説明

軌道の振動減衰装置及び振動体の振動減衰装置

【課題】振動を減衰させて騒音の発生を低減することができる軌道の振動減衰装置及び振動体の振動減衰装置を提供する。
【解決手段】区間S1内をD方向に列車1が走行すると、列車1の車輪2R,2Lがレール5R,5L上を転がりながら移動するため、区間S1内のレール5R,5Lが衝撃力を受けて振動する。レール5R,5Lが振動すると、レール5R,5Lと支持体6とに間に挿入された機械電気変換部10の圧電ゴム部が外力を受けて機械的に変位して、この圧電ゴム部が電力を発生する。その結果、区間S1内に列車1が進入したときに発生する振動を機械電気変換部10が電気信号に変換し、この電気信号が電気熱変換部11に入力する。電気熱変換部11に電流が流れるとこの電流が電気熱変換部11の抵抗によって消費されて、レール5R,5Lの振動が減衰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軌道の振動を減衰させる軌道の振動減衰装置、及び振動体の振動を減衰させる振動体の振動減衰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物などによって構成される鉄道高架橋を列車が走行すると、この列車の走行に伴ってこの鉄道高架橋が振動しこの鉄道高架橋から構造物騒音が放射される。このような構造物騒音の対策として、レールを締結するレール締結装置とこのレールとの間にばね定数の小さい低ばね定数軌道パッドを敷設し、車両の通過に伴って発生しレールに入力される加振力をこの低ばね定数軌道パッドによって遮断し、構造物への振動伝達を小さくしている。
【0003】
このような従来の低ばね定数軌道パッドは、弾性体を補強繊維によって補強した複合材からなる中空板状体と、この中空板状体の内部に封入される流体と、この中空板状体内の流体の封入量を調整するバルブなどを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の低ばね定数軌道パッドでは、バルブを開閉することによって中空板状体内の流体の封入量を調整し、ばね定数を所定範囲内に調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-172601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の低ばね定数軌道パッドは、レールから構造物への振動伝達を小さくしてレールから構造物に伝播する振動エネルギーを低減しているが、レールから構造物に振動エネルギーが伝わらないようにすると、結果として振動エネルギーがレールに蓄積する。その結果、従来の低ばね定数軌道パッドでは、レールの長手方向の広い範囲にわたってレールが振動し、列車が走行するときに車両の車輪とレールとが振動することによって放射される転動騒音が増大してしまう問題点がある。
【0006】
この発明の課題は、振動を減衰させて騒音の発生を低減することができる軌道の振動減衰装置及び振動体の振動減衰装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1〜図7に示すように、軌道(4)の振動を減衰させる軌道の振動減衰装置であって、前記振動を電気信号に変換する機械電気変換部(10)と、前記電気信号を熱に変換する電気熱変換部(11)とを備え、前記機械電気変換部は、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部(10a)によって前記振動を前記電気信号に変換することを特徴とする軌道の振動減衰装置(9)である。
【0008】
請求項2の発明は、図8〜図13に示すように、軌道(4)の振動を減衰させる軌道の振動減衰装置であって、前記振動を電気信号に変換する機械電気変換部(10)と、前記機械電気変換部が発生する電力を蓄積する蓄電部(12)とを備え、前記機械電気変換部は、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部(10a)によって前記振動を前記電気信号に変換することを特徴とする軌道の振動減衰装置(9)である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の軌道の振動減衰装置において、図2及び図3に示すように、前記機械電気変換部は、レール(5R,5L)とこのレールを支持する支持体(6)との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換する圧電軌道パッドであることを特徴とする軌道の振動減衰装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の軌道の振動減衰装置において、図5に示すように、前記機械電気変換部は、レール(5R,5L)を支持する支持体(6)とこの支持体を支持する路盤(3)との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換する圧電スラブマットであることを特徴としている軌道の振動減衰装置である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の軌道の振動減衰装置において、図6に示すように、前記機械電気変換部は、レール(5R,5L)を支持する支持体(6)とこの支持体を保持するバラスト(7a)との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換する圧電軌道パッドであることを特徴とする軌道の振動減衰装置である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の軌道の振動減衰装置において、図7に示すように、前記機械電気変換部は、レール(5R,5L)を支持する支持体(6)を保持するバラスト(7a)とこのバラストを支持する路盤(3)との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換する圧電バラストマットであることを特徴とする軌道の振動減衰装置である。
【0013】
請求項7の発明は、図14及び図16に示すように、振動体(14;20)の振動を減衰させる振動体の振動減衰装置であって、前記振動を電気信号に変換する機械電気変換部(17)と、前記電気信号を熱に変換する電気熱変換部(18)とを備え、前記機械電気変換部は、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部によって前記振動を前記電気信号に変換することを特徴とする振動体の振動減衰装置である。
【0014】
請求項8の発明は、図15及び図17に示すように、振動体(14;20)の振動を減衰させる振動体の振動減衰装置であって、前記振動を電気信号に変換する機械電気変換部(17)と、前記機械電気変換部が発生する電力を蓄積する蓄電部(18)とを備え、前記機械電気変換部は、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部によって前記振動を前記電気信号に変換することを特徴とする振動体の振動減衰装置である。
【0015】
請求項9の発明は、請求項7又は請求項8に記載の振動体の振動減衰装置において、図14〜図17に示すように、前記機械電気変換部は、前記振動体とこの振動体を支持する支持体との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換することを特徴とする振動体の振動減衰装置である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、振動を減衰させて騒音の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第1実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
【図2】図1のII-II線で切断した状態を示す断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る軌道の振動減衰装置の機械電気変換部の縦断面図である。
【図4】この発明の第2実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
【図5】図4のV-V線で切断した状態を示す断面図である。
【図6】この発明の第3実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す断面図である。
【図7】この発明の第4実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す断面図である。
【図8】この発明の第5実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
【図9】図8のIX-IX線で切断した状態を示す断面図である。
【図10】この発明の第5実施形態に係る軌道の振動減衰装置の機械電気変換部の縦断面図である。
【図11】この発明の第6実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
【図12】この発明の第7実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
【図13】この発明の第8実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
【図14】この発明の第9実施形態に係る振動体の振動減衰装置を模式的に示す構成図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)のXIV-XIVB線で切断した状態を示す断面図である。
【図15】この発明の第10実施形態に係る振動体の振動減衰装置を模式的に示す構成図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)のXV-XVB線で切断した状態を示す断面図である。
【図16】この発明の第11実施形態に係る振動体の振動減衰装置を模式的に示す構成図である。
【図17】この発明の第12実施形態に係る振動体の振動減衰装置を模式的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。図2は、図1のII-II線で切断した状態を示す断面図である。図3は、この発明の第1実施形態に係る軌道の振動減衰装置の機械電気変換部の縦断面図である。
図1に示す区間S1は、振動減衰装置9によって軌道4の振動を減衰される対象区間である。区間S1は、例えば、軌道4に沿って家屋などが存在する鉄道沿線であって列車1の騒音対策が重要視されている対象区間である。区間S1は、例えば、レール5R,5Lの端部を付き合わせてこれらのレール5R,5Lを接続するレール継目部分の間隔と一致させている。
【0019】
列車1は、軌道4上を運転する目的で組成された車両であり、電車又は気動車などの鉄道車両である。列車1は、1両又は複数両の車両によって編成されている。車輪2R,2Lは、車両を支持する部材であり、左右一対のレール5R,5Lとそれぞれ回転接触する。車輪2R,2Lは、図2に示すように、レール頭部5aの頭頂面5dと接触して摩擦抵抗を受ける踏面2aと、脱輪を防止するために車輪2R,2Lの外周部に連続して形成されたフランジ面2bなどを備えている。
【0020】
路盤3は、支持体6を支持する基盤であり、図1に示す列車1が通過するときに発生する荷重を支持する構造物である。路盤3は、例えば、良質な自然土などを用いて締め固められた土路盤や、バラスト軌道区間で噴泥の生じるおそれのある区間に設置されるコンクリート路盤などである。
【0021】
図1及び図2に示す軌道4は、列車1が走行する通路(線路)であり、図1に示すレール5R,5Lと、支持体6と、図2に示す道床7と、レール締結装置8などを備えている。図1及び図2に示す軌道4は、砂利又は砕石などの粒状体によって構成された道床7上にレール5R,5Lと支持体6とによって構成された軌きょうを敷設した有道床軌道である。
【0022】
図1に示すレール5R,5Lは、列車1の車輪2R,2Lを支持し案内して列車1を走行させる部材であり、図2に示すようにレール頭部5aと、レール底部(フランジ部)5bと、レール腹部(ウェブ部)5cなどを備えている。レール頭部5aは、鉄道車両の車輪2R,2Lと接触する部分であり、車輪2R,2Lを直接支持する頭頂面(頭部上面)5dなどを備えている。レール底部5bは、支持体6上に設置されて取り付けられる部分であり、レール締結装置8の締結ばね8aによって押さえ付けられる底部上面5eと、支持体6上に設置される底部下面5fと、レール底部5bの左右の側面部分を構成する底部側面5gなどを備えている。レール腹部5cは、レール頭部5aとレール底部5bとを繋ぐ部分であり、レール頭部5aに作用する輪重及び押圧をレール底部5bに伝達する。
【0023】
図1及び図2に示す支持体(支承体)6は、レール5R,5Lを支持する部材である。支持体6は、左右のレール5R,5Lを固定して軌間を正確に保持し、レール5R,5Lから伝達される列車荷重を道床7に分散させるために、図2に示すようにレール5R,5Lと道床7との間に設置されるまくらぎである。図1及び図2に示す支持体6は、レール5R,5Lに対して直角に並べて敷設される横まくらぎ(一般区間で使用される並まくらぎ)であり、例えば緊張材として使用される鋼材(Prestressing Steel(PC))によってプレストレスが与えられたプレストレスコンクリート製まくらぎ(PCまくらぎ)である。支持体6は、図1に示すように、レール5R,5Lの長さ方向に所定の間隔をあけて配置されており、レール5R,5Lを離散的に支持している。
【0024】
図2に示す道床7は、支持体6を支持し路盤3に荷重を分散し伝達する構造体である。道床7は、支持体6を保持するバラスト7aを備えており、バラスト7aは砂利又は砕石などの粒状体からなり、支持体6と路盤3との間に敷き詰められている。道床7は、バラスト7aによって構成されたバラスト道床である。
【0025】
レール締結装置8は、レール5R,5Lを支持体6に締結する装置であり、図1に示す列車1が通過する際に発生する振動を吸収する緩衝機能を有する。レール締結装置8は、図2に示すように、締結ばね8aと、ばね受台8bと、埋込栓8cと、締結ボルト8dと、座金8eなどを備えている。レール締結装置8は、レール底部5bと支持体6との間に機械電気変換部10を挟み込み、締結ばね8aによってレール5R,5Lを支持体6に締結する。締結ばね8aは、レール5R,5Lを押さえ付けて締結するばねであり、底部上面5e及び底部側面5gを押さえ付ける押さえ金(ばねクリップ)として機能する。ばね受台8bは、締結ばね8aを支持する部材であり、レール5R,5Lと支持体6とを電気的に絶縁するくさび状の部材である。ばね受台8bは、支持体6と締結ばね8aとの間に挿入する挿入量を調節することによってレール5R,5Lの左右方向の位置を調節する。埋込栓8cは、締結ボルト8dを締結するために支持体6に埋め込まれる部材であり、レール5R,5Lと支持体6とを電気的に絶縁する。締結ボルト8dは、締結ばね8aを締め付ける部材であり、締結ばね8aの貫通孔を貫通して埋込栓8cの雌ねじ部にねじ込まれて固定される。座金8eは、締結ボルト8dと締結ばね8aとの間に挟み込まれる部材である。
【0026】
図1〜図3に示す振動減衰装置9は、軌道4の振動を減衰させる装置である。振動減衰装置9は、軌道4上を列車1が走行したときに車輪2R,2Lとレール5R,5Lとが接触して発生する振動を減衰し、車輪2R,2Lとレール5R,5Lとが接触することによって発生する転動騒音を抑制する。振動減衰装置9は、図1〜図3に示すように、機械電気変換部10と電気熱変換部11などを備えている。
【0027】
図1〜図3に示す機械電気変換部10は、振動を電気信号に変換する手段であり、図3に示す圧電ゴム部10aによって振動を電気信号に変換する。機械電気変換部10は、図1に示すように、列車1が軌道4上を走行するときに区間S1内に発生する振動を圧電効果によって電気信号に変換して出力する圧電材である。機械電気変換部10は、列車1が通過するときに発生する衝撃を緩和し、振動の大きさに応じた電力を発生する弾性を有する圧電素子などである。機械電気変換部10は、列車1が通過したときに発生する機械的な振動を電気信号に変換する機能を有し、列車1の通過によって荷重が作用したときに電力を発生する。機械電気変換部10は、図2及び図3に示すように、レール5R,5Lと支持体6との間に挿入されており、振動を電気信号に変換する圧電軌道パッドである。機械電気変換部10は、従来のレール締結装置で使用される軌道パッドと同様に、列車1が通過する際に発生する衝撃荷重を緩和する機能と、レール5R,5Lが長手方向に移動するふく進に対する抵抗力を確保する機能と、レール5R,5Lと支持体6とを電気的に絶縁する機能とを有する板状部材である。機械電気変換部10は、図2に示すレール締結装置8の一部を構成しており、従来のレール締結装置に使用される軌道パッドと同様の機能を有するとともに圧電材としての機能も有する。機械電気変換部10は、例えば、図1に示す区間S1の入口側(列車1が進入する側)と区間S1の出口側(列車1が進出する側)との間に支持体6の間隔と同じ間隔をあけて複数配置されている。機械電気変換部10は、列車1が軌道4を走行するときに左右の車輪2R,2Lが同時にこれらの機械電気変換部10上を通過して同時に電気信号を発生するように、左右のレール5R,5Lの下方にそれぞれ配置されている。機械電気変換部10は、図3に示すように、圧電ゴム部10aと、電極部10b,10cと、絶縁部10d,10eと、導電部10f,10gなどを備えている。
【0028】
図3に示す圧電ゴム部10aは、ゴム中に圧電材料を分散させた部材である。圧電ゴム部10aは、例えば、ニトリルゴムなどのゴム材とチタン酸ジルコン酸鉛(商品名PZT)などの圧電セラミック粉末とを混合する混合工程と、この混合工程後の混合物を加硫する加硫工程と、この加硫工程後の混合物の両端部に電圧を印加してこの混合物を分極させる分極工程とによって製造される。
【0029】
電極部10b,10cは、圧電ゴム部10aに電気的に接続された接点部分である。電極部10b,10cは、圧電ゴム部10aの両面にそれぞれ積層されており、圧電ゴム部10aの両面全域を被覆するように形成されている。電極部10b,10cは、例えば、金属、金属酸化物又はカーボンなどの導電性材料を蒸着、シルクスクリーン印刷又はイオンスパッタリングなどの方法によって圧電ゴム部10aの両面に形成されたり、導電性材料を含有する樹脂又は導電性高分子などの導電性樹脂を圧電ゴム部10aの両面に多層化して形成されたりする。
【0030】
絶縁部10dは、レール底部5bと電極部10bとの間を電気的に絶縁する部分であり、絶縁部10eは支持体6と電極部10cとの間を電気的に絶縁する部分である。絶縁部10d,10eは、電極部10b,10cの表面に積層されており、電極部10b,10cの表面全域を被覆するように形成されている。絶縁部10d,10eは、例えば、電極部10b,10cの表面に接着剤などによって接合された絶縁性のゴム又は合成樹脂である。
【0031】
導電部10f,10gは、圧電ゴム部10aが発生する電流が流れる部分であり、導電材の表面を絶縁材によって被覆された電線などである。導電部10f,10gは、一方の端部が電極部10b,10cにそれぞれ接続されており、他方の端部が電気熱変換部11に接続されている。
【0032】
図1〜図3に示す電気熱変換部11は、電気信号を熱に変換する手段である。電気熱変換部11は、機械電気変換部10が出力する電気信号(電気エネルギー)を熱エネルギーに変換する。電気熱変換部11は、例えば、抵抗値を調整可能な電気回路を備えており、機械電気変換部10の圧電ゴム部10aが発生する電流(電気信号)が流れる。電気熱変換部11は、図4に示すように、圧電ゴム部10aが減衰効果を発揮するように、この圧電ゴム部10aが発生する起電力を熱により発散して電力を消費する電力消費回路として機能する。電気熱変換部11は、例えば、減衰量に応じて抵抗値を調整可能な可変抵抗によって構成された電気回路、抵抗値が所定値に固定された固定抵抗によって構成された電気回路、又は減衰量に応じて抵抗値が予め可変調整された可変抵抗、インダクタンスが予め可変調整されたコイル及びコンデンサを直列に接続して構成された共振回路などであり、これらの電気回路の一端部が導電部10fに接続され他端部が導電部10gに接続されている。
【0033】
次に、この発明の第1実施形態に係る軌道の振動減衰装置の動作を説明する。
図1に示すように、区間S1内をD方向に列車1が走行すると、列車1の車輪2R,2Lがレール5R,5L上を転がりながら移動するため、区間S1内のレール5R,5Lが衝撃力を受けて振動する。図3に示すように、機械電気変換部10が圧電ゴム部10aを備える圧電軌道パッドを構成するため、機械電気変換部10が高減衰特性を有しばね定数の小さい低ばね軌道パッドになって振動伝達率が低下し、レール5R,5Lが振動してもこのレール5R,5Lから支持体6に振動が伝播し難くなる。また、レール5R,5Lが振動すると機械電気変換部10の内部の摩擦によって振動エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて消費され、レール5R,5Lの振動が低減する。レール5R,5Lが振動すると圧電ゴム部10aが外力を受けて機械的に変位するため、電極部10bと電極部10cとの間に電位差が生じ導電部10f,10gに電流が流れる。その結果、区間S1内に列車1が進入したときに発生する振動を機械電気変換部10が電気信号に変換し、この電気信号が電気熱変換部11に入力する。電気熱変換部11に電流が流れるとこの電流が電気熱変換部11の抵抗によって消費されて、レール5R,5Lの振動エネルギー(電気エネルギー)が熱エネルギーに変換され、レール5R,5Lの振動が減衰する。
【0034】
この発明の第1実施形態に係る軌道の振動減衰装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、軌道4の振動を電気信号に機械電気変換部10が変換し、この電気信号を熱に電気熱変換部11が変換し、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部10aによってこの機械電気変換部10が振動を電気信号に変換する。このため、軌道4の振動を減衰させて転動騒音の増大を抑制し、鉄道沿線の騒音を低減することができる。また、軌道4の振動が減衰されるためこの軌道4から構造物に伝わる振動が低減し、構造物騒音の発生を低減することができる。
【0035】
(2) この第1実施形態では、機械電気変換部10がレール5R,5Lと支持体6との間に挿入されて振動を電気信号に変換する圧電軌道パッドである。その結果、低ばね軌道パッドに高減衰特性を付与することができるため、レール5R,5Lから支持体6への振動を絶縁する性能を維持しつつ、レール5R,5Lの長さ方向に伝播する振動の距離減衰を大きくすることができ、転動騒音の増大を防ぐことができる。また、低ばね軌道パッドに圧電性能を付与することができるため、軌道4の振動エネルギーを圧電軌道パッド内の摩擦によって機械的エネルギーに変換させて損失させるとともに、この軌道4の振動エネルギーを電気エネルギーから熱エネルギーに変換して損失させて、軌道4の振動を効率よく減衰させることができる。
【0036】
(第2実施形態)
図4は、この発明の第2実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。図5は、図4のV-V線で切断した状態を示す断面図である。以下では、図1〜図3に示す部分と同一の部分については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図4及び図5に示す路盤3は、スラブ軌道区間に設置される路盤コンクリートであり、図5に示すように支持体6の水平力を支えるために所定の間隔をあけて突起(突起コンクリート)3aが形成されている。軌道4は、路盤コンクリート上に軌道スラブを敷設したスラブ軌道であり、有道床軌道の保守作業を軽減するために開発された省力化軌道の一種である。支持体6は、矩形平板状のプレキャストのコンクリート版からなるスラブ版(軌道スラブ)であり、レール5R,5Lと路盤3との間に設置されている。レール締結装置8は、図2に示す機械電気変換部10に代えて図5に示す軌道パッド8fを備えており、この軌道パッド8fは、レール5R,5Lと支持体6との間に挿入する弾性体である。軌道パッド8fは、列車1が通過する際に発生する衝撃荷重を緩和する機能と、レール5R,5Lが長手方向に移動するふく進に対する抵抗力を確保する機能と、レール5R,5Lと支持体6とを電気的に絶縁する機能とを有する加硫ゴム製やウレタン製の板状部材である。
【0037】
図4及び図5に示す振動減衰装置9は、レール5R,5Lを支持する支持体6とこの支持体6を支持する路盤3との間に機械電気変換部10が挿入されており、この機械電気変換部10は振動を電気信号に変換する圧電スラブマットである。機械電気変換部10は、スラブ軌道において列車1が走行したときに発生する振動及び騒音の拡散を低減するために支持体6と路盤3との間に挿入されるゴム製のスラブマットとしての機能を有するするとともに、圧電材としての機能も有する。機械電気変換部10は、図4に示すように、区間S1の入口側から出口側に向かって連続して配置されている。
【0038】
この発明の第2実施形態に係る軌道の振動減衰装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、機械電気変換部10が支持体6と路盤3との間に挿入されて振動を電気信号に変換する圧電スラブマットである。その結果、支持体6と路盤3との間の広範囲にわたって機械電気変換部10が挟み込まれるため、機械電気変換部10からの出力電圧が大きくなり、列車1が走行するときに発生する振動を広範囲で減衰させることができる。また、路盤3上に支持体6を設置するときに、この路盤3上に圧電スラブマットを敷設して支持体6を設置することができるため、圧電スラブマットの敷設作業が容易になって作業時間を短縮化することができる。さらに、支持体6と路盤3との間に機械電気変換部10が挟みこまれているため、レール5R,5Lの振動だけではなく支持体6の振動も減衰することができる。
【0039】
(第3実施形態)
図6は、この発明の第3実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す断面図である。
図6に示す振動減衰装置9は、レール5R,5Lを支持する支持体6とこの支持体6を支持するバラスト7aとの間に機械電気変換部10が挿入されており、この機械電気変換部10は振動を電気信号に変換する圧電軌道パッドである。機械電気変換部10は、有道床軌道において列車1が走行したときに発生する振動及び騒音の拡散を低減するために支持体6とバラスト7aとの間に挿入されるゴム製の軌道パッドとしての機能を有するするとともに、圧電材としての機能も有する。機械電気変換部10は、図4に示す機械電気変換部10と同様に、区間S1の入口側から出口側に向かって連続して配置されている。この第3実施形態には、第1実施形態及び第2実施形態と同様の効果がある。
【0040】
(第4実施形態)
図7は、この発明の第4実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す断面図である。
図7に示す振動減衰装置9は、支持体6を保持するバラスト7aとこのバラスト7aを支持する路盤3との間に機械電気変換部10が挿入されており、この機械電気変換部10は振動を電気信号に変換する圧電バラストマットである。機械電気変換部10は、有道床軌道において列車1が走行したときに発生する振動及び騒音の拡散を低減するために支持体6とバラスト7aとの間に挿入されるゴム製のバラストマットとしての機能を有するするとともに、圧電材としての機能も有する。機械電気変換部10は、区間S1の入口側から出口側に向かって連続して配置されている。この第4実施形態には、第1実施形態〜第3実施形態と同様の効果がある。
【0041】
(第5実施形態)
図8は、この発明の第5実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。図9は、図8のIX-IX線で切断した状態を示す断面図である。図10は、この発明の第5実施形態に係る軌道の振動減衰装置の機械電気変換部の縦断面図である。
図8〜図10に示す振動減衰装置9は、図1〜図7に示す電気熱変換部11を省略して蓄電部12を備えており、この蓄電部12は機械電気変換部10が発生する電力を蓄積する手段である。蓄電部12は、小型で大容量のバックアップ電源として利用される電気二重層コンデンサ又はバッテリなどである。蓄電部12は、例えば、この蓄電部12の電圧が基準電圧を超えるときには電気エネルギーを放出し、列車1に停止信号又は進行信号を現示する信号機に電力を供給したり、軌道4に沿って配置された照明装置に電力を供給したり、非常用電源として電力を蓄積したりする。
【0042】
次に、この発明の第5実施形態に係る軌道の振動減衰装置の動作を説明する。
図8に示すように、区間S1内をD方向に列車1が走行すると、この区間S1内のレール5R,5Lが衝撃力を受けて振動する。レール5R,5Lが振動すると図10に示す圧電ゴム部10aが外力を受けて機械的に変位するため、電極部10bと電極部10cとの間に電位差が生じ導電部10f,10gに電流が流れる。その結果、区間S1内に列車1が進入したときに発生する振動(振動エネルギー)を機械電気変換部10が電気信号(電気エネルギー)に変換し、機械電気変換部10が出力する電力が蓄電部12に蓄積されることによって、レール5R,5Lの振動が減衰する。
【0043】
この発明の第5実施形態に係る軌道の振動減衰装置には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第5実施形態では、軌道4の振動を電気信号に機械電気変換部10が変換し、この機械電気変換部10が発生する電力を蓄電部12が蓄積し、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部10aによってこの機械電気変換部10が振動を電気信号に変換する。このため、軌道4の振動エネルギーを機械電気変換部10によって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを蓄電部12に蓄積することによって軌道4の振動を減衰させることができるとともにこの電気エネルギーを蓄電部12から放出して利用することができる。
【0044】
(第6実施形態)
図11は、この発明の第6実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
図11に示す振動減衰装置9は、支持体6と路盤3との間に機械電気変換部10が挿入されており、この機械電気変換部10が振動を電気信号に変換する圧電軌道パッドであり、この圧電軌道パッドが発生する電力を蓄電部12が蓄電する。この第6実施形態には、第1実施形態〜第5実施形態と同様の効果がある。
【0045】
(第7実施形態)
図12は、この発明の第7実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
図12に示す振動減衰装置9は、支持体6とバラスト7aとの間に機械電気変換部10が挿入されており、この機械電気変換部10が振動を電気信号に変換する圧電スラブマットであり、この圧電スラブマットが発生する電力を蓄電部12が蓄電する。この第7実施形態には、第1実施形態〜第6実施形態と同様の効果がある。
【0046】
(第8実施形態)
図13は、この発明の第8実施形態に係る軌道の振動減衰装置を模式的に示す平面図である。
図13に示す振動減衰装置9は、バラスト7aと路盤3との間に機械電気変換部10が挿入されており、この機械電気変換部10が振動を電気信号に変換する圧電バラストマットであり、この圧電バラストマットが発生する電力を蓄電部12が蓄電する。この第8実施形態には、第1実施形態〜第7実施形態と同様の効果がある。
【0047】
(第9実施形態)
図14は、この発明の第9実施形態に係る振動体の振動減衰装置を模式的に示す構成図であり、図14(A)は平面図であり、図14(B)は図14(A)のXIV-XIVB線で切断した状態を示す断面図である。
図14(A)に示す区間S2は、振動減衰装置16によって通路14の振動が減衰させる対象区間である。区間S2は、例えば、通路14に沿って家屋などが存在する道路沿いの騒音対策が重要視されている対象区間である。図14に示す移動体13は、通路14上を移動する物体であり、例えば自動車又は自動二輪車などの車両である。移動体13は、通路14と回転接触する車輪13aなどを備えている。通路14は、移動体13が通過する道路であり、移動体13が移動することによって振動する振動体である。通路14は、図14(B)に示すように、アスファルト混合物の表層(路面)14aと、この表層14aから伝達される交通荷重を分散させて路床15に伝達する路盤14bなどを備えており、表層14a及び路盤14bなどが舗装体を構成している。路床15は、通路14を支持する支持体である。
【0048】
図14に示す振動減衰装置16は、通路14の振動を減衰させる装置であり、図1〜図7に示す振動減衰装置9と同様の機械電気変換部17と電気熱変換部18などを備えている。機械電気変換部17は、振動を電気信号に変換する手段であり、図3に示す圧電ゴム部10aと同様の圧電ゴム部によって振動を電気信号に変換する。機械電気変換部17は、通路14上を移動体13が移動したときに発生する振動を圧電効果によって電気信号に変換して出力する圧電ゴムマットなどであり、移動体13が移動するときに発生する衝撃を緩和し、振動の大きさに応じた電力を発生する。機械電気変換部17は、図14(B)に示すように、通路14と路床15との間に挿入されている。機械電気変換部17は、図14(A)に示す区間S2の入口側(移動体13が進入する側)からこの区間S2の出口側(移動体13が進出する側)に向かって、通路14の幅員(道幅)と略同一の幅で連続して配置されている。図14に示す電気熱変換部18は、電気信号を熱に変換する手段であり、図1〜図7に示す電気熱変換部11と同一構造であるため詳細な説明については省略する。
【0049】
この発明の第9実施形態に係る振動体の振動減衰装置には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第9実施形態では、振動を電気信号に機械電気変換部17が変換し、この電気信号を熱に電気熱変換部18が変換す、この機械電気変換部17がゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部によってこの振動をこの電気信号に変換する。このため、例えば、通路14上を移動体13が移動してこの通路14が振動体となって振動したときに、通路14の振動を減衰させてこの通路14から発生する騒音を低減することができる。
【0050】
(2) この第9実施形態では、機械電気変換部17が通路14とこの通路14を支持する路床15との間に挿入されて振動を電気信号に変換する。このため、移動体13が繰り返し通路14上を通過して機械電気変換部17に繰り返し荷重が作用しても、この機械電気変換部17の圧電ゴム部が可撓性と弾力性を有するためこの機械電気変換部17が破損するのを防ぐことができる。
【0051】
(第10実施形態)
図15は、この発明の第10実施形態に係る振動体の振動減衰装置を模式的に示す構成図であり、図15(A)は平面図であり、図15(B)は図15(A)のXV-XVB線で切断した状態を示す断面図である。
図15に示す振動減衰装置16は、図14に示す電気熱変換部18を省略して蓄電部19を備えており、この蓄電部19は機械電気変換部17が発生する電力を蓄積する手段である。蓄電部19は、図8〜図13に示す蓄電部12と同一構造であり詳細な説明については省略する。
【0052】
この発明の第10実施形態に係る振動体の振動減衰装置には、第1実施形態〜第9実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第10実施形態では、通路14の振動を電気信号に機械電気変換部17が変換し、この機械電気変換部17が発生する電力を蓄電部19が蓄積し、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部によってこの機械電気変換部17が振動を電気信号に変換する。このため、移動体13が通路14上を移動したときに発生する通路14の振動エネルギーを機械電気変換部17によって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを蓄電部19に蓄積することによって通路14の振動を減衰させて通路14から発生する騒音を低減することができる。
【0053】
(第11実施形態)
図16は、この発明の第11実施形態に係る振動体の振動減衰装置を模式的に示す構成図である。
図16に示す振動減衰装置16は、振動体20の振動を減衰させる装置であり、図14及び図15に示す振動減衰装置16と同様の機械電気変換部17と電気熱変換部18などを備えており、振動体20と支持体21との間に機械電気変換部17が挿入されている。振動体20は、振動する部材であり、例えば内燃機関、発電機、電動機又は送風機などの機械類、地震又は風力などの外力を受けて振動する構造物などである。支持体21は、振動体20を支持する部材である。この第11実施形態には、第1実施形態〜第10実施形態の効果に加えて、機械類が動作して振動したり構造物が外力を受けて振動したりしたときに、これらの振動を機械電気変換部17によって減衰させて振動体20から放射される騒音を低減することができる。
【0054】
(第12実施形態)
図17は、この発明の第12実施形態に係る振動体の振動減衰装置を模式的に示す構成図である。
図17に示す振動減衰装置16は、図16に示す電気熱変換部18を省略して蓄電部19を備えており、この蓄電部19は機械電気変換部17が発生する電力を蓄積する手段である。この第12実施形態には、第1実施形態〜第11実施形態の効果に加えて、振動体20の振動エネルギーを機械電気変換部17によって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを蓄電部19に蓄積することによって振動体20の振動を減衰させてこの振動体20から発生する騒音を低減することができる。
【0055】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、支持体6がまくらぎ又はスラブ版である場合を例に挙げて説明したが、レール5R,5Lを長さ方向に連続して支持しレール5R,5Lの長さ方向に沿って敷設される梯子状のラダーまくらぎのような縦まくらぎについても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、レール締結装置8として締結ばね8aを使用した締結装置を例にあげて説明したが、支持体6とレール5R,5Lとの間にタイプレートを挿入した締結装置や、線ばねを使用した締結装置などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この第1実施形態及び第5実施形態では、区間S1の入口側から出口側に向かって支持体6の間隔と同じ間隔をあけて機械電気変換部10を配置する場合を例に挙げて説明したが、支持体6の間隔とは異なる間隔で機械電気変換部10を配置することもできる。
【0056】
(2) この第2実施形態及び第6実施形態では、路盤3と支持体6との間に機械電気変換部10を挿入する場合を例に挙げて説明したが、レール5R,5Lと支持体6との間及び路盤3と支持体6との間に機械電気変換部10を挿入することもできる。また、この第3実施形態及び第7実施形態では、支持体6とバラスト7aとの間に機械電気変換部10を挿入する場合を例に挙げて説明したが、レール5R,5Lと支持体6との間、及び支持体6とバラスト7aとの間に機械電気変換部10を挿入することもできる。さらに、この第4実施形態及び第8実施形態では、バラスト7aと路盤3との間に機械電気変換部10を挿入する場合を例に挙げて説明したが、レール5R,5Lと支持体6との間、支持体6とバラスト7aとの間、及びバラスト7aと路盤3との間に機械電気変換部10を挿入することもできる。
【0057】
(3) この第9実施形態及び第10実施形態では、移動体13が車両である場合を例に挙げて説明したが、通路14上を通行する人間又は動物などの移動体についてもこの発明を適用することができる。また、この第11実施形態及び第12実施形態では、振動体20を支持体21が下側から持ち上げるように支持する場合を例に挙げて説明したが、振動体20を支持体21が上側から吊り下げるように支持する場合についてもこの発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 列車
2R,2L 車輪
3 路盤
4 軌道
5R,5L レール
6 支持体
7 道床
7a バラスト
8 レール締結装置
8f 軌道パッド
9 振動減衰装置
10 機械電気変換部
10a 圧電ゴム部
10b,10c 電極部
10d,10e 絶縁部
10f,10g 導電部
11 電気熱変換部
12 蓄電部
13 移動体
13a 車輪
14 通路(振動体)
15 路床(支持体)
16 振動減衰装置
17 機械電気変換部
18 電気熱変換部
19 蓄電部
20 振動体
21 支持体
1,S2 区間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道の振動を減衰させる軌道の振動減衰装置であって、
前記振動を電気信号に変換する機械電気変換部と、
前記電気信号を熱に変換する電気熱変換部とを備え、
前記機械電気変換部は、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部によって前記振動を前記電気信号に変換すること、
を特徴とする軌道の振動減衰装置。
【請求項2】
軌道の振動を減衰させる軌道の振動減衰装置であって、
前記振動を電気信号に変換する機械電気変換部と、
前記機械電気変換部が発生する電力を蓄積する蓄電部とを備え、
前記機械電気変換部は、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部によって前記振動を前記電気信号に変換すること、
を特徴とする軌道の振動減衰装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の軌道の振動減衰装置において、
前記機械電気変換部は、レールとこのレールを支持する支持体との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換する圧電軌道パッドであること、
を特徴とする軌道の振動減衰装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の軌道の振動減衰装置において、
前記機械電気変換部は、レールを支持する支持体とこの支持体を支持する路盤との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換する圧電スラブマットであること、
を特徴とする軌道の振動減衰装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の軌道の振動減衰装置において、
前記機械電気変換部は、レールを支持する支持体とこの支持体を保持するバラストとの間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換する圧電軌道パッドであること、
を特徴とする軌道の振動減衰装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の軌道の振動減衰装置において、
前記機械電気変換部は、レールを支持する支持体を保持するバラストとこのバラストを支持する路盤との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換する圧電バラストマットであること、
を特徴とする軌道の振動減衰装置。
【請求項7】
振動体の振動を減衰させる振動体の振動減衰装置であって、
前記振動を電気信号に変換する機械電気変換部と、
前記電気信号を熱に変換する電気熱変換部とを備え、
前記機械電気変換部は、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部によって前記振動を前記電気信号に変換すること、
を特徴とする振動体の振動減衰装置。
【請求項8】
振動体の振動を減衰させる振動体の振動減衰装置であって、
前記振動を電気信号に変換する機械電気変換部と、
前記機械電気変換部が発生する電力を蓄積する蓄電部とを備え、
前記機械電気変換部は、ゴム中に圧電材料を分散させた圧電ゴム部によって前記振動を前記電気信号に変換すること、
を特徴とする振動体の振動減衰装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の振動体の振動減衰装置において、
前記機械電気変換部は、前記振動体とこの振動体を支持する支持体との間に挿入されて前記振動を前記電気信号に変換すること、
を特徴とする振動体の振動減衰装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−220050(P2011−220050A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92622(P2010−92622)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】