説明

転倒ゲートの扉体構造及び転倒ゲートの取り外し方法

【課題】本発明は、河川の流量調節に使用する転倒ゲートの修理、補修、メンテナンス、塗装の更新などに利用できる転倒ゲートに関する。
【解決手段】転倒ゲート1の扉体2に表皮板3を取り付けボルトなどで固定し、修理、補修、メンテナンス、塗装の更新に際して表皮板3の取り付けボルトをはずして扉体から表皮板3を取り外す。表皮板3の取り外し空間部より水を流しながら転倒ゲート1下部にあるゲートヒンジピンを抜き取り、そして転倒ゲート本体をレッカーなどにより吊り上げて作業がしやすい場所に移動し、修理、補修、メンテナンス、塗装の塗り替えを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川の流量調節に使用する転倒ゲートの修理、補修、メンテナンス、塗装の更新などに利用できる転倒ゲートに関する。
【背景技術】
【0002】
治水上の観点から構造上、扉体背面に堆砂や流下物が残存して除去されない場合も多く不完全倒伏や、扉体、開閉装置の損傷が懸念されるケースもある。
従来、この場合には、転倒ゲートの修理、補修、メンテナンス、塗装の塗り替えなどの必要が生じたときには上流側および下流側に各々仮締め切りの堰堤を設けて、堰きとめられた上流側の水を図3に示すように仮締め切りの上流側に水中ポンプを設置し、水中ポンプで下流側へ排水するか、または別に取水路を仮設し、上流水を排出して転倒ゲートの前後の部分を全く水の無い状態にして修理、メンテナンスなどを行っていた。
【0003】
従来技術としては、上流側、下流側に仮締め切りを行い、バイパス管を取り付けて上流側の水を下流側に取り出している。
本方式は、単に排水用の水中ポンプ、または取水路の仮設を無くしただけで、かなりの費用と工事期間がかかる。
また、本方式の構造上、転倒ゲートを取り外して作業のやりやすい場所に移動して修理、メンテナンスなどができない方法である。(特許文献1)
【特許文献1】実公平3−40903
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
扉体背面に堆砂や流下物が残存して除去されない場合の不完全倒伏や、扉体、開閉装置の損傷の転倒ゲートの修理、補修、メンテナンス、塗装の塗り替えなどは、河川の水量の少ない渇水期の定期点検時においても河川に水が流れていて、転倒ゲートを取り付けたままでは修理、補修、メンテナンス、塗装の塗り替えなどの作業が非常に困難である。
さらに、転倒ゲートの取り付け部分の河川の水をなくするために大規模な仮排水設備を行う必要があり、莫大な費用が発生する
【0005】
そこで本発明の目的は、上流側および下流側に各々仮締め切りの堰堤を設ける必要が無く、転倒ゲートの修理、補修、メンテナンス、塗装の更新などの必要が生じたときには、費用を掛けずに、簡単に短時間で施工することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の通りである。
河川の流量調整に使用する転倒ゲートにおいて、転倒ゲート1の扉体2の表皮板3を取り外し可能なことを特徴とする転倒ゲートの扉体構造を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
転倒ゲートの修理、補修、メンテナンス、塗装の更新などの必要が生じたときには、上流側および下流側に各々仮締め切りの堰堤などの仮排水設備を設ける必要が無く、費用を掛けずに、簡単に短時間で取り外して別の場所で施工することができる。
また、この構造はきわめて簡単であるので、新規製作のみならず既存の転倒ゲートを容易に改造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の転倒ゲートの扉体は、表皮板を取り付けボルトなどで扉体に固定してあり、修理、補修、メンテナンス、塗装の更新に際して表皮板の取り付けボルトをはずして扉体から表皮板を取り外す。表皮板の取り外し空間部より水を流しながら転倒ゲート下部にあるゲートヒンジピンを抜き取り、そして転倒ゲート本体をレッカーなどにより吊り上げて作業がしやすい場所に移動し、修理、補修、メンテナンス、塗装の塗り替えを行う。
【実施例】
【0009】
本発明の実施例を図2に基づいて説明する。
下記の作業順序の番号は、図2の番号と同一である。
1.転倒ゲート1を起立状態で河川水を取水する。
2.転倒ゲート1を転倒させる。
3.転倒ゲート1の扉体2の表皮板固定用取り付けボルトを取り外し、表皮板3を取り外す。
また、図4のヒンジピンの水密ゴム固定ボルトを取り外し水密ゴム4を取り外す。
4.表皮板3を外した状態で転倒ゲート1を起立させる。
5.表皮板取り外し空間部分より河川水が流れる。
6.この状態で、転倒ゲート1の図4のゲートヒンジピン5を抜き取る。
7.レッカー等により転倒ゲート1本体を吊り上げる。
8.転倒ゲート1本体を作業がやりやすい場所に移動し、修理、補修、メンテナンス、塗装の塗り替えを行う。
9.作業が完了するとレッカー等により吊り上げて河川の元の位置に設置する。
10.図4のゲートヒンジピン5を差し込んで取り付ける。
11.転倒ゲート1を転倒状態にして表皮板3を固定用取り付けボルトで固定する。
また、図2の水密ゴム4を取り付ける。
12.転倒ゲートを起立する。
13.河川水を取水する。
【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明は、河川等に設置されている転倒ゲートの修理、補修、メンテナンス、塗装の更新が容易に簡単に短時間でできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の転倒ゲートの扉体構造の正面図、側面図。
【図2】本発明の実施例に関する作業手順側面図。
【図3】従来技術の方法を示す平面図。
【図4】ヒンジピンの構造図。
【符号の説明】
【0012】
1 転倒ゲート
2 扉体
3 表皮板
4 水密ゴム
5 ヒンジピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川水の取水、流量調整に使用する転倒ゲートにおいて、転倒ゲート1の扉体2の表皮板3を取り外し可能なことを特徴とする転倒ゲートの扉体構造。
【請求項2】
河川水の取水、流量調整に使用する転倒ゲートの下記の作業順序において、
1.転倒ゲート1を起立状態で河川水を取水する。
2.転倒ゲート1を転倒させる。
3.転倒ゲート1の扉体2の表皮板固定用取り付けボルトを取り外し、表皮板3を取り外す。
また、図4のヒンジピンの水密ゴム固定ボルトを取り外し水密ゴム4を取り外す。
4.表皮板3を外した状態で転倒ゲート1を起立させる。
5.表皮板取り外し空間部分より河川水が流れる。
6.この状態で、転倒ゲート1の図4のゲートヒンジピン5を抜き取る。
7.レッカー等により転倒ゲート1本体を吊り上げる。
8.転倒ゲート1本体を作業がやりやすい場所に移動し、修理、補修、メンテナンス、塗装の塗り替えを行う。
9.作業が完了するとレッカー等により吊り上げて河川の元の位置に設置する。
10.図4のゲートヒンジピン5を差し込んで取り付ける。
11.転倒ゲート1を転倒状態にして表皮板3を固定用取り付けボルトで固定する。
また、図2の水密ゴム4を取り付ける。
12.転倒ゲートを起立する。
13.河川水を取水する。
これらの作業を行うことを特徴とする転倒ゲートの取り外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−218056(P2007−218056A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68344(P2006−68344)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【出願人】(504132892)株式会社尾山製作所 (1)
【Fターム(参考)】