説明

通信装置

【課題】 簡単な構成で電子機器の調整検査を行う。
【解決手段】 調整検査を行う調整用コンピュータ装置1と、被調整検査機器としての画像表示装置3との間で調整検査コマンドデータ及び調整検査結果を送受信する通信装置2とで構成し、複数の通信方式に対応する通信方式プログラム及び画像表示装置3に対応する通信方式プログラムを判別する通信方式判別プログラムとを格納してある半導体メモリ24と、通信方式プログラム及び通信方式判別プログラムの実行及び通信制御を行うマイクロコンピュータ21と、調整用コンピュータ装置1から調整検査コマンドデータを受信し、調整用コンピュータ装置1に調整検査結果を送信するUSB端子22と、画像表示装置3に調整検査コマンドデータを送信し、画像表示装置3からの調整検査結果を受信する少なくとも2つ以上の通信方式にそれぞれ対応する少なくとも2つ以上のコネクタグループ23とを備え、画像表示装置3の調整検査を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテレビジョン受像機等の電子機器の調整検査工程において、調整用コンピュータ装置と被調整電子機器との間に設置し、調整検査データの通信を行う通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばテレビジョン受像機のような電子機器に対して、その製造上の瑕疵を見つけるためには、所定の動作確認を行う必要があり、製造工程段階又は製品出荷前等において、各種の調整検査が実施される。このとき、例えば電子機器に内蔵した電気的に書き換え可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)に対して、外部から各種調整検査データの書き込みを行うようにした調整検査工程がある。
【0003】
この場合、調整検査データの送信、制御を行う調整用コンピュータ装置と、調整検査が行われる被調整電子機器とを相互通信可能な通信ケーブルや、所定の通信方式に対応するインタフェースを備えた通信装置等で接続して調整検査システムを構成する。検査担当者は、調整用コンピュータ装置を操作して、調整用コンピュータ装置から検査対象となる被調整電子機器に対して各種の調整検査データ、コマンド等を送信し、通信装置に供給する。通信装置は、調整用コンピュータ装置と被調整電子機器にそれぞれ対応したインタフェースを有しており、所定の通信方式にデータを変換後、被調整電子機器にデータを送出する。被調整電子機器はこれらの調整検査データ、コマンド等を受信して所定の処理、動作を行う。そして、被調整電子機器から得られた結果信号を調整用コンピュータ装置に送信し、調整用コンピュータ装置で分析して、被調整電子機器の処理が適正に行われているかどうかを検査していた。また、テレビジョン受像機や液晶ディスプレイ等の画像表示装置においては、画面にテスト画像や色パターン等を表示させることで、画面の輝度、色度ムラ等を検出し、補正データを調整用コンピュータ装置から送信して、画面の調整を行うようにしていた。
【0004】
特許文献1には、テレビジョン受像機の画質調整検査技術についての記載がある。
【特許文献1】特開平9−18899号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、様々な種類の画像表示装置が提供されているため、種類毎に必要とされる通信仕様やコマンド、データのフォーマット等が被調整電子機器毎に異なることがある。このため、画像表示装置と通信を行うための通信装置は、調整検査対象となる被調整電子機器の通信仕様が異なる毎に、新たに作成して用いるようにしていた。さらに、以前使用していた通信装置を使用する為に、通信装置を保管しておく必要があり保管コストがかかっていた。
【0006】
このように画像表示装置ごとに通信装置を作成すると、通信装置の種類が増えていくばかりか、保管しておくための手間も増えてしまうという問題があった。更に、生産現場、あるいは通信装置を使用して画像表示装置の修理を行うサービス現場等においては、画像表示装置と通信装置の組み合わせを管理しなければ適切に対応することができない。また、同じ通信方式を用いる電子機器であっても、コマンドやデータのフォーマットが複数存在することから、必要とされる通信方式、コマンド、データのフォーマット等を予め管理しておく必要がある。このような管理ができなければ、適切な調整検査データを作成する事が困難となるため、必要な調整検査を行うことができなくなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、複数種類の通信方式に対応した被調整電子機器の調整検査を簡単な構成で行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定の調整検査が行われる被調整検査機器と、データベースに格納した所定の通信方式及び調整検査データより被調整検査機器に対応する調整検査コマンドデータを編集し、調整検査コマンドデータを送信して被調整検査機器の調整検査を行う調整用コンピュータ装置との間で調整検査コマンドデータ及び調整検査結果を送受信する場合に、複数の通信方式に対応する通信方式プログラム及び被調整検査機器に対応する通信方式プログラムを判別する通信方式判別プログラムとを格納してある記憶部と、通信方式プログラム及び通信方式判別プログラムの実行及び通信制御を行う制御部と、調整用コンピュータ装置から調整検査コマンドデータを受信し、調整用コンピュータ装置に調整検査結果を送信する第1の接続部と、被調整検査機器に調整検査コマンドデータを送信し、被調整検査機器からの調整検査結果を受信する少なくとも2つ以上の通信方式にそれぞれ対応する少なくとも2つ以上の第2の接続部とを備える。
【0009】
このようにしたことで、被調整検査機器毎に対応する通信方式で調整検査の実施及び調整検査結果の取得が行えるようになった。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の通信方式に対応する複数の接続部を備えた1台の通信装置を用いることで、被調整検査機器の種類ごとに調整検査の実施及び調整検査結果の取得が行えるため、複数の通信装置を用意する必要がないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を、添付図面を参照して説明する。本実施の形態では、画像表示装置としてテレビジョン受像機の製造工程の内、調整検査工程において、調整用コンピュータ装置から各種の調整検査データ、コマンドを、通信装置を介して画像表示装置に送信し、調整検査を行うシステムに適用した例としてある。
【0012】
まず、本例のシステム構成例について説明する。図1は、本例のテレビジョン受像機の調整検査工程における各装置の接続例を示したブロック図である。調整担当者が調整データ、コマンド等の送信を行う調整用コンピュータ装置1と、複数の通信方式にそれぞれ対応した複数のコネクタを備えた通信装置2と、調整検査が行われる画像表示装置として液晶ディスプレイパネルを備えたテレビジョン受像機3とが所定の通信方式に準拠した通信ケーブルを用いて接続してあり、このような構成を調整検査システム100としている。
【0013】
調整用コンピュータ装置1には、大容量記録装置としてハードディスクドライブ11が内蔵してありテレビジョン受像機3に対する調整検査結果、テストデータ、調整データ、パラメータ、調整検査用プログラム等が保存してある。また、ハードディスクドライブ11には、調整検査を行う機種ごとに異なる通信仕様、コマンドの送受信フォーマットを管理する機種別通信仕様管理データベース11aが構成してあり、調整検査を行う画像表示装置3の種類に応じて適切な通信方式、調整データ、テストデータ、パラメータ等を供給する。半導体メモリ12は、例えばEEPROM等で構成される書き換え可能な記憶媒体であり、ハードディスクドライブ11から読み出した各種の調整検査用プログラムを格納する。操作者はキーボード等を備えた操作部15より、調整用コンピュータ装置1に対して調整検査の実行操作を行う。調整検査用プログラムには、画像表示装置に対して特定の操作を行う際、必要となる全てのコマンド群を編集するコマンドデータ編集処理プログラム12a、通信装置2と通信制御を行う通信プログラム12b、操作者からの操作コマンドを受け付け、解釈する操作コマンド受付プログラム12cがあり、それぞれ実行される。ハードディスクドライブ11と半導体メモリ12は、調整用コンピュータ装置1内の内部バスで接続されている。
【0014】
CPU(Central Processing Unit)13は、ハードディスクドライブ11からのデータ読み出し/書き込み、機種別通信仕様管理データベース11aからのコマンド、パラメータ等の読み出し、調整検査用プログラムの実行等の制御、USB(Universal Serial Bus)方式の通信データの変換、通信装置2に対するデータ送受信の制御等の処理を行う。調整検査用データは、USB端子14より、USB方式の通信ケーブルを介して通信装置2に供給される。
【0015】
複数の通信仕様にそれぞれ対応する複数のコネクタを備えた通信装置2は、調整用コンピュータ装置1より、USBケーブルで接続されたUSB端子14とUSB端子22を介してコマンド、パラメータ、調整データ等を送受信する。通信装置2は、電源端子25より外部から直流電源の供給を受ける。また、複数の通信仕様に対応したコネクタ23a〜23dを設置してある。コネクタ23a〜23dは、例えば、通信速度の異なるUART(RS−232C)、IIC方式のコネクタとしている。なお、画像表示装置の種類によっては、オーディオケーブルを使用する場合があるため、オーディオケーブル用入出力端子23eを用意してあり、コネクタ23a〜23d及びオーディオ端子23eをコネクタグループ23としている。
【0016】
そして、書き換え可能な半導体メモリ24には、通信方式A〜D用のプログラム24a〜24dが格納してある。プログラム等の実行制御を行うマイクロコンピュータ21は、調整用コンピュータ装置1から供給されたデータフォーマットを解析し、要求される通信方式に応じた通信プログラムにデータを渡すための通信方式判別プログラム24eで必要な調整検査データ、コマンドを判別し、画像表示装置3に送信する。
【0017】
画像表示装置3は、所定の通信方式に準ずるコネクタ31に対応して、コネクタグループ23のいずれかのコネクタとケーブル接続し、調整検査コマンド、パラメータを受信する。また、コネクタ31から接続したコネクタグループ23のいずれかのコネクタに対して結果データを送信する。処理を制御するマイクロコンピュータ32は、画像表示装置3内の処理を実行、制御したり、プログラム、パラメータ等を保存してある書き換え可能なRAM(Random Access Memory)33、EEPROM34のメモリ管理を行ったりする。EEPROM34には各種テーブル(本例では、後述するテーブル1,2,3)、レジスタ等が格納されており、マイクロコンピュータ32が稼動している時は、EEPROM34からデータが読み出されてRAM33に置かれる。液晶パネルディスプレイを備えた表示部35は、調整用コンピュータ装置1から供給される調整検査コマンド、データより、所定の色パターンの表示等の調整検査が行われる。
【0018】
画像表示装置3の調整検査結果は、コネクタ31より、通信装置2のコネクタグループ23のいずれかのコネクタに送信される。そして、調整検査結果は、USBフォーマットに変換され、USB端子22より調整用コンピュータ装置1のUSB端子14に送信される。調整用コンピュータ装置1のCPU13では、調整検査結果を図示しないデータベースに保存する。操作者は、液晶ディスプレイパネルを供えた表示部16に調整検査結果を表示させ、結果の合否判定を行う。なお、数値データの場合は、予め定めた閾値内を合格とし、閾値を超過した場合に不合格とするような自動判定処理を行うようにする。
【0019】
次に、通信装置2の外部構成例を図2を参照して説明する。図2において、既に説明した図1に対応する部分には同一符号を付す。複数の通信方式にそれぞれ対応する複数のコネクタを備えた通信装置2を介して、調整用コンピュータ装置1は、画像表示装置3に各種のコマンド、データ、パラメータ等を送出する。本例の通信装置2は、直方体形状であり、通信装置2の側面にコネクタ、接続端子が設けてあり、所定の通信ケーブルと接続可能としてある。
【0020】
通信装置2の側面には、USB端子22と外部からの直流電源を入力する電源端子25を設ける。調整用コンピュータ装置1のUSB端子14とUSBケーブルで接続することにより、画像表示装置3に対してコマンド、データの送受信を行う。そして、通信装置2の正面には、2種類のIIC通信用コネクタを設ける。コネクタ23aには、通常用いられるIIC通信用ケーブルを接続する。ここで、画像表示装置3の種類によっては、S端子を使用する場合があるので、コネクタ23bは、S端子としてある。
【0021】
また、通信装置2の正面には、通信速度の異なるUART通信用コネクタを設ける。UART−Aコネクタ23cは、UART(RS−232C)を使用して画像表示装置3と通信を行う際に使用する。通信速度は複数種類を選択可能であり、例えば9,600bps又は38,400bpsで切り替え可能としている。但し、115,200bpsでの通信速度は保証しない。同様に、UART−Bコネクタ23dも、UART(RS−232C)を使用して画像表示装置3と通信を行う際に使用する。通信速度は、例えば115,200bpsの固定とし、通信速度の切り換えは行わないようにする。また、画像表示装置1の種類によっては、オーディオケーブルを使用する場合があるため、オーディオケーブル用入出力端子23eを設けている。
【0022】
次に、通信仕様管理データベース11aに登録してあるデータベース1〜3の登録内容を図3を参照して説明する。図3(a)のデータベース1には、各種類の画像表示装置3に対して用いられる通信タイプ、コマンドデータタイプ、どのデータをアクセスするかの情報が格納してある。
【0023】
画像表示装置3に対して、操作者が、データの書き込み(LOAD)を行う場合は、調整用コンピュータ装置1で、書き込み操作をオペレータが選択し、書き込みに必要な通信タイプ、コマンドデータ=(コマンドデータタイプ+操作を行うテーブルの種類)が通信装置2に対して送られる。
【0024】
データベース1には、画像表示装置3の種類ごとに名称を規定する「画像表示装置名」フィールド、画像表示装置毎の通信方式を規定する「通信タイプ」フィールド、テーブル又はレジスタ毎にデータの書き込み(LOAD)/読み出し(SAVE)に対応する送受信フォーマットを規定する「コマンドデータタイプ」フィールド、データの書き込み(LOAD)/読み出し(SAVE)を行うテーブルを規定する「LOAD/SAVE」フィールド、色調整を行う際に使用するレジスタを規定する「色調整」フィールドで構成してある。なお、「色調整」フィールドのレジスタを全て、「レジスタ1」としてあるが、画像表示装置の種類によっては、そのレジスタ値は異なる場合がある。このデータベース1により、異なる種類の画像表示装置に対して適切な通信方式を用いてテーブル又はレジスタに対してデータの書き込み、読み出しを行うことが可能となる。
【0025】
なお、テーブルとは、データが表形式で複数格納されている領域であり、テーブルに格納されているデータ全てを一括してアクセス可能である。一方、レジスタとは、データが一つだけ格納されている領域であり、レジスタに格納されているデータは一つずつアクセス可能である。
【0026】
図3(b)のデータベース2には、通信タイプ毎に通信方式、通信速度を格納されている。データベース2は、通信タイプA〜Fを規定する「通信タイプ」フィールド、UART又はIICの通信方式を規定する「通信方式」フィールド、通信速度を規定する「通信速度」フィールドで構成してある。データベース2の「通信タイプ」フィールドは、データベース1の「通信タイプ」フィールドに従属している。
【0027】
図3(c)のデータベース3には、コマンドデータタイプ毎に機能及び送受信コマンド別のデータフォーマットが格納されている。データベース3は、コマンドデータタイプT1〜T3を規定する「コマンドデータタイプ」フィールド、テーブル又はレジスタに対してそれぞれ書き込み/読み出しを規定する「機能」フィールド、テーブル又はレジスタに対する送信データのフォーマットを規定する「送信フォーマット」フィールド、テーブル又はレジスタに対する受信データのフォーマットを規定する「受信フォーマット」フィールドから構成してある。データベース3の「コマンドデータタイプ」フィールドは、データベース1の「コマンドデータタイプ」フィールドに従属している。なお、上述したコマンドデータ編集処理プログラム12aは、データベース3の送受信フォーマットに示したようなコマンド種類全てを登録するために使用する編集プログラムである。
【0028】
通信装置2は、コマンドタイプを登録する機能、通信方式を登録する機能、コマンドタイプ、通信方式を組み合わせて、画像表示装置別の操作内容を登録する機能を有する。そして、画像表示装置別の操作内容とは、例えば、画像表示装置3が「AAA−1」の時は、テーブル1,2,3に対してアクセスするにはコマンドデータタイプT1を使用し、通信タイプA(本例では、UART)を使用する。一方、画像表示装置3が「AAA−2」の時は、テーブル1に対してアクセスするにはデータタイプT2を使用し、通信タイプAを使用する、といった処理を意味する。
【0029】
次に、調整用コンピュータ装置1と通信装置2の間における通信時のデータフォーマットの例を図4を参照して説明する。
【0030】
通信時のデータフォーマットは、通信タイプA〜Fのいずれかを格納する「通信タイプ」フィールド、コマンドデータ編集処理プログラム12aで編集されたコマンドを格納する「コマンドデータ」フィールド、通信データの終端を示す「ENDマーク」フィールドから構成してある。データフォーマットは、例えば、CSV(Comma Separated Value)型の文字列データであり、「コマンドデータ」フィールドは、可変長である。このため、図3(c)のデータベース3で規定した送受信フォーマットに基づくコマンドデータを、レコード単位で過不足なく格納することが可能である。データ中の各フィールドは、例えば、デリミッタ“,:カンマ”により識別される。
【0031】
次に、調整用コンピュータ装置1の画像表示装置3に対する調整検査の処理例について図5を参照して説明する。図5は、調整用コンピュータ装置1の操作手順及び処理手順を示すフローチャートである。
【0032】
まず、操作者は調整用コンピュータ装置1を操作して、データベース11aより、操作対象となる画像表示装置3を選択する(ステップST1)。そして、各データベースより選択された画像表示装置3のデータを取得する(ステップST2)。その後、操作者は実行したい操作(テーブル又はレジスタに対するデータの読出し/書込み等)を選択する(ステップST3)。
【0033】
ステップST3で選択された操作機能の判別を行う(ステップST4)。そして、操作別コマンドを判断し、コマンドを生成する。このとき、テーブル読み出しコマンドの生成(ステップST5)、テーブル書き込みコマンドの生成(ステップST6)、レジスタ読み出しコマンドの生成(ステップST7)、レジスタ書き込みコマンドの生成(ステップST8)を、それぞれ選択された操作に応じて行う。
【0034】
調整用コンピュータ装置1は、コマンドデータ編集処理プログラム12aにより編集したコマンドデータを、図4に示したデータフォーマットで通信装置2に送信する(ステップST9)。その後、通信装置2からのコマンド受信完了メッセージが戻るまで、コマンド送信の完了を待つ(ステップST10)。コマンド送信の完了確認後は、画像表示装置3に送信されたコマンドによる実行完了メッセージが戻るまで、実行完了を待つ(ステップST11)。そして、画像表示装置3でのコマンドの実行結果と実行完了メッセージを通信装置2より受信して、結果を調整用コンピュータ装置1の表示部16に表示する(ステップST12)。
【0035】
次に、調整用コンピュータ装置1からコマンドデータを受信し、画像表示装置3に送信する通信装置2の処理例について図6を参照して説明する。図6は通信装置2の処理手順を示すフローチャートである。
【0036】
まず、調整用コンピュータ装置1からのコマンド受信を待つ(ステップST21)。そして、コンピュータ装置1から受信したコマンドを解析し、調整検査を行う画像表示装置3に対応した通信タイプを選択する(ステップST22)。通信タイプAによる送信(ステップST23)、通信タイプBによる送信(ステップST24)、通信タイプCによる送信(ステップST25)、通信タイプDによる送信(ステップST26)のいずれかに分岐して、受信したコマンドをそれぞれの通信タイプに合わせて変換し、画像表示装置3に送信する。
【0037】
そして、通信装置2は、画像表示装置3からの処理結果を待つ(ステップST27)。通信装置2は、画像表示装置3からの処理結果を受信後、調整用コンピュータ装置1に対して画像表示装置3の処理結果を送信する(ステップST28)。
【0038】
次に、ユーザが調整検査を行う場合に用いる調整用コンピュータ装置1の操作例を図7を参照して説明する。図7は、画像表示装置3の調整検査を行う際に用いられるユーザインタフェースとなる調整用コンピュータ装置1の操作画面の例である。
【0039】
図7(a)は、画像表示装置3の選択画面例である。操作者は、調整対象である画像表示装置3をこの画面より選択可能である。図7(a)の選択画面では、画像表示装置3の種類を規定する「画像表示装置名称」フィールド31、コマンドタイプを規定する「コマンドタイプ」フィールド32を表示してある。ユーザは調整検査を行う画像表示装置3の種類を選択することで、通信装置2は選択された画像表示装置3に対して適切な通信方式を選択し、調整検査を行うための通信が可能となる。
【0040】
図7(b)は、通信方式の登録画面例である。ユーザは、通信方式の追加、変更、削除を指定する編集ボタン36を用いて必要となる通信方式を編集できる。決定ボタン35は、ユーザが行った通信方式の編集処理に対して、「OK」又は「キャンセル」を指定する。そして、例えば「ECS(9600)」は、ECSコマンドにて9,600bps通信を行う、また、「ECS2(9600)」は、ECS2コマンドにて9,600bps通信を行うことを意味する。操作者は、これらのタイトルを指定して、実際の通信の種類、通信速度等のデータ設定を行う。
【0041】
このように、複数種類の通信方式に対応した通信装置を用いて、複数種類の電子機器に対する調整検査を行うことが可能となった。
【0042】
以上説明した本実施の形態によると、複数種類の通信方式に対応した1台の通信装置に画像表示装置を接続し、調整検査を行うようにしたことで、いくつもの通信装置を管理したり、画像表示装置に合わせて通信装置を選択し、取り替える必要が無くなり、作業の効率向上を図ることが可能となるという効果がある。
【0043】
また、データ作成機能を使用する事により、通信仕様別に異なる複数の操作コマンドを一つにまとめる事でデータ管理を容易にする事が出来る。この場合、テーブル1,2,3の3個のテーブルに対して、連続してアクセスすることが可能となる。つまり、登録されているコマンドの数だけ連続操作することが可能となるという効果がある。
【0044】
また、調整検査対象となる画像表示装置3毎に調整データや調整内容を1つの調整治具で対応しているばかりでなく通信プロトコルや通信速度が異なる画像表示装置に対しても既存の通信装置2で対応できるという効果がある。
【0045】
なお、上述した実施の形態では、調整用コンピュータ装置1と通信装置2との間をUSBケーブルで接続するようにしたが、その他の規格に基づくケーブルで接続するようにしてもよい。同様に、通信装置2で備えてあるコネクタ、及び図3(b)のデータベース2には、UART(RS−232C)及びIIC規格を通信方式としたが、その他の通信規格に基づくコネクタ及び通信方式を随時追加、又は入れ換えるようにしてもよい。また、上述した実施の形態における通信装置2で、それぞれの通信方式に対応した通信速度を設定したが、使用状況に応じて様々に通信速度を設定、切り換えられるようにしてもよい。あるいは、調整用コンピュータ装置1、通信装置2、画像表示装置3との間を無線通信により接続して、画像表示装置3を調整検査するようにしてもよい。この場合、ケーブル配線の取り回しを行う手間がなくなり、迅速に調整検査を行えるという効果がある。
【0046】
また、上述した実施の形態では、調整用コンピュータ装置1と通信装置2とは、USBケーブルで接続してあるため、通信方式プログラム24a〜24d、通信方式判別プログラム24eを、随時バージョンアップ、又は置換、又は追加するようにしてもよい。こうすることで、常に検査対象となる画像表示装置に対応したプログラムを用意することが可能である。また、コネクタ23a〜23d及びオーディオ端子23eを用いて複数の通信方式に対応するようにしたが、使用状況に応じてコネクタ及び端子の数を増減又は置換するようにしてもよい。
【0047】
また、上述した実施の形態では、調整用コンピュータ装置1と画像表示装置3とを通信装置2を介して1対1で接続したが、調整用コンピュータ装置1と通信装置2の間に、例えばハブのような複数のコネクタを備えた接続機器を設けることで、1台の調整用コンピュータ装置1で複数台の画像表示装置3の調整検査を行うようにしてもよい。
【0048】
また、上述した実施の形態では、調整検査を行う電子機器を画像表示装置としたが、その他の電子機器に対する調整検査に適用しても同様の効果が得られる。
【0049】
また、上述した実施の形態では、通信装置2は電源端子25より外部電源の供給を受けるようにしたが、USBケーブルで接続したUSB端子14,22を介して調整用コンピュータ装置1から電源の供給を受けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施の形態における調整検査システムの構成例を示したブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態における通信装置の外部構成例を示した斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるデータベースの構成例を示した説明図である。
【図4】本発明の一実施の形態における調整用コンピュータ装置と通信装置間のデータフォーマットの例を示した説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態における調整用コンピュータ装置のコマンド処理例を示したフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態における通信装置のコマンド処理例を示したフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態における調整用コンピュータ装置の操作画面例を示した説明図である。
【符号の説明】
【0051】
1…調整用コンピュータ装置、11…ハードディスクドライブ、11a…データベース、12…半導体メモリ、12a〜12c…プログラム、13…CPU、14…外部インタフェース、15…操作部、16…表示部、2…通信装置、21…マイクロコンピュータ、22…コネクタ、23…コネクタグループ、23a〜23e…コネクタ、24…半導体メモリ、24a〜24e…プログラム、25…電源端子、3…画像表示装置、31…コネクタ、32…CPU、33…RAM、34…EEPROM、35…表示部、100…調整検査システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の調整検査が行われる被調整検査機器と、データベースに格納した所定の通信方式及び調整検査データより前記被調整検査機器に対応する調整検査コマンドデータを編集し、前記調整検査コマンドデータを送信して前記被調整検査機器の調整検査を行う調整用コンピュータ装置との間で前記調整検査コマンドデータ及び調整検査結果を送受信する通信装置において、
複数の通信方式に対応する通信方式プログラム及び前記被調整検査機器に対応する前記通信方式プログラムを判別する通信方式判別プログラムとを格納してある記憶部と、
前記通信方式プログラム及び前記通信方式判別プログラムの実行及び通信制御を行う制御部と、
前記調整用コンピュータ装置から前記調整検査コマンドデータを受信し、前記調整用コンピュータ装置に前記調整検査結果を送信する第1の接続部と、
前記被調整検査機器に前記調整検査コマンドデータを送信し、前記被調整検査機器からの前記調整検査結果を受信する少なくとも2つ以上の通信方式にそれぞれ対応する少なくとも2つ以上の第2の接続部とを備えることを特徴とする
通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の通信装置において、
前記通信方式プログラム及び前記第2の接続部は、増減又は置換可能であることを特徴とする
通信装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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