説明

車両用衝突補強材

【課題】車両衝突時の荷重入力に際しても、断面高さを維持して曲げ剛性の低下を極力防止することができる車両用衝突補強材を提供する。
【解決手段】車両用衝突補強材としてのドアインパクトビームは、両端にブラケット部9が一体形成された長尺な本体部10を備える。本体部10は、一対のウェブ11、中央板部12及び一対の側部フランジ13によってウェブの前端部側に開口したハット形開放断面形状をなしている。本体部10を3つの部分P1、P2及びP3に区分するとき、第1部分P1における両ウェブの前端部間の間隔(C1)が最も狭くなり、第3部分P3における両ウェブの前端部間の間隔(C3)が最も広くなり、且つ、第1部分と第3部分の間の第2部分P2における両ウェブの前端部間の間隔(C2)が第1部分P1から第3部分P3に向かうにつれて次第に広くなるように、一対のウェブ11が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアインパクトビームやバンパーリインフォースメント等に代表される車両用衝突補強材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用衝突補強材の一種であるドアインパクトビーム(ドアガードともいう)は、当初は丸パイプ状本体の両端部にブラケットを溶接したものが用いられていたが、最近では、ビーム本体とブラケットとを一体プレス成形可能になったことから、ビーム本体の横断面形状がハット形をした開放断面形状のドアインパクトビームが主流になっている。
【0003】
例えば、特許文献1の車両用ドアガードは鋼板をプレス成形して一体に形成されたものであり、その本体部分には断面R山型の屈曲部1a(ウェブが含まれる)が全長に亘って一体に形成され、その屈曲部の基部の上下には平坦なフランジ部1b(側部フランジに相当)がそれぞれ形成されている。つまり、屈曲部1aと一対のフランジ部1bとによって形作られるハット断面形状が本体部の全長に亘って一様に形成されている。
【0004】
特許文献2に開示されたドアインパクトビームは、隆起部2と、その幅方向両側の底部3(側部フランジに相当)と、起立部6(ウェブに相当)とを備え、これらによって本体部におけるハット断面形状が形作られている。このドアインパクトビームの幅寸法は、長さ方向の中央において最も大きくなっており、その中央から長さ方向の両端に向かって幅寸法は次第に小さくなり、中央から所定距離離れた箇所からは最小の幅寸法が長さ方向の両端まで連続している。各部におけるハット断面形状の寸法もほぼこれに準じている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−19559号公報(第0016段落、図1)
【特許文献2】特開2004−168141号公報(第0040〜43段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例のような開放断面形状のドアインパクトビームには、側面衝突時の荷重入力に対してウェブ及び側部フランジが外方向(互いに離間する方向)に開き易いという欠点があった。即ち、荷重入力時にハット形の開放断面が開いて断面高さ(荷重入力方向に沿った奥行き)が小さくなる結果、ビームの変形が進むに連れて曲げ剛性が低下し、耐えられる荷重値も急激に低下するという欠点があった(後記比較例1及び2参照)。そして、従来のドアインパクトビームでは、このような欠点を補うためにハット形断面の大型化を図る等の対策を講じる必要があり、重量増等の不都合を招いていた。
【0007】
本発明の目的は、車両衝突時の荷重入力に際しても、断面高さを維持して曲げ剛性の低下を極力防止することができる車両用衝突補強材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、相対向する一対のウェブと、前記両ウェブの後端部同士を連結する中央板部と、前記両ウェブの各々の前端部からそれぞれ外方向に延出した一対の側部フランジとを有する長尺な本体部を備え、その本体部の横断面形状が、前記一対のウェブ、中央板部及び一対の側部フランジによってウェブの前端部側に開口したハット形開放断面形状をなしている車両用衝突補強材であって、前記本体部を、その長手方向中央部又はその近傍を占める第1部分、前記第1部分につながる第2部分、及び、当該本体部の長手方向一端部と前記第2部分とをつなぐ第3部分に区分するとき、前記第1部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C1)が最も狭くなり、前記第3部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C3)が最も広くなり、且つ、第1部分と第3部分との間に位置する前記第2部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C2)が第1部分から第3部分に向かうにつれて次第に広くなるように、前記一対のウェブが形成されていることを特徴とする車両用衝突補強材である。
【0009】
請求項1の車両用衝突補強材は、その本体部のハット形開放断面形状の開口側が衝突時の荷重入力方向に向き合うような配置で車両に取り付けられる。故に車両の衝突時には、衝突荷重が先ず一対の側部フランジによって受け止められ、両側部フランジを介して両ウェブ及びこれらを連結している中央板部に伝達されると共に、一対の側部フランジ、一対のウェブ及び中央板部からなる衝突補強材本体部が荷重点(荷重を受けた箇所)を中心として湾曲変形することにより、荷重分散及び衝突エネルギーの吸収が図られる。上述のように、車両用衝突補強材の本体部を構成する一対のウェブは、第1部分(長手方向中央部又はその近傍)におけるウェブ前端部間の間隔(C1)が最も狭くなり、第3部分におけるウェブ前端部間の間隔(C3)が最も広くなり、且つ、第1部分と第3部分との間に位置する第2部分におけるウェブ前端部間の間隔(C2)が第1部分から第3部分に向かうにつれて次第に広くなるように形成されている。このため、荷重点を中心とした本体部の湾曲変形が進行し、当該本体部の変形が弾性域(形状復元可能に弾性変形可能な状態)を超えて塑性域(塑性変形した状態)に達すると、第1部分及び第2部分の両ウェブ及び両側部フランジには、これらを互いに接近させようとする力が働く。つまり、本体部の湾曲変形が進むにつれて、相対向する一対のウェブが内方向(互いに接近する方向)に倒れ込み、ひいては両ウェブの前端部同士(又は両側部フランジの内端部同士)が相互接触することで、両ウェブがそれ以上傾倒することが阻止される(図6参照)。その結果、本体部のハット形開放断面形状の偏平化(潰れ又は開き)が阻止され、車両用衝突補強材の本体部の断面高さが維持されて曲げ剛性の低下が防止される。
【0010】
請求項2の発明は、相対向する一対のウェブと、前記両ウェブの後端部同士を連結する中央板部と、前記両ウェブの各々の前端部からそれぞれ外方向に延出した一対の側部フランジとを有する長尺な本体部を備え、その本体部の横断面形状が、前記一対のウェブ、中央板部及び一対の側部フランジによってウェブの前端部側に開口したハット形開放断面形状をなしている車両用衝突補強材であって、前記本体部を、その長手方向に沿って複数のブロックに区分すると共に、これら複数のブロックの各々を更に、当該ブロック区間の長手方向中央部又はその近傍を占める第1部分、前記第1部分の両側にそれぞれつながる一対の第2部分、及び、当該ブロック区間の両端部をそれぞれ占める一対の第3部分に区分するとき、前記各ブロックの第1部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C1)が最も狭くなり、前記各ブロックの第3部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C3)が最も広くなり、且つ、第1部分と第3部分との間に位置する前記各ブロックの第2部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C2)が第1部分から第3部分に向かうにつれて次第に広くなるように、前記一対のウェブが形成されていることを特徴とする車両用衝突補強材である。
【0011】
請求項2の車両用衝突補強材では、長尺な本体部がその長手方向に沿って複数のブロックに区分されると共に、これら複数のブロックの各々において、請求項1に記載の車両用衝突補強材の本体部と同様の構造を有している。つまり、請求項2の車両用衝突補強材の本体部は、請求項1の車両用衝突補強材の本体部の構造単位を複数個直列的に連結したものに相当する。従って、車両の衝突時においても、請求項2の車両用衝突補強材は、請求項1の車両用衝突補強材と同様の作用及び特性を示す。それ故、請求項2の車両用衝突補強材によれば、車両の衝突時においても、本体部のハット形開放断面形状の偏平化(潰れ又は開き)が阻止され、車両用衝突補強材の本体部の断面高さが維持されて曲げ剛性の低下が防止される。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の車両用衝突補強材において、前記第1部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C1)と、同じく第1部分における前記側部フランジの幅(S1)との比(C1/S1)が、1/3〜1/1の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0013】
上記の比(C1/S1)が1/3〜1/1の範囲に設定されることで、車両衝突時における本体部のハット形開放断面形状の偏平化(潰れ又は開き)が効果的に阻止され得る。仮に上記の比(C1/S1)が1/3未満になると、第1部分での側部フランジの幅(S1)に対するウェブ前端部間の間隔(C1)があまりにも小さくなって、本体部の第1部分におけるハット形開放断面形状から箱形状としての広がりが失われてしまい、却って本来的な荷重分散及び衝突エネルギー吸収の能力が損なわれるおそれがある。他方、上記の比(C1/S1)が1/1を超えると、第1部分でのウェブ前端部間の間隔(C1)が相対的に大き過ぎる結果、荷重点を中心とした本体部の湾曲変形時に第1部分の両ウェブ及び両側部フランジを互いに接近させようとする応力が過小となり、ハット形開放断面形状の偏平化阻止効果が著しく低下するおそれがある。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3に記載の車両用衝突補強材において、前記第3部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C3)と、同じく第3部分における前記側部フランジの幅(S3)との比(C3/S3)が、1.5/1〜3/1の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0015】
上記の比(C3/S3)が1.5/1〜3/1の範囲に設定されることで、車両衝突時における本体部のハット形開放断面形状の偏平化(潰れ又は開き)が効果的に阻止され得る。仮に上記の比(C3/S3)が1.5/1未満になると、第3部分でのウェブ前端部間の間隔(C3)が小さくなる結果、第3部分でのウェブ前端部間の間隔(C3)に比べて第1部分でのウェブ前端部間の間隔(C1)を有意的に小さくすることができず、従来構造との有意差を出すことが難しくなる。他方、上記の比(C3/S3)が3/1を超えると、第3部分でのウェブ前端部間の間隔(C3)に対する側部フランジの幅(S3)があまりにも小さくなる結果、ハット形開放断面形状ではなくコの字形開放断面形状に近づいてしまい、ハット形開放断面形状に基づく本来的な荷重分散及び衝突エネルギー吸収の能力が損なわれるおそれがある。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1、2、3又は4に記載の車両用衝突補強材において、前記第1部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C1)と、前記第3部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C3)との比(C1/C3)が1/3〜1/1.5の範囲に設定されていることを特徴とする。
【0017】
上記の比(C1/C3)が1/3〜1/1.5の範囲に設定されることで、車両衝突時における本体部のハット形開放断面形状の偏平化(潰れ又は開き)が効果的に阻止され得る。仮に上記の比(C1/C3)が1/3未満になると、第1部分でのウェブ前端部間の間隔(C1)があまりにも小さくなって、第1部分におけるハット形開放断面形状から箱形状としての広がりが失われてしまい、却って本来的な荷重分散及び衝突エネルギー吸収の能力が損なわれるおそれがある。他方、上記の比(C1/C3)が1/1.5を超えると、第3部分でのウェブ前端部間の間隔(C3)に比べて第1部分でのウェブ前端部間の間隔(C1)を有意的に小さくするとの趣旨が実現できず、従来構造との有意差を出すことが難しくなる。
【0018】
[付記]本発明の更に好ましい態様や追加的構成要件を以下に列挙する。
イ.請求項1〜5において、前記長尺な本体部の長手方向両端部には、それぞれブラケット部が一体成形されていること。
ロ.請求項1〜5において、前記長尺な本体部の幅は、その長手方向の全体にわたってほぼ均一な幅を有すること。
【発明の効果】
【0019】
以上詳述したように各請求項に記載の車両用衝突補強材によれば、車両の衝突時においても、本体部のハット形開放断面形状の偏平化(潰れ又は開き)が極力阻止されるため、車両用衝突補強材の本体部の断面高さを維持して曲げ剛性の低下を極力防止することができる。また、本発明によれば、衝突時における耐荷重性能の急激な低下を防止することができるため、耐荷重性能を所望レベル以上に保つために車両用衝突補強材の大型化(ひいては重量増)を図る必要が無く、従来構造の車両用衝突補強材に比べて軽量化を図ることが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を車両用衝突補強材の一種であるドアインパクトビームに具体化した一実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、ドアインパクトビームは乗用自動車のサイドドアに取り付けられる。図1及び図2に示すように、一般に乗用自動車のサイドドアは、車体の内側に位置するドアインナパネル1と、車体の外側に位置するドアアウタパネル2とを具備し、両ドアパネル1,2の間には、ウインドウガラス3及びガラスホルダー4が配置される。ドアインナパネル1の下半部周縁域には、ドアインパクトビームを固着すべくドアアウタパネル2側にやや盛り上がった段部1aが形成されており、この段部1aは、ウインドウガラス3及びガラスホルダー4と、ドアアウタパネル2との中間に位置する(図2参照)。
【0021】
図3及び図4に示すように、ドアインパクトビームは、図面(図3(A)及び(B))の左右方向に延びる長尺な本体部10を備え、この本体部10の両端にはそれぞれブラケット部9が一体成形されている。この長尺な本体部10は、相対向する一対のウェブ11(腹板部)と、両ウェブ11の後端部11a同士を連結する中央板部12(「中央フランジ」ともいう)と、各ウェブ11の前端部11bからそれぞれの外方向(図3(A)の上及び下方向、図4の左及び右方向)に延出した一対の側部フランジ13とを有している。その結果、一対のウェブ11、中央板部12及び一対の側部フランジ13によって、本体部10の横断面形状が、ウェブの前端部11b側に開口したハット形開放断面形状に形成されている。尚、本実施形態では図3(B)及び(C)並びに図4に示すように、両側部フランジ13の各々の外端部には、ウェブの後端方向に向かって折り返された折り曲げ部14が設けられている。但し、これらの折り曲げ部14は本発明にとって必須の構成要素ではないので、折り曲げ部14は省略されてもよい。
【0022】
本実施形態のドアインパクトビームの本体部10は、その長手方向中央部及びその近傍を占める第1部分P1、前記第1部分P1の長手方向両側にそれぞれつながる一対の第2部分P2、並びに、当該本体部10の長手方向両端部(つまりブラケット部9)と前記一対の第2部分P2とをそれぞれつなぐ一対の第3部分P3に区分される。第2部分P2は第1部分P1と第3部分P3との間に位置している。
【0023】
ところで、図4(A)に示すように、第1部分P1における両ウェブの前端部11b間の間隔(即ち中央板部12の幅)をC1、第1部分P1における各側部フランジ13の幅をS1とし、図示はしないが、第2部分P2における両ウェブの前端部11b間の間隔(即ち中央板部12の幅)をC2、第2部分P2における各側部フランジ13の幅をS2とし、更に図4(B)に示すように、第3部分P3における両ウェブの前端部11b間の間隔(即ち中央板部12の幅)をC3、第3部分P3における各側部フランジ13の幅をS3とする。すると、第1部分P1の全体幅は[C1+2×S1]で、第2部分P2の全体幅は[C2+2×S2]で、ブラケット部9の近傍を除く第3部分P3の全体幅は[C3+2×S3]でそれぞれ表される。本実施形態のドアインパクトビームの本体部10は、その長手方向の全体にわたってほぼ均一な幅を有している。つまり、第1部分P1の全体幅[C1+2×S1]と、 第2部分P2の全体幅[C2+2×S2]と、ブラケット部9の近傍を除く第3部分P3の全体幅[C3+2×S3]の三者がほぼ同じ幅に設定されている。なお、このドアインパクトビームの本体部10の断面高さは、第1部分P1の中央(即ち本体部10の長手方向中央位置)における断面高さH1(図4(A)参照)が最大となっており、そこから本体部10の両端部に向かって次第に小さくなっている。
【0024】
そして、本実施形態における相対向する一対のウェブ11は、第1部分P1における両ウェブの前端部11b間の間隔C1が最も狭くなり、第3部分P3における両ウェブの前端部11b間の間隔C3が最も広くなり、且つ、第2部分P2における両ウェブの前端部11b間の間隔が第1部分P1から第3部分P3に向かうにつれて次第に広くなるように形成されている(図3参照)。即ち、C1<C2<C3の寸法関係、及び、S3<S2<S1の寸法関係が成立するように、一対のウェブ11、中央板部12及び一対の側部フランジ13が形成されている。
【0025】
更に具体的には、第1部分P1における両ウェブの前端部11b間の間隔C1と、第1部分P1における側部フランジ13の幅S1との比(C1/S1)が、1/3〜1/1の範囲となるように寸法設定されることが好ましい。ちなみに図4(A)では、C1/S1=1/1.5に設定されている。また、第3部分P3における両ウェブの前端部11b間の間隔C3と、第3部分P3における側部フランジ13の幅S3との比(C3/S3)が、1.5/1〜3/1の範囲となるように寸法設定されることが好ましい。ちなみに図4(B)では、C3/S3=1.6/1に設定されている。更に、第1部分P1における両ウェブの前端部11b間の間隔C1と、第3部分P3における両ウェブの前端部11b間の間隔C3との比(C1/C3)が、1/3〜1/1.5の範囲となるように寸法設定されることが好ましい。ちなみに図4では、C1/C3=1/1.6に設定されている。
【0026】
なお、本実施形態のドアインパクトビームは、金属板材(例えば厚さ1〜4mmの高張力鋼板)をプレスで一体成形することにより製造される。プレス成形の手法は熱間プレス又は冷間プレスのいずれでもよいが、プレス直前に金属板材を所定の高温度まで加熱し、その高温状態の金属板材に対して相対的に冷えたプレス型でプレス加工を施す熱間プレスの方が好ましい。一般に熱間プレスによれば、ダイクエンチ効果による引張り強度の飛躍的向上や成形後の寸法安定性の向上等を図ることができる。また、金属板材としては、高張力鋼板以外に、亜鉛メッキ鋼板、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板などを用いることができる。
【0027】
本実施形態のドアインパクトビームは、図1及び図2に示すような態様でドアの内部に取り付けられる。即ち、ハット形開放横断面がドアアウタパネル2に向けて開口するような向きでドアインパクトビームが配置されると共に、その両端のブラケット部9をドアインナパネル1の前後の段部1aにスポット溶接することで、ドアインパクトビームがドア内部に固定される。ドアインナパネルの段部1aはドアアウタパネル2側に盛り上がっているため、ドアインパクトビームのドアインナパネル1への固定後にドアアウタパネル2の取り付けを完了した段階で、ドアインパクトビームの一対の側部フランジ13がドアアウタパネル2の内面に接近配置される。
【0028】
(性能評価):ドアインパクトビームをドア内部に取り付けた状態での側面衝突を想定して、図5に示すような三点曲げ試験に基づき、本実施形態のドアインパクトビームの性能特性を評価した。即ち図5(A)に示すように、所定間隔を隔てた二つの支脚6間に評価対象物たるドアインパクトビームを架け渡すと共に、両支脚6の中間に位置するドアインパクトビームの第1部分P1に対し、略蒲鉾型の押圧具7を用いて上から下に向かう垂直荷重を入力した。なお、図1及び図2に示したドアビーム取り付け構造に対応させるべく、図5(B)に示すように、ハット形開放横断面の開口部が押圧具7に対向して上向きに開口すると共に、二つの側部フランジ13が押圧具7下側の押圧面7aに接するような姿勢でドアインパクトビームを両支脚6上に配置し、その状態でドアインパクトビームの第1部分P1に対し、押圧具7により垂直荷重を入力した。このようにして計測された本実施形態のドアインパクトビームの性能特性を図8のグラフに実線(「実施例」と表記)で示す。
【0029】
図8のグラフは、ドアインパクトビームの垂直荷重に対する反力の大きさ(以下「対荷重反力」と呼ぶ)と、押圧点におけるドアインパクトビームの変形ストローク量との関係を示す。このグラフからわかるように本実施形態では、対荷重反力が最大値(Max)にほぼ達するまでの範囲(即ち変形ストローク量が0から50mmになるまでの範囲)では、右上がり傾向、つまり変形ストローク量の増大に伴って対荷重反力も単調増加する傾向を示した。更に、変形ストローク量が50mmを超えたあとも対荷重反力は前記最大値(Max)の水準をほぼ維持し、変形ストローク量が100mmを超えるあたりから対荷重反力が徐々に低下する傾向を示した。つまり本実施形態によれば、側面衝突時にドアインパクトビームの変形量が増大していっても、衝突エネルギーの吸収性能が急に低下することがなく、衝突エネルギー吸収性能を安定的に維持することができる。
【0030】
本実施形態のドアインパクトビームでは、垂直荷重の入力に伴いドアインパクトビームが湾曲変形する過程で、図6に示すように、両ウェブ11が内側に倒れ込むと共に、押圧具7による押圧が終了するまでの間に両ウェブの前端部11bが相互接触することで第1部分P1の潰れ(偏平化)が阻止されることが観察された。即ち、荷重入力時においても断面高さが極力維持され曲げ剛性の低下が防止されるために、本実施形態のドアインパクトビームは上述のように安定した衝突エネルギー吸収性能を発揮できると考えられる(後記比較例1及び2との対比による)。
【0031】
なお、荷重入力に伴い両ウェブ11が内側に倒れ込む理由については次のように考えられる。即ち、押圧具7が第1部分P1の押圧を開始した当初、つまり本体部10が弾性変形可能な状態においては、応力が第1部分P1から第2部分P2を介し第3部分P3に向かって分散する。その後、押圧具7による第1部分P1の押圧が更に進行し、本体部10の変形が弾性域を超えて塑性域(塑性変形した状態)に達すると、前記分散していた応力が第3部分P3から第2部分P2に向けて戻ってくると共に、それらの応力が第1部分P1に集中する(図7参照)。その際、上述のようにドアインパクトビームの本体部10を構成する一対のウェブ11は、第1部分P1におけるウェブ前端部間の間隔C1が最も狭くなり、第3部分P3におけるウェブ前端部間の間隔C3が最も広くなり、且つ、第2部分P2におけるウェブ前端部間の間隔C2が第1部分P1から第3部分P3に向かうにつれて次第に広くなるように形成されているために、第1部分及び第2部分の両ウェブ11及び両側部フランジ13には、これらを互いに接近させようとする力(具体的には、第1部分P1に集中する前記戻り応力の本体部幅方向に沿った分力)が働く。従って、本体部10の湾曲変形が進むにつれて、相対向する一対のウェブ11が内側に倒れ込み、最終的には両ウェブの前端部11bが相互接触することで第1部分P1における断面高さH1が極力維持される。
【0032】
このように本実施形態のドアインパクトビームによれば、側面衝突時の荷重入力に際しても、相対向する一対のウェブの前端部11b同士が相互接触することで両ウェブ11がそれ以上傾倒することを阻止できる。そして、本体部10のハット形開放断面形状の偏平化(潰れ又は開き)を阻止して本体部10の断面高さを維持することにより、曲げ剛性の低下を防止することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、一対の側部フランジ13の各々の外端部に、本体部10の長手方向全体にわたって延びる折り曲げ部14を設けているが、これらの折り曲げ部14も、本体部10の剛性を高めるのに役立ち、側面衝突時に両ウェブ11が互いに離間する方向に開くことを阻止することに貢献する。
【0034】
[比較例1]
図9、図10及び図11は、本発明と対比されるべき比較例1(特許文献1の従来例に相当する)を示す。図9(A)〜(C)に示すように、比較例1のドアインパクトビームは、両端にブラケット部9が一体成形された長尺な本体部10を備え、その本体部10が一対のウェブ11、中央板部12、一対の側部フランジ13及び一対の折り曲げ部14を有しており、これらの点は上記実施形態と同じである。但し、比較例1のドアインパクトビームでは、両ウェブ11が本体部10の長手方向の全体にわたり平行に形成されており、本体部10の長手方向に沿ったいずれの箇所においても、両ウェブの前端部11b間の間隔はほぼ一定である。つまり、上記実施形態と同様に、長尺な本体部10を第1部分P1、第2部分P2及び第3部分P3に区分するとき、第1部分P1における両ウェブの前端部間の間隔C1、第2部分P2における両ウェブの前端部間の間隔C2、第3部分P3における両ウェブの前端部間の間隔C3のいずれもが等しくなっている(C1=C2=C3)。
【0035】
比較例1のドアインパクトビームに対して図5と同様の三点曲げ試験を行い、その性能特性を評価した。その計測結果を図11のグラフに破線(「比較例1」と表記)で示す。このグラフからわかるように比較例1では、変形ストローク量が0から約30mmの範囲では、上記実施形態と同じように右上がり傾向(つまり変形ストローク量の増大に伴って対荷重反力も単調増加する傾向)を示したが、変形ストローク量が約30mmを超えてからは、対荷重反力が急勾配で単調減少傾向を示し、変形ストローク量が150mmに達した時点で比較例1の対荷重反力は、上記実施形態の対荷重反力の最大値(Max)の三分の一程度にまで低下した。つまり比較例1のドアインパクトビームでは、側面衝突時にドアインパクトビームの変形量が増大していくと、衝突エネルギーの吸収性能が比較的早く急低下し、衝突エネルギー吸収性能を安定的に維持することができない。
【0036】
比較例1のドアインパクトビームでは、垂直荷重の入力に伴いドアインパクトビームが湾曲変形する過程で、図10に示すように、両ウェブ11が外側に倒れると共に、押圧具7による押圧が終了するまでの間に両ウェブの前端部11bが外方向(互いに離間する方向)に開いてしまうという第1部分P1の潰れ(偏平化)が観察された。このように、荷重入力時において断面高さを維持できず、曲げ剛性の低下を防止できないために、比較例1のドアインパクトビームの衝突エネルギー吸収性能は上記実施形態よりも低くなるものと考えられる。
【0037】
[比較例2]
図12、図13及び図14は、本発明と対比されるべき比較例2(特許文献2の従来例に相当する)を示す。図12(A)〜(C)に示すように、比較例2のドアインパクトビームは、両端にブラケット部9が一体成形された長尺な本体部10を備え、その本体部10が一対のウェブ11、中央板部12、一対の側部フランジ13及び一対の折り曲げ部14を有しており、これらの点は上記実施形態と同じである。但し、上記実施形態と同様に、比較例2のドアインパクトビームの長尺な本体部10を第1部分P1、第2部分P2及び第3部分P3に区分するとき、相対向する一対のウェブ11は、第1部分P1における両ウェブの前端部間の間隔C1が最も広くなり、第3部分P3における両ウェブの前端部間の間隔C3が最も狭くなり、且つ、第2部分P2における両ウェブの前端部間の間隔が第1部分P1から第3部分P3に向かうにつれて次第に狭くなるように形成されている。即ち、C3<C2<C1の寸法関係、及び、S1<S2<S3の寸法関係(つまり上記実施形態の場合とは逆傾向の寸法関係)が成立するように、一対のウェブ11、中央板部12及び一対の側部フランジ13が形成されている。
【0038】
比較例2のドアインパクトビームに対して図5と同様の三点曲げ試験を行い、その性能特性を評価した。その計測結果を図14のグラフに破線(「比較例2」と表記)で示す。このグラフからわかるように比較例2では、変形ストローク量が0から約30mmの範囲では、上記実施形態と同じように右上がり傾向(つまり変形ストローク量の増大に伴って対荷重反力も単調増加する傾向)を示したが、変形ストローク量が約30mmを超えてからは、対荷重反力が急勾配で単調減少傾向を示し、変形ストローク量が150mmに達した時点で比較例2の対荷重反力は、上記実施形態の対荷重反力の最大値(Max)の三分の一程度にまで低下した。つまり比較例2のドアインパクトビームでは、側面衝突時にドアインパクトビームの変形量が増大していくと、衝突エネルギーの吸収性能が比較的早く急低下し、衝突エネルギー吸収性能を安定的に維持することができない。なお、図14に示した比較例2の性能特性は、図11に示した比較例1の性能特性よりも更に悪いものであった。
【0039】
比較例2のドアインパクトビームでは、垂直荷重の入力に伴いドアインパクトビームが湾曲変形する過程で、図13に示すように、両ウェブ11が外側に倒れると共に、押圧具7による押圧が終了するまでの間に両ウェブの前端部11bが外方向(互いに離間する方向)に開いてしまうという第1部分P1の潰れ(偏平化)が観察された。このように、荷重入力時において断面高さを維持できず、曲げ剛性の低下を防止できないために、比較例2のドアインパクトビームの衝突エネルギー吸収性能は上記実施形態よりも低くなるものと考えられる。
【0040】
[変更例1]
図15及び図17は、本発明の範疇に含まれる変更例1を示す。図15(A)〜(C)に示すように、変更例1のドアインパクトビームは、両端にブラケット部9が一体成形された長尺な本体部10を備え、その本体部10が一対のウェブ11、中央板部12、一対の側部フランジ13及び一対の折り曲げ部14を有しており、これらの点は上記実施形態と同じである。変更例1では、本体部10の長手方向中心位置31において両ウェブの前端部11b間の間隔C1が最も狭くなり、本体部10の長手方向両端位置33(即ちブラケット部9との連結位置33)において両ウェブの前端部11b間の間隔C3が最も広くなり、更には、前記長手方向中心位置31から長手方向両端位置33に向かうにつれて両ウェブの前端部11b間の間隔C2が次第に広くなるように、両ウェブ11が形成されている(C1<C2<C3)。つまり、上記実施形態では、一対の第2部分P2は本体部10の全長のうちのほんの一部を占めるに過ぎなかったのに対し(図3参照)、変更例1では、一対の第2部分P2が本体部10の全長のうちの大部分を占めており、二つの第2部分P2の各々における中央寄り端部(即ち前記長手方向中心位置31付近)を超短区間の第1部分P1として位置づけると共に、二つの第2部分P2の各々におけるブラケット部寄り端部(即ち前記長手方向両端位置33付近)を超短区間の第3部分P3として位置づけるような構造となっている。なお、変更例1のドアインパクトビームにおけるその他の構成は上記実施形態に準ずる。
【0041】
変更例1のドアインパクトビームに対して図5と同様の三点曲げ試験を行い、その性能特性を評価した。その計測結果を図17のグラフに破線(「変更例1」と表記)で示す。このグラフからわかるように、変更例1のドアインパクトビームは、上記実施形態とほぼ同等の衝突エネルギー吸収性能を示した。なお、変更例1のドアインパクトビームでも、上記実施形態と同様、垂直荷重の入力に伴ってドアインパクトビームが湾曲変形する過程で、両ウェブ11が内側に倒れ込むと共に、押圧具7による押圧が終了するまでの間に両ウェブの前端部11bが相互接触することで第1部分P1及び第2部分P2の潰れ(偏平化)が阻止されることが観察された。
【0042】
[変更例2]
図16及び図18は、本発明の範疇に含まれる変更例2を示す。図16(A)〜(C)に示すように、変更例2のドアインパクトビームは、両端にブラケット部9が一体成形された長尺な本体部10を備え、その本体部10が一対のウェブ11、中央板部12、一対の側部フランジ13及び一対の折り曲げ部14を有しており、これらの点は上記実施形態と同じである。変更例2のドアインパクトビームは、上記実施形態のドアインパクトビームの本体部10を一構造単位とした場合に当該構造単位を複数個直列的に連結したものに相当する。
【0043】
具体的には図16(A)及び(B)に示すように、本体部10は、その長手方向に沿ってほぼ等間隔に5つのブロックB1〜B5に区分される。更にこれら5つのブロックB1〜B5の各々は、各ブロック区間の長手方向中央部及びその近傍を占める第1部分P1、前記第1部分P1の長手方向両側にそれぞれつながる一対の第2部分P2、並びに、各ブロック区間の長手方向両端部を占める一対の第3部分P3に区分される。なお、各ブロックの第3部分P3は超短区間の部分であり、隣り合うブロック同士では両者の隣接境界に位置する一つの第3部分P3が共有されている。例えば、第1ブロックB1の右端に位置する第3部分P3と、第2ブロックB2の左端に位置する第3部分P3とは共通する。そして、5つのブロックB1〜B5の各々では、各ブロックの第1部分P1における両ウェブの前端部11b間の間隔C1が最も狭くなり、各ブロックの第3部分P3における両ウェブの前端部11b間の間隔C3が最も広くなり、且つ、各ブロックの第2部分P2における両ウェブの前端部11b間の間隔C2が第1部分P1から第3部分P3に向かうにつれて次第に広くなるように、両ウェブ11が形成されている(C1<C2<C3)。なお、変更例2のドアインパクトビームにおけるその他の構成は上記実施形態に準ずる。
【0044】
変更例2のドアインパクトビームに対して図5と同様の三点曲げ試験を行い、その性能特性を評価した。その計測結果を図18のグラフに破線(「変更例2」と表記)で示す。このグラフからわかるように変更例2では、変形ストローク量が0から約50mmの範囲では、上記実施形態と同じように右上がり傾向(つまり変形ストローク量の増大に伴って対荷重反力も単調増加する傾向)を示すと共に、変形ストローク量が約50mmのところで、上記実施形態と同程度の対荷重反力の最大値(Max)を示した。その一方で、変形ストローク量が約50mmを超えてからは、対荷重反力が明確な単調減少傾向を示したが、変形ストローク量が約50〜150mmの範囲における変更例2の対荷重反力は概して前記比較例1及び2の対荷重反力を上回っていた。総合評価では、変更例2の衝突エネルギー吸収性能は、上記実施形態及び変更例1に比べてやや劣るが、比較例1及び2よりも明らかに良好な性能を示した。なお、変更例2のドアインパクトビームでも、上記実施形態と同様、垂直荷重の入力に伴ってドアインパクトビームが湾曲変形する過程で、第3ブロックB3の第1部分P1及び第2部分P2の両ウェブ11が内側に倒れ込むと共に、押圧具7による押圧が終了するまでの間に両ウェブの前端部11bが相互接触することで当該第1部分P1及び第2部分P2の潰れ(偏平化)が阻止されることが観察された。
【0045】
[その他の変更例]
本発明は、ドアインパクトビーム以外の他の車両用衝突補強材(例えば、バンパーリインフォースメント)にも適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ドアアウタパネルを外した状態でのドア内部の正面図。
【図2】ドア内部の概略を示すドアの横断面図。
【図3】実施形態のドアインパクトビームを示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)はドアインパクトビームの片側半分の斜視図。
【図4】(A)は図3(A)のX−X線での拡大横断面図、(B)は図3(A)のY−Y線での拡大横断面図。
【図5】(A)は性能評価試験の概要を示す正面図、(B)は(A)のZ−Z線での拡大概略断面図。
【図6】実施形態のドアインパクトビームにおける性能評価試験前後の様子を示す斜視図及び中央位置での断面図。
【図7】実施形態のドアインパクトビームへの荷重入力時における戻り応力集中を説明するための部分斜視図。
【図8】実施形態のドアインパクトビーム(実施例)の性能特性を示すグラフ。
【図9】比較例1のドアインパクトビームを示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)はドアインパクトビームの片側半分の斜視図。
【図10】比較例1のドアインパクトビームにおける性能評価試験前後の様子を示す斜視図及び中央位置での断面図。
【図11】比較例1と実施例の性能特性を示すグラフ。
【図12】比較例2のドアインパクトビームを示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)はドアインパクトビームの片側半分の斜視図。
【図13】比較例2のドアインパクトビームにおける性能評価試験前後の様子を示す斜視図及び中央位置での断面図。
【図14】比較例2と実施例の性能特性を示すグラフ。
【図15】変更例1のドアインパクトビームを示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)はドアインパクトビームの片側半分の斜視図。
【図16】変更例2のドアインパクトビームを示し、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)はドアインパクトビームの片側半分の斜視図。
【図17】変更例1と実施例の性能特性を示すグラフ。
【図18】変更例2と実施例の性能特性を示すグラフ。
【符号の説明】
【0047】
9…ブラケット部、10…長尺な本体部、11…ウェブ(腹板部)、11a…ウェブの後端部、11b…ウェブの前端部、12…中央板部、13…側部フランジ、P1…第1部分、P2…第2部分、P3…第3部分、B1〜B5…複数のブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する一対のウェブと、前記両ウェブの後端部同士を連結する中央板部と、前記両ウェブの各々の前端部からそれぞれ外方向に延出した一対の側部フランジとを有する長尺な本体部を備え、その本体部の横断面形状が、前記一対のウェブ、中央板部及び一対の側部フランジによってウェブの前端部側に開口したハット形開放断面形状をなしている車両用衝突補強材であって、
前記本体部を、その長手方向中央部又はその近傍を占める第1部分、前記第1部分につながる第2部分、及び、当該本体部の長手方向一端部と前記第2部分とをつなぐ第3部分に区分するとき、前記第1部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C1)が最も狭くなり、前記第3部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C3)が最も広くなり、且つ、第1部分と第3部分との間に位置する前記第2部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C2)が第1部分から第3部分に向かうにつれて次第に広くなるように、前記一対のウェブが形成されていることを特徴とする車両用衝突補強材。
【請求項2】
相対向する一対のウェブと、前記両ウェブの後端部同士を連結する中央板部と、前記両ウェブの各々の前端部からそれぞれ外方向に延出した一対の側部フランジとを有する長尺な本体部を備え、その本体部の横断面形状が、前記一対のウェブ、中央板部及び一対の側部フランジによってウェブの前端部側に開口したハット形開放断面形状をなしている車両用衝突補強材であって、
前記本体部を、その長手方向に沿って複数のブロックに区分すると共に、これら複数のブロックの各々を更に、当該ブロック区間の長手方向中央部又はその近傍を占める第1部分、前記第1部分の両側にそれぞれつながる一対の第2部分、及び、当該ブロック区間の両端部をそれぞれ占める一対の第3部分に区分するとき、前記各ブロックの第1部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C1)が最も狭くなり、前記各ブロックの第3部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C3)が最も広くなり、且つ、第1部分と第3部分との間に位置する前記各ブロックの第2部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C2)が第1部分から第3部分に向かうにつれて次第に広くなるように、前記一対のウェブが形成されていることを特徴とする車両用衝突補強材。
【請求項3】
前記第1部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C1)と、同じく第1部分における前記側部フランジの幅(S1)との比(C1/S1)が、1/3〜1/1の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用衝突補強材。
【請求項4】
前記第3部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C3)と、同じく第3部分における前記側部フランジの幅(S3)との比(C3/S3)が、1.5/1〜3/1の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の車両用衝突補強材。
【請求項5】
前記第1部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C1)と、前記第3部分における前記一対のウェブの前端部間の間隔(C3)との比(C1/C3)が、1/3〜1/1.5の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の車両用衝突補強材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−179174(P2008−179174A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12151(P2007−12151)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)