説明

車載カメラの光学フィルタ装置

【課題】 車載カメラに対するフィルタの出し入れを撮像領域の明るさに応じて応答性良く行い、且つ、安価に構成する。
【解決手段】 カメラ1の撮像領域が明るい場合、制御ユニット20によってモータ3が駆動され、フィルタ部材4が回転して電極部4bが第1ストッパ6aに接触すると、この第1ストッパ6aからの信号が制御ユニット20で検出されてモータ3が停止され、レンズ2前面に光学フィルタ部4aが位置した状態で双安定機構7によって保持される。一方、カメラ1の撮像領域が暗い場合には、制御ユニット20によってモータ3が逆転され、フィルタ部材4が回転して電極部4bが第2ストッパ6bに接触すると、この第2ストッパ6bからの信号が制御ユニット20で検出されてモータ3が停止され、レンズ2前面から光学フィルタ部4aが外れた状態で双安定機構7によって保持される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両搭載のカメラに対し、明るいところでは自動的にフィルタを入れ、暗いところではフィルタを自動的に外す車載カメラの光学フィルタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車にカメラを搭載して画像認識により車線・道路形状や障害物を認識する技術が開発されている。この車載のカメラは、雨・雪・埃等の外界の汚れから保護するため、通常、車室内に設置することが多く、フロントガラスに反射して風景に重なって映り込むインストルメントパネルや、そこに置かれた物体の像を消すための偏向フィルタ、あるいは、強い光を避けるためのNDフィルタをカメラレンズ前に装着するようにしている。
【0003】特に、車載のカメラとして2台1組のステレオカメラを採用する場合には、2台のカメラで同一物体が同一輝度で見えなければならないため、風景に重なって映り込む像を消すことや、局所的な強い光を避けることは重要な問題である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、フィルタは、目的に応じた種類のフィルタをカメラレンズ前に固定するのが一般的であり、フィルタの脱着を手作業で行っているため、フィルタを固定したままにしておくと、車載のカメラでは、夕方や夜、トンネルの中等では、感度が低くなり過ぎるという問題がある。
【0005】従って、明るいところではカメラレンズ前面に自動的にフィルタを入れ、暗いところではフィルタを自動的に外すフィルタ駆動機構が望まれるところであるが、このようなフィルタ駆動機能は、トンネルの出入り等、急激な明るさの変化に対応するためには、応答性が高くなければならず、ステレオカメラの場合には、2台同時に同じ透過率のフィルタを入れる必要がある。さらには、コストも高くなってはならない。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車載カメラに対するフィルタの出し入れを撮像領域の明るさに応じて応答性良く行うことができ、且つ、安価に構成することのできる車載カメラの光学フィルタ装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、車両搭載のカメラに対応する光学フィルタ部を有し、モータの回転軸に取り付けられるフィルタ部材と、上記カメラの撮像領域の明るさに基づいて上記モータを正転/逆転させて上記フィルタ部材を揺動駆動し、上記カメラのレンズ部前面への上記光学フィルタの出し入れを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記フィルタ部材を樹脂材料で形成したことを特徴とする。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、上記フィルタ部材を長板状に形成し、回転バランスを取って上記モータの回転軸に取り付けることを特徴とする。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、上記フィルタ部材の端部を押圧する押さえ板と、この押さえ板を支持して付勢力を与えるバネ部材とによる双安定機構を設け、この双安定機構により、上記フィルタ部材の揺動動作を補助するとともに、上記フィルタ部材を停止位置に保持することを特徴とする。
【0011】請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、上記押さえ板を、上記カメラのレンズ部前面に上記光学フィルタ部が位置する方向への付勢力と上記カメラのレンズ部前面から上記光学フィルタ部が外れる方向への付勢力とが略等しくなるよう、上記バネ部材によって支持することを特徴とする。
【0012】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、上記フィルタ部材の側部に当接して上記フィルタ部材の回転移動を規制するストッパを、上記フィルタ部材の両側に設けたことを特徴とする。
【0013】請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、上記フィルタ部材に電極部を設けて上記制御手段から上記押さえ板を介して給電するとともに、上記フィルタ部材の両側のストッパを電極として上記制御手段への入力信号とし、上記カメラの撮像領域の明るさを表す信号と上記各ストッパからの信号とに応じて上記モータの正転・逆転・停止を制御することを特徴とする。
【0014】請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記カメラの撮像領域の明るさを、上記カメラの撮像画像の明るさとすることを特徴とする。
【0015】すなわち、本発明による車載カメラの光学フィルタ装置では、カメラの撮像領域の明るさに基づいてモータを正転/逆転させて光学フィルタ部を有するフィルタ部材を揺動駆動し、カメラのレンズ部前面へ光学フィルタを出し入れする。カメラの撮像領域の明るさは、カメラの撮像画像の明るさとすることが望ましい。フィルタ部材は、樹脂製の長板状に形成し、回転バランスを取ってモータの回転軸に取り付けることが望ましく、また、フィルタ部材の端部を押圧する押さえ板と、この押さえ板を支持して付勢力を与えるバネ部材とによる双安定機構を設け、この双安定機構により、フィルタ部材の揺動動作を補助するとともに、フィルタ部材を停止位置に保持することで、モータを小型化することができる。押さえ板は、カメラのレンズ部前面に光学フィルタ部が位置する方向への付勢力とカメラのレンズ部前面から光学フィルタ部が外れる方向への付勢力とが略等しくなるよう、バネ部材によって支持することが望ましい。
【0016】この場合、フィルタ部材の側部に当接してフィルタ部材の回転移動を規制するストッパをフィルタ部材の両側に設け、フィルタ部材に電極部を設けて上記制御手段から押さえ板を介して給電するとともに、フィルタ部材の両側のストッパを電極として上記制御手段への入力信号とすることで、カメラの撮像領域の明るさを表す信号と各ストッパからの信号とに応じてモータの正転・逆転・停止を制御することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の実施の第1形態に係わり、図1は光学フィルタ装置の全体構成図、図2は双安定機構の拡大図、図3は制御ユニットの構成例を示す説明図、図4はモータコントローラの動作論理を示す説明図である。
【0018】図1において、符号1は、例えば自動車の車室内に設置され、車外風景を撮像して画像認識により車線・道路形状や障害物を認識するための周囲環境認識用センサとしてのカメラであり、図示しないフロントガラスに反射する像や強い光の入射の影響を除去するため、レンズ2前面に光学フィルタを出し入れする光学フィルタ装置10が併設されている。
【0019】上記光学フィルタ装置10は、明るいところでは上記レンズ2前面に光学フィルタを配置し、暗いところでは上記レンズ2前面から光学フィルタを外すよう自動的にフィルタの出し入れを制御するものであり、モータ3に軸着された長板状のフィルタ部材4を揺動駆動するめの駆動機構と制御ユニット20とから構成されている。尚、フィルタ駆動機構は、搭載されるカメラの数に対応する数だけ用意される。
【0020】上記フィルタ部材4は、応答性を高めるため軽量で、且つ、大量生産による透過率のばらつきをおさえるため樹脂材料等によって形成されており、上記カメラ1のレンズ2側の部位が光学フィルタ部4aを形成し、その反対側の部位に、例えば、薄板の金属材を巻くことにより、あるいは、金属材を蒸着する等して、電極部4bが設けられている。
【0021】上記電極部4bは、後述するように、上記フィルタ部材4の停止位置を示す信号を上記制御ユニット20へ出力するためのものであり、モータ軸を中心として回転バランスが取られて上記フィルタ部材4が上記モータ3に取り付けられ、重力や振動の影響を低減するようになっている。従って、上記モータ3は、比較的トルクの小さい小型のモータで良い。
【0022】上記モータ3の正転あるいは逆転に伴う上記フィルタ部材4の回転は、ブラケット5に立設される2つの第1,第2ストッパ6a,6bによって規制される。これらのストッパ6a,6bは、上記フィルタ部材4の停止位置を決定するとともに、上記フィルタ部材4の電極部4bに接触する電極を形成するものであり、上記ブラケット5に絶縁されて取り付けられ、各ストッパ6a,6bからの信号が上記制御ユニット20へ入力され、上記フィルタ部材4の停止位置が認識される。
【0023】すなわち、フィルタを使用する場合、上記制御ユニット20によって上記モータ3が駆動され、上記フィルタ部材4が回転して電極部4bが第1ストッパ6aに接触すると、この第1ストッパ6aからの信号が上記制御ユニット20で検出されて上記モータ3が停止され、上記レンズ2前面に光学フィルタ部4aが位置した状態となる。一方、フィルタを使用しない場合には、上記制御ユニット20によって上記モータ3が逆転され、上記フィルタ部材4が回転して電極部4bが第2ストッパ6bに接触すると、この第2ストッパ6bからの信号が上記制御ユニット20で検出されて上記モータ3が停止され、上記レンズ2前面から光学フィルタ部4aが外れた状態となる。
【0024】上記フィルタ部材4の電極部4bが2つのストッパ6a,6bに交互に当接・停止する双安定動作は、上記ブラケット5に取り付けられたバネ機構からなる双安定機構7によって支援される。この双安定機構7は、図2に示すように、金属製の薄板を適宜曲げ加工して形成されるバネ部材7aと、両側が斜め方向に折り曲げられた金属製の押さえ板7bとから構成され、上記フィルタ部材4を確実に双安定動作させるとともに、上記制御ユニット20から出力される定電圧VCCを上記フィルタ部材4の電極部4bに供給する役割を有している。
【0025】すなわち、上記バネ部材7aの一端が上記ブラケット5に絶縁して取り付けられ、上記バネ部材7aの先端に、上記押さえ板7bの凹面側が上記バネ部材7aの両面に対向するよう、例えば半田付け等によって接合されており、上記押さえ板7bの凸面側が上記フィルタ部材4の電極部4bに当接して摺動し、上記バネ部材7aからのバネ力によって上記電極部4bを押圧するとともに、上記制御ユニット20からの定電圧VCCを上記フィルタ部材4の電極部4bに供給する。
【0026】上記バネ部材7aは、上記フィルタ部材4のバランスが取られて重力や振動の影響が小さいため、比較的小さいバネ力のもので良く、上記押さえ板7bは、その中央部で上記バネ部材7aに接合することで、両側の長さを等しくして上記電極部4bを押圧する力が双安定動作で略等しくなるようにし、上記フィルタ部材4がどちらかの方向へ揺動する際に余計な力がかからないようにしている。また、上記押さえ板7bの長さは、上記フィルタ部材4の幅で調整して容易に加工できる範囲で短くし、上記バネ部材7a先端の接合点にかかるモーメントが小さくなるようにしてある。 上記制御ユニット20は、上記カメラ1の撮像領域の明暗に応じて上記フィルタ部材4のレンズ2前面への出し入れを制御するため、上記モータ3を正転、逆転、停止させるものであり、上記双安定機構7のバネ部材7aに定電圧VCCを供給し、第1,第2ストッパ6a,6bからの信号によって上記フィルタ部材4の停止位置を判別する。
【0027】撮像領域の明暗は、簡易的には、別途、光センサを備えることによって検出することも可能であるが、上記カメラ1の画像から検出することが望ましく、例えば、上記カメラ1の画像の明るさを検出して電子シャッタを制御する図示しない電子シャッタコントロール回路からの信号を、上記フィルタ部材4の出し入れを指示する信号(以下、フィルタ出入信号と称する)として上記制御ユニット20に取り込むことで、上記フィルタ部材4の出し入れを制御することができる。
【0028】本形態においては、画像の明るさによるフィルタ出入信号、第1,第2ストッパ6a,6bからの信号を処理するため、上記制御ユニット20には、図3に示すように、プルダウン抵抗21,22、インバータ23、2入力NORゲート24,25、モータコントローラ26等が備えられている。
【0029】上記プルダウン抵抗21は、一端が接地され、他端が第1ストッパ6aに接続されるとともに上記NORゲート24の一方の入力端に接続されており、また、上記プルダウン抵抗22は、一端が接地され、他端が第2ストッパ6bに接続されるとともに上記NORゲート25の一方の入力端に接続されている。
【0030】上記NORゲート24の他方の入力端にはフィルタ出入信号が入力され、上記NORゲート25の他方の入力端にはフィルタ出入信号がインバータ23によって反転されて入力されるようになっており、各NORゲート24,25から出力される信号A,Bがモータコントローラ26に入力され、このモータコントローラ26により、信号A,Bに対して図4に示すような論理動作で上記モータ3が駆動される。
【0031】以下、カメラ1の画像に対する映り込みの心配の無い比較的暗い状況下でレンズ2前面からフィルタ部材4を外すよう指示するフィルタ出入信号を“1”、映り込みが心配される明るい状況下でレンズ2前面へフィルタ部材4を入れるよう指示するフィルタ出入信号を“0”として、光学フィルタ装置10の動作について説明する。
【0032】制御ユニット20へ入力されるフィルタ出入信号が“0”であるとき、すなわち、カメラ1のレンズ2前面にフィルタを入れる動作をさせるときには、NORゲート24には“0”の信号、NORゲート25にはインバータ23によって反転された“1”の信号が、それぞれ入力される。ここで、フィルタ部材4の光学フィルタ部4aがレンズ2前面から外れ、電極部4bが第2ストッパ6bに接触していると、第1ストッパ6aからは“0”の信号がNORゲート24に入力され、第2ストッパ6bからは“1”の信号がNORゲート25に入力される。
【0033】従って、NORゲート24は、“0”,“0”の入力信号によって出力信号Aが“1”となり、NORゲート25は、“1”,“1”の入力信号によって出力信号Bが“0”となる。モータコントローラ26では、図4に示すように、信号Aが“1”で信号Bが“0”のとき、フィルタ部材4の光学フィルタ部4aをレンズ2前面に入れる方向にモータ3が回転(正転)するよう、モータ3の通電電流を制御し、モータ3が回り始める。
【0034】このモータ3の回転に伴い、フィルタ部材4が回転して電極部4bが第2ストッパ6bから離れると、NORゲート25の一方の入力信号が“0”となるが、NORゲート25の他方の入力信号すなわちフィルタ出入信号を反転した信号は“1”のままであるため、NORゲート25の出力信号Bは“0”のままで、モータ3は正転し続ける。
【0035】そして、フィルタ部材4が回転して電極部4bが第1ストッパ6aに接触すると、NORゲート24への一方の入力が“1”となり、NORゲート24の出力信号Aが“0”となる。すると、モータコントローラ26では、図4に示す動作論理に従ってモータ3を停止させ、フィルタ部材4の光学フィルタ部4aがレンズ2前面に位置して停止する。このモータ3にトルクが発生しない状態では、双安定機構7によってフィルタ部材4の電極部4bが第1ストッパ6aに押し付けられて保持され、安定状態が保たれる。
【0036】次に、周囲が暗くなってレンズ2前面からフィルタを外す必要が生じた場合には、制御ユニット20へのフィルタ出入信号が“1”になり、NORゲート24の入力信号が“1”,“1”、NORゲート25の入力信号が“0”,“0”となる。その結果、NORゲート24の出力信号Aが“0”となって、NORゲート25の出力信号Bが“1”となり、モータコントローラ26では、図4の動作論理に従い、フィルタ部材4の光学フィルタ部4aをレンズ2前面から外す方向にモータ3を逆転させる。
【0037】そして、モータ3の逆転に伴い、フィルタ部材4の電極部4bが第1ストッパ6aから離れると、NORゲート24の一方の入力信号が“0”となるが、NORゲート24の他方の入力信号すなわちフィルタ出入信号は“1”のままであるため、NORゲート24の出力信号Aは“0”のままでモータ3は逆転し続ける。
【0038】その後、フィルタ部材4が電極部4bが第2ストッパ6bに接触すると、NORゲート25への一方の入力が“1”となり、NORゲート25の出力信号Bが“0”となる。すると、モータコントローラ26では、図4に示す動作論理に従ってモータ3を停止させ、フィルタ部材4の光学フィルタ部4aがレンズ2前面から外れた状態で停止する。この状態では、双安定機構7によってフィルタ部材4の電極部4bが第2ストッパ6bに押し付けられて保持され、安定状態が保たれる。
【0039】以上のフィルタ出し入れ動作は、実際には、極短い時間(例えば、0.1sec程度)で行われ、モータ3の駆動を高電圧によるパルス的な駆動として応答性を向上することができる。
【0040】すなわち、カメラ1の撮像領域が明るいときには、光学フィルタをカメラ1のレンズ2前面に自動的に入れるため、フロントガラスに反射するインストルメントパネルや、そこに置かれた物体の像の映り込みを防止することができ、シャッタ速度が極端に短くなることを防止して画像のスミアを低減することができる。一方、カメラ1の撮像領域が暗いときには、光学フィルタをカメラ1のレンズ2前面から自動的に外すため、感度を低下させることがない。
【0041】この場合、フィルタ部材4を樹脂で軽量に形成し、モータ3をパルス的に駆動して動作速度を高めているため、トンネルの出入り等による急激な明るさの変化に対し、応答性良く追従して光学フィルタを出し入れすることができる。また、樹脂によって光学フィルタを形成するため、2台1組のステレオカメラを車両に搭載する場合においても、同じロットの隣接したところから2枚の光学フィルタを形成することにより、透過率のばらつきの少ない光学フィルタとすることができ、応答速度が速いことから、2台のカメラに対応する2組のフィルタ駆動機構に同時に信号を与えることで、実用上、問題ないレベルで2台のカメラに対して光学フィルタを同時に出し入れすることができる。
【0042】しかも、安価な小型モータ、安価な樹脂製のフィルタ、単純なバネ機構の組み合わせ、安価な素子の組み合わせによる簡単な制御ユニット20等によって装置を構成するため、コストを低減することができる。
【0043】図5は本発明の実施の第2形態に係わり、フィルタ駆動制御ルーチンのフローチャートである。
【0044】本形態は、制御ユニット20をマイクロコンピュータを中心として構成し、モータ3の制御をソフトウエアによって行うものである。すなわち、制御ユニット20内のマイクロコンピュータで図5のフィルタ駆動制御ルーチンを所定時間周期で実行してフィルタ出入信号を監視し、このフィルタ出入信号に従ってモータ3を正転、逆転、停止させ、フィルタの出し入れを制御する。
【0045】このフィルタ駆動制御ルーチンでは、まず、ステップS101でフィルタ出入信号を調べ、フィルタ出入信号が“0”すなわちフィルタ入のとき、ステップS102へ進んで第1ストッパ6aからの信号を読み込んでフィルタ部材4の電極部4bが第1ストッパ6aに接触しているか否かを調べる。
【0046】そして、第1ストッパ6aからの信号が“0”のとき、すなわち、フィルタ部材4の電極部4bが第1ストッパ6aに接触していないときには、上記ステップS102からステップS103へ進んでモータ3を正転させ、ルーチンを抜ける。これにより、フィルタ部材4が回転し、電極部4bが第1ストッパ6aに接触すると、上記ステップS102からステップS105へ進んでモータ3が停止され、光学フィルタ部4aがレンズ2前面の位置で保持される。
【0047】一方、上記ステップS101でフィルタ出入信号が“1”すなわちフィルタ出のときには、上記ステップS101からステップS104へ進み、第2ストッパ6bからの信号を読み込んでフィルタ部材4の電極部4bが第2ストッパ6bに接触しているか否かを調べる。
【0048】そして、第2ストッパ6bからの信号が“0”のとき、すなわち、フィルタ部材4の電極部4bが第2ストッパ6bに接触していないときには、上記ステップS104からステップS106へ進んでモータ3を逆転させ、ルーチンを抜ける。これにより、フィルタ部材4が前述のフィルタ入の場合の方向とは逆方向に回転し、電極部4bが第2ストッパ6bに接触すると、上記ステップS104から前述のステップS105へ進んでモータ3が停止され、光学フィルタ部4aがレンズ2前面から外れた位置で保持される。
【0049】本形態においても、安価な構成で、カメラ1のレンズ2前面に、撮像領域の明るさに応じて応答性良く光学フィルタを出し入れすることができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車載カメラに対する光学フィルタの出し入れを応答性良く行うことができ、且つ、安価に構成することができる等優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態に係わり、光学フィルタ装置の全体構成図
【図2】同上、双安定機構の拡大図
【図3】同上、 制御ユニットの構成例を示す説明図
【図4】同上、モータコントローラの動作論理を示す説明図
【図5】本発明の実施の第2形態に係わり、フィルタ駆動制御ルーチンのフローチャート
【符号の説明】
1 …カメラ
2 …レンズ
3 …モータ
4 …フィルタ部材
4a…光学フィルタ部
4b…電極部
6a,6b…ストッパ
7a…バネ部材
7b…押さえ板
10…光学フィルタ装置
20…制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両搭載のカメラに対応する光学フィルタ部を有し、モータの回転軸に取り付けられるフィルタ部材と、上記カメラの撮像領域の明るさに基づいて上記モータを正転/逆転させて上記フィルタ部材を揺動駆動し、上記カメラのレンズ部前面への上記光学フィルタの出し入れを制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車載カメラの光学フィルタ装置。
【請求項2】 上記フィルタ部材を樹脂材料で形成したことを特徴とする請求項1記載の車載カメラの光学フィルタ装置。
【請求項3】 上記フィルタ部材を長板状に形成し、回転バランスを取って上記モータの回転軸に取り付けることを特徴とする請求項2記載の車載カメラの光学フィルタ装置。
【請求項4】 上記フィルタ部材の端部を押圧する押さえ板と、この押さえ板を支持して付勢力を与えるバネ部材とによる双安定機構を設け、この双安定機構により、上記フィルタ部材の揺動動作を補助するとともに、上記フィルタ部材を停止位置に保持することを特徴とする請求項3記載の車載カメラの光学フィルタ装置。
【請求項5】 上記押さえ板を、上記カメラのレンズ部前面に上記光学フィルタ部が位置する方向への付勢力と上記カメラのレンズ部前面から上記光学フィルタ部が外れる方向への付勢力とが略等しくなるよう、上記バネ部材によって支持することを特徴とする請求項4記載の車載カメラの光学フィルタ装置。
【請求項6】 上記フィルタ部材の側部に当接して上記フィルタ部材の回転移動を規制するストッパを、上記フィルタ部材の両側に設けたことを特徴とする請求項5記載の車載カメラの光学フィルタ装置。
【請求項7】 上記フィルタ部材に電極部を設けて上記制御手段から上記押さえ板を介して給電するとともに、上記フィルタ部材の両側のストッパを電極として上記制御手段への入力信号とし、上記カメラの撮像領域の明るさを表す信号と上記各ストッパからの信号とに応じて上記モータの正転・逆転・停止を制御することを特徴とする請求項6記載の車載カメラの光学フィルタ装置。
【請求項8】 上記カメラの撮像領域の明るさを、上記カメラの撮像画像の明るさとすることを特徴とする請求項1記載の車載カメラの光学フィルタ装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate