説明

車載用ディスプレイ装置

【課題】タッチパネルと液晶ディスプレイとの間に、複数の部材を貼り合わせてクッションが取り付けられる場合に、当該タッチパネルと当該液晶ディスプレイの間への異物の侵入を抑制する技術を提供する。
【解決手段】車載用ディスプレイ装置は、映像表示面を有する表示装置と、表示装置に重ね合わされて配置される、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルと、映像表示面とタッチパネルとの間にできる隙間を塞ぐように設けられた弾性部材80aと、を備えている。映像表示面とタッチパネルとの間に設けられる弾性部材80aは、所定の幅(x1)を有する帯状の部材を、複数個、映像表示面又はタッチパネルに貼り合わせて、矩形枠状に配置され、各部材(81a、82a)が相互に接する接合部Xの長さは、各部材の長手方向に垂直な方向の幅(x1)よりも長く設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置のタッチパネルには、基材としてガラスなどが用いられる。そのため、タッチパネルに過大な力が加えられると、破損してしまう。そこで、力が加えられても破損しないように、タッチパネルが他の部品と接触する箇所に、クッション(弾性部材)を介在させることがある。
【0003】
例えば、地図などの映像を表示するための液晶ディスプレイと、タッチパネルとの間に、矩形枠状のクッションなどを介在させることもある。
【0004】
また、特許文献1には、映像表示デバイスのフロントパネルを保持するベゼルと、フロントパネルの映像表示面との間に、弾性を有するパッキンを取り付けることについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−162636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のようなクッションやパッキンといった弾性部材を、ナビゲーション装置に取り付ける場合、複数の長辺部材と短辺部材が、矩形枠状になるようにタッチパネルの外周縁に沿って貼り合わされる。
【0007】
一般的に、このような複数の部材を貼り合わせる作業は、組立作業員の手作業によって行われるため、各部材が相互に接する接合部にずれが生じることもある。
【0008】
この接合部のずれによって、タッチパネルと液晶ディスプレイとの間に、異物が入り易くなり、液晶ディスプレイによる表示の妨げになる。また、一旦、タッチパネルと液晶ディスプレイとの間に入り込んだ異物を取り除くことは、非常に困難である。
【0009】
本発明は、タッチパネルと液晶ディスプレイとの間に、複数の部材を貼り合わせてクッションが取り付けられる場合に、当該タッチパネルと当該液晶ディスプレイの間への異物の侵入を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本願発明の車載用ディスプレイ装置は、映像表示面を有する表示装置と、前記表示装置に重ね合わせて配置される、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルと、前記映像表示面と前記タッチパネルとの間にできる隙間を塞ぐように設けられた弾性部材と、を備える車載用ディスプレイ装置であって、前記弾性部材は、所定の幅を有する1本の帯状の部材から、当該部材の長手方向に対して斜めに切り取られた複数の部材を、前記映像表示面又は前記タッチパネルに貼り合わせて、矩形枠状に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車載用ディスプレイ装置によれば、タッチパネルと液晶ディスプレイとの間に、複数の部材を貼り合わせてクッションが取り付けられる場合に、当該タッチパネルと当該液晶ユニットの間への異物の挿入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態が適用された車載用ディスプレイ装置の分解斜視図である。
【図2】車載用ディスプレイ装置の側面図である。
【図3】(A)は、第1のクッションをパネル用ケースに収めた状態における、車載用ディスプレイ装置の外観図である。(B)は、第2のクッションをパネル用ケースに収めた状態における車載用ディスプレイ装置の外観図である。
【図4】矩形枠状の第1のクッションにおける隅部の拡大図である。
【図5】従来の矩形枠状のクッションにおける隅部の拡大図である。
【図6】接合部がジグザグ形状である場合の、第1のクッションにおける隅部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ディスプレイ装置1の分解斜視図である。なお、画面表示面が、向かって左奥に配置するようにしている。図示するように、車載用ディスプレイ装置1は、車載用ディスプレイ装置1を制御する制御部100と、画面表示面を備えるディスプレイ部90と、タッチパネル70と、前面(向かって左奥側を前面とする)からタッチパネル70やディスプレイ部90を覆うように収納するパネル用ケース60と、を備える。
【0015】
また、ディスプレイ部90とタッチパネル70との間には、タッチパネル70がディスプレイ部90に直接的に接触しないように、弾性を有する第1のクッション80aが挟み込まれている。さらに、タッチパネル70とパネル用ケース60との間には、タッチパネル70がパネル用ケース60に直接的に接触しないように、第1のクッション80aと同様の性質、形状からなる第2のクッション80bが挟み込まれている。
【0016】
制御部100は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、制御部100は、扁平直方体形状のケース内に、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々は処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、記憶装置から読み出した地図データ、演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)と、各種ハードウェアを制御部100に接続するためのI/F(インタフェース)と、などを格納している。そして、制御部100は、各デバイスをバスで相互に接続した構成からなる。このような制御部100では、CPUがRAMなどのメモリに読み出したプログラムを実行することで、各種機能(例えば、ディスプレイ部90に地図を表示する機能など)が実現される。
【0017】
ディスプレイ部90は、扁平直方体形状のケース内に、ディスプレイ基板を格納している。ディスプレイ部90の画面表示面には、液晶パネルなどの表示装置の他に、各種の操作ボタンが配置されている。
【0018】
タッチパネル70は、ディスプレイ部90の画面表示面に重ね合わせて貼られる透過性のある操作パネルである。タッチパネル70は、ディスプレイ部90に表示された画像のXY座標と対応したタッチ位置を特定し、タッチ位置を座標に変換して出力する。タッチパネル70は、感圧式または静電式の入力検出素子などにより構成される。なお、タッチパネル70は、透過性のあるガラス素材を用いて形成されたものであるため、力が加えられると破損しやすいといった特性を有している。
【0019】
パネル用ケース60は、ディスプレイ部90の画面表示面を、タッチパネル70を介して外部に露出させる矩形枠状の開口部を有しており、タッチパネル70やディスプレイ部90などを、側方壁で覆うように収納する。パネル用ケース60は、例えば、アルミニウムや鉄といった金属部材を加工して形成されたものである。
【0020】
第1のクッション80aは、弾性を有するシール部材(例えば、ウレタン)により構成されている。第1のクッション80aは、互いに平行な2つの長辺部材81a、83aと、互いに平行な2つの短辺部材82a、84aと、が矩形枠状に配置される。各部材(81a〜84a)の片面には粘着剤が付けられており、各部材(81a〜84a)が、タッチパネル70の外周縁の形状に沿って貼り合わせられる。また、第1のクッション80aを構成する各部材(81a〜84a)は、それぞれ、所定の厚み(ディスプレイ部90の画面表示面に垂直方向)、所定の幅(最も近いタッチパネル70の外周縁に垂直方向)、所定の長さ(最も近いタッチパネル70の外周縁に平行方向)を有する帯状の形状(テープのような形状)をしている。
【0021】
第2のクッション80bも、第1のクッション80aと同様に、弾性を有するシール部材(例えば、ウレタン)により構成されている。第2のクッション80bは、互いに平行な2つの長辺部材81b、83bと、互いに平行な2つの短辺部材82b、84bと、が矩形枠状に配置される。各部材(81b〜84b)の片面には粘着剤が付けられており、各部材(81b〜84b)が、タッチパネル70の外周縁の形状に沿って貼り合わせられる。また、第2のクッション80bを構成する各部材(81b〜84b)は、それぞれ、所定の厚み(ディスプレイ部90の画面表示面に垂直方向)、所定の幅(最も近いタッチパネル70の外周縁に垂直方向)、所定の長さ(最も近いタッチパネル70の外周縁に平行方向)を有する帯状の形状(テープのような形状)をしている。
【0022】
また、第1のクッション80a(第2のクッション80bも同様)を構成する各部材(81a〜84a)は、1本の帯状の部材を、幅方向(当該部材の長手方向の垂直方向)に対して斜め(45度)に切り取って製造される。これにより、弾性部材を無駄にせずに第1のクッション80aを製造することができ、コストも抑えることができる。
【0023】
図2は、パネル用ケース60に、図1に示した各部が収められた状態を示す図である。ただし、図2は、車載用ディスプレイ装置1を側面からみた場合の図である。図示するように、パネル用ケース60には、車載用ディスプレイ装置1の前面側から、第2のクッション80b、タッチパネル70、第1のクッション80a、ディスプレイ部90、制御部100、の順に、各部が収められる。タッチパネル70の前面側、および、タッチパネル70の背面側に、弾性を有する第2のクッション80bと、第1のクッション80aが設けられることにより、ユーザに強くタッチされた場合であっても、タッチパネル70は容易には破損しないようになっている。
【0024】
また、第2のクッション80bは、パネル用ケース60の外部から内部に異物が入り込むのを抑制する機能を有している。そして、第1のクッション80aは、パネル用ケース60の内部に入り込んだ異物が、タッチパネル70とディスプレイ部90との間に入り込むのを抑制する機能を有している。
【0025】
図3(A)は、図1に示したL2の区間の各部(パネル用ケース60から第1のクッション80aまで)をパネル用ケース60に収めた状態の車載用ディスプレイ装置1を、ディスプレイ部90の背面側から前面側への方向(図1に示す点線の矢印方向)にみた場合の外観図である。図示する点線は、タッチパネル70より前面側に位置するパネル用ケース60の内周縁を示しており、斜線領域は、第1のクッション80aを示す。図示するように、第1のクッション80aは、互いに平行な2つの長辺部材81a、83aと、互いに平行な2つの短辺部材82a、84aとが、矩形枠状に、タッチパネル70の背面に貼り合わされている。そして、第1のクッション80aは、パネル用ケース60の内周縁から一定の間隔をおいて、パネル用ケース60の外周縁に沿って貼り合わされている。なお、第1のクッション80aは、タッチパネル70とディスプレイ部90の間に設けられていればよく、必ずしもタッチパネル70の背面に貼り付けておく必要はない。例えば、第1のクッション80aは、ディスプレイ部90の前面に貼り付けられてもよい。
【0026】
図3(B)は、図1に示したL1の区間の各部(パネル用ケース60から第2のクッション80bまで)をパネル用ケースに収めた状態の車載用ディスプレイ装置1を、ディスプレイ部90の背面側から前面側への方向(図1に示す点線の矢印方向)にみた場合の外観図である。図示する斜線領域は、第2のクッション80bを示す。図示するように、第2のクッション80bは、互いに平行な2つの長辺部材81b、83bと、互いに平行な2つの短辺部材82b、84bとが、矩形枠状に、パネル用ケース60の背面に貼り合わされている。そして、第2のクッション80bは、パネル用ケース60の内周縁から一定の間隔をおいて、パネル用ケース60の外周縁に沿って貼り合わされている。なお、第2のクッション80bは、タッチパネル70とパネル用ケース60の間に設けられていればよく、必ずしもパネル用ケース60の背面に貼り付けておく必要はない。例えば、第2のクッション80bは、タッチパネル70の前面に貼り付けられてもよい。
【0027】
図4は、矩形枠状の第1のクッション80aにおける4隅の1つを、拡大して示した図である。図示するように、第1のクッション80aを構成する長辺部材81aと、短辺部材82aと、が相互に接する接合部Xは、その長さが、上述した各部材(81a〜84a)の幅よりも長くなるように形成されている。具体的には、各部材(81a〜84d)の端(接合部X)は、部材の長手方向(最も近いタッチパネル70の外周縁に平行方向)に対して、所定の傾斜角度(例えば、45度)で傾斜するような直線形状に形成されている。ここで、傾斜角度を45度とすれば、各部材(81a〜84a)の幅を「x1」とした場合に、接合部Xの長さは、「(x1)の約1.4倍」となり、各部材(81a〜84d)の幅(x1)よりも長くなる。
【0028】
これに対して、図5は、従来の矩形枠状のクッションにおける4隅の1つを、拡大して示した図である。図示するように、従来のクッション80aを構成する長辺部材81aと、短辺部材82aと、が相互に接する接合部Yは、その長さが、各部材(81a〜84a)の幅と等しい長さ(x1)となる。この場合、上述したように、各部材(81a〜84a)は、組立作業員によって手作業で貼り合わされているため、接合部Yにずれが生じやすく、その結果、塵埃などの異物が、ディスプレイ部90とタッチパネル70との間に入り込みやすい。
【0029】
本願の図4に示す第1のクッション80aは、図5に示す従来のクッション80aと比較して、各部材(81a〜84d)の接合部Xが長いため、ディスプレイ部90とタッチパネル70との間に、異物が入り込みにくくなっている。また、接合部Xは、直線形状であるため、接合部Xの加工も容易にできる。
【0030】
また、第2のクッション80bを構成する各部材(81b〜84b)の接合部Xについても、第1のクッション80aと同様の形状に加工されている。そのため、従来のクッション80aを用いる場合と比較して、パネル用ケース60の外部から内部にも、異物が入り込みにくくなっている。
【0031】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。
【0032】
例えば、上記実施形態では、第1のクッション80aを構成する各部材(81a〜84a)が相互に接続する接合部Xは、図4に示すような直線形状としている。しかし、本願は、これに限定されず、接合部Xの長さが、上述した各部材(81a〜84a)の幅(x1)よりも長ければよい。例えば、接合部Xは、ジグザグ形状であってもよい。
【0033】
図6は、接合部Xがジグザグ形状である場合の、第1のクッション80aにおける4隅の1つを、拡大して示した図である。図示するように、第1のクッション80aを構成する長辺部材81aと、短辺部材82aと、が相互に接する接合部Xは、ジグザグ形状に形成されている。ここで、ジグザグ形状を、図示するように、2カ所の直角部分を有する形状とすれば、接合部Xの全体での長さは、「(x1)の1.5倍」となり、各部材の幅(x1)よりも長くなる。また、接合部Xは、単純な直線形状ではなく直角部分を有しているため、ディスプレイ部90とタッチパネル70との間に、さらに異物が入り込みにくくなっている。
【符号の説明】
【0034】
1・・・車載用ディスプレイ装置、60・・・パネル用ケース、70・・・タッチパネル、80a・・・第1のクッション、80b・・・第2のクッション、81a、83a・・・長辺部材(第1のクッション)、82a、84a・・・短辺部材(第1のクッション)、81b、83b・・・長辺部材(第2のクッション)、82b、84b・・・短辺部材(第2のクッション)、90・・・ディスプレイ部、100・・・制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示面を有する表示装置と、
前記表示装置に重ね合わせて配置される、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルと、
前記映像表示面と前記タッチパネルとの間にできる隙間を塞ぐように設けられた弾性部材と、を備える車載用ディスプレイ装置であって、
前記弾性部材は、
所定の幅を有する帯状の部材から、当該部材の幅方向に対して斜めに切り取られた複数の部材を、前記映像表示面又は前記タッチパネルに貼り合わせて、矩形枠状に配置される、
ことを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項2】
映像表示面を有する表示装置と、
前記表示装置に重ね合わせて配置される、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネルと、
前記映像表示面と前記タッチパネルとの間にできる隙間を塞ぐように設けられた弾性部材と、を備える車載用ディスプレイ装置であって、
前記弾性部材は、
所定の幅を有する帯状の部材を、複数個、前記映像表示面又は前記タッチパネルに貼り合わせて、矩形枠状に配置され、
各部材が相互に接する接合部の長さは、各部材の長手方向に垂直な方向の幅よりも長く設けられている、
ことを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車載用ディスプレイ装置であって、
前記弾性部材を構成する各部材は、それぞれ、前記矩形枠状の角隅部において相互に接しており、
前記接合部は、各部材の長手方向に対して、所定の傾斜角度で傾斜するような直線形状に形成されている、
ことを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車載用ディスプレイ装置であって、
前記傾斜角度は、45度である、
ことを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項5】
請求項2に記載の車載用ディスプレイ装置であって、
前記弾性部材を構成する各部材は、それぞれ、前記矩形形状の角隅部において相互に接しており、
前記接合部は、ジグザグ形状に形成されている、
ことを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の車載用ディスプレイ装置であって、
前記弾性部材を介して重ね合わせた前記表示装置と前記タッチパネルを、当該タッチパネル側から覆うように収納するケースを備え、
前記弾性部材と同形状の弾性部材を、前記ケースと前記タッチパネルとの間にできる隙間を塞ぐように設ける、
ことを特徴とする車載用ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−52774(P2013−52774A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192766(P2011−192766)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】