説明

車間距離測定装置。

【課題】自動車の走行時、車間距離を測定する装置。
【解決手段】運転者が、前車の後部が道路標識などの目印を通過した時点で、手動により、ストップウオッチを始動させ、自車の前部が通過する時点までの時間間隔を測定し、車間距離に変換して表示するか、又はストップウオッチの始動から一定時間後に音声信号を発信させ、その時点の自車と目印との位置関係から車間距離を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の安全性を向上させるため、運転者に走行中の車間距離を表示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車事故の多い形態の一つは追突である。是を防ぐには適正車間距離を保って運転する必要がある。法定最小車間距離は道路交通法第26条に定められ、具体的数値は、「車の停止/制動距離計算機」でオンリーワンヒットする、弁護士のホームページに示されている。それに依れば、高速道路の法定上限速度である時速100kmで走行する場合、法定最小車間距離は乾燥路でも70mです。これに対し、現在の技術では自動車間距離測定器は、50m程度までしか計測出来ないため、自動計測は困難です。濡れた路面では更に長くなるため、更に不可能です。従って表示された適正車間距離は、運転者が目測で制御する必要がある。
【0003】
また、法定最小車間距離で停車するには、相当強くブレーキを踏む必要が有るが、一般の運転者が、その様な緊急停車を体験する機会は少なく、特に高速道路では時速50km以下で走行する事は原則禁止されており、訓練のため、公道上で時速100kmからの緊急停車を体験する事は禁止されており、専用の訓練場も殆どない。
【0004】
更に法定最小車間距離は、前車がスリップで横を向いて突然停車した場合になどにも追突を防ぐよう、設定されて居るが、個々の運転者がその様な事態に遭遇する確率は極めて低く、しかも特に高速道路では上記のように体験が許されていないため、前車がブレーキで正常に減速し停車する場合を想定した、より短い車間距離で走行する事が常態化し、特に雪道での大玉突き事故が絶えない。
【0005】
是に対し、上記ホームページに示された法定最小車間距離を計算して、車内に表示し、更にメトロノーム機能により、法定最小車間距離走行時間間隔を音声表示する発明は出願済みです。
【0006】
しかしメトロノームでは、音声の発行時期が、道路上の特徴ある地点と同期しない場合は計測しにくい。連続吹鳴により、ある程度使い易くはなっているが、車間距離が特に重要な、滑り易い路面では、メトロノームの吹鳴間隔が長くなるので、メトロノーム・モードだけでは、タイミングが合せ辛い。
【先行技術文献】
【0007】
【特許文献】
【特許文献】特許第2727523号(0024〜0026、図3)、特願2010−257259(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来より、運転者が、操作しやすい、適正車間距離維持手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本発明は上記文献特許装置で表示された適正車間距離の走行毎に、連続的にチャイムやブザーを鳴らす、メトロノーム・モードと併行、または独立してストップ・ウオッチ・モードを追加する。
【0010】
本発明装置のシステム構成は、先に出願した、特願2010−257259の図1と共用し得る。予めストップウオッチ・モードを選択し、前車の後部が道路標識などの目印を通過した時点でストップウオッチを始動させ、自車の前部が通過する時点で停止させ、続いて、測った時間間隔を、車間距離に変換して標示する。両時点で同一、または異なった音程、音色の音声を発信させる。
【0011】
ストップウオッチ・モードを選択時、併行してメトロノーム・モードを選択した場合には、ストップウオッチの始動と同時に、メトロノームも始動し、適正車間距離走行時点で、ストップウオッチとは異なる音声信号を発する。此処で適正車間距離とは、法定最小車間距離と同じ場合もあり、よりリラックスした運転を望んでそれより長く設定する場合もある。
【0012】
若しメトロノームの音声が、ストップウオッチの停止ボタンが押した音の前に発信される場合には、原状の車間距離が法定値より長く、合法的な安全運転であることを示すので、メトロノームは「ブー」と云うような、リラックスする音を出し、逆の場合には、違法走行状態であるから、「チーン」と云うような、緊張を呼ぶような音にする場合もある。すなわち、音の前後と、その間隔で、安全性と、その程度を認識する事が出来る。
【0013】
上記の様に、一般のドライバーは、時速100kmからの緊急停車を経験する機会がないため、法定最少車間距離より短い違法状態で走る傾向がある。従って法定最少車間距離より更に充分長い車間距離で走行すると、頻繁な割り込みを受ける恐れがある。従って、本発明装置を利用しても、法定最少車間距離より僅かに長い車間距離で走るのが妥当である。そうすると、本発明のストップウオッチ・モードと、メトロノーム・モードを併用した場合には、メトロノームは、ストップウオッチと同時にスタートするため、ストップウオッチの停止操作はメトロノームの吹鳴と極く近いため、停止操作を省略し、メトロノームの吹鳴時、自車の前部が、ストップウオッチの始動ボタンを押した地点より手前か、丁度か、通り過ぎたかで、合法性、安全度を判断する場合もある。
【0014】
上記メトロノームの吹鳴は、法定最少車間距離走行時に始まるが、その後も例えば1秒間隔とか、1m走行間隔毎に何回も出力させる。更に各音の識別を容易にするため、ドレミファソラシドなどの音階を付ける場合もある。吹鳴前に目標を通過した場合は、違法な危険状態を示すが、危険の程度が判断できるよう、カウントダウンを行う場合もある。
【発明の効果】
【0015】
車間距離を大きく取り過ぎればより安全では有るが、道路の容量が不当に減少し、渋滞を招いたり、頻繁に割り込まれたりして返って危険を増大させることも有るので、各車、適正車間距離を保って整然と走行する事が望ましい。高速道路での実態調査では、ベテラン・ドライバーが、常識的に選択する適正車間距離は、2秒間走行距離とも云われているが、法定最小車間距離は約2.5秒である。しかもこれは路面が乾燥状態の場合で、濡れた路面では大巾に増大する。しかし、一般のドライバーは、その増大に対する認識も薄い。特に雪路での大玉突き事故が絶えない。是を安価な手段で、正確に運転者に知らせる事は、追突事故防止に大きな効果が期待される。
【0016】
法定最少車間距離の計算は、高校レベルの物理の定理から容易に計算できるが、運転者が運転中に暗算で求める事は事実上不可能です。そして法定最少車間距離の計算式は弁護士のホームページに、日米両言語でも公開されていますが、事故が起きてから弁護士から提示されても遅いので、上記特許文献のように、予めコンピューターで計算して告知する必要が有りますが、先願のメトロノーム・モードに加え、本発明のようなストップウオッチ・モードの導入に依り、一層の効果が期待されるものです。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 本発明の実施形態に係る自動車の適正車間距離告知装置の全体構成を示す図である。
【図2】 適正車間距離を標示する、他の例を示す図である。
【図3】 適正車間距離を標示する、他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。図1は本発明装置を、既製の市販車に、後付けオプションとして装着する場合を示す。
【0019】
図において1は、車のシガーライターを外し、その代りに挿入するソケットである。車種に依っては、このようなオプションのために専用の差込み口を設けている場合もある。2はそのプラス極。3はアース極である。2から取り込まれた車の電源は、メインスイッチ4を介して、4芯ケーブル7の1芯(電源線)に送られる。3のアースは直接ケーブル7のアース線に送られる。1上に設けられた2つの押しボタン5と6は、押された際にアース3に繋がるように配線され、7を介して本体8のメイン・マイクロ・コンピューター9に繋がっている。10は9からの指令で作動するブザーで、適正車間距離を車速で割った値を求め、9内に複数設けられた、独立に作動するタイマー機能を介して10を作動させる。。
【0020】
11は、車輪の回転に応動するパルス信号を、9に取り込む線である。最近の自動車は車輪の回転パルスを必要とする機器を多数擁しているため、変速機に車輪の回転に応動したパルスを発する機能を備えており、出力インピーダンス10キロオーム程度の波形整形した出力が用意されているので、本装置も、市販車側に負担を掛けないよう、コンデンサーと100キロオーム程度の抵抗を直列にした回路で取り込み、OPアンプとインバーターで、再度波形整形して9に供給する。
【0021】
デジタル式のスピードメーターのリフレッシュレートは、早すぎるとちらつくため、1.5秒程度が見易い。そのため上記パルスは、一般に1Kmあたり2400パルスを発するように成っている。是を1.5秒でサンプリングすれば、カウント値が直接Km/hとなる。(例えば時速100キロで走行すれば、1時間に100×2400パルス発生する。サンプリング・レートが1.5秒なら、1時間には3600秒÷1.5秒=2400回サンプリングするので、1回のカウント値は100になる。)
【0022】
路面状態を自動的に判断する事は、高価で且つ難しく、例えば現在走行中の路面は乾いて居ても、山陰のカーブは凍って居て、其の上が泥で汚れて居て、氷面が見えない場合なども有り、上記弁護士のホームページでも、路面に関しては、マニアルで判断することを求めて居る。したがって本実施例では、D(ドライ)、W(ウエット)、S(スノー)、I(アイス)の4段階の手動切り替えとした。ボタン5をワンクリックすると、ブザー10が短時間鳴って、D、W、S、Iの順に移動し、再びDに戻るようになっている。デフォルトはDになっているが、過去の値を記憶させることもできる。
【0023】
上記D、W、S、Iの選択に対する上記特許文献の乾燥路相当速度は、路面とタイヤとの限界摩擦係数をμとすれば、乾燥路相当速度=平方根(実速度の自乗×乾燥路のμ÷選択された路面状態のμ)となる。
【0024】
μの値は、公開された資料を参照して、D、W、S、Iに対し、0.8、0.45、0.15、0.07とすることが望ましい。
【0025】
一方、適正車間距離は、適正車間距離=実制動距離+ドライバーがブレーキを踏むまでの空走距離、で表される。空走時間は0.75秒が適当とされて居るので、空走距離は、空走距離m=実走速度Km/h×0.75秒÷3.6で表される。
【0026】
実制動距離は、実制動距離m=実走速度の自乗÷(3.6の自乗×2×9.8×μ)で表される。
【0027】
9で上記計算をした結果は、ケーブル12を介して、ステアリング・コラム・カバー上に取り付けられる表示器13に送られる。14と15は其々3桁のダイナミック点灯用のセブン・セグメントの表示器で、14は緑色で乾燥路相当速度Km/hを示し、15は赤色で適正車間距離mを示している。16は路面状態のマニアル選択結果を示し、図示ではDが選択されて居るので、14が100Km/hの場合、15は70mを示している。
【0028】
ボタン6をワンクリックすると、夜間運転用に13の照度が低下し、再度押すと復帰する。
【0029】
ボタン6を3秒押し続けるとブザーが2回鳴るので、その時点でボタンを離せば、ブザー10が、適正車間距離の走行毎に、連続的に鳴る、メトロノーム・モードになる。再び3秒押せば、鳴らないモードに復帰する。
【0030】
ボタン6を6秒押せば、ブザーが3回鳴るので、その時点でボタンを離せば、ブザー10が、適正車間距離が一定以上変化した場合にのみ、一定期間チャイムやブザーを鳴らすモードとなる。更にボタン6を6秒押せば、告知しないモードに復帰する。
【0031】
一方、9の出力はマイクロ・コンピューター17でビデオ信号に変換され、ケーブル18に出力されるので、AV入力端子を持つカーナビやテレビ受像機や、AV入力端子のみのモニター19に20、21、22のように表示させることもできる。
【0032】
モニター19は、スピーカーを備えているため、ブザーの代りにピアノ音を出すこともできる。ピアノ音は最初に音量が大きく、急速に減衰するため、適正車間距離の判断がし易い。
【0033】
ボタン5を3秒以上押すとブザーが2回鳴り、その時点で離すと、ストップウオッチ・モードになり、セブンセグメント15の1桁目にゼロが表示される。この際、ゼロを示す外周の6個のセグメントの一つを一時消灯し、次にそのセグメントを点灯して、右回りに次のセグメントを消灯する。この様にして、消灯セグメントが右回りに回転する、回転ゼロ・モードとする事により、ストップウオッチ・モードのスタンバイを表示する。
【0034】
この状態で、前車の後部が道路標識などの見易い標的を通過した時点で、ボタン5をワンクリックすると、ストップウオッチがスタートし、11からのパルスを加算し、それを距離に換算して15に標示する。次に自車の前部が同じ標的を通過する時点で、ボタン5をワンクリックすると、カウントが停止し、車間距離が標示される。
【0035】
再度ボタン5をワンクリックすると、表示値が消えて、回転ゼロに戻る。標示距離が、適正車間距離の2倍程度を越えても、停止ボタンが押されない場合は、タイムアウトとして、回転ゼロに戻る。ボタン5を3秒以上押して放すと、ストップウオッチ・モードが解除される。
【0036】
ストップウオッチ・モードを選択して、回転ゼロが表示された際、ボタン6により、メトロノーム・モードも併行して選択した場合には、メトロノームとしての連続吹鳴は停止し、スタンバイ状態となり、ストップウオッチ側のスタート信号で、メトロノームもスタートし、11からのパルス数が適正車間距離に達した時点で、ストップウオッチとは異なる音色の音声信号を発し、現行車間距離が法定値に合格して居るかどうか、を聴覚だけで知らせるようにする場合もある。
【0037】
ストップウオッチ・モードの計測値を表示する場合、図1のモニター19は、図2、図3のの如く標示される場合もある。図2の19aはモニター。23は前車を示す。図の場合は、乾燥路を時速100kmで走行している場合を示す。此処で法定値とは、道路交通法の指示、すなわち前車がいかなる状態の急停車をしても追突しない車間距離、具体的には、自動車衝突工学に示され、弁護士のHPでも追認された最少車間距離のことで、此処では70mとなる。これに対し、図2では、ストップウオッチ・モードに依り計測された車間距離が80mである事を示し、法定値に対し10mのマージンを設けた安全運転であることを示している。この際80mの文字や横線を緑色とし、認識を容易にする場合もある。
【0038】
これに対し、図3の例は、車間距離が50mを示しており、違法な危険状態にある事を示している。この際50mの文字や横線を赤色とし、危険の認識を容易にする場合もある。
【0039】
氷結路を100km/hで走行すると、図1の15に表示される法定最少車間距離は583mを示し、14の乾燥路相当速度は338Km/hを示す。これは何れも異常な値であり、例え表示の車間距離を維持しても、カーブや車線変更時などでの横滑り事故の危険があるため、速度を落とす必要がある。速度を落とせば法定最少車間距離も短くなる。しかし速度を落とせば、到着時間が遅れるため、乾燥路相当速度が時速120Km/hを示す状態で20km/h分の危険増を認識して走る選択肢もあり、それでも法には触れない。その場合でも15の指示値は衝突防止に必要な法定最少車間距離を示しており、追突の危険度は増していない。この辺の関係も、暗算は不可能であり、本発明の効果は大きい。
【0040】
現行商品化されている、自動追従装置の自動車間距離計測装置は、50m程度の検知能力しか無いため、乾燥路を時速80km程度で自動追従走行する能力しかない。しかし法定速度の時速100kmまで使用可能となっている。このため、時速100kmでも使用され、乾燥路でさえ、危険で違法な車間距離で使用される可能性がある。従って自動追従装置はOPとして10万円程度で売られているが、500万円以上の高価車にしか装着サービスが行われておらず、エアーバッグの様に軽自動車にまで提供される状況にない。従って、カタログではイージードライブとしての効能しか標示されて居らず、最終責任は運転者側にある旨記されている。しかし前述のように、緊急停止の経験の無い運転者の感性には違和感なく受け入れられ、危険で違法との認識が無しに、利用されている傾向がある。従って本発明に依って、法定最少車間距離を維持させる事は極めて重要である。
【符号の説明】
【0041】
1・・・ソケット、2・・・プラス極、3・・・アース極、4・・・メインスイッチ、5,6・・・押しボタン、9,17・・・マイクロ・コンピューター、10・・・ブザー、14・・・乾燥路相当速度表示部、15・・・適正車間距離標示部、16・・・選択された路面状態表示部、19・・・テレビ画面標示器、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の走行時、主として車輪の回転から走行距離情報を得る手段。主としてその距離情報から計算して走行速度情報を得る手段。手動または自動で路面の滑り易さの情報を得る手段。それらの情報から適正車間距離を算出する手段とを有し、運転者が、前車が道路標識などの目印を通過した時点で、ストップウオッチを始動させ、自車が通過する時点で停止させ、その時間間隔から車間距離を算出するか、又はストップウオッチの始動から一定時間後に音声信号を発信させ、その時点の自車と目印との位置関係から車間距離を求める、車間距離測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−168146(P2012−168146A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44447(P2011−44447)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(393000294)
【Fターム(参考)】