説明

透過性手段中に分布する多孔性材料の細孔中にガス吸収相を含むゲッターシステム

【課題】ガス吸着のためのゲッターシステムの提供。
【解決手段】1又は複数のガスの吸着のためのゲッターシステム(10)であって、吸着されるガスに対して透過性であるポリマー手段(11)、前記ポリマー手段中に分散される多孔性材料(12)の粉末、及び1又は複数のガスの吸着においてアクティブな相(21,21’,21”,...)を含み、前記相が前記多孔性材料の細孔(20,20’,...)中にのみ分散されることを特徴とするゲッターシステムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過性手段中に分布する多孔性材料の細孔中のガス吸収において活性な相を含むゲッターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲッター材料、及びシステムは、真空を維持すること、又は少量の所望しないガスの吸着を通してガス状雰囲気の組成を制御することが必要な全ての用途で産業において広く使用される。
【0003】
その種の目的のために広く使用されるゲッター材料は、有機物質の吸着に特に有用な活性炭のような多孔性材料、又は小さなサイズを有するガス状分子の吸着に有用なゼオライト、シリカ、若しくはアルミナである。特に興味がある他の種類の化合物は、アルカリ土類金属の酸化物のような、特に水分吸着のための無水性の化学的な乾燥剤、又は塩化物(例えば、塩化カルシウムCaCl2)、過塩素酸塩(例えば、過塩素酸マグネシウムMg(ClO42)、若しくは硫酸塩(例えば、硫酸カルシウムCaSO4)のような吸湿性塩を含む。
【0004】
例えば、水、酸素、又は有機物質のようなガス状不純物の除去のために使用される材料のいくつかに共通な1つの問題は、それらが一般にコンパクトな本体を形成するのに充分な凝集力なしの粉末の形態であることであり、これは、水分吸着後の乾燥剤の場合に特に当てはまる。殆ど全ての予見される産業用途において、これは単体粒子の欠如が要求されるときに関係する関連した問題である。
【0005】
場合によっては、この問題は、透過性の容器(例えば、断熱板を対象にした米国特許第4,668,551号に示されるような不織布外囲器)の内側にゲッター材料を挿入することによって取り組まれる。
【0006】
この問題に対する他のあり得るアプローチは、分散マトリックスの内側にゲッター材料を分布させることであり、ゲッター自体に向けてガスを通過させながら、固定位置にゲッター粒子を保持することができる。この第2の解決策の例は、多くの文献で記載される。日本国特許出願第60-132274号はシリコンマトリックス中に分散される乾燥剤材料を開示し、米国特許第3,704,806号はエポキシ樹脂のような熱硬化性ポリマーで形成されるマトリックスの内側に分散されるゼオライトを含む乾燥剤組成を開示し、米国特許第4,081,397号はエラストマーポリマー中に分散されるアルカリ土類金属の酸化物の粒子を含む乾燥剤システムを開示し、米国特許第5,304,419号はシリコン、ポリウレタン、又は類似のポリマーで形成できるマトリックス中に分散される乾燥剤材料を含む乾燥剤組成を開示し、米国特許第5,591,379号は多孔質ガラス、又はセラミックのマトリックス中に分散される、ゼオライト、アルミナ、シリカゲル、酸化アルカリ土類金属、及び炭酸アルカリ金属の中から選択された乾燥剤を含む乾燥剤組成を開示し、米国特許第6,226,890 B1号は乾燥剤材料(例えば、酸化アルカリ土類金属)がシリコン、エポキシド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、又はその他のようなポリマー中に分散される乾燥剤システムを開示し、乾燥剤システムは乾燥剤材料による水の吸着速度を減少させないか増加させる特性を有し、最後に、米国特許第6,819,042 B2号は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、又はポリイソプレン樹脂のような樹脂中に分散される乾燥剤材料を含む乾燥剤システムを開示する。
【0007】
これらの特許に開示される多くのシステムに共通な1つの限界は、吸収されるガスとの反応のために、ゲッター材料が構造上、及び形態上の変化、例えば、膨張を一般に被ることであり、特に、乾燥剤の場合には顕著であり得る。ゲッター材料の粒子の周囲のマトリックスの存在は、これらの形態上の変化を妨げて抑制するか、又はガス吸着反応を遅らせることができる。
【0008】
加えて、産業用途の中には、ゲッターシステムに対する他の要求を提起するものもある。例えば、最新世代の有機発光ディスプレイ(OLED)は、透明で、装置の寿命全体を通して、即ち、製造直後(ゲッター材料が、最少量を除いて、水分をまだ吸着していないとき)、装置の寿命の終わり近く(システムの飽和状態まで、ゲッター装置が比較的大量の水分を既に吸着したとき)、及びOLED寿命の中間段階、即ち、マトリックス中に分散された種々のゲッター粒子が、異なる量の水分を吸着したときにおいても一定の光学特性を有するゲッターシステムを必要とする。OLED寿命の間にゲッター粒子によって吸着された異なるレベルの水分は、その光透過率、又は屈折率のようなシステムの光学特性を変化させることができ、それゆえにディスプレイの品質を損なう。この問題は、例えば、透明なマトリックス中にゲッター粒子を含み、粒子が発光反応と干渉しない充分に小さなサイズを有するOLEDのためのゲッターシステムを開示する米国特許第6,465,953号で論じられる。この用途の重要性を考え、本発明のゲッターシステムの使用を図示するために、OLED中での使用を特に参照するが、本発明のゲッターシステムは一般に有用であり、他の用途でも使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,668,551号明細書
【特許文献2】日本国特許出願第60-132274号
【特許文献3】米国特許第3,704,806号明細書
【特許文献4】米国特許第4,081,397号明細書
【特許文献5】米国特許第5,304,419号明細書
【特許文献6】米国特許第5,591,379号明細書
【特許文献7】米国特許第6,226,890 B1号明細書
【特許文献8】米国特許第6,819,042 B2号明細書
【特許文献9】米国特許第6,465,953号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ガス吸着のためのゲッターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により、これ及び他の目的が、
吸着されるガスに対して透過性であるポリマー手段、
ポリマー手段中に分散される多孔性材料の粉末、及び
多孔性材料の細孔中の1又は複数のガスの吸着においてアクティブな相を含むゲッターシステムを用いて達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のゲッターシステムを示す。
【図2】多孔性材料粉末の粒子を示す。
【図3a】図2の粒子の細孔の内側で起こるガス吸着反応を示す。
【図3b】図2の粒子の細孔の内側で起こるガス吸着反応を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のゲッターシステムは、ガスの吸着においてアクティブな材料がマトリックス中に直接分散されず、「ゲスト」相の細孔の内側に存在し、後者はマトリックス中に分散された粉末の形態である点で、従来技術のゲッターシステムとは異なる。この特徴は、システムの物理的特性がガス吸着に関して実質的に変化しないことを保証する。例えば、アクティブな材料はガス吸着の間に形態上の変化を被るが、これらの変化は個々の多孔性粒子の外側には伝達されず、後者と環境(マトリックス)の間の相互作用は変化しない。
【0014】
既知のゲッターシステムに関して、上記の差異に加えて、本発明のシステムは多くの長所をもたらす。第1に、もし分散された多孔性材料が明確な形態(例えば、多孔性材料が天然の、又は合成のゼオライト場合、フラーレン、又は類似の形態)を有したら、反応生成物は細孔中にしっかりと保持されるので、生成物の立体障害、及び/又は細孔壁に対して作用する特に高い化学力のために、可逆反応、又は可逆プロセスを不可逆反応、又は不可逆プロセスに変換することが可能である。加えて、もしアクティブな相と触媒の両方が固体であり、それによって小さな移動度を有し、もしポリマー手段中で自由に分散されるなら、多孔性材料はアクティブな相に加えて触媒を受け入れ、従って相互に近接することを保証し、相互に近接することは特に明らかな利点である。最後に、多孔性材料がゼオライトである場合、ゼオライト自体が広いクラスの反応に対する触媒(Lewis 及び/又は Broensted による酸、又は塩基)として振る舞うことができ、従って、説明されるような吸収されるガスとのアクティブな相の反応を補助する。
【実施例1】
【0015】
図1には、本発明のシステムが、一般的な実施例で示される。この場合、システム10は短い平行六面体の形態で切欠図に示されるが、システムは任意の他の形状、例えば、リボン形、涙滴形を有し得るか、又は例えば、薄層の形態で、又はこの表面の凹部を占める雰囲気が制御されていなければならない装置の内面上に直接形成される。
【0016】
ゲッターシステムは、吸収されるガスに対して透過性のポリマー手段11を含み、多孔性材料の粉末12が内側に分散される。ポリマー手段11は、吸着されるガス種に対して透過性である任意のポリマー材料で形成される。このポリマーは粘着特性を示すことが好ましく、追加の接着剤を使用することなく、終段の装置の内壁上に固定され得る。例えば、本発明の目的に対して有用な粉末12を形成するのに適した多孔性材料は、天然の、又は合成のゼオライト、シリカライト(即ち、実質的にはアルミニウム無しのゼオライト)、ゼオライト以外のアルミノケイ酸塩、フラーレン、及び有機金属骨格(当該技術分野ではMOFとしても既知であり、例えば、2004年06月にオンライン出版された「Microporous and Mesoporous Materials」第73号第3〜14頁の J. L. C. Roswell 及び O. M. Yaghi による記事「Metal-organic frameworks: a new class of porous materials」を参照のこと)である。
【0017】
図2は、粒子12の拡大断面図を示す。多孔性材料の粒子は、ガス吸着中にアクティブな相が内側に配置される細孔20,20’,...を示す。アクティブな相は堆積物21,21’,21’’...の形態で表され、図では最も一般的な場合が示され、細孔は実質的に可変部分を(異なる細孔の間に、及び同じ細孔の内側の異なる位置の間にも)有するチャネルの形態であり、粒子12の表面に到達し、堆積物21,21’,21’’,...が細孔の内壁に付着する。或いは、例えば、ゼオライトの場合、細孔は結晶構造によって強固に固定される寸法を有し、既知のように、結晶構造は減少した部分の通路を通して相互に接続されるを示し、アクティブな相は、同じ内面に結合されることなく、空胴内で単に配置され得る。
【0018】
図3a及び図3bは、本発明のゲッターシステムの動作機構を示す。図3aは、更に拡大した図面で、粒子12、及び特に、細孔20の詳細を示し、細孔20のの内側にはアクティブな相の堆積物21,21’,...が存在し、一方、吸着されるガス種の分子が30で示される。動作中、分子30は堆積物21,21’,...と接触し、それらと反応し、従って、ガス状分子/アクティブな相の特定の結合の成分の性質による異なる機構を用いて堆積物上に、又は堆積物によって固定される。この状況は、図3bに「変化した」堆積物31,31’,...によって示される。ゼオライトの場合、前記のように、アクティブな相は堆積物の形態では存在し得ないが、むしろゼオライト空胴中で「トラップされた」粒子の形態で存在し、今度は、分子30との反応の生成物は、同じ空胴中でトラップされた種の形態である。
【0019】
アクティブな相の化学的性質は、吸着されることを所望する種に依存する。例えば、吸着されることを所望する種が酸素の場合、アクティブな相は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は鉄、錫、及び銅のような他の金属のような容易に酸化可能な金属、マンガン、又は酸化銅のような低酸化状態を有する金属酸化物、亜リン酸塩、又はホスホナイトアニオンを有する塩類、又はフェノール、第二芳香族アミン、チオエーテル、又はアルデヒドのような容易に酸化可能な有機化合物で形成できる。一酸化炭素吸着の場合、ニッケル、又は鉄のような金属の堆積物を使用することが可能であり、ニッケル、又は鉄のような金属の堆積物は、このガス、又はアルケン、アミン、及びケトンとの合成種を形成し、これら後者はリチウムベースの有機金属化合物の存在下にある。二酸化炭素の場合、アクティブな相はアルカリ性、又はアルカリ土類金属の水酸化物であり得る。窒素を吸着する必要がある(通常でない)場合、無機材料は、リチウム、バリウム、若しくは化合物BaLi4、又はポルフィリン、即ち、錯体の中心金属原子にこのガスを固定できる機能を有する有機金属分子のように使用できる。
【0020】
しかし、最も一般的で重要な場合は、水分除去の場合である。この目的のために、アクティブな種は広範囲の材料から選択でき、次のリストで要約されるように、材料は異なる吸着機構によって働く。即ち、
水を加える材料であって、このグループにはエポキシド、(活性化された)2重結合か3重結合を有する有機分子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は疑似アルカリ土類金属(即ち、実質的にニッケル、亜鉛、及びカドミウム)の酸化物、有機(例えば、フタル)無水物と無機(例えば、ホウ素)無水物が属する材料、
加水分解、又は求核置換反応を被る材料であって、このグループには、例えば、アルコキシド(例えば、アルミニウムのアルコキシド、Al(OR)3)、ハロゲン化合物、例えば、AlCl3、一般式RCOX(ここで、Xはハロゲン原子)を有するアクリルハロゲン化物(及び、特に塩化物)、又はカルボカチオンを形成する化合物が属する材料、
その解離を用いて、及び酸化物、及び水素化物の何れかの組成、又は固溶体の組成を用いて水と反応する材料であって、これらの材料の実施例は水との反応に関係する鉄であり、一方、水素吸着に関係するイットリウム、パラジウム、又はそれらの混合物である材料、
水によって溶媒和される材料であって、硫酸マグネシウム、又はアルミニウムのために失った電化を補償するためにゼオライト中に存在する金属中心のような材料である。
【0021】
好ましい実施例では、前記のように、本発明のゲッターシステムは、それらの寿命を通して可視光線に対して透明であるという特性を更に有する。このモードでは、本発明のシステムは、OLED型の前記スクリーンでの用途に適する。
【0022】
これらの好ましいゲッターシステムは、
吸着されるガスに対して透過性であるアモルファスポリマー手段、
ポリマー手段中に分散され、粉末粒子が100ナノメートルより小さい平均サイズを有する多孔性材料の粉末、及び
多孔性材料の細孔中の1又は複数のガスの吸着においてアクティブな相を含む。
【0023】
この好ましい実施例では、追加特性として、システムの成分が、ポリマー手段はアモルファスであり、それに対して、ナノサイズでポリマー手段中に分散された多孔性材料は、100ナノメートル以下のオーダサイズを有する粒子で形成されるという事実を示す。これら2つの追加要求の最初の1つに対する理由は、完全な結晶、又は完璧なアモルファスの場合に限りポリマーは透明だからである。完全な結晶であるポリマーを得ることは実質的に不可能なので、粉末が手段の中に分散されなければならない本発明の場合は特に、完璧なアモルファスであるポリマーに頼ることが必要である。第2の要求は、可視光線の波長の半分未満の寸法を有する粒子は同じ粒子と相互作用を引き起こさず、それによってポリマー手段の透明度を変更しないという事実から生じる。
【0024】
透過性の透明な手段の製造に適したポリマーは、例えば、ポリアクリラート及びポリメタクリレート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド(PA)、アセチルセルロース(CA)、トリアセチルセルロース(TCA)、(シリコンとしても既知である)ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、コポリマーポリエチレン−ビニルアルコール及びコポリマーPA−PEO及びポリウレタン−PEOである。
【0025】
一般に、透過性手段を得るために、引用されたポリマー、及びそれらの製造プロセスは、ポリマー手段の最大自由体積、高分子鎖の最大次数と規則性、最小架橋率、最小充填密度、及び透過している種との最大相互作用を得ることを可能にするポリマー、及び製造プロセスから選択されることが好ましい。
【0026】
本発明のシステムは、既に引用された成分に加えて、特性を向上させるか、又は特性の達成を補助する追加の元素も含み得る。
【0027】
例えば、多孔性材料の細孔の内側では、触媒が存在してもよく、吸着されることを所望する種とアクティブな相の間の反応を加速させることができる。例えば、2重結合、又は3重結合に加えて不飽和有機分子による水の吸着の場合、触媒は Lewis 又は Broensted による酸、又は塩基であり得て、白金、及びパラジウムのような金属が水素の吸着に触媒作用を及ぼすことができ、ニッケル、鉄、ロジウム、ルテニウム、銅、又は銀のような他の金属も有機化合物とガスを含む種々の反応に触媒作用を及ぼすことができ、両方とも有機化合物、及び/又はガスを含む配位化合物の形成、並びにレドックス機構による。
【0028】
もしこれが充分に弱い粘性であれば、本発明のシステムは、多孔性材料中のアクティブな相をプリプレグすること、及びポリマー手段中の浸透された多孔性材料の懸濁液を形成することによって生成できる。或いは、浸透された多孔性材料の粒子の懸濁液を溶媒中に準備することが可能であり、ポリマーを可溶化することも可能である。適切な溶媒は選ばれたポリマーに依存し、有機化学では周知である。溶媒の実施例は、ポリアクリラート、及びポリメタクリレートに対するクロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン、及びトルエン、ポリアミドに対するギ酸とN−メチル−ピロリドン、ポリジメチルシロキサンに対するヘプタン、又はトルエン/ジエチルエーテル混合物である。或いは、アクティブな相を用いてプリプレグされた多孔性材料とポリマーの前駆物質(例えば、ポリマーを形成するオリゴマー、又はモノマー)の間に懸濁液を形成することが可能であり、例えば、紫外線放射によって元の位置にポリマーを形成させる。懸濁液を安定させるために、適切な界面活性剤をそこに加えることも可能であり、有機化学では周知であって、更なる記載は必要でない。開始溶液(もしこれが、ポリマー、又はその前駆物質を含むなら)、又は多孔性材料の粉末が内側に既に存在する粘性の低いポリマーは、適切なモールドの内部に注入されるか、又は最終ハウジング、例えば、OLEDスクリーンの適切な内面に直接注入されてもよく、いったん液体混合物が所望するハウジングの内部に注入されたら、溶媒の抽出によって、重合を元の位置に「固化」(「固体」を意味し、この場合、所定の形状を維持するために非常に高い粘性を有する材料である)させることができるか、又は冷却によってポリマーを溶解状態に維持することによって、低い粘性が認められる。
【符号の説明】
【0029】
10 ゲッターシステム
11 ポリマー手段
12 多孔性材料
20 細孔
21 相
30 分子
31 堆積物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のガスの吸着のためのゲッターシステム(10)であって、
吸着されるガスに対して透過性であるポリマー手段(11)、
前記ポリマー手段中に分散される多孔性材料(12)の粉末、及び
1又は複数のガスの吸着においてアクティブな相(21,21’,21”,...)を含み、前記相が前記多孔性材料の細孔(20,20’,...)中にのみ分散されることを特徴とするゲッターシステム。
【請求項2】
前記多孔性材料が、天然の、又は合成のゼオライト、シリカライト、アルミノケイ酸塩、フラーレン、及び有機金属骨格の中から選ばれる、請求項1に記載のゲッターシステム。
【請求項3】
前記吸着されるガスが酸素であるとき、前記アクティブな相が、容易に酸化可能な金属、低酸化状態を有する金属酸化物、亜リン酸塩、又はホスホナイトアニオンを有する塩類、及び容易に酸化可能な有機化合物の中から選ばれる、請求項1に記載のゲッターシステム。
【請求項4】
前記吸着されるガスが一酸化炭素であるとき、前記アクティブな相がニッケル、鉄、アルケン、アミン、及びケトンの中から選ばれ、これら後者はリチウムベースの有機金属化合物の存在下にある、請求項1に記載のゲッターシステム。
【請求項5】
前記吸着されるガスが二酸化炭素であるとき、前記アクティブな相がアルカリ性、又はアルカリ土類金属の水酸化物である、請求項1に記載のゲッターシステム。
【請求項6】
前記吸着されるガスが窒素であるとき、前記アクティブな相がリチウム、バリウム、化合物BaLi4、及びポルフィリンの中から選ばれる、請求項1に記載のゲッターシステム。
【請求項7】
前記吸着されるガスが水であるとき、前記アクティブな相が、エポキシド、2重結合か3重結合を有する有機分子、アルカリ金属酸化物、カルボカチオンを形成する化合物、アルカリ土類金属酸化物、又はニッケル、亜鉛、及びカドミウムの中から選択される金属の酸化物、有機無水物、無機無水物、アルコキシド、加水分解無機ハロゲン化物、アクリルハロゲン化物、鉄とイットリウム、パラジウム、又はそれらの混合物の中から選ばれる他の元素の混合物、及び硫酸マグネシウムの中から選ばれる、請求項1に記載のゲッターシステム。
【請求項8】
吸着したガス量の変化において透明度を維持することができる請求項1に記載のゲッターシステムであって、
吸着されるガスに対して透過性であるアモルファスポリマー手段、
前記ポリマー手段中に分散され、粉末粒子が100ナノメートルより小さい平均サイズを有することによって特徴付けられる多孔性材料の粉末、及び
前記多孔性材料の細孔中の1又は複数のガスの吸着においてアクティブな相を含むゲッターシステム。
【請求項9】
前記ポリマー手段が、ポリアクリラート及びポリメタクリレート、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド(PA)、アセチルセルロース(CA)、トリアセチルセルロース(TCA)、ポリシロキサン、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、コポリマーポリエチレンービニルアルコール及びコポリマーPA−PEO及びポリウレタン−PEOの中から選ばれる、請求項8に記載のゲッターシステム。
【請求項10】
前記吸着されるガスと前記アクティブな相の間の反応を加速させることができる触媒を前記細孔の内側に更に含む、請求項1又は8の何れか1つに記載のゲッターシステム。
【請求項11】
前記触媒が、白金、パラジウム、ニッケル、鉄、ロジウム、ルテニウム、銅、及び銀の中から選ばれる、請求項10に記載のゲッターシステム。
【請求項12】
前記触媒が、Lewis 又は Broensted による酸、又は塩基である、請求項10に記載のゲッターシステム。
【請求項13】
請求項1又は8の何れか1つに記載のゲッターシステムの準備のためのプロセスであって、前記多孔性材料中の前記アクティブな相をプリプレグすること、及び前記ポリマー手段中に浸透された多孔性材料の懸濁液を直接形成することの諸ステップを含むプロセス。
【請求項14】
請求項1又は8の何れか1つに記載のゲッターシステムの準備のためのプロセスであって、前記多孔性材料中の前記アクティブな相をプリプレグすること、前記ポリマー手段の溶媒である液体中に浸透された多孔性材料の懸濁液を形成すること、前記ポリマー手段を形成するための前記ポリマーを前記懸濁液に溶かすこと、及び前記溶媒を除去することの諸ステップを含むプロセス。
【請求項15】
請求項1又は8の何れか1つに記載のゲッターシステムの準備のためのプロセスであって、前記多孔性材料中の前記アクティブな相をプリプレグすること、前記ポリマー手段を形成するための前記ポリマーの先駆物質のための溶媒である液体中に浸透された多孔性材料の懸濁液を形成すること、前記先駆物質を前記懸濁液に溶かすこと、前記先駆物質の重合を前記懸濁液中に生じさせること、及び前記溶媒を除去することの諸ステップを含むプロセス。
【請求項16】
界面活性剤を加えることにより前記懸濁液が安定化される、請求項14又は15の何れか1つに記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【公開番号】特開2012−106243(P2012−106243A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208(P2012−208)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2008−523546(P2008−523546)の分割
【原出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(500275854)サエス ゲッターズ ソチエタ ペル アツィオニ (54)
【Fターム(参考)】