説明

車載用サイン表示装置

【課題】車の運転中に他車間に割り込んだりする際、相手ドライバーに不愉快な思いを与えることを防止しつつ、心理的に和ませて交通安全や交通事故防止の意識を持つことができるような車載用サイン表示装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載される車載用サイン表示装置1であって、発光して文字を表示する電光表示部4と、揺動表示部5と、電光表示部及び揺動表示部に電力を供給する電源部6と、電源部6の電力供給を制御する電源制御回路部7と、を備えており、揺動表示部5は、主軸に支承されて振り子運動可能な主アーム52と、主アーム52の上端側に配置されるディスプレイ板54とを備え、電源制御回路部7は、電磁コイルに間欠的に電力を供給可能に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用サイン表示装置、特に、車の運転中に他車間に割り込んだりする際、相手ドライバーに不愉快な思いを与えることを防止できるような車載用サイン表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路上を走行する自動車等の車両においては、走行時に、他車を追い越したり、隣の車線の車両間に割り込んだり、右左折して方向転換する場合がある。このような車線変更等の運転動作を行う場合、ウインカーランプを発光点滅させることにより、車線変更等する意思表示を後続車両のドライバーに対して送るが、不注意やちょっとしたミスにより後続車のドライバーに不愉快な思いを与えてしまうことが多々ある。このような場合、例えば、隣の車線の車両間に割り込みしたドライバーが、割り込みさせてもらった感謝の気持ちを表すために、ハザードランプや前照灯等を発光点滅させたり、クラクションを発音させたりすることが行われている。
【0003】
しかしながら、このようなハザードランプ等の発光点滅やクラクションの発音による感謝の意思表示が相手ドライバーに正確に伝わらず、これが原因で喧嘩等のトラブルの原因になる場合があった。また、ハザードランプは、通常、事故や渋滞が発生していることを後続車に知らせて注意を促すために発光点滅させるものであるため、このハザードランプの本来もつ合図と紛らわしく、事故を誘発する恐れもあった。
【0004】
そこで、割り込ませてもらったドライバーが後続車のドライバーに対して感謝の意思を正確に表すものとして、特許文献1に開示されているような車載用電光表示器が知られている。
【0005】
特許文献1に開示されている車載用電光表示器は、「すみません」という文字を電光表示可能に構成した表示装置であり、車線変更等を行った後に、ドライバーがこの表示装置を操作して「すみません」という文字を発光させて、感謝の意思表示を後続車両のドライバーに対して行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録番号第3023027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した車載用電光表示器は、感謝の意思表示を後続車両のドライバーに対して正確に行うことができるという点で有用なものではあるが、後続車両のドライバーが事務的で心の籠っていないあいさつであると受け取る場合もあり、相手ドライバーを心理的に和ませて交通安全や交通事故防止の意識を与えるまでには至っていないという問題があった。また、上記車載用電光表示器を使用するドライバーにとっても、感謝の気持ちを正確に表してはいるが、自身が交通安全や交通事故防止の意識を持つには至っていないのが実情である。
【0008】
本発明は、このような観点からなされたものであって、車の運転中に他車間に割り込んだりする際、相手ドライバーに不愉快な思いを与えることを防止しつつ、心理的に和ませて交通安全や交通事故防止の意識を持つことができるような車載用サイン表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的は、車両に搭載される車載用サイン表示装置であって、発光して文字を表示する電光表示部と、揺動表示部と、前記電光表示部及び前記揺動表示部に電力を供給する電源部と、前記電源部の電力供給を制御する電源制御回路部と、車両の運転席側に配置され、前記電源部による電力供給を開始するための電気的信号を前記電源制御回路部に発する入力部と、を備えており、前記揺動表示部は、主軸に支承されて振り子運動可能な主アームと、前記主アームの下端側に配置される永久磁石と、前記主アームの上端側に配置されるディスプレイ板と、前記主アームが鉛直状態で停止した際の前記永久磁石の対向位置において前記永久磁石と離間した状態で配置される電磁コイルとを備え、前記電源制御回路部は、前記電磁コイルに間欠的に電力を供給可能に制御されていることを特徴とする車載用サイン表示装置により達成される。
【0010】
上述の車載用サイン表示装置は、発光して文字を表示する電光表示部の他に、振り子運動可能なディスプレイ板を有する揺動表示部を備えているため、例えば、電光表示部において、「ありがとう」という文字を電光表示すると共に、揺動表示部において、手のひらをかたどったディスプレイ板を振り子運動させることが可能になる。これにより、車の運転中に他車間に割り込んだりする際に、「ありがとう」という感謝の意思を後続車両のドライバーに対して正確に表しつつ、例えば、手をかたどったディスプレイ板を振って挨拶することができるため、相手ドライバーに不愉快な思いを与えることを防止するだけでなく、相手ドライバーを心理的に和ませて交通安全や交通事故防止の意識を与えることが可能となる。また、この車載用サイン表示装置を使用するドライバーにとっても、手を振って相手ドライバーに挨拶していると意識するため、相手ドライバーに親近感を覚え、交通安全や交通事故防止を効果的に意識して車両を運転することが可能になる。
【0011】
この車載用サイン表示装置における前記電源制御回路部は、前記電源部による電力供給を開始するための電気的信号を受けた後、所定時間経過後に前記電源部による電力供給を停止するよう制御されていることが好ましい。
【0012】
このような構成により、揺動表示部におけるディスプレイ板の振り子運動を自動的に停止させることができるため、ディスプレイ板の振り子運動を停止させる動作をドライバーが行う必要がなく、車両の運転に集中して交通安全に寄与することができる。
【0013】
また、前記入力部は、無線信号を送信する送信部を備えており、前記電源制御回路部は、前記送信部からの無線信号を受信する受信部を備えており、受信した無線信号に基づいて前記電源部が電力供給するように制御されていることを特徴とすることが好ましい。
【0014】
このような構成により、車両の運転席側に配置される入力部と、電源制御回路部とを接続する配線が不要になり、極めて簡単に車載用サイン表示装置を車両内に搭載することが可能になる。
【0015】
また、前記入力部は、音声を入力する音声入力手段を備えており、所定の音声情報が入力された際に、前記電源部による電力供給を開始するための電気的信号を前記電源制御回路部に発することを特徴とすることが好ましい。
【0016】
このような構成により、所定の音声(例えば「ありがとう」という音声)を発するだけで、電光表示部及び揺動表示部を駆動させることが可能になり、車載用サイン表示装置の操作性を向上させることができる。
【0017】
また、前記揺動表示部は、前記主軸と平行であって、前記主アームが鉛直状態で停止した際の前記主アームの下方に配置される軸部と、前記軸部に支承される補助アームとを更に備えており、前記補助アームは、その長手方向に延びるスリットを備え、前記主軸と平行な方向に前記主アームから突出する突出体が、前記スリット内を貫挿することが好ましい。
【0018】
このような構成により、揺動表示部におけるディスプレイ板が極端に大きく振れてしまうことを防止して、所定の振り幅で規則正しくディスプレイ板を振り子運動させることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車の運転中に他車間に割り込んだりする際、相手ドライバーに不愉快な思いを与えることを防止しつつ、心理的に和ませて交通安全や交通事故防止の意識を持つことができるような車載用サイン表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用サイン表示装置の概略構成正面図である。
【図2】図1に示す車載用サイン表示装置の概略構成側面図である。
【図3】図2におけるA−A断面での揺動表示部の拡大断面図である。
【図4】図3のB−B断面を示す断面図である。
【図5】図1に示す車載用サイン表示装置が有する揺動表示部の変形例を示す概略構成図である。
【図6】図1に示す車載用サイン表示装置が有する揺動表示部の他の変形例を示す概略構成図である。
【図7】図1に示す車載用サイン表示装置が有する揺動表示部の更に他の変形例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る車載用サイン表示装置について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る車載用サイン表示装置1の概略構成正面図であり、図2は、図1に示す車載用サイン表示装置1の概略構成側面図である。図3は、図2におけるA−A断面での揺動表示部5の拡大断面図であり、図4は、図3のB−B断面を示す断面図である。
【0022】
本発明に係る車載用サイン表示装置1は、図1及び図2に示すように、入力部2と、表示装置本体3とを備えている。入力部2は、車両の運転席側に配置される装置であり、表示装置本体3を駆動させるための電気的信号を発する機能を有する。また、表示装置本体3は、例えば、車両のリアダッシュボード上や、リアウインドウ等の外部から良く視認できる箇所に取り付けられて使用されるものである。
【0023】
まず、入力部2について説明する。この入力部2は、車両のドライバーが操作可能な位置(或いは助手席の同乗者が操作可能な位置)に設置され、表示装置本体3を駆動させるための電気的信号を発する装置である。この入力部2は、押圧ボタン21と、無線信号を送信する送信部(図示せず)とを備えており、押圧ボタン21をドライバーが押圧することにより、押圧信号を電源制御回路部7に無線送信できるように構成されている。ここで、押圧信号は、後述の電源部6による電光表示部4及び揺動表示部5への電力供給を開始するための電気的信号に相当する。なお、入力部2は、その内部に設置されるボタン電池等の小型電池から電力供給を受けて作動する。
【0024】
次に、表示装置本体3について説明する。この表示装置本体3は、車両の割り込み等を行った場合に、後続の車両ドライバーに対して感謝の意を表すための装置であり、電光表示部4と、揺動表示部5と、電源部6と、電源制御回路部7とを備えている。
【0025】
電光表示部4は、発光して文字を表示する機能を有しており、所定の語句の形状の透光部41aを有するプレート状の表示体41と、当該表示体41を照光する照光手段42とを備えている。透光部41aは、所定の語句の形状を刳り抜いた開口により構成されている。この電光表示部4は、電源部6や電源制御回路部7が格納される後述の筐体8の前面(後続車両に対向する面)に設置されている。本実施形態においては、表示体41の後方から照光手段42により光を照射し、透光部41aを通過した光が、後続車両のドライバーに視認できるように構成している。なお、本実施形態においては、表示体41に形成される透光部41aを「アリガトウ!」という語句に形成しているが、このような語句の他、「Thank You!」や「すみません」等種々の語句を採用することができる。また、表示体41を照光する照光手段42としては、例えば、LEDランプやハロゲンランプ等、種々のランプを採用することができる。
【0026】
揺動表示部5は、振り子運動可能な要素を備える構成であり、図3及び図4に示すように、ケーシング51と、主アーム52と、永久磁石53と、ディスプレイ板54と、電磁コイル55とを備えている。この揺動表示部5は、後述の筐体8上に配置されている。
【0027】
ケーシング51は、底部51aから立設し、互いに対向する前方壁51b及び後方壁51cを備えている。前方壁51b及び後方壁51cの各上端部の角部には、両者を接続する一対の支柱51dが設置されており、各支柱51dの間には、開口部51eが形成されている。なお、前方壁51bの一方面は、電光表示部4における表示体41と略平行となっている。
【0028】
主アーム52は、その一端から他端に向けて細長いプレート状又は棒状の部材であり、ケーシング51の前方壁51b及び後方壁51cの上部中央部を連接して設置される主軸52aに支承されて振り子運動可能に構成されており、その上端側をケーシング51の上記開口部51e内を遊挿してケーシング51の上方に貫出して収納されている。なお、主軸52aに支承される主アーム52の位置は、上下方向の略中間部位である。
【0029】
上記主アーム52の下端側には永久磁石53が、上端側にはディスプレイ板54が取り付けられている。この永久磁石53は前方壁51b側及び後方壁51c側が異極となるように取り付けられている。また、ディスプレイ板54は軽量材で製造されており、表面に文字や図形等の所望の表示が形成されている。本実施形態においては、ディスプレイ板54を、手のひらをかたどった形状となるように構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、幼児の顔や、犬や猫等の動物をかたどった形状、或いは、これらのイラストが掲載された矩形状のプレート体により構成してもよい。また、光をよく反射する素材によりディスプレイ板54を形成し、夜間でもディスプレイ板54を視認し易いように構成してもよい。
【0030】
また、ケーシング51の後方壁51cには、電磁コイル55が設置されている。この電磁コイル55は、上記主アーム52が鉛直状態に停止した際の永久磁石53の対向位置において、永久磁石53と離間した状態で設置されている。なお、電磁コイル55は、通電時、永久磁石53の対向部と同極となるように励磁されるものが使用されており、固定された当該電磁コイル55に対して、永久磁石53は磁力による反発力を受けるようになしている。
【0031】
電磁コイル55は、後述の電源部6に接続されており、後述の電源制御回路部7を介して間欠的に通電されるように構成されている。これにより、主アーム52の下端部に設けられている永久磁石53が電磁コイル55と対向する位置を通過する際、該電磁コイル55の励磁で反発力を得て、所定の振り子運動を継続するようになしている。
【0032】
電源部6は、電光表示部4及び揺動表示部5に電力を供給する電源であり、市販の乾電池や充電池により構成されている。この電源部6は、図1及び図2に示すように、筐体8の内部に収容されている。なお、電源部6は、電光表示部4及び揺動表示部5の他、電源制御回路部7にも電力を供給できるように構成されている。ここで、筐体8は、プラスチック等の合成樹脂や、ステンレス等の金属材料により形成されたケースであり、その下部に載置部81を備えている。この載置部81は、車両のリアダッシュボード上に載置される部分であり、その下面には、滑り止めシートや粘着テープが貼着されている。なお、表示装置本体3の安定性を高めるために、載置部81の横方向寸法(図1における左右方向の長さ)は、筐体8の横方向寸法よりも大きくなるように形成されている。なお、電光表示部4の表示体41の横方向寸法よりも大きくなるように形成することがより好ましい。
【0033】
電源制御回路部7は、電源部6による電光表示部4及び揺動表示部5への電力供給を制御する機能を有する制御部であり、上述の筐体8内部に収容されている。この電源制御回路部7は、入力部2が有する送信部(図示せず)から発せられた無線信号を受信する受信部(図示せず)を備えており、受信した無線信号に基づいて電源部6が電力供給するように制御されている。また、電源制御回路部7は、揺動表示部5が有する電磁コイル55に間欠的に電力を供給できるように構成されている。更に、電源制御回路部7は、タイマー回路を備えており、電源部6による電力供給を開始するための電気的信号を入力部2から受け、電力供給を開始した後、所定時間経過後に電源部6による電力供給を停止するよう制御されている。
【0034】
このような構成の車載用サイン表示装置1の作動について以下説明する。まず、入力部2を車両のドライバーが操作可能な位置(或いは助手席の同乗者が操作可能な位置)に取り付けると共に、表示装置本体3を、車両のリアダッシュボード上であって、外部から良く視認できる箇所に取り付ける。
【0035】
車載用サイン表示装置1を取り付けた車両のドライバーは、走行時において、例えば、隣の車線の車両間に割り込んだ際に、入力部2における押圧ボタン21を押圧する。押圧ボタン21の押圧により、電源部6による電光表示部4及び揺動表示部5への電力供給を開始するための電気的信号が無線信号として電源制御回路部7の受信部に送信される。
【0036】
送信された無線信号に基づいて、電源制御回路部7は、電源部6に対して電光表示部4及び揺動表示部5への電力供給を開始し、これをうけて電光表示部4における照光手段42が発光し、所定の語句形状に形成された透光部41aを透過した光により、所定の語句(アリガトウ!)を発光表示する。
【0037】
一方、揺動表示部5は、電源部6からの電力供給を受けて、電磁コイル55を励磁する。この電磁コイル55は、電源制御回路部7により間欠的に通電されるように構成されているため、永久磁石53が電磁コイル55と対向する位置を通過する際、該電磁コイル55の励磁で反発力を得て振り子運動は加速され、所定の振り子運動を継続する。なお、電磁コイル55通電前において、ディスプレイ板54を有する主アーム52は、車両の振動の影響により僅かに揺れているため、主アーム52を揺動させるための外力を別途与えなくても電磁コイル55を間欠通電するだけで、主アーム52下端部における永久磁石53が電磁コイル55の磁力による反発力を受けて、主アーム52が振り子運動を行う。
【0038】
電源制御回路部7は、電源部6による電力供給を開始するための電気的信号を入力部2から受けて電力供給を開始した後、所定時間経過後に電源部6による電力供給を停止する。
【0039】
本発明に係る車載用サイン表示装置1は、上述のように、発光して文字を表示する電光表示部4の他に、振り子運動可能な揺動表示部5を備えているため、電光表示部4において、「アリガトウ!」という文字を電光表示すると共に、揺動表示部5において、ディスプレイ板54を振り子運動させることが可能になる。これにより、車の運転中に他車間に割り込んだりする際に、「ありがとう」という感謝の意思を後続車両のドライバーに対して正確に表しつつ、例えば、手のひらや幼児の顔等をかたどったディスプレイ板54を振って挨拶することができるため、相手ドライバーに不愉快な思いを与えることを防止するだけでなく、相手ドライバーを心理的に和ませて交通安全や交通事故防止の意識を与えることが可能となる。また、この車載用サイン表示装置1を使用するドライバーは、例えば、ディスプレイ板54が手のひらをかたどったものである場合には、手を振って相手ドライバーに挨拶していると意識することから相手ドライバーに親近感を覚え、また、ディスプレイ板54が幼児の顔をかたどった場合には、自分の子供や相手ドライバーの子供のことを意識することになる。この結果、交通安全や交通事故防止を効果的に意識して車両を運転することになる。
【0040】
また、車載用サイン表示装置1における電源制御回路部7は、電源部6による電力供給を開始するための電気的信号を受けた後、所定時間経過後に電源部6による電力供給を停止するよう制御されているため、揺動表示部5におけるディスプレイ板54の振り子運動を自動的に停止させることができる。この結果、ディスプレイ板54の振り子運動を停止させる動作をドライバーが別途行う必要がなく、車両の運転に集中して交通安全に寄与することができる。
【0041】
また、入力部2は、無線信号を送信する送信部を備えており、電源制御回路部7は、送信部からの無線信号を受信する受信部を備え、受信した無線信号に基づいて電源部6に電力供給するように制御されているため、車両の運転席側に配置される入力部2と、電源制御回路部7とを接続する配線が不要になり、極めて簡単に車載用サイン表示装置1を車両内に搭載することが可能になる。
【0042】
以上、本発明に係る車載用サイン表示装置1の一実施形態について説明したが、車載用サイン表示装置1の具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、入力部2が無線信号を送信する送信部を備えるように構成し、無線にて電光表示部4や揺動表示部5を駆動させるように構成しているが、このような構成の代わりに、入力部2と電源制御回路部7とを有線により接続し、入力部2における押圧信号(電気的信号)を電源制御回路部7に発するように構成してもよい。
【0043】
また、入力部2が、音声を入力する音声入力手段を備えており、所定の音声情報が入力された際に、電源部6による電力供給を開始するための電気的信号を電源制御回路部7に発するように構成してもよい。このような構成により、所定の音声(例えば「ありがとう」や「THANK YOU」という音声)を発するだけで、電光表示部4及び揺動表示部5を駆動させることが可能になり、車載用サイン表示装置1の操作性をより向上させることができる。また、このような構成を採用した場合、入力部2を指で押圧するといった操作が必要ないため、より安全に車両を運転することが可能になる。
【0044】
また、上記実施形態においては、電光表示部4及び揺動表示部5等に電力を供給する電源部6を市販の乾電池や充電池により構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、太陽電池装置により電源部6を構成してよい。また、太陽電池装置及び市販の乾電池や充電池を併用して電源部6を構成してもよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、電光表示部4を、所定の語句形状を刳り抜いたプレート状の表示体41と、当該表示体41の後方から光を照射する照光手段42とにより構成しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、液晶表示画面に所定の語句を表示するように構成してもよい。また、所定の語句形状となるようにLEDを複数並べることにより電光表示部4を形成してもよい。
【0046】
また、上記実施形態において、揺動表示部5が、図5(a)(b)に示すように、補助アーム56を備えるように構成してもよい。なお、図5(a)は、図2のA−A断面に相当する図であり、図5(b)は、図3のB−B断面に相当する図である。この補助アーム56は、その一端から他端に向けて細長いプレート状又は棒状の部材であり、主アーム52が支承される主軸52aと平行であって、主アーム52が鉛直状態で停止した際の主アーム52下端よりも下方に配置される軸部56aに支承されるように構成されている。また、この補助アーム56には、その長手方向に所定長さ延びるスリット56bが形成されており、主軸52aと平行な方向に主アーム52から突出する棒状の突出体52bが、当該スリット56b内を貫挿するように構成されている。軸部56aは、ケーシング51の前方壁51b及び後方壁51cの下部中央部を連接して設置されており、突出体52bは、主アーム52の下端部と中央部との略中央位置において、主アーム52から前方壁51b側に向けて突出するように構成されている。なお、補助アーム56は、その下端部近傍において、軸部56aに支承されている。また、スリット56bは、補助アーム56の上端部近傍から補助アーム56の中央部にかけて形成されている。スリット56bに貫挿される突出体52bは、主アーム52が鉛直状態で停止した状態において、スリット56bの長手方向の略中央部に配置されている。このような構成により、図5(c)に示すように、主アーム52が振り子運動する際に、補助アーム56のスリット56bの上方側端部が、主アーム52から突出する突出体52bの移動を規制するため、主アーム52の上端側に配置されるディスプレイ板54が、電磁コイル55による作用及び車両の振動等により極端に大きく振れてしまうことを防止して、所定の振り幅で規則正しくディスプレイ板54を振り子運動させることが可能になる。
【0047】
また、上記実施形態においては、電源部6や電源制御回路部7が収容される筐体8の下部に載置部81を設け、車両のリアダッシュボード上に車載用サイン表示装置1を載置するような構成を採用しているが、このような構成に特に限定されず、例えば、図6に示すように、筐体8の前方側壁に取付部82を設け、この取付部82を介して車両のリヤガラスに車載用サイン表示装置1を取り付けるように構成してもよい。取付部82には、吸盤や粘着テープが設けられており、これら吸盤や粘着テープを介して車両のリヤガラスに車載用サイン表示装置1が取り付けられる。
【0048】
また、上記実施形態においては、主アーム52及び補助アーム56を、その一端から他端に向けて細長いプレート状又は棒状の部材により形成しているが、主軸52a又は軸部56aを支点として、主アーム52又は補助アーム56が振り子運動可能な形状であれば特に限定されない。例えば、図7に示すように、主アーム52及び補助アーム56が、屈曲部9を備える細長い部材により形成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態においては、入力部2が、押圧ボタン21を備え、当該押圧ボタン21をドライバーが押圧した際に発生する押圧信号が無線にて電源制御回路部7に送信されて電光表示部4や揺動表示部5を駆動させるように構成しているが、例えば、右方向或いは左方向に車両が移動するようにハンドルを操作したことを検知して電源制御回路部7に電気的信号を発するように入力部2を構成してもよい。具体的には、ハンドルのグリップ部分における所定位置に設置される磁石と、ダッシュボード上に設置される磁力センサーとにより入力部2を構成してもよい。磁石及び磁力センサーは、直線走行時のハンドル位置において、両者が対向する位置となるように設置される。なお、磁力センサーは、磁力の変化を感知した場合に、電光表示部4や揺動表示部5を駆動させるための電気的信号を電源制御回路部7に送信するように構成されている。車両の車線変更操作を行う場合、ドライバーは、ハンドルを右方向或いは左方向に所定角度回転させた後、直線走行時のハンドル位置に戻す動作を行うが、この一連の動作により磁力センサーが検知する磁力に変化が生じることになる。磁力センサーは、この磁力変化に基づいて、電光表示部4や揺動表示部5を駆動させるための電気的信号を電源制御回路部7に送信し、電光表示部4や揺動表示部5が駆動することになる。
【0050】
このように、右方向或いは左方向に車両が移動するようにハンドルを操作したことを検知して電源制御回路部7に電気的信号を発するように入力部2を構成することにより、電光表示部4及び揺動表示部5を駆動させるために、入力部2を指で押圧するといった操作や、「ありがとう」といった音声を発する必要がないため、より一層安全に車両を運転することが可能になる。
【符号の説明】
【0051】
1 車載用サイン表示装置
2 入力部
21 押圧ボタン
3 表示装置本体
4 電光表示部
41 表示体
41a 透光部
42 照光手段
5 揺動表示部
51 ケーシング
52 主アーム
53 永久磁石
54 ディスプレイ板
55 電磁コイル
56 補助アーム
6 電源部
7 電源制御回路部
8 筺体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載用サイン表示装置であって、
発光して文字を表示する電光表示部と、揺動表示部と、前記電光表示部及び前記揺動表示部に電力を供給する電源部と、前記電源部の電力供給を制御する電源制御回路部と、車両の運転席側に配置され、前記電源部による電力供給を開始するための電気的信号を前記電源制御回路部に発する入力部と、を備えており、
前記揺動表示部は、主軸に支承されて振り子運動可能な主アームと、前記主アームの下端側に配置される永久磁石と、前記主アームの上端側に配置されるディスプレイ板と、前記主アームが鉛直状態で停止した際の前記永久磁石の対向位置において前記永久磁石と離間した状態で配置される電磁コイルとを備え、
前記電源制御回路部は、前記電磁コイルに間欠的に電力を供給可能に制御されていることを特徴とする車載用サイン表示装置。
【請求項2】
前記電源制御回路部は、前記電源部による電力供給を開始するための電気的信号を受けた後、所定時間経過後に前記電源部による電力供給を停止するよう制御されている請求項1に記載の車載用サイン表示装置。
【請求項3】
前記入力部は、無線信号を送信する送信部を備えており、
前記電源制御回路部は、前記送信部からの無線信号を受信する受信部を備えており、受信した無線信号に基づいて前記電源部が電力供給するように制御されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車載用サイン表示装置。
【請求項4】
前記入力部は、音声を入力する音声入力手段を備えており、所定の音声情報が入力された際に、前記電源部による電力供給を開始するための電気的信号を前記電源制御回路部に発することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車載用サイン表示装置。
【請求項5】
前記揺動表示部は、前記主軸と平行であって、前記主アームが鉛直状態で停止した際の前記主アームの下方に配置される軸部と、前記軸部に支承される補助アームとを更に備えており、前記補助アームは、その長手方向に延びるスリットを備え、前記主軸と平行な方向に前記主アームから突出する突出体が、前記スリット内を貫挿する請求項1から4のいずれかに記載の車載用サイン表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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