説明

車両運行管理システム、その顧客端末、その顧客端末における稼動方法、その顧客端末のプログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】顧客における問い合わせや帳票整理の手間を省略できる車両運行管理システム、その顧客端末、その顧客端末における稼動方法、その顧客端末のプログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】顧客端末300において運転日報のみでよいか車速履歴のみでよいか両方揃う必要があるかを設定しておき、その条件で定期的に基地局200に問い合わせる。基地局200では、条件に合う新規データのみ送信する。両方揃う必要があるデータは、両方揃って初めて顧客端末300にダウンロードされる。よって、車両ごとに、運転日報と車速履歴の帳票を一括して印刷できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客における問い合わせや帳票整理の手間を省略できる車両運行管理システム、その顧客端末、その顧客端末における稼動方法、その顧客端末のプログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
荷を運送する車両とその運送事業者の事業所と荷主の事業所とをネットワークで繋ぎ、車両のリアルタイムな情報(運行状況、現在位置など)を運送事業者や荷主が把握できるようにすると共に、運送事業者や荷主から車両に対して指令・依頼をメール送信できるようにしたシステムがある。
【0003】
一方、運送事業者においては、車両ごとに、毎日の運転状況を帳票化した運転日報を作成してその内容を確認することが義務づけられている。また、大型車については、時間ごとの車速の履歴を帳票化した車速履歴(タコグラフ)を作成してその内容を確認することが義務づけられている。
【0004】
このような帳票の作成業務を省力化するシステムとして、車両に無線送信器(このための専用無線回線でもよいし、一般の車両無線回線、携帯電話回線などを利用してもよい)を搭載し、車両ごとのデータを基地局に送信し、通信網を利用して顧客である事業所に車両ごとのデータを提供する車両運行管理システムがある。基地局としてサーバを設置し、サーバは車両から送信されるデータを受信して車両の識別番号に対応付けてデータを蓄積する。顧客は端末を使用してサーバにアクセスし、車両の識別番号を用いて所望した車両のデータをダウンロードする。このとき、サーバにおいてデータを帳票形式に編集し、帳票を送信するようにしておくと、顧客はダウンロードしたデータを帳票形式に編集する必要がなく、ダウンロードしたままの帳票を印刷するだけでよいので、便利である。
【0005】
【特許文献1】特開2002−117478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、顧客において、オペレータが適宜な時間に端末を操作してサーバにアクセスし、所望の車両のデータを取得しようとしても、サーバにはまだ新規なデータが揃ってないことが有り得る。
【0007】
なぜなら、車両には、操作ボタンが設けられており、運転者が操作ボタンを操作することによってデータがサーバに送られる。操作ボタンを操作していない状態では、新規なデータがサーバに到着していないので、顧客はデータを取得できない。
【0008】
顧客にとっては、いつ車両からデータがサーバに送られるかは不明であるため、データを取得できるまで端末操作を何度も試みなければならず、不便である。
【0009】
また、電波環境が悪いときには、車両から運転日報と車速履歴が同時に送信されるとは限らない。このとき、サーバに到着しているデータを随時ダウンロードして印刷してしまうと、これら種類の異なる帳票が車両ごとにまとまらないため、オペレータが帳票を車両別に整理するのに手間がかかる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、顧客における問い合わせや帳票整理の手間を省略できる車両運行管理システム、その顧客端末、その顧客端末における稼動方法、その顧客端末のプログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明の車両運行管理システムは、運行される車両に、当該車両の運転日報のデータを作成する運転日報データ作成部と、当該車両の車速履歴のデータを作成する車速履歴データ作成部と、データを無線送信する送信部と、運転日報データと車速履歴データのいずれか一方又は両方の作成完了されたデータを上記送信部から送信させるための操作ボタンとを備え、上記無線送信されたデータを受信する基地局に、各車両から送信されてきたデータを車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積するデータ蓄積部と、顧客端末と通信して顧客が所望する車両について運転日報データと車速履歴データのいずれか一方又は両方の指定されたデータが新規に蓄積されていれば新規データが蓄積されたことを通知する通知部と、蓄積されたデータに基づき所望の車両の運転日報の帳票を作成する運転日報帳票作成部と、顧客端末から要求された車両の運転日報帳票を送信する運転日報帳票送信部と、顧客端末から要求された車両の車速履歴データを送信する車速履歴データ送信部と、運転日報帳票を送信した蓄積データには運転日報帳票送信済みをマークし車速履歴データを送信した蓄積データには車速履歴データ送信済みをマークする送信済み確認部とを備え、複数の顧客端末に、所望の車両について運転日報と車速履歴のいずれか一方又は両方を指定して新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせ部と、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求部と、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成部と、帳票を印刷する印刷部とを備えたものである。
【0012】
また、本発明の車両運行管理システムの顧客端末は、運行される車両が作成した当該車両の運転日報のデータと当該車両の車速履歴のデータとが上記車両からの無線送信により基地局に受信されて車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積され、上記基地局から上記運転日報データに基づく運転日報帳票と上記車速履歴データを事業所の顧客端末に送信する車両運行管理システムの上記顧客端末において、所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせ部と、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求部と、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成部と、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷する印刷部とを備えたものである。
【0013】
また、本発明の車両運行管理システムの顧客端末における稼動方法は、運行される車両が作成した当該車両の運転日報のデータと当該車両の車速履歴のデータとが上記車両からの無線送信により基地局に受信されて車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積され、上記基地局から上記運転日報データに基づく運転日報帳票と上記車速履歴データを事業所の顧客端末に送信する車両運行管理システムの上記顧客端末における稼動方法であって、所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせ、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求し、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成し、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷するものである。
【0014】
また、本発明の顧客端末のプログラムは、運行される車両が作成した当該車両の運転日報のデータと当該車両の車速履歴のデータとが上記車両からの無線送信により基地局に受信されて車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積され、上記基地局から上記運転日報データに基づく運転日報帳票と上記車速履歴データを事業所の顧客端末に送信する車両運行管理システムにおいて上記顧客端末が実行するためのプログラムであって、所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせプログラムと、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求プログラムと、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成プログラムと、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷する印刷プログラムとを備えたものである。
【0015】
また、本発明のプログラムを記録した記録媒体は、運行される車両が作成した当該車両の運転日報のデータと当該車両の車速履歴のデータとが上記車両からの無線送信により基地局に受信されて車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積され、上記基地局から上記運転日報データに基づく運転日報帳票と上記車速履歴データを事業所の顧客端末に送信する車両運行管理システムにおいて上記顧客端末が実行するためのプログラムを記録した記録媒体であって、所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせプログラムと、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求プログラムと、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成プログラムと、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷する印刷プログラムとが記録されているものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0017】
(1)顧客における問い合わせの手間を省略できる。
【0018】
(2)顧客における帳票整理の手間を省略できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0020】
図1に、本発明の車両運行管理システムの概略構成を示す。車両運行管理システムは、大別して、車両100と基地局200と顧客端末300とからなる。車両100と基地局200は、例えば、携帯電話網を介して通信可能に接続される。基地局200と顧客端末300は、例えば、インターネットを介して通信可能に接続される。
【0021】
車両100は、例えば、荷を運送するトラックであり、データ収集送信器101を搭載する。データ収集送信器101は、当該車両の運転日報のデータを作成する運転日報データ作成部102と、当該車両の車速履歴のデータを作成する車速履歴データ作成部(デジタルタコグラフ)103と、データを無線送信する送信部104と、運転日報データと車速履歴データのいずれか一方又は両方の作成完了されたデータを上記送信部104から送信させるための操作ボタン105とを備える。操作ボタン105としては、例えば、運行開始のとき操作する開始ボタン、運行終了のとき操作する終了ボタンなどがある。終了ボタンの操作により、1運行分の運転日報データの作成が終了し、運転日報データが送信されると共に、車速履歴データが送信されるようになっている。また、データ収集送信器101は、時刻を計測する内蔵時計(図示せず)と時刻等を表示する表示器106とを有する。
【0022】
基地局200は、いわゆるサーバであり、各車両から送信されてきたデータを車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積するデータ蓄積部201と、蓄積されているデータの一覧リストを作成・更新する一覧リスト部202と、顧客端末300に出力可能リストを送信することにより、顧客端末と通信して顧客が所望する車両について運転日報データと車速履歴データのいずれか一方又は両方の指定されたデータが新規に蓄積されていれば新規データが蓄積されたことを通知する通知部203と、蓄積されたデータに基づき所望の車両の運転日報の帳票を作成する運転日報帳票作成部204と、顧客端末から要求された車両の運転日報帳票を送信する運転日報帳票送信部205と、顧客端末から要求された車両の車速履歴データを送信する車速履歴データ送信部206と、運転日報帳票を送信した蓄積データには運転日報帳票送信済みをマークし車速履歴データを送信した蓄積データには車速履歴データ送信済みをマークする送信済み確認部207とを有する。
【0023】
顧客端末300は、例えば、パーソナルコンピュータで構成され、基地局200にログインするための認証処理部301と、基地局200に出力可能リストを要求することにより、所望の車両について運転日報と車速履歴のいずれか一方又は両方を指定して新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせ部302と、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求部303と、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成部304と、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を実際の紙に印刷する印刷部305とを有する。車速履歴帳票作成部304は、基地局200からダウンロードした車両100の車速履歴データを解析して所定書式のグラフ(チャート)を作成するようになっている。
【0024】
顧客端末300を構成する認証処理部301、問い合わせ部302、送信要求部303、車速履歴帳票作成部304、印刷部305は、パーソナルコンピュータが以下のプログラムを実行することで実現されるが、そのプログラムの全部又は一部は、パーソナルコンピュータにおいてCDROM等の記録媒体から読み出してインストールしてもよく、また、基地局200が提供するホームページ等からパーソナルコンピュータがダウンロードしてインストールしてもよい。
【0025】
顧客端末300が実行するためのプログラムは、所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせプログラムと、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求プログラムと、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成プログラムと、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷する印刷プログラムとからなる。
【0026】
基地局200から顧客端末300への帳票・データの送信は、実際には、顧客端末300が帳票・データの引き取りを行うことで実施される。顧客端末300は、印刷部305において、基地局200から引き取った帳票・データを直ちに印刷するか、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴データが揃うまで待ってからこれら帳票・データを印刷するかを選択できるようになっている。すなわち、問い合わせ部302において所望の車両について運転日報と車速履歴の両方を指定しているとき、印刷部305においては車両ごとに運転日報帳票と車速履歴データが揃うまで待つことになる。
【0027】
なお、基地局200と顧客端末300は、ともに同一事業所コード内の対象データを問い合わせ・リスト作成するようになっている。
【0028】
以下、図1の車両運行管理システムの動作を説明する。
【0029】
ステップ1)
車両100において運転者が操作ボタン105を押す。例えば、運行開始のとき開始ボタンを押し、運行終了のとき終了ボタンを押す。運転日報データ作成部102において、1運行につき、運行開始から運行終了までの間、運転日報及び車速履歴に必要とされる諸データが収集され、運転日報データ及び車速履歴データとして蓄積され、運行終了のときデータ作成が完了する。終了ボタンが押されたことで、送信部104から運転日報データが送信されると共に車速履歴データが送信される。1日に複数回の運行が行われる場合、運転日報データ及び車速履歴データは複数回送信されることになる。
【0030】
ステップ2)
基地局200では、各車両から随時、送信されてきたデータを車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けてデータ蓄積部201に蓄積する。このとき、一覧リスト部202は、蓄積されているデータの一覧リストを作成・更新する。また、運転日報帳票作成部204においては、データ蓄積部201に蓄積されたデータを加工して所望の車両(=全ての車両)について運転日報の帳票(例えば、pdf形式ファイル)を作成する。一方、車速履歴データはそのまま(デジタルタコグラフデータのまま)保存される。
【0031】
ステップ3)
顧客端末300は、認証処理部301が自動動作(オペレータの操作によらない)により、定期的に基地局200にログインし、問い合わせ部302が定期的に基地局200に出力可能リストを要求する。ここで、出力可能リストとは、データ蓄積部201に蓄積されたデータの内、新規データについてタイトル(データ識別名)を羅列した一覧リストのことである。後述するように帳票・データのダウンロードが実行されると当該データには送信済みがマークされ、タイトルが出力可能リストから抹消されるので、出力可能リストには未ダウンロードのデータ(つまり、新規データ)のタイトルのみが残っていることになる。出力可能リストを要求することは、新規データが蓄積されたかどうかを問い合わせることに他ならない。
【0032】
問い合わせ部302には、あらかじめ事業所コードが登録されており、車両は当該事業所に登録されている。問い合わせ部302は、当該事業所に登録されている所望の車両について出力可能リストを要求することになる。
【0033】
問い合わせ部302には、あらかじめ車両ごとに、運転日報のみ必要であるか(あるいは運転日報だけでもかまわないか)、車速履歴のみ必要であるか(あるいは車速履歴だけでもかまわないか)、運転日報と車速履歴の両方が必要であるかが登録されている。問い合わせ部302は、この登録内容を車両ごとに指定して出力可能リストを要求する。
【0034】
ステップ4)
基地局200の通知部203は、問い合わせ部302からの問い合わせに対応し、所望された車両について出力可能リストを送信することで、該当するデータが新規に蓄積されていれば新規データが蓄積されたことを通知する。すなわち、新規データが有るか無いかの回答が新規データのリストを返すことによってなされる。運転日報のみ必要である(運転日報だけでもかまわない)場合は、運転日報データの新規データが有れば出力可能リストが送信される。車速履歴のみ必要である(車速履歴だけでもかまわない)場合は、車速履歴データの新規データが有れば出力可能リストが送信される。運転日報と車速履歴の両方が必要である場合は、運転日報データの新規データ又は車速履歴データの新規データが有れば、出力可能リストが送信される。
【0035】
ステップ5)
顧客端末300の送信要求部303は、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両について、運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局200に要求する。つまり、当該車両の運転日報データのみ出力可能リストが送信された場合は、当該車両の運転日報帳票の送信のみが基地局200に要求され、当該車両の車速履歴データのみ出力可能リストが送信された場合は、当該車両の車速履歴データの送信のみが基地局200に要求され、当該車両の運転日報データと車速履歴データの出力可能リストが送信された場合は、当該車両の運転日報帳票と車速履歴データの送信が基地局200に要求される。
【0036】
ステップ6)
基地局200において、上記要求通り、運転日報帳票送信部205では顧客端末300から要求された車両の運転日報帳票が送信され、車速履歴データ送信部206では顧客端末から要求された車両の車速履歴データが送信される。顧客端末300の車速履歴帳票作成部304は、当該車両100の車速履歴データを解析して所定書式のグラフ(車速履歴帳票)を作成する。
【0037】
ステップ7)
基地局200の送信済み確認部207は、運転日報帳票を送信した蓄積データには運転日報帳票送信済みをマークし、車速履歴データを送信した蓄積データには車速履歴データ送信済みをマークする。マークされた結果が一覧リスト部202に通知されることにより、一覧リスト部202ではデータの一覧リストが更新される。これにより、該当するデータのタイトルが出力可能リストから抹消される(新規データが新規でなくなる)。
【0038】
なお、送信済み確認部207による一覧リスト更新は、運転日報帳票送信部205からの運転日報帳票の送信及び車速履歴データ送信部206からの車速履歴データの送信が実行されたことに基づいて実行されてもよいが、図示のように顧客端末300の印刷部305において印刷が実行されたことが基地局200に通知され、その通知に基づいて実行されてもよい。
【0039】
ステップ8)
顧客端末300の印刷部305は、運転日報帳票と車速履歴帳票を印刷する。
【0040】
以上のような車両運行管理システムの動作に関して、どのような効果が得られるか説明する。
【0041】
車両100がA,B,Cの3台存在し、車両A,B,Cが各々の適宜な時期に運転日報のデータと車速履歴のデータを基地局200に送信するものとする。既に述べたように、運転者が送信のボタン操作をしても、電波環境が悪いときは、運転日報のデータと車速履歴のデータが同時に送信されるとは限らない。
【0042】
今、基地局200のデータ蓄積部201に、
車両Aの運転日報データ
車両Bの車速履歴データ
車両Cの運転日報データと車速履歴データ
が新規データとして既に蓄積されているものとする。
【0043】
一方、顧客端末300の問い合わせ部302には、車両A,B,Cについて、ともに運転日報と車速履歴の両方が揃う必要があると設定されているものとする。
【0044】
顧客端末300が上記の設定にしたがって基地局200に新規データの有無を問い合わせると、基地局200からは上記新規データについて出力可能リストが回答される。そこで、顧客端末300は上記新規データのダウンロードを開始し、車両Cについては、運転日報データと車速履歴データが揃ったので、運転日報と車速履歴の帳票を印刷する。車両Aと車両Bについては、運転日報データと車速履歴データが揃っていないので、印刷は保留する。
【0045】
その後、基地局200のデータ蓄積部201に、
車両Aの車速履歴データ
車両Bの運転日報データ
が新規データとして追加して蓄積されたとする。
【0046】
顧客端末300が上記の設定にしたがって基地局200に新規データの有無を問い合わせると、基地局200からは上記新しい新規データについてのみ出力可能リストが回答される。そこで、顧客端末300は上記新しい新規データのダウンロードを開始し、車両A,Bについての運転日報データと車速履歴データが揃ったので、車両A,Bの運転日報と車速履歴の帳票を印刷する。
【0047】
この結果、顧客端末300の印刷部305の出口には、図2に示されるように、
車両Cの運転日報の帳票
車両Cの車速履歴の帳票
が上記順でスタックされ、その後、
車両Aの運転日報の帳票
車両Aの車速履歴の帳票
車両Bの運転日報の帳票
車両Bの車速履歴の帳票
が上記順でスタックされる。
【0048】
本発明は、車両100のデータが基地局200にランダムに到着して蓄積されるのに対して、顧客端末300からオペレータが何度も取得を試みる必要がないよう、顧客端末300が自動動作で基地局200に問い合わせをするようにしたものである。その際、運転日報と車速履歴の必要性をあらかじめ設定するようにしたので、運転日報と車速履歴が揃う必要があると設定しておくと、運転日報の帳票と車速履歴の帳票がまとまって印刷される。
【0049】
従来のシステムにおいて、端末が単に基地局の新規データを定期的に自動取得して印刷するようにしたとする。
【0050】
上記と同様に、基地局に、
車両Aの運転日報データ
車両Bの車速履歴データ
車両Cの運転日報データと車速履歴データ
が新規データとして既に蓄積されており、その後、
車両Aの車速履歴データ
車両Bの運転日報データ
が新規データとして追加して蓄積されたとする。
【0051】
印刷結果は、図3のようになる。すなわち、最初は、
車両Aの運転日報の帳票
車両Bの車速履歴の帳票
車両Cの運転日報の帳票
車両Cの車速履歴の帳票
が上記順でスタックされ、その後、
車両Aの車速履歴の帳票
車両Bの運転日報の帳票
が上記順でスタックされる。
【0052】
図2と図3を比較すれば、本発明の効果は明白である。図3のように、運転日報の帳票と車速履歴の帳票が車両ごとにまとまらないで出力されると、オペレータによる整理作業は煩わしい。帳票を必要とする車両が数十台から100台以上と増えると、整理作業の煩わしさは飛躍的に増大する。その点、本発明では、図2のように、運転日報の帳票と車速履歴の帳票が車両ごとにまとめて印刷されて出力されるので、帳票を必要とする車両の台数によらず、整理作業が必要なくなる。
【0053】
上記実施形態では、所望の車両について、運転日報データと車速履歴データが両方揃うまでは、何回ダウンロードしても印刷ができないようにした。しかし、帳票の出力が極端に遅れることを避けたい場合、一定時間(一定問い合わせ回数)待っても運転日報データと車速履歴データが両方揃わなければ片方だけでも印刷できるようにするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両運行管理システムの概略構成図である。
【図2】本発明による帳票のスタックイメージ図である。
【図3】従来技術による帳票のスタックイメージ図である。
【符号の説明】
【0055】
100 車両
101 データ収集送信器
102 運転日報データ作成部
103 車速履歴データ作成部
104 送信部
105 操作ボタン
200 基地局
201 データ蓄積部
202 一覧リスト部
203 通知部
204 運転日報帳票作成部
205 運転日報帳票送信部
206 車速履歴データ送信部
207 送信済み確認部
300 顧客端末
301 認証処理部
302 問い合わせ部
303 送信要求部
304 車速履歴帳票作成部
305 印刷部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行される車両に、当該車両の運転日報のデータを作成する運転日報データ作成部と、当該車両の車速履歴のデータを作成する車速履歴データ作成部と、データを無線送信する送信部と、運転日報データと車速履歴データのいずれか一方又は両方の作成完了されたデータを上記送信部から送信させるための操作ボタンとを備え、
上記無線送信されたデータを受信する基地局に、各車両から送信されてきたデータを車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積するデータ蓄積部と、顧客端末と通信して顧客が所望する車両について運転日報データと車速履歴データのいずれか一方又は両方の指定されたデータが新規に蓄積されていれば新規データが蓄積されたことを通知する通知部と、蓄積されたデータに基づき所望の車両の運転日報の帳票を作成する運転日報帳票作成部と、顧客端末から要求された車両の運転日報帳票を送信する運転日報帳票送信部と、顧客端末から要求された車両の車速履歴データを送信する車速履歴データ送信部と、運転日報帳票を送信した蓄積データには運転日報帳票送信済みをマークし車速履歴データを送信した蓄積データには車速履歴データ送信済みをマークする送信済み確認部とを備え、
複数の顧客端末に、所望の車両について運転日報と車速履歴のいずれか一方又は両方を指定して新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせ部と、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求部と、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成部と、帳票を印刷する印刷部とを備えたことを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項2】
運行される車両が作成した当該車両の運転日報のデータと当該車両の車速履歴のデータとが上記車両からの無線送信により基地局に受信されて車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積され、上記基地局から上記運転日報データに基づく運転日報帳票と上記車速履歴データを事業所の顧客端末に送信する車両運行管理システムの上記顧客端末において、
所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせ部と、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求部と、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成部と、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷する印刷部とを備えたことを特徴とする車両運行管理システムの顧客端末。
【請求項3】
運行される車両が作成した当該車両の運転日報のデータと当該車両の車速履歴のデータとが上記車両からの無線送信により基地局に受信されて車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積され、上記基地局から上記運転日報データに基づく運転日報帳票と上記車速履歴データを事業所の顧客端末に送信する車両運行管理システムの上記顧客端末における稼動方法であって、
所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせ、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求し、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成し、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷することを特徴とする車両運行管理システムの顧客端末における稼動方法。
【請求項4】
運行される車両が作成した当該車両の運転日報のデータと当該車両の車速履歴のデータとが上記車両からの無線送信により基地局に受信されて車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積され、上記基地局から上記運転日報データに基づく運転日報帳票と上記車速履歴データを事業所の顧客端末に送信する車両運行管理システムにおいて上記顧客端末が実行するためのプログラムであって、
所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせプログラムと、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求プログラムと、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成プログラムと、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷する印刷プログラムとを備えたことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
運行される車両が作成した当該車両の運転日報のデータと当該車両の車速履歴のデータとが上記車両からの無線送信により基地局に受信されて車両及び当該車両が所属する事業所に対応付けて蓄積され、上記基地局から上記運転日報データに基づく運転日報帳票と上記車速履歴データを事業所の顧客端末に送信する車両運行管理システムにおいて上記顧客端末が実行するためのプログラムを記録した記録媒体であって、
所望の車両について運転日報と車速履歴の新規データが蓄積されたかどうかを基地局に随時又は定期的に問い合わせる問い合わせプログラムと、新規データが蓄積されたことが通知された当該車両の運転日報帳票・車速履歴データの送信を基地局に要求する送信要求プログラムと、送信された車速履歴データに基づき車速履歴の帳票を作成する車速履歴帳票作成プログラムと、車両ごとに運転日報帳票と車速履歴帳票が揃うまで待ってからこれら帳票を印刷する印刷プログラムとが記録されていることを特徴とする記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−152668(P2010−152668A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330427(P2008−330427)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)