説明

通電情報表示装置

【課題】表示部と本体部との電気的な接続手段を簡素化して、断線の虞を無くした通電情報表示装置を得る。
【解決手段】電路の通電情報を計測する計測手段が収納された本体部4と、本体部4の前面側に配設された表示部5と、本体部4と表示部5との間に介装されて表示部5を回動可能に保持すると共に本体部4にスライド可能に取り付けられたホルダ10と、計測手段と表示部5とを電気的に接続する接続手段13とを備えた通電情報表示装置1において、接続手段13は、一端側を表示部5に収容された液晶表示素子12に接続し、他端側を表示部5の円筒軸11eの中空部から第一のスリット11gに挿通し、円筒軸11eの外周を所定角度だけ巻回し、ホルダ10に設けたホルダ筒10bの第二のスリット10cに挿通して外側に引き出し、計測手段に接続した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、分電盤などの盤に組み込まれ、電路に流れる電流、電路に印加される電圧、電路に流れる漏洩電流等の通電情報を計測し表示させる通電情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分電盤等に組み込まれて使用される通電情報表示装置は、主幹バーに接続された主幹遮断器と組み合わされ使用されるものや、主幹バーから直交方向に分岐した分岐バーに接続された分岐遮断器と組み合わされて使用されるものがある。通電情報表示装置の表示部が横向きに配置されると、計測値の判読や切替操作に支障が出てくる虞があるので、この対策として、表示部を回動できるようにし、通電情報表示装置の取付方向にかかわらず正立表示となるように表示部を回動させて、表示を見やすくする技術が開示されている。
【0003】
従来の、回動自在な表示部を有する通電情報表示装置としては、例えば、表示部と、表示部が取付けられる表示部装着面を備えた本体と、表示部を表示部装着面上の第一の位置から第二の位置まで移動自在とする表示部移動手段と、第二の位置で表示部を回動自在とする表示部回動手段とを有して構成されている。表示方向を変える場合は、表示部を横方向に第2の位置まで移動させ、回転させた後第一の位置に戻すことで、自在に向きが変更できるようになっている。
表示部は表示ベースと表示カバーとで構成され、表示ベースと表示カバーとの空間には液晶表示素子が収納され、液晶表示素子にはその液晶表示動作を実現するための液晶動作基板が接続されている。液晶動作基板には、電力量等の情報を本体CPUと通信するため、ソケットが取り付けられており、そのソケットに撚り線等から成るハーネスが接続されている。また、表示ベースには、表示部装着面上を表示部が平行方向に移動するのを助けるスライダーと、回動を助ける回動リングとが組み合わされている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−315363号公報(第2−4頁、図2及び図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の通電情報表示装置は上記のように構成されているので、液晶動作基板や、ソケット、ハーネス、スライダーなどの介在部材を多く必要とするため、組立工数が増え、部材のコストアップにも繋がるという問題点があった。
また、液晶動作基板と本体CPUを接続する接続手段にフレキシブルプリントサーキットを用いた場合には、液晶表示基板、ソケット、ハーネスが省略可能であるが、引用文献1のような構成では、表示部が回動することによって、フレキシブルプリントサーキットが捻じれ、断線する可能性があるという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、回動可能な表示部を持つ通電情報表示装置において、表示部と本体部との電気的な接続手段を簡素化して、断線の虞を無くし、また、部材コストを高くすることなく、表示手段と計測手段とを容易に接続できる通電情報表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る通電情報表示装置は、電路の通電情報を計測する計測手段が収納された本体部と、本体部の前面側に配設されて計測手段で計測した電気量を表示する表示部と、本体部と表示部との間に介装され、表示部を回動可能に保持すると共に、本体部の開口部にスライド可能に取り付けられたホルダと、計測手段と表示部とを電気的に接続する接続手段と、を備えた通電情報表示装置において、表示部は、ホルダとの取付面の中央部に、本体部側へ向けて突出する中空の円筒軸を有し、円筒軸の軸方向に第一のスリットが形成されており、ホルダは、円筒軸が嵌挿され回動可能に保持されるホルダ筒を有し、ホルダ筒の軸方向に第一のスリットと並行な第二のスリットが形成されており、接続手段は、一端側が表示部に収容された表示素子に接続され、他端側が円筒軸の中空部から第一のスリットに挿通され円筒軸の外周に引き出されて所定角度だけ巻回され、ホルダ筒の第二のスリットに挿通されて外側に引き出され、計測手段に接続されているものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の通電情報表示装置によれば、本体部にホルダを介して表示部が回動可能に保持されており、計測手段と表示部とを電気的に接続する接続手段は、一端側が表示部に収容された表示素子に接続され、他端側が円筒軸の中空部から第一のスリットに挿通され円筒軸の外周に引き出されて所定角度だけ巻回され、ホルダ筒の第二のスリットに挿通されて外側に引き出され、計測手段に接続されているので、接続手段が途中で極端に折り曲げられることがなく、自然な形状を維持しながら接続することが可能となり、表示部を回動させるときに接続手段の断線の虞を無くし、また、部材コストを高くすることなく、簡単な構成で表示手段と計測手段とを接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施形態1による通電情報表示装置を示す斜視図であり、図2は図1の通電情報表示装置の構成を示す分解斜視図である。また、図3は図2の表示ベースにフレキシブルプリントサーキットを挿通した状態の斜視図、図4は図2のホルダの斜視図、図5は図2の液晶表示素子にフレキシブルプリントサーキットを接続した状態の斜視図、そして、図6は図3の表示部にホルダを装着した状態の斜視図である。以下、図に基づいて説明する。
【0010】
図1において、通電情報表示装置1は、本体ベース部2と、本体ベース部2上に設けられた本体カバー部3と、この両方が組み合わされた容器に収容された計測手段(図示せず)を構成する部品類とを合わせて本体部4が構成されている。そして、本体部4の前面側に、計測手段で計測された電力量などの計測値を表示させる表示部5と、この表示部5に表示させるために、電力量の出力パルスの形態や合成変成比などの、通電情報表示装置1の固有データを設定する設定部6とが配設されている。表示部5は、後述するホルダによって、本体カバー部3に回動可能に保持されている。また、本体ベース部2には、外部電線を接続するための端子部7が配設され、更に、通電情報表示装置1をボルト等によって分電盤等に取付けるための取付孔8が設けられている。
【0011】
図2の分解斜視図により、この通電情報表示装置1を構成する部品、特に表示部側の各部品同士の位置関係について説明をする。
先ず、本体部4側から説明すると、本体カバー部3の内部には、電路の通電状態を計測して表示部5へ表示情報を送信するCPU基板9やその他の電子部品類(これらで計測手段が構成される)が収納されており、その前面側は、表示部5が取り付けられる表示部装着面3aとなっている。表示部装着面3aの略中央部には、CPU基板9と表示部5とを接続するため開口部である略四角形状のホルダ挿入口3bが形成されており、表示部装着面3aの左端部近傍には、表示部仮固定爪3cが2個設けられている。そして、ホルダ挿入口3bの内側の開口部近傍の上下に、ホルダ挿入口3bを通じてホルダ10(詳細は後述する)と本体部4とをスライド可能に接続するための2個のスライドバー3dが、ホルダ挿入口5を横断する方向に設けられている。
【0012】
次に、表示部5側を説明する。
本体部4に取付けられる表示部5は、表示ベース11(詳細は後述する)と、表示ベース11に取り付けられ、計測した電気量を表示する液晶表示素子12と、その液晶表示素子12に一端が固着され、他端がCPU基板9と電気的に接続される接続手段であるフレキシブルプリントサーキット13(詳細は後述する)と、液晶表示素子12に表示された計測値が前面外部から視認できるように表示窓14aが設けられ、液晶表示素子12を収容した表示ベース11と組み合わされる表示カバー14とを備えている。
図2において、液晶表示素子12を破線で表示しているのは、図の方向から液晶表示素子12を見たとき、フレキシブルプリントサーキット13の主要部が液晶表示素子12の裏側になるので、フレキシブルプリントサーキット13の形状が分かりやすいように透視して表したためである。
【0013】
なお、以下の説明において、表示ベース11の表面とは、ホルダ10が組み合わされる面、すなわち、図2の斜視図の表示ベース11では見えていない反対側の面を指すものとする。裏面とはその裏側(すなわち、図2で見えている側)を指すものとする。
同様に、ホルダ10の表面とは本体部4と組み合わされる側の面、すなわち、図2の斜視図のホルダ10では見えていない反対側の面を指し、裏面とはその裏側(すなわち、図2で見えている側)を指すものとする。
【0014】
次に、図3により、表示ベース11の詳細について説明する。図3は、表示ベース11を表面側から見た斜視図である。
表示ベース11の表面側には、ホルダ10が装着される円形状の凹部からなるホルダ装着面11aと、本体部4に接合される本体接合面11bとを有している。
ホルダ装着面11aには、その周縁部に略90度間隔で凹設されたホルダ固定凹部11c(図では2個しか見えてないが4個ある)と、その内側に略C字形状に形成された過剰回転防止C字溝11dと、更にその内側の中央部に、本体部4側へ向けて突出する円筒形状の円筒軸11eとを備えている。
4個のホルダ固定凹部11cは、円筒軸11eの軸心を中心として相互に均等に距離を保つように配設され、表示ベース11に対して相対的に回転するホルダ10を所定位置に固定する役目をする。また、過剰回転防止C字溝11dは、表示部5が過剰に回転するのを防止する役目をする。
【0015】
円筒軸11eは、中空部11fと、円筒軸11eの軸方向に形成された第一のスリット11gとを有し、第一のスリット11gの先端部側には、第一のスリット11gの間隔が開く方向に傾斜した傾斜部11hが形成されており、更に、円筒軸11eの先端部側には、2個のホルダ接続爪11iが設けられている。
ホルダ接続爪11iは、円筒軸11eの径方向に尖った相互の先端間の距離が、後述の接続爪挿入溝10fの径方向の距離より僅かに大きく設計されており、ホルダ10と表示部5を連結する役目をする。
【0016】
一方、本体接合面11bには、その周縁部近傍に、8個の表示部角度決め溝11jが形成されている。この表示部角度決め溝11jは、本体カバー部3の表示部装着面3aに設けた表示部仮固定爪3cと連携し、表示部5が回動したときに、表示部5を90度ごとに固定する役割をするものである。
なお、図3の表示ベース11には、裏面側に、フレキシブルプリントサーキット13を接続した液晶表示素子12を取り付けて表示カバー14を装着した状態を図示しており、フレキシブルプリントサーキット13の一部は、図中に網掛けで示すように、円筒軸11eの第一のスリット11gから引き出されている。この部分の組立の詳細に関しては後述する。
【0017】
次に、図4により、ホルダ10の詳細について説明する。図4は、ホルダ10を正面側から見た図である。
本体部4と表示部5との間に介装されて双方を接続するホルダ10は、表面側の本体装着面の中央部に、先に説明した表示ベース11の円筒軸11eの外径よりやや大きい内径を有する表示ベース挿入孔10aが形成された略中空円筒状のホルダ筒10bが設けられている。ホルダ筒10bの側面には、軸方向に、表示ベース11の円筒軸eに形成された第一のスリット11gと並行な第二のスリット10cが形成されており、更に、先端側にテーパー面が形成され径方向に弾性を有する2個の本体接続爪10dが、ホルダ筒10bの径方向で180度反対の位置に設けられ、また、各本体接続爪10dの両側に2個ずつ、合計4個のスライド補助板10eを備えている。
【0018】
上記2個の本体接続爪10d相互の径方向の先端間距離は、先に説明した本体カバー部3に設けられている2つのスライドバー3dの相互の距離より僅かに大きくし、且つ、本体接続爪10dの下部側面の相互間距離はスライドバー3dの相互の距離より僅かに小さくなるように設計されている。
また、表示ベース挿入孔10aの内面上部側には、先に説明した表示ベース11に形成されたホルダ接続爪11iが挿入される2個の接続爪挿入溝10fと、ホルダ接続爪11iが係止される環状係止部10gとが形成されている。
【0019】
一方、図2に示すように、ホルダ10の裏面には、周縁部近傍の円周上に90度ごとに4箇所配設されたホルダ固定突起10hと、その内側に1個の過剰回動防止突起10iを有している。このホルダ固定突起10hは、表示部5の回動時に、表示ベース11側に形成したホルダ固定凹11cと嵌合することによって、回動する表示部5を要求される所定の位置に固定するために、すなわち、90度ごとに回転した後に位置決めされて固定するのに用いられる。
また、過剰回動防止突起10iは、表示部5の回動時に、表示ベース11の過剰回転防止C字溝11dに沿ってスライドし、表示部5の回動可能範囲を0度から270度に限定して過剰回転を防止するために用いられる。
【0020】
次に、図5によって、液晶表示素子12に接続された接続手段であるフレキシブルプリントサーキット13の詳細について説明する。
図において、フレキシブルプリントサーキット13は、展開すると長方形状であり、複数本の銅箔パターンをフレキシブルな絶縁シートで被覆して形成されており、本体部4と表示部5とを電気的に接続する役割を担っている。
フレキシブルプリントサーキット13の一端側は、液晶表示素子12と接着形成されて電気的にも接続されており、他端側は、本体部4のCPU基板9に接続される。CPU基板9との接合部は、フレキシブルプリントサーキット13の銅箔パターンの一部を露出させて、CPU基板9上のソケットに接続することで電気的接合と機械的接合とを実現している。
【0021】
図5では、フレキシブルプリントサーキット13は曲げられた状態で表示しているが、この状態に形成されるのは、液晶表示素子12を表示ベース11,表示カバー14に組み込んで、表示ベース11の円筒軸11eに巻回された後である。組み込み方法については後述する。
なお、フレキシブルプリントサーキット13が円筒軸11eに巻回される巻数は、表示部5が最大限右回転したときに1/8周分、表示部5が最大限左回転したときに7/8周分になるように設計されている。
【0022】
次に、図6を参照しながら、表示部5とホルダ10との連結構造について説明する。
表示部5は、表示ベース11と表示カバー14とで形成される容器内に液晶表示素子12がフレキシブルプリントサーキット13と共に収容されて構成されている。この状態の表示部5を、ホルダ10の裏面から、ホルダ筒10bの表示ベース挿入孔10aに、表示ベース11の円筒軸11eを挿入し、接続爪挿入溝10fとホルダ接続爪11iを嵌合させて更に押し込むことで、ホルダ接続爪11iが環状係止部10gに係合して連結が成される。
挿入時は、ホルダ接続爪11iの持つ弾力性により爪が内側に湾曲し変形することで容易に挿入できるが、挿入後はホルダ接続爪11iが元の形状に戻るため、環状係止部10gに係合し、再度ホルダ接続爪11iを意図的に湾曲させない限り、表示ベース11とホルダ10が別離することはない。
【0023】
連結後は、表示ベース11とホルダ10は同軸上にあるので、相対的に回転可能であるが、ホルダ固定突起10h(図2参照)がホルダ固定凹部11c(図3参照)に嵌合しているので、ホルダ10を固定して表示部5側に回転トルクを加えても、所定トルク以上の力を加えない限り回動しないようになっている。
【0024】
次に、図6のように、表示部5と組み合わされたホルダ10を、本体部4に連結する手順を、図2を参照しながら説明する。連結は、ホルダ10のホルダ筒10bを、本体部4の表示部装着面3aに設けられた略四角形状のホルダ挿入口3bに挿入し、ホルダ10の本体接続爪10dをスライドバー3dに押し付けることにより、本体接続爪10dを内側に湾曲変形させ、スライド補助板10eと本体接続爪10dとで、スライドバー3dを挟み込むことによって成される。
【0025】
2個のスライドバー3dの相互間距離と2個の本体接続爪10dの間隔とを前述のように設計しているので、本体接続爪10dがスライドバー3dと一定の裕度を保ちながら嵌合し、本体接続爪10dとその両側の2個のスライド補助板10eとでスライドバー3dを挟み込む状態になる。こうして、表示部5はホルダ10を介してスライドバー3d上を、表示部装着面3aに平行な一定方向(本実施の形態では左右方向)にのみ移動可能になる。
【0026】
上記のように、表示部5を一定方向に移動させる手段を表示部移動手段と称し、表示部5を回動させる手段を表示部回動手段と称することにする。表示部移動手段は、主にホルダ10とスライドバー3dとから成っている。
【0027】
次に、以上のように構成された各部品の組み付け作業、特に、フレキシブルプリントサーキット13の組み付け作業について、図7を用いて更に詳しく説明する。組み付け作業は、以下の作業1〜作業5から構成される。
【0028】
作業1は、(a)に示すように、表示ベース11と表示カバー14との間に液晶表示素子12を収納する作業である。表示カバー14に液晶表示素子12を挿入し固定した後、フレキシブルプリントサーキット13のCPU基板9との接続側(以下先端側と称す)を表示ベース11の円筒軸11eの中空部11fに通し、表示ベース11と表示カバー14とを組み合わせる。
【0029】
作業2は、フレキシブルプリントサーキット13を第一のスリット11gに挿通させる作業である。(a)の状態で表示ベース11を固定し、フレキシブルプリントサーキット13の先端側の端を持ち、反時計回りに半回転し、フレキシブルプリントサーキット13が垂直な状態から右手前方向に90度傾ける。
この動作途中で、フレキシブルプリントサーキット13の側面はおよそ円筒軸11eの傾斜部11hの位置に達し、フレキシブルプリントサーキット13は傾斜部11hの傾斜に容易に誘導され、第一のスリット11gに挿通されて(b)の状態となる。
このように組み付けることで、フレキシブルプリントサーキット13は中空部11f内部で1回巻回した状態(図5参照)となっており、フレキシブルプリントサーキット13は弛みを保った状態となっている。
このとき、傾斜部11hを設けてなかった場合には、フレキシブルプリントサーキット13の側面が円筒軸11eの上部に接する位置を第一のスリット11gの位置に一致させなければならないため、組立性が悪い。
【0030】
作業3は、(c)に示すように、フレキシブルプリントサーキット13を円筒軸11eの外周に巻回させる作業であり、(b)の状態から円筒軸11eの外周を約5/8周分巻回させて(c)の状態にする。
【0031】
作業4は、(d)のように、ホルダ10を表示部5に装着する作業であり、(c)の状態からホルダ10の軸を円筒軸11eの軸に合わせて、フレキシブルプリントサーキット13の先端側(CPU基板9との接続側に向けている)の方向と、ホルダ10の第二のスリット10cの方向を合わせて、ホルダ筒10bに円筒軸11eを挿入し、ホルダ接続爪11iを接続爪挿入溝10fに嵌合させて押し込み環状係止部10gに係合させる。フレキシブルプリントサーキット13の先端側は第二のスリット10cに挿通されて先端部が外部に引き出されている。この状態が、先に説明した図6の状態である。
【0032】
作業5は、ホルダ10を装着して一体となった表示部5を、本体部4のスライドバー3dに嵌合させて装着する作業であり、この作業については先に説明した通りである。
このように作業1から作業5を順次実施することで組み付け作業が完了する。
【0033】
次に、以上のようにして組み立てられた通電情報表示装置1の、表示部回動手段の回動動作について、図8を参照しながら説明する。
図8(a)は、通電情報表示装置1の表示部5を回動する前の斜視図である。この表示部5が表示部装着面3a上に固定された位置を第一の位置とする。これから、表示部5を本体部4より僅かに浮かせて左方向へ引っ張ることで、ストッパー機能が解除され、表示部5が表示部装着面3a上を移動可能となる。
【0034】
次に、(b)のように、矢印方向に移動させる。この状態では、本体カバー部3の内部に設けられたスライドバー3dによって規制されて一定の方向にのみ移動自在となっており、この実施の形態では表示部5を前面から見て設定部6と反対側の横方向(左方向)に移動することができるようになっている。
【0035】
次に、(c)のように、表示部5を回動させても十分な距離(少なくとも略長方形である表示部5の表示側の面の対角線の半分よりも長い距離)である第二の位置まで移動させた後、表示部5を回動させる。
このとき、前述したように、ホルダ10は表示部5を回動させてもスライド補助板10eがスライドバー3dによって規制されているので、一緒になって回動することはない。したがって、表示部5だけが回動し、ホルダ10に設けられたホルダ固定突起10h(図2参照)と表示ベース11に設けられたホルダ固定凹部11c(図3参照)との働きにより90度回動するごとに固定され、90度単位の所望の角度に回動させることができる。このとき、この実施の形態では過剰回転防止突起10i(図2参照)と過剰回転防止C字溝11d(図3参照)の効果によって、回転可能な範囲を0度〜270度とすることで、フレキシブルプリントサーキット13を断線させないようになっている。
【0036】
回転角度が0度の時、回動軸と第一のスリット11gとで構成する直線と、回動軸と第二のスリット10cとで構成する直線とが交わる角度は45度となっており、円筒軸11eに巻きつけられるフレキシブルプリントサーキット13は45度分となっている。
回転角度を0度から270度へ変化させると、回動軸と第一のスリット11gとで構成する直線と、回動軸と第二のスリット10cとで構成する直線とが交わる角度は315度となり、円筒軸11eに巻きつけられるフレキシブルプリントサーキット13は315度分となっている。フレキシブルプリントサーキット13は巻回できる最大の315度分巻回した場合においても、余裕を持つように設計されている。
【0037】
次に、(d)のように、所望の角度に回動させた表示部5を、表示部装着面3a上を元の方向に移動させて、表示部仮固定爪3c(図2参照)と表示部角度決め溝11j(図6参照)が嵌合し固定される位置まで移動させ、回動動作が終了する。
なお、これまでの説明では、表示部5と設定部6が個別に設けられたものであったが、表示部と設定部とが一体に形成されている場合であれば、表示部移動手段を省いて、回動手段として本実施の形態の表示部回動手段を採用すれば良い。
【0038】
以上のように、実施の形態1の通電情報表示装置によれば、本体部にホルダを介して表示部が回動可能に保持された、回動可能な表示部を持つ通電情報表示装置において、計測手段と表示部とを電気的に接続する接続手段は、一端側が表示部に収容された表示素子に接続され、他端側が円筒軸の中空部から第一のスリットに挿通され円筒軸の外周に引き出されて所定角度だけ巻回され、ホルダ筒の第二のスリットに挿通されて外側に引き出され、計測手段に接続されているので、接続手段が途中で極端に折り曲げられることなく、自然な形状を維持しながら接続することが可能となり、表示部を回動するときに接続手段の断線の虞を無くし、また、部材コストを高くすることなく、簡単な構成で表示手段と計測手段とを接続することができる。
【0039】
また、円筒軸には、第一のスリットの先端部側に、第一のスリットの間隔が開く方向に傾斜した傾斜部を設けたので、接続手段を第一のスリットに挿通して組み立てるとき、容易に組み立てることができる。
【0040】
更にまた、接続手段にフレキシブルプリントサーキットを使用し、フレキシブルプリントサーキットは、円筒軸の中空部で1回巻回して、第一のスリットに挿通したので、表示部を回動したとき、円筒軸の中空部で1回巻回させているため十分な弛みがあり自然な形状を維持するため、フレキシブルプリントサーキットが断線する虞が無く余裕を持って表示部と計測手段とを接続することができる。また、接続手段にハーネスを使用したものと比較して、部品点数が削減でき、組立が容易となるため、コスト低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施形態1の通電情報表示装置を示す斜視図である。
【図2】図1の通電情報表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】図2の表示ベースにフレキシブルプリントサーキットを装着した状態の斜視図である。
【図4】図2のホルダの斜視図である。
【図5】図2の液晶表示素子にフレキシブルプリントサーキットを装着した状態の斜視図である。
【図6】図3の表示部にホルダを装着した状態の斜視図である。
【図7】この発明の実施形態1の通電情報表示装置の構成部品の組み付け作業を説明する斜視図である。
【図8】この発明の実施形態1の通電情報表示装置の表示部回動動作を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1 通電情報表示装置 2 本体ベース部
3 本体カバー部 3a 表示部装着面
3b ホルダ挿入口(開口部) 3c 表示部仮固定爪
3d スライドバー 4 本体部
5 表示部 6 設定部
7 端子部 8 取付孔
9 CPU基板 10 ホルダ
10a 表示ベース挿入孔 10b ホルダ筒
10c 第二のスリット 10d 本体接続爪
10e スライド補助板 10f 接続爪挿入溝
10g 環状係止部 10h ホルダ固定突起
10i 過剰回転防止突起 11 表示ベース
11a ホルダ装着面 11b 本体接合面
11c ホルダ固定凹部 11d 過剰回転防止C字溝
11e 円筒軸 11f 中空部
11g 第一のスリット 11h 傾斜部
11i ホルダ接続爪 11j 表示部角度決め溝
12 液晶表示素子
13 フレキシブルプリントサーキット(接続手段)
14表示カバー 14a 表示窓。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電路の通電情報を計測する計測手段が収納された本体部と、
前記本体部の前面側に配設されて前記計測手段で計測した電気量を表示する表示部と、
前記本体部と前記表示部との間に介装され、前記表示部を回動可能に保持すると共に、前記本体部の開口部にスライド可能に取り付けられたホルダと、
前記計測手段と前記表示部とを電気的に接続する接続手段と、
を備えた通電情報表示装置において、
前記表示部は、前記ホルダとの取付面の中央部に、前記本体部側へ向けて突出する中空の円筒軸を有し、前記円筒軸の軸方向に第一のスリットが形成されており、
前記ホルダは、前記円筒軸が嵌挿され回動可能に保持されるホルダ筒を有し、前記ホルダ筒の軸方向に前記第一のスリットと並行な第二のスリットが形成されており、
前記接続手段は、一端側が前記表示部に収容された表示素子に接続され、他端側が前記円筒軸の中空部から前記第一のスリットに挿通され前記円筒軸の外周に引き出されて所定角度だけ巻回され、前記ホルダ筒の前記第二のスリットに挿通されて外側に引き出され、前記計測手段に接続されていることを特徴とする通電情報表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の通電情報表示装置において、前記円筒軸には、前記第一のスリットの先端部側に、前記第一のスリットの間隔が開く方向に傾斜した傾斜部が設けられていることを特徴とする通電情報表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の通電情報表示装置において、前記接続手段はフレキシブルプリントサーキットであって、前記フレキシブルプリントサーキットは、前記円筒軸の前記中空部で1回巻回されて、前記第一のスリットに挿通されていることを特徴とする通電情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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