説明

輪行袋

【課題】従来のソフトケースタイプの輪行袋は携帯性に優れ軽量であるが、緩衝性が悪いので輪行中に障害物等にぶつけたり,積載したりすると自転車を破損してしまう事があった。また自転車の凹凸に体をぶつけ怪我を負う事もあった。携帯性を損なわず自転車と体を確実に保護することを目的とする。
【解決手段】自転車を携行、輸送、保管する際に使用する輪行袋であって、前記輪行袋に空気等のガスを封入し保持することが出来る空間を少なくとも1個以上備え、その空間内のガスを任意に出し入れできる構成とした。この空間を構成することにより輪行袋の緩衝性能を向上することができるので、自転車を破損したり体に怪我を負うことを防止することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフロード自転車やオンロード自転車を収容して携行、輸送、保管する際に使用する輪行袋に関する物である。
【背景技術】
【0002】
現在、国内の公共交通機関に自転車と共に乗車しようとする場合、自転車全体を覆う袋やケースに収容する必要がある。その為、遠隔地にて自転車を使用してツーリングやサイクリングを楽しむ場合には、専用の輪行袋にて携行、輸送する必要がある。
【0003】
一般に輪行袋は少々の衝撃に耐えうる様に金属や樹脂等により作られたハードケースと、軽量で携行性を重視した主にビニールや布により作られたソフトケースに大別する事が出来る。
【0004】
ハードケースの良い点はその構造上自転車に傷をつける恐れがなく、頑丈に出来ているのでケースその物も壊れる事はあまりない。また形状が四角形なので積載しやすく、ソフトケースの様に持ち運び時に自転車ペダル等の突起に体をぶつける心配もない。しかし非常に重く持ち運びが大変で輪行先でケースその物が邪魔になったり、航空機等に乗せる場合や運送便で輸送する場合、その重量と大きさで追加料金を請求されたり、高額な請求を受ける事もある。
【0005】
一方ソフトケースはケース自体の携帯性が良くコンパクトにたため軽量である。さらに自転車をケースに出し入れする時間も慣れると数分で出来てしまうので、遠隔地にて気軽にツーリングやサイクリングを楽しむ事が出来る。しかし素材がビニールや布なので携行中に物にぶつけたりすると自転車、ケースを破損する恐れがある。さらに自転車の凹凸が携行中に体に当たったりして怪我をする恐れもある。また自転車を自分で管理出来なくなる航空機等に積み込む場合、積載性の悪さや積み込み係員の扱いによっては受け取った時に自転車、ケースが破損してしまう恐れもある。
【0006】
また、オフロードや雨天等の自転車が泥等で汚れる環境でツーリングやサイクリングをした後、乗用車等のトランスポーターに乗せる場合、車内を汚れから保護する為にも輪行袋が使われたりする。この様な場合、ハードケースを使うと積載性は良いが、自転車に付いた汚れがケースに付いてしまうと後にケースを洗うのに手間がかかってしまう。逆にソフトケースの場合、積載性は悪いがケースに付いた汚れは丸洗い出来るので、洗濯にはそれほど手間がかからない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記輪行袋のハードケース、ソフトケース双方の利点と欠点を鑑みてなされたものであり、ソフトケースの利点を保持しつつ自転車保護性を向上し、人体を傷つける恐れを減らし、積載性も向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために本発明の輪行袋では、輪行袋に空気等のガスを封入し保持することが出来る空間を少なくとも1個以上備え、この空間内のガスを任意に出し入れ出来るようにした事を特徴とする。
【0009】
この空間に空気等のガスを封入する事によりこの空間は緩衝材の役目を果たすようになる。この空間を適宜配置する事により、接触による自転車の破損や傷を防止する事が可能になる。さらに携帯時人体と自転車の突起が接触して怪我を負う事も防止できる。またこの空間が自転車の凹凸を吸収するので積載も可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0010】
図1は一般的な輪行袋の全体構成図である。輪行袋本体1は布又はビニール等により袋状に縫製加工され、輪行袋本体1の下面から側面上面にかけて自転車フレーム2及び車輪4の出し入れの為のファスナー3が、上部には肩掛け用のベルト5が構成される。
【0011】
図2は今回の発明を示す図である。輪行袋の側面と内部に空気等のガスを封入し保持出来る空間(以下緩衝空間11)を備え、自転車後部から見たものである。aは緩衝空間11に空気等のガス(以下ガス)を入れる前の図で、bはガスを入れた状態の図である。緩衝空間11は輪行袋本体1内を3つの空間に仕切るように構成され、それぞれの空間に車輪4、フレーム2が単独で収納される。こうする事で車輪4とフレーム2、車輪4と車輪4、自転車と人の接触を防止する事が出来る。なお図2の輪行袋は自転車の前後車輪を外すタイプの物なので3つの空間に仕切ったが、空間の仕切り方は輪行袋のタイプに合わせて変える事が望ましい。
【0012】
より保護性を向上させるには緩衝空間11を輪行袋本体1の全面に構成したり、内部空間をパーツごとに仕切れる様な構成にしたり、パーツの凹凸に合わせた形状にする事が望ましい。しかし保護性を向上する為にこの緩衝空間11を増やすと、輪行袋本体1を畳んだ際の容量が大きくなり輪行先での携行性は低下してしまう。携行性を重視するのであれば、自転車の破損しやすい部分や人体に怪我を負わせそうな部分のみに緩衝空間11を構成する事が望ましい。例えばリアエンド6、フロントフォーク8、チェーンリングとクランク7やスプロケットギア13等の周辺部分が挙げられる。
【0013】
緩衝空間にはガスの封入排出口が構成される。型式は自転車用バルブで一般的なフレンチバルブ、米口バルブもしくは英口バルブが望ましく、こうする事で輪行時一般的に携行する小型ポンプ等を用いて簡単に緩衝空間11を膨らませる事が可能となる。また一般的なバルブ9は金属で出来ているので、使用時以外は布やゴム等の柔らかい物でカバーされる事が望ましい。もしくは樹脂性のバルブ9が望ましい。
【0014】
航空機等に載せる場合等気圧の低い場所を通過する際や、高地等気圧の低い場所へ運ぶ際には緩衝空間11の内圧が上昇し破裂する恐れがあるので、一定の圧力になった際に緩衝空間内のガスを逃がす必要がある。このことに対応する為に図3に示すような構成を取る。図3A〜Cそれぞれの詳細は以下の通りである。
A.バルブ9にリリーフ機能を持たせた形
B.リリーフ弁12を取付取外し出来るようなバルブ9にした形
C.リリーフ弁12を別の場所に取付取外しする形
こうする事で緩衝空間の内圧は一定以上上がる事がなくなるので、破裂することがなくなる。
【0015】
Aのバルブ9にリリーフ機能を持たせた形の場合はバルブ9にリリーフ機能が付いているので、緩衝空間11にガスを入れすぎる事がなく破裂する事もない。Bのリリーフ弁12を取付取外し出来るようなバルブ9にした形は気圧変動の少ない輪行ではリリーフ弁12を取外し、気圧変動の大きい輪行でリリーフ弁12を取付けるといった使い方が出来る。しかし、リリーフ弁の接続がわずらわしいのと別体となる事でリリーフ弁を取付けた場合には容積が大きくなってしまう。Cのリリーフ弁12を別の場所に取付取外しする形はB同様容積が大きくなってしまう。
【0016】
また図2では各緩衝空間11にバルブ9を構成したが図4に示す様に複数の緩衝空間11を配管チューブ等でつなげる事によりバルブ9とリリーフ弁12は1箇所又は数箇所に減らす事が出来る。
【0017】
輪行袋を畳む時にはバルブ9を緩め緩衝空間11に封入されているガスを排気する。ガスが排気された緩衝空間11は輪行袋本体1等と共に畳まれ、輪行袋をまとめる袋に収納される。
【0018】
以上述べた様にガスを封入し密閉する事で緩衝性能を増し、より高い保護機能を得る事が出来る。この事で携帯時に体を痛めたり、自転車に傷を付けてしまうといった事を格段に減らす事ができる。また緩衝空間11が自転車の凹凸を吸収して輪行袋の外周面を平らにするので、積載性も向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明した様に本発明によれば、輪行袋の一部に少なくとも1個以上の空気等のガスを封入し保持することが出来る空間を備えこの空間内のガスを任意に出し入れ出来る様にする事により、輪行時に自転車が破損したり傷付く事を防止すると共に人体への危険も防止しながら、積載性も向上させる事が可能となる。またこの発明は輪行袋だけに留まらず車輪を入れるケース等自転車保護パーツにも有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明以前の一般的な輪行袋を示す図
【図2】本発明の実施例における輪行袋の概略図
【図3】本発明の実施例における配管概略図1
【図4】本発明の実施例における配管概略図2
【符号の説明】
1:輪行袋本体、2:自転車フレーム、3:ファスナー、4:車輪、5:ベルト、6:リアエンド、7:チェーンリングとクランク、8:フロントフォーク、9:バルブ、10:チューブ、11:緩衝空間、12:リリーフ弁、13:スプロケットギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車を携行、輸送、保管する際に使用する輪行袋において、少なくとも1個以上の空気等のガスを封入し保持することが出来る空間を備え、前記空間内のガスを任意に封入/排出できることを特徴とする輪行袋。
【請求項2】
1箇所の封入/排出口に空気等のガスを封入する事により複数の前記空間へ空気等のガスを封入/排出する事が可能である事を特徴とする請求項1に記載の輪行袋。
【請求項3】
前記複数の空間それぞれに前記封入/排出口がある事を特徴とする請求項1に記載の輪行袋。
【請求項4】
前記空間が自転車部位に合った形状である事を特徴とする請求項1〜3に記載の輪行袋。
【請求項5】
前記ガスの封入/排出口がフレンチバルブ又は米口バルブ又は英口バルブであることを特徴とする請求項1〜4に記載の輪行袋。
【請求項6】
前記空間内の気圧が一定以上に上昇しないことを特徴とする請求項1〜5に記載の輪行袋。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−201394(P2008−201394A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67498(P2007−67498)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(507084257)