説明

車両用照明装置

【課題】部品点数の増加やコストの増加を抑えて面状に照明することができる車両用照明装置を提供する。
【解決手段】 車両用内装材24を透明あるいは半透明の透光性を有する樹脂で形成し、樹脂の少なくとも一端面241に対向して光源25を配置したので、光源25からの光は、車両用内装材24である樹脂を導光体として光が伝達され、面状に発光する。これにより、従来のように導光体を別個に設ける必要がないため、部品点数の増加やコストの増加を抑えて、車両用内装材24を面状に発光させることができる。また、既存の部品を用いるので、組み立て工数が増加しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装材に設けて、夜間照明時に車両内で点灯させる車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドアトリム、リヤサイドトリム、ラゲージトリム、インストルメントパネル等、内装トリム部品に照明装置を取り付けて、昼間のトリム表面の柄模様と、夜間照明時におけるトリム表面の柄模様との顕著な相違による演出効果で乗員にサプライズ感を付与する車両用照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4に示すように、特許文献1に記載の車両用照明装置100は、上下二分割構造のドアトリム101に設けられている。ドアトリム101は、アッパートリム本体102を有するドアトリムアッパー101Aと、ロアトリム本体103を有するドアトリムロア101Bからなる。アッパートリム本体102は、透光性を有する芯材107と、この芯材107の表面に貼着され、透光性を有する表皮材108とから構成される。
【0004】
ドアトリムアッパー101Aおよびドアトリムロア101Bの背面側には、各々照明ユニット104が設けられている。照明ユニット104は、透明アクリル樹脂板からなる導光板105と、この導光板105に照明光を供給する光源としての複数のLED106を有する。
これにより、夜間照明時に照明ユニット104を点灯させることにより導光板105が発光し、光が芯材107および表皮材108を透過して、ドアトリム101の外観表面に昼間(非照明時)とは明らかに相違する柄模様を現出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−101840号公報(第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の車両用照明装置では、面状に発光させるには、光源であるLEDからの光を広げる導光体を別途用いる必要があり、部品点数の増加、コストアップ、組み立て工数の増加等をまねくという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するために、部品点数の増加やコストの増加を抑えて、車両用内装材を面状に発光させることができる車両用照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用照明装置は、車両用内装材を発光させる車両用照明装置であって、発光させる前記車両用内装材を透光性の樹脂で形成し、前記樹脂の少なくとも一端面に光源を対向配置したものである。
【0009】
この構成によれば、車両用内装材を透明あるいは半透明の透光性を有する樹脂で形成し、樹脂の少なくとも一端面に対向して光源を配置したので、光源からの光は、車両用内装材である樹脂を導光体として光が伝達され、面状に発光する。
これにより、従来のように導光体を別個に設ける必要がないため、部品点数の増加やコストの増加を抑えて、車両用内装材を面状に発光させることができる。また、既存の部品を用いるので、組み立て工数が増加しない。
【0010】
上記構成において、前記樹脂の表面であって発光させない部位には遮光の表面処理を行うものである。
【0011】
この構成によれば、樹脂の表面に、任意の模様等を付して遮光することにより、発光部分の形状等を規制することができる。
【0012】
上記構成において、前記表面処理が、塗装、印刷、メッキであるものである。
【0013】
この構成によれば、樹脂の表面に遮光のために施す表面処理として、塗装、印刷、メッキ等を用いることができる。
なお、塗装、印刷、メッキの厚さを調整することにより、全体を薄くぼんやりと発光させることもできる。
【0014】
上記構成において、前記発光させない部位が模様であるものである。
【0015】
この構成によれば、樹脂の表面に、表面処理を施して模様を形成することができるので、光源を発光させることにより、模様を浮き上がらせて表示することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両用内装材を透明あるいは半透明の透光性を有する樹脂で形成し、樹脂の少なくとも一端面に対向して光源を配置したので、光源からの光は、車両用内装材である樹脂を導光体として光が伝達され、面状に発光する。これにより、従来のように導光体を別個に設ける必要がないため、部品点数の増加やコストの増加を抑えて、車両用内装材を面状に発光させることができる。また、既存の部品を用いるので、組み立て工数が増加しないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる車両用照明装置を用いるドアトリムを示す斜視図である。
【図2】(A)は図1中II−II一の断面図であり、(B)は(A)中B部分の拡大図である。
【図3】別のフィニッシャの例を示す図2(B)相当の断面図である。
【図4】従来の車両用照明装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0019】
図1に示すように、本発明にかかる車両用照明装置10は、例えば、ドアトリム20に適用することができる。
ドアトリム20は、ドアベース21の上に、車室内の意匠性を考慮した樹脂製の表皮材22が貼り付けられている。この表皮材22は、透光性を有しない。
ドアベース21には、高さ方向中央部に開口23が設けられており、開口23の上下に垂直に延びる鍔部211、212が設けられている。開口23は発光させる車両用内装材であるフィニッシャ(加飾部品)24により覆われる。フィニッシャ24は、透明あるいは半透明の透光性を有する樹脂で形成されており、上下の鍔部211,212に当接して取り付けられる。
【0020】
図2(A)および(B)に示すように、フィニッシャ24の一端面である下端面241に対向して、光源であるLED25が設けられている。LED25は基板26に複数個実装されており、下端面241の長手方向に沿って対向配置されている。
なお、ここでは、フィニッシャ24の下端面241に対向してLED25および基板26を設けたが、このほか、フィニッシャ24の上端面や側端面に対向して設けることも可能である。あるいは、上下端面や側端面を組み合わせて設けることも可能である。
【0021】
フィニッシャ24の発光させない部位には、表面に遮光の表面処理を行う。遮光の表面処理としては、例えば、図2(B)に示すように、フィニッシャ24の表面に、遮光性のある塗装27、印刷、メッキ等を施す。ここでは、フィニッシャ24において遮光の表面処理(塗装)を行っていない下部242から光LBが漏れて下方を照明する。
また、フィニッシャ24に、遮光の表面処理によって模様や文字等を形成することにより、文字や、模様を浮き上がらせることができる。
【0022】
以上説明したことから明らかとなるように、本発明にかかる車両用照明装置10によれば、フィニッシャ24を透明あるいは半透明の透光性を有する樹脂で形成し、樹脂の下端面241に対向してLED25を配置したので、LED25からの光LBは、フィニッシャ24である樹脂を導光体として光が伝達され、面状に発光する。
これにより、従来のように導光体を別個に設ける必要がないため、部品点数の増加やコストの増加を抑えて、フィニッシャ24を面状に発光させることができる。また、既存の部品を用いるので、組み立て工数が増加しない。
【0023】
また、フィニッシャ24の表面に、任意の模様等を付して遮光することにより、発光部分の形状等を規制することができる。
【0024】
また、フィニッシャ24の表面に遮光のために施す表面処理として、塗装、印刷、メッキ等を用いることができる。
なお、塗装、印刷、メッキの厚さを調整することにより、全体を薄くぼんやりと発光させることもできる。
【0025】
さらに、フィニッシャ24の表面に、表面処理を施して模様を形成することができるので、LED25を発光させることにより、模様を浮き上がらせて表示することができる。
【0026】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば、前述した実施形態においては、ドアトリム20のフィニッシャ24に本発明に係る車両用照明装置10を設けた場合を例示したが、これに限るものではない。その他の部位、例えば、パワーウインドウスイッチのフィニッシャや、ドアグリップキャップ等にも適用可能である。
【0027】
また、前述した実施形態においては、遮光の表面処理として、フィニッシャ24の表面に塗装やメッキを施す場合を例示したが、図3に示すように、透光性の樹脂(下部242)と遮光性の樹脂28を用いてフィニッシャ24Bを一体成型する車両用照明装置10Bも可能である。
【符号の説明】
【0028】
10,10B 車両用照明装置
24 フィニッシャ(車両用内装材)
241 下端面(一端面)
25 LED(光源)
27 塗装(表面処理)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用内装材を発光させる車両用照明装置であって、
発光させる前記車両用内装材を透光性の樹脂で形成し、
前記樹脂の少なくとも一端面に光源を対向配置したことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記樹脂の表面であって発光させない部位には遮光の表面処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記表面処理が、塗装、印刷、メッキであることを特徴とする請求項2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記発光させない部位が模様であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−91451(P2013−91451A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235382(P2011−235382)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】