可変スポットランプユニットの縦断面図である。
【図13】同じくレンズが第1位置に位置する状態を示す右側の可変スポットランプユニットの要部の縦断面図である。
【図14】同じくレンズが第2位置に位置する状態を示す右側の可変スポットランプユニットの要部の縦断面図である。
【図15】同じく車両用前照灯システムの構成を示すブロック図である。
【図16】同じく車両用前照灯システムにより得られる固定配光のすれ違い用配光パターンおよび可変配光の可変スポット配光パターンを示す説明図である。
【図17】同じく車両用前照灯システムにより得られる可変配光の可変スポット配光パターンを示す説明図である。
【図18】同じく車両用前照灯システムにより得られる可変配光の可変スポット配光パターンの出力光束の変化を示す説明図である。
【図19】同じく夜間の郊外路走行と市街路走行とにおけるスポット配光パターンの光度制御についてのアルゴリズムを示す説明図である。
【図20】同じく夜間の郊外路走行と市街路走行とにおける配光パターンを示す説明図である。
【図21】同じく夜間の曲路走行におけるスポット配光パターンの光度制御についてのアルゴリズムを示す説明図である。
【図22】同じく夜間の曲路走行における配光パターンを示す説明図である。
【図23】同じく夜間の右カーブから直線路に移行する際における配光パターンを示す説明図である。
【図24】同じく夜間の高速走行におけるスポット配光パターンの制御を示す説明図である。
【図25】同じく夜間の高速走行におけるスポット配光パターンの第1制御についてのアルゴリズムを示す説明図である。
【図26】同じく夜間の高速走行におけるスポット配光パターンの第2制御についてのアルゴリズムを示す説明図である。
【図27】同じく夜間の高速走行におけるモータウエイ用配光パターンを示す説明図である。
【図28】同じく夜間の高速走行におけるモータウエイ用配光パターンを示す説明図である。
【図29】この発明にかかる車両用前照灯システムに使用される車両用灯具の変形例を示す断面図である。
【図30】この発明にかかる車両用前照灯システムに使用される車両用灯具の半導体型光源の発光体の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1 半導体型光源
2、200 レンズ
3、300 ホルダ
4 基板
5、500 発光体
501 少なくとも1つの直線の辺
6 光透過部材
7 放熱部材
8、10 1辺
9 1角
11 ランプハウジング
12 灯室
13 第1ホルダ
14 第2ホルダ
15 第3ホルダ
16 第4ホルダ
17 第5ホルダ
18 ガイドピン
19 ガイド長溝
20R1 右側の第1スライド装置
20R2 右側の第2スライド装置
20R3 右側の第3スライド装置
20L1 左側の第1スライド装置
20L2 左側の第2スライド装置
20L3 左側の第3スライド装置
21 回転軸
22 軸受
23R1 右側の第1スイブル装置
23R2 右側の第2スイブル装置
23R3 右側の第3スイブル装置
23R4 右側の第4スイブル装置
23L1 左側の第1スイブル装置
23L2 左側の第2スイブル装置
23L3 左側の第3スイブル装置
23L4 左側の第4スイブル装置
24 固定軸
25 回転軸
26 軸受
27 駆動装置
28 駆動軸
29 駆動リンク
30 連結バー
31 連結ピン
32 ヘッドランプスイッチ
33 操舵角センサー
34 車速センサー
35 照度センサー
36 GPSレシーバー
37 撮像装置
38 コントロールユニット
39 旋回方向以外のところ
40 谷間や配光抜け
41 旋回方向のところ
42 視線方向と逆の方向のところ
43 視線方向のところ
C 車両
F 前側
B 後側
U 上側
D 下側
L 左側
R 右側
HL−HR 左右の水平線
VU−VD 上下の垂直線
HF−HB 前後の水平線
L1 第1スポットランプユニット
L2 第2スポットランプユニット
L3 第3スポットランプユニット
LS 車両用前照灯システム
L1R 右側の第1可変スポットランプユニット
L2R 右側の第2可変スポットランプユニット
L3R 右側の第3可変スポットランプユニット
L1L 左側の第1可変スポットランプユニット
L2L 左側の第2可変スポットランプユニット
L3L 左側の第3可変スポットランプユニット
L0 固定ヘッドランプユニット
L0U 上側の固定ヘッドランプユニット群
L0D 下側の固定ヘッドランプユニット群
LP すれ違い用配光パターン
CL1 上位の水平のカットオフライン
CL2 斜めのカットオフライン
CL3 下位の水平のカットオフライン
CL4 中位の水平のカットオフライン
CL5 新たな斜めのカットオフライン
EP エルボー点
F0 レンズの焦点
SP、SP01、SP02 スポット配光パターン
SP1、SP11、SP12 第1スポット配光パターン
SP2、SP21、SP22 第2スポット配光パターン
SP3、SP31、SP32 第3スポット配光パターン
MP1 第1モータウエイ用配光パターン
MP2 第2モータウエイ用配光パターン
Z−Z、Z1−Z1、Z2−Z2、Z3−Z3 光軸
V0、V1、V2、V3 垂直軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドランプから出射されるカットオフラインを有する基本配光パターンに対して、スポット配光パターンを出射する車両用灯具において、
発光体から構成されている半導体型光源と、
前記発光体からの光を前記発光体の形状のほぼそのままの像であって前記スポット配光パターンとして外部に出射するレンズと、
前記半導体型光源と前記レンズとを所定の相対位置関係で保持するホルダと、
を備え、
前記発光体は、前記基本配光パターンのカットオフラインに対応する少なくとも1つの直線の辺を有する、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記基本配光パターンは、上位の水平のカットオフラインと斜めのカットオフラインと下位の水平のカットオフラインとを有するすれ違い用の配光パターンであり、
前記発光体は、4つの直線の辺からなる矩形形状をなし、
前記半導体型光源は、前記発光体の1辺が前記斜めのカットオフラインに沿い、かつ、前記スポット配光パターンが前記斜めのカットオフラインと前記下位のカットオフラインとの交点から左側または右側に位置するように配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
車両の周囲の環境を検知して環境検知信号を出力する環境検知装置と、
前記環境検知装置からの環境検知信号に基づいて調光制御信号を出力する調光制御装置と、
前記調光制御装置からの調光制御信号に基づいて前記発光体からの出力光束を増減して前記スポット配光パターンの光度を変える調光装置と、
を備えることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項4】
車両の周囲の環境を検知して環境検知信号を出力する環境検知装置と、
前記環境検知装置からの環境検知信号に基づいてスイブル制御信号を出力するスイブル制御装置と、
前記スイブル制御装置からのスイブル制御信号に基づいて前記半導体型光源および前記レンズおよび前記ホルダをほぼ垂直軸回りにスイブルさせて前記スポット配光パターンを左右に移動させるスイブル装置と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
車両の周囲の環境を検知して環境検知信号を出力する環境検知装置と、
前記環境検知装置からの環境検知信号に基づいて集光制御信号を出力する集光制御装置と、
前記集光制御装置からの集光制御信号に基づいて前記半導体型光源と前記レンズとの間の相対位置を変えて前記スポット配光パターンを縮小拡大させる集光装置と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
カットオフラインを有する基本配光パターンと、スポット配光パターンと、をそれぞれ出射する車両用前照灯装置において、
前記基本配光パターンを外部に出射するヘッドランプと、
前記スポット配光パターンを外部に出射する前記の請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用灯具と、
を備えることを特徴とする車両用前照灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−164743(P2006−164743A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354367(P2004−354367)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】