車両用照明装置
【課題】従来の車両用照明装置では、赤外光の強度の向上と可視光の光度の現状維持との両立を図ることが難しい点と、赤外線透過フィルターが光源からの光の熱衝撃の影響を受ける可能性がある点とにある。
【解決手段】光源からの光L1を、第1サブ反射面60、第2サブ反射面70、第3サブ反射面30、フィルタ2を経て、赤外光LIRとして自動車Cの前方Fに照射する。この結果、第1サブ反射面60、第2サブ反射面70、第3サブ反射面30により赤外光LIRの強度の向上を図ることができ、また、第1サブ反射面60、第2サブ反射面70、第3サブ反射面30と別体のプロジェクタタイプの光学ユニットから自動車Cの前方Fに照射される可視光LWの光度を現状維持することができる。また、フィルタ2を光源からの光の熱衝撃の影響から確実に保護することができる。
【解決手段】光源からの光L1を、第1サブ反射面60、第2サブ反射面70、第3サブ反射面30、フィルタ2を経て、赤外光LIRとして自動車Cの前方Fに照射する。この結果、第1サブ反射面60、第2サブ反射面70、第3サブ反射面30により赤外光LIRの強度の向上を図ることができ、また、第1サブ反射面60、第2サブ反射面70、第3サブ反射面30と別体のプロジェクタタイプの光学ユニットから自動車Cの前方Fに照射される可視光LWの光度を現状維持することができる。また、フィルタ2を光源からの光の熱衝撃の影響から確実に保護することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、赤外光(赤外線)を車両の前方に照射する車両用赤外光投光装置の照明機能と、可視光を車両の前方に照射する通常の車両用前照灯の照明機能とを有する車両用照明装置に関するものである。特に、この発明は、通常の車両用前照灯の照明機能としては可視光を基本の配光パターンで車両の前方に照射するプロジェクタタイプの光学ユニットを使用し、また、車両用赤外光投光装置の照明機能としてはプロジェクタタイプの光学ユニットの光源からの光のうち通常無効となる光(たとえば、光源からの直射光)を積極的に捕らえて有効に利用して赤外光を車両の前方に照射する光学装置を使用する車両用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用暗視装置(車両用暗視システム)は、従来から知られている。この車両用暗視装置は、車両の前部に近赤外光暗視カメラ装置と車両用赤外光投光装置とを搭載し、一方、車両の運転席に表示装置を配置し、近赤外光暗視カメラ装置を車両搭載のコンピュータを介して表示装置に接続したものであって、車両用赤外光投光装置から赤外光を車両の前方に投光し、肉眼では視認できない情報を近赤外光暗視カメラ装置で撮像して、その情報を表示装置で肉眼で視認できる画像として表示するものである。このように、車両用暗視装置は、夜間の走行を支援するものであって、通常の車両用前照灯の補助手段として使用されている。しかしながら、前記の車両用暗視装置においては、専用の照明装置の車両用赤外光投光装置と、通常の照明装置の車両用前照灯とがそれぞれ別個に必要であるから、装置全体が大型であり、かつ、製造コストが高価である。
【0003】
そこで、赤外光(赤外線)を車両の前方に照射する車両用赤外光投光装置の照明機能と、可視光を車両の前方に照射する通常の車両用前照灯の照明機能とを有する車両用照明装置(たとえば、特許文献1)が出願されている。以下、この車両用照明装置について説明する。なお、括弧つきの符号は、特許文献1にそれぞれ対応する。この車両用照明装置は、ヘッドランプ(1)の反射鏡(3)の一部に開口部(6)を設け、光源(2)から前記開口部(6)を通った光を反射させる反射面(7)を設け、この反射面(7)により反射される光の光路上に赤外線透過フィルター(8)を設けたものである。この車両用照明装置においては、光源(2)から開口部(6)を通った光が反射面(7)で反射されかつ赤外線透過フィルター(8)を透過して赤外光として車両の前方に照射され、一方、光源(2)から開口部(6)を通らなかった光が反射鏡(3)で反射されて可視光として車両の前方に照射される。
【0004】
【特許文献1】特開2001−93311号公報
【0005】
ところが、前記の従来の車両用照明装置は、光源(2)から反射鏡(3)に入射する光のうち、反射鏡(3)の開口部(6)を通った光を反射面(7)および赤外線透過フィルター(8)を介して赤外光として車両の前方に照射するものである。このために、前記の従来の車両用照明装置は、反射鏡(3)の開口部(6)を大きくして、赤外光の強度(赤外光の光度、照度、光量)の向上を図ると、可視光の光度(可視光の照度、光量)の現状維持が難しくなり、一方、反射鏡(3)の開口部(6)の大きさを制限して可視光の光度の現状を維持すると、赤外光の強度の向上が難しくなる。このように、前記の従来の車両用照明装置は、赤外光の強度の向上と可視光の光度の現状維持との両立を図ることが難しい。
【0006】
また、前記の従来の車両用照明装置は、光源(2)から反射鏡(3)の開口部(6)を通った光を反射面(7)で反射させて赤外線透過フィルター(8)に透過させて赤外光を得るものである。このために、前記の従来の車両用照明装置は、光源(2)からの光が反射面(7)で反射して赤外線透過フィルター(8)に達するので、この赤外線透過フィルター(8)が光源(2)からの光の熱衝撃の影響を受ける可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする問題点は、前記の従来の車両用照明装置では、赤外光の強度の向上と可視光の光度の現状維持との両立を図ることが難しい点と、赤外線透過フィルター(8)が光源(2)からの光の熱衝撃の影響を受ける可能性がある点とにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、可視光を基本の配光パターンで車両の前方に照射するプロジェクタタイプの光学ユニットと、第1焦点が前記プロジェクタタイプの光学ユニットの光源にもしくはその近傍に位置する回転楕円面を基調とし、前記光源からの光のうち通常無効となる光を第2焦点に向けて反射させる第1サブ反射面を有する第1サブリフレクタと、第1焦点が前記第1サブ反射面の第2焦点にもしくはその近傍に位置する回転楕円面を基調とし、前記第1サブ反射面からの反射光を第2焦点に向けて反射させる第2サブ反射面を有する第2サブリフレクタと、焦点が前記第2サブ反射面の第2焦点にもしくはその近傍に位置する回転放物面を基調とし、前記第2サブ反射面からの反射光を外部に反射させる第3サブ反射面を有する第3サブリフレクタと、前記第3サブ反射面の光入射側もしくは光反射側に配置されており、前記光源からの光のうち赤外光を透過させて他の光を反射させる赤外光透過特性を有するフィルタと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の車両用照明装置は、光源からの光のうち通常無効となる光を、第1サブリフレクタの第1サブ反射面、第2サブリフレクタの第2サブ反射面、第3サブリフレクタの第3サブ反射面、フィルタを経て、赤外光として車両の前方に照射することができる。これにより、この発明の車両用照明装置は、第1サブ反射面およびまたは第2サブ反射面およびまたは第3サブ反射面により赤外光の強度の向上を図ったとしても、第1サブ反射面および第2サブ反射面および第3サブ反射面と別体のプロジェクタタイプの光学ユニットから車両の前方に照射される可視光の光度を現状維持することができる。すなわち、この発明の車両用照明装置は、赤外光の強度の向上と可視光の光度の現状維持との両立を図ることができる。また、この発明の車両用照明装置は、光源からの光のうち通常無効となる光が少なくとも第1サブリフレクタの第1サブ反射面および第2サブリフレクタの第2サブ反射面を経てフィルタに達するものである。このために、この発明の車両用照明装置は、光源(2)からの光が反射面(7)で反射して赤外線透過フィルター(8)に達する前記の従来の車両用照明装置と比較して、フィルタを光源からの光の熱衝撃の影響から確実に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、この発明にかかる車両用照明装置の実施例のうちの2例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1〜図17は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例1を示す。以下、実施例1にかかる車両用照明装置の構成について説明する。図面において、符号「VU−VD」は、この実施例1にかかる車両用照明装置の光軸Z−Zを通る上下の垂直線、また、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、この実施例1にかかる車両用照明装置の光軸Z−Zを通る左右の水平線、また、スクリーンの左右の水平線を示す。符号「F」は、自動車Cの前側(自動車Cの前進方向側)を示す。符号「B」は、自動車Cの後側を示す。符号「U」は、ドライバー側から見た上側を示す。符号「D」は、ドライバー側から見た下側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前側Fを見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前側Fを見た場合の右側を示す。なお、この明細書および図面においては、自動車Cが左側通行の場合について説明する。自動車Cが右側通行の場合は、この左側通行とほぼ左右逆となる。
【0012】
図13において、符号100L、100Rは、自動車Cの前部の左側L、右側Rにそれぞれ搭載されたヘッドランプ装置である。前記ヘッドランプ装置100L、100Rは、灯室(図示せず)を区画するランプハウジング101およびアウターレンズ(ランプレンズ)102と、前記灯室内に配置された走行用のヘッドランプユニット(図示せず)およびすれ違い用のヘッドランプユニット(この実施例1にかかる車両用照明装置1(以下、単に、車両用照明装置1と称する)であって、図13においては、図示せず)と備える。前記アウターレンズ102のうち、前記走行用のヘッドランプユニットの投影レンズ103、および、前記すれ違い用のヘッドランプユニットの投影レンズ4、および、前記すれ違い用のヘッドランプユニットのインナーレンズ40に対応する部分以外の部分には、灯室内を目隠しする縦プリズム104が設けられている。また、前記灯室内のうち、前記走行用のヘッドランプユニットの投影レンズ103、および、前記すれ違い用のヘッドランプユニットの投影レンズ4、および、前記すれ違い用のヘッドランプユニットのインナーレンズ40に対応する部分以外の部分には、灯室内の構造物が見えないように覆い隠すインナーパネル(もしくは、インナーハウジングやエクステンションであって、図13においては、図示せず)が設けられている。さらに、前記自動車Cの前部には、車両用暗視装置の撮像手段としてのCCDカメラなど(図示せず)が配置されている。
【0013】
以下、この実施例1にかかる車両用照明装置1について図1〜図17を参照して説明する。前記車両用照明装置1は、自動車Cの左側Lに搭載される車両用照明装置について説明する。自動車Cの右側Rに搭載される車両用照明装置の構成は、前記車両用照明装置1の構成とほぼ左右逆となる。前記車両用照明装置1は、図9に示すように、赤外光LIRを自動車Cの前方Fに照射する車両用赤外光投光装置の照明機能と、可視光LWを自動車Cの前方Fに照射する通常の車両用前照灯(ヘッドランプ)の照明機能とを有するものである。前記車両用照明装置1は、光源(図示せず)と、メインリフレクタ3と、投影レンズ(集光レンズ)4と、シェード5と、第1サブリフレクタ6と、第2サブリフレクタ7と、第3サブリフレクタ8と、第4サブリフレクタ9と、フィルタ2と、を備えるものである。前記車両用照明装置1おいて、前記光源と、メインリフレクタ3と、投影レンズ4と、シェード5とは、可視光LWを基本の配光パターン(たとえば、図11および図12のすれ違い用の配光パターンLP、図14および図15のモータウエイ用(高速走行用)の配光パターンMP、図16および図17の走行用の配光パターンHP)で自動車Cの前方Fに照射するプロジェクタタイプの光学ユニットを構成する。
【0014】
前記光源は、たとえば、放電灯、いわゆる、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)など、または、ハロゲンランプや白熱ランプなどであって、赤外光(近赤外線)を含む光を放射するものである。前記光源は、前記メインリフレクタ3にソケット機構(図示せず)を介して着脱可能に取り付けられている。前記光源の発光部分のセンタF1は、前記メインリフレクタ3の後記メイン反射面30の第1焦点F31にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1においては、前記光源の発光部分のセンタF1とメイン反射面30の第1焦点F31とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。
【0015】
前記メインリフレクタ3の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転楕円面を基調としたメイン反射面30(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記メイン反射面30は、垂直断面が楕円面をなし、かつ、図5の水平断面が放物面ないし変形放物面をなす反射面からなる。このために、前記メイン反射面30は、第1焦点F31と、第2焦点(水平断面上の焦線)F32とを有する。前記メインリフレクタ3は、ホルダやフレーム(図示せず、以下、ホルダと称する)に固定保持されている。前記メイン反射面30は、前記光源からの光のうち一部の光(図示せず)を、反射させて後記すれ違い用の配光パターンLPとして利用している。この結果、前記光源からの光のうち、前記メイン反射面30で反射された光以外の光(図6中の実線矢印にて示す光L1、すなわち、前記光源から前方上側に照射される直射光)は、通常無効となる光である。
【0016】
前記投影レンズ4は、非球面レンズ、集光レンズ、凸レンズから構成されている。前記投影レンズ4の焦点F4は、前記メイン反射面30の第2焦点F32にもしくはその近傍に位置する。たとえば、前記投影レンズ4の物空間側の焦点面(メリジオナル像面)F4は、前記メイン反射面30の第2焦点F32よりも前側Fに位置する。なお、この実施例1において、前記メイン反射面30の第2焦点F32と、前記投影レンズ4の焦点F4とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。前記投影レンズ4は、ホルダに固定保持されている。前記投影レンズ4は、前記メイン反射面30からの反射光(図示せず)であって、前記シェード5によりカットオフされた反射光以外の反射光(図示せず)を、すれ違い用の配光パターンLP(図11および図12を参照)として外部に投影するものである。
【0017】
前記シェード5は、前記メイン反射面30で反射された反射光のうち、一部の反射光をカットオフし、かつ、残りの反射光で前記すれ違い用の配光パターンLPを形成するものである。前記シェード5の上縁には、前記すれ違い用の配光パターンLPの上縁のカットオフラインを形成するエッジ50が設けられている。前記シェード5のエッジ50は、前記メイン反射面30の第2焦点F32および前記投影レンズ4の焦点F4にもしくはその近傍に配置されている。なお、この実施例1において、前記シェード5のエッジ50と、前記メイン反射面30の第2焦点F32および前記投影レンズ4の焦点F4とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。前記シェード5は、ホルダに固定保持されている。
【0018】
前記第1サブリフレクタ6は、前記メインリフレクタ3と前記投影レンズ4との間において、上側U側から左右両側L、Rにかけて前記メインリフレクタ3と対向して配置されている(図4および図6参照)。前記第1サブリフレクタ6の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転楕円面(図6中の二点鎖線の楕円61を参照)を基調とした第1サブ反射面60(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記第1サブ反射面60の第1焦点F61は、前記メイン反射面30の第1焦点F31(および光源の発光部分のセンタF1)にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1において、前記第1サブ反射面60の第1焦点F61と、前記メイン反射面30の第1焦点F31(および光源の発光部分のセンタF1)とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。前記第1サブリフレクタ6は、ホルダに固定保持されている。
【0019】
前記第1サブ反射面60の第2焦点F62は、前記シェード5と前記投影レンズ4との間(図4〜図6参照)であって、前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の光軸Z−Zに対して左下側(図2参照)に位置する。前記第1サブ反射面60は、前記光源からの光のうち通常無効となる光L1(光源から前方上側に照射される直射光)を反射光L2として第2焦点F62に向けて反射させるものである(図6参照)。また、前記第1サブ反射面60の第1焦点F61から前記第1サブ反射面60の第2焦点F62までの光路中には、前記シェード5などの障害物がない。
【0020】
前記第2サブリフレクタ7は、前記シェード5と前記投影レンズ4との間において、下側Dから右側Rにかけて前記第1サブリフレクタ6と対向して配置されている(図4および図6参照)。前記第2サブリフレクタ7の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転楕円面(図7中の二点鎖線の楕円71を参照)を基調とした第2サブ反射面70(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記第2サブ反射面70の第1焦点F71は、前記第1サブ反射面60の第2焦点F62にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1において、前記第2サブ反射面70の第1焦点F71と、前記第1サブ反射面60の第2焦点F62とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。前記第2サブリフレクタ7は、ホルダに固定保持されている。
【0021】
前記第2サブ反射面70の第2焦点F72は、前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の外側であって、これらの光軸Z−Zに対して左側Lに位置する(図2および図5参照)。前記第2サブ反射面70は、前記第1サブ反射面60からの反射光L2を反射光L3として第2焦点F72に向けて反射させるものである(図7参照)。また、前記第2サブ反射面70の第1焦点F71から前記第2サブ反射面70の第2焦点F72までの光路中には、前記シェード5などの障害物がない。
【0022】
前記第3サブリフレクタ8は、前記メインリフレクタ3と前記投影レンズ4との間において、外側の左側Lに前記第2サブリフレクタ7と対向して配置されている(図2および図5参照)。前記第3サブリフレクタ8の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転放物面(図5および図7中の二点鎖線の放物線81を参照)を基調とした第3サブ反射面80(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記第3サブ反射面80の焦点F8は、前記第2サブ反射面70の第2焦点F72にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1において、前記第3サブ反射面80の焦点F8と、前記第2サブ反射面70の第2焦点F72とは、ほぼ同位置に位置する(図5および図7参照)。前記第3サブリフレクタ8は、ホルダに固定保持されている。
【0023】
前記第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1は、前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の光軸Z−Z(図5中においては、(Z)−(Z))に対して、左側L角度θに向いている(図3および図5参照)。前記第3サブ反射面80は、前記第2サブ反射面70からの反射光L3を反射光L4として外部に前記すれ違い用の配光パターンLPに対して左側Lに反射させるものである(図7参照)。前記第3サブリフレクタ8の前側Fには、前記第3サブ反射面80からの反射光L4を制御する制御手段、たとえば、プリズムレンズなどのインナーレンズ40が配置されている。なお、この実施例1において、前記第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1と前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の光軸Z−Zとのなす角度θは、任意であるが、この例では、35°とする。また、前記第3サブ反射面80の焦点F8から放物線81までの距離Tは、任意であるが、この例では、12mmとする。
【0024】
前記第4サブリフレクタ9は、前記メインリフレクタ3と前記第1サブリフレクタ6との間において、前記メインリフレクタ3および前記第1サブリフレクタ6および前記第3サブリフレクタ8の上側Uに配置されている(図2および図4および図8参照)。前記第4サブリフレクタ9の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転放物面(図8中の二点鎖線の放物線91を参照)を基調とした第4サブ反射面90(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記第4サブ反射面90の焦点F9は、前記メイン反射面30の第1焦点F31(および光源の発光部分のセンタF1および前記第1サブ反射面の第1焦点F61)にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1において、前記第1サブ反射面60の第1焦点F61と、前記メイン反射面30の第1焦点F31(および光源の発光部分のセンタF1および前記第1サブ反射面の第1焦点F61)とは、ほぼ同位置に位置する(図8参照)。前記第4サブリフレクタ9は、ホルダに固定保持されている。
【0025】
前記第4サブ反射面90の光軸(図示せず)は、前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の光軸Z−Zとほぼ同一軸上に位置する(図8参照)。前記第4サブ反射面90は、前記光源からの無効光L5(前記の無効光L1と同様に、光源から前方上側に照射される直射光)を反射光L6として外部に前記すれ違い用の配光パターンLPに対して、たとえば、下側Dに反射させるものである。前記第4サブリフレクタ9の前側Fには、前記第4サブ反射面90からの反射光L6を制御する制御手段、たとえば、プリズムレンズなどのインナーレンズが配置されている。
【0026】
前記メイン反射面30、前記第1サブ反射面60、前記第2サブ反射面70、前記第3サブ反射面80、前記第4サブ反射面90は、無着色の反射面からなるので、前記光源からの光をそのままの色度で反射させたり、または、前記フィルタ2を透過した赤外光LIRをそのままで反射させたりするものである。
【0027】
前記フィルタ2は、前記第2サブ反射面70の前記第2焦点F72よりも若干前記第2サブ反射面70の前記第1焦点F71側に配置されている。すなわち、前記フィルタ2は、前記第2サブ反射面70からの反射光L3(すなわち、前記第3サブ反射面80に入射する光)の光路の途中に配置されている。また、前記フィルタ2は、前記フィルタ2の平面が前記第2サブ反射面70の前記第1焦点F71と前記第2焦点F72とを結ぶ光軸に対してほぼ直交するように、配置されている。さらに、前記フィルタ2は、前記第2サブ反射面70からの反射光L3のうち赤外光LIRを透過させて他の光を反射させる第1位置(図示の位置)と、前記第2サブ反射面70からの反射光L3(すなわち、可視光LW)をほぼそのまま通過させる第2位置(図示せず)との間を移動可能に配置されている。前記フィルタ2には、前記フィルタ2を前記第1位置と前記第2位置との間において移動させる移動機構(図示せず)が設けられている。前記移動機構は、たとえば、ソレノイドやステッピングモータなどを使用して、手動的にまたは自動的に駆動するものである。前記フィルタ2の移動としては、直線移動、たとえば、前記第2サブ反射面70の前記光軸に対してほぼ直交する方向の直線移動、または、回転移動などがある。
【0028】
前記フィルタ2は、赤外光透過膜(たとえば、誘電体多層膜など)を光透過性の基材(たとえば、薄い板もしくはフィルムなどからなる基材)に直接蒸着もしくはコーティングや塗装してなるものである。前記フィルタ2は、図10中の点線の曲線に示す光特性を有する。すなわち、前記フィルタ2は、前記放電灯4から放射される光の成分のうち、波長が約780nm以下の可視領域の光(可視光)を反射(吸収、カット)して、波長が約780nm以上の赤外領域の光(赤外光)を透過させる特性(赤外光透過特性)を有する。なお、前記フィルタ2は、図10中の符号54に示すように、若干の赤色の可視光(赤色光)が漏れる。
【0029】
前記CCDカメラの感度特性は、波長が約780nmよりも若干短い値(図10中において、可視領域52のうち赤外領域53側の境付近の波長)において、一番感度が高いピークを有し、波長がこのピークに対応する値よりも短くなる、あるいは、長くなるにしたがって、感度が概ね低くなる。このように、前記CCDカメラは、波長が約780nmよりも長くなるにしたがって、感度が低くなりつつ、赤外領域53の感度を有している。前記CCDカメラは、自動車Cに搭載のコンピュータ(図示せず)を介して、運転席に設けられた液晶ディスプレーなどの表示装置(図示せず)に接続されている。これにより、人間の肉眼では視認できない赤外領域53においてCCDカメラで撮像された情報は、前記表示装置において人間の肉眼で視認できる画像情報として表示される。
【0030】
図10は、前記フィルタ2の特性を示す説明図である。図10の横方向は電磁波の波長を表し、右に行くにしたがって波長が長くなっている。また、縦方向は、横方向の波長に対する電磁波の相対的な量を表しており、上に行くに従って、相対的な量が多くなっている。図10に示すように、電磁波のうち波長が約380nm〜約780nmの範囲の電磁波が、人間の肉眼で視認できる領域、可視領域52である。この可視領域52の電磁波を肉眼で感応することにより、この領域の電磁波を視認できる。この可視領域52の波長の電磁波が、いわゆる可視光と呼ばれている。
【0031】
電磁波のうち、可視領域52よりも波長が短い領域で、約200nm〜約380nmまでの範囲は、紫外領域51であり、この領域の電磁波が、いわゆる紫外線と呼ばれる。また、電磁波のうち、可視領域52よりも波長が長い領域で、約780nm〜約100,000nmまでの範囲は、赤外領域53であり、この領域の電磁波が、いわゆる赤外線と呼ばれる。これらの紫外線および赤外線は、可視領域52の範囲外の電磁波なので、直接肉眼で視認することはできない。
【0032】
この実施例1にかかる車両用照明装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0033】
まず、光源を点灯する。すると、光源からの光のうち一部の光は、メイン反射面30で反射される。その反射光は、メイン反射面30の第2焦点F32および投影レンズ4の焦点F4に収束される。この収束された反射光の一部は、シェード5によりカットオフされる。カットオフされなかった残りの反射光は、メイン反射面30の第2焦点F32および投影レンズ4の焦点F4を通って拡散されて、投影レンズ4を経て外部の前側F方に照射される。この結果、図11および図12に示すように、可視光LWによるすれ違い用の配光パターンLPが得られる。
【0034】
これと同時に、光源からの光のうち、メイン反射面30で反射されずに通常無効となる光L1(光源から前方上側に照射される直射光)は、図6に示すように、第1サブ反射面60に入射する。この第1サブ反射面60に入射した光L1は、同じく図6に示すように、この第1サブ反射面60で反射されて反射光L2として第1サブ反射面60の第2焦点F62および第2サブ反射面70の第1焦点F71に収束される。この収束された反射光L2は、同じく図6に示すように、第1サブ反射面60の第2焦点F62および第2サブ反射面70の第1焦点F71を通って拡散されて、第2サブ反射面70に入射する。
【0035】
この第2サブ反射面70に入射した光L2は、図7に示すように、この第2サブ反射面70で反射されて反射光L3として第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8に収束される。この収束された反射光L3は、同じく図7に示すように、第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8を通る前に第1位置に位置するフィルタ2を通過する。
【0036】
すると、第2サブ反射面70からの反射光L3は、フィルタ2において、波長が約780nm以下の可視領域の光(可視光LW(図示せず))が反射(吸収、カット)され、波長が約780nm以上の赤外領域の光(赤外光)LIR(図7中の点線矢印)が透過する。このフィルタ2を透過した赤外光LIRは、同じく図7に示すように、さらに収束して第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8を通って拡散されて、第3サブ反射面80に入射する。
【0037】
この第3サブ反射面80に入射した光L3であって、赤外光LIRは、同じく図7に示すように、この第3サブ反射面80で反射されて反射光L4(赤外光LIR)として第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1とほぼ平行にインナーレンズ40側に進む。インナーレンズ40に進んだ光L4(赤外光LIR)は、このインナーレンズ40で制御されて外部に照射される。この結果、図11に示すように、すれ違い用の配光パターンLPの中央の上側Uに赤外光LIRによる配光パターンIRP(図11中の点線で示す)が得られる。この赤外光LIRによる配光パターンIRPは、CCDカメラ照明用の配光パターンであって、車両用赤外光投光装置の照明用として使用される。なお、図示されていないが、自動車Cの右側Rに搭載される車両用照明装置においても、同様に、図11に示すように、すれ違い用の配光パターンLPの中央の上側Uに赤外光LIRによる配光パターンIRPが得られる。このとき、図11に示すように、可視光LWによるすれ違い用の配光パターンLHと赤外光LIRによる配光パターンIRPとの大部分が重なり合っている。このために、この車両用照明装置1は、赤外光LIR中に赤色光が含まれていても可視光(白色光)LWにより混色されてこの赤色光を相対的に薄めもしくは消すことができる。
【0038】
第1位置に位置するフィルタ2を移動機構により第2位置に位置させる。すると、第2サブ反射面70からの反射光L3は、フィルタ2を通過しないで、光源からの光(可視光LW)のまま収束して第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8を通って拡散されて、第3サブ反射面80に入射する。この第3サブ反射面80に入射した光L3であって、可視光LWは、同じく図7に示すように、この第3サブ反射面80で反射されて反射光L4(可視光LW)として第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1とほぼ平行にインナーレンズ40側に進む。インナーレンズ40に進んだ光L4(可視光LW)は、このインナーレンズ40で制御されて外部に照射される。この結果、図12に示すように、すれ違い用の配光パターンLPの中央の上側Uに可視光LWによる配光パターンSHP(図21中の実線で示す)が得られる。この可視光LWによる配光パターンSHPは、遠方を照明する配光パターンであって、通常の車両用前照灯(ヘッドランプ)の照明機能(基本配光パターン、たとえば、図12に示すすれ違い用の配光パターンLP)を補助する照明用として使用される。なお、図示されていないが、自動車Cの右側Rに搭載される車両用照明装置においても、同様に、図12に示すように、すれ違い用の配光パターンLPの中央の上側Uに可視光LWによる配光パターンSHPが得られる。
【0039】
この実施例1にかかる車両用照明装置1は、以上のごとき構成作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0040】
この車両用照明装置1は、光源からの光のうち通常無効となる光L1を、第1サブリフレクタ6の第1サブ反射面60、第2サブリフレクタ7の第2サブ反射面70、フィルタ2、第3サブリフレクタ8の第3サブ反射面80を経て、赤外光LIRとして自動車Cの前方Fに照射することができる。これにより、この車両用照明装置1は、第1サブ反射面60およびまたは第2サブ反射面70およびまたは第3サブ反射面80により赤外光LIRの強度の向上を図ったとしても、可視光LWの光度を現状維持することができる。すなわち、この車両用照明装置1は、赤外光LIRの強度の向上と可視光LWの光度の現状維持との両立を図ることができる。また、この車両用照明装置1は、光源からの光のうち通常無効となる光L1が第1サブリフレクタ6の第1サブ反射面60および第2サブリフレクタ7の第2サブ反射面70を経てフィルタ2に達するものである。このために、この車両用照明装置1は、光源(2)からの光が反射面(7)で反射して赤外線透過フィルター(8)に達する前記の従来の車両用照明装置と比較して、フィルタ2を光源からの光の熱衝撃の影響から保護することができる。
【0041】
特に、この車両用照明装置1は、フィルタ2を第2サブ反射面70の第2焦点F72よりも若干第2サブ反射面70の第1焦点F71側に配置するものである。このために、この車両用照明装置1は、第2サブ反射面70からの反射光L3が第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8に向かって収束してフィルタ2を通過するので、フィルタ2を小さくすることができる。フィルタ2を小さくすることにより、フィルタ2を移動させる距離を小さくすることができ、移動機構が安価で小型の機構で十分であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0042】
また、この車両用照明装置1は、第2サブ反射面70からの反射光L3を収束させてからフィルタ2に通過させるので、反射光L3を捕らえ易くかつ確実に捕らえることができる。これにより、フィルタ2から赤外光LIRを制御し易くかつ効率良く得ることができる。
【0043】
さらに、この車両用照明装置1は、フィルタ2を第2サブ反射面7の光軸に対してほぼ直交するように配置するものである。このために、この車両用照明装置1は、第2サブ反射面70からの反射光L3がフィルタ2にほぼ直角に入射するので、フィルタ2から赤外光LIRを効率良く出すことができる。
【0044】
さらにまた、この車両用照明装置1は、フィルタ2を第1位置と第2位置との間において移動させるものである。このために、この車両用照明装置1は、フィルタ2を第1位置に位置させることにより図11に示す赤外光LIRによる配光パターンIRPが得られ、また、フィルタ2を第2位置に位置させることにより、図12に示す可視光LWによる配光パターンSHPが得られる。これにより、車両の照明機能の形態が増し、自動車Cの周囲の環境に適した配光パターンを選択することができ、交通安全に貢献することができる。
【0045】
さらにまた、この車両用照明装置1においては、シェード5のウエッジ50を若干下側Dに下げることにより、プロジェクタタイプの光学ユニットから得られる基本配光パターンであって、図14および図15に示すモータウエイ用の配光パターンMPが得られる。このモータウエイ用の配光パターンMPは、カットラインを図11および図12に示すすれ違い用の配光パターンLPのカットラインよりも若干上側Uに上げた配光パターンであって、高速走行に適した配光パターンである。しかも、この図14の場合、赤外光LIR中に含まれる赤色光が可視光(白色光)LWにより混色されてこの赤色光を相対的に薄めもしくは消すことができる。
【0046】
さらにまた、この車両用照明装置1においては、シェード5のウエッジ50を大幅に下側Dに下げたり、もしくは、シェード5を無くすことにより、プロジェクタタイプの光学ユニットから得られる基本配光パターンであって、図16および図17に示す走行用の配光パターンHPが得られる。この走行用の配光パターンHPは、カットラインを図11および図12に示すすれ違い用の配光パターンLPのカットラインよりも大幅に上側Uに上げた配光パターン、もしくは、カットラインがない配光パターンであって、対向車などがなく高速走行に適した配光パターンである。しかも、この図16の場合、赤外光LIR中に含まれる赤色光が可視光(白色光)LWにより混色されてこの赤色光を相対的に薄めもしくは消すことができる。
【0047】
なお、前記の実施例1においては、フィルタ2を第2サブ反射面70の第2焦点F72よりも若干第2サブ反射面70の第1焦点F71側に配置するものである。ところが、この発明においては、フィルタ2を第2サブ反射面70の第2焦点F72よりも若干第3サブ反射面80側に配置しても良い。この場合、第2サブ反射面70からの反射光L3は、収束して第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8を通って拡散された状態でフィルタ2に入るものである。この場合であっても、前記の実施例1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0048】
また、この発明においては、フィルタ2を第3サブ反射面80の光反射側、すなわち、第3サブ反射面80からの反射光L4の光路の途中に配置しても良い。この場合、フィルタ2は、若干大きくなるが、光源からの光が第1サブ反射面60および第2サブ反射面70および第3サブ反射面80を経てフィルタ2に達するものであるから、フィルタ2を光源からの光の熱衝撃の影響からさらに確実に保護することができる。
【0049】
さらに、この発明においては、フィルタ2をインナーレンズ40に設けても良い。すなわち、インナーレンズ40の入射面または出射面に赤外光透過膜(たとえば、誘電体多層膜など)を直接蒸着もしくはコーティングや塗装するものである。この場合、フィルタ2とインナーレンズ40とが一体となるので、部品点数や組み付け工程数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0050】
また、前記の実施例1においては、フィルタ2を第2サブ反射面7の光軸に対してほぼ直交するように配置するものである。ところが、この発明においては、各構成部品のレイアウト上、フィルタ2を第2サブ反射面7の光軸に対して斜めに配置しても良い。この場合、フィルタ2の配置の自由度が増し、各構成部品のレイアウトの自由度も増す。
【0051】
さらに、前記の実施例1においては、フィルタ2を第1位置と第2位置との間において移動させるものである。ところが、この発明においては、フィルタ2を固定しても良い。この場合、移動機構が不要となり、その分、製造コストを安価にすることができる。しかも、フィルタ2の移動スペースや移動機構の配置スペースが不要となり、その分、車両用照明装置全体を小型化することができる。
【0052】
また、この発明においては、フィルタ2を第1位置と第2位置との間において有段もしくは無段に移動させても良い。この場合、赤外光LIRによる配光パターンIRPの大きさを有段もしくは無段に変化させることができる。
【0053】
さらにまた、前記の実施例1においては、第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1がメイン反射面30および投影レンズ4の光軸Z−Zに対して左側に向いている。ところが、この発明においては、第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1をメイン反射面30および投影レンズ4の光軸Z−Zとほぼ平行にしても良い。この場合、図11、図14、図16中の赤外光LIRによる配光パターンIRPと、図12、図15、図17の可視光LWによる配光パターンSHPとが効率良く得ることができる。
【実施例2】
【0054】
図18は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例2を示す。図中、図1〜図17と同符号は、同一のものを示す。以下、実施例2にかかる車両用照明装置について説明する。
【0055】
図18中、符号1Aは、実施例2にかかる車両用照明装置である。この車両用照明装置1Aは、前記の実施例1の車両用照明装置1と同様に、光源(図示せず)と、メインリフレクタ3と、投影レンズ(集光レンズ)4と、シェード5と、第1サブリフレクタ6と、第2サブリフレクタ7と、第3サブリフレクタ8と、第4サブリフレクタ9と、フィルタ20と、を備えるものである。
【0056】
前記実施例2のフィルタ20は、前記の実施例1のフィルタ2と同様に、赤外光透過膜(たとえば、誘電体多層膜など)を光透過性の基材(たとえば、薄い板もしくはフィルムなどからなる基材)に直接蒸着もしくはコーティングや塗装してなるものであって、図10中の点線の曲線に示す光特性を有する。
【0057】
前記フィルタ20は、前記第2サブ反射面70の前記第2焦点F72近傍(たとえば、前記第2焦点F72よりも若干前記第2サブ反射面70の前記第1焦点F71側の位置)に配置されている。すなわち、前記フィルタ20は、前記第2サブ反射面70からの反射光L3(すなわち、前記第3サブ反射面80に入射する光)の光路の途中に配置されている。また、前記フィルタ20は、図18に示すように、前記第2サブ反射面70からの反射光L3のうち赤外光LIRを透過させて他の光を反射させる第1位置(図18に示す位置)と、前記第2サブ反射面70からの反射光L3(すなわち、可視光LW)をほぼそのまま通過させる第2位置(図示せず)との間を、たとえば、前記第3サブリフレクタ8に対して、前後方向F−Bにまたは上下方向U−Dに移動可能に配置されている。この場合、前記フィルタ20の平面は、前記第2サブ反射面70の前記第1焦点F71と前記第2焦点F72とを結ぶ光軸に対して斜めの状態もしくは捩じれた状態にある。さらに、前記フィルタ20には、前記フィルタ20を前記第1位置と前記第2位置との間において移動させる移動機構21が設けられている。前記移動機構21は、ソレノイドもしくはステッピングモータや駆動力伝達手段などから構成されている。前記ソレノイドを手動的にまたは自動的に進退させたりもしくは前記ステッピングモータを手動的にまたは自動的に駆動させたりすることにより、前記フィルタ20が第1位置と第2位置との間において移動する。
【0058】
この実施例2にかかる車両用照明装置1Aは、上記のごとき構成からなるので、前記の実施例1の車両用照明装置1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この車両用照明装置1Aは、フィルタ20を第2サブ反射面70の第2焦点F72近傍に第1位置と第2位置との間を移動可能にただ単に配置したものであるから、フィルタ20の大きさが実施例1のフィルタ2よりも若干大きくなりかつフィルタ20の移動距離が実施例1のフィルタ2よりも若干長くなるが、部品の製造公差や部品の組立公差またフィルタ20の移動制御公差があっても、第2サブ反射面70からの反射光L3を確実に捕らえて赤外光LIRが確実に得ることができる。このように、この実施例2にかかる車両用照明装置1Aは、簡単な構造で簡単な制御で赤外光LIRを確実に得ることができるので、製造コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明にかかる車両用照明装置の実施例1を示す要部の斜視図である。
【図2】同じく、正面図である。
【図3】図2におけるIII矢視図(平面図)である。
【図4】図2におけるIV矢視図(側面図)である。
【図5】図2におけるV−V線断面図である。
【図6】図2におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図2におけるVII−VII線断面図である。
【図8】図3におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】同じく、使用状態を示す説明図である。
【図10】同じく、赤外光透過フィルターの特性を示す説明図である。
【図11】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られるすれ違い用の配光パターンと赤外光による配光パターンとを示す説明図である。
【図12】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られるすれ違い用の配光パターンと可視光による配光パターンとを示す説明図である。
【図13】同じく、自動車の前部の左側と右側とに搭載された状態を示す説明図である。
【図14】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られるモータウエイ用の配光パターンと赤外光による配光パターンとを示す説明図である。
【図15】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られるモータウエイ用の配光パターンと可視光による配光パターンとを示す説明図である。
【図16】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られる走行用の配光パターンと赤外光による配光パターンとを示す説明図である。
【図17】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られる走行用の配光パターンと可視光による配光パターンとを示す説明図である。
【図18】この発明にかかる車両用照明装置の実施例2を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1、1A 車両用照明装置(すれ違い用のヘッドランプユニット)
2 フィルタ
3 メインリフレクタ
30 メイン反射面
F31 メイン反射面の第1焦点
F32 メイン反射面の第2焦点
4 投影レンズ
F4 投影レンズの焦点
40 インナーレンズ
5 シェード
50 エッジ
51 紫外領域
52 可視領域
53 赤外領域
54 赤色の可視光(赤色光)
6 第1サブリフレクタ
60 第1サブ反射面
61 第1サブ反射面を構成する楕円
F61 第1サブ反射面の第1焦点
F62 第1サブ反射面の第2焦点
7 第2サブリフレクタ
70 第2サブ反射面
71 第2サブ反射面を構成する楕円
F71 第2サブ反射面の第1焦点
F72 第2サブ反射面の第2焦点
8 第3サブリフレクタ
80 第3サブ反射面
81 第3サブ反射面を構成する放物線
F8 第3サブ反射面の焦点
9 第4サブリフレクタ
90 第4サブ反射面
91 第4サブ反射面を構成する放物線
F9 第4サブ反射面の焦点
C 自動車
100L、100R ヘッドランプ装置
101 ランプハウジング
102 アウターレンズ(ランプレンズ)
103 投影レンズ
104 縦プリズム
Z−Z メイン反射面および投影レンズの光軸
Z1−Z1 第3サブ反射面の光軸
LP すれ違い用の配光パターン
MP モータウエイ用の配光パターン
HP 走行用の配光パターン
IRP 赤外光による配光パターン
SHP 可視光による配光パターン
F1 光源の発光部分のセンタ
L1 光源からの無効光
L2 第1サブ反射面からの反射光
L3 第2サブ反射面からの反射光
L4 第3サブ反射面からの反射光
L5 光源からの無効光
L6 第4サブ反射面からの反射光
LIR 赤外光
LW 可視光
F 前側
B 後側
U 上側
D 下側
L 左側
R 右側
VU−VD 上下垂直線
HL−HR 左右水平線
【技術分野】
【0001】
この発明は、赤外光(赤外線)を車両の前方に照射する車両用赤外光投光装置の照明機能と、可視光を車両の前方に照射する通常の車両用前照灯の照明機能とを有する車両用照明装置に関するものである。特に、この発明は、通常の車両用前照灯の照明機能としては可視光を基本の配光パターンで車両の前方に照射するプロジェクタタイプの光学ユニットを使用し、また、車両用赤外光投光装置の照明機能としてはプロジェクタタイプの光学ユニットの光源からの光のうち通常無効となる光(たとえば、光源からの直射光)を積極的に捕らえて有効に利用して赤外光を車両の前方に照射する光学装置を使用する車両用照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用暗視装置(車両用暗視システム)は、従来から知られている。この車両用暗視装置は、車両の前部に近赤外光暗視カメラ装置と車両用赤外光投光装置とを搭載し、一方、車両の運転席に表示装置を配置し、近赤外光暗視カメラ装置を車両搭載のコンピュータを介して表示装置に接続したものであって、車両用赤外光投光装置から赤外光を車両の前方に投光し、肉眼では視認できない情報を近赤外光暗視カメラ装置で撮像して、その情報を表示装置で肉眼で視認できる画像として表示するものである。このように、車両用暗視装置は、夜間の走行を支援するものであって、通常の車両用前照灯の補助手段として使用されている。しかしながら、前記の車両用暗視装置においては、専用の照明装置の車両用赤外光投光装置と、通常の照明装置の車両用前照灯とがそれぞれ別個に必要であるから、装置全体が大型であり、かつ、製造コストが高価である。
【0003】
そこで、赤外光(赤外線)を車両の前方に照射する車両用赤外光投光装置の照明機能と、可視光を車両の前方に照射する通常の車両用前照灯の照明機能とを有する車両用照明装置(たとえば、特許文献1)が出願されている。以下、この車両用照明装置について説明する。なお、括弧つきの符号は、特許文献1にそれぞれ対応する。この車両用照明装置は、ヘッドランプ(1)の反射鏡(3)の一部に開口部(6)を設け、光源(2)から前記開口部(6)を通った光を反射させる反射面(7)を設け、この反射面(7)により反射される光の光路上に赤外線透過フィルター(8)を設けたものである。この車両用照明装置においては、光源(2)から開口部(6)を通った光が反射面(7)で反射されかつ赤外線透過フィルター(8)を透過して赤外光として車両の前方に照射され、一方、光源(2)から開口部(6)を通らなかった光が反射鏡(3)で反射されて可視光として車両の前方に照射される。
【0004】
【特許文献1】特開2001−93311号公報
【0005】
ところが、前記の従来の車両用照明装置は、光源(2)から反射鏡(3)に入射する光のうち、反射鏡(3)の開口部(6)を通った光を反射面(7)および赤外線透過フィルター(8)を介して赤外光として車両の前方に照射するものである。このために、前記の従来の車両用照明装置は、反射鏡(3)の開口部(6)を大きくして、赤外光の強度(赤外光の光度、照度、光量)の向上を図ると、可視光の光度(可視光の照度、光量)の現状維持が難しくなり、一方、反射鏡(3)の開口部(6)の大きさを制限して可視光の光度の現状を維持すると、赤外光の強度の向上が難しくなる。このように、前記の従来の車両用照明装置は、赤外光の強度の向上と可視光の光度の現状維持との両立を図ることが難しい。
【0006】
また、前記の従来の車両用照明装置は、光源(2)から反射鏡(3)の開口部(6)を通った光を反射面(7)で反射させて赤外線透過フィルター(8)に透過させて赤外光を得るものである。このために、前記の従来の車両用照明装置は、光源(2)からの光が反射面(7)で反射して赤外線透過フィルター(8)に達するので、この赤外線透過フィルター(8)が光源(2)からの光の熱衝撃の影響を受ける可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明が解決しようとする問題点は、前記の従来の車両用照明装置では、赤外光の強度の向上と可視光の光度の現状維持との両立を図ることが難しい点と、赤外線透過フィルター(8)が光源(2)からの光の熱衝撃の影響を受ける可能性がある点とにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、可視光を基本の配光パターンで車両の前方に照射するプロジェクタタイプの光学ユニットと、第1焦点が前記プロジェクタタイプの光学ユニットの光源にもしくはその近傍に位置する回転楕円面を基調とし、前記光源からの光のうち通常無効となる光を第2焦点に向けて反射させる第1サブ反射面を有する第1サブリフレクタと、第1焦点が前記第1サブ反射面の第2焦点にもしくはその近傍に位置する回転楕円面を基調とし、前記第1サブ反射面からの反射光を第2焦点に向けて反射させる第2サブ反射面を有する第2サブリフレクタと、焦点が前記第2サブ反射面の第2焦点にもしくはその近傍に位置する回転放物面を基調とし、前記第2サブ反射面からの反射光を外部に反射させる第3サブ反射面を有する第3サブリフレクタと、前記第3サブ反射面の光入射側もしくは光反射側に配置されており、前記光源からの光のうち赤外光を透過させて他の光を反射させる赤外光透過特性を有するフィルタと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明の車両用照明装置は、光源からの光のうち通常無効となる光を、第1サブリフレクタの第1サブ反射面、第2サブリフレクタの第2サブ反射面、第3サブリフレクタの第3サブ反射面、フィルタを経て、赤外光として車両の前方に照射することができる。これにより、この発明の車両用照明装置は、第1サブ反射面およびまたは第2サブ反射面およびまたは第3サブ反射面により赤外光の強度の向上を図ったとしても、第1サブ反射面および第2サブ反射面および第3サブ反射面と別体のプロジェクタタイプの光学ユニットから車両の前方に照射される可視光の光度を現状維持することができる。すなわち、この発明の車両用照明装置は、赤外光の強度の向上と可視光の光度の現状維持との両立を図ることができる。また、この発明の車両用照明装置は、光源からの光のうち通常無効となる光が少なくとも第1サブリフレクタの第1サブ反射面および第2サブリフレクタの第2サブ反射面を経てフィルタに達するものである。このために、この発明の車両用照明装置は、光源(2)からの光が反射面(7)で反射して赤外線透過フィルター(8)に達する前記の従来の車両用照明装置と比較して、フィルタを光源からの光の熱衝撃の影響から確実に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、この発明にかかる車両用照明装置の実施例のうちの2例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1〜図17は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例1を示す。以下、実施例1にかかる車両用照明装置の構成について説明する。図面において、符号「VU−VD」は、この実施例1にかかる車両用照明装置の光軸Z−Zを通る上下の垂直線、また、スクリーンの上下の垂直線を示す。符号「HL−HR」は、この実施例1にかかる車両用照明装置の光軸Z−Zを通る左右の水平線、また、スクリーンの左右の水平線を示す。符号「F」は、自動車Cの前側(自動車Cの前進方向側)を示す。符号「B」は、自動車Cの後側を示す。符号「U」は、ドライバー側から見た上側を示す。符号「D」は、ドライバー側から見た下側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前側Fを見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前側Fを見た場合の右側を示す。なお、この明細書および図面においては、自動車Cが左側通行の場合について説明する。自動車Cが右側通行の場合は、この左側通行とほぼ左右逆となる。
【0012】
図13において、符号100L、100Rは、自動車Cの前部の左側L、右側Rにそれぞれ搭載されたヘッドランプ装置である。前記ヘッドランプ装置100L、100Rは、灯室(図示せず)を区画するランプハウジング101およびアウターレンズ(ランプレンズ)102と、前記灯室内に配置された走行用のヘッドランプユニット(図示せず)およびすれ違い用のヘッドランプユニット(この実施例1にかかる車両用照明装置1(以下、単に、車両用照明装置1と称する)であって、図13においては、図示せず)と備える。前記アウターレンズ102のうち、前記走行用のヘッドランプユニットの投影レンズ103、および、前記すれ違い用のヘッドランプユニットの投影レンズ4、および、前記すれ違い用のヘッドランプユニットのインナーレンズ40に対応する部分以外の部分には、灯室内を目隠しする縦プリズム104が設けられている。また、前記灯室内のうち、前記走行用のヘッドランプユニットの投影レンズ103、および、前記すれ違い用のヘッドランプユニットの投影レンズ4、および、前記すれ違い用のヘッドランプユニットのインナーレンズ40に対応する部分以外の部分には、灯室内の構造物が見えないように覆い隠すインナーパネル(もしくは、インナーハウジングやエクステンションであって、図13においては、図示せず)が設けられている。さらに、前記自動車Cの前部には、車両用暗視装置の撮像手段としてのCCDカメラなど(図示せず)が配置されている。
【0013】
以下、この実施例1にかかる車両用照明装置1について図1〜図17を参照して説明する。前記車両用照明装置1は、自動車Cの左側Lに搭載される車両用照明装置について説明する。自動車Cの右側Rに搭載される車両用照明装置の構成は、前記車両用照明装置1の構成とほぼ左右逆となる。前記車両用照明装置1は、図9に示すように、赤外光LIRを自動車Cの前方Fに照射する車両用赤外光投光装置の照明機能と、可視光LWを自動車Cの前方Fに照射する通常の車両用前照灯(ヘッドランプ)の照明機能とを有するものである。前記車両用照明装置1は、光源(図示せず)と、メインリフレクタ3と、投影レンズ(集光レンズ)4と、シェード5と、第1サブリフレクタ6と、第2サブリフレクタ7と、第3サブリフレクタ8と、第4サブリフレクタ9と、フィルタ2と、を備えるものである。前記車両用照明装置1おいて、前記光源と、メインリフレクタ3と、投影レンズ4と、シェード5とは、可視光LWを基本の配光パターン(たとえば、図11および図12のすれ違い用の配光パターンLP、図14および図15のモータウエイ用(高速走行用)の配光パターンMP、図16および図17の走行用の配光パターンHP)で自動車Cの前方Fに照射するプロジェクタタイプの光学ユニットを構成する。
【0014】
前記光源は、たとえば、放電灯、いわゆる、メタルハライドランプなどの高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)など、または、ハロゲンランプや白熱ランプなどであって、赤外光(近赤外線)を含む光を放射するものである。前記光源は、前記メインリフレクタ3にソケット機構(図示せず)を介して着脱可能に取り付けられている。前記光源の発光部分のセンタF1は、前記メインリフレクタ3の後記メイン反射面30の第1焦点F31にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1においては、前記光源の発光部分のセンタF1とメイン反射面30の第1焦点F31とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。
【0015】
前記メインリフレクタ3の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転楕円面を基調としたメイン反射面30(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記メイン反射面30は、垂直断面が楕円面をなし、かつ、図5の水平断面が放物面ないし変形放物面をなす反射面からなる。このために、前記メイン反射面30は、第1焦点F31と、第2焦点(水平断面上の焦線)F32とを有する。前記メインリフレクタ3は、ホルダやフレーム(図示せず、以下、ホルダと称する)に固定保持されている。前記メイン反射面30は、前記光源からの光のうち一部の光(図示せず)を、反射させて後記すれ違い用の配光パターンLPとして利用している。この結果、前記光源からの光のうち、前記メイン反射面30で反射された光以外の光(図6中の実線矢印にて示す光L1、すなわち、前記光源から前方上側に照射される直射光)は、通常無効となる光である。
【0016】
前記投影レンズ4は、非球面レンズ、集光レンズ、凸レンズから構成されている。前記投影レンズ4の焦点F4は、前記メイン反射面30の第2焦点F32にもしくはその近傍に位置する。たとえば、前記投影レンズ4の物空間側の焦点面(メリジオナル像面)F4は、前記メイン反射面30の第2焦点F32よりも前側Fに位置する。なお、この実施例1において、前記メイン反射面30の第2焦点F32と、前記投影レンズ4の焦点F4とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。前記投影レンズ4は、ホルダに固定保持されている。前記投影レンズ4は、前記メイン反射面30からの反射光(図示せず)であって、前記シェード5によりカットオフされた反射光以外の反射光(図示せず)を、すれ違い用の配光パターンLP(図11および図12を参照)として外部に投影するものである。
【0017】
前記シェード5は、前記メイン反射面30で反射された反射光のうち、一部の反射光をカットオフし、かつ、残りの反射光で前記すれ違い用の配光パターンLPを形成するものである。前記シェード5の上縁には、前記すれ違い用の配光パターンLPの上縁のカットオフラインを形成するエッジ50が設けられている。前記シェード5のエッジ50は、前記メイン反射面30の第2焦点F32および前記投影レンズ4の焦点F4にもしくはその近傍に配置されている。なお、この実施例1において、前記シェード5のエッジ50と、前記メイン反射面30の第2焦点F32および前記投影レンズ4の焦点F4とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。前記シェード5は、ホルダに固定保持されている。
【0018】
前記第1サブリフレクタ6は、前記メインリフレクタ3と前記投影レンズ4との間において、上側U側から左右両側L、Rにかけて前記メインリフレクタ3と対向して配置されている(図4および図6参照)。前記第1サブリフレクタ6の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転楕円面(図6中の二点鎖線の楕円61を参照)を基調とした第1サブ反射面60(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記第1サブ反射面60の第1焦点F61は、前記メイン反射面30の第1焦点F31(および光源の発光部分のセンタF1)にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1において、前記第1サブ反射面60の第1焦点F61と、前記メイン反射面30の第1焦点F31(および光源の発光部分のセンタF1)とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。前記第1サブリフレクタ6は、ホルダに固定保持されている。
【0019】
前記第1サブ反射面60の第2焦点F62は、前記シェード5と前記投影レンズ4との間(図4〜図6参照)であって、前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の光軸Z−Zに対して左下側(図2参照)に位置する。前記第1サブ反射面60は、前記光源からの光のうち通常無効となる光L1(光源から前方上側に照射される直射光)を反射光L2として第2焦点F62に向けて反射させるものである(図6参照)。また、前記第1サブ反射面60の第1焦点F61から前記第1サブ反射面60の第2焦点F62までの光路中には、前記シェード5などの障害物がない。
【0020】
前記第2サブリフレクタ7は、前記シェード5と前記投影レンズ4との間において、下側Dから右側Rにかけて前記第1サブリフレクタ6と対向して配置されている(図4および図6参照)。前記第2サブリフレクタ7の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転楕円面(図7中の二点鎖線の楕円71を参照)を基調とした第2サブ反射面70(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記第2サブ反射面70の第1焦点F71は、前記第1サブ反射面60の第2焦点F62にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1において、前記第2サブ反射面70の第1焦点F71と、前記第1サブ反射面60の第2焦点F62とは、ほぼ同位置に位置する(図6参照)。前記第2サブリフレクタ7は、ホルダに固定保持されている。
【0021】
前記第2サブ反射面70の第2焦点F72は、前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の外側であって、これらの光軸Z−Zに対して左側Lに位置する(図2および図5参照)。前記第2サブ反射面70は、前記第1サブ反射面60からの反射光L2を反射光L3として第2焦点F72に向けて反射させるものである(図7参照)。また、前記第2サブ反射面70の第1焦点F71から前記第2サブ反射面70の第2焦点F72までの光路中には、前記シェード5などの障害物がない。
【0022】
前記第3サブリフレクタ8は、前記メインリフレクタ3と前記投影レンズ4との間において、外側の左側Lに前記第2サブリフレクタ7と対向して配置されている(図2および図5参照)。前記第3サブリフレクタ8の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転放物面(図5および図7中の二点鎖線の放物線81を参照)を基調とした第3サブ反射面80(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記第3サブ反射面80の焦点F8は、前記第2サブ反射面70の第2焦点F72にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1において、前記第3サブ反射面80の焦点F8と、前記第2サブ反射面70の第2焦点F72とは、ほぼ同位置に位置する(図5および図7参照)。前記第3サブリフレクタ8は、ホルダに固定保持されている。
【0023】
前記第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1は、前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の光軸Z−Z(図5中においては、(Z)−(Z))に対して、左側L角度θに向いている(図3および図5参照)。前記第3サブ反射面80は、前記第2サブ反射面70からの反射光L3を反射光L4として外部に前記すれ違い用の配光パターンLPに対して左側Lに反射させるものである(図7参照)。前記第3サブリフレクタ8の前側Fには、前記第3サブ反射面80からの反射光L4を制御する制御手段、たとえば、プリズムレンズなどのインナーレンズ40が配置されている。なお、この実施例1において、前記第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1と前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の光軸Z−Zとのなす角度θは、任意であるが、この例では、35°とする。また、前記第3サブ反射面80の焦点F8から放物線81までの距離Tは、任意であるが、この例では、12mmとする。
【0024】
前記第4サブリフレクタ9は、前記メインリフレクタ3と前記第1サブリフレクタ6との間において、前記メインリフレクタ3および前記第1サブリフレクタ6および前記第3サブリフレクタ8の上側Uに配置されている(図2および図4および図8参照)。前記第4サブリフレクタ9の内凹面には、アルミ蒸着もしくは銀塗装などが施されていて、回転放物面(図8中の二点鎖線の放物線91を参照)を基調とした第4サブ反射面90(NURBS曲面、自由曲面)が設けられている。前記第4サブ反射面90の焦点F9は、前記メイン反射面30の第1焦点F31(および光源の発光部分のセンタF1および前記第1サブ反射面の第1焦点F61)にもしくはその近傍に位置する。なお、この実施例1において、前記第1サブ反射面60の第1焦点F61と、前記メイン反射面30の第1焦点F31(および光源の発光部分のセンタF1および前記第1サブ反射面の第1焦点F61)とは、ほぼ同位置に位置する(図8参照)。前記第4サブリフレクタ9は、ホルダに固定保持されている。
【0025】
前記第4サブ反射面90の光軸(図示せず)は、前記メイン反射面30および前記投影レンズ4の光軸Z−Zとほぼ同一軸上に位置する(図8参照)。前記第4サブ反射面90は、前記光源からの無効光L5(前記の無効光L1と同様に、光源から前方上側に照射される直射光)を反射光L6として外部に前記すれ違い用の配光パターンLPに対して、たとえば、下側Dに反射させるものである。前記第4サブリフレクタ9の前側Fには、前記第4サブ反射面90からの反射光L6を制御する制御手段、たとえば、プリズムレンズなどのインナーレンズが配置されている。
【0026】
前記メイン反射面30、前記第1サブ反射面60、前記第2サブ反射面70、前記第3サブ反射面80、前記第4サブ反射面90は、無着色の反射面からなるので、前記光源からの光をそのままの色度で反射させたり、または、前記フィルタ2を透過した赤外光LIRをそのままで反射させたりするものである。
【0027】
前記フィルタ2は、前記第2サブ反射面70の前記第2焦点F72よりも若干前記第2サブ反射面70の前記第1焦点F71側に配置されている。すなわち、前記フィルタ2は、前記第2サブ反射面70からの反射光L3(すなわち、前記第3サブ反射面80に入射する光)の光路の途中に配置されている。また、前記フィルタ2は、前記フィルタ2の平面が前記第2サブ反射面70の前記第1焦点F71と前記第2焦点F72とを結ぶ光軸に対してほぼ直交するように、配置されている。さらに、前記フィルタ2は、前記第2サブ反射面70からの反射光L3のうち赤外光LIRを透過させて他の光を反射させる第1位置(図示の位置)と、前記第2サブ反射面70からの反射光L3(すなわち、可視光LW)をほぼそのまま通過させる第2位置(図示せず)との間を移動可能に配置されている。前記フィルタ2には、前記フィルタ2を前記第1位置と前記第2位置との間において移動させる移動機構(図示せず)が設けられている。前記移動機構は、たとえば、ソレノイドやステッピングモータなどを使用して、手動的にまたは自動的に駆動するものである。前記フィルタ2の移動としては、直線移動、たとえば、前記第2サブ反射面70の前記光軸に対してほぼ直交する方向の直線移動、または、回転移動などがある。
【0028】
前記フィルタ2は、赤外光透過膜(たとえば、誘電体多層膜など)を光透過性の基材(たとえば、薄い板もしくはフィルムなどからなる基材)に直接蒸着もしくはコーティングや塗装してなるものである。前記フィルタ2は、図10中の点線の曲線に示す光特性を有する。すなわち、前記フィルタ2は、前記放電灯4から放射される光の成分のうち、波長が約780nm以下の可視領域の光(可視光)を反射(吸収、カット)して、波長が約780nm以上の赤外領域の光(赤外光)を透過させる特性(赤外光透過特性)を有する。なお、前記フィルタ2は、図10中の符号54に示すように、若干の赤色の可視光(赤色光)が漏れる。
【0029】
前記CCDカメラの感度特性は、波長が約780nmよりも若干短い値(図10中において、可視領域52のうち赤外領域53側の境付近の波長)において、一番感度が高いピークを有し、波長がこのピークに対応する値よりも短くなる、あるいは、長くなるにしたがって、感度が概ね低くなる。このように、前記CCDカメラは、波長が約780nmよりも長くなるにしたがって、感度が低くなりつつ、赤外領域53の感度を有している。前記CCDカメラは、自動車Cに搭載のコンピュータ(図示せず)を介して、運転席に設けられた液晶ディスプレーなどの表示装置(図示せず)に接続されている。これにより、人間の肉眼では視認できない赤外領域53においてCCDカメラで撮像された情報は、前記表示装置において人間の肉眼で視認できる画像情報として表示される。
【0030】
図10は、前記フィルタ2の特性を示す説明図である。図10の横方向は電磁波の波長を表し、右に行くにしたがって波長が長くなっている。また、縦方向は、横方向の波長に対する電磁波の相対的な量を表しており、上に行くに従って、相対的な量が多くなっている。図10に示すように、電磁波のうち波長が約380nm〜約780nmの範囲の電磁波が、人間の肉眼で視認できる領域、可視領域52である。この可視領域52の電磁波を肉眼で感応することにより、この領域の電磁波を視認できる。この可視領域52の波長の電磁波が、いわゆる可視光と呼ばれている。
【0031】
電磁波のうち、可視領域52よりも波長が短い領域で、約200nm〜約380nmまでの範囲は、紫外領域51であり、この領域の電磁波が、いわゆる紫外線と呼ばれる。また、電磁波のうち、可視領域52よりも波長が長い領域で、約780nm〜約100,000nmまでの範囲は、赤外領域53であり、この領域の電磁波が、いわゆる赤外線と呼ばれる。これらの紫外線および赤外線は、可視領域52の範囲外の電磁波なので、直接肉眼で視認することはできない。
【0032】
この実施例1にかかる車両用照明装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0033】
まず、光源を点灯する。すると、光源からの光のうち一部の光は、メイン反射面30で反射される。その反射光は、メイン反射面30の第2焦点F32および投影レンズ4の焦点F4に収束される。この収束された反射光の一部は、シェード5によりカットオフされる。カットオフされなかった残りの反射光は、メイン反射面30の第2焦点F32および投影レンズ4の焦点F4を通って拡散されて、投影レンズ4を経て外部の前側F方に照射される。この結果、図11および図12に示すように、可視光LWによるすれ違い用の配光パターンLPが得られる。
【0034】
これと同時に、光源からの光のうち、メイン反射面30で反射されずに通常無効となる光L1(光源から前方上側に照射される直射光)は、図6に示すように、第1サブ反射面60に入射する。この第1サブ反射面60に入射した光L1は、同じく図6に示すように、この第1サブ反射面60で反射されて反射光L2として第1サブ反射面60の第2焦点F62および第2サブ反射面70の第1焦点F71に収束される。この収束された反射光L2は、同じく図6に示すように、第1サブ反射面60の第2焦点F62および第2サブ反射面70の第1焦点F71を通って拡散されて、第2サブ反射面70に入射する。
【0035】
この第2サブ反射面70に入射した光L2は、図7に示すように、この第2サブ反射面70で反射されて反射光L3として第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8に収束される。この収束された反射光L3は、同じく図7に示すように、第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8を通る前に第1位置に位置するフィルタ2を通過する。
【0036】
すると、第2サブ反射面70からの反射光L3は、フィルタ2において、波長が約780nm以下の可視領域の光(可視光LW(図示せず))が反射(吸収、カット)され、波長が約780nm以上の赤外領域の光(赤外光)LIR(図7中の点線矢印)が透過する。このフィルタ2を透過した赤外光LIRは、同じく図7に示すように、さらに収束して第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8を通って拡散されて、第3サブ反射面80に入射する。
【0037】
この第3サブ反射面80に入射した光L3であって、赤外光LIRは、同じく図7に示すように、この第3サブ反射面80で反射されて反射光L4(赤外光LIR)として第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1とほぼ平行にインナーレンズ40側に進む。インナーレンズ40に進んだ光L4(赤外光LIR)は、このインナーレンズ40で制御されて外部に照射される。この結果、図11に示すように、すれ違い用の配光パターンLPの中央の上側Uに赤外光LIRによる配光パターンIRP(図11中の点線で示す)が得られる。この赤外光LIRによる配光パターンIRPは、CCDカメラ照明用の配光パターンであって、車両用赤外光投光装置の照明用として使用される。なお、図示されていないが、自動車Cの右側Rに搭載される車両用照明装置においても、同様に、図11に示すように、すれ違い用の配光パターンLPの中央の上側Uに赤外光LIRによる配光パターンIRPが得られる。このとき、図11に示すように、可視光LWによるすれ違い用の配光パターンLHと赤外光LIRによる配光パターンIRPとの大部分が重なり合っている。このために、この車両用照明装置1は、赤外光LIR中に赤色光が含まれていても可視光(白色光)LWにより混色されてこの赤色光を相対的に薄めもしくは消すことができる。
【0038】
第1位置に位置するフィルタ2を移動機構により第2位置に位置させる。すると、第2サブ反射面70からの反射光L3は、フィルタ2を通過しないで、光源からの光(可視光LW)のまま収束して第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8を通って拡散されて、第3サブ反射面80に入射する。この第3サブ反射面80に入射した光L3であって、可視光LWは、同じく図7に示すように、この第3サブ反射面80で反射されて反射光L4(可視光LW)として第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1とほぼ平行にインナーレンズ40側に進む。インナーレンズ40に進んだ光L4(可視光LW)は、このインナーレンズ40で制御されて外部に照射される。この結果、図12に示すように、すれ違い用の配光パターンLPの中央の上側Uに可視光LWによる配光パターンSHP(図21中の実線で示す)が得られる。この可視光LWによる配光パターンSHPは、遠方を照明する配光パターンであって、通常の車両用前照灯(ヘッドランプ)の照明機能(基本配光パターン、たとえば、図12に示すすれ違い用の配光パターンLP)を補助する照明用として使用される。なお、図示されていないが、自動車Cの右側Rに搭載される車両用照明装置においても、同様に、図12に示すように、すれ違い用の配光パターンLPの中央の上側Uに可視光LWによる配光パターンSHPが得られる。
【0039】
この実施例1にかかる車両用照明装置1は、以上のごとき構成作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0040】
この車両用照明装置1は、光源からの光のうち通常無効となる光L1を、第1サブリフレクタ6の第1サブ反射面60、第2サブリフレクタ7の第2サブ反射面70、フィルタ2、第3サブリフレクタ8の第3サブ反射面80を経て、赤外光LIRとして自動車Cの前方Fに照射することができる。これにより、この車両用照明装置1は、第1サブ反射面60およびまたは第2サブ反射面70およびまたは第3サブ反射面80により赤外光LIRの強度の向上を図ったとしても、可視光LWの光度を現状維持することができる。すなわち、この車両用照明装置1は、赤外光LIRの強度の向上と可視光LWの光度の現状維持との両立を図ることができる。また、この車両用照明装置1は、光源からの光のうち通常無効となる光L1が第1サブリフレクタ6の第1サブ反射面60および第2サブリフレクタ7の第2サブ反射面70を経てフィルタ2に達するものである。このために、この車両用照明装置1は、光源(2)からの光が反射面(7)で反射して赤外線透過フィルター(8)に達する前記の従来の車両用照明装置と比較して、フィルタ2を光源からの光の熱衝撃の影響から保護することができる。
【0041】
特に、この車両用照明装置1は、フィルタ2を第2サブ反射面70の第2焦点F72よりも若干第2サブ反射面70の第1焦点F71側に配置するものである。このために、この車両用照明装置1は、第2サブ反射面70からの反射光L3が第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8に向かって収束してフィルタ2を通過するので、フィルタ2を小さくすることができる。フィルタ2を小さくすることにより、フィルタ2を移動させる距離を小さくすることができ、移動機構が安価で小型の機構で十分であり、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0042】
また、この車両用照明装置1は、第2サブ反射面70からの反射光L3を収束させてからフィルタ2に通過させるので、反射光L3を捕らえ易くかつ確実に捕らえることができる。これにより、フィルタ2から赤外光LIRを制御し易くかつ効率良く得ることができる。
【0043】
さらに、この車両用照明装置1は、フィルタ2を第2サブ反射面7の光軸に対してほぼ直交するように配置するものである。このために、この車両用照明装置1は、第2サブ反射面70からの反射光L3がフィルタ2にほぼ直角に入射するので、フィルタ2から赤外光LIRを効率良く出すことができる。
【0044】
さらにまた、この車両用照明装置1は、フィルタ2を第1位置と第2位置との間において移動させるものである。このために、この車両用照明装置1は、フィルタ2を第1位置に位置させることにより図11に示す赤外光LIRによる配光パターンIRPが得られ、また、フィルタ2を第2位置に位置させることにより、図12に示す可視光LWによる配光パターンSHPが得られる。これにより、車両の照明機能の形態が増し、自動車Cの周囲の環境に適した配光パターンを選択することができ、交通安全に貢献することができる。
【0045】
さらにまた、この車両用照明装置1においては、シェード5のウエッジ50を若干下側Dに下げることにより、プロジェクタタイプの光学ユニットから得られる基本配光パターンであって、図14および図15に示すモータウエイ用の配光パターンMPが得られる。このモータウエイ用の配光パターンMPは、カットラインを図11および図12に示すすれ違い用の配光パターンLPのカットラインよりも若干上側Uに上げた配光パターンであって、高速走行に適した配光パターンである。しかも、この図14の場合、赤外光LIR中に含まれる赤色光が可視光(白色光)LWにより混色されてこの赤色光を相対的に薄めもしくは消すことができる。
【0046】
さらにまた、この車両用照明装置1においては、シェード5のウエッジ50を大幅に下側Dに下げたり、もしくは、シェード5を無くすことにより、プロジェクタタイプの光学ユニットから得られる基本配光パターンであって、図16および図17に示す走行用の配光パターンHPが得られる。この走行用の配光パターンHPは、カットラインを図11および図12に示すすれ違い用の配光パターンLPのカットラインよりも大幅に上側Uに上げた配光パターン、もしくは、カットラインがない配光パターンであって、対向車などがなく高速走行に適した配光パターンである。しかも、この図16の場合、赤外光LIR中に含まれる赤色光が可視光(白色光)LWにより混色されてこの赤色光を相対的に薄めもしくは消すことができる。
【0047】
なお、前記の実施例1においては、フィルタ2を第2サブ反射面70の第2焦点F72よりも若干第2サブ反射面70の第1焦点F71側に配置するものである。ところが、この発明においては、フィルタ2を第2サブ反射面70の第2焦点F72よりも若干第3サブ反射面80側に配置しても良い。この場合、第2サブ反射面70からの反射光L3は、収束して第2サブ反射面70の第2焦点F72および第3サブ反射面80の焦点F8を通って拡散された状態でフィルタ2に入るものである。この場合であっても、前記の実施例1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。
【0048】
また、この発明においては、フィルタ2を第3サブ反射面80の光反射側、すなわち、第3サブ反射面80からの反射光L4の光路の途中に配置しても良い。この場合、フィルタ2は、若干大きくなるが、光源からの光が第1サブ反射面60および第2サブ反射面70および第3サブ反射面80を経てフィルタ2に達するものであるから、フィルタ2を光源からの光の熱衝撃の影響からさらに確実に保護することができる。
【0049】
さらに、この発明においては、フィルタ2をインナーレンズ40に設けても良い。すなわち、インナーレンズ40の入射面または出射面に赤外光透過膜(たとえば、誘電体多層膜など)を直接蒸着もしくはコーティングや塗装するものである。この場合、フィルタ2とインナーレンズ40とが一体となるので、部品点数や組み付け工程数を軽減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0050】
また、前記の実施例1においては、フィルタ2を第2サブ反射面7の光軸に対してほぼ直交するように配置するものである。ところが、この発明においては、各構成部品のレイアウト上、フィルタ2を第2サブ反射面7の光軸に対して斜めに配置しても良い。この場合、フィルタ2の配置の自由度が増し、各構成部品のレイアウトの自由度も増す。
【0051】
さらに、前記の実施例1においては、フィルタ2を第1位置と第2位置との間において移動させるものである。ところが、この発明においては、フィルタ2を固定しても良い。この場合、移動機構が不要となり、その分、製造コストを安価にすることができる。しかも、フィルタ2の移動スペースや移動機構の配置スペースが不要となり、その分、車両用照明装置全体を小型化することができる。
【0052】
また、この発明においては、フィルタ2を第1位置と第2位置との間において有段もしくは無段に移動させても良い。この場合、赤外光LIRによる配光パターンIRPの大きさを有段もしくは無段に変化させることができる。
【0053】
さらにまた、前記の実施例1においては、第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1がメイン反射面30および投影レンズ4の光軸Z−Zに対して左側に向いている。ところが、この発明においては、第3サブ反射面80の光軸Z1−Z1をメイン反射面30および投影レンズ4の光軸Z−Zとほぼ平行にしても良い。この場合、図11、図14、図16中の赤外光LIRによる配光パターンIRPと、図12、図15、図17の可視光LWによる配光パターンSHPとが効率良く得ることができる。
【実施例2】
【0054】
図18は、この発明にかかる車両用照明装置の実施例2を示す。図中、図1〜図17と同符号は、同一のものを示す。以下、実施例2にかかる車両用照明装置について説明する。
【0055】
図18中、符号1Aは、実施例2にかかる車両用照明装置である。この車両用照明装置1Aは、前記の実施例1の車両用照明装置1と同様に、光源(図示せず)と、メインリフレクタ3と、投影レンズ(集光レンズ)4と、シェード5と、第1サブリフレクタ6と、第2サブリフレクタ7と、第3サブリフレクタ8と、第4サブリフレクタ9と、フィルタ20と、を備えるものである。
【0056】
前記実施例2のフィルタ20は、前記の実施例1のフィルタ2と同様に、赤外光透過膜(たとえば、誘電体多層膜など)を光透過性の基材(たとえば、薄い板もしくはフィルムなどからなる基材)に直接蒸着もしくはコーティングや塗装してなるものであって、図10中の点線の曲線に示す光特性を有する。
【0057】
前記フィルタ20は、前記第2サブ反射面70の前記第2焦点F72近傍(たとえば、前記第2焦点F72よりも若干前記第2サブ反射面70の前記第1焦点F71側の位置)に配置されている。すなわち、前記フィルタ20は、前記第2サブ反射面70からの反射光L3(すなわち、前記第3サブ反射面80に入射する光)の光路の途中に配置されている。また、前記フィルタ20は、図18に示すように、前記第2サブ反射面70からの反射光L3のうち赤外光LIRを透過させて他の光を反射させる第1位置(図18に示す位置)と、前記第2サブ反射面70からの反射光L3(すなわち、可視光LW)をほぼそのまま通過させる第2位置(図示せず)との間を、たとえば、前記第3サブリフレクタ8に対して、前後方向F−Bにまたは上下方向U−Dに移動可能に配置されている。この場合、前記フィルタ20の平面は、前記第2サブ反射面70の前記第1焦点F71と前記第2焦点F72とを結ぶ光軸に対して斜めの状態もしくは捩じれた状態にある。さらに、前記フィルタ20には、前記フィルタ20を前記第1位置と前記第2位置との間において移動させる移動機構21が設けられている。前記移動機構21は、ソレノイドもしくはステッピングモータや駆動力伝達手段などから構成されている。前記ソレノイドを手動的にまたは自動的に進退させたりもしくは前記ステッピングモータを手動的にまたは自動的に駆動させたりすることにより、前記フィルタ20が第1位置と第2位置との間において移動する。
【0058】
この実施例2にかかる車両用照明装置1Aは、上記のごとき構成からなるので、前記の実施例1の車両用照明装置1とほぼ同様の作用効果を達成することができる。特に、この車両用照明装置1Aは、フィルタ20を第2サブ反射面70の第2焦点F72近傍に第1位置と第2位置との間を移動可能にただ単に配置したものであるから、フィルタ20の大きさが実施例1のフィルタ2よりも若干大きくなりかつフィルタ20の移動距離が実施例1のフィルタ2よりも若干長くなるが、部品の製造公差や部品の組立公差またフィルタ20の移動制御公差があっても、第2サブ反射面70からの反射光L3を確実に捕らえて赤外光LIRが確実に得ることができる。このように、この実施例2にかかる車両用照明装置1Aは、簡単な構造で簡単な制御で赤外光LIRを確実に得ることができるので、製造コストを安価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】この発明にかかる車両用照明装置の実施例1を示す要部の斜視図である。
【図2】同じく、正面図である。
【図3】図2におけるIII矢視図(平面図)である。
【図4】図2におけるIV矢視図(側面図)である。
【図5】図2におけるV−V線断面図である。
【図6】図2におけるVI−VI線断面図である。
【図7】図2におけるVII−VII線断面図である。
【図8】図3におけるVIII−VIII線断面図である。
【図9】同じく、使用状態を示す説明図である。
【図10】同じく、赤外光透過フィルターの特性を示す説明図である。
【図11】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られるすれ違い用の配光パターンと赤外光による配光パターンとを示す説明図である。
【図12】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られるすれ違い用の配光パターンと可視光による配光パターンとを示す説明図である。
【図13】同じく、自動車の前部の左側と右側とに搭載された状態を示す説明図である。
【図14】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られるモータウエイ用の配光パターンと赤外光による配光パターンとを示す説明図である。
【図15】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られるモータウエイ用の配光パターンと可視光による配光パターンとを示す説明図である。
【図16】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られる走行用の配光パターンと赤外光による配光パターンとを示す説明図である。
【図17】同じく、プロジェクタタイプの光学ユニットにより得られる走行用の配光パターンと可視光による配光パターンとを示す説明図である。
【図18】この発明にかかる車両用照明装置の実施例2を示す要部の斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1、1A 車両用照明装置(すれ違い用のヘッドランプユニット)
2 フィルタ
3 メインリフレクタ
30 メイン反射面
F31 メイン反射面の第1焦点
F32 メイン反射面の第2焦点
4 投影レンズ
F4 投影レンズの焦点
40 インナーレンズ
5 シェード
50 エッジ
51 紫外領域
52 可視領域
53 赤外領域
54 赤色の可視光(赤色光)
6 第1サブリフレクタ
60 第1サブ反射面
61 第1サブ反射面を構成する楕円
F61 第1サブ反射面の第1焦点
F62 第1サブ反射面の第2焦点
7 第2サブリフレクタ
70 第2サブ反射面
71 第2サブ反射面を構成する楕円
F71 第2サブ反射面の第1焦点
F72 第2サブ反射面の第2焦点
8 第3サブリフレクタ
80 第3サブ反射面
81 第3サブ反射面を構成する放物線
F8 第3サブ反射面の焦点
9 第4サブリフレクタ
90 第4サブ反射面
91 第4サブ反射面を構成する放物線
F9 第4サブ反射面の焦点
C 自動車
100L、100R ヘッドランプ装置
101 ランプハウジング
102 アウターレンズ(ランプレンズ)
103 投影レンズ
104 縦プリズム
Z−Z メイン反射面および投影レンズの光軸
Z1−Z1 第3サブ反射面の光軸
LP すれ違い用の配光パターン
MP モータウエイ用の配光パターン
HP 走行用の配光パターン
IRP 赤外光による配光パターン
SHP 可視光による配光パターン
F1 光源の発光部分のセンタ
L1 光源からの無効光
L2 第1サブ反射面からの反射光
L3 第2サブ反射面からの反射光
L4 第3サブ反射面からの反射光
L5 光源からの無効光
L6 第4サブ反射面からの反射光
LIR 赤外光
LW 可視光
F 前側
B 後側
U 上側
D 下側
L 左側
R 右側
VU−VD 上下垂直線
HL−HR 左右水平線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外光を車両の前方に照射する車両用赤外光投光装置の照明機能と、可視光を車両の前方に照射する通常の車両用前照灯の照明機能とを有する車両用照明装置おいて、
可視光を基本の配光パターンで車両の前方に照射するプロジェクタタイプの光学ユニットと、
第1焦点が前記プロジェクタタイプの光学ユニットの光源にもしくはその近傍に位置する回転楕円面を基調とし、前記光源からの光のうち通常無効となる光を第2焦点に向けて反射させる第1サブ反射面を有する第1サブリフレクタと、
第1焦点が前記第1サブ反射面の第2焦点にもしくはその近傍に位置する回転楕円面を基調とし、前記第1サブ反射面からの反射光を第2焦点に向けて反射させる第2サブ反射面を有する第2サブリフレクタと、
焦点が前記第2サブ反射面の第2焦点にもしくはその近傍に位置する回転放物面を基調とし、前記第2サブ反射面からの反射光を外部に反射させる第3サブ反射面を有する第3サブリフレクタと、
前記第3サブ反射面の光入射側もしくは光反射側に配置されており、前記光源からの光のうち赤外光を透過させて他の光を反射させる赤外光透過特性を有するフィルタと、
を備えることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記フィルタは、前記第2サブ反射面の前記第2焦点あるいは前記第3サブ反射面の前記焦点にもしくはその近傍に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記第2サブ反射面の前記第2焦点あるいは前記第3サブ反射面の前記焦点よりも前記第2サブ反射面の前記第1焦点側に配置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記フィルタは、前記フィルタの平面が前記第2サブ反射面の前記第1焦点と前記第2焦点とを結ぶ光軸に対してほぼ直交するように、配置されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記フィルタは、前記光源からの光のうち赤外光を透過させて他の光を反射させる第1位置と、前記光源からの光をほぼそのまま通過させる第2位置との間を移動可能に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用照明装置。
【請求項1】
赤外光を車両の前方に照射する車両用赤外光投光装置の照明機能と、可視光を車両の前方に照射する通常の車両用前照灯の照明機能とを有する車両用照明装置おいて、
可視光を基本の配光パターンで車両の前方に照射するプロジェクタタイプの光学ユニットと、
第1焦点が前記プロジェクタタイプの光学ユニットの光源にもしくはその近傍に位置する回転楕円面を基調とし、前記光源からの光のうち通常無効となる光を第2焦点に向けて反射させる第1サブ反射面を有する第1サブリフレクタと、
第1焦点が前記第1サブ反射面の第2焦点にもしくはその近傍に位置する回転楕円面を基調とし、前記第1サブ反射面からの反射光を第2焦点に向けて反射させる第2サブ反射面を有する第2サブリフレクタと、
焦点が前記第2サブ反射面の第2焦点にもしくはその近傍に位置する回転放物面を基調とし、前記第2サブ反射面からの反射光を外部に反射させる第3サブ反射面を有する第3サブリフレクタと、
前記第3サブ反射面の光入射側もしくは光反射側に配置されており、前記光源からの光のうち赤外光を透過させて他の光を反射させる赤外光透過特性を有するフィルタと、
を備えることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記フィルタは、前記第2サブ反射面の前記第2焦点あるいは前記第3サブ反射面の前記焦点にもしくはその近傍に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記フィルタは、前記第2サブ反射面の前記第2焦点あるいは前記第3サブ反射面の前記焦点よりも前記第2サブ反射面の前記第1焦点側に配置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記フィルタは、前記フィルタの平面が前記第2サブ反射面の前記第1焦点と前記第2焦点とを結ぶ光軸に対してほぼ直交するように、配置されている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用照明装置。
【請求項5】
前記フィルタは、前記光源からの光のうち赤外光を透過させて他の光を反射させる第1位置と、前記光源からの光をほぼそのまま通過させる第2位置との間を移動可能に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−147195(P2006−147195A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332287(P2004−332287)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]