説明

車室内用照明具

【課題】車室内に簡単かつ確実に取り付けることが可能な車室内用照明具を提供する。
【解決手段】光源12と、光源12を支持する支持部材14と、支持部材14から光源12と反対方向に突設された棒状の取付部材16と、光源12を覆うようにして支持部材14に取り付けられ、光源12から出光した光を外方へ透過させる透過部Aを有するハウジング18,58とを備え、取付部材16の外面には、可撓性を有する周方向弾性片16aが形成されており、且つ、該周方向弾性片16aの最大幅R1が、車室内に形成されている取付孔Yの内径R2よりも大きく設定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内に簡単かつ確実に取り付けることが可能な車室内用照明具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内の様々な箇所に車室内用照明具を取り付け、光の演出を楽しむことが自動車愛好家の間で人気を博しており、そのための技術や商品が数多く提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、間接照明として車両の天井面に取り付けるタイプの車室内用照明具が提案されており、非特許文献1には、運転席や助手席の足元を明るく照らすことを目的としてグローブボックスに取り付けて使用するタイプの車室内用照明具が提案されている。
【特許文献1】特開2006−321437号公報
【非特許文献1】インターネット<URL:http://www.napolex.co.jp/product/LAY%20LIGHT%202/06new/unit02.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にかかる車室内用照明具では、その取り付けに際して天井パネルに予め凹部を形成する必要があるが、その施工が非常に煩雑で面倒という問題があった。しかも、車室内用照明具を取り付けるためだけに内装(天井パネル)を大きく傷付けなければならず、このことが車室内用照明具の採用を手控える大きな要因ともなっていた。
【0005】
一方、非特許文献1にかかる車室内用照明具では、取付対象面への取り付けが粘着テープを利用するものであるため、上述した問題が生じることはない。ところが、長期間の使用によって粘着テープの粘着力が低下すると、車室内用照明具の自重や走行中の振動などによって車室内用照明具が取付対象面から剥落するおそれがある。
【0006】
本願発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、車室内に簡単かつ確実に取り付けることが可能な車室内用照明具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、「光源12と、光源12を支持する支持部材14と、支持部材14から光源12と反対方向に突設された棒状の取付部材16と、光源12を覆うようにして支持部材14に取り付けられ、光源12から出光した光を外方へ透過させる透過部Aを有するハウジング18,58とを備え、取付部材16の外面には、可撓性を有する周方向弾性片16aが形成されており、且つ、該周方向弾性片16aの最大幅R1が、車室内に形成されている取付孔Yの内径R2よりも大きく設定されている」ことを特徴とする車室内用照明具10A〜10Dである。
【0008】
この発明では、車室内に形成されている取付孔Yに、取付部材16を挿入するだけで車室内用照明具10A〜10Dの取り付けが簡単に完了する。
【0009】
ここで、取付部材16の外面には、可撓性を有する周方向弾性片16aが形成されており、且つ、該周方向弾性片16aの最大幅R1が、取付孔Yの内径R2よりも大きく設定されているので、取付部材16を取付孔Yに嵌め込んだ状態では、周方向弾性片16aが撓んで取付孔Yの内壁を押圧することとなり、一度取りつけた車室内用照明具10A〜10Dが取付孔Yから容易に抜け落ちることはない。
【0010】
なお、取付孔Yが車室内装材Mをビス固定するための既存の取付孔Yである場合には、車室内用照明具10A〜10Dを取り付けるためだけに車室内装を傷つける必要がない。
【0011】
請求項2に記載した発明は、「周方向弾性片16aが取付部材16の外面に間欠的に設けられている」ことを特徴とするものであり、請求項3に記載した発明は、「周方向弾性片16aが取付部材16の外面にその全周に亘って設けられており、周方向弾性片16aの外周が波型に形成されている」ことを特徴とするものである。かかる構成により周方向弾性片16aが撓みやすくなり、車室内用照明具10A〜10Dの上記取付孔Yへの嵌合作業をより円滑に行なうことが可能となる。
【0012】
請求項4に記載した発明は、「透過部Aがハウジング18,58の天井部分または外周部分、或いはその両方に形成されている」ことを特徴とするものであり、このように、透過部Aの位置を適宜選択することで、異なる光の演出を楽しむことができる。
【0013】
なお、第1実施例の車室内用照明具10Aのように、透過部Aをハウジング18の天井部分に形成した場合は、車室内用照明具10Aの天井部分から出光した光が光の束となって車室内空間を照らすことになるので、足下やトランクのようにある程度の光量が求められる箇所に取り付けてスポット照明として使用するのに適している。
【0014】
一方、第2実施例の車室内用照明具10Bのように、透過部Aをハウジング58の外周部分に形成した場合は、車室内用照明具10Bの外周部分から出光した光が車室内空間を広がるように照らすことになる。
【0015】
なお、請求項5に記載した発明のように、取付部材16側の外径が小径でこれとは反対側の外径が大径となるように透過部Aの外面が凹湾曲面に形成されている場合には、照明具10Bから出光した光は、まず、車室内装材Mを照らし、その反射光が車室内空間を照らすことになるので、天井やピラー等に取り付けて柔らかな光の演出を楽しむ間接照明として使用するのに適している。
【0016】
請求項6に記載の発明は、「ハウジング18,58が光源12に対して近接離間可能となるように支持部材14に取り付けられている」ことを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、光源12からハウジング18,58までの距離を調整することにより、車室内用照明具10A〜10Dから照射された光が照射対象物を照らす光の照射範囲を変化させることができ、この照射範囲の変化による光の演出を楽しむことができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、「支持部材14が取付部材16に対して角度調整可能に接続されている」ことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、車室内用照明具10C,10Dから照射される光の向きを適宜調整することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本願発明によれば、取付部材を車室内に形成されている取付孔に嵌合するだけで車室内用照明具の取り付けが完了するので、その取付作業は非常に簡単である。しかも、取付部材の外面には、可撓性を有する周方向弾性片が形成されており、且つ、該周方向弾性片の最大幅が取付孔の内径よりも大きく設定されているので、取付部材を取付孔に嵌め込んだ状態では、周方向弾性片が撓んで取付孔の内壁を押圧することとなり、一度取りつけた車室内用照明具が取付孔から容易に抜け落ちることはなく、長期使用に伴う脱落の心配もない。なお、取付孔が車室内装材をビス固定するための既存の取付孔である場合には、車室内用照明具を取り付けるためだけに車室内装を傷つける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を図面に従って説明する。図1は、本発明における第1実施例の車室内用照明具(以下、単に「照明具」という。)10Aを示した斜視図であり、図2は、照明具10Aの分解斜視図である。
【0022】
図1〜図2に示すように、照明具10Aは、光源12と、支持部材14と、取付部材16と、ハウジング18とで大略構成されている。
【0023】
光源12は、複数(この例では3つ)の発光体20と、複数の発光体20を支持する略円盤状の基板22とで大略構成されており、各発光体20が基板22の上面にて同心円上に等角度間隔(この場合は120度間隔)で配列されている。
【0024】
各発光体20は、電力供給源から供給された電気エネルギーを変換して光を放射するものであり、その具体例として、本実施例では表面実装型のLED(発光ダイオード)が採用されている。
【0025】
表面実装型のLEDは、非常に小型であり(本実施例のものは、縦の長さが約3mm、横の長さが約4mm、厚みが約2mmの直方体である)、色が豊富で任意の色を選択でき、長寿命でしかも消費電力が小さいなど多くのメリットを有することから、光源12用の発光体20として実用性が非常に高い。
【0026】
勿論、発光体20の具体例としては、上述した表面実装型LEDに限定されるものでなく、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)や砲弾型のLED、或いはいわゆる豆電球など現在公知の発光体を用途に応じて適宜採用することが可能である。
【0027】
基板22は、発光体20を支持する円盤状の部材であり、その外形は、後述する支持部材14の収容凹所28に収容できるよう適宜設定されている。
【0028】
基板22の中心には、丸孔22aが形成されており、該丸孔22aの周囲には、発光体20を取り付けるための取付孔(図示省略)が丸孔22aを中心として放射状に3つ形成されている。また、基板22の外周縁には、位置決め用の切り欠き22bが形成されている。
【0029】
光源12を組み立てる際には、基板22の所定位置に発光体20を配置し、図示しない発光体20の給電端子(図示省略)を基板22の取付孔(図示省略)に挿通し、その挿通端部に位置する電極に電力供給用の導線23をハンダ固定すればよい。
【0030】
支持部材14は、光源12を収容するためのものであり、図3〜図4からも分かるように底板24と、底板24の外周縁から上方に向かって延設された側板26とを有し、支持部材14全体として皿状に形成されている。支持部材14における底板24と側板26とで囲まれた凹所は、光源12を収容するための収容凹所28である。
【0031】
支持部材14の底板24には、その上面中央部分に円筒状部材30が立設されており、この円筒状部材30の中心部分の穴30aには、光源12を支持部材14に締結部材32を用いて固定する際に締結部材32(図2参照)が捩じ込まれる。なお、本実施例では、穴30aに締結部材32の雄ネジを捩じ込むことによって穴30aの内面に雌ネジが形成されることになるが、穴30aの内側面に締結部材32の雄ネジと対応する雌ネジを予め形成してもよい。
【0032】
底板24における円筒状部材30の近傍には、上述した電力供給用の導線23を外部に導出するための導線導出用孔34が穿設されている。
【0033】
側板26には、上下方向(図2における上下方向をいい、後述する取付部材16の軸方向と一致している。)に延びる切り欠き36が所定間隔を隔てて6つ形成されている。そして、この6つの切り欠き36によって支持部材14の側板26が3つの幅狭片26aと3つの幅広片26bとに分割され、これらが交互に並んで配置されている。なお、幅狭片26aの外側面上端部には、ハウジング18との嵌合固定に寄与する嵌合凸部38が外方に膨出して形成されている。
【0034】
支持部材14における底板24と各幅広片26bとの境界部分には、補強用リブ42が形成されている。本実施例では、幅広片26bが3つ形成されていることから、補強用リブ42の数もこれに応じて3つ形成されることになるが、これら3つの補強用リブ42の高さは、上述した円筒状部材30の高さと大略等しく設定されている。また、3つの補強用リブ42のうち何れか1つの補強用リブ42aの上端には、基板22の切り欠き22bと係合して光源12を位置決めするための係合部44が設けられている。
【0035】
なお、3つの補強用リブ42の高さが円筒状部材30の高さと大略等しく設定されているのは、光源12を収容凹部28内にガタツキなく収容するためである。
【0036】
支持部材14の底面(収容凹部28が設けられているのとは反対側の面)には、取付部材16が図2における下方に向けて突設されている。
【0037】
取付部材16は、図4〜図5からも分かるように、支持部材14の底面にて光源12と反対方向に突設された棒状部材である。
【0038】
取付部材16は、その断面形状が略十字形状に形成されており、これにより、取付部材16の外面には導線23を引き込むための4つの引込スペースSが軸方向に確保される。図5に示すように、引込スペースSが導線導出用孔34の近傍に位置するよう取付部材16を支持部材14に取り付けておけば、後述する導線23の引き込み作業が容易となる。
【0039】
なお、本実施例では、取付部材16の断面形状が断面略十字形状となっているが、その外面に引込スペースSを確保できれば上述実施例に限定されるものではなく、例えば、その断面形状を略Y字形状としてもよい。
【0040】
取付部材16の外面には、可撓性を有する複数(本実施例では9つ)の周方向弾性片16aがその軸方向に所定間隔を隔てて形成されている。
【0041】
各周方向弾性片16aは、その外周が波形に形成された薄肉の円盤状部材であり、その最大幅R1は、照明具10Aの取付対象である車室内装材をビス固定するための既存の取付孔Yの内径R2よりも大きめに設定されている(図10参照)。
【0042】
なお、本実施例では、周方向弾性片16aが取付部材16の外面にその全周に亘って形成されているが、図6に示すように、周方向弾性片16aを取付部材16の外面に間欠的に形成するようにしてもよい(図6では、略矩形状の周方向弾性片16aが各引込スペースSに配置されており、底面から見たときには全体として矩形状となっている)。
【0043】
また、本実施例では、周方向弾性片16aの外周が波型に形成されているが、外周を波型に形成するのではなく円形状に形成してもよい(図示省略)。
【0044】
ハウジング18は、遮光部材46と集光レンズ48とで構成されている。
【0045】
遮光部材46は、筒状の遮光部材本体46aと、遮光部材本体46aの上部端縁から延設されたリング状の天板46bとを有し、天板46bの中央部分に設けられた嵌合孔46cに後述する集光レンズ48が嵌合固定されている。
【0046】
遮光部材46の材質としては、光源12から出光した光が透過部A(後述)であるハウジング18の天井部分以外の箇所から漏れるのを防止するため遮光性材料を使用することが好ましく、本実施例では黒色に着色したABS樹脂が使用されている。
【0047】
遮光部材46の内側面46dには、図7に示すように、上述した3つ1組の嵌合凸部38が嵌合する3つ1組の嵌合凹部52が上下2段(合計6つの嵌合凹部52)、各嵌合凸部38の形成位置に合せて夫々形成されている。なお、図7では、3つ1組の嵌合凹部52のうち2組の嵌合凹部52が表わされている。
【0048】
集光レンズ48は、透光性材料(本実施例では、アクリル樹脂が採用されている。)からなり、大小異なる直径の2つの円盤状部材を上下2段に積み重ねた形状の部材である。
【0049】
集光レンズ48における上段の小径部分48aの外径は、遮光部材46の嵌合孔46cに嵌め込むことができるよう、嵌合孔46cの内径と大略等しく設定されている。
【0050】
集光レンズ48の天井面48bは、天井面48bから出光した光の束が光軸に対して約15〜30度の範囲に収まるよう凸湾曲面に形成されている。
【0051】
そして、図2に示すように、集光レンズ48をその天井面48bを先頭にして遮光部材46の下側から挿入し、集光レンズ48の上段小径部分48aを遮光部材46の嵌合孔46cに嵌め込めば、集光レンズ48と遮光部材46とが一体化され、ハウジング18が完成する。なお、本実施例では、ハウジング18の天井部分(遮光部材46の嵌合孔46cから覗いている集光レンズ48の小径部分48a)が、光源12からの光を外方へ透過させる透過部Aとして機能する。
【0052】
照明具10Aを組み立てる際には、支持部材14の上方に光源12を配置し、光源12に接続されている導線23の先端を導線導出用孔34から導出するとともに、光源12を支持部材14の収容凹部28内に収容する。このとき、光源12を構成している基板22の切り欠き22bを係合部44と係合させれば支持部材14に対する光源12の位置決めが完了する。
【0053】
光源12の収容凹部28内への収容が完了すると、次に、締結部材32を基板22の丸孔22aに挿通するとともに、その挿通端部を円筒状部材30の穴30aにねじ込む。これにより、光源12の支持部材14への取り付けが完了する。
【0054】
そして、最後に支持部材14の嵌合凸部38を、ハウジング18を構成している遮光部材46の嵌合凹部52に嵌め込めば、照明具10Aの組み立てが完了する。
【0055】
照明具10Aを使用する際には、図9〜図10に示すように、まず、車室内装材Mを固定している既存の締結具Xを取り外す。すると、車室内装材Mの表面に既存の取付孔Yが現れるので、この既存の取付孔Yに導線23を引き込み、然る後、照明具10Aの取付部材16を既存の締結具Xの代わりに嵌合する。
【0056】
取付孔Yに照明具10Aを嵌合した状態では、図10の一点鎖線で示すように、車室内装材Mが照明具10Aの支持部材14の底面と車室内装材M内部の金属フレームFとによって挟持固定される。
【0057】
ここで、取付部材16の外面には、上述したように可撓性を有する周方向弾性片16aがその全周に亘って形成されており、且つ、該周方向弾性片16aの最大幅R1が、既存の取付孔Yの内径R2よりも大きく設定されている。したがって、取付部材16を既存の取付孔Yに嵌合した状態では、図10の点線で示すように周方向弾性片16aの端部が若干撓んで周方向弾性片16aが取付孔Yの内側面を常時押圧し、この押圧力によって取付部材16がしっかりと既存の取付孔Yに固定され、照明具10Aが容易に抜け落ちるのを防止できる。本実施例のように周方向弾性片16aの外周を波型に形成しておけば、周方向弾性片16aは撓みやすくなり、上記嵌合作業の作業性が向上する。
【0058】
また、取付部材16は断面略十字形状に形成されており、その外面には引込スペースSが形成されているので、周方向弾性片16aを撓ませれば、導線23を引込スペースSに沿わせて引き込むことが可能となり、導線23の引込作業の作業性が向上する。
【0059】
そして、図示しない電源装置から照明具10Aに対して電力が供給されると、光源12を構成している発光体20から光が出射される。光源12から出射された光は、集光レンズ48に入光して集光レンズ48内を通過し、集光レンズ48の天井面48bから出光する(この部分が、透過部Aである)。
【0060】
上述したように、集光レンズ48の天井面48bは、天井面48bから出光した光の束が光軸に対して約15〜30度の範囲に収まるよう凸湾曲して形成されている。したがって、天井面48bから出光した光(すなわち、ハウジング18の天井部分に設けた透過部Aから出光した光)は、或る程度のまとまった光の束となって車室内空間を照らすこととなり、足下やトランクのようにある程度の光量が求められる箇所に取り付けてスポット照明として使用するのに適している。
【0061】
また、上述したように、遮光部材46の内側面46dには、3つ1組の嵌合凹部52が上下2段形成されているので、嵌合凸部38を上段の嵌合凹部52もしくは下段の嵌合凹部52のいずれか一方に選択的に取り付けることにより、光源12からハウジング18までの距離が変化する(図8参照)。すると、透過部Aから出光した光が照射対象物を照らす光の照射範囲を変化させることができ、この照射範囲の変化による光の演出を楽しむことができる。
【0062】
なお、上述実施例では、ハウジング18が嵌合手段を用いて光源12に対して近接離間可能となるように支持部材14に取り付けられていたが、たとえば、支持部材14の側板26の外面に雄ネジを形成し、ハウジング18を構成している遮光部材46の内側面46dに該雄ネジが螺合する雌ネジを形成し、当該螺合手段を用いてハウジング18を光源12に対して近接離間可能となるように支持部材14に取り付けるようにしてもよい。
【0063】
また、上述実施例では、車室内装材Mに設けられている既存の取付孔Yに照明具10Aを取り付ける例について説明したが、車室内装材Mに取付孔Yを新たに形成し、この新たに形成した取付孔Yに照明具10Aを取り付けるようにしてもよい。
【0064】
[実施例2]
次に、第2実施例の照明具10Bを図11〜図12を参照しつつ説明する。図11は第2実施例の照明具10Bを示した斜視図であり、図12は、照明具10Bの分解斜視図である。
【0065】
第2実施例の照明具10Bは、主として間接照明用として用いられるものであり、光源12と、支持部材14と、取付部材16と、ハウジング58とで大略構成されている。なお、上述した第1実施例と重複する部分については、上述第1実施例の記載を援用する。
【0066】
ハウジング58は、光拡散レンズ60と、反射部材62と、蓋部材64とで構成されている。
【0067】
光拡散レンズ60は、アクリルなどの透光性材料からなり、その上端部が外方に向かって拡径して形成された筒状部材であり、全体として朝顔状となっている。
【0068】
光拡散レンズ60の外側面60aは、その軸方向一方端部側(取付部材16が設けられる側であって図12における下方)の外径が小径で、その反対の軸方向他方端部側(取付部材16が設けられる側であって図12における上方)の外径が大径となるようにその外面が凹湾曲面に形成されており、外側面60aの全体から出光した光がリング状の光となって取付部材16側に向けて照射されるようになっている。
【0069】
光拡散レンズ60の内側面60bには、取付部材16に形成されている3つの嵌合凸部38が嵌合する3つ1組の嵌合凹部66が上下に2段、各嵌合凸部38の形成位置に合わせて夫々形成されている。
【0070】
光拡散レンズ60の上面には、凹所60cが形成されており、この凹所60cの周縁部が段状に形成されている。そして、小径側の段部60dには、後述する反射部材62が載置されており、大径側の段部60eには、後述する蓋部材64が反射部材62を覆うようにして嵌め込まれており、これにより、ハウジング58が完成する。なお、本実施例では、ハウジング58の外周部分全体(光拡散レンズ60の外周部分全体)が、光源12からの光を外方へ通過させる透過部Aとして機能する。
【0071】
反射部材62は、光源12から出光した光のうち、光拡散レンズ60に入光しなかった光を光拡散レンズ60側へ反射させて光拡散レンズ60の内部に入光させるためのものであり、非透光性材料(本実施例では、ABS樹脂が用いられている)を用いて円盤状に形成されている。反射部材62の反射面(図11における下面)は凸湾曲面とされ、その表面には、反射率を高めるための光反射膜が形成されている。なお、光反射膜は、例えば、白色PETやアクリルなどの樹脂を反射部材62の表面に塗装したり、クロムやアルミニウムなどの金属を反射部材62の表面にメッキ或いは蒸着することによって形成することができる。
【0072】
蓋部材64は、光拡散レンズ60の上面に載置した反射部材62を光拡散レンズ60に固定するための円盤状部材であり、その外径は、光拡散レンズ60の大径側段部60eに嵌合固定できるよう適宜設定されている。
【0073】
なお、蓋部材64の材質としては、光源12から出光した光が取付部材16とは反対側(図12における上方)へ照射されるのを防止するために非透光性材料を用いることが好ましく、本実施例では、黒色に着色したABS樹脂が使用されている。
【0074】
照明具10Bを組み立てる際には、第1実施例で述べたのと同様、光源12を取付部材16に取り付け、ハウジング58を構成している光拡散レンズ60の嵌合凹部66に支持部材14の嵌合凸部38を嵌め込むだけでよく、これにより照明具10Bが完成する。
【0075】
照明具10Bを使用する際には、第1実施例で述べたのと同様、車室内装材を固定している既存の締結具Xを取り外し、この既存の締結具Xの代わりに照明具10Bの取付部材16を既存の取付孔Yに嵌め込めばよく、これにより照明具10Bの車室内への取付が完了する(図15参照)。導線23の引込作業については上述実施例の記載を援用する。
【0076】
そして、図示しない電源装置から照明具10Bに対して電力が供給されると、上述実施例と同様、光源12を構成している発光体20から光が出射される。光源12から出射された光は、光拡散レンズ60内に直接入光し(或いは反射部材62に反射されて光拡散レンズ60内に入光し)、当該入光した光が光拡散レンズ60内を通過して透過部Aである光拡散レンズ60の外側面60aから出光する。
【0077】
照明具10Bの外側面60aから出光した光(すなわち、ハウジング58の外周部分に設けた透過部Aから出光した光)は、リング状の光となって取付部材16側に向けて広がるように照射されるが、上述したように、光拡散レンズ60の外側面60aは、取付部材16側の外径が小径でこれとは反対側の外径が大径となるようにその外面が凹湾曲面に形成されているので、該外側面60aから出光した光は、まず、車室内装材Mを照らし、その反射光が車室内空間を照らすことになる。したがって、本実施例の照明具10Bは、天井やピラー等に取り付けて間接照明として使用するのに適している。
【0078】
なお、図14に示すように、嵌合凸部38を上段の嵌合凹部66もしくは下段の嵌合凹部52のいずれか一方に選択的に取り付ければ、透過部A(ハウジング58の外周部分)から出光する光の照射範囲を2段階に調整することが可能となる。
【0079】
[実施例3]
上述実施例の照明具10A〜10Bでは、支持部材14と取付部材16とが一体的に構成されていたが、例えば図16に示す照明具10Cのように、支持部材14と取付部材16とを別体にて構成し、両部材14,18を角度調整可能に接続するようにしてもよい。なお、ここでは、第1実施例の照明具10Aについて支持部材14と取付部材16とを角度調整可能に接続した例について説明することとする(勿論、第2実施例の照明具10Bについても適用可能であることはいうまでもない)。
【0080】
第3実施例の照明具10Cにおいて、支持部材14の下面には、取付片68が垂設されており、当該取付片68の中央には、丸孔68aが形成されている。
【0081】
取付部材16の上面には、前記取付片68を挟むようにして2つの挟持片70が突設されており、各挟持片70の中央には、前記丸孔68aと対応する位置に丸孔70aがそれぞれ形成されている。
【0082】
そして、取付部材16側の2枚の挟持片70の間に支持部材14側の取付片68を挿入し、各丸孔68a、70aの位置合わせを行い、これら丸孔68a,70aに丸棒状の連結部材72を挿通すれば、支持部材14と取付部材16とが連結部材72を軸に角度調整可能に連結されることになる。
【0083】
本実施例の照明具10Cによれば、支持部材14と取付部材16とが連結部材72を軸として角度調整可能に連結されているので、例えば、照明具10Cを車両の天井面に取り付けてこれを手元灯として使用する場合に、照明具10Cから照射される光の照射位置を調整することが可能となる。
【0084】
図17に示す照明具10Dは、図16実施例の変形例である。
【0085】
本変形例では、取付部材16の上端部にボール状の接合凸部74が形成されており、支持部材14の下面には、前記接合凸部74を受容する接合凹部76aを有する受容部76が形成されており、接合凹部76aに接合凸部74を嵌合させることによって支持部材14と取付部材16とが角度調整可能に連結されている。本変形例で採用されている連結構造は、いわゆるボールジョイントと呼ばれるものである。
【0086】
本変形例の照明具10Dにおいても、取付部材16を構成している支持部材14と取付部材16とが角度調整可能に取り付けられているので、照明具10Dから照射される光の照射位置を調整することが可能となる。
【0087】
なお、上述した変形例は、第2実施例の照明具10Bに対しても適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施例(第1実施例)の車室内用照明具を示す斜視図である。
【図2】第1実施例の車室内用照明具を示す分解斜視図である。
【図3】支持部材を示す平面図である。
【図4】支持部材と取付部材とを示す正面図である。
【図5】支持部材と取付部材とを示す底面図である。
【図6】周方向弾性片の変形例を示す図である。
【図7】ハウジングを構成している遮光部材を示す断面図である。
【図8】支持部材に対するハウジングの取付位置を変更させた状態を示す図である。
【図9】車室内用照明具の車室内への取り付け方法を示す図である。
【図10】車室内用照明具を既存の取付孔に取り付けた状態を示す図である。
【図11】本発明の第2実施例の車室内用照明具を示す斜視図である。
【図12】第2実施例の車室内用照明具を示す分解斜視図である。
【図13】ハウジングを構成している光拡散部材を示す断面図である。
【図14】支持部材に対するハウジングの取付位置を変更させた状態を示す図である。
【図15】第2実施例の車室内用照明具の車室内への取付方法を示す図である。
【図16】第3実施例の車室内用照明具を示す図である。
【図17】図16実施例の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0089】
10A〜10D…車室内用照明具
12…光源
14…支持部材
16…取付部材
16a…周方向弾性片
18,58…ハウジング
23…導線
38…嵌合凸部
46…遮光部材
48…集光レンズ
52,66…嵌合凹部
60…光拡散レンズ
62…反射部材
64…蓋部材
A…透過部
M…車室内装材
S…引込スペース
X…既存の締結具
Y…既存の取付孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を支持する支持部材と、
前記支持部材から前記光源と反対方向に突設された棒状の取付部材と、
前記光源を覆うようにして前記支持部材に取り付けられ、光源から出光した光を外方へ透過させる透過部を有するハウジングとを備え、
前記取付部材の外面には、可撓性を有する周方向弾性片が形成されており、且つ、該周方向弾性片の最大幅が、車室内に形成されている取付孔の内径よりも大きく設定されていることを特徴とする車室内用照明具。
【請求項2】
前記周方向弾性片が前記取付部材の外面に間欠的に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車室内用照明具。
【請求項3】
前記周方向弾性片が前記取付部材の外面にその全周に亘って設けられており、前記周方向弾性片の外周が波型に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車室内用照明具。
【請求項4】
前記透過部が前記ハウジングの天井部分または外周部分、或いはその両方に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の車室内用照明具。
【請求項5】
前記ハウジングの外周部分に形成されている透過部は、前記取付部材側の外径が小径でこれとは反対側の外径が大径となるようにその外面が凹湾曲面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の車室内用照明具。
【請求項6】
前記ハウジングが前記光源に対して近接離間可能となるように前記支持部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の車室内用照明具。
【請求項7】
前記支持部材が前記取付部材に対して角度調整可能に接続されていることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の車室内用照明具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−137528(P2009−137528A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318320(P2007−318320)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年11月1日 株式会社 イリオス発行の「ワゴニスト 第14巻 第15号」に発表
【出願人】(000114709)ヤック株式会社 (22)
【Fターム(参考)】