説明

輻射熱放射パネル、及び暖房器具

【課題】輻射熱放射パネルを平面的に増大させることなく、一定のスペース内で輻射熱の照射量を増加させることのできる輻射熱放射パネルを提供する。
【解決手段】一面側1aに発熱体を重ね合わせて設置し、熱体によって一面側を加熱することで他面側1bより輻射熱を発する放射面を備えた基体1の他面側の少なくとも一部に、複数の突出部2と複数の窪み部3から構成された非平坦領域αを備える。そうすると、平面的に露呈するだけではなく立体的にも露呈する非平坦領域が形成され、放射面の表面積が、平面的に露呈する領域だけと比べて増大したものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輻射熱を発する輻射熱放射パネル、及びこの輻射熱放射パネルを用いた暖房器具に係り、詳しくは、平面的に一定のスペース内で輻射熱の照射量を増加させて暖房効率の上昇を可能とした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
暖房器具は、ファンヒータや電気ヒータのように部屋の空気を暖めるタイプと、ホットカーペットやコタツ、あんか、ひざ掛け、カイロのように身体を暖めるタイプとの二つに大きく分けることができる。また、前者のタイプの暖房器具のうち、ファンヒータは、部屋の空気を温風で直接的に暖めることを特徴とし、一方、電気ヒータは、身体を輻射熱で暖めるほか、部屋の壁や家具を輻射熱で暖めた結果、間接的にその熱で部屋の空気を暖めることを特徴とする。
【0003】
このような電気ヒータにおいて、特にパネルを用いて輻射熱を発するようにしたものは、以下の点で望ましいとされている。
1)立ち上がりが早く暖房効率が高い。
2)燃焼系の暖房器具のように部屋の空気を汚すことがない。
3)火炎によるものでないので火事の心配がない。
4)温風を吹き出すものではないので静かであり、かつ、埃が舞わない。
5) 構造が単純であり安価である。
6)薄くて軽く、容易に移動することができる。
【0004】
また、パネルを用いた電気ヒータでは、パネルが一定の温度と一定の放射率をもった物質からなるものであれば、パネルの大きさ(表面積)に比例して輻射熱の照射量が増減変化することが知られている。すなわち、パネルを用いた電気ヒータは、一面側及び他面側が共に平坦なパネルを用いており、この一面側に発熱体を重ね合わせて設置して加熱することで、その他面側より輻射熱を発するものとなっている。ゆえに、パネル上において輻射熱を発する領域が1.5倍になれば、輻射熱の照射量も比例的に増加(変化)して1.5倍となり、一方、パネル上において輻射熱を発する領域が0.5倍になれば、輻射熱の照射量も比例的に減少(変化)して0.5倍となる。そのため、暖房効率の上昇を目的として輻射熱の照射量を増加させる場合、パネルの平面的な大きさを増大させる必要がある。
【0005】
しかしなから、パネルを大きくすることは、暖房器具が全体的に大型化してしまうこととなり、部屋が狭い日本の住宅事情を考慮すると、居住スペースを制限してしまうことになり望ましくない。しかも、暖房器具が大型化してしまうと、製造工場や販売店舗からの搬送、及び設置場所での移動等において非常に煩わしいものとなってしまう。
一方、パネルの平面的な大きさをそのままにして、輻射熱の照射量を増加させようとすると、当然のことながらパネルの表面温度を上昇させなければならない。ところが、加熱温度が上昇することでパネルの表面が高温となり非常に危険であると共に、パネル自体が高温での加熱によって変質や劣化を生じる虞がある。さらに、パネルの加熱に要する電気代も一層掛かるものとなってしまう。
【0006】
そこで、暖房効率を上昇させるようにした暖房器具として、裏面に発熱体を取り付ける金属板(パネルに相当)において、その表面に、加熱により遠赤外線を放射するセラミックを塗装するようにした遠赤外線パネルヒータが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
このような遠赤外線を放射する暖房器具は、遠赤外線の効果により体の表面だけでなく内側からも優しく暖めてくれるので、近年注目されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された手段は、加温効果に優れている遠赤外線を輻射熱として発するようにしたものであって、輻射熱の照射量を増加させるようにしたものではない。ゆえに、単に遠赤外線を放射するパネルを用いても、単位面積当たりの輻射熱の照射量を増加させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−295451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであり、輻射熱放射パネルを平面的に増大させることなく、一定のスペース内で輻射熱の照射量を増加させることのできる輻射熱放射パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る輻射熱放射パネルは、発熱体と重ね合わせて設置され、前記発熱体によって一面側を加熱することで他面側より輻射熱を発する放射面を備えたパネルであって、基体の他面側の少なくとも一部に、複数の突出部と複数の窪み部から構成された非平坦領域を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2に係る輻射熱放射パネルは、請求項1に記載の輻射熱放射パネルにおいて、前記基体は、一面側が平坦であり、他面側に非平坦領域を備えた一つの板状部材から構成した単層構造体であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3に係る輻射熱放射パネルは、請求項1に記載の輻射熱放射パネルにおいて、前記基体は、平坦面を有する第一板状部材と、非平坦領域を備えた第二板状部材とを重ね合わせて構成した積層構造体であり、前記第一板状部材と前記第二板状部材との間に中空部を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4に係る輻射熱放射パネルは、請求項1乃至3の何れか1項に記載の輻射熱放射パネルにおいて、前記基体は、複数のプレートから構成され、各プレートは、その端縁部に組み合わせ用の連結部を備えていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5に係る輻射熱放射パネルは、請求項1乃至4の何れか1項に記載の輻射熱放射パネルにおいて、前記基体は、湾曲していることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6に係る輻射熱放射パネルは、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の輻射熱放射パネルにおいて、前記基体は、放射面より輻射熱として遠赤外線を発するものであることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7に係る輻射熱放射パネルは、請求項6に記載の輻射熱放射パネルにおいて、前記基体は、セラミック板、金属板上に遠赤外線放射性セラミックコーティング加工を施したセラミック塗装板、金属板上にアルマイトコーティング加工を施した表面酸化皮膜板、金属板上に遠赤外線放射性塗料コーティング加工を施した遠赤外線塗料板、耐熱強化板の何れかよりなることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項8に係る輻射熱放射パネルは、請求項1乃至7の何れか1項に記載の輻射熱放射パネルにおいて、前記非平面領域は、任意の模様を呈していることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項9に係る輻射熱放射パネルは、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の輻射熱放射パネルにおいて、前記非平面領域は、突出部と窪み部が並列に配された縞模様を呈していることを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項10に係る暖房器具は、前記請求項1乃至9の何れか1項に記載の輻射熱放射パネルを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る輻射熱放射パネルは、発熱体と重ね合わせて設置され、この発熱体によって一面側を加熱することで他面側より輻射熱を発する放射面を備えたパネルであって、基体の他面側の少なくとも一部に、複数の突出部と複数の窪み部から構成された非平坦領域を備える。ゆえに、基体の他面側において輻射熱を発する放射面となる領域に複数の突出部と複数の窪み部が設けることで、平面的に露呈するだけではなく立体的にも露呈する領域(非平坦領域)が形成され、放射面が平坦なパネルと比べて、放射面の表面積が増大したものとなる。
したがって、輻射熱放射パネルのサイズを平面的に増大させることなく、一定のスペース内で輻射熱の照射量を増加させることができる輻射熱放射パネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る輻射熱放射パネルを示す正面斜視図である。
【図2】図1に示す輻射熱放射パネルの非平坦領域の構造を模式的に説明する図である。
【図3】本発明に係る輻射熱放射パネルにおける基体の第一の構造を説明する部分拡大図である。
【図4】本発明に係る輻射熱放射パネルにおいて表面積が増大することを説明する部分拡大図である。
【図5】本発明に係る輻射熱放射パネルにおいて表面積が増大することを説明する部分拡大図である。
【図6】本発明に係る輻射熱放射パネルを用いたパネルユニットの構造を模式的に説明する展開図である。
【図7】本発明に係る輻射熱放射パネルを用いた暖房器具を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る輻射熱放射パネルにおける基体の第二の構造を説明する部分拡大図である。
【図9】本発明に係る輻射熱放射パネルにおけるプレー同士の連結構造を説明する部分拡大図である。
【図10】本発明に係る輻射熱放射パネルの他の構造を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明における実施の形態の一例について、図面を参照して説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるため技術的に種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0023】
まず、本発明で意図する輻射熱放射パネルは、発熱体と重ね合わせて設置され、この発熱体によって一面側を加熱することで他面側より輻射熱を発する放射面を備えたパネルをいう。そして、この輻射熱放射パネルは、放射面から発せられる輻射熱によって部屋の空気を間接的に暖める(すなわち、部屋の壁や家具を輻射熱で暖めた結果、間接的にその熱で部屋の空気を暖める)ように、部屋に対して放射面が露呈して設置されることになるので、輻射熱放射パネルの他面側がいわゆる正面となり、一面側が背面となる。
したがって、以下の説明では、輻射熱放射パネルの一面側を「背面」、同他面側を「正面」と称することがある。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1及び図2に示すように、本実施の形態における輻射熱放射パネル10は、基体1の他面側1bの少なくとも一部に、複数の突出部2・・2と、複数の窪み部3・・3から構成された非平坦領域αを備える。すなわち、輻射熱放射パネル10は、発熱体と重ね合わさる基体1の一面側1aが平坦であって、輻射熱を発する放射面となる同他面側1bの少なくとも一部が平坦ではない構造を有している。この非平坦領域αは、少なくとも一部に備えるものとするので、基体1の他面側1bのほぼ全域に備えるものとしても良い。
【0025】
基体1は、熱源(発熱体)から放たれる熱を伝達し輻射熱として発することができるものであれば良く、たとえば、金属や木材、ガラス等から構成された平板状体とすることができる。この基体1としては、熱衝撃や機械的衝撃に強く、重ね合わされる発熱体による高温での加熱によって変質や劣化を生じる虞の少ない金属体が望ましく、特に、短時間に加熱ができて熱効率の点で優れているアルミ板を用いることが望ましい。
【0026】
また、基体1は、図3に示すように、たとえば、一面側1aが平坦であり、他面側1bに突出部2と窪み部3からなる非平坦領域αを備えた一つの平板状部材から構成した単層構造体とすることができる。このように基体1を単層構造体とした場合、構造が簡素であると共に、発熱体からの熱を効率良く伝えることができる。
【0027】
非平坦領域αは、平面的に露呈するだけではなく立体的にも露呈する輻射熱の放射面であり、たとえば、その断面形状が、波型、鋸歯型、方形凹凸型等となるように構成できる。図1乃至図3において、非平坦領域αは波型に形成されたものとして示されている。
【0028】
このような非平坦領域αを有する放射面において、放射面が平坦である従来のパネルに比して単位面積当たりの実質上の表面積が増大することは、図4及び図5おいて説明することができる。なお、非平坦領域αの表面積は、突出部2及び窪み部3の大きさや形状等によって当然変化するものである。ゆえに、必要に応じて突出部2や窪み部3の大きさや形状等を適宜設計変更すれば良い。
【0029】
図4は、非平坦領域αが波型(もしくは鋸歯型)に形成された場合を示すものである。このとき、たとえば、第一窪み底部3aから突出頂部2aまでの長さM1、及び突出頂部2aから第二窪み底部3bまでの長さM2が何れも2.25mmであり、一方、第一窪み底部3aから第二窪み底部3bまでの平面的な長さL1が3mmであるとすると、第一窪み底部3aから第二窪み底部3bまでの立体的な長さはM1+M2=4.5mmとなり、平面的な場合に比して1.5倍の長さとなる。
【0030】
また、図5は、非平坦領域αが方形凹凸型に形成された場合を示すものである。このとき、たとえば、第一窪み底部3aから第一突出頂部2aまでの長さ(高さ)N1、第一突出頂部2aから第二突出頂部2bまでの長さN2、及び第二突出頂部2bから第二窪み底部3bまでの長さ(高さ)N3が何れも3mmであり、一方、第一窪み底部3aから第二窪み底部3bまでの平面的な長さL2が3mmであるとすると、第一窪み底部3aから第二窪み底部3bまでの立体的な長さはN1+N2+N3=9mmとなり、平面的な場合に比して3倍の長さとなる。
【0031】
したがって、放射面に非平坦領域αを設けることで、パネルの平面的な大きさを変えることなく表面積を増大させることができる。
【0032】
また、本発明において、基体1は、放射面より輻射熱として遠赤外線を発するものとすることができる。この場合、基体1としては、たとえば、セラミック板、金属板上に遠赤外線放射性セラミックコーティング加工を施したセラミック塗装板、金属板上に特殊アルマイトコーティング加工を施した表面酸化皮膜板、金属板上に遠赤外線放射性塗料コーティング加工を施した遠赤外線塗料板、耐熱強化板、等を挙げることができる。
このように輻射熱として遠赤外線を発することで、ムラなく均一に暖めることができ、暖房効率が高いものとすることができる。
【0033】
また、本発明において、非平面領域αは、任意の模様を呈するものとしても良い。この模様としては、図示しないが、たとえば、正面から見て、横縞模様、波模様、放射模様、多重円模様、ハート模様、星模様、水玉模様といった任意の模様、もしくはこれらの組み合わせ模様とすることができる。特に、非平面領域αとしては、突出部2と窪み部3が並列に配された縞模様を呈するものとする望ましい。
また、非平面領域αは、突出部2が、小さな半球状、円筒状、角錐状(ピラミッド型)、といった任意の形状をした小突起体からなるものとしても良い。
【0034】
このように非平面領域αにおいて、突出部2と窪み部3によって任意の模様を呈するものとすると、この模様の違いによって、パネルの材質や輻射熱の照射量といった性能を視覚的に容易に区分可能とすることができるものとなる。また、非平坦領域αを、直線や曲線を用いた模様によって構成することで、容易に表面積の拡大を行うことができる。
【0035】
また、任意の模様として縞模様を呈するものとすると、突出部2と窪み部3の向きが同じであるので、突出部や窪み部に溜まった塵や埃の掃除等のメンテナンスがし易いものとなる。しかも、突出部と窪み部の向きが垂直となる縦縞模様とすれば、突出部や窪み部に塵や埃が溜まる機会を低減させることができる。
【0036】
以上のように構成した輻射熱放射パネル10を用いて暖房器具を構成する場合、まず、図6に示すように、パネルヒータユニット30を作成する。
パネルヒータユニット30は、たとえば、全体が数十cm四方の長方形をした、厚さが10〜20mm程度の薄板状であって、前面側から順に、前面フレーム22、遠赤外線放射パネル10、面状発熱体21、背面パネル23を密着するように重ね合わせて固定した構造となっている。
【0037】
面状発熱体21は、遠赤外線放射パネル10を一面側1aより加熱する発熱体である。図6において、面状発熱体21は、シート状をした2枚の絶縁マイカ16a,16bの間に、通電することで発熱する薄板状電熱線15を挟み込んだ構造をしたものとして示されている。また、薄板状電熱線15としては、板状ニクロム線が挙げることができる。この面状発熱体21は、たとえば、表面温度が230〜270℃となる程度まで遠赤外線放射パネル10を加熱する。
【0038】
前面フレーム22は、パネルヒータユニット30の組み付け用の金属枠体である。
背面パネル23は、遠赤外線放射パネル10の反りを防止するための押さえ板である。
なお、パネルヒータユニット30において、面状発熱体21と背面パネル23との間に、背面側への熱の放出を防止する断熱シート体24を配するようにしても良い。
【0039】
以上のように構成したパネルヒータユニット30は、図7に示すように、筐体51へ電気回路(図示せず)と共に搭載することで、パネルヒータ50とする。
なお、図中の符号52は、パネルヒータユニット30の前面を覆うように筐体51へ取り付けられた防御網であり、遠赤外線放射パネル10の表面への接触を防止する。また、符号54は、面状発熱体21が発熱するように通電すること、又は面状発熱体21への通電を停止するといった操作を行うための電源入切スイッチである。また、符号55は、面状発熱体21への通電状態、すなわち、遠赤外線放射パネル10を加熱する消費電力を制御する操作を行うための出力切替えスイッチである。さらに、符号56は、パネルヒータ50の移動を容易にするための移動キャスターである。
【0040】
そして、このようなパネルヒータ50では、輻射熱放射パネル10から出る輻射熱(遠赤外線)を反射板などで前面に放出し、周囲の空気をジワジワと暖めていく。しかも、輻射熱の放射面の表面積が平坦なパネルと比べて増大したものとなっているので、輻射熱放射パネルのサイズを平面的に増大させることなく、一定のスペース内で放射面から発せられる輻射熱の照射量を増加させて暖房効率を上昇させることができる。
【0041】
<第2の実施の形態>
また、本発明では、図8に示すように、基体1として、平坦面を有する第一板状部材11と、非平坦領域を備えた第二板状部材12とを貼り合わせて構成した積層構造体とすることができる。
なお、以下に述べる他の各実施の形態では、上述した第1の実施の形態と異なる部分を中心に説明する。したがって、第1の実施の形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0042】
第一板状部材11は、一面側11a及び他面側11bの何れも平坦であり、熱源(発熱体)から放たれる熱を伝達し、拡散する。この第一板状部材11としては、発熱体からの熱を伝導することができるものであれば良く、上記第1の実施の形態における基体と同様に、たとえば、金属や木材、ガラス等から構成された平板状体とすることができるが、熱衝撃や機械的衝撃に強く、重ね合わされる発熱体による高温での加熱によって変質や劣化を生じる虞の少ないと共に、短時間に加熱ができて熱効率の点で優れているアルミ板を用いることが望ましい。
【0043】
一方、第二板状部材12は、一面側12a及び他面側12aの何れにも非平坦領域を有し、発熱体からの熱を伝導し、放射する。この第二板状部材12としては、熱衝撃や機械的衝撃に強く、短時間に加熱ができて熱効率の点で優れていることから、第一板状部材11と同様に、アルミ板を用いることが望ましい。
【0044】
また、第二板状部材12は、放射面より輻射熱として遠赤外線を発するものとした場合、たとえば、セラミック板、金属板上に遠赤外線放射性セラミックコーティング加工を施したセラミック塗装板、金属板上に特殊アルマイトコーティング加工を施した表面酸化皮膜板、金属板上に遠赤外線放射性塗料コーティング加工を施した遠赤外線塗料板、耐熱強化板、等とすることができる。
【0045】
以上のような積層構造体では、第一板状部材11と第二板状部材12とを貼り合わせることで、第一板状部材11の一面側12aが基体1の背面、及び第二板状部材12の他面側12aが同正面となり、第一板状部材11と第二板状部材12との間に中空部13を備える。この中空部13は、熱溜り層となるものである。ゆえに、積層構造体からなる基体1の場合、この中空部13によって基体1における放射面の保温性を得ることができると共に、放射面における熱の均一性が得られることになる。
【0046】
また、このように基体1を積層構造体とした場合、平坦面を有する第一板状部材11と、非平坦領域を設けた第二板状部材12とを別々に作成することができるので、単層構造体に比べて簡単かつ安価に作製することができるといった利点も有する。
【0047】
<第3の実施の形態>
また、本発明では、図2に示すように、基体1を、複数のプレート100から構成されたものとすることができる。
図2において、基体1は4つのプレート100a,100b,100c,100dから構成されたものとして示されているが、プレート100の数はこれに限定されず、設計に応じて適宜増減変更して良い。
【0048】
この各プレートは、図9に示すように、他のプレートとの隣接側端縁部に、プレート組み合わせ用の連結部4,5を備えている。図9において、一方のプレート100−1に雌型連結部4が設けられ、他方のプレート100−2に雄型連結部5が設けられたものとして示されている。したがって、この雌型連結部4内へ雄型連結部5を嵌合させることで、隣接する二つのプレート同士を一体的に組み合わせることができる。
【0049】
このように基体が複数のプレートから構成されたものとすることで、輻射熱放射パネルを構成するパネルの一部が破損等したとき、パネル自体を全体的に交換するのではなく、必要なプレートだけを部分的に交換することで、効率良く経済的にパネルの修理を行うことができる。
【0050】
<第4の実施の形態>
また、基体1は、図10に示すように、平板状に限らず、他の形状としたものであっても良い。すなわち、気体1が、アルミ板等の金属平板状体から構成されたものの場合、その全体形状を自由に変更することができる。
図10において、基体20は、一方向に湾曲した弓形状板として示されている。したがって、この基体20をプレートとして複数組み合わせることで、環状の基体を構築することができ、輻射熱を360℃に放射可能とした輻射熱放射パネルとすることができる。
【0051】
このように基体1の全体形状を任意に変更することで、設置場所に最適な輻射熱放射パネルとすることができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、輻射熱放射パネルを暖房器具(電気ヒータ)に用いた場合について説明したが、本発明の輻射熱放射パネルはこれに限らず、床暖房のような暖房構造や、調理器具にも応用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、輻射熱放射パネルを扱う業種において産業上有用であり、特に、輻射熱放射パネルを用いた暖房器具における市場において有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 基体、1a 一面、1b 他面、2 突出部、3 窪み部、4 雌型連結部、5 雄型連結部、10 輻射熱放射パネル、11 第一板状部材(基体)、12 第二板状部材(基体)、21 面状発熱体、22 前面フレーム、23 背面パネル、24 断熱シート体、30 パネルヒータユニット、50 パネルヒータ(暖房器具)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と重ね合わせて設置され、前記発熱体によって一面側を加熱することで他面側より輻射熱を発する放射面を備えたパネルであって、
基体の他面側の少なくとも一部に、複数の突出部と複数の窪み部から構成された非平坦領域を備えることを特徴とする輻射熱放射パネル。
【請求項2】
前記基体は、一面側が平坦であり、他面側に非平坦領域を備えた一つの板状部材から構成した単層構造体であることを特徴とする請求項1に記載の輻射熱放射パネル。
【請求項3】
前記基体は、平坦面を有する第一板状部材と、非平坦領域を備えた第二板状部材とを重ね合わせて構成した積層構造体であり、前記第一板状部材と前記第二板状部材との間に中空部を備えることを特徴とする請求項1に記載の輻射熱放射パネル。
【請求項4】
前記基体は、複数のプレートから構成され、各プレートは、その端縁部に組み合わせ用の連結部を備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の輻射熱放射パネル。
【請求項5】
前記基体は、湾曲していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の輻射熱放射パネル。
【請求項6】
前記基体は、放射面より輻射熱として遠赤外線を発するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の輻射熱放射パネル。
【請求項7】
前記基体は、セラミック板、金属板上に遠赤外線放射性セラミックコーティング加工を施したセラミック塗装板、金属板上にアルマイトコーティング加工を施した表面酸化皮膜板、金属板上に遠赤外線放射性塗料コーティング加工を施した遠赤外線塗料板、耐熱強化板の何れかよりなることを特徴とする請求項6に記載の輻射熱放射パネル。
【請求項8】
前記非平面領域は、任意の模様を呈していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の輻射熱放射パネル。
【請求項9】
前記非平面領域は、突出部と窪み部が並列に配された縞模様を呈していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の輻射熱放射パネル。
【請求項10】
前記請求項1乃至9の何れか1項に記載の輻射熱放射パネルを用いたことを特徴とする暖房器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−185555(P2011−185555A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52658(P2010−52658)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【特許番号】特許第4608018号(P4608018)
【特許公報発行日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(510066673)日本遠赤外線株式会社 (1)
【出願人】(510066961)アイム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】