説明

輸送コンテナの洗浄機

【目的】 輸送コンテナ1を効果的に洗浄する。
【構成】 輸送コンテナ1のローラコンベア2による搬送路の途中にて、輸送コンテナ1の側部を一対の挟み込みベルト4によりしっかりと挟み込んで搬送する。このとき、輸送コンテナ1の搬送路底面をなすように設けた回転ブラシ3を搬送方向と逆方向に回転させて、輸送コンテナ1の底部の汚れを掻き落とす。掻き落とした汚れはゴミ受け5を介して空気吸引管6により収集する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、工場内等で物品の輸送のために用いる輸送コンテナの洗浄機に関する。
【0002】
【従来の技術】工場内等で物品の輸送の際にコンテナを用いるが、コンテナの底部は、引きずりなどによって付着したゴミが他の面より多く、また強固に付着していて落ちにくいので、洗浄に際しても、特別な配慮が必要である。洗浄の方法としては、水洗いが考えられるが、これは乾燥に時間がかかり、また乾燥に熱を使うと変形の恐れがある。
【0003】また、噴射空気によって汚れを除去することも考えられるが、側部は可能であっても、底部は難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような実情に鑑み、輸送コンテナを効果的に洗浄することのできる輸送コンテナの洗浄機を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、輸送コンテナの搬送路の途中に設けられて輸送コンテナの底部の汚れを掻き落とす手段と、この汚れ掻き落とし手段の作用による輸送コンテナの移動を規制する手段とにより、輸送コンテナの洗浄機を構成する。ここで、汚れ掻き落とし手段は輸送コンテナの搬送路の下方に設けるのが望ましい。
【0006】また、汚れ掻き落とし手段により掻き落とされた汚れを収集する手段を有しているとよい。さらに、輸送コンテナの汚れを噴射空気によって除去する手段を有しているとよい。
【0007】
【作用】上記の構成においては、輸送コンテナの移動を規制しつつ、輸送コンテナの底部をこすって汚れを掻き落とすことにより、落ちにくい汚れを落とすことができる。ここで、汚れ掻き落とし手段は輸送コンテナの搬送路の下方に設けられていて、底部の洗浄に際して輸送コンテナを倒したりしなくて済む。
【0008】また、掻き落とされた汚れを収集する手段を設けてあるので、汚れが輸送コンテナに再付着することがなく、洗浄の効果が上がる。さらに、輸送コンテナの汚れを噴射空気によって除去する手段を併用すれば、底部以外の側面等を同時に洗浄することが可能となる。
【0009】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は第1の実施例を示している。輸送コンテナ1は、ローラコンベア2によって図中矢印A方向に搬送されてくる。
【0010】この搬送路の途中にはローラに代わって搬送路面をなすように、汚れ掻き落とし手段としての複数の回転ブラシ3が左右2列に分けられて配置されている。各回転ブラシ3は回転軸の周面に植毛したもので、搬送路中央側の一端から外側の他端に向かって搬送方向に斜めに配置され、図中矢印B方向、すなわち搬送方向と逆方向に回転駆動される。
【0011】回転ブラシ3がある部分の搬送路の両側には、輸送コンテナ1を挟み込んで搬送するため、一対の挟み込みベルト4が設けられている。各挟み込みベルト4は駆動プーリ4aと従動プーリ4bとに巻掛けられていて、図中矢印C方向に駆動される。また、挟み込みベルト4としては、これをすべらないように駆動するため、駆動プーリ4a及び従動プーリ4b側の歯と噛み合う歯を内面に有する歯付ベルトを使用するが、ベルト内面のみならず外面にも歯4cを設けて、これにより輸送コンテナ1の送りを確実にしている。これらの挟み込みベルト4が汚れ掻き落とし手段としての回転ブラシ3の作用による輸送コンテナ1の移動を規制する手段に相当する。
【0012】また、回転ブラシ3がある部分の下方には、上面開放のゴミ受け5が設けられ、このゴミ受け5は空気吸引管6に接続されている。ゴミ受け5及び空気吸引管6により汚れ収集手段が構成される。従って、輸送コンテナ1がローラコンベア2によって搬送されて、回転ブラシ3の部分にくると、両側から一対の挟み込みベルト4によって挟み込まれつつ強制的に搬送される。このとき、輸送コンテナ1の底部においては複数の回転ブラシ3が搬送方向と逆方向に回転して、輸送コンテナ1の底部の汚れをこすって掻き落とす。この回転ブラシ3の掻き落とし作用により輸送コンテナ1が一緒に移動してしまうと、充分な掻き落としができなくなるが、挟み込みベルト4がしっかりと固定しているので、掻き落としの効果が上がる。
【0013】回転ブラシ3により掻き落とされた汚れは、ゴミ受け5に落下し、空気吸引管6により吸われて回収される。これにより、掻き落とした汚れが再び輸送コンテナ1に付着することがない。尚、本例においては回転ブラシ3の回転方向を搬送方向と逆方向にしているので洗浄効果が高いが、順方向であっても、搬送物の速度とブラシの線速度との間に速度差があれば、洗浄効果を得ることは可能である。
【0014】図2及び図3は第2の実施例を示している。輸送コンテナ1は、ローラコンベア2によって図中矢印A方向に搬送されてくる。この搬送路の途中にはローラに代わって搬送路面をなすように、汚れ掻き落とし手段としてのデッキブラシ11が毛を上向きにして配置されている。
【0015】デッキブラシ11がある部分の搬送路の両側には、輸送コンテナ1を挟み込んで搬送するため、前述の実施例と同様に、一対の挟み込みベルト4が設けられている。また、デッキブラシ11がある部分の上方には、押さえ手段が設けられている。すなわち、2本のフレーム13により2本のガイド棒14がそれぞれ上下方向に摺動自在に案内されており、これらのガイド棒14の上端は連結用ブラケット15を介してエアシリンダ16の出力ロッド先端に固定されている。そして、ガイド棒14の下端には押さえ部材17が固定されていて、この押さえ部材17には複数の押さえローラ18が回転自在に支持されて、これらの押さえローラ18により押さえ面が形成される。
【0016】また、デッキブラシ11がある部分の下方には、上面開放のゴミ受け5が設けられ、このゴミ受け5は図示しない空気吸引管に接続されている。従って、輸送コンテナ1がローラコンベア2によって搬送されて、デッキブラシ11の部分にくると、両側から一対の挟み込みベルト4によって挟み込まれつつ強制的に搬送される。また、エアシリンダ16の作動により連結用ブラケット15及びガイド棒14を介して押さえ部材17が下動し、押さえローラ18により輸送コンテナ1を下方へ押し付ける。このため、輸送コンテナ1はデッキブラシ11に押し付けられつつ搬送される。これにより、デッキブラシ11が輸送コンテナ1の底部の汚れをこすって掻き落とす。掻き落とされた汚れはゴミ受け5に落下して回収される。
【0017】図4は第3の実施例を示している。輸送コンテナ1は、ローラコンベア2によって図中矢印A方向に搬送されてくる。この搬送路の途中にはローラ間にて搬送路面をなすように、汚れ掻き落とし手段としてのデッキブラシ21がローラと平行に配置されている。デッキブラシ21の端部はこれに左右方向の振動を与えるバイブレータ22に接続されている。
【0018】デッキブラシ21がある部分の搬送路の両側には、輸送コンテナ1を挟み込んで搬送するため、前述の実施例と同様に、一対の挟み込みベルト4が設けられている。また、デッキブラシ21がある部分の下方には、上面開放のゴミ受け(図示せず)が設けられる。
【0019】従って、輸送コンテナ1がローラコンベア2によって搬送されて、デッキブラシ21の部分にくると、両側から一対の挟み込みベルト4によって挟み込まれつつ強制的に搬送される。このとき、輸送コンテナ1の底部においてはデッキブラシ21がバイブレータ22により左右方向の振動を与えられ、輸送コンテナ1の底部の汚れをこすって掻き落とす。このデッキブラシ21の掻き落とし作用により輸送コンテナ1が一緒に移動してしまうと、充分な掻き落としができなくなるが、挟み込みベルト4がしっかりと固定しているので、掻き落としの効果が上がる。
【0020】図5〜図7は第4の実施例を示している。輸送コンテナ(図示せず)は、ローラコンベア2によって図中矢印A方向から搬送されてくる。この搬送路の途中にはローラに代わって汚れ掻き落とし手段としての1本の回転ブラシ31が配置されている。回転ブラシ31はモータ32により搬送方向と逆方向(矢印B方向)に回転駆動される。
【0021】回転ブラシ31がある部分の搬送路の両側には、輸送コンテナ1を挟み込んで搬送するため、前述の実施例と同様に、一対の挟み込みベルト4が設けられている。本例においては、一対の挟み込みベルト4の駆動系についても図示してあり、モータ33による駆動軸34の回転が傘歯歯車35,36によって伝動軸37に伝達され、伝動軸37の回転が傘歯歯車36,38によって一方の駆動プーリ4aに、また傘歯歯車39,40によって他方の駆動プーリ4aに伝達される。
【0022】また、回転ブラシ31がある部分の上方には、押さえ手段が設けられている。すなわち、フレーム41により2本のガイド棒42がそれぞれ上下方向に摺動自在に案内されている。これらのガイド棒42はそれぞれスプリング43により下方に付勢されて、ストッパ44により下方位置が規制されるようになっている。そして、これらのガイド棒42の下端に押さえ板45が固定されている。この押さえ板45の輸送コンテナ1進入側には輸送コンテナ1の進入を容易にすべく傾斜部45aを設けてある。
【0023】また、回転ブラシ31がある部分の下方には、上面開放のゴミ受け(図示せず)が設けられる。従って、輸送コンテナ(図示せず)がローラコンベア2によって搬送されて、回転ブラシ31の部分にくると、両側から一対の挟み込みベルト4によって挟み込まれつつ強制的に搬送される。輸送コンテナは押さえ板45の傾斜部45aの部分からその下に入り込んで、スプリング43の力で押さえ板45により下方へ押し付けられる。このため、輸送コンテナは回転ブラシ31に押し付けられつつ搬送され、回転ブラシ31が搬送方向と逆方向に回転駆動されることにより、輸送コンテナ1の底部の汚れをこすって掻き落とす。掻き落とされた汚れはゴミ受けに落下して回収される。
【0024】次に、輸送コンテナの底部の洗浄のみならず、全体を洗浄するシステムの例について、図8により説明する。ローラコンベア等の搬送路2を搬送される輸送コンテナ(図示せず)は、空気吸引部51、空気噴射部52を通って、挟み込みベルト4を配置した底部に対する汚れ掻き落とし部位に至る。この掻き落とし部位の上方にも空気吸引部53が設けられている。そして、掻き落とし部位を通過誤、空気噴射部54、空気吸引部55を通って排出される。
【0025】こうして、輸送コンテナの汚れを噴射空気によって除去する手段である空気噴射部52,54により、輸送コンテナの側面及び内部に付着した汚れが吹き飛ばされて洗浄され、吹き飛ばされた汚れは空気吸引部51,53,55により回収される。ここで、空気噴射部52,54からの空気の噴射方向は掻き落とし部位の側へ向けて、汚れを外に出さないようにしてある。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、輸送コンテナの移動を規制しつつ、輸送コンテナの底部をこすって汚れを掻き落とすことにより、落ちにくい汚れを落とすことができるという効果が得られる。また、汚れ掻き落とし手段を輸送コンテナの搬送路の下方に配置してあれば、底部の洗浄に際して輸送コンテナを倒したりしなくて済む。
【0027】また、掻き落とされた汚れを収集する手段を設けてあれば、汚れが輸送コンテナに再付着することがなく、洗浄の効果が上がる。さらに、輸送コンテナの汚れを噴射空気によって除去する手段を併用すれば、底部以外の側面等を同時に洗浄することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例を示す斜視図
【図2】 本発明の第2の実施例を示す平面図
【図3】 同上第2の実施例の側面図
【図4】 本発明の第3の実施例を示す斜視図
【図5】 本発明の第4の実施例を示す平面図
【図6】 同上第4の実施例の側面図
【図7】 図6のD矢視図
【図8】 全体のシステム例を示す図
【符号の説明】
1 輸送コンテナ
2 ローラコンベア(搬送路)
3 回転ブラシ
4 挟み込みベルト
5 ゴミ受け
6 空気吸引管
11 デッキブラシ
18 押さえローラ
21 デッキブラシ
22 バイブレータ
31 回転ブラシ
45 押さえ板
51,53,55 空気吸引部
52,54 空気噴射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】輸送コンテナの搬送路の途中に設けられて輸送コンテナの底部の汚れを掻き落とす手段と、この汚れ掻き落とし手段の作用による輸送コンテナの移動を規制する手段とを有してなる輸送コンテナの洗浄機。
【請求項2】汚れ掻き落とし手段が輸送コンテナの搬送路の下方に設けられている請求項1記載の輸送コンテナの洗浄機。
【請求項3】汚れ掻き落とし手段により掻き落とされた汚れを収集する手段を有する請求項1記載の輸送コンテナの洗浄機。
【請求項4】輸送コンテナの汚れを噴射空気によって除去する手段を有する請求項1記載の輸送コンテナの洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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