説明

通信制御装置、ロール紙の管理システム、及びロール紙の管理方法

【課題】ロール紙管理用の通信制御装置であって、在庫紙の探索を含む効率的なロール紙の管理を、低コストで実現することを可能とする通信制御装置、等を提供する。
【解決手段】ロール紙に取り付けられ当該ロール紙に関する情報を格納するメモリと外部機器との通信のための通信制御装置が、前記ロール紙に装着される部材と、前記部材に備えられる、当該部材の識別情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶される識別情報を表示する表示手段と、前記メモリ及び前記外部機器と通信可能であり、前記外部機器からの要求に応答して、前記メモリに格納されている情報を読み出し、当該情報を前記記憶手段に記憶されている識別情報と関連付けて、前記要求元の外部機器に送信する通信手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙管理用の通信制御装置等に関し、特に、在庫紙の探索を含む効率的なロール紙の管理を、低コストで実現することを可能とする通信制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、プリンタ等の画像形成装置に供給される用紙の形態としては、予め所定の大きさに裁断されたカット紙の形態と、芯材の周りに用紙が巻き付けられたロール紙の形態がある。これらのうち用紙が連続して供給されるロール紙では、用紙残量を判断しづらく、また、印刷の途中で用紙がなくなった場合には、それまでの印刷が無駄となってしまう場合が多いので、その用紙残量を正確に管理することが重要である。また、ロール紙は、比較的大型の用紙に適用されるのが一般的であり、紙種やサイズも複数種類用意されて用途に応じて使い分けることが行われる。これにより、使用途中のものをプリンタから取り外して保管し、複数のプリンタにおいて共用することもよく行われる。従って、ロール紙の場合には、上述の用紙残量のほか紙種やサイズなど、その情報を管理する必要があり、そのための技術が以前から提案されている。
【0003】
その技術の一つとして、各ロール紙に係る情報をプリンタ本体やコンピュータなどの装置で記憶して管理するのではなく、自分自身の情報を記憶した、いわゆるメモリタグを各ロール紙に備えて管理しようとするものが提案されている(例えば、下記特許文献1)。かかる提案では、用紙関連情報を格納するメモリタグがロール紙に取り付けられ、そこに記録された情報が、プリンタに取り付けられた際に、プリンタにより読み出され、印刷制御に利用される。
【0004】
また、下記特許文献2では、各ロール紙に記憶素子を取り付け、そこに格納された情報を携帯端末で読み取り、その読み取られた情報などに基づいて、管理コンピュータがロール紙の在庫管理を行うことが示されている。
【特許文献1】特表2002−053389号公報
【特許文献2】特開2004−35206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1の提案では、プリンタからロール紙が取り外されている時にそのメモリタグから情報を取得する点に付いて示されておらず、ロール紙の在庫管理を行う上で、取り外されているロール紙については目視が必要となるなど不便であり、不十分であった。
【0006】
また、上記特許文献2に示されている方法の場合、ロール紙に取り付けられている記憶素子にいわゆる受動的な無線タグが採用されれば、携帯端末などそこに記憶された情報を読み取る側の装置を高出力・高感度にする必要があり、従って、読み取る側の装置が高額なものになってしまうという課題がある。特に、多くの用紙は湿度管理のために保管中は梱包状態とされるため、この状態では通信条件が悪く、読み取り側装置にさらに高出力・高感度が要求される。
【0007】
一方、いわゆる能動的な無線タグが採用された場合にも、無線タグは電池を必要とするためロール紙自体の単価が高額となり、また、電池の寿命により在庫期限が短くなってしまうという課題がある。
【0008】
さらに、上記特許文献2の方法では、ロール紙個体の識別に、製品のシリアル番号などユーザにとっては記憶の難しい長いコードが用いられることになり、在庫管理上不便であった。また、ロール紙を保管する梱包材は替わる可能性があるため、ロール紙の探索には、梱包を開けて、上記シリアル番号等が付されたロール紙自身を見る必要があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ロール紙管理用の通信制御装置であって、在庫紙の探索を含む効率的なロール紙の管理を、低コストで実現することを可能とする通信制御装置、等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、ロール紙に取り付けられ当該ロール紙に関する情報を格納するメモリと外部機器との通信のための通信制御装置が、前記ロール紙に装着される部材と、前記部材に備えられる、当該部材の識別情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶される識別情報を表示する表示手段と、前記メモリ及び前記外部機器と通信可能であり、前記外部機器からの要求に応答して、前記メモリに格納されている情報を読み出し、当該情報を前記記憶手段に記憶されている識別情報と関連付けて、前記要求元の外部機器に送信する通信手段とを有することである。
【0011】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記部材は、前記ロール紙が使用される際又は保管される際に、当該ロール紙を支持するための支持部材であることを特徴とする。
【0012】
更にまた、上記の発明において、好ましい態様は、更に、前記部材に設けられる、ユーザが前記識別情報を入力するための入力手段を有することを特徴とする。
【0013】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記外部機器から前記識別情報を入力して、前記記憶手段に記憶されることが可能であることを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、ロール紙の管理システムが、自らのロール紙関連情報を格納するメモリを備えたロール紙と、前記ロール紙の支持部材と、前記支持部材に備えられる、当該支持部材の識別情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶される識別情報を表示する表示手段と、前記メモリと通信可能であり、前記メモリに格納されている情報を読み出し、当該情報を前記記憶手段に記憶されている識別情報と関連付けて送信する通信手段とを備える通信制御装置と、前記通信制御装置と通信可能であり、前記通信制御装置を介して、装着されている前記ロール紙のメモリに格納されている情報を読み出すと共に、当該情報の更新を行う画像形成装置と、前記通信制御装置と通信可能であり、前記通信制御装置が送信する識別情報と関連付けられた情報を受信して表示する端末装置とを有することである。
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、自らのロール紙関連情報を格納するメモリを備えたロール紙を、前記メモリに格納された情報を集計して表示する端末装置を用いて管理する、ロール紙の管理方法において、前記メモリに格納された情報が、前記ロール紙に装着される支持部材に備えられた通信手段によって前記端末装置に送信され、前記端末装置に表示される前記情報が、前記送信された通信手段が備えられる前記支持部材の識別情報に関連付けられていることである。
【0016】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0018】
図1は、本発明を適用した通信制御装置を用いたロール紙管理システムの実施の形態例に係る構成図である。図1に示すスピンドル3及び保管用フランジ4が本実施の形態例における通信制御装置であり、ロール紙2に備えられるロール紙メモリ21と外部装置(プリンタ5、PC6)との通信を中継し、自らの識別情報(支持部材ID)とその時点で設置されている(支持している)ロール紙の情報を関連付けて外部装置に情報提供することにより、効率的で低コストなロール紙管理システム1を実現しようとするものである。
【0019】
本実施の形態例に係るロール紙管理システム1は、図1に示すように、用紙置場に置かれている又はプリンタ5に取り付けられている複数のロール紙2と、それらロール紙2の支持部材であり通信機能を有するスピンドル3及び保管用フランジ4と、ロール紙2を使用するプリンタ5(5a、5b)と、プリンタ5のホスト装置であると共にロール紙2情報の集計・表示を行うPC6(6a〜6d)などで構成される。また、ロール紙2の情報を一括して管理する管理サーバ10を設けてもよい。そして、これらは、ネットワーク9、無線のアクセスポイント8を介して、互いに通信可能に設けられる。
【0020】
ロール紙2は、一般的に用いられているロール紙に、当該ロール紙の各種情報を記憶したロール紙メモリ21が取り付けられているものであり、プリンタ5に取り付けられて印刷媒体として使用され、プリンタ5から取り外された際には用紙置場に保管される。そして、図1に示すように、プリンタ5に取り付けられる際には、その支持部材としてスピンドル3が装着され、用紙置場に保管される際には、その支持部材として保管用フランジ4が装着され保管箱7に入れられるか、スピンドル3が装着されてそのまま置かれる。
【0021】
スピンドル3及び保管用フランジ4は、本ロール紙管理システム1の主要な特徴部分であり、具体的な構成は後述するが、能動的な通信能力を有し(例えば、5m程度)、上記ロール紙メモリ21からの情報読み出し、当該メモリ21への情報書き込みは、これらを介して行われる。また、スピンドル3及び保管用フランジ4は、自らの識別情報である支持部材IDを記憶してロール紙メモリ21から読み出した情報に関連付けて送信すると共に、その支持部材IDをユーザに表示する部分を備えている。
【0022】
プリンタ5は、ロール紙2を用いる画像形成装置の一例であり、例えば、大型のインクジェット式プリンタである。本実施の形態例では、2台がネットワーク9に接続されて使用される。図1のプリンタ5aに示されるように、プリンタ5は、取り付けられるロール紙2及びスピンドル3と、制御部52及び機構部53を備えるプリンタ本体51等から構成される。
【0023】
制御部52は、いわゆるコントローラであり、CPU、ROM、RAM、ASIC等で構成される。制御部52は、プリンタ5の各所の動作を制御するが、印刷時には、PC6等から受信した印刷データに基づいて機構部53に印刷処理の指示を行なう。また、取り付けられたロール紙2に貼付されたロール紙メモリ21と、スピンドル3を介して通信し、ロール紙メモリ21に格納された各種情報の読出し及び更新等を行う。
【0024】
機構部53には、キャリッジに搭載されたヘッド部を駆動してインク吐出を行い印刷媒体(ロール紙2)上にドット形成を行う機構と、前記キャリッジを主走査方向に往復動させる機構と、供給されるロール紙2を搬送する機構とが備えられる。
【0025】
次に、PC6は、プリンタ5に対して印刷要求を行なうと共に、ロール紙2の情報を収集してユーザに表示するパーソナルコンピュータであり、本実施の形態例では、4台がネットワーク9に接続されて使用される。このPC6には、プリンタ5用のプリンタドライバ(図示せず)が備えられると共に、ロール紙2を管理するための管理用ユーティリティ61が備えられる。この管理用ユーティリティ61は、上記ロール紙情報の集計・表示の機能のほか、スピンドル3及び保管用フランジ4が有するメモリ(NVRAM346)に、支持部材IDを記憶させる機能を有する。なお、管理用ユーティリティ61は、処理内容を収めたプログラムと当該プログラムに従って処理を実行するCPU等によって構成される。
【0026】
アクセスポイント8は、例えば、IEEE802.15.4規格の無線通信に対応したアクセスポイントであり、PC6は、この通信範囲内にあるスピンドル3及び保管用フランジ4と通信可能となる。ネットワーク9は、例えばLANであり、アクセスポイント8、PC6、プリンタ5が接続される。
【0027】
このように構成される本ロール紙管理システム1では、前述の通り、スピンドル3及び保管用フランジ4に特徴を有し、以下、これらの具体的な構成について説明する。図2は、ロール紙2及びスピンドル3等の構成を示す図である。ロール紙2は、図2に示すように、中空円筒の芯材にロール紙が巻き付けられたものであり、ロール紙メモリ21が例えば芯材の内周面に貼付される。このロール紙メモリ21は、例えば、接触式の記憶素子であり、スピンドル3側のメモリコネクタ35と接触してスピンドル3側と交信する。また、このこのロール紙メモリ21には、貼付されているロール紙2の残量情報、紙種、サイズ(用紙幅)、シリアル番号などのロール紙関連情報が格納されている。なお、ロール紙メモリ21は、無線アンテナを有する非接触式の記憶素子で構成してもかまわず、その場合には、スピンドル3側も通信可能な対応する構成とする必要がある。
【0028】
スピンドル3は、ロール紙2をプリンタ5に取り付ける際に、ロール紙2内に挿入されて、ロール紙2の軸方向端部においてロール紙2を支持する。図2に示すように、スピンドル3は、テーパ軸31、フランジ32、及び本体側支持部33で構成される支持部材に、メモリコネクタ35、スピンドル送受信部36、アンテナ37等が設けられて構成される。
【0029】
テーパ軸31には軸方向に沿って設けられたガイド溝34があり、この溝の周方向の位置がロール紙メモリ21の位置と合うようにしてスピンドル3のテーパ軸31が挿入される。そうすると、前述のとおり、ロール紙メモリ21とメモリコネクタ35が接触して、スピンドル送受信部36とロール紙メモリ21とが通信可能となる。メモリコネクタ35と接続される、そのスピンドル送受信部36は、スピンドル3の通信機能を司る部分であり、その具体的な構成は後述するが、PC6からの要求に従って、ロール紙メモリ21内の情報を読み出し、自らが記憶する支持部材IDと共にその読み出した情報をPC6に送信する。また、プリンタ5からの要求に応じて、ロール紙メモリ21内の情報を読み出すと共に、ロール紙メモリ21内の情報を更新する。
【0030】
スピンドル送受信部36に接続されるアンテナ37は、フランジ32に設けられ、図2に示すように、スピンドル3がプリンタ5に取り付けられる場合には、対抗する位置にあるプリンタ本体51側のアンテナ55と交信する。また、スピンドル3が用紙置場にある場合には、前述したアクセスポイント8と交信する。
【0031】
また、支持部材ID表示部38は、当該スピンドル3の識別情報をユーザに目視可能とするものであり、例えば、フランジ32の見やすい場所にラベルとして貼付される。ここでは、「5」が、当該スピンドル3の支持部材IDであり、当該IDにより、本ロール紙管理システム1内の他のスピンドル3及び保管用フランジ4と識別される。この支持部材IDは、ロール紙2が有するシリアル番号とは関係なく、ユーザにより任意に設定することができ、このIDに基づいて、そのIDを有するスピンドル3又は保管用フランジ4が挿入されているロール紙2の存在と情報がユーザにより認識される、ことが本ロール紙管理システム1の一つの大きな特徴である。
【0032】
次に、図2の右側に示される部分は、スピンドル3との通信に係るプリンタ本体51側の装置を示している。スピンドル受け54は、ロール紙2をプリンタ5に装着する際に前記スピンドル3の本体側支持部33が置かれる部分である。また、アンテナ55は、前記アンテナ37と対向する位置に設けられたプリンタ本体51側のアンテナである。本体側送受信機56は、当該アンテナ55に接続され、前述した制御部52とロール紙メモリ21との間で行なわれる通信のための本体側の送受信装置である。
【0033】
図3は、ロール紙2及び保管用フランジ4等の構成を示す図である。保管用フランジ4は、ロール紙2をプリンタ5から取り外して、用紙置場に保管する際に、ロール紙2内に挿入されて、ロール紙2の軸方向端部においてロール紙2を支持する。この場合、ロール紙2は、保管箱7に入れられて保管される。
【0034】
図3に示すように、保管用フランジ4は、テーパ軸41、及びフランジ42で構成される支持部材に、メモリコネクタ45、保管用フランジ送受信部46、アンテナ47等が設けられて構成される。
【0035】
スピンドル3の場合と同様に、テーパ軸41には、軸方向に沿って設けられたガイド溝44があり、この溝の周方向の位置がロール紙メモリ21の位置と合うようにしてテーパ軸41が挿入される。そうすると、ロール紙メモリ21とメモリコネクタ45が接触して、保管用フランジ送受信部46とロール紙メモリ21とが通信可能となる。メモリコネクタ45と接続される、その保管用フランジ送受信部46は、保管用フランジ4の通信機能を司る部分であり、その具体的な構成は後述するが、PC6からの要求に従って、ロール紙メモリ21内の情報を読み出し、自らが記憶する支持部材IDと共にその読み出した情報をPC6に送信する。
【0036】
保管用フランジ送受信部46に接続されるアンテナ47は、フランジ42に設けられ、前述したアクセスポイント8と交信する。また、支持部材ID表示部48は、スピンドル3の支持部材ID表示部38と同様に、当該保管用フランジ4の識別情報(この例では、「6」)を表示するラベルである。保管箱用ラベル71は、保管箱7に貼付される当該保管用フランジ4と同一の識別情報を表示するラベルである。
【0037】
図4は、スピンドル送受信部36及び保管用フランジ送受信部46の構成を例示した図である。スピンドル送受信部36と保管用フランジ送受信部46は、どちらも同様の構成をしており、図4に示すように、ロール紙メモリインターフェース341、CPU342、RFトランシーバ343、ROM344、RAM345、及びNVRAM346を備える。
【0038】
ロール紙メモリインターフェース341は、前述したメモリコネクタ35、45を介してロール紙メモリ21と接続された際に、当該メモリ21に対して読み書きをするためのインターフェースである。CPU342は、当該送受信部36、46が行う通信処理を制御する部分であり、主に、PC6又はプリンタ5の制御部52からの要求に応答してロール紙メモリ21の情報を読み出して要求元に返信する処理、上記制御部52から送られる情報に基づいてロール紙メモリ21内の情報を書き換える処理等を制御する。ROM344には、上記CPU342が行なう処理を指示するプログラムなどが収められ、RAM345には、処理過程で保持が必要なデータが一時的に格納される。また、NVRAM346には、そのスピンドル3又は保管用フランジ4の支持部材IDが記憶される。ここに記憶される支持部材IDは、後述する手順により、PC6からユーザにより入力されて設定される。RFトランシーバ343はアンテナ37、47と接続され、PC6又はプリンタ5側と通信をする際に用いられる。
【0039】
また、図4に示す支持部材ID表示部38、48は、前述のように、そのスピンドル3又は保管用フランジ4の支持部材IDを表示するラベルであるが、前記CPU342と接続されるLCD等の表示装置として構成してもよい。かかる場合には、NVRAM346に記憶された支持部材IDがCPU342により当該表示装置に表示され、ユーザはラベルを貼ることなく、この表示内容により識別を行なうことができる。また、PC6側からの操作によって、前記記憶されるIDが変更された場合には、それに伴い、表示内容も変更される。従って、当該表示装置を用いることにより、ユーザによるラベルの貼り付け及び貼り換えの作業を省くことができる。
【0040】
さらに、当該支持部材ID表示部38、48を、CPU342と接続される入力・表示装置として構成してもよい。すなわち、上記表示装置に更に入力装置を加えた構成とすることもできる。ユーザは、この入力装置から、前述した支持部材IDを入力し、CPU342が入力されたIDをNVRAM346に格納すると共に、表示装置に表示をする。このように構成することにより、ユーザは、上記指示部材IDの設定・変更をスピンドル3又は保管用フランジ4に対して直接行なうことができる。この入力・表示装置は、例えば、表示されている数字をユーザ操作により変更可能なダイアル式の装置で実装することもできる。この場合には、ユーザ操作により表示内容が変更されるので、CPU342は、NVRAM346への格納を行えばよい。
【0041】
以上説明したような構成を有する本実施の形態例に係るロール紙管理システム1では、各処理の実行時に以下のような手順と内容で処理が行なわれる。
【0042】
まず、前述した支持部材IDの設定処理について説明する。ユーザが、所定のプリンタ5(例えば、図1のプリンタ5a)にセットされているスピンドル3にID設定をする場合には、PC6の管理用ユーティリティ61を起動し、上記プリンタを指定した上で、設定するIDを入力する。入力されたIDはID設定コマンドとして、管理用ユーティリティ61からプリンタ5の制御部52にネットワーク9を介して送信される。当該コマンドを受信した制御部52は、前述した本体側送受信機56、アンテナ55を介して当該コマンドをスピンドル3に送信する。スピンドル3のスピンドル送受信部36は、当該コマンドをアンテナ37を介して受信し、前述のとおり、CPU342がNVRAM346にIDを設定する。
【0043】
また、ユーザが、用紙置場に保管されている所定のスピンドル3又は保管用フランジ4に対してIDの設定を行う場合には、同様に、PC6の管理用ユーティリティ61を起動し、上記IDを設定しようとしているスピンドル3又は保管用フランジ4の送受信部36、46のアドレスを指定した上で、設定するIDを入力する。入力されたIDはID設定コマンドとして、管理用ユーティリティ61からネットワーク9、アクセスポイント8を介して送信される。当該コマンドは、前記アドレスの送受信部36、46によって受信され、CPU342によってIDがNVRAM346に設定される。
【0044】
なお、一度かかる設定処理が行なわれた後に、異なるIDの入力による同様の処理を行うことにより、NVRAM346に記憶されている支持部材IDを変更することができる。
【0045】
次に、ロール紙情報の集計・表示処理について説明する。かかる処理は、ユーザが、ロール紙の在庫状況を調べる際などに用いられる。図5は、ロール紙の集計・表示処理の手順を例示したフローチャートである。まず、ユーザが、PC6の管理用ユーティリティ61を起動し、在庫情報の表示指示を行う。この指示を受信して(ステップS1)、管理用ユーティリティ61は、探索コマンドを全てのスピンドル送受信部36及び保管用フランジ送受信部46に対して送信する(ステップS2)。当該送信は、用紙置場にあるスピンドル3及び保管用フランジ4に対しては、アクセスポイント8を介して行われ、プリンタ5にセットされているスピンドル3に対しては、ネットワーク9及び制御部52を介して行われる。
【0046】
探索コマンドを受信した送受信部36、46は(ステップS3)、それぞれ、対応するロール紙2のロール紙メモリ21にアクセスして、当該メモリ21に収められているロール紙関連情報を読み出す(ステップS4)。それに応答して、ロール紙メモリ21からロール紙関連情報が出力されて(ステップS5)、各送受信部36、46に送られる。
【0047】
その後、各送受信部36、46は、読み出したロール紙関連情報と、自らのNVRAM346に記憶される支持部材IDとを関連付けて、双方を、衝突を回避しながら前記探索コマンドを送信したPC6に対して送信する(ステップS6)。かかる送信は、前記探索コマンドの送信の場合と同様に、アクセスポイント8又はプリンタ5の制御部52を介して行われる。
【0048】
送信された各ロール紙関連情報はPC6で受信され(ステップS7)、管理用ユーティリティ61は、それら支持部材IDが付いたロール紙関連情報を集計して(ステップS8)、所定の形式でユーザに対して表示する(ステップS9)。例えば、支持部材IDを先頭としたリスト形式や表形式で各ロール紙2の情報を表示する。
【0049】
ユーザは、表示された情報により、所望のロール紙の有無や各ロール紙の消費(在庫)状態等を確認することができる。また、当該表示される情報から所望のロール紙2が探索された場合、その情報に関連付けられている支持部材IDから、そのロール紙2を容易に見つけることができる。前述のとおり、各スピンドル3及び保管用フランジ4には、各支持部材IDが表示されているので(支持部材ID表示部38、48)、ユーザは、上記表示された情報の支持部材IDと一致する表示がなされているスピンドル3又は保管用フランジ4を見つけ、それに支持されているロール紙2を所望のロール紙2と判断すればよい。
【0050】
なお、管理サーバ10を設けて、ロール紙2に関する管理を一括して行わせる場合には、管理サーバ10が、所定の更新タイミングで、前述した管理用ユーティリティ61が行なう、探索コマンドの送信から情報の集計までの処理を行い、その集計した最新情報を保持するようにしてもよい。この場合、ユーザは、PC6から管理サーバ10に問い合わせて、管理サーバ10が保持する前記情報からロール紙の在庫情報等を得るようにする。
【0051】
次に、本ロール紙管理システム1におけるプリンタ5に関する処理内容を説明する。図6は、プリンタ5で印刷処理がなされた際の処理手順を例示したフローチャートである。プリンタ5の制御部52は、プリンタ5の電源が投入された(ONにされた)際、あるいはロール紙2が交換された際などに、取り付けられているロール紙2のロール紙メモリ21にアクセスし、そこに記憶されるロール紙関連情報を読み出す。かかる通信処理では、前述のスピンドル3の送受信部36によって中継される。読み出した情報は、制御部52内のRAM(図示せず)に保持される。
【0052】
この状態で、プリンタ5がPC6等からの印刷要求を受けて印刷処理を開始すると(ステップS11)、前記RAMに保持した情報を用いた印刷処理が実行される。そして、プリンタ5では、制御部52が、この印刷処理で使用されたロール紙2の消費量を検出し(ステップS12)、前記RAMに読み込んでおいたロール紙メモリ21の残量情報と、当該検出した消費量から新たな用紙残量を算出する(ステップS13)。
【0053】
その後、制御部52は、算出した用紙残量の書き込みコマンドをスピンドル送受信部36に送信する(ステップS14)。スピンドル送受信部36は、当該コマンドを受信して(ステップS15)、新たな用紙残量をロール紙メモリ21へ書き込む(ステップS16)。当該処理により、ロール紙メモリ21の残量情報が新たな情報に更新される(ステップS17)。
【0054】
このようにして、ロール紙メモリ21に記憶される情報のうち更新されるべき情報については、適宜情報更新がなされ、前述したロール紙情報の集計・表示においては、更新された情報が用いられることになるので、ユーザは、その時点で最新の正しい情報を得ることができ正しい判断を行うことができる。
【0055】
以上説明したように本実施の形態例に係るロール紙管理システム1では、プリンタ5に取り付けられているロール紙2及び保管されているロール紙2に、それぞれ、装着されているスピンドル3又は保管用フランジ4が通信機能を有し、ロール紙2に付けられたメモリ21とPC6、プリンタ5などの外部装置との通信を中継する。従って、ロール紙メモリ21を安価なICタグ等で構成することができ、外部装置も高出力・高感度にする必要がない。よって、本ロール紙管理システム1を用いることにより、在庫管理を含むロール紙2の管理を低コストで実現することができる。
【0056】
また、スピンドル3及び保管用フランジ4の送受信部36、46は、その時に支持しているロール紙2の情報に自分のIDを関連付けて外部機器へ送信する。従って、ロール紙2の交換等が行われても、実物のロール紙2と支持部材との関係が、情報においても自動的に反映され(保たれ)、ユーザを煩わすことなく正しいロール紙管理を行うことができる。さらに、ロール紙2の情報が、その時点でそれに装着されている支持部材に表示されているその支持部材のIDで識別され、当該支持部材IDをユーザが所望の内容で容易に設定、変更できるので、ロール紙2の探索をわかりやすいIDにより容易に行うことが可能となる。
【0057】
なお、本実施の形態例では、ロール紙2が使用される画像形成装置がプリンタであったが、本発明を複写機等他の画像形成装置に適用することもできる。
【0058】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明を適用した通信制御装置を用いたロール紙管理システムの実施の形態例に係る構成図である。
【図2】ロール紙2及びスピンドル3等の構成を示す図である。
【図3】ロール紙2及び保管用フランジ4等の構成を示す図である。
【図4】スピンドル送受信部36及び保管用フランジ送受信部46の構成を例示した図である。
【図5】ロール紙の集計・表示処理の手順を例示したフローチャートである。
【図6】プリンタ5で印刷処理がなされた際の処理手順を例示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1 ロール紙管理システム、 2 ロール紙、 3 スピンドル、 4 保管用フランジ、 5 プリンタ、 6 PC(端末装置)、 7 保管箱、 8 アクセスポイント、 9 ネットワーク、 10 管理サーバ、 21 ロール紙メモリ、 31 テーパ軸、 32 フランジ、 33 本体側支持部、 34 ガイド溝、 35 メモリコネクタ、 36 スピンドル送受信部(通信手段)、 37 アンテナ、 38 支持部材ID表示部(表示手段)、 41 テーパ軸、 42 フランジ、 44 ガイド溝、 45 メモリコネクタ、 46 保管用フランジ送受信部(通信手段)、 47 アンテナ、 48 支持部材ID表示部(表示手段)、 51 プリンタ本体、 52 制御部、 53 機構部、 54 スピンドル受け、 55 アンテナ、 56 本体側送受信機、 61 管理用ユーティリティ、 71 保管箱用ラベル、 341 ロール紙メモリインターフェース、 342 CPU、 343 RFトランシーバ、 344 ROM、 345 RAM、 346 NVRAM(記憶手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙に取り付けられ当該ロール紙に関する情報を格納するメモリと外部機器との通信のための通信制御装置であって、
前記ロール紙に装着される部材と、
前記部材に備えられる、
当該部材の識別情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される識別情報を表示する表示手段と、
前記メモリ及び前記外部機器と通信可能であり、前記外部機器からの要求に応答して、前記メモリに格納されている情報を読み出し、当該情報を前記記憶手段に記憶されている識別情報と関連付けて、前記要求元の外部機器に送信する通信手段とを有する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記部材は、前記ロール紙が使用される際又は保管される際に、当該ロール紙を支持するための支持部材である
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2において、更に、
前記部材に設けられる、ユーザが前記識別情報を入力するための入力手段を有する
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、
前記外部機器から前記識別情報を入力して、前記記憶手段に記憶されることが可能である
ことを特徴とする通信制御装置。
【請求項5】
自らのロール紙関連情報を格納するメモリを備えたロール紙と、
前記ロール紙の支持部材と、前記支持部材に備えられる、当該支持部材の識別情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶される識別情報を表示する表示手段と、前記メモリと通信可能であり、前記メモリに格納されている情報を読み出し、当該情報を前記記憶手段に記憶されている識別情報と関連付けて送信する通信手段とを備える通信制御装置と、
前記通信制御装置と通信可能であり、前記通信制御装置を介して、装着されている前記ロール紙のメモリに格納されている情報を読み出すと共に、当該情報の更新を行う画像形成装置と、
前記通信制御装置と通信可能であり、前記通信制御装置が送信する識別情報と関連付けられた情報を受信して表示する端末装置とを有する
ことを特徴とするロール紙の管理システム。
【請求項6】
自らのロール紙関連情報を格納するメモリを備えたロール紙を、前記メモリに格納された情報を集計して表示する端末装置を用いて管理する、ロール紙の管理方法であって、
前記メモリに格納された情報が、前記ロール紙に装着される支持部材に備えられた通信手段によって前記端末装置に送信され、
前記端末装置に表示される前記情報が、前記送信された通信手段が備えられる前記支持部材の識別情報に関連付けられている
ことを特徴とするロール紙の管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−261132(P2007−261132A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−90388(P2006−90388)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】