説明

通報装置

【課題】適切な時期に就寝者の情報を通報することができる通報装置を提供する。
【解決手段】寝具上で就寝する人の在床/離床状態を判定した結果を就寝者情報として取得する人存否判定部5と、その人の睡眠/覚醒状態を判定した結果を就寝者情報として取得する睡眠状態判定部6と、複数の時刻における就寝者情報、または、少なくとも就寝者情報とその就寝者情報を検知してからの経過時間と、に基づいて通報時期を決定する通報時期決定部11と、少なくとも就寝者情報に基づいて通報内容を決定する通報内容決定部12と、決定された通報時期に決定された通報内容を通報先に通報する通報部14と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寝具上で就寝する人の当該寝具上での状態を通報する通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
病院や高齢者施設等では、患者や入居者等の種々の管理のために、これらの人の入床/離床、睡眠/覚醒等の状態を確認したいという要望がある。
【0003】
しかしながら、職員等による見回りでは常に確認することは困難である。また、監視カメラ等を用いた場合には患者や入居者等のプライバシーの問題や監視負担の増大の問題が生じる。
【0004】
これらの問題を解決するために、例えば、寝具上の就寝者が睡眠状態であるか覚醒状態であるかを判定し、その判定結果を看護士等に報知する装置がある(特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1の装置では、装置によって就寝者が睡眠状態であるか覚醒状態であるかが自動的に判定され、その判定結果が看護士等に通報されるため、看護士等の監視負担を増大させることなく、就寝者の睡眠状態を把握することができる。
【0006】
また、住宅内の寝室以外の部屋に設置された映像表示装置の稼動状態を検出する稼動検出手段と、前記映像表示装置が設置された部屋の照度を計測する照度計測手段と、前記映像表示装置が設置された部屋において人の動きを検出する人検出手段と、稼動検出手段により映像表示装置の稼動状態を検出した状態であり、かつ照度計測手段を用いて計測した照度が所定閾値以上である状態であり、かつ人検出手段により人の動きを検出しない状態が所定時間継続した場合に、寝室外睡眠行動であると判断する睡眠行動判断手段と、睡眠行動判断手段により寝室外睡眠行動であると判断されると寝室外睡眠行動であることを報知する報知手段と、を備える生活支援報知システムがある(特許文献2参照)。
【0007】
この特許文献2のシステムでは、テレビ等の映像表示装置の稼動状態と、その映像表示装置が設置されている部屋の照度と、その部屋における人の動きとに基づいて、その部屋で寝てしまっているか否かを判定し、寝てしまっていると判定された際にはその旨を報知している。これにより、寝室以外で寝てしまうことを防止することができる。
【0008】
また、就寝者の睡眠状態をモニタするための技術として、被験者の睡眠状態を測定する睡眠状態測定装置と、前記被験者の睡眠状態をモニタリングするモニタリング装置とを備えた睡眠モニタリングシステムであって、前記睡眠状態測定装置は、前記被験者の寝具に設置された装置から睡眠情報を検出する検出手段と、当該検出手段により検出された前記被験者の睡眠情報に基づいて、被験者が在床しているか又は離床しているかを示す在床情報、及び被験者が体動を発生させたか否かを示す体動情報を生成する情報生成手段と、少なくとも前記在床情報及び前記体動情報を前記モニタリング装置に送信する送信手段とを有し、前記モニタリング装置は、前記送信手段から送信された前記在床情報及び前記体動情報を受信する受信手段と、当該受信手段により受信された前記在床情報及び前記体動情報を、予め登録された登録者の端末によって閲覧可能な状態にする情報提示手段とを有する睡眠モニタリングシステムがある(特許文献3参照)。
【0009】
この特許文献3のシステムでは、被験者の在床/離床状態、被験者の体動を示す体動情報をモニタリング装置に送信し、モニタリング装置ではこれらの情報を閲覧することができる。これにより、常時、被験者の状態を確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−264193号公報
【特許文献2】特開2010−231453号公報
【特許文献3】特開2004−097496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1の技術では、就寝者の睡眠または覚醒状態が変化するたびに報知が行われるために、看護士等にとっては煩わしさが増大する。また、このような情報が頻繁に報知されると、慣れによってそれぞれの報知に対する注意力が低下し、重要な報知を見過ごすことも考えられる。
【0012】
一方、特許文献2の技術では、寝室外での睡眠を検知することはできるが、寝室での睡眠状態を把握することはできない。他方、特許文献3の技術では、被験者の在床/離床状態や体動を検知することはできるが、看護士等がその情報を能動的に閲覧しなければ情報を得ることができない。そのため、特許文献3の技術では、適時に被験者の状態を把握するためには、看護士等の負担が増大する。
【0013】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、適切な時期に就寝者の情報を通報することができる通報装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の通報装置は、寝具上で就寝する人の当該寝具上での状態を示す就寝者情報を取得する就寝者情報取得部と、複数の時刻における前記就寝者情報、または、少なくとも前記就寝者情報と当該就寝者情報を検知してからの経過時間と、に基づいて通報時期を決定する通報時期決定部と、少なくとも前記就寝者情報に基づいて通報内容を決定する通報内容決定部と、前記通報時期に前記通報内容を通報先に通報する通報部と、を備えている。
【0015】
この構成では、少なくとも看護の対象となる就寝者の状態に基づいて通報時期が決定され、その決定された通報時期に通報が行われるため、適切な時期に通報を行うことができる。また、少なくとも就寝者の状態に基づいて通報内容が決定されるため、看護者は通報により就寝者の状態を的確に把握することができる。
【0016】
本発明の通報装置の好適な実施形態の一つでは、前記就寝者情報に基づいて前記通報先を決定する通報先決定部を備えている。
【0017】
この構成では、就寝者の状態に応じて通報先を決定しているため、就寝者の状態に応じた通報先に通報が行われる。例えば、子供等の看護者が就寝者から離れて居住しているような場合に、就寝者に異常がない状態であれば看護者を通報先とし、就寝者に異常がある、すなわち、緊急に就寝者の状態を確認する必要があるような場合には、就寝者の近隣に居住している知人や近隣の医師等を通報先として決定することができる。
【0018】
本発明の通報装置の好適な実施形態の一つでは、前記通報時期決定部は、前記就寝者の入床と入眠とを示す前記就寝者情報の組み合わせ、もしくは、前記就寝者の覚醒と離床とを示す前記就寝者情報の組み合わせに基づいて前記通報時期を決定する。
【0019】
看護者にとって、就寝者の入床/離床、覚醒/入眠は関心事項の一つである。しかし、これらの状態が変化するたびに通報が行われると、覚醒および睡眠が繰り返された場合等には頻繁に通報がなされる。このような頻繁な通報は、看護者を煩わせるだけでなく、看護者の注意力を低下させるため、好ましくない。そのため、上記構成では、入床と入眠との組み合わせ、または、覚醒と離床との組み合わせに基づいて、通報時期が決定される。これにより、就寝者の状態が変化するたびに通報が行われることを回避することができる。
【0020】
本発明の通報装置の好適な実施形態の一つでは、前記通報内容が、前記就寝者の入床時刻、離床時刻、入眠時刻、覚醒時刻の少なくとも一つを含んでいる。
【0021】
この構成では、通報内容に就寝者の入床時刻、離床時刻、入眠時刻、覚醒時刻の少なくとも一つが含まれているため、看護者はこれらの関心事項を確認することができる。
【0022】
本発明の通報装置の好適な実施形態の一つでは、所定の前記就寝者情報を取得した時刻からの経過時間を設定する経過時間設定部を備え、前記通報時期決定部は、前記所定の就寝者情報を取得した時刻と前記経過時間とに基づいて前記通報時期を決定する。
【0023】
この構成では、所定の就寝者情報が取得されてからの経過時間に基づいて通報時期が決定される。これにより、緊急を要する場合には特定の就寝者情報が取得された時点を通報時期として決定したり、緊急を要しない場合には所定の就寝者情報を取得してから一定時間経過後を通報時期として決定したり等、そのときどきの状態に応じた通報時期を設定することができる。
【0024】
同じ就寝者の状態であっても時間帯によっては異常である場合と異常でない場合とがある。例えば、就寝者が離床してから1時間経過しても着床しない場合を考えると、深夜では異常状態であるが日中では異常状態とは考えられない。したがって、前者の場合には通報が必要となるが、後者の場合には通報の必要はない。このように、同じ状態であっても、時間帯に応じて通報の要否を切り換えたり、通報までの時間の長短を切り換えたりすることは望ましい構成である。そのため、本発明の通報装置の好適な実施形態の一つでは、前記通報時期決定部は、前記就寝者情報を取得した時間帯に応じて前記通報時期の決定方法を切り替えている。これにより、就寝者の状態とその時間帯とに基づいた柔軟な通報を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】通報装置の構成図である。
【図2】荷重センサの配置を示す図である。
【図3】通報装置の就寝者情報取得処理の流れを表すフローチャートである。
【図4】通報処理の流れを表すフローチャートである。
【図5】通報レベル1における通報時期決定処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】就寝者の在床/離床状態、睡眠/覚醒状態を表すタイムチャートである。
【図7】通報レベル1における通知内容決定処理の流れを表すフローチャートである。
【図8】通報先決定処理の流れを表すフローチャートである。
【図9】通報処理の流れを表すフローチャートである。
【図10】通報レベル1の通報メールの例である。
【図11】通報レベル2における通報時期決定処理の流れを表すフローチャートである。
【図12】通報レベル2の通報メールの例である。
【図13】通報レベル3における通報内容決定処理の流れを表すフローチャートである。
【図14】通報レベル3の通報メールの例である。
【図15】通報レベル4の通報メールの例である。
【図16】緊急状態判定ルールの例である。
【図17】緊急通報における通報時期決定処理の流れを表すフローチャートである。
【図18】緊急通報時の通報メールの例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、図面を用いて本発明の通報装置の実施例を説明する。図1は本発明に係る通報装置Aの構成図である。図に示すように、本実施形態の通報装置Aは、複数の荷重センサSおよび汎用コンピュータからなる制御装置Cにより構成されている。
【0027】
また、図に示すように、複数の荷重センサSはベッドBの脚部LとベッドBの載置面(床等)との間に配置されている。本実施形態では、ベッドBは4つの脚部Lを有しており、それぞれの脚部Lに対応して4つの荷重センサSが配置されている(図2参照)。したがって、ベッドBがその載置面に対して加える荷重は4つの荷重センサSにより分散して計測される。すなわち、4つの荷重センサSの計測値の総和が、ベッドBが載置面に加える荷重となる。この荷重センサSは、時々刻々の荷重を計測し、その計測値を制御装置Cに送信している。なお、各々の荷重センサSを区別する必要がない場合にはそれらを総称して荷重センサSまたは荷重センサSi(i=1〜4)と表記するが、区別する必要がある際には荷重センサS1,S2,S3およびS4と表記する。
【0028】
一方、制御装置Cは、各種制御を行う制御部1、基準荷重を記憶する荷重記憶部2、荷重の重心を算出する重心算出部3、重心算出部3により算出された重心の変動量を算出する重心変動量算出部4、重心変動量算出部4により算出された重心変動量に基づいてベッドB上の人(就寝者)の存否を判定する人存否判定部5、ベッドB上の人の睡眠または覚醒状態を判定する睡眠状態判定部6、通報時期を決定する通報時期決定部11、通報内容を決定する通報内容決定部12、通報先を決定する通報先決定部13、通報を行う通報部14を備えている。また、重心算出部3は補正荷重(後述)を算出する補正荷重算出部3aを備えている。なお、本実施形態では、人存否判定部5、睡眠状態判定部6が就寝者情報取得部として機能する。
【0029】
本実施形態では、制御部1、重心算出部3、重心変動量算出部4、人存否判定部5、睡眠状態判定部6、通報時期決定部11、通報内容決定部12、通報先決定部13および通報部14はソフトウェアにより構成されているが、ハードウェアまたはソフトウェアとハードウェアとが協働する構成としても構わない。
【0030】
制御部1は、所定の時間間隔で荷重センサSからの計測値を取得したり、各機能部に対して指示を与えたりする機能を有している。
【0031】
荷重記憶部2は、RAM(Random Access Memory)により構成され、基準荷重WSiを荷重センサSi毎に記憶している。ここで、基準荷重WSiとは荷重センサSiにより計測された計測値WFiであり、初期値はベッドB上に人が在床していない状態での荷重センサSiの計測値WFiである。なお、荷重記憶部2はハードディスクやフラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体により構成しても構わない。
【0032】
重心算出部3は荷重の重心を算出する機能を有している。本実施形態では、補正荷重算出部3aにより補正荷重Wriが求められ、重心算出部3は、その補正荷重Wriから重心(以下、補正重心grと称する)を求める。なお、補正荷重Wriとは、荷重センサSiにより計測された計測値WFiから基準荷重WSiを減じた値、すなわち、補正荷重Wri=WFi−WSiである。このように、補正荷重Wriに基づいて補正重心grを算出することにより、就寝者の重心を求めることができる。
【0033】
重心変動量算出部4は、重心算出部3により算出された補正重心grの所定時間内における変動量(以下、重心変動量と称する)を算出する。
【0034】
人存否判定部5は、重心変動量算出部4による算出された重心変動量に基づいて、ベッドB上の就寝者の存否(本発明の就寝者情報の例)を判定する。
【0035】
睡眠状態判定部6は、重心算出部3により算出された重心に基づいて、ベッドB上の就寝者が睡眠状態であるか覚醒状態であるか(本発明の就寝者情報の例)を判定する。
【0036】
通報時期決定部11は、就寝者情報や時間情報に基づいて、就寝者の状態を通報する時期を決定する。
【0037】
通報内容決定部12は、就寝者情報に基づいて通報する内容を決定する。
【0038】
通報先決定部13は、就寝者情報に基づいて通報を行う相手先(以下、通報先と称する)を決定する。
【0039】
通報部14は、通報先決定部13により決定された通報先に対して、通報時期決定部11により決定された時期に、通報内容決定部12により決定された通報内容を通報する。本実施形態では、通報はEmail(以下、メールと称する)により行うものとする。したがって、本実施形態における通報部14は、メールを作成するメール作成部14aと、メールを送信するMTA(Mail Transfer Agent)14bにより構成することができる。また、通報部14には通報先決定部13により決定される通報先に対応する複数のメールアドレスが記憶されている。なお、通報を行う媒体はEmailに限定されるものではなく、携帯電話網を用いたメール等、他の媒体を用いても構わない。
【0040】
〔就寝者情報算出処理〕
図3は、通報装置Aの就寝者情報算出処理の流れを表すフローチャートである。まず、通報装置Aの初期化を行う(#01)。本実施形態での初期化は、メモリに記憶されている各時刻の重心変動量および基準荷重WSiのリセットである。上述したように、基準荷重WSiの初期値はベッドB上に就寝者が在床していない状態での荷重センサSiの計測値WFiである。そのため、基準荷重WSiの初期化は、ベッドB上に就寝者が在床していない状態で荷重センサSiの計測値WFiを得る必要がある。例えば、ベッドB上に就寝者が在床していない状態で、通報装置Aを起動する、オペレータが通報装置Aに対して初期化命令を与える等により、確実に基準荷重WSiの初期化を行うことができる。
【0041】
このようにして、制御部1は初期化として、各時刻における重心変動量をリセットするとともに、4つの荷重センサSiからの計測値WFiを取得し、荷重記憶部2に対して基準荷重WSiとして記憶させる。
【0042】
初期化が完了すると、制御部1は所定のサンプリング間隔で荷重センサSの計測値を取得し、以下の処理を実行する。なお、本実施形態では1分間に100回のサンプリングを行うようにサンプリング間隔を設定しているが、このサンプリング間隔は適宜設定可能である。
【0043】
制御部1が各荷重センサSiの計測値WFi(t)(i=1〜4)を取得すると(#02)、それらの計測値WFi(t)は重心算出部3に送られる。計測値WFi(t)を取得した重心算出部3では、補正荷重算出部3aにより補正荷重Wri(t)=WFi(t)−WSiが算出される(#03)。上述したように、基準荷重WSiはベッドB上に就寝者が在床していない状態での計測値WFiであるため、ベッドB上に就寝者が在床している場合には補正荷重Wri(t)は就寝者の体重を表している。この補正荷重Wriに基づいて補正重心gr(t)が以下の式(1)により求められる(#04)。なお、荷重センサSの配置は図2のようになっており、ベッドBを上面から見て、頭部側右側に荷重センサS1、頭部側左側に荷重センサS2、足部側左側に荷重センサS3、足部側右側に荷重センサS4を配置している。また、図に示すように、ベッドBの長辺に沿ってX軸、ベッドBの短辺に沿ってY軸を設定し、頭部側を原点に設定している。
【数1】

【0044】
求められた補正重心gr(t)は取得された時刻順にメモリに一次記憶される。なお、補正重心grは所定個数のみを記憶し、補正重心grの数が所定個数を超えた際には、FIFO(First In First Out)形式で管理される。すなわち、最も過去の補正重心grが破棄され、最も新しい補正重心grが記憶される。なお、本実施例では、所定個数を11に設定している。すなわち、メモリには現時点および、過去10時刻における補正重心grが記憶されている。この補正重心grの一次記憶数は、重心変動量算出部4における重心変動量の算出に必要な重心の数と等しくなっている。
【0045】
重心算出部3は補正重心gr(t)の算出が完了すると重心変動量算出部4に対してその旨を通報する。重心算出部3からの通報を受けた重心変動量算出部4は、メモリに所定時間分の補正重心grが記憶されているか否かをチェックする(#05)。メモリに必要数(この例では11)の補正重心grが記憶されていなければ(#05のNo分岐)、処理は#02に移行し、上述の処理が繰り返される。一方、メモリに必要数の補正重心grが記憶されていれば(#05のYes分岐)、式(2)により現時点tでの補正重心と現時点tから所定期間過去の各時刻における補正重心との偏差の和を重心変動量Vとして算出する(#06)。
【数2】

【0046】
なお、本実施例では偏差をユークリッド距離(2ノルム)の平方根としているが、例えば1ノルム等、他の距離を用いても構わない。
【0047】
算出された重心変動量Vは人存否判定部5に送られる。重心変動量Vを取得した人存否判定部5は重心変動量Vと所定の閾値THとを比較し(#07)、重心変動量Vが閾値THよりも大きければ(#07のYes分岐)、ベッドB上に就寝者が在床していると判定する(#08)。一方、重心変動量Vが閾値TH以下であれば(#07のNo分岐)、就寝者はベッドBから離床していると判定する(#09)。この判定結果は制御部1に返される。
【0048】
就寝者がベッドBから離床しているとの判定結果を取得した制御部1は、荷重記憶部2の基準荷重WSiの更新を実行する(#10)。具体的には、現時点、すなわち、時刻tにおける荷重センサSiの計測値WFi(t)を基準荷重WSiとして記憶させる。この処理により、基準荷重WSiは必ず就寝者の体重が除かれた荷重を示すこととなり、補正荷重Wrは就寝者の体重を表すこととなる。
【0049】
一方、人存否判定部5から就寝者がベッドBに在床している旨の判定結果を受けた制御部1は、睡眠状態判定部6に対して判定処理を行うよう指示を送る。
【0050】
補正重心gr(t)を取得した睡眠状態判定部6は、補正重心gr(t)に基づいて得られる重心情報に基づいてベッドB上の就寝者の睡眠状態を判定する(#11)。ここで、睡眠状態の判定とは、就寝者が睡眠状態であるか覚醒状態であるかを判定することを意味している。判定された睡眠状態は制御部1に送られる。本実施例では、重心情報としての重心変動量Vと睡眠状態判定部6に対して設定された閾値とを比較することにより、所定時間当たりの体動数を算出し、その体動数に基づいて睡眠状態を判定している。具体的には、所定時間当たりに重心変動量Vが閾値を超えた回数を計数し、その値が所定回数以上であれば覚醒状態、それ未満であれば睡眠状態と判定する。
【0051】
このようにして、制御部1では就寝者情報としての就寝者の在床/離床状態、睡眠/覚醒状態が得られる。このようにして得られた就寝者情報に基づいて、以下の処理によりに通報が行われる。
【0052】
〔通報処理〕
図4は、本実施形態における通報処理全体の流れを表すフローチャートである。まず、通報時期決定部11は上述の処理により得られた就寝者情報を制御部1から取得し、通報時期を決定する(#21)。通報時期が決定されると、通報内容決定部12は少なくとも就寝者情報に基づいて通報内容を決定し(#22)、通報先決定部13は就寝者情報に基づいて通報先を決定する(#23)。通報部14は、このようにして決定された通報時期、通報内容、通報先に基づいて通報を行う(#24)。
【0053】
本実施形態における通報処理には4つの通報レベルを設定することができ、看護者は通報装置Aに対して所望の通報レベルを設定しておけば、設定した通報レベルに応じた通報を受けることができる。本実施形態では、それぞれの通報レベルでの処理が異なっており、以下に各通報レベルにおける処理の流れを説明する。なお、後述するように、就寝者の特定の状態を検知した場合には通報レベルに関係なく通報が行われる。
【0054】
〔通報レベル1:通報時期の決定〕
通報レベル1では、2つの時刻における就寝者情報から通報時期が決定される。具体的には、就寝者の状態が第1状態に遷移し、その後第2状態に遷移したことが検知されると、第2状態が検知された時刻から所定時間後に通報が行われる。本実施形態では、第1状態および第2状態の組み合わせとして、覚醒および離床の組み合わせ(起床の検知)と、在床および睡眠の組み合わせ(入眠の検知)とを用いるが、他の状態の組み合わせを用いて構わない。
【0055】
以下に、図5のフローチャートを用いて通報レベル1における通報時期決定処理の流れを説明する。上述したように、通報時期決定部11は、制御部1から就寝者情報としての就寝者の在床/離床状態、睡眠/覚醒状態を逐次取得する(#31)。
【0056】
就寝者情報を取得した通報時期決定部11は、取得した就寝者情報に基づいて就寝者が第1状態にない状態(以下、非第1状態と称する)から第1状態に遷移したか否かを判定する(#32)。具体的には、就寝者が睡眠状態から覚醒状態に遷移したか、または、離床状態から在床状態に遷移したかが判定される。
【0057】
就寝者が第1状態に遷移していない、すなわち、非第1状態であると判定した場合(#32のNo分岐)には、処理を#31に移行し、上述の処理を繰り返す。
【0058】
一方、就寝者が第1状態に遷移したと判定した場合には(#32のYes分岐)、通報時期決定部11は制御部1から就寝者情報を取得し(#33)、その就寝者情報に基づいて就寝者が第2状態にない状態(以下、非第2状態と称する)から第2状態に遷移したか否かを判定する(#34)。
【0059】
就寝者が第2状態に遷移していない、すなわち、非第2状態であると判定した場合(#34のNo分岐)には、第1状態から非第1状態に戻っていないかが判定される(#35)。非第1状態に戻っている場合(#35のYes分岐)には、処理を#31に移行し、上述の処理を繰り返す。一方、非第1状態に戻っていない場合(#35のNo分岐)には、処理を#33に移行し、第2状態への遷移を監視する。
【0060】
就寝者が第2状態に遷移したと判定した場合(#34のYes分岐)には、通報時期決定部11は図示しない時計からその時点の時刻を取得し(#36)、取得した時刻から所定時間(例えば、5分)後を通報時期として決定する(#37)。決定された通報時期は通報部14に送られる。同時に、通報時期決定部11は通報先決定部13に対して通常通報である旨を通知する。なお、この所定時間は通報装置Aに接続されたキーボード等の入力手段により適宜変更することが可能である。この場合、これらの入力手段が本発明の経過時間設定部として機能する。
【0061】
図6は、就寝者の在床/離床状態、睡眠/覚醒状態を表すタイムチャートである。この図を用いて、上述の処理により通報時期が決定される処理を説明する。まず、起床の検知処理を説明する。就寝者は時刻t0では在床状態かつ睡眠状態である。その後、就寝者は時刻t1で睡眠状態(非第1状態)から覚醒状態(第1状態)に遷移する(#32のYes分岐)。
【0062】
さらに、就寝者は時刻t2で覚醒状態から再度睡眠状態に遷移する(#35のYes分岐)。したがって、この時点では通報時期は決定されずに、処理は#31に移行する。すなわち、この時点での通報は行われない。このように、第1状態から再度非第1状態に戻った場合に通報を行わないようにすると、睡眠レベルが浅いような状態で睡眠と覚醒とを繰り返しているような場合に、不要な通報を回避することができる。
【0063】
その後、就寝者は時刻t3で再度睡眠状態から覚醒状態に遷移し(#32のYes分岐)、さらに、時刻t4で在床状態(非第2状態)から離床状態(第2状態)に遷移する(#34のYes分岐)。時刻t4を午前6時2分とし、所定時間を5分とすると、通報時期は午前6時7分として決定される(#37)。
【0064】
次に、入眠の検知処理を説明する。図6から明らかなように、就寝者は時刻t4から時刻t5までは離床状態である。そのため、時刻t4から時刻t5までは睡眠/覚醒状態の判定は行われていない。
【0065】
就寝者は時刻t5で離床状態(非第1状態)から在床状態(第1状態)に遷移する(#32のYes分岐)。その後、時刻t6で睡眠状態(第2状態)に遷移する前に離床状態(非第1状態)に戻っている(#35のYes分岐)。したがって、この時点では通報時期は決定されずに、処理は#31に移行する。すなわち、この時点での通報は行われない。このように、第1状態から再度非第1状態に戻った場合に通報を行わないようにすると、入眠する前に離床した場合の不要な通報を回避することができる。
【0066】
その後、就寝者は時刻t7で再度在床状態(第1状態)に遷移し(#32のYes分岐)、時刻t8で睡眠状態(第2状態)に遷移している(#34のYes分岐)。時刻t8を午後9時5分とし、所定時間を5分とすると、通報時期は午後9時10分として決定される(#37)。
【0067】
〔通報レベル1:通報内容の決定〕
図7は、通報レベル1における通報内容決定処理の流れを表すフローチャートである。通報内容決定部12は、制御部1から就寝者情報を逐次取得する(#41)。
【0068】
通報内容決定部12は、取得した就寝者情報に基づいて就寝者の状態の遷移(離床→在床,在床→離床,睡眠→覚醒,覚醒→睡眠)の有無を判定し(#42)、状態の遷移があると(#42のYes分岐)、その時点の時刻と遷移後の状態とを関連付けて記憶する(#43)。例えば、図6の例では、(t1,覚醒),(t2,睡眠),(t3,覚醒),(t4,離床),(t5,在床),(t6,離床),(t7,在床),(t8,睡眠)が一時的に記憶される。
【0069】
通報内容決定部12は、通報時期決定部11により通知時期が決定されると、その決定に際して用いた第1状態と第2状態とに遷移した時刻を通報時期決定部11から取得する(#44)。上述の例では、起床状態の検知では時刻t3および時刻t4、入眠状態の検知処理では時刻t7および時刻t8が取得される。
【0070】
通報内容決定部12は、#43の処理により記憶した時刻と状態との組に対して、#44の処理により取得した時刻を用いてフィルタリングを行う(#45)。具体的には、#44により取得した時刻と同時刻を持つ時刻と状態との組を抽出する。上述の処理では、起床状態の検知に対しては(t3,覚醒)および(t4,離床)、入眠状態の検知に対しては(t7,在床)および(t8,睡眠)が抽出される。このようにして抽出された時刻と状態との組は通報部14に送られる。
【0071】
〔通報レベル1:通報先の決定〕
本実施形態では、通報先は通常通報先と緊急通報先をそれぞれ複数設定することができる。通常通報先とは、就寝者の状態を緊急に確認する必要がない場合の通報先である。例えば、子や親族等の看護者であり、就寝者の近くにいる者に限定されない。一方、緊急通報先とは、就寝者の状態を緊急に確認する必要がある場合の通報先であり、就寝者の近隣にいる者である。例えば、緊急通報先として就寝者の近所に居住している知人や医師を設定することができる。本実施形態では、通報先は、通報先を特定する情報(氏名,ID,メールアドレス等)と通常通報先/緊急通報先を表すフラグとが関連付けられて通報先テーブルに記憶されている。なお、以下の説明では、フラグ1は緊急通報先を表すものとする。
【0072】
図8は、通報先決定処理の流れを表すフローチャートである。まず、通報先決定部13は、通報時期決定部11からの通知が通常通報であるか緊急通報であるかを判定する(#51)。通常通報であれば(#51のYes分岐)、通報先テーブルからフラグが0の通報先(通常通報先)を抽出する(#52)。一方、緊急通報であれば(#51のNo分岐)、通報先テーブルからフラグが1の通報先(緊急通報先)を抽出する(#53)。このようにして抽出された通報先は通報部14に送られる。なお、緊急通報の場合には、フラグが0および1の通報先(通常通報先および緊急通報先)を抽出するようにしても構わない。
【0073】
〔通報レベル1:通報〕
図9は、通報処理の流れを表すフローチャートである。まず、通報部14のメール作成部14aは通報内容決定部12から取得した時刻と状態との組に基づいてメールの本文を作成し、メール本文に設定する(#61)。例えば、起床を通報するために(t3,覚醒)および(t4,離床)から「am05:48 目覚めました am06:02 離床しました」なる文字列を作成する。また、メール作成部14aは、通報先決定部13から取得した通報先に対応するメールアドレスを“Toフィールド”に設定する(#62)。
【0074】
MTA14bは、メール作成部14aにより作成されたメールを、通報時期決定部11により決定された時刻に送信する(#63)。図10(a),(b)はそれぞれ、上述の処理による起床状態および入眠状態を通報するメール(以下、通報メールと称する)の例である。
【0075】
〔通報レベル2:通報時期の決定〕
通報レベル2では、1つの時刻における就寝者情報から通報タイミングが決定される。具体的には、就寝者の第1状態への遷移が検知されると、第1状態が検知された時刻から所定時間後に通報が行われる。本実施形態では、第1状態を離床または在床とするが、これらに代えてまたはこれらとともに他の状態を用いて構わない。
【0076】
以下に、図11のフローチャートを用いて処理の流れを説明する。上述したように、通報時期決定部11は、制御部1から就寝者情報としての就寝者の在床/離床状態、睡眠/覚醒状態を逐次取得する(#71)。
【0077】
就寝者情報を取得した通報時期決定部11は、取得した就寝者情報に基づいて就寝者が非第1状態から第1状態に遷移したか否かを判定する(#72)。具体的には、就寝者が在床状態から離床状態に遷移したか、または、離床状態から在床状態に遷移したかが判定される。
【0078】
就寝者が第1状態に遷移していないと判定された場合(#72のNo分岐)には、処理を#71に移行し、上述の処理を繰り返す。一方、就寝者が第1状態に遷移したと判定された場合(#72のYes分岐)には、通報時期決定部11は時計からその時点の時刻を取得し(#73)、取得した時刻から所定時間(例えば、5分)後を通報時期として決定する(#74)。
【0079】
例えば、図5の例では時刻t4,t5,t6,t7において第1状態への遷移が検知され、これらの時刻から5分後が通報時期として決定される。決定された通報時期は通報部14に送られる。同時に、通報時期決定部11は通報先決定部13に対して通常通報である旨を通知する。
【0080】
〔通報レベル2:通報内容の決定〕
通報レベル2の通報内容決定処理は通報レベル1における処理と同様であるが、通報時期決定部1から取得する情報が第1状態に遷移した時刻のみである点において異なっている。したがって、上述の例では通報時期決定部11から時刻t4,t5,t6,t7が取得され、フィルタリングにより(t4,離床),(t5,在床),(t6,離床),(t7,在床),(t8,睡眠)が抽出される。このようにして抽出された時刻と状態との組は通報部14に送られる。
【0081】
〔通報レベル2:通報先の決定〕
上述したように、通報レベル2は通常通報であるため、通報レベル2における通報先決定処理は通報レベル1と同じであり、決定された通報先は通報部14に送られる。
〔通報レベル2:通報〕
通報レベル2の通報処理は通報レベル1における処理と同様である。例えば、(t4,離床)から「am06:02 離床しました」なる文字列を作成する。図12は通報レベル2の通報メールの例である。
【0082】
〔通報レベル3:通報時期の決定〕
通報レベル3では、予め設定された時刻に通報が行われる。したがって、通報レベル3における通報時期は、通報レベル1,2の動的な通報時期と異なり、静的である。なお、本実施形態では、午前8時,正午,午後4が予め通報時期として設定されているものとする。
【0083】
通報時期決定部11は、時計を監視し、予め設定されている通報時期のいずれか(例えば午前8時)の所定時間(例えば1分)前になると、午前8時を通報時期として決定し、決定した通報時期を通報内容決定部12および通報部14に送る。また、通報先決定部13に対しては通常通報である旨を通知する。
【0084】
〔通報レベル3:通報内容の決定〕
以下に、図13のフローチャートを用いて処理の流れを説明する。上述の通報レベルと同様に通報時期決定部11は制御部1から就寝者情報としての在床/離床状態、睡眠/覚醒状態を逐次取得する(#81)。
【0085】
通報内容決定部12は、通報レベル1,2と同様に、取得した就寝者情報に基づいて就寝者の状態の遷移(離床→在床,在床→離床,睡眠→覚醒,覚醒→睡眠)の有無を判定し(#82)、状態の遷移があると(#82のYes分岐)、その時点の時刻と遷移後の状態とを関連付けて記憶する(#83)。
【0086】
上述の処理は、通報時期決定部11から通報時期を受け取るまで繰り返される(#84)。通報内容決定部12は、通報時期決定部11から通報時期を受け取ると(#84のYes分岐)、一次記憶している時刻と状態との組から、抽出すべき状態に一致する状態を持つデータを抽出する(#85)。例えば、抽出すべき状態として“在床”,“離床”を設定している場合には、(t,在床)または(t,離床)のデータが抽出される。
【0087】
このようにして抽出されたデータは通報部14に送られる。同時に、一次記憶していた時刻と状態との組を全て消去する(#86)。
【0088】
〔通報レベル3:通報先の決定〕
上述したように、通報レベル3は通常通報であるため、通報レベル3における通報先決定処理は通報レベル1,2と同じであり、決定された通報先は通報部14に送られる。
〔通報レベル3:通報〕
通報レベル2の通報処理は通報レベル1,2における処理と同様である。例えば、図14に示すような内容の通報メールが送信される。この例では、通報時期が午後4時であるため、正午から午後3時59分までの就寝者の状態が通報される。
【0089】
〔通報レベル4〕
通報レベル4の処理は通報レベル3の処理と同様である。ただし、通報レベル3では複数の通報時期が設定されているのに対して、通報レベル4では1つの通報レベルのみが設定されている。そのため、通報レベル4では1日1回の通報が行われる。
【0090】
図15は、通報レベル4の通報メールの例である。この例では、通報時期が午前8時に設定されており、通報メールには前日の午前8時から当日の午前7時59分までの就寝者の状態が含まれている。
【0091】
〔緊急通報〕
緊急通報とは、通報レベルに関係なく就寝者の特定の状態を検知した場合に行われる通報である。例えば、就寝者に異常が発生した場合等、迅速に就寝者の状況を確認すべき状態が生じた場合の通報である。
【0092】
〔緊急通報:通報時期の決定〕
本実施形態では、図16に示すような通報時期決定のための緊急状態判定ルールに基づいて緊急状態を判定し、通報時期を決定する。本実施形態における緊急状態判定ルールは、(状態,経過時間,適用時間帯)の組により構成されている。ここで、状態とは就寝者の状態が遷移した後の状態、経過時間とは前記状態に遷移してからの経過時間、適用時間帯とはその緊急状態判定ルールが適用される時間帯である。例えば、ルール番号2の緊急状態判定ルールによれば、午後11時から午前5時の間にのみ適用され、離床状態に遷移した後30分間在床状態に遷移しなければ緊急状態であると判定する。
【0093】
なお、緊急状態判定ルールは、通報装置Aにキーボード等を接続して、そのキーボード等を用いて直接入力したり、緊急状態判定ルールを記述した電子ファイルを通報装置Aに読み込ませたり等、様々な方法で入力することが可能である。このときの緊急状態判定ルールの入力手段が本発明の経過時間設定部として機能する。
【0094】
以下に、図17のフローチャートを用いて緊急通報における通報時期決定処理の流れを説明する。まず、通報レベル1〜4と同様に通報時期決定部11は、制御部1から就寝者情報としての就寝者の在床/離床状態、睡眠/覚醒状態を逐次取得する(#91)。
【0095】
通報時期決定部11は、時計から現在時刻を取得し、その時刻に対応する緊急状態判定ルールを抽出する(#92)。例えば、図16の緊急状態判定ルールからは、現在時刻が午前3の場合には全ての緊急状態判定ルールが抽出され、午後2時の場合にはルール番号1,3の緊急状態判定ルールが抽出される。なお、以下の説明ではルール番号2の緊急状態判定ルールを用いるものとする。
【0096】
就寝者情報を取得した通報時期決定部11は、就寝者の状態が、上記処理により抽出された緊急判定ルールに設定されている状態(以下、要観察状態と称する)に遷移したか否かを判定する(#93)。具体的には、就寝者の状態が離床状態に遷移したか否かが判定される。就寝者の状態が要観察状態に遷移していなければ(#93のNo分岐)、処理を#91に移行し、状態判定を繰り返す。
【0097】
一方、就寝者の状態が要観察状態に移行した場合(#93のYes分岐)には、通報時期決定部11はタイマを始動させる(#94)。その後、制御部1から就寝者情報を取得して就寝者の状態を判定しながら(#95)、就寝者の状態が要観察状態(上述の例では、離床状態)から元の状態(以下、通常状態と称する。上述の例では、在床状態)に遷移するまで経過時間の計測を行う(#96,#97)。
【0098】
就寝者の状態が要観察状態から通常状態に遷移した場合(#96のYes分岐)には、処理を#91に移行し、上述の処理を繰り返す。一方、就寝者の状態が要観察状態から通常状態に遷移することなく、要観察状態に遷移した時刻からの経過時間が緊急状態判定ルールに設定されている経過時間に達すると(#97のYes分岐)、通報時期決定部11は緊急状態であると判定し、その時点の時刻を通報時期として決定する(#98)。決定された通報時期は通報部14に送られる。また、要観察状態に遷移した時刻、判定に用いた緊急状態判定ルールの番号は通報内容決定部12に送られ、通報先決定部13には緊急通報である旨が通知される。
【0099】
〔緊急通報:通報内容の決定〕
通報時期決定部11から要観察状態に遷移した時刻、判定に用いた緊急状態判定ルールの番号を取得した通報内容決定部12は、これらに基づいて通報内容を決定する。例えば、午前2時32分に離床状態(要観察状態)に遷移したとすると、この時刻とルール番号2の緊急状態判定ルールとを用いて、「午前2時32分に離床しましたが、30分経過後も着床していません。○○さんの状態を確認してください。」なる文字列が通報内容として決定される。このようにして決定された通報内容は通報部14に送られる。
【0100】
〔緊急通報:通報先の決定〕
緊急通報における通報先決定処理は上述した通りである。上述したように、通報時期決定部11から通報先決定部13に対して緊急通報である旨が通知されるため、緊急通報であると判定され(図8#51のNo分岐)、通報先テーブルからフラグが1の通報先が抽出される(図8#53)。このようにして抽出された通報先は通報部14に送られる。
【0101】
〔緊急通報:通報〕
通報時期決定部11から通報時期、通報内容決定部12から通報内容、通報先決定部13から通報先を取得した通報部14は、上述の通報処理と同様に、これらの情報に基づいて通報メールを作成し、通報を行う。図18は、緊急通報時の通報メールの例である。
【0102】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態では、就寝者の在床/離床状態、睡眠/覚醒状態を就寝者情報としたが、就寝者情報はこれらに限定されるものではない。例えば、就寝者の体動数、呼吸数、心拍数等の就寝者の寝具上での状態を示す種々の情報を用いることができる。その際、就寝者情報取得部として、それらの情報を取得するのに適したセンサ等を用いればよい。
【0103】
(2)上述の実施形態では、緊急状態判定ルールにおける経過時間は固定的に設定されていたが、就寝者の行動パターンを学習する行動パターン学習部を備え、就寝者が就寝してから入眠するまでの時間や睡眠時間等を学習し、その学習結果に基づいて緊急状態判定ルールの経過時間を変更する構成としても構わない。この場合には、行動パターン学習部も本発明の経過時間設定部として機能する。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、寝具上で就寝する人の当該寝具上での状態を示す情報を通報する通報装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0105】
A:通報装置
5:人存否判定部(就寝者情報取得部)
6:睡眠状態判定部(就寝者情報取得部)
11:通報時期決定部
12:通報内容決定部
13:通報先決定部
14:通報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具上で就寝する人の当該寝具上での状態を示す就寝者情報を取得する就寝者情報取得部と、
複数の時刻における前記就寝者情報、または、少なくとも前記就寝者情報と当該就寝者情報を検知してからの経過時間と、に基づいて通報時期を決定する通報時期決定部と、
少なくとも前記就寝者情報に基づいて通報内容を決定する通報内容決定部と、
前記通報時期に前記通報内容を通報先に通報する通報部と、を備えた通報装置。
【請求項2】
前記就寝者情報に基づいて前記通報先を決定する通報先決定部を備えた請求項1記載の通報装置。
【請求項3】
前記通報時期決定部は、前記就寝者の入床と入眠とを示す前記就寝者情報の組み合わせ、もしくは、前記就寝者の覚醒と離床とを示す前記就寝者情報の組み合わせに基づいて前記通報時期を決定する請求項1または2記載の通報装置。
【請求項4】
前記通報内容が、前記就寝者の入床時刻、離床時刻、入眠時刻、覚醒時刻の少なくとも一つを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の通報装置。
【請求項5】
所定の前記就寝者情報を取得した時刻からの経過時間を設定する経過時間設定部を備え、
前記通報時期決定部は、前記所定の就寝者情報を取得した時刻と前記経過時間とに基づいて前記通報時期を決定する請求項1から4のいずれか一項に記載の通報装置。
【請求項6】
前記通報時期決定部は、前記就寝者情報を取得した時間帯に応じて前記通報時期の決定方法を切り替える請求項1から5のいずれか一項に記載の通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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