説明

軟らかい感触のゴルフボール

【課題】多層ゴルフボールのコアと層に使用される種々の材料間の物理的相互作用の複雑な性質により、特定の想定されるデザインによって潜在的に提供される特定の利点および不利点は、予測不可能である。
【解決手段】コア2と、内側マントル層3と、中間マントル層4と、外側マントル層5と、少なくとも1つのカバー層6と、を含み、コアは、70未満のPGA圧縮を有し、コア2/内側マントル層3/中間マントル層4の組み合わせ構造は、少なくとも30のPGA圧縮を有する、ゴルフボール1。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の属する分野
本開示は、ゴルフボールに関する。
発明の背景
「多層」ゴルフボールは概して、少なくとも3つの「ピース」、すなわち中心コアと、コアを包囲する少なくとも2つの層を含む。多層ボールは、いくつかの利点および不利点を提供する。しかしながら、コアと層に使用される種々の材料間の物理的相互作用の複雑な性質により、特定の想定されるデザインによって潜在的に提供される特定の利点および不利点は、予測不可能である。
【0002】
詳細な説明
本明細書では、種々のゴルフボールの実施形態、および該ゴルフボールを製作するための方法を開示する。
【0003】
一実施形態において、該ゴルフボールは、
(a)コアと、
(b)内側マントル層と、
(c)中間マントル層と、
(d)外側マントル層と、
(e)少なくとも1つのカバー層と、を含み、
コアは、70未満のPGA圧縮を有し、コア/内側マントル層/中間マントル層の結合構造は、少なくとも30のPGA圧縮を有する。
【0004】
別の実施形態において、該ゴルフボールは、
(a)70未満のPGA圧縮と、20kpsi未満の材料の曲げ弾性率とを有する、コア材料と、
(b)内側マントル層材料と、
(c)中間マントル層材料と、
(d)外側マントル層材料と、
(e)少なくとも1つのカバー層材料と、を含み、
(a)、(b)、(c)、および(d)のそれぞれの材料は、材料の曲げ弾性率を有し、(a)、(b)、(c)、および(d)のそれぞれの材料の曲げ弾性率は、コア材料と、外側マントル層材料との間のそれぞれの連続層が、直接隣接する内側層材料に対し、より大きな曲げ弾性率を有するように、コア材料から外側マントル層材料へ向けて増加する。
【0005】
さらなる実施形態によると、
(a)15kpsi未満の曲げ弾性率を有するコア材料と、
(b)コア材料に隣接する内側マントル層材料であって、2〜35kpsiの曲げ弾性率を有する内側マントル層材料と、
(c)内側マントル層材料に隣接する中間マントル層材料であって、10〜50kpsiの曲げ弾性率を有する中間マントル層材料と、
(d)中間マントル層材料に隣接する外側マントル層材料であって、30〜110kpsiの曲げ弾性率を有する外側マントル層材料と、
(e)外部カバー層材料と、を含む、5つのピースで構成されるゴルフボールを開示する。
【0006】
別の実施形態は、
(a)40未満のPGA圧縮を有するコアと、
(b)内側マントル層と、
(c)中間マントル層と、
(d)外側マントル層と、
(e)外部カバー層と、を含むゴルフボールであって、
該ゴルフボールは、十分なインパクト耐久性と、4000Hz未満のゴルフボール周波数とを有する。
【0007】
上述のものは、添付図を参照しながら進める、以下の詳細な説明からより明確となるであろう。
詳細な説明
理解の容易のため、本明細書で用いる以下の用語をより詳細に下記で説明する。
「コア」という用語は、ゴルフボールの弾性中心を指し、単一構造を有しうる。代替的に、コア自体は、球状の「中心」と付加的な「コア層」を有する層状構造を有してもよく、このような層は通常、コア中心と同一の材料で製作されている。
【0008】
「カバー層」または「カバー」という用語は、最も外側のマントル層に隣接する、および好適には最も外側のマントル層を包囲する(部分的に包囲する、あるいは完全に包囲する)ゴルフボールの1つ又は複数の任意の層を指す。「外部カバー層」という用語は、ゴルフボールの最も外側のカバー層を指し、これは、ゴルフボールの表面の塗装および/またはインクに直接接触し、ディンプルパターンが設置されている層である。本明細書で用いる外部カバー層という用語は、「外部カバー」という用語と交換可能に使用される。一部の実施形態において、カバーは、2つ以上の層を含んでもよい。これらの実施形態では、「内部カバー層」または「内部カバー」という用語は、最も外側のマントル層と、外部カバー層との間に配設される任意のカバー層を指す。
【0009】
「マントル層」または「マントル」という用語は、コアとカバー層との間に配置されたゴルフボールの任意の層を指す。マントル層は、内向きまたは外向きの突起を含む、もしくは含まない(例えば、中間層は、その湾曲全体で略同一の厚さであってもよい)、空洞の(hollow)表面が薄い球体の形状であってもよい。マントル層は、コアを部分的または完全に包囲してもよい。2つ以上のマントル層を含むボールの場合、「内側マントル」または「内側マントル層」という用語は、コアの最も近くに配置されるボールのマントル層を指す。重ねて、2つ以上のマントル層を含むボールの場合、「外側マントル」または「外側マントル層」という用語は、外部カバー層の最も近くに配置されるボールのマントル層を指す。
【0010】
「バイモーダル(二モード)ポリマー」という用語は、2つの主なフラクションを含むポリマーを指し、より詳しくは、ポリマーの分子量分布曲線の形、すなわち分子量の関数としてのポリマー重量フラクションのグラフの様相を指す。これらのフラクションからの分子量分布曲線を、最終的な全ポリマー生成物の分子量分布曲線となるように重ねると、その曲線は、2つの最大値を示すか、あるいは個々のフラクションの曲線と比較し、少なくともはっきりと広がっている。このようなポリマー生成物をバイモーダルと称する。2つのフラクションの化学組成は異なってもよいことに留意されたい。
【0011】
同様に、「ユニモーダル(単モード)ポリマー」という用語は、1つの主なフラクションを含むポリマー、より具体的には、ポリマーの分子量分布曲線の形を指し、すなわち、全ポリマー生成物の分子量分布曲線は単一の最大値を示す。
【0012】
「高酸イオノマー」とは概して、樹脂もしくはポリマーの重量に基づき、約16重量%を上回る、より具体的には約19重量%を上回る不飽和モノまたはジカルボン酸単位を含む、イオノマー樹脂またはポリマーを指す。
【0013】
「ヒドロカルビル」という用語は、任意の脂肪族、脂環式、芳香族、アリール置換脂肪族、アリール置換脂環式、脂肪族置換芳香族、または脂環式置換芳香族基を含む。脂肪族または脂環式基は、好適には飽和したものである。同様に、「ヒドロカルビルオキシ」という用語は、ヒドロカルビル基と、それが結合する炭素原子との間の酸素結合を有するヒドロカルビル基を意味する。
【0014】
「(メタ)アクリル酸共重合体」という用語は、メタアクリル酸および/またはアクリル酸の共重合体を指す。
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタアクリル酸および/またはアクリル酸のエステルを指す。
【0015】
「部分的に中和された」という用語は、100パーセント未満程度の中和のイオノマーを指す。
「プレポリマー」とは、限定されないが、例として、架橋等の付加的な処理を行うことができる、重合されたまたは部分的に重合された材料といった、製造されたゴルフボールの最終ポリマー材料を形成するために、さらに処理することができる任意の材料を指す。
本明細書で用いる「ポリ尿素」という用語は、ジイソシアネートとポリアミンを反応させることによって、調製される材料を指す。
【0016】
本明細書で用いる「ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートをポリオールと反応させることによって、調製される材料を指す。
「特殊プロピレンエラストマー」には、多量のプロピレンと、少量のエチレンからなる熱可塑性プロピレン−エチレン共重合体を含む。これらの共重合体は、隣接するアイソタクチックプロピレン単位のため、少なくとも部分的な結晶性を有する。理論に束縛されるわけではないが、結晶セグメントは、室温では物理的な架橋部位であり、高温度(すなわち、およそ融点)では、物理的な架橋は除去され、共重合体は処理しやすくなると考えられる。一実施形態によると、特殊プロピレンエラストマーには、少なくとも約50モル%のプロピレンコモノマーを含む。特殊プロピレンエラストマーには、無水マレイン酸、グリシジル、ヒドロキシル、および/またはカルボン酸等の官能基も含まれうる。適切な特殊プロピレンエラストマーには、メタロセン触媒の存在下で生成される、プロピレン−エチレン共重合体が含まれる。特殊プロピレンエラストマーのより具体的な例を以下に説明する。
【0017】
「ターポリマーイオノマー」とは、概して、一般式E/X/Yポリマーのポリマーのイオノマーを指し、式中、Eはエチレンであり、Xはアクリルまたはメタアクリル酸等のC〜Cのα,βエチレン系不飽和カルボン酸であり、Yは軟化コモノマーである。
【0018】
「熱可塑性(物質)」とは、概して、加熱した際、軟化または溶融でき、冷却した際、硬化できる材料として定義される。熱可塑性ポリマー鎖は多くの場合、架橋されていない、または鎖延長剤を用いて軽く架橋されているが、本明細書で用いる「熱可塑性」という用語は、最初の押し出し処理または射出成形処理等の間、最初は熱可塑性として作用するが、最終構造を形成する圧縮成形ステップ等の間、架橋されていてもよい材料を指しうる。
【0019】
「熱硬化性物質」とは、概して、架橋または硬化剤との相互作用を介して架橋または硬化する材料として定義される。架橋は、熱(概して200℃以上)等のエネルギー、化学反応(硬化剤との反応による)、または放射線の照射によって生じうる。得られた組成物は、固まると硬質のままとなり、熱により軟化しない。長鎖ポリマー分子は互いに架橋し、硬質構造になるため、熱硬化性物質はこの性質を有する。熱硬化性材料は、硬化後、溶融および再成形することができない。したがって、熱硬化性物質は、溶融および再成形が可能な熱可塑性物質とは異なり、再利用できない。
【0020】
「熱可塑性ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートをポリオールと、および任意に鎖延長剤を添加して反応させることによって、調製される材料を指す。
「熱可塑性ポリ尿素」という用語は、ジイソシアネートをポリアミンと、任意に鎖延長剤を添加して反応させることによって、調製される材料を指す。
【0021】
「熱硬化性ポリウレタン」という用語は、ジイソシアネートとポリオール、および硬化剤と反応させることによって、調製される材料を指す。
「熱硬化性ポリ尿素」という用語は、ジイソシアネートとポリアミン、および硬化剤を反応させることによって、調製される材料を指す。
【0022】
「ウレタンプレポリマー」とは、ジイソシアネートとポリオールの反応生成物である。
「尿素プレポリマー」とは、ジイソシアネートとポリアミンの反応生成物である。
「ユニモーダルポリマー」という用語は、1つの主なフラクションを含むポリマーを指し、より具体的には、ポリマーの分子量分布曲線、すなわち、全ポリマー生成物の分子量分布曲線の形が単一の最大値を示す。
【0023】
上記の説明は、読者を支援するためにのみ提供され、当業者が理解するものを下回る範囲を有する、または添付の請求項の範囲を制限すると解釈されるべきではない。
単数形の用語(「a」、「an」および「the」)には、別途文脈が明確に示さない限り、複数形の指示対象を含む。「含む(comprise)」という用語には、「包含する(include)」を意味する。化合物に対し与えられるすべての分子量または分子質量の値は、おおよその値であり、説明目的で提供されることをさらに理解されたい。材料、方法、および実施例は、説明目的のみであって、制限することを意図しない。別途指示しない限り、化学命名法の成分の説明は、本明細書内で特定される任意の組み合わせへの添加時の成分を指すが、一度混合した混合物の成分中の化学相互作用を必ずしも除外しない。
【0024】
本明細書に記載されるいずれの数値も、任意の下限値と任意の上限値との間に少なくとも2単位の隔たりがあるとき、1単位のきざみの下限値から上限値までのすべての値を含む。例として、成分の量またはプロセス変数の値が、1から90、好適には20から80、より好適には30から70であると述べられている場合、15から85、22から68、43から51、30から32等の値が、本明細書において明確に列挙されていることを意図する。1単位未満の差異である値については、1単位は、必要に応じて適切に0.1、0.01、0.001、または0.0001であるとみなされる。したがって、本明細書に列挙される最低値と最高値との間の数値の組み合わせのすべての可能性が、本出願において明確に述べられていると考えられる。
【0025】
比較的硬質の外側マントル層(例えば、材料のショアーD硬度が少なくとも65、および曲げ弾性率が少なくとも65kpsiである外側マントル層)を有して、ゴルフボールの耐久性を増大させることが望ましい。しかし、そのような外側マントル層は、ゴルフボールが比較的低いコアPGA圧縮も有する場合、耐久性の不具合を被る傾向があることが今日わかっている。例えば、耐久性の不具合は、コアPGA圧縮が60未満であり、外側マントル材料のショアーD硬度が65、ならびに曲げ弾性率が65kpsiである、3つのピース(コア、外側マントル、外部カバー)で構成されるゴルフボールで生じる。耐久性の不具合は、コアPGA圧縮が45未満であり、外側マントル材料のショアーD硬度が65、ならびに曲げ弾性率が65kpsiである、4つのピース(コア、内側マントル、外側マントル、外部カバー)から構成されるゴルフボールで生じる。
【0026】
本明細書に開示される一実施例において、ゴルフボールは、低いコアPGA圧縮の軟らかい感触(soft feel)を保持しながら、ゴルフボールの耐久性を維持できるマントル構造を含む。例えば、コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ(複合)構造は、PGA圧縮が少なくとも30、より具体的には少なくとも40であることができる。「コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ(複合)構造」という語句は、コア、内側マントル層および中間マントル層(すなわち、外側マントル層の内側に位置する内部構造)から形成される構造を称す。この内部複合構造のPGA圧縮を測定する。ある例において、PGA圧縮は少なくとも50、より具体的には少なくとも60でありうる。他の例において、内部複合構造のPGA圧縮は、30から70である。内部複合構造は、外側マントル層へ追加の支持を提供し、カバー層および/または外側マントル層の亀裂あるいは他の損傷を最小化する。該ボールは、2つ以上の内側マントル層、および/または2つ以上の中間マントル層を含むことができる。
【0027】
本明細書に開示されるゴルフボールは、少なくとも5つのピースで構成されるゴルフボールである。換言すると、該ゴルフボールは、少なくとも(コアを含み)5つの独立層を含む。該ゴルフボールは複数のマントル層および/または複数のカバー層を含んでもよい。
【0028】
ある実施形態において、それぞれのコアおよびマントル層材料の曲げ弾性率(FM)は、コアから最も外側のマントル層へと増加する。換言すると、実例となるゴルフボールは、以下の増加する曲げ弾性率の勾配関係を満たす。FM(コア)<FM(内側マントル)<FM(中間マントル)<FM(外側マントル)。各連続する層の曲げ弾性率は、例えば、少なくとも2kpsiごと、より具体的には少なくとも3kpsiごと、最も具体的には5kpsiごとに、直接隣接するより内側の層の曲げ弾性率を超えうる。
ある実施形態において、各コアおよび層材料のショアーD硬度は、コアから最も外側のマントル層へと増加する。換言すると、実例となるゴルフボールは、以下の増加する材料のショアーD硬度の勾配関係を満たす。H(コア)<H(内側マントル)<H(R)<H(外側マントル)。
【0029】
ある実施例において、ゴルフボールの「軟らかい感触」は、ゴルフボールに対する全体的に柔らかな音/感触を与える、明確な可聴周波数および音の大きさを有することにより、測定することができる。例えば、ゴルフボールは、ゴルフボールの周波数が4000Hz未満、より具体的には3600Hz未満、最も具体的には3400Hz未満でありうる。ゴルフボールは、音圧レベル、Sが81.5dB未満、より具体的には81dB未満、最も具体的には80.5dB未満でありうる。周波数とは音の「ピッチ」の測定であり、正確な音の大きさは、デシベル(db)レベルで測定される。ボールは音とピッチを測定するために30ヤードショットで打つまたは試験され、続いてこれをゴルファーが経験するボールの感触へと変える。dbレベルに対して周波数をプロットすることにより、「感触」の比率を得る。
【0030】
A.ポリマー成分
コア、マントル層、およびカバー層は、以下のポリマーの1つ以上をそれぞれ含みうる。
【0031】
このようなポリマーには、合成および天然ゴム、熱硬化性ポリウレタンおよび熱硬化性ポリ尿素等の熱硬化性ポリマー、ならびに熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性ポリマー、例えばユニモーダルエチレン/カルボン酸共重合体、ユニモーダルエチレン/カルボン酸/カルボン酸ターポリマー、バイモーダルエチレン/カルボン酸共重合体、バイモーダルエチレン/カルボン酸/カルボン酸ターポリマー、ユニモーダルイオノマー、バイモーダルイオノマー、変性ユニモーダルイオノマー、変性バイモーダルイオノマー、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリ尿素、ポリエステル、コポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルファイド、ジアリルフタル酸ポリマー、ポリイミド、塩化ポリビニル、ポリアミド−イオノマー、ポリウレタン−イオノマー、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリフェニレンエーテル、耐衝撃性改質ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体スチレン−アクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリル−スチレン−アクリロニトリル、スチレン−無水マレイン酸(S/MA)ポリマー、スチレン共重合体、官能性スチレン共重合体、官能性スチレンターポリマー、スチレンターポリマー、セルロースポリマー、液晶ポリマー(LCP)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリ尿素、およびポリシロキサン等、ならびにそれらのあらゆる組み合わせを含む。一例は、Rohm&Haas Coより入手可能なメタアクリレート−ブタジエン−スチレン(MBS)耐衝撃性改質剤である、Paraloid EXL2691Aである。
【0032】
より具体的には、合成および天然ゴムポリマーは、cis−1,4−ポリブタジエン、trans−1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン、cis−ポリイソプレン、trans−ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリブチレン、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、並びに部分的および完全に水素化された同等物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、並びに部分的および完全に水素化された同等物、ニトリルゴム、シリコーンゴム、およびポリウレタン、ならびにこれらの混合物等の天然および合成ゴムの両方を含む、ゴルフボール用途に使用される従来のゴム成分を含みうる。加硫後のそれらの高い反発弾性、成形性、および高い強度により、ポリブタジエンゴム、特に、少なくとも40モル%、より好適には80から100モル%のcis−1,4結合を含んだ1,4−ポリブタジエンゴムが好適である。ポリブタジエン成分は、本分野で従来使用される、希土類ベースの触媒、ニッケルベースの触媒、又はコバルトベースの触媒を用いることによって合成しうる。ランタン希土類をベースとする触媒を用いて得られるポリブタジエンは通常、ランタン希土類(原子番号57から71)化合物の組み合わせを採用するが、ネオジム化合物が特に好適である。
【0033】
1,4−ポリブタジエンゴムは、約1.2から約4.0、好適には約1.7から約3.7、さらにより好適には約2.0から約3.5、最も好適には約2.2から約3.2の分子量分布(Mw/Mn)を有する。ポリブタジエンゴムは、約20から約80、好適には約30から約70、さらにより好適には約30から約60、最も好適には約35から約50のムーニー粘度(ML1+4(100℃))を有する。本明細書で用いる「ムーニー粘度」という用語は、いずれの場合も、回転可塑度計のタイプ(JIS K6300を参照)である、ムーニー粘度計で測定した粘度の産業指数を指す。この値は、記号ML1+4(100℃)でしめされ、そこで、「M」がムーニー粘度、「L」が大きなローター(L−type)、「1+4」が1分の予熱時間と4分のローター回転時間を表し、「100℃」が100℃の温度で測定が行われたことを示す。
【0034】
すべてが本開示の組成物で使用するための不飽和ポリマーとして適切である、異なる立体規則性を有する1,2−ポリブタジエンの例には、アタクチック1,2−ポリブタジエン、アイソタクチック1,2−ポリブタジエン、およびシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンがある。本開示の組成物で不飽和ポリマーとして使用するのに適切な結晶性を有するシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、ブタジエンの1,2−付加により重合される。本開示のゴルフボールは、結晶性と、約70%を上回る1,2−結合、より好適には約80%を上回る1,2−結合、最も好適には約90%を上回る1,2−結合とを有する、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを含みうる。また、1,2−ポリブタジエンは、約10,000から約350,000、より好適には約50,000から約300,000、より好適には約80,000から約200,000、最も好適には約10,000から約150,000の平均分子量を有する。ゴルフボールでの使用に適切な結晶性を有する、適切なシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの例は、日本の東京にあるJSR Corporationの商標名RB810、RB820、およびRB830で販売されている。これらは、90%を上回る1,2結合、約120,000の平均分子量、および約15%から約30%の結晶性を有する。
【0035】
オレフィン性熱可塑性エラストマーの例には、制御された立体規則性を有するか否かに関わらず、メタロセン触媒ポリオレフィン、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、およびエチレン−プロピレン共重合体があげられ、ならびに、エチル−プロピレン−非共役ジエンターポリマー、ゴムベースの共重合体、および動的に加硫されたゴムベースの共重合体を有する、ポリオレフィンの混合物も挙げられる。これらの例には、テキサス州HoustonにあるAdvanced Elastomeric SystemsのSANTOPRENE、DYTRON、VISAFLEX、およびVYRAM、ならびにオランダのHaarlenにあるDSMのSARLINKという商標名で販売される製品が挙げられる。
【0036】
ゴムベースの熱可塑性エラストマーの例には、特にゴムブロック成分が、ブタジエン、イソプレン、またはエチレン/ブチレンをベースとする、ゴムベースのマルチブロック共重合体が挙げられる。共重合体の非ゴム反復単位は、メチルメタアクリレートおよびシクロヘキシルメタアクリレート等のメタ(アクリレート)エステル、ならびにスチレン等のビニルアリーレンを含む、任意の適切なモノマーから得られうる。スチレン共重合体の例は、商標名KRATON D(スチレン−ブタジエン−スチレンおよびスチレン−イソプレン−スチレンタイプ)およびKRATON G(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンおよびスチレン−エチレン−プロピレン−スチレンタイプ)でKraton Polymers(旧Shell Chemicals)、商標名SEPTONでKurarayが製造する樹脂である。ランダムに分散したスチレンポリマーの例には、ExxonMobil Chemical Corporationが開発したパラメチルスチレン−イソブチレン(イソブテン)共重合体、およびChevron Phillips Chemical Corpが開発したスチレン−ブタジエンランダム共重合体が挙げられる。
【0037】
コポリエステル熱可塑性エラストマーの例には、ポリエーテルエステルブロック共重合体、ポリラクトンエステルブロック共重合体、および脂肪族ならびに芳香族ジカルボン酸共重合ポリエステルが挙げられる。ポリエーテルエステルブロック共重合体は、ジカルボン酸および低分子量ジオールから重合されたポリエステルハードセグメントと、2から10の原子を有するアルキレングリコールから重合されたポリエーテルソフトセグメントとを含む、共重合体である。ポリラクトンエステルブロック共重合体は、ソフトセグメントとして、上述したポリエーテルエステルブロック共重合体のポリエーテルの代わりに、ポリラクトン鎖を有する共重合体である。脂肪族および芳香族ジカルボン酸共重合ポリエステルは、例えば、テレフタル酸およびイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及び2から10の炭素原子を有する脂肪族酸から選択される酸成分と、2から10の炭素原子を有する脂肪族および脂環式ジオールから選択される、少なくとも1つのジオール成分との共重合体である。芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの混合物もこれらに使用しうる。これらの例には、E.I.DuPont de Nemours & CompanyのHYTREL、およびS.K.Chemicals(韓国、Seoul)のSKYPELという商標名で市販される製品が挙げられる。
【0038】
付加的なポリマー成分として適切な他の熱可塑性エラストマーの例には、カルボン酸、無水マレイン酸、グリシジル、ノルボネン、およびヒドロキシル官能性等の官能基を有するものが含まれる。これらの例には、芳香族ビニル化合物を含んだ少なくとも1つのポリマーブロックAと、共役ジエン化合物を含んだ少なくとも1つのポリマーブロックBとを有する、ならびに末端ブロック共重合体のヒドロキシル基を有するブロックポリマー、またはその水素化された生成物が含まれる。このポリマーの例は、日本の倉敷にあるKuraray Companyの商標名SEPTON HG−252で販売されている。これらの他の例には、Shell Chemical CompanyがKRATON FG 1901Xという商標名で販売する、ポリスチレンエンドブロックおよびポリ(エチレン/ブチレン)からなる無水マレイン酸官能性トリブロック共重合体、E.I.DuPont de Nemours&CompanyがFUSABONDという商標名で販売する無水マレイン酸変性エチレン−ビニルアセテート共重合体、E.I.DuPont de Nemours & CompanyがNUCRELという商標名で販売するエチレン−イソブチルアクリレート−メタアクリル酸ターポリマー、Sumitomo Chemical IndustriesがBONDINE AX 8390および8060という商標名で販売するエチレン−エチルアクリレート−無水メタクリル酸ターポリマー、Exxon Mobil CorporationがBROMO XP−50という商標名で販売する臭素化スチレン−イソブチレン共重合体、およびElf Atochem(フランス、Puteaux)がLOTADERという商標名で販売する、グリシジルまたは無水マレイン酸官能基を有する樹脂を含む。
【0039】
マントル層またはカバー層のいずれかを製作するためのポリマーの別の例は、ポリアミド(上述のポリアミドであってもよい)と、ポリアミドの機能性ポリマー改質剤との混合物である。ポリアミドの官能性ポリマー改質剤には、官能性ポリマーと総称される、グリシジル基、ヒドロキシル基、無水マレイン酸基、もしくはカルボン酸基を有する、共重合体またはターポリマーを含むことができる。これらの共重合体およびターポリマーは、α−オレフィンを含みうる。 適切なα−オレフィンの例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン−、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、1−ドコセン、1−テトラコセン、1−ヘキサコセン、1−オクタコセン、および1−トリアコンテンを含む。これらのα−オレフィンの1つ以上を使用することができる。
【0040】
ポリマー改質剤中の共重合体またはターポリマーの適切なグリシジル基の例には、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、マレイン酸およびイタコン酸グリシジル、グリシジルアクリレートおよびメタアクリレート等の脂肪族グリシジルのエステルおよびエーテル、さらに2−シクロヘキセン−1−グリシジルエーテル、シクロヘキセン−4,5カルボン酸ジグリシジル、シクロヘキセン−4−カルボン酸グリシジル、5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボン酸グリシジル、ならびにエンドシス−ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプタン−2,3−ジカルボン酸ジグリシジル等の脂環式グリシジルエステルおよびエーテルを含む。グリシジル基を有するこれらのポリマーは、例えば、不飽和カルボン酸のアルキル(メタ)アクリレートまたはビニルエステルのような、不飽和カルボン酸のエステル等、の他のモノマーを含みうる。グリシジル基を有するポリマーは、ホモポリマーもしくは共重合体との共重合またはグラフト重合によって得ることができる。
【0041】
グリシジル基を有する適切なターポリマーの例には、Atofina Chemicalsが市販するLOTADER AX8900およびAX8920、E.I.Du Pont de Nemours&Co.が市販するELVALOY、ならびにNippon Petrochemicals Co.,Ltd.が市販するREXPEARLが挙げられる。エポキシモノマーを含み、本発明の範囲内での使用に適切である、共重合体の付加的な例には、ポリブタジエンブロックがエポキシ基を含む、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体と、ポリイソプレンブロックがエポキシを含む、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とが挙げられる。これらのエポキシ官能性共重合体の市販されている例には、Daicel Chemical Industries,Ltd.が市販するESBS A1005、ESBS A1010、ESBS A1020、ESBS AT018、およびESBS AT019が挙げられる。
【0042】
本発明の範囲内での使用に適切な無水マレイン酸基を組み入れる、ポリマーまたはターポリマーの例には、無水マレイン酸−変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸−変性エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、無水マレイン酸−変性ポリエチレン、無水マレイン酸−変性ポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸ターポリマー、および無水マレイン酸−インデン−スチレン−クマロンポリマーを含む。無水マレイン酸を組み入れる、市販の共重合体の例には、Sumitomo Chemical Co.が市販する、32重量%の結合エチレンアクリレートおよび無水マレイン酸含量を有するエチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸ターポリマーである、BONDINE AX8390、ならびに15重量%の結合エチレンアクリレートおよび無水マレイン酸含量と、1%から4重量%の無水マレイン酸含量とを有する、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸ターポリマーである、BONDINE TX TX8030等のBONDINE、Atofina Chemicalsが市販する、無水マレイン酸含有LOTADER3200、3210、6200、8200、3300、3400、3410、7500、5500、4720、および4700、Exxon Chemical Co.が市販する、0.7重量%の無水マレイン酸含量を有する、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体である、EXXELOR VA1803、ならびにShell Chemicalが市販する、ポリスチレンエンドブロックおよびポリ(エチレン/ブチレン)ミッドブロックを有する、無水マレイン酸官能性トリブロック共重合体である、KRATON FG 1901Xが挙げられる。
好適には、ポリアミドと混合するための官能性ポリマー成分は、無水マレイン酸グラフト化ポリマー、好適には無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィン(例えば、Exxellor VA1803)である。
【0043】
スチレンブロック共重合体は、ブタジエン、イソプレン、またはその2つの混合物と、スチレンとの共重合体である。付加的な不飽和モノマーは、得られたSBC/ウレタン共重合体の改質のため、必要に応じて、スチレンブロック共重合体の構造に添加することができる。スチレンブロック共重合体は、ジブロックまたはトリブロックスチレンポリマーであることが可能である。スチレンブロック共重合体の例は、例えば、Nishikawaらの米国特許第5,436,295号に記載されている。スチレンブロック共重合体は、このようなポリマーに対する任意の既知の分子量を有することが可能であり、線状、分岐状、星状、樹木状または組み合わせ分子構造を有することが可能である。スチレンブロック共重合体は、官能基による修飾がないか、もしくは鎖構造あるいは1つ以上の末端のいずれかで、ヒドロキシル基、カルボキシル基、または他の官能基によって修飾することが可能である。スチレンブロック共重合体は、このようなポリマーの製造業者に一般的ないかなる処理を用いて得ることができる。スチレンブロック共重合体は、部分的または完全に飽和したジエンモノマーブロックを得るための、周知の方法を用いて、水素化することもできる。
【0044】
本開示の組成物において付加的なポリマーとしての使用に適切な他の好適な材料には、SK Chemicals(韓国)がSKYPELTMという商標名で市販する、ポリエステル熱可塑性エラストマー、または日本の倉敷のKuraray CorporationがSEPTONTMという商標名で市販する、ジブロックもしくはトリブロック共重合体、ならびにKraton Polymers Group of Companies of Chester(英国)が市販するKRATONTMが挙げられる。例えば、SEPTON HG252は、ポリスチレンエンドブロックと、水素化されたポリイソプレンミッドブロックとを有し、ポリスチレンブロックの端部にヒドロキシル基を有する、トリブロック共重合体である。HG−252は、Kuraray America Inc.(テキサス州Houston)から市販されている。
【0045】
付加的な他のポリマー成分には、例えば、US−2006−0166762−A1(参照することにより、それ全体が本明細書に組み込まれる)に記載のポリアルケナマーが挙げられる。適切なポリアルケナマーゴムの例は、ポリペンテナマー(polypentenamer)ゴム、ポリヘプテナマー(polyheptenamer)ゴム、ポリオクテナマー(polyoctenamer)ゴム、ポリデセナマー(decenamer)ゴム、およびポリドデセナマー(dodecenamer)ゴムである。ポリアルケナマーゴムに関するさらなる詳細については、Rubber Chem.&Tech.、47巻,511−596ページ、1974(参照することにより、本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ポリオクテナマーゴムは、ドイツのHuls AG(ドイツ、Marl)から、Somerset,米国(N.J.)の販売会社Creanova Inc.を通じて、VESTENAMER(登録商標)という商標名で市販されている。2つの級のVESTENAMER(登録商標)のtrans−ポリオクテナマーが市販されている。VESTENAMER8012は、約54℃の融点で、約80%のtrans含量(および20%のcis含量)を有する材料を指し、VESTENAMER6213は、約30℃の融点で約60%のtrans含量(40%のcis含量)を有する材料を指す。これらのポリマーの両方は、環の8個の炭素原子ごとに二重結合を有する。
【0046】
ポリアルケナマーゴムがある場合、ポリアルケナマーゴムは、その二重結合の、好適には、約50から約99、好適には約60から約99、より好適には約65から約99、さらにより好適には約70から約90パーセントを、trans構成において、含む。ポリアルケナマーの好適な形態は、約80%のtrans含量を有するが、ポリアルケナマーのcis−およびtrans−異性体の他の割合を有する化合物も、該組成物を作成する上で、使用可能な製品を混合することによって得ることができる。
【0047】
ポリアルケナマーゴムは、約10,000から約300,000、好適には約20,000から約250,000、より好適には約30,000から約200,000、さらにより好適には約50,000から約150,000の分子量(GPCで測定)を有する。
【0048】
ポリアルケナマーゴムは、約5から約70、好適には約6から約50、より好適には約6.5から約50%、さらにより好適には約7から約45%の結晶化度(DSC二次融合で測定)を有する。
【0049】
より好適には、ポリアルケナマーゴムは、線状および環状マクロ分子の混合物として、trans−ポリオクテナマーゴムを形成するための、シクロオクテンの重合によって調製されたポリマーである。
【0050】
ポリマーのさらなる例は、例えば、参照することにより、それ全体が本明細書に組み込まれる、US2007/0238552 A1に記載の特殊プロピレンエラストマーである。特殊プロピレンエラストマーには、多量のプロピレンと、少量のエチレンからなる熱可塑性プロピレン−エチレン共重合体を含む。これらの共重合体は、隣接するアイソタクチックプロピレン単位のため、少なくとも部分的な結晶性を有する。理論に束縛されるわけではないが、結晶セグメントは、室温では物理的な架橋部位であり、高温度(すなわち、およそ融点)では、物理的な架橋は除去され、共重合体は処理しやすくなると考えられる。一実施形態によると、特殊プロピレンエラストマーには、少なくとも約50モル%のプロピレンコモノマーを含む。特殊プロピレンエラストマーには、無水マレイン酸、グリシジル、ヒドロキシル、および/またはカルボン酸等の官能基も含みうる。適切な特殊プロピレンエラストマーには、メタロセン触媒の存在下で生成される、プロピレン−エチレン共重合体を含む。特殊プロピレンエラストマーのより具体的な例を以下に説明する。特殊プロピレンエラストマーは、ExxonMobil ChemicalからVISTAMAXXという商標名で市販されている。
【0051】
付加的なポリマー成分の別の例には、鎖延長剤を用いた、もしくは用いない、ジオールまたはポリオールと、イソシアネートとの反応生成物である、熱可塑性ポリウレタンを含む。ウレタンを製作するために使用するイソシアネートは、ジイソシアネートおよびポリイソシアネートを包含する。適切なイソシアネートの例には、以下を含む。トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ジエチリデンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、トリジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリルジイソシアネート、ドデカン−1,12−ジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、1−クロロベンゼン−2,4−ジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロブタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4´−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナト−メチル)シクロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4,4−テトラ−メチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−テトラ−トリメチルヘキサン、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4´−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−フェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、p,p´−ビフェニルジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジフェニル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジクロロ−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、メタ−キシレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−クロロフェニレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、p,p´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、アゾベンゼン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4´−ジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4´,4´´−トリイソシアネート、イソシアナトエチルメタアクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル−イソシアネート、ジクロロヘキサメチレンジイソシアネート、ω,ω´−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ポリブチレンジイソシアネート、イソシアヌレート変性化合物、およびカルボジイミド変性化合物、ならびに上記ポリイソシアネートのビウレット変性化合物。それぞれのイソシアネートは、単独、または1つ以上の他のイソシアネートと組み合わせて使用しうる。これらのイソシアネート混合物には、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびトリフェニルメタントリイソシアネートのビウレット等のトリイソシアネートと、ポリマージフェニルメタンジイソシアネート等のポリイソシアネートとを含むことができる。
【0052】
共重合体でポリウレタンを製作するために使用されるポリオールには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびポリブタジエンポリオールを含む。ポリエステルポリオールは、二塩基酸を利用し、濃縮または逐次重合によって調製される。ポリエステルポリオールの主要な二塩基酸は、アジピン酸および異性体のフタル酸である。アジピン酸は、さらなる柔軟性を必要とする材料に使用されるが、無水フタル酸は、剛性を必要とする材料に使用される。ポリエステルポリオールの一部の例には、ポリ(アジピン酸エチレン)(PEA)、ポリ(アジピン酸ジエチレン)(PDA)、ポリ(アジピン酸プロピレン)(PPA)、ポリ(アジピン酸テトラメチレン)(PBA)、ポリ(アジピン酸ヘキサメチレン)(PHA)、ポリ(アジピン酸ネオペンチレン)(PNA)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールおよびアジピン酸からなるポリオール、PEAおよびPDAのランダム共重合体、PEAおよびPPAのランダム共重合体、PEAおよびPBAのランダム共重合体、PHAおよびPNAのランダム共重合体、ε−カプロラクトンの開環重合によって得られるカプロラクトンポリオール、ならびにエチレングリコールでβ−メチル−δ−バレロラクトンを開環することにより得られるポリオールを含み、それらは単独、もしくはそれらの組み合わせのいずれかで使用することができる。さらに、ポリエステルポリオールは、以下の酸の少なくとも1つと、以下のグリコールの少なくとも1つの共重合体からなりうる。この酸には、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸(混合物)、p−ヒドロキシベンゾエート、無水トリメリット酸、ε−カプロラクトン、およびβ−メチル−δ−バレロラクトンを含む。グリコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリトリトール、および3−メチル−1,5−ペンタンジオールを含む。
【0053】
ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド)と、活性水素化物である、多価アルコール(例えば、ジエチレングリコール)の開始剤との開環付加重合によって調製される。具体的には、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、またはプロピレンオキシド−エチレンオキシド共重合体を得ることができる。ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)は、テトラヒドロフランの開環重合によって調製され、テトラヒドロフランは、1,4−ブタンジオールの脱水またはフランの水素化によって生成される。テトラヒドロフランは、アルキレン酸化物との共重合体を形成することができる。具体的には、テトラヒドロフラン−プロピレンオキシド共重合体またはテトラヒドロフラン−エチレンオキシド共重合体が形成されうる。ポリエーテルポリオールは、単独または混合物で使用されうる。
【0054】
ポリカーボネートポリオールは、ホスゲン、クロロギ酸エステル、炭酸ジアルキル、または炭酸ジアリルを用いた、既知のポリオール(多価アルコール)の濃縮により得られる。特に好適なポリカーボネートポリオールは、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、または1,5−ペンタンジオールを用いる、ポリオール成分を含む。ポリカーボネートポリオールは、単独、または混合物で使用することができる。
【0055】
ポリブタジエンポリオールは、ヒドロキシル基を含んだ液体ジエンポリマーと、少なくとも平均1.7の官能基とを含み、4から12の炭素原子を有するジエンポリマーまたはジエン共重合体、もしくはこのようなジエンに2から2.2の炭素原子を有する重合性α−オレフィンモノマーを付加した共重合体からなりうる。具体的な例には、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、およびブタジエン−n−オクタデシルアクリレート共重合体を含む。これらの液体ジエンポリマーは、例えば、液体反応物中の過酸化水素の存在下で、共役ジエンモノマーを加熱することにより、得ることができる。ポリブタジエンポリオールは、単独、または混合物で使用することができる。
【0056】
上記のとおり、ウレタンも鎖延長剤を組み入れることができる。これらの延長剤の非限定的な例には、ポリオール、ポリアミン化合物、およびこれらの混合物を含む。ポリオール延長剤は、1級、2級、または3級ポリオールでありうる。これらのポリオールのモノマーの具体的な例には、トリメチロールプロパン(TMP)、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールを含む。
【0057】
鎖延長剤として使用しうる適切なポリアミンには、1級、2級、および3級アミンを含み、ポリアミンは、官能基として2つ以上のアミンを有する。これらの例には、テトラメチレンジアミン、ペンタメチルレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン等の脂環式ジアミン、または4,4´−メチレンビス−2−クロロアニリン、2,2´,3,3´−テトラクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、p,p´−メチレンジアニリン、p−フェニレンジアミンまたは4,4´−ジアミノジフェニル等の芳香族ジアミン、および2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含む。芳香族ジアミンは、脂肪族または脂環式ジアミンよりも硬質の生成物を提供する傾向がある。鎖延長剤は、単独、または混合物で使用することができる。
【0058】
ポリウレタンまたはポリ尿素は、ジイソシアン酸エステルをポリオール(ポリウレタンの場合)、あるいはポリアミン(ポリ尿素の場合)と反応させることによって一般的に調製される。熱可塑性のポリウレタンまたはポリ尿素は、熱可塑性材料の硬度等の性質を変化させるために、この初期の混合物のみで構成されるか、あるいは鎖延長剤とさらに組み合わせることができる。熱硬化性のポリウレタンまたはポリ尿素は、ジイソシアン酸エステルと、それぞれ、ポリオールあるいはポリアミン、ならびに材料を架橋するもしくは硬化するための、追加の架橋剤の反応によって一般的に形成され、熱硬化性樹脂となる。
【0059】
1回限りの(one-shot)処理として知られる処理において、3つの反応物、ジイソシアン酸エステル、ポリオールまたはポリアミン、および任意に鎖延長剤あるいは硬化剤は、1ステップで組み合わせられる。代替的に、いわゆるプレポリマーを形成するため、第1のステップがジイソシアン酸エステルおよびポリオール(ポリウレタンの場合)あるいはポリアミン(ポリ尿素の場合)の反応を含み、それに鎖延長剤もしくは硬化剤のいずれかを添加することのできる、2ステップの処理も行ってよい。この手順はプレポリマー処理として知られる。
【0060】
さらに、上記のように分離した成分パッケージとして示されているが、ジイソシアン酸エステルの鎖延長剤あるいは硬化剤への比率の化学量論のみでなく、初期のジイソシアン酸エステルのポリオールもしくはポリアミンへの比率の化学量論も変えることにより、架橋の程度を制御し、ひいては最終的な組成物の熱可塑性または熱硬化性の特性の程度を制御することも可能である。プレポリマー処理においては当然ながら、初期のジイソシアン酸エステルのポリオールもしくはポリアミンへの比率は、必要とされるプレポリマーの選択において確定される。
【0061】
最後に、分離した熱可塑性材料または熱硬化性材料に加えて、熱硬化性樹脂と類似の特性を与えるために、組成物へ、熱可塑性材料を成形した後、次に硬化する材料を組み込むことによって、熱可塑性ポリウレタンまたはポリ尿素組成物を改質することも可能である。例えば、参照することによりすべての内容が本明細書に組み込まれる、Kimの米国特許第6,924,337号では、それは任意に鎖延長剤類を含み、過酸化物またはその混合物をさらに含む熱可塑性ウレタンまたはウレア組成物を開示し、それは後硬化を受けてから、熱硬化性樹脂となる。
【0062】
また、参照することによりすべての内容が本明細書に組み込まれる、Kimらの米国特許第6,939,924号のでは、熱可塑性ウレタンまたはウレア組成物を開示し、鎖延長剤も任意に含み、ジイソシアン酸エステル、および非ブロックした後、押出後さらに架橋することを誘発する、変性またはブロックされたジイソシアン酸エステルから調製される。変性イソシアネートは、以下からなる群から好適に選択される。イソホロンジイソシアネート(IPDI)ベースのウレトジオン(uretdione)型架橋剤、IPDIのウレトジオン付加物とε−カプロラクタム部分変性IPDIの組み合わせ、ε−カプロラクタムによって変性されたイソシアネート付加物とカルボン酸官能基の組み合わせ、カプロラクタム変性デスモジュール(Desmodur)ジイソシアン酸エステル、3,5−ジメチルピラゾール変性イソシアネートを有するデスモジュールジイソシアン酸エステル、またはこれらの混合物。
【0063】
最後に、参照することによりすべての内容が本明細書に組み込まれる、Kimらの米国特許第7,037,985 B2号では、ニトロソ化合物およびジイソシアン酸エステルまたはポリイソシアネートの反応生成物をさらに含む熱可塑性ウレタンまたはウレア組成物を開示する。ニトロソ反応生成物は、分解してニトロソ化合物およびジイソシアン酸エステルまたはポリイソシアネートを再生する特性温度を有する。従って、後処理温度の賢明な選択によって、さらなる架橋は、最初の熱可塑性組成物に誘発され、熱硬化性に似た特性を与えることができる。
【0064】
当業者に利用可能ないかなるイソシアネートも、本発明による使用に適切である。本発明での使用のためのイソシアネートには、脂肪族、脂環式、芳香族脂肪族、芳香族、それらの任意の誘導体、および分子あたり2つ以上のイソシアネート(NCO)基を有するこれらの化合物の組み合わせを含むが、これらに限定されない。本明細書で用いる芳香族脂肪族化合物とは、芳香族環を含有するものであって、イソシアネート基が直接環に結合していないものと理解されたい。芳香族脂肪族化合物の一例は、テトラメチレンジイソシアネート(TMXDI)である。イソシアネートは、有機ポリイソシアネート末端プレポリマー、低遊離イソシアネートプレポリマー、およびそれらの混合物でありうる。イソシアネート含有の反応可能な成分も、任意のそれらのイソシアネート官能性モノマー、ダイマー、トリマー、またはポリマー付加物、プレポリマー、準プレポリマー、もしくはそれらの混合物を含みうる。イソシアネート官能性化合物は、2つ以上の任意のイソシアネート官能性を含む、モノイソシアネートまたはポリイソシアネートを含みうる。
【0065】
適切なイソシアネート含有成分には、共通構造:O=C=N−R−N=C=Oを有するジイソシアネートを含み、Rは好適には、約1から約50の炭素原子を含有する環状、芳香族、または線状もしくは分岐状の炭化水素部分である。イソシアネートも1つ以上の環状基または1つ以上のフェニル基を含みうる。複数の環状または芳香族基がある場合、約1から約10の炭素原子を含有する、線状および/または分岐状炭化水素が、環状または芳香族基間のスペーサーとして存在しうる。一部の例では、環状または芳香族基は、2、3、および/または4位、もしくはオルト、メタ、および/またはパラ位でそれぞれ置換されうる。置換基には、ハロゲン、1級、2級、または3級炭化水素基、もしくはそれらの混合物を含みうるが、これらに限定されない。
【0066】
本発明で使用することができるイソシアネートの例には、2,2´−、2,4´−、および4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート(TODI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ポリマーMDI、カルボジイミド変性液体4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、メタ−フェニレンジイソシアネート(MPDI)、トリフェニルメタン−4,4´−およびトリフェニルメタン−4,4″−トリイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、2,4´−、4,4´−、および2,2−ビフェニルジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(PMDI)(ポリマーPMDIとしても知られる)、MDIおよびPMDIの混合物、PMDIおよびTDIの混合物、エチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ビトリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチレン−1,2−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,3−ジイソシアネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート;ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカン−1,12−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジエチリデンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(HTDI)、2,4−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,6−メチルシクロヘキサンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルジイソシアネート、2,4´−ジシクロヘキシルジイソシアネート、1,3,5−シクロヘキサントリイソシアネート、イソシアナトメチルシクロヘキサンイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、イソシアナトエチルシクロヘキサンイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4´−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン、2,4´−ビス(イソシアナトメチル)ジシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジメリルジイソシアネート、ドデカン−1,12−ジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1−クロロベンゼン−2,4−ジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロブタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4´−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、1−メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナト−メチル)シクロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,2,4,4−テトラ−メチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−テトラ−トリメチルヘキサン、trans−シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、3−イソシアナト−メチル−3,5,5−トリメチルシクロ−ヘキシルイソシアネート、1−イソシアナト−3、3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン、シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン4,4´−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−フェニレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、p,p´−ビフェニルジイソシアネート、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジフェニル−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、3,3´−ジクロロ−4,4´−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、メタキシレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−クロロフェニレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、p,p´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネート、4,4´−トルイジンジイソシアネート、ジアニジンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−ナフチレンジイソシアネート、アゾベンゼン−4,4´−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4´−ジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4´,4″−トリイソシアネート、イソシアナトエチルメタアクリレート、3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル−イソシアネート、ジクロロヘキサメチレンジイソシアネート、ω,ω´−ジイソシアナト−1,4−ジエチルベンゼン、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、イソシアヌレート変性化合物、およびカルボジイミド変性化合物、ならびに上記のポリイソシアネートのビウレット変性化合物を含む、置換されたおよび異性体混合物を含むがこれらに限定されない。これらのイソシアネートは、単独でまたは組み合わせて使用しうる。これらの組み合わせのイソシアネートには、ヘキサメチレンジイソシアネートおよびトリフェニルメタントリイソシアネートのビウレット等のトリイソシアネート、ならびにHDIのポリマージフェニルメタンジイソシアネートトリイソシアネート等のポリイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジイソシアネート(TMDI)のトリイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、2,4−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6−ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、1,2−、1,3−、および1,4−フェニレンジイソシアネート、1,2−、1,3−、および1,4−キシレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族イソシアネート、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI)、パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート(p−TMXDI)、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレート、ジフェニルメタンジイソシアネートの三量体、テトラメチルキシレンジイソシアネートの三量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート等の、任意のポリイソシアネートの三量体化したイソシアヌレート、およびそれらの混合物、トルエンジイソシアネートのウレトジオン、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン等の、任意のポリイソシアネートの二量体化したウレトジオン、およびそれらの混合物、上記のイソシアネートおよびポリイソシアネートから得られる変性ポリイソシアネート、ならびにそれらの混合物を含む。
【0067】
複雑な注入成形処理に対する射出成形の利点の観点から、一部の状況下では、熱硬化性樹脂として硬化できるが、一般的な射出成形の温度範囲を超える特定の温度範囲内のみで、そのようになる配合物を有することは有利である。これにより、ゴルフボールのカバー層等の部分が、最初に射出成形され、続いてより高い温度、より高い圧力において次の処理を行い、さらなる架橋と硬化を誘発し、最終部分において熱硬化性の特性をもたらすことを可能にする。したがって、そのような最初に射出成形できる組成物は、後硬化性ウレタンまたはウレア組成物と呼ばれる。
【0068】
後硬化性ウレタン組成物が必要な場合、後で非ブロック化され、押出後にさらに架橋することを誘発する、変性、またはブロックされたジイソシアン酸エステルを、ジイソシアン酸エステルの出発材料に含めることができる。本発明のポリウレタンを作製するために使用される変性イソシアネートは、室温においては反応を示さないが、特性温度へ達すると反応を示す、イソシアネート基を含む化合物として一般に定義される。結果として得たイソシアネートは、架橋剤または鎖延長剤として作用し、架橋ポリウレタンを形成する。架橋の程度は、組成物に存在する変性イソシアネートの種類および濃度により左右される。組成物に使用される変性イソシアネートは、好適には、部分的に、十分高い特性温度を有し、そのような組成物中のウレタンは、初期処理(射出成形等)中に、その熱可塑性作用を保持するように選択される。特性温度が低すぎる場合、組成物は処理が終了する前に架橋結合するので、処理が困難となる。変性イソシアネートは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)ベースのウレトジオン型架橋剤、IPDIのウレトジオン付加物と部分的ε−カプロラクタム部分変性IPDIの組み合わせ、ε−カプロラクタムによる変性イソシアネート付加物とカルボン酸官能基の組み合わせ、カプロラクタム変性デスモジュールジイソシアン酸エステル、3,5−ジメチルピラゾール変性イソシアネートを有するデスモジュールジイソシアン酸エステル、またはこれらの混合物、から好適に選択される。特に好適な変性イソシアネートの例は、Bayer Corporationによる商品名CRELANにて販売されるものを含む。これらの例としては以下を含む。CRELAN TP LS 2147、CRELAN NI 2、CRELAN VP LS 2347等のイソホロンジイソシアネート(IPDI)ベースのウレトジオン型架橋剤、CRELAN VP LS 2386等の、IPDIのウレトジオン付加物とε−カプロラクタム部分変性IPDIの組み合わせ、CRELAN VP LS 2181/1等、ε−カプロラクタム変性イソシアネート付加物とカルボン酸官能基の組み合わせ、CRELAN NW5等、カプロラクタム変性デスモジュールジイソシアン酸エステル、およびCRELAN XP 7180等の、3,5−ジメチルピラゾール変性イソシアネートを有するデスモジュールジイソシアン酸エステル。これらの変性イソシアネートは単独でまたは組み合わせての、いずれかによって使用することができる。そのような変性ジイソシアン酸エステルは、参照することよりすべての内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,939,924号に詳細に記載される。
【0069】
後硬化性ポリウレタンまたはポリ尿素組成物が必要とされる場合、別の方法として、ジイソシアン酸エステルは、ニトロソ化合物およびジイソシアン酸エステルまたはポリイソシアネートの反応生成物をさらに含んでもよい。該反応生成物は、分解して、ニトロソ化合物およびジイソシアン酸エステルまたはポリイソシアネートを再生する特性温度を有し、そして後処理温度の賢明な選択によって、最初の熱可塑性組成物のさらなる架橋を誘発して、熱硬化性に似た特性とすることができる。そのようなニトロソ化合物は、参照することよりすべての内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,037,985 B2号に詳細に記載される。
【0070】
今日知られるまたは今後開発されるいずれのポリオールも、本発明による使用に適切である。本発明においての使用に適切なポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびポリジエンポリオール、例えばポリブタジエンポリオールを含むがこれらに限定されない。
【0071】
ポリエステルポリオールは、二塩基酸を活用する縮合またはステップ成長重合により調製される。ポリエステルポリオールの主な二塩基酸は、アジピン酸ならびに異性体フタル酸である。アジピン酸は柔軟性を加えることを必要とする材料に使用され、無水フタル酸は剛性を必要とする材料に使用される。ポリエステルポリオールのいくつかの例としては、ポリ(アジピン酸エチレン)(PEA)、ポリ(アジピン酸ジエチレン)(PDA)、ポリ(アジピン酸プロピレン)(PPA)、ポリ(アジピン酸テトラメチレン)(PBA)、ポリ(アジピン酸ヘキサメチレン)(PHA)、ポリ(アジピン酸ネオペンチレン)(PNA)、3−メチル−1,5−ペンタンジオールとアジピン酸で構成されるポリオール、PEAとPDAのランダム共重合体、PEAとPPAのランダム共重合体、PEAとPBAのランダム共重合体、PHAとPNAのランダム共重合体、ε−カプロラクトンの開環重合により得たカプロラクトンポリオール、エチレングリコールを有するβ−メチル−δ−バレロラクトンの開環により得たポリオール、が挙げられる。これらは、単独でまたはその組み合わせのいずれかで使用されてもよい。さらに、ポリエステルポリオールは、以下の酸の少なくとも1つ、および以下のグリコールの少なくとも1つの共重合体から構成することができる。酸には、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸(混合物)、p−ヒドロキシベンゾエート、無水トリメリット酸、ε−カプロラクトン、および、β−メチル−δ−バレロラクトン、が挙げられる。グリコールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ペンタエリスリトール、および3−メチル−1,5−ペンタンジオール、が挙げられる。
【0072】
ポリエーテルポリオールは、多価アルコールの開始剤(例えば、ジエチレングリコール)(これは、活性水素化物である)により、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド)の開環追加重合により調製される。具体的には、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、またはプロピレンオキシドエチレンオキシド共重合体を得ることができる。ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)は、1,4−ブタンジオールの脱水、またはフランの水素化により、生成されるテトラヒドロフランの開環重合によって調製される。テトラヒドロフランはアルキレンオキシドとともに共重合体を形成できる。具体的には、テトラヒドロフラン−プロピレンオキシド共重合体、またはテトラヒドロフラン−エチレンオキシド共重合体を形成できる。ポリエーテルポリオールは、単独で、または組み合わせのいずれかで使用されてもよい。
【0073】
ポリカーボネートポリオールは、ホスゲン、クロロギ酸エステル、炭酸ジアルキル、または炭酸ジアリルによる、既知のポリオール(多価アルコール)の縮合により得られる。特に好適なポリカーボネートポリオールは、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、または1,5−ペンタンジオールを使用したポリオール成分を含む。ポリカーボネートポリオールは、単独で、または他のポリオールとの組み合わせのいずれかで使用されてもよい。
【0074】
ポリジエンポリオールは、平均が少なくとも1.7官能基を有するヒドロキシル基を含有する液体ジエンポリマーを含み、ジエンポリマーまたは約4から約12の炭素原子を有するジエン共重合体、あるいは2から2.2の炭素原子を有する重合性α−オレフィンモノマーへの添加によるそのようなジエンの共重合体を含んでもよい。具体的な例としては、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、および、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート共重合体が挙げられる。これら液体ジエンポリマーは、例えば、液体反応物中の過酸化水素の存在下で、共役ジエンモノマーを加熱することによって得られる。
ポリブタジエンポリオールは、平均が少なくとも1.7官能基を有するヒドロキシル基を含む液体ジエンポリマーを含み、ジエンポリマーまたは4から12の炭素原子を有するジエン共重合体、あるいは2から2.2の炭素原子を有する重合性α−オレフィンモノマーへの追加を有するそのようなジエンの共重合体から構成されてもよい。具体的な例としては、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−2−エチルヘキシルアクリレート共重合体、および、ブタジエン−n−オクタデシルアクリレート共重合体が挙げられる。これら液体ジエンポリマーは、例えば、液体反応物中の過酸化水素の存在下で、共役ジエンモノマーを加熱することによって得られる。
ポリウレタン技術分野の当業者により入手可能ないずれのポリアミンも、本明細書の開示による使用に適切である。使用に適切なポリアミンには、アミン末端炭化水素、アミン末端ポリエーテル、アミン末端ポリエステル、アミン末端ポリカプロラクトン、アミン末端ポリカーボネート、アミン末端ポリアミド、およびそれらの混合物、から選択されるアミン末端化合物が挙げられるが、これらに限定されない。アミン末端化合物は、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリ(オキシプロピレンでキャップされたエチレンオキシド)エーテルジアミン、トリエチレングリコールジアミン、プロピレンオキシドベースのトリアミン、トリメチロールプロパンベースのトリアミン、グリセリンベースのトリアミン、およびそれらの混合物、から選択されるポリエーテルアミンであってもよい。
【0075】
ジイソシアン酸エステルおよびポリオールまたはポリアミン成分は、鎖延長剤または硬化剤との反応前に、組み合わせて、プレポリマーを形成してもよい。そのようなプレポリマーの組み合わせのいずれも、本発明での使用に適切である。市販のプレポリマーとしては、LFH580、LFH120、LFH710、LFH1570、LF930A、LF950A、LF601D、LF751D、LFG963A、LFG640Dが挙げられる。
【0076】
1つの好適なプレポリマーは、ポリプロピレングリコールとトルエンジイソシアネートプレポリマーの組み合わせである。そのようなポリプロピレングリコール末端トルエンジイソシアネートプレポリマーは、Uniroyal Chemical Company(コネティカット州、Middlebury)の商品名ADIPRENE(登録商標)LFG963AとLFG640Dで入手可能である。最も好適プレポリマーは、Uniroyal Chemical Company(コネティカット州、Middlebury)の商品名ADIPRENE(登録商標)LF930A、LF950A、LF601D、およびLF751Dで入手可能なものを含む、ポリテトラメチレンエーテルグリコール末端トルエンジイソシアネートプレポリマーである。
【0077】
一実施形態において、ウレタンまたは尿素プレポリマーの遊離NCO基の数は、約14パーセント未満であり得る。好適には、ウレタンまたは尿素プレポリマーは、同等重量ベースで、約3パーセントから約11パーセント、より好適には約4から約9.5パーセント、さらにより好適には約3パーセントから約9パーセントの遊離NCOを有する。
ポリオール鎖延長剤または硬化剤は、1級、2級、または3級ポリオールであってよい。これらのポリオールのモノマーの非限定的な例には、トリメチロールプロパン(TMP)、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、および2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールが挙げられる。
【0078】
ジアミンおよび他の適切なポリアミンを、鎖延長剤または硬化剤として機能するように、組成物に添加することができる。これらには、官能基として、2つ以上のアミンを有する1級、2級、および3級アミンを含む。例示的なジアミンには、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン等の脂環式ジアミン、またはジエチル−2,4−トルエンジアミン、4,4″−メチレンビス−(3−クロロ,2,6−ジエチル)−アニリン(Air Products and Chemicals Inc.(Allentown,Pa.)からLONZACURE(登録商標)という商標名で市販)、3,3´−ジクロロベンジデン等の芳香族ジアミン、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン(MOCA)、N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン;3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン、N,N´−ジアルキルジアミノジフェニルメタン、トリメチレン−グリコール−ジ−p−アミノベンゾエート;ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、4,4´−メチレンビス−2−クロロアニリン、2,2´,3,3´−テトラクロロ−4,4´−ジアミノ−フェニルメタン、p,p´−メチレンジアニリン、p−フェニレンジアミンまたは4,4´−ジアミノジフェニル;ならびに2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが含まれる。
【0079】
さらなる例には、エチレンジアミン、1−メチル−2,6−シクロヘキシルジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、4,4´−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、1,2−ビス−(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、4,4´−ビス−(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタンの誘導体、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)、1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチルアミン)、ジエチレングリコールビス−(アミノプロピル)エーテル、2−メチルペンタメチレン−ジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イミド−(ビス−プロピルアミン)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、イソホロンジアミン、およびそれらの混合物が挙げられる。
芳香族ジアミンは、脂肪族または脂環式ジアミンよりも硬質の(すなわち、より高いムーニー粘度を有する)生成物を提供する傾向がある。
【0080】
それらの化学構造に応じて、硬化剤は、反応が遅いまたは速いポリアミンもしくはポリオールでありうる。米国特許第6,793,864号、第6,719,646号、および同時係属の米国特許出願公開公報第2004/0201133 A1号(そのすべての内容が、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載のとおり、反応が遅いポリアミンは、アミン反応部位の近傍に位置する、電子求引基もしくはかさ高い(bulky)基によって立体的および/または電子的に妨害されるアミン基を有するジアミンである。アミン反応部位の間隔も、ポリアミンの反応性速度に影響を与えるであろう。
【0081】
本発明での使用に適切な硬化剤は、反応が遅いポリアミン基から選択され、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミン、N,N´−ジアルキルジアミノジフェニルメタン、トリメチレン−グリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、ポリテトラメチレン酸化物−ジ−p−アミノベンゾエート、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。それらのうち、3,5−ジメチルチオ−2,4−トルエンジアミンおよび3,5−ジメチルチオ−2,6−トルエンジアミンは異性体であり、Ethyl CorporationがETHACURE(登録商標)300という商標名で販売している。トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエートは、Polaroid CorporationがPOLACURE740Mという商標名で販売し、酸化ポリテトラメチレン−ジ−p−アミノベンゾエートは、POLAMINESという商標名で販売している。N,N´−ジアルキルジアミノジフェニルメタンは、UOPがUNILINK(登録商標)という商標名で販売している。
【0082】
ウレタンエラストマーを生成するために、反応が遅いポリアミンを硬化剤として使用する場合、典型的には触媒が、ウレタンプレポリマーと硬化剤との間の反応を促進するために必要となる。具体的な適切な触媒には、ジ−プロピレングリコールで溶解されたTEDA(1)(Witco Corp.(コネティカット州、Greenwich)から入手可能なTEDA L33、およびAir Products and Chemicals Inc.から入手可能なDABCO 33LV等)を含む。触媒は、約2%から約5%といった適切な有効量で添加され、(2)より好適には、約2%から約5%の1,4−ブタンジオールで溶解されたTEDAである。別の適切な触媒には、0.5%33LVまたはTEDA L33(上記)と、0.1%ジブチルスズジラウレート(Witco Corp.またはAir Products and Chemicals,Inc.より入手可能)との混合物を含み、VIBRACURE(登録商標)A250等の硬化剤に添加される。残念なことに、当技術分野で既知のとおり、触媒の使用は、反応を制御する能力、ひいては全体的な処理可能性に多大な効果を有しうる。
【0083】
触媒の必要性を除外するため、反応基を妨害しない、電子求引基またはかさ高い(bulky)基を有しない、反応が速い硬化剤を1種又はそれ以上で使用することができる。しかしながら、反応が速い硬化剤も制御が比較的困難であるため、触媒の使用に関連する制御欠如の問題は、完全には排除されない。
【0084】
好適な硬化剤の混合物には、ジエチル−2,4−トルエンジアミン、4,4″−メチレンビス−(3−クロロ,2,6−ジエチル)−アニリン(LONZACURE(登録商標)という商標名でAir Products and Chemicals Inc.(ペンシルバニア州、Allentown)より入手可能)、3,3´−ジクロロベンジデン;3,3´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン(MOCA);N,N,N´,N´−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、およびCuralon L(Uniroyal,Incが販売する芳香族ジアミンの混合物の商標名)等の速い硬化剤と組み合わせたジシアンジアミド、またはそれらのあらゆる組み合わせの使用が挙げられる。好適な反応が速い硬化剤は、ジエチル−2,4−トルエンジアミンであり、Ethacure(登録商標)100およびEthacure(登録商標)100LCという2つの商用銘柄があり、Ethacure(登録商標)100LCは、色度がより低く、副生成物も少ない。換言すると、当業者にはより純粋な製品であると考えられる。
【0085】
有利に、Ethacure(登録商標)100LCの商用銘柄の使用により、UV光に暴露された条件の場合、黄変の影響を受けにくいゴルフボールをもたらす。プレーヤーは、この望ましい審美的効果を評価するが、本発明は、硬化剤ジエチル−2,4−トルエンジアミンに、これらの2つの商用銘柄のいずれかを使用することができることに留意されたい。
【0086】
黄変を低減した後硬化性組成物が必要な場合、鎖延長剤または硬化剤は、過酸化物もしくは過酸化物混合物をさらに含むことができる。過酸化物の活性化温度に到達させるために組成物を十分な熱エネルギーに暴露する前に、(a)および(b)の組成物は熱可塑性材料として作用する。したがって、射出成形を用いて、ゴルフボール層に容易に形成することができる。しかしながら、十分な熱エネルギーを印加して、組成物を、過酸化物活性化温度より高くすると、架橋が生じ、熱可塑性ポリウレタンが架橋ポリウレタンへ変換する。
【0087】
本発明の範囲内の組成物における使用のための適切な過酸化物の例には、脂肪族過酸化物、芳香族過酸化物、環状過酸化物、またはこれらの混合物が含まれる。1級、2級、または3級過酸化物を使用することができるが、3級過酸化物が最も好適である。また、2,5−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサンおよび1,4−ビス−(tert−ブチルペルオキシ−イソプロピル)−ベンゼン等の、2つ以上のペルオキシ基を含有する過酸化物を使用することができる。また、tert−ブチルペルベンゾエートおよびtert−ブチルクメルペルオキシド等の、対称もしくは非対称のいずれかである過酸化物を使用することができる。さらに、カルボキシ基を有する過酸化物も使用することができる。熱エネルギーの印加、せん断、他の化学成分との反応、またはこれらの組み合わせにより、本発明の範囲内の組成物で使用される酸化物の分解を生じさせることができる。均一分解性(homolytically decomposed)過酸化物、不均一分解性(heterolytically decomposed)過酸化物、またはそれらの混合物は、本発明の範囲内の組成物における架橋反応を促進するために使用することができる。適切な脂肪族過酸化物および芳香族過酸化物の例には、過酸化ジアセチル、ジ−tert−過酸化ブチル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジクミル、2,5−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシル)バレレート、1,4−ビス−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)−ベンゼン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、1,1−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5トリ−メチルシクロヘキサン、およびジ(2,4−ジクロロ−ベンゾイル)が挙げられる。本発明の範囲内の使用のための過酸化物は、Akzo Nobel Polymer Chemicals(イリノイ州、Chicago)、Atofina(ペンシルバニア州、Philadelphia)、およびAkrochem(オハイオ州、Akron)から入手することができる。この後硬化性系のさらなる詳細は、米国特許第6,924,337号(参照することによって、その内容全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0088】
該ゴルフボールのコア、カバー層、および任意に1つ以上の内部カバー層は、1つ以上のイオノマー樹脂をさらに含むことができる。このような樹脂の1つのファミリーは、1960年代中頃、E.I.DuPont de Nemours and Co.により開発され、SURLYN(登録商標)という商標名で販売された。このようなイオノマーの調製は周知であり、例えば、米国特許第3,264,272号を参照されたい。一般的に言うと、ほとんどの市販されるイオノマーは、ユニモーダルであり、例えば、3から12の炭素原子を有する不飽和モノ−またはジカルボン酸を備えたアルケンといった、モノ−オレフィンのポリマーからなる。モノ−またはジカルボン酸エステルの形態の付加的なモノマーも、いわゆる「軟化コモノマー」として処方に組み入れることができる。その際、組み込まれたカルボン酸基は、卑金属イオン塩により中和され、イオノマーを形成する。中和に使用される卑金属イオン塩の金属カチオンには、Li+、Na+、、Zn2+、Ca2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Pb2+、およびMg2+、が挙げられ、Li、Na、Ca2+、Zn2+、ならびにMg2+が好ましい。卑金属イオン塩には、例えば、ギ酸、酢酸、硝酸、および炭酸、また、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物、ならびにアルコキシドの卑金属イオン塩が挙げられる。
【0089】
最初の市販のイオノマー樹脂は、最大16重量パーセントのアクリル酸またはメタクリル酸が含まれたが、当時も、これらカバー材料の硬度は、概して、酸含有量の増加につれて増大しうることが周知であった。したがって、DuPontの1989年1月発行、研究の開示(Research Disclosure)第29703号では、15重量パーセントを超える酸含有量を含む、エチレン/アクリル酸、またはエチレン/メタクリル酸に基づいたイオノマーを開示した。同じ開示において、DuPontは、そのようないわゆる「高酸イオノマー」が大幅に改良された剛性ならびに硬度を有することも教示しているため、ゴルフボール構造の使用では、個々に、または他のイオノマーとブレンドしてのいずれで使用される場合も、有利に使用することが可能であった。
より最近では、高酸イオノマーは、ポリマー中16重量%から約35重量%存在するアクリル酸単位またはメタクリル酸単位を有するイオノマー樹脂である。概して、そのような高酸イオノマーは、約50,000psiから約125,000psiの曲げ弾性率を有する。
【0090】
イオノマー樹脂は、ポリマー中約10重量%から約50重量%存在する、軟化コモノマーをさらに含み、約2,000psiから約10,000psiの曲げ弾性率を有し、時折「柔らかい」または「非常に低弾性」なイオノマーとして称される。一般的な軟化コモノマーには、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、およびメタクリル酸メチルが挙げられる。
【0091】
今日、エチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、またはエチレンと(メタ)アクリル酸ならびに(メタ)アクリレートのターポリマーの両方に基づいた幅広い種々の市販のイオノマー樹脂があり、すべてはゴルフボールの成分として使用され得る。これらイオノマー樹脂の特性は、酸含有量、軟化コモノマー量、中和度、および中和に使用される金属イオンの種類、の変化により、幅広く変化する。あらゆる市販の種類には、一般式であるポリマーのイオノマー、E/X/Yポリマーが挙げられ、Eはエチレン、Xは、アクリル酸またはメタクリル酸等の、CからCのα、βエチレン系不飽和カルボン酸であり、E/X/Y共重合体の約0重量%から約50重量%、特には約2から約30重量%の量で存在し、Yは、アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチル等、アクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキルからなる群から選択される軟化コモノマーであり、アルキル基は1から8の炭素原子を有し、Yは、E/X/Y共重合体の0から約50重量%の範囲、特には約5重量%から約35重量%の範囲であり、該イオノマーポリマー(ionomeric polymer)に存在する酸基は、部分的に(例えば、約1%から約90%)リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛またはアルミニウム、またはそのようなカチオンの組み合わせからなる群から選択される金属で中和される。
【0092】
また、該イオノマーは、米国特許第6,562,906号に記載される(すべての内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)いわゆるバイモーダルイオノマーであってもよい。これらイオノマーは、異なる分子量のポリマーを含む混合物から調製されるため、バイモーダルである。具体的には、上記イオノマーは、以下を含むバイモーダルポリマー混合組成物を含む。
a) 重量平均分子量(Mw)が約80,000から約500,000を有し、 1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重 合体および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレー ト、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む高分子量成分であって、リチ ウム、ナトリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、およびこれらいず れかの組み合わせからなる群から選択される金属イオンと部分的に中和さ れた、該高分子量成分と、
b) 重量平均分子量(Mw)が約2,000から約30,000を有し、1つ 以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体 および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、 (メタ)アクリル酸ターポリマーを含む低分子量成分であって、リチウ ム、ナトリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、およびこれらいずれ かの組み合わせからなる群から選択される金属イオンと部分的に中和され た、該低分子量成分。
【0093】
また、ユニモーダルイオノマーおよびバイモーダルイオノマーに加えて、参照することによりすべての内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,100,321号、第6,329,458号、および第6,616,552号、ならびに米国特許出願公開公報第2003/0158312 A1号に記載される「変性イオノマー」の例が挙げられる。
【0094】
該変性ユニモーダルイオノマーは,以下を混合することにより調製することができる。
a) エチレン、5から25重量パーセントの(メタ)アクリル酸、および0か ら40重量パーセントの(メタ)アクリレートモノマーを含むイオノマー ポリマーであり、リチウム、ナトリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウ ム、および任意のこれらの混合物、を含む群から選択される金属イオンと 中和された、該イオノマーポリマーと、
b) 約5から約40重量パーセント(該変性イオノマーポリマーの全重量に基 づいて)の1つ以上の脂肪酸または該脂肪酸の金属塩であり、該金属は、 カルシウム、ナトリウム、亜鉛、カリウム、およびリチウム、バリウムな らびにマグネシウムからなる群から選択され、脂肪酸は、好ましくはステ アリン酸である。
【0095】
変性バイモーダルイオノマーは、前述のようなバイモーダルエチレン/カルボン酸ポリマー(参照することによってすべての内容が本明細書に組み込まれる、米国特許第6,562,906号に記載されるように)から由来したイオノマーであり,以下を混合することにより調製される。
a) 重量平均分子量(Mw)が約80,000から約500,000を有し、 1つ以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重 合体および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレー ト、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含む高分子量成分であって、リチ ウム、ナトリウム、亜鉛、カルシウム、カリウム、マグネシウム、および これらいずれかの組み合わせからなる群から選択される金属イオンと部分 的に中和された、該高分子量成分と、
b) 重量平均分子量(Mw)が約2,000から約30,000を有し、1つ 以上のエチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体 および/または1つ以上のエチレン、アルキル(メタ)アクリレート、 (メタ)アクリル酸ターポリマーを含む低分子量成分であって、リチウ ム、ナトリウム、亜鉛、カルシウム、カリウム、マグネシウム、およびこ れらいずれかの組み合わせからなる群から選択される金属イオンと部分的 に中和された、該低分子量成分、
c) 約5から約40重量パーセント(該変性イオノマーポリマーの全重量に基 づいて)の1つ以上の脂肪酸または該脂肪酸の金属塩、であり、該金属 は、カルシウム、ナトリウム、亜鉛、カリウム、およびリチウム、バリウ ムならびにマグネシウムからなる群から選択され、脂肪酸は、好ましくは ステアリン酸である。
【0096】
種々の変性イオノマーに利用される脂肪酸塩、またはろう様酸塩は、約4から75の炭素原子(通常は偶数)を含むアルキル基の鎖から構成され、−COOH末端基を特徴とする。上記酢酸の脂肪酸、およびろう様酸のすべてに関する一般式は、CH(CHCOOHであり、炭素原子総数にはカルボキシル基を含む。脂肪酸塩またはろう様酸塩変性剤を生成するために利用される脂肪酸またはろう様酸は、飽和または不飽和であってもよく、それらは、固体、半固体または液体の形態でに存在することができる。
【0097】
適切な飽和脂肪酸の例、すなわち,アルキル鎖の炭素原子が単結合により結合する脂肪酸は、ステアリン酸(C18、すなわちCH(CH16COOH)、パルミチン酸(C16、すなわちCH(CH14COOH)、ペラルゴン酸(C、すなわちCH(CHCOOH)およびラウリン酸(C12、すなわちCH(CH10OCOOH)が挙げられるが,これらに限定されない。適切な不飽和脂肪酸の例、すなわちアルキル鎖中の炭素原子間に1つ以上の二重結合がある脂肪酸は、オレイン酸(C13、すなわちCH(CHCH:CH(CHCOOH)が挙げられるがこれに限定されない。
【0098】
種々の変性イオノマーに使用される脂肪酸塩またはろう様酸塩の金属塩を生成するために使用される金属イオンの源は概して、様々な程度で、脂肪酸のカルボン酸基に対して、中和可能な金属イオンを与える、種々の金属塩である。これらには、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、および亜鉛、バリウム、カルシウム、ならびにマグネシウムのヒドロキシル塩が挙げられる。
【0099】
脂肪酸塩変性剤は、多くの異なる金属イオンと中和した脂肪酸の種々の組み合わせを含むので、いくつかの異なる種類の脂肪酸塩を本発明に利用してもよく、それには、ステアリン酸金属塩、ラウリル酸塩、オレイン酸塩、およびパルミチン酸塩が挙げられ、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カリウムおよびステアリン酸マグネシウムが好適であり、ステアリン酸カルシウムならびにステアリン酸ナトリウムが最も好適である。
【0100】
該脂肪酸またはろう様酸、或いは脂肪酸若しくはろう様酸の金属塩は、約5から約40、好適には約7から約35、さらに好適には約8から約20重量%(該変性イオノマーポリマーの総重量に基づいて)の量で、変性イオノマーポリマー中に存在する。
脂肪酸またはろう様酸の1つ以上の金属塩の追加の結果として、最終の変性イオノマーポリマー組成物中、約40から100、好適には約50から100、より好適には約70から100パーセントの酸性基が、金属イオンにより中和される。
【0101】
そのような変性イオノマーポリマーの例は、E.I.DuPont de Nemours and Co.Inc.から入手可能なDuPont(登録商標)HPF−1000である。
【0102】
好適なイオノマー組成物は、本明細書に記載される、1つ以上のユニモーダルイオノマー、バイモーダルイオノマー、または変性ユニモーダルあるいはバイモーダルイオノマーポリマーをブレンドすることにより調製され、一般式E/X/Yのポリマーの亜鉛で中和されたイオノマーとさらに混合される。該一般式中、Eはエチレン、Xはアクリレートまたはメタアクリレート等の、軟化コモノマーであり、総量が0から約50、好適には0から約25、最も好適には0において存在し、Yはアクリル酸またはメタアクリル酸であり、全組成の量に基づいて、約5から約25重量%、好適には約10から約25重量%、最も好適には約10から約20重量%の全組成の量において存在する。
【0103】
具体的な実施形態において、コア、中間および/またはカバー層を作製するために使用する混合物は、約5から約95重量%、具体的には約5から約75重量%、好適には約5から約55重量%、の特殊プロピレンエストマー、ならびに約95から約5重量%、具体的には約95から約25重量%、好適には約95から約45重量%、の少なくとも1つのイオノマー、特に高酸イオノマーを含む。
【0104】
さらに他の実施形態において、イオノマーとブロック共重合体の混合物が、組成物中に含まれ得る。ブロック共重合体の例は、官能性スチレンブロック共重合体であって、該ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を有する第1のポリマーブロック、共役ジエン化合物を有する第2のポリマーブロック、および、ブロック共重合体に位置したヒドロキシル基、またはその水素化生成物を組み込み、そこで、ブロック共重合体のイオノマーに対する比率の範囲は、重量比で5:95から95:5、より好適には重量比で約10:90から約90:10、より好適には重量比で約20:80から約80:20、よりさらに好適には重量比で約30:70から約70:30、最も好適には重量比で約35:65から約65:35である。好適なブロック共重合体は、SEPTON HG−252である。そのような混合物は同一出願人による米国特許第6,861,474号および米国特許出願公開第2003/0224871号により詳細に記載され、その全体は参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0105】
さらなる実施形態において、コア、マントル層および/またはカバー層(特にマントル層)は、少なくとも成分A、B、ならびにCとして特定される3つの材料を共に混合し、これらの成分を溶融加工し、その場で、疑似的に架橋したポリマーの網目を組み込んだ、本来のポリマーブレンド組成物を形成することによって調製される組成物を含み得る。そのような混合物は、同一出願人による米国特許第6,930,150号により詳細に記載され、その全体は参照することにより本明細書に組み込まれる。成分Aは、少なくとも5重量%、およびより好適には約5重量%から50重量%の、少なくとも1種類のアニオン性官能基を組み込むモノマー、オリゴマー、プレポリマーまたはポリマーである。成分Bは、成分Aの組み込み未満の重量のアニオン性官能基を組み込むモノマー、オリゴマー、またはポリマーであり、成分Bは好適に約25重量%未満のアニオン性官能基、より好適には約20重量%未満、よりさらに好適には10重量%未満のアニオン性官能基、を組み込み、最も好適には成分Bはアニオン性官能基を含まない。成分Cは好適には金属塩として金属カチオンを組み込む。擬似的に架橋した網目の構造は、共有結合ではなく、成分Aの反応した官能基のイオンクラスタリング(ion clustering)によりその場で形成される。該方法は、いずれかの成分A、B、またはCの2つ以上を共に混合することを組み込み得る。
【0106】
ポリマー混合物は、成分AまたはBのいずれかを他方の相に分散した様態で含み得る。好適には、混合組成物は、成分AおよびBの総合重量に基づいて、約1重量%から約99重量%の成分Aを含み、より好適には約10重量%から約90重量%、より好適には約20重量%から約80重量%、最も好適には約30%から約70%である。成分Cは、十分な溶融加工の後、成分Aのアニオン性官能基の好適な量の反応を生成するための十分な量で存在する。好適には、溶融加工の後、成分Aの化学構造において、少なくとも約5%のアニオン性官能基が消耗され、より好適には約10%から約90%、より好適には約10%から約80%、最も好適には約10%から約70%である。
【0107】
組成物は、分散混合装置、分配混合装置、またはこれら組み合わせのいずれかを用いて、上記材料を互いに完全に混合することによって好適に調製される。これらの混合方法はポリマー混合物の製造において周知である。この混合の結果として、成分Aのアニオン性官能基は混合物全体に均一に分散される。次に、成分Aのアニオン性官能基の部位で、その場で(in situ)、成分Bの存在下で、成分Cと反応させる。この反応は混合物に熱を加えることによって促進される。該反応は、成分Aにおいてイオンクラスタリングの形成、および成分Bの存在下の成分Aの擬似的に架橋した構造の形成をもたらす。成分Bの構造に応じて、この擬似的に架橋した成分Aは、成分Bと組み合わさり、種々の相互網目構造を形成し得る。例えば、材料は成分Bの相に分散された成分Aの擬似的に架橋した網目を形成できる、または成分Bは、成分Aの擬似的に架橋した網目の相に分散される。成分Bは、網目を形成してもしなくてもよく、その構造に応じて、以下のいずれかになる。完全相互網目、すなわち、相互に進入しているが、相互に共有結合されていない、成分AおよびBの2つの独立した網目、または、成分Bが成分Aの網目に散在した、線形、接合、あるいは分岐したポリマーを形成した成分AおよびBの半相互網目。例えば、成分B中の反応官能基または、不飽和は、成分Aの、その場で形成された、擬似的に架橋した構造の存在下で、反応して、架橋した構造を形成し、完全相互網目の形成をもたらす。また、成分B中のいずれのアニオン性官能基も、成分Cの金属カチオンと反応でき、成分Aから成分Bのイオン性クラスタを介した擬似的な架橋をもたらす。
【0108】
本方法により形成された成分における、その場で形成された擬似的な架橋のレベルは、成分AとBの選択と比率、アニオン性官能基の量と種類、成分Cにおいての金属カチオンの量と種類、成分Bにおいての化学反応の種類と程度、ならびに成分AとBで生成される擬似的な架橋の程度より、所望に応じて制御できる。
【0109】
上に論じられるように、内側マントル層および/または外側マントル層に関するポリマー混合物の力学的特性ならびに熱的特性は、以下に挙げる多くの因子のいずれも修正することにより、必要に応じて制御できる。成分AとBの化学構造、特に、アニオン性官能基の量と種類、成分AとBの平均分子量および分子量分布、成分AとBの線形性および結晶性、成分C中の金属カチオンの種類、アニオン性官能基と金属カチオンとの間で得られる反応の程度、成分A対成分Bの混合比、成分Bにおける化学反応の種類と程度、成分AとBとの間の架橋反応等の、化学反応の存在、ならびに使用する特定の混合する方法と条件。
【0110】
上に論じられるように、成分Aは、少なくとも5重量%のアニオン官能基を組み入れた、任意のモノマー、オリゴマー、プレポリマー、またはポリマーであることができる。それらのアニオン性官能基は、成分Aの合成中に、モノマー構造、オリゴマー構造、プレポリマー構造、またはポリマー構造へ組み込まれるか、またはスルホン化、ホスホン化、あるいはカルボキシル化により、既に存在するモノマー、オリゴマー、プレポリマー、またはポリマーへ組み込んで、成分Aを生成する。
【0111】
好適で適切な共重合体およびターポリマーの例には、エチレン/アクリル酸、エチレン/メタアクリル酸、エチレン/イタコン酸、エチレン/マレイン酸水素メチル、エチレン/マレイン酸、エチレン/メタアクリル酸/エチルアクリレート、エチレン/イタコン酸/メチルメタアクリレート、エチレン/マレイン酸水素メチル/エチルアクリレート、エチレン/メタアクリル酸/ビニルアセテート、エチレン/アクリル酸/ビニルアルコール、エチレン/プロピレン/アクリル酸、エチレン/スチレン/アクリル酸、エチレン/メタアクリル酸/アクリロニトリル、エチレン/フマル酸/ビニルメチルエーテル、エチレン/塩化ビニル/アクリル酸、エチレン/塩化ビニルジエン/アクリル酸、エチレン/フッ化ビニル/メタアクリル酸、およびエチレン/クロロトリフルオロエチレン/メタアクリル酸、または上記の記載した種の任意のメタロセン触媒ポリマーの共重合体またはターポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0112】
該ゴルフボールでの使用のための熱可塑性エラストマーの別のファミリーは、i)エチレンおよび/またはアルファオレフィン、およびii)α,β−エチレン系不飽和C−C20カルボン酸若しくは無水物、又はα,β−エチレン系不飽和C−C20スルホン酸若しくは無水物、又はα,β−エチレン系不飽和C−C20リン酸若しくは無水物、ならびに任意にiii)α,β−エチレン系不飽和C−C20カルボン酸のC−C10エステル、またはα,β−エチレン系不飽和C−C20スルホン酸のC−C10エステル、又はα,β−エチレン系不飽和C−C20リン酸のC−C10エステル、のポリマーである。
【0113】
好適には、アルファ−オレフィンは、2から10の炭素原子を有し、好適にはエチレンであり、不飽和カルボン酸は、約3から8の炭素を有するカルボン酸である。このような酸の例には、アクリル酸、メタアクリル酸、エタクリル酸、クロロアクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸を含むが、アクリル酸が好適である。好ましくは、存在する場合、カルボン酸エステルは、脂肪族カルボン酸のビニルエステル(酸が2から10の炭素原子を有する)と、ビニルエーテル(アルキル基が1から10の炭素原子を含む)からなる群より選択されうる。
【0114】
使用に適切なこのようなポリマーの例には、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタアクリル酸共重合体、エチレン/イタコン酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/メタアクリル酸/ビニルアセテート共重合体、エチレン/アクリル酸/ビニルアルコール共重合体等を含むが、これらに限定されない。
【0115】
エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体およびエチレン/(メタ)アクリル酸/アルキル(メタ)アクリレートターポリマー、またはエチレンおよび/またはプロピレン無水マレイン酸共重合体ならびにターポリマーが最も好適である。
【0116】
ポリマーの酸含量は、1から30重量パーセントの酸を含みうる。一部の例では、高酸共重合体(すなわち、16重量%を上回る酸、好ましくは、約17から約25重量パーセントの酸、より好ましくは、約20重量パーセントの酸を含有する共重合体)を利用することが好ましい。
【0117】
市販されているこのようなポリマーの例には、Exxonが販売する、Escor(登録商標)5000、5001、5020、5050、5070、5100、5110および5200シリーズのエチレン−アクリル酸共重合体、ならびにThe Dow Chemical Company(Midland,Michigan)が販売する、PRIMACOR(登録商標)1321、1410、1410−XT、1420、1430、2912、3150、3330、3340、3440、3460、4311、4608および5980シリーズのエチレン−アクリル酸共重合体を含むが、これらに限定されない。
【0118】
また、米国特許第6,562,906号に記載のバイモーダルエチレン/カルボン酸ポリマーも含む。これらのポリマーは、エチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸高共重合体、特に約80,000から約500,000の分子量を有する、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、および、エチレン、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ターポリマーを含み、エチレン/α,β−エチレン系不飽和C3−8カルボン酸共重合体、特に、約2,000から約30,000の分子量を有するエチレン/(メタ)アクリル酸共重合体と溶融混合される。
【0119】
上述のとおり、成分Bは、好適には上述した重量範囲の成分Aのパーセントよりも低い重量パーセントのアニオン性官能基を有する、および最も好適にはこのような官能基がない、いかなるモノマー、オリゴマー、またはポリマーであることが可能である。成分Bの適切な材料の例には、以下のものを含むがこれらに限定されない。熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー、合成ゴム、熱可塑性加硫物、共重合体イオノマー、ターポリマーイオノマー、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアミド、共重合体ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリアリーレート、ポリアクリレート、ポリフェニルエーテル、変性ポリフェニルエーテル、耐衝撃性ポリスチレン、ジアリルフタル酸ポリマー、メタロセン触媒ポリマー、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン(ABS)、スチレン−アクリロニトリル(SAN)(オレフィン−変性SANおよびアクリロニトリルスチレンアクリロニトリルを含む)、スチレン−無水マレイン酸(S/MA)ポリマー、スチレン共重合体、官能性スチレン共重合体、官能性スチレンターポリマー、スチレンターポリマー、セルロースポリマー、液晶ポリマー(LCP)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリ尿素、およびポリシロキサン、またはこれらの種の任意のメタロセン触媒ポリマー。成分Bとしての使用に特に適切なポリマーには、ポリエチレン−テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレン−テレフタレート、エチレン−一酸化炭素共重合体、フッ化ポリビニル−ジエン、ポリフェニレンスルファイド、ポリプロピレンオキシド、ポリフェニルオキシド、ポリプロピレン、官能性ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−メチルアクリレート、エチレン−ブチルアクリレート、ポリカーボネート、ポリシロキサン、官能性ポリシロキサン、共重合体イオノマー、ターポリマーイオノマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエステルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、プロピレン−ブタジエン共重合体、エチレンおよびプロピレンの変性共重合体、スチレン共重合体(スチレン−イソブチレン共重合体およびスチレン−ブタジエン共重合体等のスチレンブロック共重合体およびランダムに分散したスチレン共重合体を含む)、スチレン−(エチレン−プロピレン)−スチレンもしくはスチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体等の部分的または完全に水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、官能基を備えた部分的または完全に水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、エチレン−プロピレン−(ジエン)に基づくポリマー、官能性エチレン−プロピレン−(ジエン)に基づくポリマー、動的に加硫されたポリプロピレン/エチレン−プロピレン−ジエン−共重合体、エチレン−プロピレン−(ジエン)に基づく熱可塑性加硫物、熱可塑性ポリエーテルウレタン、熱可塑性ポリエステルウレタン、熱硬化性ポリウレタンを製作するための組成物、熱硬化性ポリウレタン、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、フッ化炭素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、アルフィンゴム、ポリエステルゴム、エピクロルヒドリンゴム、塩素化イソブチレン−イソプレンゴム、ニトリル−イソブチレンゴム、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン、cis−ポリイソプレン、trans−ポリイソプレン、ならびにポリブチレン−オクテンが含まれる。
【0120】
成分Bとしての使用に好適な材料は、ATOFINA Chemicals(ペンシルバニア州、Philadelphia)によりPEBAXとLOTADERの銘柄で市販されるポリエステルエラストマー、E.I.DuPont de Nemours&Co.(デラウエア州、Wilmington)により市販されるHYTREL、FUSABOND、およびNUCREL、S.K. Chemicals(韓国、Seoul)によるSKYPEL およびSKYTHANE、日本の倉敷にあるKuraray Companyにより市販されるSEPTONおよびHYBRAR、NoveonによるESTHANE、ならびに、Kraton Polymersより市販されるKRATONが挙げられる。成分Bとして使用する最も好適な材料は、SEPTON HG−252である。
【0121】
上記に述べるように、成分Cは金属カチオンである。これらの金属は周期表のIA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VA、VB、VIA、VIB、VIIBおよびVIIIB群からなる。これら金属の例としては、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、カリウム、カルシウム、マンガン、タングステン、チタニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ハフニウム、銅、亜鉛、バリウム、ジルコニウム、およびスズが挙げられる。成分Cの源としての使用に適切な金属化合物は、例えば、金属塩であり、好適には金属水酸化物、金属炭酸塩、または金属酢酸塩である。成分A、B、およびCに加えて、ポリマー混合組成物によく使用される他の材料を、以下に挙げるこれら方法を使用して調製された組成物へ組み込むことができる。架橋剤、共架橋剤、促進剤、活性剤、UV開始剤等のUV活性薬品、EB活性薬品、着色剤、UV安定剤、蛍光増白剤、酸化防止剤、加工助剤、離型剤、起泡剤、および特定の重心を調整するためのフィラーを含む有機、無機、金属フィラーまたは繊維。
【0122】
種々の既知の方法がポリマー混合物の調製に適切である。例えば、該3成分は、V−ブレンダー、タンブラーミキサー、またはブレードミキサー等、適切なミキサーのいずれのタイプでも共に予め混合することができる。次いで、この予混合物は、成分Bの存在下で成分Cによって、成分Aのアニオン性官能基の反応生成物を生成するための、バンバリーミキサー、ロールミル、またはこれらの組み合わせ等、内部ミキサーを使用して溶融加工できる。代替的に、予混合物は反応生成物を生成するために、単軸押出機、共回転2軸押出機、または逆転2軸押出機等、押出機を使用して溶融加工できる。上に記載される混合する方法を、該3つの成分を溶融混合するために、共に使用して、本発明の組成物を調製することができる。また、該成分は押出機へ同時にまたは順次供給してもよい。
【0123】
最も好ましくは、成分AおよびBは、2つの成分の溶融混合物を生成するために、成分Cを用いずに、上述の予混合を用いて、または用いずに、共に溶融混合される。次いで、成分Cが成分AとBの混合物へ別個に混合される。この混合物は溶融混合され、反応生成物を生成する。この2ステップの混合は、例えば、複数の供給システムとともに、適切なバレルの長さ(barrel length)またはスクリューの形状を使用した押し出し法等、単一のプロセスにおいて行なうことができる。この場合、成分AおよびBは、主要ホッパーによって押出機へ供給され、押出機から下流へと流れる間、溶融、十分に混合することができる。次いで、成分Cが押出機へ供給され、成分Cの供給接続部と押出機のダイヘッド(die head)との間で成分AとBの混合物と反応する。次いで最終のポリマー組成物は、該ダイから出る。所望により、溶融混合のいずれの追加ステップも、成分AとCとの間の混合、あるいは反応の完了を改善するために、本発明の方法のいずれのアプローチにも追加することができる。また、上記に記載される追加成分は、予混合、または任意の溶融混合段階のいずれかへ組み込むことができる。代替的に、成分A、B、およびCは、同時に溶融混合されて、完全相互網目(interpenetrating network)、または半相互網目のいずれかとして、成分Bの存在下で、成分Aの擬似的に架橋した構造をその場で形成する。
【0124】
開示された組成物/ゴルフボールの使用のための、実例となるポリアミドは、以下により得られたものを含む。(1)(a)シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸と(b)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルジアミン、またはm−キシリレンジアミン等のジアミンとの重縮合、(2)ε−カプロラクタムまたはω−ラウロラクタム等の環状ラクタムの開環重合、(3)6−アミノカプロン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸または12−アミノドデカン酸等びアミノカルボン酸の重縮合、(4)ジカルボン酸とジアミンを有する環状ラクタムの共重合、または(1)−(4)のいずれの組み合わせ。ある形態において、ジカルボン酸は芳香族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸であり得る。ある例において、ジアミンは、芳香族ジアミンまたは脂環式ジアミンであり得る。適切なポリアミドの具体的な例としては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド4,6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,9、ポリアミド6,10、ポリアミド6,12、ポリアミドMXD6、PA12,CX、PA12,IT、PPA;PA6,IT、およびPA6/PPEが挙げられる。
【0125】
該ポリアミドはいかなるホモポリアミドまたはコポリアミドであってもよい。適切なポリアミド群の一例は、熱可塑性ポリアミドエラストマーである。熱可塑性ポリアミドエラストマーは一般的に、ポリアミドおよびポリエステルまたはポリエーテルの共重合体である。例えば、熱可塑性ポリアミドエラストマーは、ハードセグメントとして、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12等)、ならびにソフトセグメンとしてポリエーテルまたはポリエステルを含む。具体的な一例において、熱可塑性ポリアミドは、ポリアミド(PA12)に基づいたアモルファスコポリアミドである。
【0126】
コポリアミドエラストマーの1つのクラスは、ポリエーテルアミドエラストマーである。ポリエーテルアミドエラストマーの実例としては、反応性の鎖末端を有する、ポリアミドブロックと、反応性の鎖末端を有する、ポリエーテルブロックの共重縮合からもたらされるものであり、以下が挙げられる。
【0127】
(1)ジカルボン酸鎖のポリオキシアルキレン配列を有するジアミン鎖末端のポリアミドブロック、
(2)ポリエーテルジオールとして知られる、ポリオキシアルキレンアルファオメガジヒドロキシル化脂肪族配列の、シアノエチル化および水素化により得たジアミン鎖末端のポリオキシアルキレン配列を有するジカルボン酸鎖末端のポリアミドブロック、および、
(3)ポリエーテルジオールを有するジカルボン酸鎖末端のポリアミドブロックであって、この特定の場合に得られる生成物はポリエーテルエステルアミドである。
【0128】
より具体的には、ポリアミドエラストマーは、成分(i)ジアミンおよびジカルボン酸塩基、ラクタムまたはアミノジカルボン酸(PA成分)、(ii)ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール(PG成分)等のポリオキシルアルキレングリコール、ならびに(iii)ジカルボン酸の重縮合によって調製することができる。
【0129】
ジカルボン酸鎖末端のポリアミドブロックは、例えば、ラクタムの、または鎖長を制限するカルボン酸二塩基酸の存在下のカルボン酸二塩基酸およびジアミンのアルファオメガアミノカルボン酸の縮合によってもたらされる。ポリアミド配列の分子量は、好適には約300から15,000、より好適には約600から5,000である。ポリエーテル配列の分子量は、好適には約100から6,000、より好適には約200から3,000である。
【0130】
また、アミドブロックポリエーテルは不規則に分布したユニットを含んでもよい。これらポリマーは、ポリエーテルおよびポリアミドブロックの前駆体の同時反応により調製されてもよい。例えば、ポリエーテルジオールは、ラクタム(またはアルファオメガアミノ酸)、および水の存在下で鎖を制限する二塩基酸と反応することができる。主に極めて可変長のポリエーテルブロックおよび/またはポリアミドブロックを有するポリマーが得られるが、それは、ランダムに反応し、ポリマー鎖に沿って統計的に分布する、種々の反応基も有する。
【0131】
適切なアミドブロックポリエーテルとして、米国特許第4,331,786号;第4,115,475号;第4,195,015号;第4,839,441号;第4,864,014号;第4,230,848号および第4,332,920号に開示されるものが挙げられる。
【0132】
ポリエーテルは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはポリテトラメチレングリコール(PTMG)であってもよく、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)として表されてもよい。ポリエーテルブロックは、ジオールまたはジアミンの形でポリマー鎖に沿っていてもよい。しかしながら、単純化するために、それらはPEG−ブロック、またはPPG−ブロック、若しくはPTMG−ブロックとされる。
【0133】
ポリエーテルブロックは、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはテロラメチレングリコールに由来するユニット等のような異なるユニットを含む。
アミドブロックポリエーテルは、少なくとも1種類のポリアミドブロックおよび1種類のポリエーテルブロックを含む。ポリアミドブロックおよびポリエーテルブロックを有する2つ以上のポリマーの混合もまた使用されてもよい。アミドブロックポリエーテルも、上述の方法によって生成された、任意のアミド構造を含むことができる。
【0134】
好ましくは、アミドブロックポリエーテルは、重量における主要な成分を示すものである。すなわちブロック構造の下にあるポリアミド、および、鎖において最終的に、統計的に分散されるポリアミドの量がアミドブロックポリエーテルの50重量%以上を占める。有利には、ポリアミドの量およびポリエーテルの量は、1対1から3対1の割合(ポリアミド対ポリエーテル)である。
【0135】
ポリエーテルエステルエラストマーの1つの種類は、Pebaxのファミリーで、Elf−Atochem Companyから入手可能である。好ましくは、Pebax 2533、3533、4033、1205、7033および7233の中から選択することができる。Pebax 2533、3533、4033、1205、7033および7233の混合物あるいは組み合わせを同様に調製することもできる。Pebax 2533は、約25のショアーD硬度(ASTM D−2240による)、2.1kpsiの曲げ弾性率(ASTM D−790による)、および約62%のベイショアレジリエンス(ASTM D−2632による)を有する。Pebax 3533は、約35のショアーD硬度(ASTM D−2240による)、2.8 kpsiの曲げ弾性率(ASTM D−790による)、および約59%のベイショアレジリエンス(ASTM D−2632による)を有する。Pebax 7033は、約69のショアーD硬度(ASTM D−2240による)、および67kpsi の曲げ弾性率(ASTM D−790による)を有する。Pebax 7333は、約72のショアーD硬度(ASTM D−2240による)、および107kpsiの曲げ弾性率(ASTM D−790による)を有する。
【0136】
使用に適切なポリアミドの一部の例は、Atofina Chemicals(ペンシルバニア州、Philadelphia)によって市販される商標名PEBAX、CRISTAMIDおよびRILSAN、EMS Chemie(サウスカロライナ州、Sumter)によって市販されるGRIVORYおよびGRILAMID、Degussaから入手可能なTROGAMIDおよびVESTAMID、およびE.I. DuPont de Nemours&Co.(デラウエア州、Wilmington)によって市販されるZYTELを含む。
【0137】
層またはコア組成物は、1つ以上のフィラーを組み込み得る。そのようなフィラーは、典型的には細かく分割された形態である。それは、例えば、概して引き伸ばされた繊維、およびフロックを除いて、概して約20メッシュよりも小さいサイズで、好適には、米国標準サイズで約100メッシュ未満である。フロックおよび繊維サイズは、処理を促進するために十分に小さくなければならない。フィラーの粒径は、所望の効果、費用、追加の容易さ、および粉化に関する考慮に左右される。所望のフィラーの適切な量は、用途によって異なるが、通常は必要以上の実験を行うことなく、容易に決定することができる。
【0138】
フィラーは、好適には、沈降ケイ酸、石灰石、クレー、タルク、アスベスト、バライト粉、ガラス繊維、アラミド繊維、マイカ、メタケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、ケイ酸塩、炭化ケイ素、珪藻土、炭酸塩、例えば、カルシウム若しくはマグネシウムの炭酸塩又は炭酸バリウム、硫酸塩例えば、カルシウム若しくはマグネシウムの硫酸塩又は硫酸バリウム、金属、例えばタングステン、スチール、銅、コバルト、又は鉄、金属合金、炭化タングステン、金属酸化物、ステアリン酸金属塩、および他の微粒子の炭素質材料、並びにそれらのあらゆる組み合わせからなる群から選択される。フィラーの好ましい例は、酸化亜鉛および酸化マグネシウム等の金属酸化物を含む。好適な別の実施形態においては、フィラーは、連続的、または非連続的繊維を含む。好適な別の実施形態においては、フィラーは、2004年5月13日公開の米国特許第6,794,447号および米国特許出願公開公報第2004−0092336A1号、2005年3月17日公開の米国特許公報第2005−0059756A1号(それぞれのすべての内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されているような、1つ以上のいわゆるナノフィラーを含む。
【0139】
無機ナノフィラー材料は、概して、ハイドロタルサイト、フィロケイ酸塩、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、ステベンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト、マイカ、モンモリロナイト、マイカフッ化物、またはオクトシリケイト等のクレーで作製される。ナノフィラー材料のポリマー材料への取込みを促進するために、ナノコンポジット材料を調製する際、またはポリマーベースのゴルフボール組成物を調製する際のどちらかに、クレー(微)粒子は、概して適切な相溶化剤によってコーティングまたは処理される。相溶化剤は、無機材料と有機材料との間の優れた結合を可能にし、また、無機ナノフィラー材料の親水性および、おそらくポリマーの疎水性をもたらすことができる。相溶化剤は、無機ナノフィルター材料および対象のマトリクスポリマーの両方の性質に応じて種々の異なる構造を示しうる。非限定的な例は、ヒドロキシル基、チオール、アミノ−、エポキシ、カルボン酸、エステル、アミド、およびシロキシ基を含む化合物、オリゴマー、またはポリマーを含む。ナノフィラー材料は、重合の前に特定のモノマーまたはオリゴマーへの分散によって、または、マトリクスポリマーへの微粒子の溶解配合によってのいずれかによってポリマーに組み込むことができる。商業用ナノフィラーの例は、Southern Clay Products(テキサス州、Gonzales)の10A、15A、20A、25A、30B、およびNA+を含む種々のCloisiteグレード、ならびにNanocor,Inc.(イリノイ州、Arlington Heights)の1.24TLとC.30EVAを含むNanomerグレードである。
【0140】
上述のとおり、ナノフィラー微粒子は、ミクロンおよびそれ以上の範囲の集合体微粒子サイズを有する集合体構造(aggregate structure)を有する。しかしながら、これらの集合体は、厚さ約1ナノメータ(nm)、幅100から1000nmの個々のプレートレット(platelet)から成るスタック(stacked)プレート構造を有する。結果として、ナノフィラーは、極めて高い表面積を有し、微粒子の低い充填レベルで、材料に対して、高い強化効率をもたらす。ミクロンサイズ未満の微粒子は、その重量または不透明度を上昇させることなく、また、材料の低温度強度を低下させることなく、材料の剛性を強化する。
【0141】
マトリクスポリマーに添加される際、ナノフィラーは3つの方法で混合することができる。一つのタイプの混合においては、マトリクスポリマーの中で集合体構造の分散があるが、混合では、マトリクスポリマーと集合体プレートレット構造の相互作用は発生せず、したがってスタック(積重ね)プレート構造は基本的に維持される。本明細書においては、この種の混合は、「非分散型」と規定される。
【0142】
しかしながら、ナノフィラー材料が正しく選択される場合は、マトリクスポリマー鎖は集合体に進入し、プレートレットを分離する可能性があり、したがって透過型電子顕微鏡またはX線回折によって観察すると、プレートレットの集合体が拡大されている。この時点で、ナノフィラーは、マトリクスポリマーの構造の中に、実質上均一に分散され、反応していると言われる。このレベルの拡大は、異なる程度で発生し得る。少量のマトリクスポリマーが個々のプレートレットの間に層状になっている場合は、以下の本明細書で使用されているように、この種の混合は、「層間型(intercalation)」として知られる。
【0143】
一部の例では、マトリクスポリマー鎖の集合体構造へのさらなる侵入が、プレートレットを分離し、集合体内におけるプレートレットのスタック構造を完全に分解させ、したがって透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると、個々のプレートレットはマトリクスポリマー全体に完全に混合される。以下の本明細書で使用されるように、この種の混合は、「剥脱型(exfoliated)」として知られる。剥脱したナノフィラーは、ポリマーマトリックス全体に完全に分散したプレートレットを有する。プレートレットは不均一に分散されることがあるが、好適には、均一に分散される。
【0144】
いかなる理論にも制限されることも望まないが、そのようなマトリクスポリマー構造内のナノフィラーの異なる程度の分散の1つの可能な説明は、ナノフィラープレートレットと該マトリクスポリマー間の相互作用に対する相溶化表面コーティングの効果である。ナノフィラーを慎重に選択することによって、混合の際のナノフィラーのプレートレット構造へのマトリクスポリマーの侵入を変化させることが可能である。したがって、マトリクスポリマーのナノフィラーへの相互作用と侵入の程度とは、ポリマーマトリクス内のナノフィラーの個々のプレートレットの分離と分散を制御する。該ポリマーマトリクスおよびナノフィラーのプレートレット構造の相互作用は、以下本明細書中でナノフィラーの「ポリマー構造への反応」と規定され、続いてポリマーマトリクス内におけるプレートレットの分散は、以下本明細書中でナノフィラーのポリマーマトリクス構造内における「実質上均一な分散」と規定される。
【0145】
相溶化剤がクレー等のフィラーの表面に存在しない場合、またはクレーのコーティングがポリマーマトリクスへの添加後に試みられる場合は、マトリクスポリマーのナノフィラーへの侵入は、より効果が少なく、マトリクスポリマー内で個々のクレープレートレットの分離は、ほとんど発生せず、分散は発生しない。
【0146】
本明細書で使用される、「ナノコンポジット(複合体)」は、マトリクス内に挿入された、または剥脱したナノフィラーを有するポリマーマトリクスであると規定される。ポリマーの物理的性質は、ナノフィラーの添加によって変化し、ポリマーの物理的性質はナノフィラーがポリマーマトリクスへ分散されナノコンポジットが形成される際に、さらに改善することが見込まれる。
【0147】
ナノフィラー材料を組み込む材料は、従来のフィラーを組み込む材料よりも低い密度で、これらの性質に改善をもたらす。例えば、RTP Corporation(カンザス州、Wichita)によって製造される、ナイロン−6ナノコンポジット材料は、3%から5%のクレー充填を使用して、11,800psiの引張り強さおよび1.14の比重を有するが、従来の30%の無機充填材料は、8,000psiの引張り強さおよび1.36の比重を有する。従来のフィラーよりも低い無機材料の充てでのナノコンポジット材料の使用で同じ特性を提供することから、この使用は、これらの同じ特性を維持しつつ、製品を従来のフィラーを有する製品よりも軽くすることを可能にする。
【0148】
ナノコンポジット材料は、約0.1%から約20%、好適には、約0.1%から約15%、最も好適には、約0.1%から約10%のナノフィラーを組み込み、ポリマー等の有機材料の構造に、インターカレーションまたは剥離を介して、反応および実質的に分散させ、結果として生じる複合材に、強度、耐熱性、および他の特性の改善を提供する材料である。特定のナノコンポジット材料およびそれらの製造の解説は、Ellsworthへの米国特許第5,962,553号、Maxfieldらへの第5,385,776号、ならびにOkadaらへの第4,894,411号で見られる。現在市販されるナノコンポジット材料の例は、日本の大阪にあるUnitika Limitedが製造するM1030D、およびUBE America(ニューヨーク州、New York)が製造する1015C2を含む。
【0149】
ナノコンポジットを他のポリマー系と混合する際は、ナノコンポジットはナノフィラー濃縮物の一種とみなすことが可能である。しかしながら、ナノフィラー濃縮物は、より一般的には、ナノフィラーが混合されるポリマーであり得る。ナノフィラー濃縮物は、ナノフィラーが担体ポリマーに均一に反応および/または分散することを必要としない。
【0150】
好適には、ナノフィラー材料は、約0.1重量%から約20重量%、好適には、約0.1重量%から約15重量%、そして、最も好適には、約0.1重量%から10重量%の量で、ポリマー組成物に添加され、インターカレーションまたは剥離を介して、該ポリマー組成物の構造に、反応および、実質的に分散される。
【0151】
必要に応じて、ゴルフボールを調製するために使用される種々のポリマー組成物は、さらに可塑剤、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤等の他の添加物、またはプラスチック製剤またはゴルフボールの調製において、一般的に使用されるいかなる添加物も含むことができる。
【0152】
別の、本開示の組成物の使用のために特に適した添加物は、以下の一般式を有する化合物を含む。
(RN)−R’−(X(O)OR
式中、Rは水素、またはC−C20脂肪族、脂環式または芳香族系であり、R’は、1つ以上のC−C20直鎖または分岐脂肪族あるいは脂環式基、もしくは置換直鎖または分岐脂肪族若しくは脂環式基、または芳香族基、あるいは最大12のアミノ酸のアミノ酸配列から誘導されたポリペプチドを含むが、これらに限定されない、最大12の反復単位のオリゴマー、を含む、架橋原子団であり、Xは、CまたはSあるいはPであり、X=Cの場合、n=1およびy=1であり、X=Sの場合、n=2およびy=1であり、X=Pの場合、n=2およびy=2であるという条件を有する。また、m=1〜3である。これら材料は、参照することによりすべての内容が本明細書に組み込まれる、2004年7月16日出願の、同時継続米国仮特許出願第60/588,603号により詳細に記載される。これらの材料には、カプロラクタム、オエナントラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカノラクタム、カプロン6−アミノ酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、アジピン酸のジアミンヘキサメチレン塩、アゼライン酸、セバシン酸、および1,12−ドデカン酸、ならびにアジピン酸のジアミンノナメチレン塩、2−アミノ桂皮酸、L−アスパラギン酸、5−アミノサリチル酸、アミノ酪酸、アミノカプロン酸、アミノカプリル酸、1−(アミノカルボニル)−1−シクロプロパンカルボン酸、アミノセファロスポラン酸、アミノ安息香酸、アミノクロロ安息香酸、2−(3−アミノ−4−クロロベンゾイル)安息香酸、アミノナフトエ酸、アミノニコチン酸、アミノノルボルナンカルボン酸、アミノオロチン酸、アミノペニシラン酸、アミノペンテン酸、(アミノフェニル)酪酸、アミノフェニルプロピオン酸、アミノフタル酸、アミノ葉酸、アミノピラジンカルボン酸、アミノピラゾールカルボン酸、アミノサリチル酸、アミノテレフタル酸、アミノ吉草酸、クエン酸水素アンモニウム、アントラニル酸、アミノベンゾフェノンカルボン酸、アミノスクシンアミド酸、イプシロン−カプロラクタム、オメガ−カプロラクタム、(カルバモイルフェノキシ)酢酸、ナトリウム塩、カルボベンジルオキシアスパラギン酸、カルボベンジルグルタミン、カルボベンジルオキシグリシン、2−硫酸水素アミノエチル;アミノナフタレンスルホン酸、アミノトルエンスルホン酸、4,4´−メチレン−ビス−(シクロヘキシルアミン)カルバメートおよびアンモニウムカルバメートが挙げられる。
【0153】
最も好適には、該材料は、4,4´−メチレン−ビス−(シクロヘキシルアミン)カルバメート(R.T.Vanderbilt Co.(コネチカット州、Norwalk)よりDiak(登録商標)4という商標名で市販)、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、イプシロン−カプロラクタム、オメガ−カプロラクタム、およびそれらのあらゆる組み合わせからなる群より選択される。
【0154】
特に好適な実施形態において、ゴルフボールのナノフィラー添加剤成分は、以下の一般式を有する、先述の化合物を含む、相溶化剤で表面改質される。
(RN)−R’−(X(O)OR
最も好適な実施形態は、12−アミノドデカン酸を含むアミノ酸で表面改質したナノフィラークレー材料を含むフィラーである。このようなフィラーは、Nanonocor Co.よりNanomer 1.24TLという商標名で入手可能である。
【0155】
ゴルフボールでの使用の前に、コアおよび/または層の組成物は、1つ以上の以下のブレンド成分でさらに調合することができる。
【0156】

B.架橋剤
架橋のために典型的に使用されるいずれの架橋または硬化系も、必要に応じてポリマーを架橋するために使用されうる。満足できる架橋系は、硫黄、過酸化物、アジド、マレイミド、または樹脂加硫剤に基づき、加硫促進剤と併用することができる。満足できる架橋系成分の例は、酸化亜鉛、硫黄、有機過酸化物、アゾ化合物、酸化マグネシウム、ベンゾチアゾールスルフェンアミド促進剤、ベンゾチアジルジスルファイド、フェノール硬化樹脂、m−フェニレンビス−マレイミド、チウラムジスルファイドおよびジペンタメチレン−チウラムヘキサスルファイドである。
【0157】
より好適な架橋剤には、過酸化物、硫黄化合物、ならびにこれらの混合物を含む。適切な架橋剤の非限定的な例には、1級、2級、または3級脂肪族もしくは芳香族有機過酸化物を含む。2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンおよび1,4−ジ−(2−tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等の、2つ以上のペルオキシ基を含有する過酸化物を使用することができる。例えば、tert−ブチルペルベンゾエートおよびtert−ブチルクミルペルオキシド等の、対称および非対称の両方の過酸化物を使用することができる。カルボキシル基を組み込む過酸化物も適切である。開示される組成物で架橋剤として使用される過酸化物の分解は、熱エネルギーの印加、せん断、放射線(例えば、紫外線活性剤または電子ビーム活性剤)、他の化学物質との反応、もしくはこれらのいずれの組み合わせによっても、生じさせることができる。均一(homolytically)および非均一(heterolytically)分解性過酸化物の両方を使用することができる。適切な過酸化物の非限定的な例には、過酸化ジアセチル、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス−(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、Akrochem Corp.(オハイオ州、Akron)が市販するTrigonox 145−45B等の2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、R.T.Vanderbilt Co.,Inc.(コネチカット州、Norwalk)が市販するVarox231−XL等の1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5トリ−メチルシクロヘキサン、およびジ−(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシドが含まれる。
【0158】
架橋剤は、100重量部のポリマー含有組成物あたり、総量が約0.01部から約5部、より好適には約0.05部から約4部、および最も好適には約0.1部から約2部(重量で)の架橋剤で混合することができる。
【0159】
さらなる実施形態において、架橋剤は、100重量部のポリマー含有組成物あたり、総量が約0.05部から約5部、より好適には約0.2部から約3部、および最も好適には約0.2部から約2部(重量で)の架橋剤で混合することができる。
【0160】
それぞれの過酸化物架橋剤は、特定の期間(t1/2)、その温度にさらされた場合、50%の架橋剤が分解する、特徴的な分解温度を有する。例えば、t1/2=0.1時間で、1,1−ビス−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリ−メチルシクロヘキサンの分解温度は、138℃であり、t1/2=0.1時間で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3の分解温度は182℃である。同一のt1/2で、特徴的な分解温度が異なる2つ以上の架橋剤を該組成物で混合することができる。例えば、少なくとも1つの架橋剤の第1の特徴的な分解温度が150℃未満であり、少なくとも1つの架橋剤の第2の特徴的な分解温度が150℃を上回る場合、第1の特徴的な分解温度を有する少なくとも1つの架橋剤と、第2の特徴的な分解温度を有する少なくとも1つの架橋剤との組成重量比は、5:95から95:5、またはより好適には10:90から50:50であることが可能である。
【0161】
化学架橋剤の使用の他に、ポリマー含有組成物の放射線への暴露も、架橋剤として作用することができる。マイクロ波またはガンマ放射線、もしくは電子ビーム装置の使用を含む、いずれの既知の方法によって、ポリマー含有組成物に放射線を放射することができる。添加剤を使用して、ポリマー含有組成物の放射線誘導架橋を向上することもできる。
【0162】

C.共架橋剤
ポリマー含有組成物は、不飽和カルボン酸の金属塩である得る共架橋剤と共に混合することができる。これらの例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、およびフマル酸、パルミチン酸等の3から8の炭素原子を有する不飽和脂肪酸の亜鉛、マグネシウム塩が含まれ、アクリル酸、メタクリル酸の亜鉛塩が最も好適である。不飽和カルボン酸の金属塩は、予め作られた金属塩としてか、またはα、β−不飽和カルボン酸および金属酸化物または水酸化物をポリマー含有組成物へ取り入れることによって、反応させて金属塩を形成することによってのいずれかで、ポリマー含有組成物に混合することができる。不飽和カルボン酸の金属塩は、いかなる所望の量で混合されてもよいが、ポリマー含有組成物100重量部あたり、不飽和カルボン酸約1部から約100部(重量)の量が好適である。
【0163】

D.ペプタイザー
ポリマー含有組成物は、また、1つ以上のいわゆる「ペプタイザー」を組み込むことができる。
【0164】
ペプタイザーは、好適には有機硫黄化合物および/またはその金属または非金属塩を含む。そのような有機硫黄化合物の例は、ペンタクロロチオフェノール、4−ブチル−o−チオクレゾール、4−t−ブチル−p−チオクレゾール、および2−ベンズアミドチオクレゾール等のチオフェノール、チオ安息香酸等のチオカルボン酸、4,4’ジチオジモルフォリン、およびジキシリルジスルフィド、ジベンゾイルジスルフィド等の硫化物、ジベンゾチアジルジスルフィド、ジ(ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ジベンズアミドジフェニルジスルフィド(DBDD)、およびAtofina Chemicals,Inc.(ペンシルバニア州、Philadelphia)によって市販される、VULTAC等のアルキルフェノール硫化物を含む。好適な有機硫黄化合物は、ペンタクロロチオフェノール、およびジベンズアミドジフェニルジスルフィドを含む。
【0165】
有機硫黄化合物の金属塩の例は、上述のチオフェノールおよびチオカルボン酸のナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、セシウム、および亜鉛塩を含み、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩が最も好適である。
【0166】
有機硫黄化合物の非金属塩の例は、上述のチオフェノールチオカルボン酸のアンモニウム塩を含み、そこで、アンモニウム陽イオンは、一般式[NRを有し、R、R、R、およびRは水素、C−C20脂肪族、脂環式または芳香族部分、および、これらのいかなるまたはすべての組み合わせからなる群から選択され、ペンタクロロチオフェノールのNH塩が最も好ましい。
【0167】
追加のペプタイザーは、窒素、酸素、および/または硫黄等の1つ以上のヘテロ原子を組み込む芳香族または共役ペプタイザーを含む。より典型的には、そのようなペプタイザーは、少なくとも1つのヘテロ原子、および潜在的に複数のヘテロ原子(これらの複数のヘテロ原子は同一または異なっていてよい)を有するヘテロアリールまたは複素環化合物である。そのようなペプタイザーは、インドールペプタイザー、キノリンペプタイザー、イソキノリンペプタイザー、ピリジンペプタイザー、プリンペプタイザー、ピリミジンペプタイザー、ジアジンペプタイザー、ピラジンペプタイザー、トリアジンペプタイザー、カルバゾールペプタイザー、またはそのようなペプタイザーの組み合わせ等のペプタイザーを含む。
【0168】
適切なペプタイザーはまた、ハロゲン、特に塩素、チオールによって代表される硫黄含有部分で、官能基が、スリフヒドリル基(−SH)、チオエーテル、または官能基が−SR、ジスルフィド(RS−SR)等の1つ以上の追加の官能基、および官能基の組み合わせを含むことができる。そのようなペプタイザーは、Hyun Kimらの名で2005年12月20日出願された、同時継続の米国出願第60/752,475号において、より完全に開示されており、すべての内容は参照することにより本明細書に組み込まれる。最も好適な例は、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール(TCPT)等の塩素官能基およびチオール官能基も含むピリジンペプタイザーである。
【0169】
ペプタイザーは、ゴルフボールに使用される場合は、ポリマー含有組成物の100重量部あたり、約0.01から約10、好適には約0.05から約7、より好適には約0.1から約5重量部の量で存在する。
【0170】

E.促進剤
ポリマー含有組成物は、また1つ以上の種類の1つ以上の促進剤を含むことができる。促進剤は、加硫速度を上昇させるため、および/または加硫温度を減少させるために不飽和ポリマーに添加される。促進剤は、メルカプト−、スルフェンアミド−、チウラム、ジオチカルバミン酸塩、ジオチカルバミル−スルフェンアミド、キサントゲン酸塩、グアニジン、アミン、チオ尿素、およびジチオホスフェート促進剤を含むゴム加工のための既知のいかなる種類であり得る。具体的なの商業用促進剤は、Bayer AG(ドイツ、Leverkusen)によって市販されている、Vulkacit Mercapto C、Mercapto MGC、Mercapto ZM−5、およびZM、日本の東京にあるOuchisinko Chemical Industrial Company,Ltd.によって市販されている、Nocceler M、Nocceler MZ、およびNocceler M−60、Akrochem Corporation(オハイオ州、Akron)によって市販されている、MBTおよびZMBT等の、2−メルカプトベンゾチアゾールおよび、その金属または非金属塩を含む。市販されている促進剤の、より完全な一覧表は、The Vanderbilt Rubber Handbook13版(1990,R.T.Vanderbilt Co.)の296−330ページ、Encyclopedia of Polymer Science and Technology第12巻(1970, John Wiley & Sons)の258−259ページ、および、Rubber Technology Handbook(1980,Hanser/Gardner Publications)の234−236ページに記載されている。好適な促進剤は、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)およびその塩を含む。
【0171】
ポリマー含有組成物は、ポリマー含有組成物100重量部あたり、約0.01から約10重量部の促進剤をさらに組み込むことができる。より好適には、該ボール組成物は、ポリマー100重量部あたり、約0.02部から約5部、最も好適には約0.03部から約1.5部(重量)の促進剤をさらに組み込むことができる。
【0172】

ゴルフボールの組成物および構造
図1を参照すると、中実の(solid)中心またはコア2を含み、中実のボディおよび球体状に形成され得るゴルフボール1が図示される。
ある実施形態において、ボールのコアは、1.00から1.55インチ、好適には、1.20から1.50インチ、さらに好適には、1.30から1.40インチの直径を有しうる。
【0173】
ボールのコアは、また80より少ない、好適には70より少ない、より好適には60より少ない、最も好適には50より少なく、特に40より少ないPGA圧縮を有し得る。コアのPGA圧縮は、20から80、および好適には、30から40の範囲にあり得る。
【0174】
ある実施形態において、コアの材料の曲げ弾性率は、20kpsi未満、特に約15kpsi未満、好適には10kpsi未満、最も好適には8kpsi未満であり得る。
(中心を含む)種々のコア層の材料は、それぞれ、異なる材料硬度を示しうる。中心硬度とその次の隣接層との間の差異、ならびに、種々のコア層間の硬度における差異は、ショアーDの2単位を上回り、好適には5単位を上回り、最も好適には10単位を上回り得る。好適な一実施形態において、中心とそれぞれの連続層の硬度は、中心から外部コア層へと外側へ向かって徐々に増加する。好適な別の実施形態において、中心とそれぞれの連続層の硬度は、外部コア層から中心へと内側へ向かって徐々に減少する。該コアは中身の詰まった(中実の)コアまたは巻コアであってもよい。
【0175】
該コアにおいての上記に記載される特性範囲のいずれの組み合わせも、採用されてもよいが、該コアの実例となる具体的な例には、直径が1.00から1.55インチ、PGA圧縮が50未満、および曲げ弾性率が15kpsi未満、および、直径が1.00から1.55インチ、PGA圧縮が50未満、および曲げ弾性率が8kpsi未満、ならびに直径が1.00から1.55インチ、PGA圧縮が40未満、および曲げ弾性率が8kpsi未満、が挙げられる。
【0176】
該コアは上記のいずれのポリマーのから作製することができる。ある実施形態において、該コアはポリブタジエンから作製することができる。ある特定の実施例において、ポリブタジエンは、コアの「主要成分」であり、これは、ポリブタジエンがコア中のすべての成分のうち、少なくとも50重量%、より特には60重量%、最も特定的には80重量%を占めることを意味する。
【0177】

マントル層
図1の図面を再度参照すると、ゴルフボール1が図示され、それは、中実のボディとして、球体の形で形成される、中実の中心またはコア2、球状のコアに隣接して配置される内側マントル層3、中間マントル層4、および外側マントル層5を含む。
【0178】
ゴルフボールの各マントル層は、厚さ0.080インチ未満、より特には、0.065インチ未満、最も特には0.055未満であることができる。
ある実施形態において、内側マントルは材料のショアーD硬度が15から65、特には25から60、より特には30から58であり得る。内側マントルは曲げ弾性率が2から35、特に10から30、より特には15から35kpsiであり得る。中間マントルは、曲げ弾性率が10から50、特に25から50、最も特には25から40kpsiで、さらに材料のショアーD硬度が40から70、より特には45から65最も特には50から60であり得る。外側マントルは材料のショアーD硬度が55から75、特に58から70、より特には60から68であり得る。外側マントル材料は曲げ弾性率が30から80、特に40から80、最も特には50から75kpsiであり得る。
【0179】
マントル層はいずれの適切な材料、特に本明細書に記載される材料で作製することができる。ある例において、マントル層は、ユニモーダルイオノマー、バイモーダルイオノマー、変性ユニモーダルイオノマー、変性バイモーダルイオノマー、熱硬化性ポリウレタン、ポリエステルエラストマー、また、ブタジエン、イソプレン、エチレン、もしくはブチレンから選択される、少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される、少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体、ポリアルケナマー、またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含むことができる。上記に記載するマントル層材料は、マントル層の「主要成分」であることができ、それは、該材料が、マントル層におけるすべての成分の、少なくとも50重量%、より特には60重量%、最も具体的には80重量%の占めることを意味する。
【0180】

カバー層
ボールのカバー層は、厚さが約0.01から0.10インチ、好適には約0.02から約0.08インチ、より好適には約0.03から約0.06インチであり得る。
【0181】
ボールのカバー層はショアーD硬度が約40から約70、好適には約45から約70または約50から約70、より好適には47から約68または約45から約70、最も好適には約50から約65であり得る。
【0182】
カバー層はいずれの適切な材料、特に、本明細書に開示される材料で作製することができる。好適な実施形態において、実例となる例には、熱可塑性エラストマー、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、ユニモーダルイオノマー、バイモーダルイオノマー、変性ユニモーダルイオノマー、変性バイモーダルイオノマー、またはそれらのあらゆる組み合わせあるいは混合物が挙げられる。上記に記載されるカバー層材料は、カバー層の「主要成分」であることができ、それは、該材料が、カバー層のすべての成分の少なくとも50重量%、より特には60重量%、最も特には80重量%を占めることを意味する。
【0183】
コーティング層を外部カバー層の上に、または隣接して配置することができる。例えば、コーティング層は、熱可塑性樹脂ベースの塗装および/または熱硬化性樹脂ベース塗装であり得る。そのような塗装の例としては、ビニルアセテート樹脂塗装、ビニルアセテート共重合体樹脂塗装、EVA(エチレン−ビニルアセテート共重合体樹脂)塗装、アクリル酸エステル(共)重合体樹脂塗装、エポキシ樹脂塗装、熱硬化性ウレタン樹脂塗装、熱可塑性ウレタン樹脂塗装、熱硬化性アクリル樹脂塗装および不飽和ポリエステル樹脂塗装が挙げられる。コーティング層は、透明、微透明(semi-transparent)、または半透明であることができる。
【0184】
ゴルフボールの反発係数(「COR」)は、125フィート/秒インバウンド(inbound)速度において、約0.700を上回り、好適には約0.740を上回り、より好適には0.760を上回り、さらに好適には0.780を上回り、最も好適には0.795を上回り、特に0.800を上回り得る。別の実施形態において、ゴルフボールのCORは、143フィート/秒インバウンド速度において、約0.700を上回り、好適には約0.740を上回り、より好適には0.760を上回り、さらに好適には0.780を上回り、最も好適には0.790を上回り、特に0.800を上回り得る。
【0185】

ゴルフボールを作製する方法
ポリマー、架橋剤、フィラー等は、それらを溶融するか、又は溶融せずに、共に混合できる。タンブラーミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、または2ロールミル等の乾式混合装置を使用して、組成物を混合することができる。また、ゴルフボール組成物は、ミル(ロール機)、バンベリーまたはファレル連続ミキサー等、内部ミキサー、押出機、あるいはこれらの組み合わせ、を使用して、溶融物を製造するための熱エネルギーを用いて、もしくは用いずに、混合することができる。種々の成分を、架橋剤と共に混合することができるか、または各添加剤を適切な順で粉末化された不飽和ポリマーへ添加することができる。別の製造方法において、架橋剤および他の成分は、乾式混合、ロールミル、または溶融混合を用いて、濃縮物の一部として、不飽和ポリマーへ添加される。
【0186】
得られた混合物に、例えば、圧縮または射出成形処理を施し、中実の球体のコアを得ることができる。ポリマー混合物は、混合物をモールド型内に閉じ込めている間に、熱および圧力を加える成形サイクルを施す。空洞形状は形成されるゴルフボールの部分によって決定される。圧縮および加熱は、1つ以上の過酸化物を分解することにより、フリーラジカルを解放し、架橋を開始させる。温度および成形サイクルの期間は、選択された過酸化物の種類に基づいて選択される。該成形サイクルは、一定期間、単一温度で混合物を成形する単一ステップであることができる。
【0187】
コア形成後、ゴルフボールカバーおよびいずれのマントル層も、一般的に注入成形、射出成形、または圧縮成形の3つの方法のうちの1つを使用してコア全体にわたり配設される。射出成形は、概して、成形処理中に球孔(spherical cavity)を形成するように一致する、2つの半球成形部分の1つ以上のセットを有する金型を使用することを含む。金型部分の対は、一致したときにそれら内部へ球孔を定めるように構成される。ゴルフボールの外部カバー層の成形に使用するとき、金型部分は、球孔を形成するように一致する内側表面が、成形されたカバー層の外部表面上にディンプルを形成するように構成された、突起を含むように構成される。ボールコア等の既存構造上に層を成形するために使用されるとき、金型は金型部分全体に配置された、多くの支持ピンを含む。該支持ピンは引き込み可能に構成され、球孔表面に垂直の空洞の中側へ、およびその外側へと移動する。該支持ピンは、溶融材料がコアと金型部分との間を、入口から空洞へと流れる間、コアの位置を維持する。金型自体は、常温金型または加熱金型であってもよい。
【0188】
ボールカバーまたはマントル層の圧縮成形は、層材料を射出金型へと射出成形することにより半殻を作製する、最初のステップを一般的に必要とする。半殻は、次いで、圧縮成形用金型中へ、ボールコアの周りに配設され、そこで、架橋等、化学反応を用いて、または用いずに、熱および圧力を使用して、半殻を完全層へ成形する。また、圧縮成形も、射出成形後の硬化ステップとして使用することができる。そのような処理において、熱硬化できる材料の外部層は常温成形において、コアのまわりに射出成形される。材料を固化させた後、ボールは取り除かれ、金型に設置され、その中で、熱および圧力がボールへ加えられて、外部層の硬化を誘発する。
【0189】
ある具体的な実施形態において、該コアは、ポリブタジエンを含み、
該内側マントル層および該中間マントル層は、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、もしくはブチレンから選択される、少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される、少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体;ポリアルケナマー;またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含み、
該外側マントル層は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される金属で部分的に中和された、エチレンおよび(メタ)アクリル酸の共重合体、もしくはポリアミドと少なくとも1つの無水マレイン酸グラフトポリオレフィンとの混合物を含み、
該外部カバー層は、熱硬化性ポリウレタン、熱硬化性ポリ尿素、成分Aとしてエチレンおよびカルボン酸の共重合体、成分Bとしてスチレンおよびイソプレンのヒドロキシル−変性ブロック共重合体、および成分Cとして金属カチオンから形成されるポリマーブレンド組成物、または、成分Aとしてエチレンおよびカルボン酸の共重合体、成分Bとしてスチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体、および成分Cとして金属カチオンから形成されるポリマーブレンド組成物を含む。
【実施例】
【0190】
実施例A
ボールの一例には、35のPGA圧縮および5kpsiの曲げ弾性率を有するコアと、55のPGA圧縮および31の曲げ弾性率を有する内側マントルと、72のPGA圧縮および45kpsiの曲げ弾性率を有する中間マントルと、96のPGA圧縮および59.5kpsiの曲げ弾性率を有する外側マントルと、96のPGA圧縮および11.3kpsiの曲げ弾性率を有する外部カバー層と、を含む。
【0191】
ショアーD硬度は、ASTM D2240に従い、測定することができる。層の硬度は、ボール上でディンプル間のランドエリアに垂直で測定することができる(「オンザボール」硬度とも称する)。ボール層に製作する前の材料のショアーD硬度も、測定することができる(「材料」硬度とも称する)。
【0192】
コアまたはボールの直径は、標準の線状キャリパーまたは標準サイズのゲージを用いて測定することができる。
圧縮は、Atti Engineering Company(ニュージャージ州、Union City)が製造する手動機器(「Attiゲージ」)で検査される球体にバネ負荷力を加えることによって測定することができる。Federal Dial Gauge Model D81−Cを装備するこの機械は、既知荷重下で較正済みのバネを採用している。被験球体を、このバネに対し、0.2インチ(5mm)の距離だけ移動させるように力を加える。バネが、そこで、0.2インチ圧縮した場合、この圧縮は100となり、バネが0.1インチ圧縮した場合、圧縮値は0とする。したがってより圧縮可能で、より軟らかい材料は、より硬く、圧縮し難い材料よりも、Attiゲージ値がより低い。力を加えた直後、可能であれば、少なくとも5秒以内に値を取る。この機器で測定した圧縮は、PGA圧縮とも称する。
【0193】
AttiまたはPGA圧縮と、Riehle圧縮との間に存在する近似的関係は、
(AttiまたはPGA圧縮)=(160−Riehle圧縮)
で表すことができる。
したがって、100のRiehle圧縮は、60のAtti圧縮と同一である。
【0194】
ゴルフクラブとのインパクトの後のゴルフボールの初期速度は、United States Golf Association(「USGA」)で規制されている。USGAは、規定のゴルフボールの初期速度は、秒速250フィート±2%、または秒速255フィートを上回らないことが可能であることを要件としている。USGA初期速度の制限は、ボールが飛行することができる最終的な距離(280ヤード±6%)に関連し、反発係数(「COR」)にも関連している。反発係数は、直接的なインパクト後の2つのオブジェクト間の相対速度の、インパクト前の相対速度に対する割合である。結果として、CORは0から1までの値をとり得、1は完全な弾性衝突と同等、0は完全な非弾性衝突と同等である。ボールのCORは、クラブの衝突後のボールの初期速度および飛行距離に直接影響を与えることから、ゴルフボール製造業者は、ゴルフボールを設計および試験するためのこの特徴に関心がある。
【0195】
デシベル(dB)単位のゴルフボール音圧レベルSおよびヘルツ(Hz)単位の周波数は、ボールを113インチの高さから、少なくとも12平方インチおよび厚さ4.25インチの大理石(「スターネットクリスタルピンク」)のステージに落下させることで測定することができる。結果として得られたインパクトの音は、インパクト位置から、12インチの固定された近傍の位置で、水平から、角度30度に配設されたマイクロホンで捕らえ、ソフトウェア変換によって、db単位の強度とHz単位の周波数に分解される。データ収集は以下のとおりに行う。
【0196】
マイクロホンデータは、サウンドカード付きのノート型PCを使用して収集する。A−重み付けフィルターをマイクロホンからのアナログ信号に適用する。次いでこの信号をさらなる処理および分析を行うため、ノート型データ取得システムにより、44.1KHzでデジタル式にサンプリングする。データ分析は以下のとおりに行う。
【0197】
データ分析は、2つの処理に分けられる。
a.それぞれのボールインパクト音の二乗平均平方根(rms)音圧レベル(SPL)を生成する時系列分析
i.参照較正信号からのrms SPLは、ボールデータと同一の方法で生 成される。
ii.全体的なSPL(デシベル単位)は、それぞれのボールインパクト音 の参照信号から計算される。
iii.SPLの中央値を3つのインパクト試験に基づき記録する。
b.それぞれのボールインパクト音のスペクトル解析
i.フーリエおよび自己回帰スペクトル推定法を採用して、パワースペクト ルを作成する。
ii.それぞれのボールの振動モードを生成する最も活動的な音を表す最高 レベルのピークからの周波数(周期的/sec−Hz)を同定する。
インパクト耐久性は、耐久力試験機で試験することができる。耐久力試験機は、ゴルフボールに、ドライバーインパクトに類似した反復的な変形を与えるように設計されている。この試験機は、アームと、インパクトプレートまたはクラブのフェースからなり、その両方は、時速約155〜160マイルのボールスピードを生成するスピードで回転する。ボールスピードは、インパクト位置から15.5インチに位置し、11インチ離間した2つの光センサで測定する。ネットでボールを止め、試験サンプルが割れていない場合は、付加的なインパクトを与えるため継続して機械を循環させる。ゴルフボールに関しては、ボールあたり100インパクトを超過しても不良がゼロであった場合、わずかな現場の不具合が生じることとなる。カバーは典型的にゴルフボールの内部の構成要素を「保護する」ことから、外部カバーに隣接する層に関しては、インパクトがより少ないことが求められる。本研究のため、構成要素あたり75のインパクトが十分であると考えられる。
【0198】
実施例B
表1に示される構造で、説明のためのゴルフボールを製作した。
【0199】
【表1】

【0200】
SEPTON HG252は、Kuraray America Incから入手可能なスチレン共重合体である。HPF 1000は、DuPontから入手可能な変性イオのマーポリマーである。Surlyn 8150およびSurlyn 9150は、DuPontから入手可能なイオノマーポリマーである。
【0201】
すべてのコアは、ポリブタジエン、亜鉛、酸化物、硫酸バリウム、亜鉛ジアクリレート、過酸化物、および2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール(TCPT)の混合物から製作した。コアは、2本のロールミル内でコア材料を混合し、その混合物を押し出し、次いで圧縮成形サイクルの熱および圧力下で、コアを形成および硬化するステップを含む、標準処理で作製した。内側層は、すべて射出成形によって作製した。表1内のボールのマントル層のみを試験し、カバー層があるボールは試験しなかった。しかしながら、いかなるタイプのカバー層も、ボールに適用し得たであろう。本実施例では、硬度測定は、ボール/マントルで行った。
【0202】
表1に示される結果は、本開示の5つのピースからなる構造のボールが、十分なインパクト耐久性を示し、「軟らかい感触」を達成することを実証する。
本明細書に開示するボールの付加的な例を以下に番号を付けて説明する。
1.(a)コアと、
(b)内側マントル層と、
(c)中間マントル層と、
(d)外側マントル層と、
(e)少なくとも1つのカバー層と、を含み、
コアは、70未満のPGA圧縮を有し、コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ(複合)構造は、少なくとも40のPGA圧縮を有する、ゴルフボール。
2.コアが、60未満のPGA圧縮を有する、上記1に記載のゴルフボール。
3.コアが、50未満のPGA圧縮を有する、上記1に記載のゴルフボール。
4.コアが、40未満のPGA圧縮を有する、上記1に記載のゴルフボール。
5.マントル層のそれぞれは、0.080インチ未満の厚さをそれぞれ有する、上記1から4のいずれか1つに記載のゴルフボール。
6.コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ構造は、少なくとも50のPGA圧縮を有する、上記1から5のいずれか1つに記載のゴルフボール。
7.コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ構造は、少なくとも60のPGA圧縮を有する、上記1から5のいずれか1つに記載のゴルフボール。
8.内側マントル層、中間マントル層、および外側マントル層は、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、もしくはブチレンから選択される少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される少なくとも1つの第2のコモノマーを含む共重合体;ポリアルケナマー;またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含む、上記1から7のいずれか1つに記載のゴルフボール。
9.外側マントル層が、少なくとも65の材料のショアーD硬度と、少なくとも65kpsiの材料の曲げ弾性率とを有する、上記1から8のいずれか1つに記載のゴルフボール。
10.(a)、(b)、(c)、および(d)のそれぞれは、ショアーD硬度を有し、(a)、(b)、(c)、および(d)のぞれぞれのショアーD硬度は、コアから外側マントル層へ向かって増加する、上記1から9のいずれか1つに記載のゴルフボール。
11.カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそれらの組み合わせもしくはそれらの混合物を含む、上記1から10のいずれか1つに記載のゴルフボール。
12.(a)70未満のPGA圧縮と、20kpsi未満の材料の曲げ弾性率とを有する、コア材料と、
(b)内側マントル層材料と、
(c)中間マントル層材料と、
(d)外側マントル層材料と、
(e)少なくとも1つのカバー層材料と、を含み、
(a)、(b)、(c)、および(d)のそれぞれの材料は、材料の曲げ弾性率を有し、(a)、(b)、(c)、および(d)のそれぞれの前記材料の曲げ弾性率は、コア材料と外側マントル層材料との間のそれぞれの連続層が、直接隣接する内側の層材料に対し、少なくとも3kpsi上回る曲げ弾性率を有するように、コア材料から外側マントル層材料に向かって増加する、ゴルフボール。
13.コアが、50未満のPGA圧縮を有する、上記12に記載のゴルフボール。
14.コアが、40未満のPGA圧縮を有する、上記12に記載のゴルフボール。
15.マントル層のそれぞれが、0.080インチ未満の厚さをそれぞれ有する、上記12から14のいずれか1つに記載のゴルフボール。
16.マントル層のそれぞれが、0.055インチ未満の厚さをそれぞれ有する、上記12から14のいずれか1つに記載のゴルフボール。
17.内側マントル層が、2から35kpsiの材料の曲げ弾性率を有する、上記12から16のいずれか1つに記載のゴルフボール。
18.中間マントル層が、10から50kpsiの材料の曲げ弾性率を有する、上記12から17のいずれか1つに記載のゴルフボール。
19.外側マントル層は、30から80kpsiの材料の曲げ弾性率を有する、上記12から18のいずれか1つに記載のゴルフボール。
20.コア材料が、10kpsi未満の曲げ弾性率と、40未満のPGA圧縮とを有する、上記12から19のいずれか1つに記載のゴルフボール。
21.内側マントル層、中間マントル層、および外側マントル層が、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、もしくはブチレンから選択される、少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される、少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体;ポリアルケナマー;またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含む、上記12から20のいずれか1つに記載のゴルフボール。
22.カバー層が、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含む、上記12から21のいずれか1つに記載のゴルフボール。
23.外側マントル層は、少なくとも65の材料のショアーD硬度と、少なくとも65kpsiの曲げ弾性率をと有する、上記11から20のいずれか1つに記載のゴルフボール。
24.5つのピースで構成されるゴルフボールであって、
(a)15kpsi未満の曲げ弾性率を有するコア材料と、
(b)コア材料に隣接する内側マントル層材料であって、2〜35kpsiの曲げ弾性率を有する内側マントル層材料と、
(c)内側マントル層材料に隣接する中間マントル層材料であって、10〜50kpsiの曲げ弾性率を有する中間マントル層材料と、
(d)中間マントル層材料に隣接する外側マントル層材料であって、30〜80kpsiの曲げ弾性率を有する、外側マントル層材料と、
(e)外部カバー層材料と、を含む、ゴルフボール。
25.コア材料は、8kpsi未満の曲げ弾性率を有し、内側マントル層材料は、15〜35kpsiの曲げ弾性率を有し、中間マントル層材料は、25〜50kpsiの曲げ弾性率を有し、外側マントル層は、50〜75kpsiの曲げ弾性率を有する、上記23に記載のゴルフボール。
26.コア材料から外側マントル層材料に向かって材料のショアーD硬度が増加し、コア材料から外側マントル層材料に向かって曲げ弾性率が増加する、上記24又は25に記載のゴルフボール。
27.コア材料が、50未満のPGA圧縮を有する、上記24から26のいずれか1つに記載のゴルフボール。
28.マントル層のそれぞれは、0.080インチ未満の厚さをそれぞれ有する、上記22から27のいずれか1つに記載のゴルフボール。
29.マントル層のそれぞれは、0.055インチ未満の厚さをそれぞれ有する、上記22から27のいずれか1つに記載のゴルフボール。
30.内側マントル層、中間マントル層、および外側マントル層は、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、もしくはブチレンから選択される、少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される、少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体;ポリアルケナマー;またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含む、上記22から29のいずれか1つに記載のゴルフボール。
31.カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含む、上記22から30のいずれか1つに記載のゴルフボール。
32.外側マントル層は、少なくとも65の材料のショアーD硬度と、少なくとも65kpsiの曲げ弾性率とを有する、上記22から31のいずれか1つに記載のゴルフボール。
33.(a)40未満のPGA圧縮を有するコアと、
(b)内側マントル層と、
(c)中間マントル層と、
(d)外側マントル層と、
(e)外部カバー層と、を含む、ゴルフボールであって、
該ゴルフボールは、十分なインパクト耐久性、および4000Hz未満のゴルフボール周波数を有する、ゴルフボール。
34.ゴルフボール周波数が、3600Hz未満である、上記33に記載のゴルフボール。
35.ゴルフボール周波数が、3400Hz未満である、上記33に記載のゴルフボール。
36.ゴルフボールが、81dB未満の音圧レベル、Sを有する、上記33から35のいずれか1つに記載のゴルフボール。
【0203】
本開示の原理を応用することができる、多くの可能な実施形態を考慮すると、説明される実施形態は、好ましい実施例に過ぎず、本発明の範囲を、限定すると考えるべきではないことは、認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、以下の請求項によって規定される。したがって、我々は、これらの請求項の範囲、および精神の範囲内に入るすべてを、我々の発明として請求する。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1を示す。 図1を参照すると、中実のボディとして球体の形状に形成された中実の中心、またはコア2と、球状のコア上に配置された内側マントル層3と、内側マントル層3上に配置された中間マントル層4と、中間マントル層4上に配置された外側マントル層5と、外側マントル層5上に配置されたカバー層6と、を含むゴルフボール1が図示される。換言すると、中間マントル層4は、内側マントル層3と外側マントル層5との間に位置する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コアと、
(b)内側マントル層と、
(c)中間マントル層と、
(d)外側マントル層と、
(e)少なくとも1つのカバー層と、を含み、
前記コアは、70未満のPGA圧縮を有し、前記コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ構造は、少なくとも30のPGA圧縮を有する、ゴルフボール。
【請求項2】
前記コアは、60未満のPGA圧縮を有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記コアは、40未満のPGA圧縮を有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記マントル層のそれぞれは、0.080インチ未満の厚さをそれぞれ有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ構造は、少なくとも40のPGA圧縮を有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ構造は、少なくとも50のPGA圧縮を有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項7】
前記コア/内側マントル層/中間マントル層の組み合わせ構造は、30から70のPGA圧縮を有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項8】
前記内側マントル層、前記中間マントル層、および前記外側マントル層は、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、もしくはブチレンから選択される少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体;ポリアルケナマー;またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含む、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項9】
前記外側マントル層は、少なくとも55の材料のショアーD硬度と、および少なくとも35kpsiの材料の曲げ弾性率とを有する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項10】
(a)、(b)、(c)、および(d)のそれぞれは、ショアーD硬度を有し、(a)、(b)、(c)、および(d)のぞれぞれの前記ショアーD硬度は、前記コアから前記外側マントル層に向かって増加する、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項11】
前記カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそれらの組み合わせもしくはそれらの混合物を含む、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項12】
(a)70未満のPGA圧縮と、20kpsi未満の材料の曲げ弾性率とを有する、コア材料と、
(b)内側マントル層材料と、
(c)中間マントル層材料と、
(d)外側マントル層材料と、
(e)少なくとも1つのカバー層材料と、を含み、
(a)、(b)、(c)、および(d)のそれぞれの前記材料は、材料の曲げ弾性率を有し、(a)、(b)、(c)、および(d)のそれぞれの前記材料の曲げ弾性率は、前記コア材料と前記外側マントル層材料との間のそれぞれの連続層が、直接隣接する内側の層材料に対し、より大きな曲げ弾性率を有するように、前記コア材料から前記外側マントル層材料に向かって増加する、ゴルフボール。
【請求項13】
前記コアは、40未満のPGA圧縮を有する、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項14】
前記マントル層のそれぞれは、0.075インチ未満の厚さをそれぞれ有する、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項15】
前記内側マントル層は、2から35kpsiの材料の曲げ弾性率を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のゴルフボール。
【請求項16】
前記中間マントル層は、10から50kpsiの材料の曲げ弾性率を有する、請求項15に記載のゴルフボール。
【請求項17】
前記外側マントル層は、30から110kpsiの材料の曲げ弾性率を有する、請求項16に記載のゴルフボール。
【請求項18】
前記コア材料は、10kpsi未満の曲げ弾性率と、40未満のPGA圧縮とを有する、請求項17に記載のゴルフボール。
【請求項19】
前記内側マントル層、前記中間マントル層、および前記外側マントル層は、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、もしくはブチレンから選択される、少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される、少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体;ポリアルケナマー;またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含む、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項20】
前記カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含む、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項21】
前記外側マントル層は、少なくとも55の材料のショアーD硬度と、少なくとも55kpsiの曲げ弾性率とを有する、請求項19に記載のゴルフボール。
【請求項22】
前記コア材料と前記外側マントル層材料との間のそれぞれの連続層が、直接隣接する内側の層材料に対し、少なくとも3kpsi大きな曲げ弾性率を有する、請求項12に記載のゴルフボール。
【請求項23】
5つのピースで構成されるゴルフボールであって、
(a)15kpsi未満の曲げ弾性率を有するコア材料と、
(b)前記コア材料に隣接する内側マントル層材料であって、2〜35kpsiの曲げ弾性率を有する内側マントル層材料と、
(c)前記内側マントル層材料に隣接する中間マントル層材料であって、10〜50kpsiの曲げ弾性率を有する中間マントル層材料と、
(d)前記中間マントル層材料に隣接する外側マントル層材料であって、30〜110kpsiの曲げ弾性率を有する、外側マントル層材料と、
(e)外部カバー層材料と、を含む、ゴルフボール。
【請求項24】
前記コア材料は、8kpsi未満の曲げ弾性率を有し、前記内側マントル層材料は、5〜25kpsiの曲げ弾性率を有し、前記中間マントル層材料は、15〜45kpsiの曲げ弾性率を有し、前記外側マントル層は、35〜80kpsiの曲げ弾性率を有する、請求項23に記載のゴルフボール。
【請求項25】
前記コア材料から前記外側マントル層材料に向かって材料のショアーD硬度が増加し、前記コア材料から前記外側マントル層材料に向かって曲げ弾性率が増加する、請求項23に記載のゴルフボール。
【請求項26】
前記コア材料は、50未満のPGA圧縮を有する、請求項23に記載のゴルフボール。
【請求項27】
前記マントル層のそれぞれは、0.080インチ未満の厚さをそれぞれ有する、請求項23に記載のゴルフボール。
【請求項28】
前記内側マントル層、前記中間マントル層、および前記外側マントル層は、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、もしくはブチレンから選択される、少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される、少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体;ポリアルケナマー;またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含む、請求項23に記載のゴルフボール。
【請求項29】
前記カバー層は、ポリウレタン、ポリ尿素、またはそれらの組み合わせもしくは混合物を含む、請求項28に記載のゴルフボール。
【請求項30】
前記外側マントル層は、少なくとも55の材料のショアーD硬度と、少なくとも35kpsiの曲げ弾性率とを有する、請求項1〜28のいずれか1項に記載のゴルフボール。
【請求項31】
前記外側マントル層材料は、30〜80kpsiの曲げ弾性率を有する、請求項30に記載のゴルフボール。
【請求項32】
(a)40未満のPGA圧縮を有するコアと、
(b)内側マントル層と、
(c)中間マントル層と、
(d)外側マントル層と、
(e)外部カバー層と、を含む、ゴルフボールであって、
前記ゴルフボールは、十分なインパクト耐久性、および4000Hz未満のゴルフボール周波数を有する、ゴルフボール。
【請求項33】
前記ゴルフボール周波数は、3400Hz未満である、請求項32に記載のゴルフボール。
【請求項34】
前記ゴルフボールは、81dB未満の音圧レベル、Sを有する、請求項32に記載のゴルフボール。
【請求項35】
前記コアは、ポリブタジエンを含み、
前記内側マントル層および前記中間マントル層は、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、もしくはブチレンから選択される、少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される、少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体;ポリアルケナマー;またはそれらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含み、
前記外側マントル層は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、もしくはそれらの組み合わせからなる群から選択される金属で部分的に中和された、エチレンおよび(メタ)アクリル酸の共重合体、またはポリアミドと少なくとも1つの無水マレイン酸グラフトポリオレフィンとの混合物を含み、
前記外部カバー層は、熱硬化性ポリウレタン;熱硬化性ポリ尿素;成分Aとしてエチレンおよびカルボン酸の共重合体、成分Bとしてスチレンおよびイソプレンのヒドロキシル変性ブロック共重合体、および成分Cとして金属カチオンから形成されるポリマー混合組成物;または、成分Aとしてエチレンおよびカルボン酸の共重合体、成分Bとしてスチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体、および成分Cとして金属カチオンから形成されるポリマー混合組成物を含む、請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項36】
前記コアの前記ポリブタジエンは、ランタン希土類触媒を用いて得られる、請求項35に記載のゴルフボール。
【請求項37】
前記コアの前記ポリブタジエンは、塩素官能基およびチオール官能基を含む、ピリジンペプタイザーをさらに含む、請求項36に記載のゴルフボール。
【請求項38】
前記内側マントル層および前記中間マントル層は、それぞれ個別に、ポリオクテナマー、スチレンおよびイソプレンのヒドロキシル変性ブロック共重合体、高い酸含有量の変性イオノマー、またはそれらの混合物を含む、請求項35に記載のゴルフボール。
【請求項39】
前記コアは、ポリブタジエンを含み、
前記内側マントル層および前記中間マントル層は、それぞれ個別に、ユニモーダルイオノマー;バイモーダルイオノマー;変性ユニモーダルイオノマー;変性バイモーダルイオノマー;熱硬化性ポリウレタン;ポリエステルエラストマー;ブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、もしくはブチレンから選択される、少なくとも1つの第1のコモノマーと、(メタ)アクリレートもしくはビニルアリーレンから選択される、少なくとも1つの第2のコモノマーとを含む共重合体;ポリアルケナマー;または、それらのあらゆる組み合わせもしくは混合物を含み、
前記外側マントル層は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、鉛、スズ、亜鉛、アルミニウム、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される金属で部分的に中和された、エチレンおよび(メタ)アクリル酸の共重合体、またはポリアミドと少なくとも1つの無水マレイン酸グラフトポリオレフィンとの混合物を含み、
前記外部カバー層は、熱硬化性ポリウレタン;熱硬化性ポリ尿素;成分Aとしてエチレンおよびカルボン酸の共重合体、成分Bとしてスチレンおよびイソプレンのヒドロキシル変性ブロック共重合体、および成分Cとして金属カチオンから形成されるポリマーブレンド組成物;または、成分Aとしてエチレンおよびカルボン酸の共重合体、成分Bとしてスチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体、および成分Cとして金属カチオンから形成されるポリマーブレンド組成物を含む、請求項12に記載のゴルフボール。

【図1】
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【公開番号】特開2009−160407(P2009−160407A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−275(P2009−275)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【出願人】(502330377)テイラー メイド ゴルフ カンパニー, インコーポレーテッド (15)