説明

輸送システム

大量輸送システムは、車両が走行するサポートを与えている複数の台座上のリングを含む。台座は、地上を離れて間隔があるが、レール又は地面上若しくは上方の連結構造は必要ではない。埋設管は、台座を互いに連結する電気通信ケーブルを通す。リングは、より低速で車両を走行し、案内及び安定化するための多数のローラを含む。F、すなわちより高速のフライホイールは、台座に取り付けられている。フライホイールは、電気モータによって好ましく駆動されており、リングから離れて車両の摩擦、すなわちクラッチ板に係合する。摩擦板、すなわちリニアクラッチは、車両のリングから離れて取り付けられていて、フライホイールの係合及び離脱のために下げられる。フライホイールはまた、車両の走行を円滑にするためにショックアブソーバが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年9月29日出願の米国仮特許出願番号第60/506896号の利益を主張している。
【背景技術】
【0002】
発明の分野
本発明は、一般に、輸送システムの分野に関し、より詳しくは乗客、及び貨物等を運ぶ細長い車両を案内し推進するために、台座を取り付けた複数のリングを含む大量輸送システムに関する。
【0003】
発明の背景
人々及び貨物の輸送は、我々の現代生活に段々重要性を増してきた。アメリカ合衆国では、都市間の走行形式は、一般には飛行機、バス、個人車による、また限られた範囲では従来のレールによる少数の選択肢を提供している。世界の他の国々、大抵顕著には日本及びフランスが主な目的地間に高速鉄道システムを発達させてきたが、これらのシステムは、レール及び機関車に技術的な改良を有する従来のレールの基幹施設に大部分を頼っている。
【0004】
このような従来のレールシステムの重要な欠点は、このようなシステムの構築、維持及び運営の法外な費用にある。高速の従来のレールシステムを構築する初費用は、鉄道システムの規模、克服されねばならない地理的な障害、及びその他の多くの要因によっては、事実上何十億米ドルに達し得る。現実には、都市間の大量輸送に対する真の必要性があり、初費用がこのようなシステムの導入に対して最も重要な障壁になっている。
【0005】
従来のレールシステムのもう一つの欠点は、かかるシステムの環境的影響の問題である。一般に、鉄道システムは、クリアーされなければならないところのレール及び種々のサポートシステムが設置される経路の利権を含んでいる。また、機関車はほとんどの場合デイ−ゼルを動力としており、空気汚染の原因となっている。電気システムのためには、消費される電力量を発電システムによって与えられなければならないが、発生システムは世界中至るところで、主に炭化水素が燃料にされていることにより、かさねて世界環境の汚染負荷の原因となる。かかるシステムの環境の影響はまた、レール及び経路の利権の人為的障害をも含んでいる。
【0006】
もう一つの重要な最近の革新は、リニアモーターカー(MagLev)システムであった。このようなシステムが走行速度を改善してきた一方、かかるシステムがまた、地面であろうと宙につるされていようと、連続したレールに頼っている。
【0007】
したがって、レールが不要な輸送システムの要求を残している。このようなシステムは、構築及び運営するのに比較的安価であるべきで、従来のレールシステムによくみられる人為的障害を作り出してはならない。
【0008】
【特許文献1】米国特許第3848535号公報
【特許文献2】米国特許第5299507号公報
【特許文献3】米国特許第3006288号公報
【特許文献4】米国特許第5433155号公報
【特許文献5】米国特許第6374746号公報
【特許文献6】米国特許第5275111号公報
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、車両が走行するリングを取り付けられた複数の台座を与えることによって、技術におけるこれら及びその他のニーズを解決している。台座は、地上を離れて間隔があるが、レール又は地面上若しくは上方の連結構造は必要ではない。電力は、台座を互いに連結する電気通信ケーブルを通す埋設管である源から利用される。
【0010】
リングは、車両を案内し安定させるために複数のローラを含んでいる。リングのローラはレールに係合し、またより低速レベルで車両を移動するために、推進力を与える。ローラは低速輸送システムのためには電気モータによって駆動される。また、各々の台座に取付けられるフライホイールは、電気モータによって好ましく駆動されており、車両の摩擦板に係合する。摩擦板すなわちリニアクラッチは、台座に対するフライホイールの係合及び離脱のために下げられる。フライホイールはまた、車両の走行を円滑するするために、ショックアブソーバの上に取り付けられている。
【0011】
低速輸送システムのためには、摩擦板が摩擦クラッチとしての役目を果たし、車両のブレーキの目的に使われている。高速輸送システムのためには、フライホイールは推進力を摩擦板に伝達してシステムのサポートを通じて車両を推進する一方で、ローラ及びレールの作用が操舵又は案内のために主として利用される。
【0012】
リングは、車両の直径を取り囲むのに十分の大きさ、好ましい実施例の直径では約20フィートである。台座は、好ましくは高さ約16フィート又はそれ以上であり、本発明の車両の走行路の下方の道路を走行するあらゆる自動車、その他の車輪の付いた車両のための適切な間隔を提供している。台座は、頑丈な土台構造に取付けられており、例えばサポートシステムの強さに十分な余裕を与えるために、地面より下方に30フィート延びている。
【0013】
本発明はまた、省エネルギー機能を含んでおり、リング上のローラに係合するための車両に沿うサポートレールを与えている。車両レールは、好ましくは液体窒素又は他の適した低温流体を運ぶ中空の長方形の導管である。窒素は、車両に乗って運ばれ、車両のレールに排出されるか又は循環される。窒素は、急速にレールを冷やす結果、レール上の大気中の水分を凝縮することによって、レール上に氷層を作る。氷層は、レール及びローラが互いに結びつく能力を制限することによって、車両が走行中に受ける抗力を実質的に減じる。
【0014】
本発明のこれら及びその他の目的並びに利益は、添付する図面とともに以下の詳細な説明の概説から、当業者には明白であろう。
【0015】
好ましい実施例の詳細な説明
図1は、本発明にしたがって構成される輸送システム10の全体の概略図を描いている。システム10は、細長い車、すなわち車両12及び複数のサポート14を有する。車、すなわち車両12は、適切に配置された窓12a及びドア12bの適した数、また運転者用の操縦室12cを有している。車両が、完全に自動化されるべきである場合、操縦室12cは、安全又は緊急制御の目的のために監視領域として役立つであろう。車体12は、一体構造をここでは想定しているか、又は所望により連接体であってもよい。
【0016】
サポート14は、乗客及び貨物の輸送のために、高い高さで望ましい進路に従って、走行経路を規定するように配置されている。想定した実施例において、車両12は、約500フィートの長さであり、サポートは約200フィート離れているため、どの時点においても車両12と接触して一般には少なくとも2つ、また状況に応じて3つかそれ以上のサポート14がある。サポート14の間隔及び車両12の長さは、相互に関連があり、走行速度、負荷、容量及びその他の要件に基づいて調整されている。移動する車両のサポートが増加されるようにするという点では、サポート14間の間隔が調整できるため、車両12はサポート14の少なくとも3組によって常に、また4つ以上のサポート14によって断続的に支えられる。サポート14の間隔は車両12の長さの50%を越えてはならないことをここでは想定しており、実際にはそれよりも少ないであろう。
【0017】
サポート14は、好ましくはスチールのような硬くて強い金属から形成されるリング16を含んでいる。サポート14は、図面中のある図には示されていないため、リング16のようなその他の構造がより明確に見られる。本発明によって想定されるように、リングという用語には、ほぼ円形又は楕円形の形状のものに加えて、多様な縦断面形状を含めるよう意図されている。本発明に従うリングは、高い、又は頭上の位置に取り付けられたサポート本体であり、車両12の本体40が通る1又はそれ以上の入口又は通路を有する。以下に説明するように、車両12は一連のリング16を通過するに伴い、推進力をリング16の構造から受ける。
【0018】
リング16は、それに形成された1又はそれ以上の入口又は通路17を有する。入口又は通路17は円形(図4及び4a)、ほぼ楕円形、ほぼ長方形(図4B)、又は他の縦断面形状である。ある例では、リング16頂部を有する必要はなく、車両12を保持し動力を供給して導くために、底部及び上方へ伸びるアーム及びローラ18を有してほぼU字形であり得る。アームは、上下方向に方向付けられるか、内側又は外側に傾けられるであろう。入口17の形状は、システム10に使われる車両12の本体40のほぼ外形形状に合わせて定められている。説明するように、リング16は、ピーク時の走行時間の間の車両12の並行した同じ方向の走行、又は平常時の走行時間の間の走行経路に沿う2方向の走行のために、又は使用中でないとき(図11)の車両12の保管のために、水平に並んだ入口17を有している。さらに、リング16は、並行した同じ方向の走行や2方向の走行のため、又は使用中でないときの車両12の保管のために、上下方向の多重(図10)で配置できる。
【0019】
車両12は、車両12の形状及び機能に適合するリング16及び入口17の形によって、走行速度、負荷要件、走行経路、及びその他の要素を基にして様々な形状があり得る。都市の用途においては、過密地域での二重走行、すなわち走行(図4c)がありがちであり、したがって車両12は高速都市間バージョンよりも幅が狭くなる。狭い本体バージョンよって、車両12を大きな幅を有する高速バージョンよりも、小さい半径のカーブをうまく通り抜けることができる。都市及びその他の交通量の高い用途のために、リング16は、二重の入口17、又はそれ以上であり得、また入口17の形状はより低速度でより多くの乗客又は貨物容量によって、より長方形の形状に代えられる。複数のローラ18は、入口17のリング16の内面に取り付けられる。ローラ18は、リング16を通る車両12を支えて案内する役目を果たす。低い走行速度で走行する車両12のために、ローラ18の少なくともいくつかが、モータによって駆動され、リング16を通じてその走行路に従って車両12を動かす。所望により、ローラ18のすべてが、この目的のための駆動されるモータであり得る。車両12には、その周部まわりの適当な箇所に、ローラ18に係合するための同数のレール20が取り付けられている。
【0020】
ローラ18と接触して適当な動力源によって駆動されるレール20は、したがって推進力を受けて、輸送システム10を通じてより低速度の範囲で車両12を動かす。レール20は、車両12の本体に沿って長手方向に連続しているか、又は所望によりそれらは連接されるか又は分節で与えられてもよい。
【0021】
車両12の周辺まわりに1つ以上の適所でまた重量支持レール20とは別個に、1つ又はそれ以上の長手方向に伸びる推進力伝達板21が取り付けられている。板21は摩擦クラッチ、すなわちリニアクラッチとして機能する。所望により、負荷及び走行速度要件に基づいて、車両12に2つ以上の推進力伝達板があってもよいことを理解すべきであるけれども、少なくとも1つのこのような板21が設けられる。
【0022】
摩擦クラッチ、すなわちクラッチ21は、車両12の長さに沿って長手方向に連結又は分節化される。ローラ18及びレール20は、図5a、5b、6a、及び6bにかなり詳細に示されている。モータによって駆動されないローラ18及びレール20は、受け身の部材であり、車両12を動かすための推進力を発生しない。正しくは、述べたように、より低速運転のためには、1又はそれ以上のレール20が推進力の駆動メカニズム、すなわちサポート14に取り付けられるいくつかの又は全てのローラ18に対するモータから受ける。
【0023】
したがって、本発明は、車両12の形状を種々の収容の範囲及び走行路線に適合する設計になることを可能としている。本発明による鉄道のような頭上のシステムは単一(図4、4a及び4b)、二重(図4c)及び三重(図11)の走行路の領域を有している。リング16の主な機能は、ローラ18のサポート構造として作用することである。ローラ18は、車両12のレール20上の位置揃えに適合させるように設計されている。この場合、述べたようにリング16の最終の形状は、車両12の形状の関数である。
【0024】
リング16の第2の機能は、安全性の機能である。各々のリング16は、車両12の本体40をその長さの周部に沿って完全に取り囲むので、車両12はその走行方向に、一連のリング16を通って移動するように案内される。脱線があると、危険性がある悲惨な結果が起こる可能性のある鉄道とは違って、本発明の管状の高架ガイド設計は、ローラ故障という起こりそうもない出来事において、車両12のクラッチ板21及びレール20がその時、リング16の強化された本体と接触してから車両12が滑らかに滑って止まることを意味するものである。リング16が、車両12を360度で囲んでいる一方で、車両12が少なくとも3つのリング16によって支えられていることは、車両12が、動力ロスやローラ故障の場合には、それ自体の勢いによって、走行路に従って次のリングに進むことができることを意味している。開放頂部ではなく周囲を取り囲むリング16のもう一つの利点は、この取り囲み構造がリング16により大きな構造的強度を与えていることである。
【0025】
図4aに戻って、本例のリング16及び関連する部品が例示されている。ローラ18はリング16の内側に取り付けられており、上部に取り付けられた少なくとも1個のローラ18及び各側に取り付けられた少なくとも1個のローラ18を有する。車両12のより大きな上下方向のサポートを与えるために、またより大きな横方向の安定性を与えるために、好ましくは2個のかかるローラ18下部にある。車両12より下において、リング16に設けられるローラ18の数は、負荷及び重量の分配のため所望により増加できる。
【0026】
リング16は、好ましくは補強コンクリートであるサポート部材22に取り付けられる。サポート部材22は、勿論スチール又は所望によりその他の適した構造材料で作ることができる。サポート部材22は、台座24の上部に取り付けられており、例えば高さ約16フィート、幅3フィート、及び厚さ3フィートである。台座24は、コンクリート、スチール、又はその他の適した構造材料からできている。当業者は、車両12の走行路をほぼ水平にして、車両12の移動ができるだけ均一で円滑となるようにするため、システム10が設置される土地の地形によって台座の高さを変えうることを認めるであろう。台座24は、土台26に取り付けられてこれと直続して形成されており、土台26は、好ましくは地中へ約30フィート延びていて、幅10フィート、及び厚さ3フィートである。図示した土台26は、例示としてのみ意図されたものであり、底土の地下構造、気候及び天候の要因、そしてその他のかかる考慮すべき事柄に応じて変えられるであろう。
【0027】
動力を発生して、固定レールに伝達する機関車(約12000馬力を有するフランスTGVシステム)の形のそれらに、動力発生能力を備えた従来のレールとは違って、本発明は、移動力を走行車両12に伝えるリング16に動力源(モータ)を有する。
【0028】
この利点は、車両12を動かすための動力源を、局地的必要性に適合させられることである。言い換えれば、車両12の加速が要求されるが、与えられる動力が少なく、車両12の勢いを維持する動力が必要な、走行経路に沿う領域に位置するリングに追加の動力が供給される。
【0029】
走行車両12の直接の駆動は、述べたように、例えば都市地域におけるように、より低速でローラ18用の固定電気モータによって与えられる。これは、システムにモータのサイズの増大、及び加速又は登坂地域のための非常に多くのモータを有することを可能にしている。さらに、本発明によって、ひとたび設計速度が車両12によって所定の経路の区域について達成されたならば、車両12が走行経路に沿う次のリング16に入ると、これらのローラ18が、その経路区域に対する車両12の設計速度より僅かに高い速度までそれらのモータにより引き上げられたとき、車両は次のリング16のローラ18に出くわす。モータは、速度及びタイミングについて前もってセットされており、車両運転者は安全な立場の任務(safty capacity role)を主として勤める。頻繁に止まったり走り出したりすることが予期される都市システムでは、駅に出入りする走行経路を、ある場合には僅かに高くすることができる。これは二つの目的に役立つ。第一には、車両12が駅を出発するときの加速に役立つこと、すなわちそれは、高い位置のリング16から移動し始めることである。第二に、車両12が、駅又は僅かに高いリング16の終わりに伴い近づくと、次の駅でブレーキをかける手助けをすること、すなわち車両12は本質的に上昇していて、それ故その駅に止まるにつれて減速することである。この技術は、車両12の運動エネルギーを捕えて位置エネルギーを車両12に貯え、それをその都度必要に応じて利用できるようにしている。
【0030】
本発明はまた、ブレーキをかけてシステムに戻り駅に入って来るに伴い、ローラ18が走行車両12の運動エネルギーを伝達可能としている。運動エネルギーは、それが受け取られると別の形に変換され、次いで出発時に車両を動かすため、モータを駆動して動力を再生して戻すのに利用される。これは、コスト有効性の相場に基いて、使われても使われなくとも良い任意の特性である。リニア誘導モータのような動力源がまた、車両12を駆動し、所望によりブレーキを与えるために使われることが想定されてもいる。
【0031】
より高速システム、通常時速55マイル以上のための動力提供用に、その他の源が、推進力を車両12に与えることをここでは想定されている。次に図1に戻って、台座24は、車両12の走行路に従って相隔てられている。各々の台座24上には、サポート台28が取り付けられて、図9a及び9bに関して示されて以下に説明されるように、各々がフライホイールアッセンブリ30を保持している。
【0032】
フライホイールアッセンブリは、推進力を車両12に与えるために、好ましくはより高速のために使われる。各々のフライホイールアッセンブリ30は、電気モータ80よって駆動されるフライホイール72(図9a及び9b)を含んでおり、電気モータは一般に地下の電力供給バス32、(図1)から電力供給を受ける。導体34は、電力をモータ80に供給するためにバス32から出ている。バス32は、重複した電力幹線を含んでいて、安全性及び信頼性の目的のために、重複した源から供給される。したがって、作動中に、車両12がシステム10の一連のサポート14及びリング16を通って、その走行路に沿って移動すると、車両12は最少で2つ、及び好ましくは少なくとも3つのフライホイール72によって駆動される。
【0033】
車両12の下部には、図8a及び8bの関して以下に示され説明されている1又はそれ以上の伝達板、すなわちリニア摩擦クラッチ板がある。車両12がより高速に従って移動すると、フライホイール72は、リニアクラッチ板21と摩擦係合して、車両をフライホイール72の運動方向に動かす。リニアクラッチ板21は、本発明に従って多くの目的に使われるリニア摩擦クラッチを、フライホイール72と共に形成している。クラッチ板21及びフライホイール72は、車両12の所望の動きに対応する方向に回転するフライホイール72によって、システム10を通って車両12を動かすモーメントを与えるように使われている。フライホイール72の回転方向を逆向きにして、板21との接触によって車両12に対してブレーキを加えることができる。板21はまた、停止に対応する位置、すなわちブレーキのための、リング16の構造のサポートパッドに対応する位置に、或いは制止した又は保管の位置で車両12を支持するために配置されてもよい。車両12は、その運動においては二方向性であり、フライホイール72の回転方向に支配されている。車両12には能力的な駆動部品はない、すなわちその走行の方向は、これらの外部部品に支配されている。車両の減速を助けるために、空気シリンダー19によって動かされるカウリング15が、図3に示すように設けられている。
【0034】
摩擦クラッチ板、すなわち板21は、高速運転のためには車両12の本体40の真下に、一般に配置されている。所望によりクラッチ板21は、相応して位置したフライホイール72によって係合されるように、車両12の側部又は上部に配置されてもよい。図9a及び9bに示されるように、フライホイールアッセンブリ30が、一組の反対方向に駆動されるフライホイール72を有する場合、図7に示されたものと同様の構成の2つのクラッチ板21が、フライホイール72の場所及び間隔に対応する配置で、車両12に取り付けられる。クラッチ板、すなわち板21は、フライホイールアッセンブリ30のフライホイール72との摩擦係合を与える。フライホイール72をクラッチ板21と係合するために、エアバッグ又はその他の適した往復運動機構74が膨張して、それがフライホイール72に接触するまで、クラッチ板21を下向きに動かす。スプリング76又はその他のエネルギー及び衝撃吸収機構が設けられて、車両12に対してフライホイールアッセンブリ30から伝達される可能性がある衝撃を減じている。クラッチ板21はまた、逆方向に回転するフライホイール72又はレール20と接触させられていることによって、運動遅延部及び緊急ブレーキの形態として車両12の適切な低速度で使われてもよい。
【0035】
さらにフライホイールアッセンブリ30の詳細が、図9a及び9bに示される。フライホイール72は、シャフト86を通じて電気モータ80によって駆動される。電気モータ80は、導体34(図1)への適当な連結部を介して電力によって駆動される。電気モータ80は、台座24に取り付けられた台81のような適当な位置に取り付けられる。フライホイール72はまた、一組のショックアブソーバ84に支えられている。ピ二オン88を駆動するシャフト86は、所望により示されるように、回転カップリング82を備えている。モータ80によって駆動されるピ二オン88が、次いでピ二オンギア90に係合することにより、フライホイール72は、動きの矢印によって示されるように、両方向の回転運動を与える。したがって、一方向に車両を駆動するために、望ましい駆動レール70と関連するエアバッグ74が膨張し、また反対方向に車両を駆動するために、その他の駆動レール70のエアバッグ74が膨張しそれによって逆向きに回転するフライホイール72に係合する。
【0036】
これらに示されるような高速システムについては、動力供給は、車両12が加速につれて大きくなる。ひとたび車両12にとって望ましい速度に達すると、消費動力は速度の関数として安定する(望ましい速度の維持に加えて空気抵抗及び転がり摩擦の克服)。本発明の高速バージョンのためのモータの大きさ及び価格を最小にするために、エネルギーを貯めてフライホイール72が、リング16に組み入れられる。これにより、より小さいモータ(ローラモータとは別個)を、次の車両12の到着前に、フライホイール72に望ましい速度をもたらすように、車両12の通過する間の時間使うことができる。これは、十分な動力が生じることを可能にし、高速機関車の高コストを避けるので、コスト削減の設計特徴である。
【0037】
しかしながら、車両12のために代わりの駆動機構が使われてもよいことを理解すべきである。例えば、それらは磁気推進、又はジェット推進或いはプロペラ駆動の動力発電機のような、推進力発生のための搭載式発電機を含んでいる。
【0038】
図2a及び2bは、車両12の追加の特徴及び詳細を描いている。車両は、中心となる円筒型の胴体、すなわち本体40を含んでおり、その長さは、少なくとも3つの連続して位置した又は配置したリング16の間の距離でなければならない。車両12はまた、各端に先細になった機室42を含んでおり、所望により運転室として機能できる。車両内に取り付けられるものは、デイーゼルエンジン又はその他の駆動される発電機44であって、電力を車両のサービス、ホテル及び乗客の便宜のための負荷、例えば照明具、暖房装置及び空調設備、調理サービス、換気装置等に供給する。デイーゼル発電機44は、例えば従来通の搭載された燃料タンク46からの燃料のような適当な源からエネルギーを受ける。強度や構造的完全性を高めるために、車両12の本体40は、例えば引張ケーブルを介して、圧縮状態にあるように設計できる。
【0039】
車両12はまた、1又はそれ以上の窒素タンク48を格納している。タンク48は、レール20の内側に窒素を供給して、ここに説明されるように、抗力及び回転摩擦を減ずるためにレールに薄氷層を作る。本発明のこの特徴は、図5a、5b、6a,及び6bにより詳細に示されている。図5aは上面図を示し、図5bは側面図を示し、またこれらの図は一緒にレール20の詳細を示している。各レール20は少なくとも1つのジョイント50を含み、これはレール及び車両12の融通性のために設けられており、熱膨張及び収縮を考慮している。ジョイント50は曲線状の端を有する重ね合わせ域52を含み、ジョイントの前後の曲げに適合させている。
【0040】
レール20は、好ましくは湾曲した接触面54を形成して、図4に示されるように5本のレール20内における車両12の安定した保持を与えている。面54は、ローラ18の相補的な湾曲面56に接触し、また冷却凝縮の表面層、すなわち窒素管58によって供給される窒素システムによって、氷がそれらの間に形成される。各レール20に沿う断熱スリーブ60が熱エネルギーを保存する。図6bに示されるように、車両が方向矢印によって示される方向に走行すると、適当に薄い凝縮物の層が、レール20とローラ18との間の主要な接触点として生じ、それらの間の低い摩擦リフトを作り抗力を減少させる。この特徴は、システム10の運転に要求されるエネルギーをほぼ減じている。
【0041】
図7、8a、及び8bは、システム10の車台についてさらに詳細を示している。貯蔵タンク48は、冷却された、すなわち液体の窒素又はいくつかのその他の適した低温流体を管58への送出配管62を通じて供給し、管58はレール20の長さの範囲内でこれに沿って配置されている。送出配管62内の窒素は、連続ループを経て再循環され、又は送出配管62は、低温流体が排気通気弁、すなわち排気口64を経て放出されるように構成される。リニアクラッチ板21は、一組のエアバッグ又はその他のショックアブソーバ66により車両40に、融通性をもって取り付けられていて、衝撃を吸収し車両のスムーズな乗り心地を提供している。クラッチ板21のより極端な動きのために、フライホイール72に対して、一組のゴムストッパー、又は本体68が衝撃を吸収するバンパーとして作用する。
【0042】
本発明に従うシステム10は、図10に示されるように、その経路に沿う適した箇所に垂直リフトシステムSを有する。垂直リフトシステムSは、昇降橋又は水門と同様な工学原理で作動し、また他の車両が、上下方向に配置したラック90への走行路から運転休止中の位置まで移動されている間に、リフトシステムによってもう一つの車両の通行を許可するであろう。ラック90内の車両12は、例えばもう一つの車両の通行、交通量のより多い時間の後で用いるための車両の保管、修復、洗車、整備、点検等のような種々の理由でそこに保持される。垂直リフトシステムSはまた、出発点においては搭乗/搭載駅として機能するであろう。乗客がラック上の車両12に入ると、車両は次いで出発時に走行路に移動される。
【0043】
本発明に従うシステム10はまた、その経路に沿う適した位置に、横方向又は水平方向の輸送/保管システムL(図11)を備え得る。横方向システムLは、適数のリング16を有し、これらは、台座支持されたより大きなリングハウジング94内を、走行路に直角は方向で横方向に移動できる。垂直システムSと同様に横方向システムLは、垂直システムSに関連して上記に述べた保管、保持、及びその他の理由のために、車両を主な走行路から離されるのを可能にしている。垂直及び水平な両移動を組み合わせたシステムがまた使われることが理解されるべきである。
【0044】
さらに、本発明のシステム10は、回転ステーション、すなわちテーブルR(図12)を備えており、これは鉄道の円形機関車庫のような方式で作動する。台座を取り付けたサポート100及び102は、中央に位置した、回転可能なサポート104のまわりの、円弧状の経路101及び103のそれぞれ内を移動できる。サポート100、102及び104は、その他の点では図4、4a及び4bに示される型式のリング16を有するサポート14と同様の構造及び機能である。サポート100、102及び104は、図12に示されるように第1の方向にテーブルRに入れる車両12を受けるべく、位置揃えされる位置に移動される。車両12が、サポート100、102及び104よって支持される位置に移動した後、サポート100及び102は、車両12が新しい走行方向に沿って、116又は118に示されるように別の組のリングに位置揃えされるまで、回転できるサポート104まわりにそれらの円弧状経路に従って移動される。
【0045】
エネルギーは、あらゆるレールシステムにおいて、二つの主な要因によって損失される。第1には、レールとホイールの間の相互作用によって引き起こされる転がり摩擦である一方、他方は、空気抵抗である。転がり摩擦は、事実上一定しており、列車の速度又は重量の変化ではほとんど変動しない。転がり摩擦とは違って、空気抵抗は、速度によって非常に変動し速度の2乗で増加する。したがって、2倍の速度は、4倍の空気抵抗をもたらす。一般に、空気抵抗エネルギー損失は、時速55マイルから時速70マイルの速度範囲において、転がり摩擦の損失を上回り始める。記述されたように、車両12の形状によっては、意図された設計速度に基づいて変えられる。
【0046】
列車については、転がり摩擦を克服することで消費されるエネルギーは、速度が増加してもほとんど増加を示さない。例えば、時速150マイルより大きな高速に対して、空気力学に関連する問題は、エネルギー損失の観点では非常に大きな関心事である。この理由として、図13、14及び15に示されるようにレール20は、車体40の端を通り過ぎて前方へ伸びるように構成されて、空気抵抗の減少及び操舵の目的、また重力の偏向に対抗するために、車両40に装着された空気抵抗減少構成材121及び翼形部材122で、後方に先細っている先頭面を形成している。
【0047】
図13のレール120が、本体12の先頭から末尾まで伸びている理由は、片持ちになる重量を減らし、従って、偏位量を減じることである。延出したレール120は、次の組のローラ18と接触し、本体12の重量が次の組のローラ18に移動し始める。反対のことが、ローラ18を離れるときに車両本体12の後部で起こる。ローラ18の瞬時の重量は、車両がローラ18を離れると、徐々に減少するのでスナップ作用が妨げられる。レール120はまた、偏向の影響を残すものを和らげるために、先細となっていて、スムーズな移動を与える。翼122は、移動可能であり、車両12の長手軸に対応する軸まわりに、図15に示されるように旋回できる。翼122はしたがって、車両12の先細った機室42の先頭からレール20と一緒に点124まで伸びている構造に回転自在に取り付けられている。翼122は、多少回転運動ができ、高速時に、翼形表面に垂直な揚力を生じる。より高速度においてこの少量の揚力は、レール120をもたらされた揚力の方向に動かす傾向がある。これはまた、偏向の影響を弱めてそして車両12へ緩やかな転向を与える助けに利用される。
【0048】
また、局所の露点以下で、次いで水の氷点以下でのレールの冷却は、大気中の水分のレール上での凝縮を生じさせ、ホイールのスチールとスチールレールとの間の分子結合の形成に対する障害となる。冷却コストは、液体窒素を用いるのは比較的に費用がかからないので(その他の方法が利用されるけれども)、この方法が提案される。
【0049】
高速運転については、推進力がフライホイールアッセンブリ30からのエネルギーの摩擦転移によって与えられる場合、転がり摩擦によって損失したエネルギーの減少は、消費エネルギーを大いに低減することができる。水蒸気がレールに凝縮すると、一般に凍り、それからレールがローラに近づき圧力が上がると、液体に戻る。これは、2つの面の間に高圧力状態で、水の境界層、したがってハイドロプレーニング効果を生じる。これはまた、粘性ハイドロプレーニングの形成としても考えられる。これは、レールとともに移動し、蒸気中に表面張力を増加する化学添加物を含む水蒸気の細かいミストを添加することによって高められる。概して目的は、レール及びローラの分子及び/又は金属結合を形成する能力を減少させ、したがってその後にこれらの結合を断つのに必要とされるエネルギーを減少することである。
【0050】
レールの冷却技術は、たとえどのようなことがあっても、より高速度における運転のために最良の適用を与えるであろう。エネルギー節約に加えて、この効果はまた、レール/ローラの接触面から発するより低いレベルの騒音を生じるにちがいない。また、それは車両を旋回させることが必要なときに、潤滑効果を有するであろう。
【0051】
本発明の原理、好ましい実施例、及び作動形態が先行の明細書で説明された。本発明は、これらが限定的なものというよりもむしろ例示としてみなされるものであるので、開示された特定の形態に限定されるものとして解釈されるものではない。さらに、変形及び変更が、本発明の趣旨から逸脱することなく当業者によってなされるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の輸送システムについての全体の斜視図である。
【図2a】本発明の車両の側面図であり、図2bは、一組のリングに配置された車両の側面図である。
【図3】車両の一端の側面図であり、車両を停止するのを手助けする空気抵抗ブレーキシステムを例示する。
【図4a】本発明のリングの正面図であり、台座、土台、及び車両案内ローラを含む。
【図4b】本発明に従うその他の代替リングの斜視図である。
【図4c】本発明に従うその他の代替リングの斜視図である。
【図5a】側部レールジョイントのそれぞれ平面及び側面図である。
【図5b】側部レールジョイントのそれぞれ平面及び側面図である。
【図6a】車両案内ローラのそれぞれ側面及び端面図である。
【図6b】車両案内ローラのそれぞれ側面及び端面図である。
【図7】本発明の車両のある特徴を例示する側面詳細図である。
【図8a】本発明に従う、フライホイールのクラッチ係合及び離脱を例示する横側面図である。
【図8b】本発明に従う、フライホイールのクラッチ係合及び離脱を例示する横側面図である。
【図9a】本発明のフライホイールアッセンブリの正面及び側面図である。
【図9b】本発明のフライホイールアッセンブリの正面及び側面図である。
【図10】本発明に従って、上下多重に配置されたリングの斜視図である。
【図11】本発明に従って水平に並列配置されたリングの斜視図である。
【図12】別の走行経路に、本発明による車両を移動させるための配置の平面図である。
【図13】本発明に従う車両の変形の平面図である。
【図14】図13の変形された車両の側面図である。
【図15】図13及び14の車両の一部の正面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い車両と
車両がその上を走行する複数のサポートと
車両に選択的に係合するための各サポート上の駆動手段と
を有する輸送システム。
【請求項2】
車両と
車両のための走行経路上に配置された複数のサポートとを有し、
サポートは走行経路に沿って車両の走行のために、高い位置に取り付けられた少なくとも一つのリングを具備し、
リングは走行経路に沿って車両を動かすために、車両に伝達可能な推進力の源を具備する輸送システム。
【請求項3】
リングは、車両が通る通路に形成した少なくとも1つの入口を有する、請求項2に記載の輸送システム。
【請求項4】
推進力の源が車両に接触する入口に隣接して取り付けられ、走行経路に従って車両を動かす、請求項3に記載の輸送システム。
【請求項5】
推進力の源は、車両に接触する入口に隣接したリングに取り付けられて、走行経路に従って車両を動かす、請求項3に記載の輸送システム。
【請求項6】
入口は、縦断面において車両の本体の外面形状と合致する、請求項3に記載の輸送システム。
【請求項7】
リングは、車両が通る通路を形成した複数の入口を有する、請求項2に記載の輸送システム。
【請求項8】
入口は、リングに水平に配置されている、請求項7に記載の輸送システム。
【請求項9】
入口は、リングに上下方向に配置されている、請求項7に記載の輸送システム。
【請求項10】
サポートは、走行経路上の高い位置で台座に取り付けられている、請求項2に記載の輸送システム。
【請求項11】
台座の真下に取り付けられるサポート台をさらに含む請求項10に記載の輸送システム。
【請求項12】
車両を走行路から上下方向に動かすための上下リフトをさらに含む請求項2に記載の輸送システム。
【請求項13】
車両を走行路から離れて横方向に動かすための水平移動部をさらに含む請求項2に記載の輸送システム。
【請求項14】
車両の走行路を変更するための回転機構をさらに含む請求項2に記載の輸送システム。
【請求項15】
各々入口を有する少なくとも3つのサポートと
前記3つのサポートの入口を通って同時に伸びる細長い車両と
前記入口を通る前記車両を推進する動力駆動部と
を有する通行システム。
【請求項16】
動力駆動部は、レールに係合するモータの付いたローラを含む、請求項15に記載の通行システム。
【請求項17】
レールに隣接して流れてレール上に冷却凝縮物を生じる低温流体をさらに含む請求項16に記載の通行システム。
【請求項18】
レール上に氷層を形成するためにレールを冷却するための手段をさらに含む請求項16に記載の通行システム。
【請求項19】
レールは、車両の先頭から末尾まで伸びている、請求項16に記載の通行システム。
【請求項20】
車両上のリニアクラッチをさらに含む請求項15に記載の通行システム。
【請求項21】
リニアクラッチは、車両に取り付けられたフライホイールを含む、請求項20に記載の通行システム。
【請求項22】
各サポートの並列した入口をさらに含む請求項15に記載の通行システム。
【請求項23】
動力駆動部は、推進力を発生するための磁気推進搭載動力発生部を含む、請求項15に記載の通行システム。
【請求項24】
レールに転動係合するホイールと
レールに隣接して流れる低温流体と
レールと転動ホイールとの間に形成される低温凝縮物と
を有する摩擦を減ずるための装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2007−522982(P2007−522982A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528293(P2006−528293)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/031674
【国際公開番号】WO2005/032903
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(506103784)チューブラー レイル,インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】TUBULAR RAIL, INC.
【Fターム(参考)】