説明

載置台

【課題】
ノート型パソコン等の電子機器を使用するときにタイピングなどの外力が作用しても動かないようにしっかりと固定することができ、机上で移動させたい場合は軽く移動させることのできる載置台を提供する。
【解決手段】
電子機器(P)を載置するプレート(2)の底面(2b)に、机上面(D)に接地される滑動部材(3)及びストッパ(4)を配し、滑動部材(3)又はストッパ(4)の一方又は双方を手動操作により進退させて、操作時にストッパ(4)に対して滑動部材(3)を相対的に進出させて滑動部材(3)のみを接地させ、非操作時にストッパ(4)を接地状態に維持する進退機構(5)を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机上面に置いて使用されるノート型パソコンその他の電子機器を、必要に応じて机上面で自由に移動させることができる載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコンの機能向上及び価格低下に伴い、その出荷台数の伸び率はデスクトップ型パソコンを大きく上回り、性能的にもデスクトップ型と遜色がないことから、社員の個人用端末としてデスクトップ型に替えて採用する企業が増えてきている。
【0003】
ところで、ノート型は極めて小型であることから、書類や冊子、筆記用具などと共に机上に置いて使用される。
この場合に、椅子に座ったときに自分が作業しやすい机上の真正面のスペースは限られてしまうため、ノート型パソコンを使用するときはそのスペースに置いて作業を行い、ノート型パソコンを使用しないで他の作業を行なうときは例えば机上前方に移動させて、そのスペースを空けるようにしている。
【0004】
しかし、ノート型パソコンの底面には、タイピング中にずれないようにシリコンゴムなどからなる滑り止めが設けられているので、机上面で押しても簡単に移動させることはできない。また、左右両側に手を添えて軽く持ち上げた状態でずらすことも可能であるが、移動させるのに両手を使わなければならない。また、軽量とは言っても3kg程度はあり、しかも、最近のノート型パソコンは極めて薄くできているので、持ち上げにくいという問題があった。
【0005】
このため、ノート型パソコンを載せたまま移動させることのできる載置台が提案されている。
これは、プレートの四隅に前後方向に転がるローラを設けたものであり、ノート型パソコンを載せたまま載置台を移動させることにより、簡単に机上で前後方向に移動できるようになっている。
しかしながら、この載置台は四隅がローラで支持されているので移動しやすい反面、ノート型パソコンを載せてそのキーボードをタイピングするだけで動いてしまうおそれがある。
【特許文献1】特開2004−355355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、ノート型パソコン等の電子機器を使用するときはタイピングなどの外力が作用しても動かないようにしっかりと固定することができ、机上で移動させたい場合は軽く移動させることのできる載置台を提供することを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明は、机上面に置いて使用される電子機器を選択的に机上面に固定させ又は机上面上で移動させることができる載置台であって、電子機器を載置するプレートの底面に、滑動部材及び滑り止めのストッパが設けられると共に、前記滑動部材又はストッパの一方又は双方を手動操作により上下に進退させて、操作時にストッパに対して滑動部材を相対的に突出させて滑動部材のみを接地させ、非操作時にストッパを接地させる進退機構を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る載置台によれば、ノート型パソコン等の電子機器を載置するプレートの底面に、滑動部材及びストッパが配されると共に、その一方又は双方を手動操作により進退させる進退機構を備えている。
この進退機構は、手動操作することにより、ストッパに対して滑動部材が相対的に進出するので滑動部材のみが接地され、したがって、電子機器を載せたプレートが滑動部材により支持されて、机上を自由に滑らすことができる。
また、手動操作しなければ、ストッパが接地状態に維持されるので、同時に滑動部材が接地されていたとしてもストッパの摩擦により電子機器を載せたプレートを机上に固定することができる。
したがって、キーボードを強くタイピングしてもプレートが移動することがなく、移動させたいときは自由に移動させることができる。
【0009】
例えば、請求項2では、滑動部材がプレート底面の四隅に設けられ、ストッパがプレート底面中央部に配され、進退機構は、プレート内で上下に揺動可能に支持されたシーソー板と、その手前側端部にプレート上面に突出して配された操作子を備え、ストッパをシーソー板の先端側に取り付けている。
これによれば、操作子を押下したときにシーソー板の先端側が持ち上がって、ストッパがプレート内に退避し、四隅の滑動部材がストッパに対して相対的に進出することとなるので、プレートはその滑動部材によって滑動自在に支持され、自由に移動させることができる。また、操作子を離せば、ストッパが接地するのでその摩擦により固定させることができる。
【0010】
さらに、請求項3では、ストッパをプレート底面の四隅に設け、滑動部材をプレート底面中央部に上下進退可能に配し、進退機構として、プレート内を水平に往復移動可能に配されると共に往復方向のいずれか一方に付勢されたスライダと、その端部に取り付けられプレートから突出して配された操作子と、その操作子を押圧してスライダを移動させたときにその水平運動を滑動部材の上下運動に変換する運動伝達機構とを備えている。
これによれば、例えば、スライダを押し込んで移動させたときに滑動部材がストッパより下方に進出するので載置台が滑動自在に支持され、机上面上で電子機器を載置台ごと自由に移動させることができる。
また、操作子を離せば、スライダが元の位置に戻って滑動部材が退避するのでストッパが接地し、その摩擦により固定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本例では、ノート型パソコン等の電子機器を使用するときに、タイピングなどの外力が作用しても動かないように机上にしっかりと固定することができ、机上で移動させたい場合は軽く移動させることができるようにするという目的を達成するために、電子機器を載置するプレートの底面に、滑動部材及び滑り止めのストッパが設けられると共に、前記滑動部材又はストッパの一方又は双方を手動操作により上下に進退させて、操作時にストッパに対して滑動部材を相対的に突出させて滑動部材のみを接地させ、非操作時にストッパを接地させる進退機構を備えた。
【0012】
図1は本発明に係る載置台の一例を示す斜視図、図2はその内部機構を示す断面図、図3は他の実施形態を示す斜視図、図4はその内部機構を示す断面図である。
【実施例1】
【0013】
図1及び図2に示す載置台1は、机上面Dに置いて使用されるノート型パソコンなどの卓上電子機器Pを選択的に机上面Dに固定させ又は机上面D上で移動させるものである。
電子機器Pを載置するプレート2の上面2aはフラットに形成されると共に、底面2bには、その四隅にテフロン(登録商標)のような摩擦係数の低いフッ素樹脂製の滑動部材3が設けられると共に、その中央部にシリコン硬質ゴムのような摩擦係数の高い材料で形成された滑り止めのストッパ4が設けられている。
【0014】
また、プレート2は中空ボックス型に形成され、その内部には、滑動部材3又はストッパ4の一方又は双方を手動操作により進退させて、操作時にストッパ4に対して滑動部材3を相対的に進出させて滑動部材3のみを机上面Dに接地させ、非操作時にストッパ4を机上面Dに接地状態に維持する進退機構5を備えている。
本例では、進退機構5となるてこ機構が用いられており、プレート2の前端面と平行な支軸6によりプレート2内で上下に揺動可能に支持されたシーソー板(てこ)7が配され、そのシーソー板7の手前側端部にプレート2の上面2aに突出する操作子8が配されると共に、そのシーソー板7の先端側端部にプレート2の底面2bに形成された開口部2cから露出する前記ストッパ4が配されている。
このシーソー板7は、支軸6の先端側が手前側よりも重く形成され、操作子8を押下しない限り、ストッパ4が接地状態に維持されている(図2(a)参照)。
そして、操作子8を押下することによりシーソー板7の先端側が持ち上がるのでストッパ4がプレート2内に退避し(図2(b)参照)、操作子8を離したときにストッパ4がその自重により進出して机上面Dに接地状態に押し当てられる。
【0015】
以上が本発明の一構成例であって、次にその作用について説明する。
机の正面に座った状態で、その正面に位置する机上面Dの作業スペースに載置台1を置き、これにノート型パソコンなどの電子機器Pを載せて、図2(a)に示すように、ディスプレイ9を開いてキーボードなどの操作を行う。
このとき、電子機器Pはその底面にストッパ10が取り付けられているので、載置台1のプレート上面2aで滑ることはない。
また、載置台1は、プレート底面2bの四隅に設けられた滑動部材4で全体が安定支持されると共に、プレート底面2bの中央に設けられた開口部2cからストッパ4が突出して机上面Dに接地されている。
したがって、載置台1は机上面Dに確りと固定されることとなり、キーボードを強くタイピングするなどして電子機器Pの任意の位置に外力が作用しても、載置台1は机上面D上で位置ずれすることがない。
【0016】
次いで、電子機器Pの使用が終了し、机上面D上で載置台1を滑らせて作業スペースから移動させる場合は、例えば閉じたディスプレイ9の手前側に手を載せ、その親指で操作子8を押下すれば、図2(b)に示すように、シーソー板7が回動してその先端側に取り付けられたストッパ4が持ち上がってプレート2内に退避し、載置台1は滑動部材3によってのみ支持される。
したがって、その状態で、閉じたディスプレイ9に載せた手で電子機器Pを載置台1ごと移動させれば、載置台1は机上面Dを滑って簡単に移動させることができる。
【実施例2】
【0017】
図3及び図4は他の実施形態を示す。
本例の載置台11は、プレート12の上面12aがフラットに形成されると共に、底面12bには、その四隅にシリコン硬質ゴムのような摩擦係数の高い材料で形成された滑り止めのストッパ14が設けられると共に、その中央部に開口部12cにテフロン(登録商標)のような摩擦係数の低いフッ素樹脂製の滑動部材13が設けられている。
【0018】
また、プレート12は中空ボックス型に形成され、その内部には、滑動部材13又はストッパ14の一方又は双方を手動操作により進退させて、操作時にストッパ14に対して滑動部材13を相対的に進出させて滑動部材13のみを机上面Dに接地させ、非操作時にストッパ14を机上面Dに接地状態に維持する進退機構15を備えている。
【0019】
本例の進退機構15は、プレート12内を水平に前後往復移動されると共にスプリング16により手前側に付勢されたスライダ17と、そのスライダ17の手前側端部にプレート12の前端面から突出して取り付けられた操作子18と、スプリング16の弾撥力に抗して操作子18押し込み、でスライダ17を移動させたときにその前後運動を滑動部材13の上下運動に変換して滑動部材13をストッパ14よりも下方に進出させる運動伝達機構19を備えている。
【0020】
この運動伝達機構19は、スライダ17に形成された下向きのテーパ面17aと、これに摺接するように滑動部材13の上面に突出形成された上向きのテーパ面13aから成り、スライダ17が押し込まれたときにテーパ面17aが移動することにより滑動部材13のテーパ面13aを下方に押し出すカム構造を成している。なお、この上向きのテーパ面13aを従動ローラなど替えても同様である。
【0021】
これによれば、机の正面に座った状態で、その正面に位置する机上面Dの作業スペースに載置台11を置き、これにノート型パソコンなどの電子機器Pを載せて操作する場合は、図3(a)に示すように、スライダ17がスプリング16の弾撥力により手前側に押されているので、スライダ17のテーパ面17aと滑動部材13のテーパ面13aが離れている。
したがって、滑動部材13は接地状態にはあっても、その底面2bの四隅に設けられたストッパ14より下方に突出されることがないので、ストッパ14が接地状態に維持されて載置台11は机上面Dに確りと固定されることとなる。
この状態で、キーボードを強くタイピングずるなどして電子機器Pの任意の位置に外力が作用しても、載置台11は机上面D上で位置ずれすることがない。
【0022】
また、電子機器Pの使用が終了し、机上面D上で載置台11を滑らせて作業スペースから移動させる場合は、プレート12の手前側先端部に設けられたフィンガーレスト20に手を置き、親指で操作子18を押し込めば、図3(b)に示すように、スライダ17がスプリング16の弾撥力に抗して水平に移動する。
これにより、スライダ17のテーパ面17aが滑動部材13のテーパ面13aに摺接されて、滑動部材13はその底面2bの四隅に設けられたストッパ14より下方に突出されるので、ストッパ14は中に浮き、載置台11は滑動部材13によってのみ支持されることとなる。
したがって、フィンガーレスト20と操作子18を掴んだまま、その手で、電子機器Pを載置台11ごと移動させれば、載置台11は机上面Dを滑って簡単に移動させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上述べたように、本発明は、机上面に置いて使用されるノート型パソコンその他の電子機器を、必要に応じて机上面で自由に移動させることができる載置台の用途に適用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る載置台の一例を示す斜視図。
【図2】その内部機構を示す断面図。
【図3】他の実施形態を示す斜視図。
【図4】その内部機構を示す断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 11 載置台
D 机上面
P 電子機器
2 12 プレート
3 13 滑動部材
4 14 ストッパ
5 15 進退機構
7 シーソー板
8 18 操作子
17 スライダ
19 運動伝達機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
机上面に置いて使用される電子機器を選択的に机上面に固定させ又は机上面上で移動させることができる載置台であって、
電子機器を載置するプレートの底面に、滑動部材及び滑り止めのストッパが設けられると共に、前記滑動部材又はストッパの一方又は双方を手動操作により上下に進退させて、操作時にストッパに対して滑動部材を相対的に突出させて滑動部材のみを接地させ、非操作時にストッパを接地させる進退機構を備えたことを特徴とする載置台。
【請求項2】
前記滑動部材がプレート底面の四隅に設けられると共に、前記ストッパがプレート底面中央部に配され、
前記進退機構は、プレート内で上下に揺動可能に支持されたシーソー板と、その手前側端部にプレート上面に突出して配された操作子とを備えると共に、前記ストッパがシーソー板の先端側に取り付けられて成る請求項1記載の載置台。
【請求項3】
前記ストッパがプレート底面の四隅に設けられると共に、前記滑動部材がプレート底面中央部に上下進退可能に配され、
前記進退機構は、プレート内を水平に往復移動可能に配されると共に往復方向のいずれか一方に付勢されたスライダと、その端部に取り付けられプレートから突出して配された操作子と、その操作子を押圧してスライダを移動させたときにその水平運動を滑動部材の上下運動に変換する運動伝達機構とを備えた請求項1記載の載置台。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−241627(P2007−241627A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62674(P2006−62674)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(397077139)株式会社コペック ジャパン (12)
【Fターム(参考)】