説明

連結机とワゴンの組合せ及び机に組合せて用いるワゴン

【課題】 長大な連結天板における中間部の撓みや、左側エンド又は右側エンドの脚体の浮上り現象を、新機軸を備えたワゴンにより効果的に抑止すると共に、当該ワゴンによって天板下方の空間の有効利用を一段と促進することのできるようにした連結机とワゴンの組合せ、並びに、その連結机のためには勿論、通常机に組合せても有用なワゴンを提供すること。
【解決手段】 少なくとも2枚の天板1〜3を連結し、その左右側エンドには通常脚体4,5を設けると共に、当該連結天板T下面の内奥側には、前後幅の小さい中間脚6,7を設けた連結天板Tを備えた連結机CDと、この連結机CDに対し前記連結天板T下の任意の位置に配置されるワゴンWであって、その上面に、当該天板下面に当接乃至近接してその連結天板Tにかかる荷重の一部を支持する高さ調節可能な連結天板Tへの当接部12を備えたワゴンWとを組合せたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の天板を長さ方向で連結すると共に、当該連結天板を支える中間脚の前後幅を小さく(短かく)形成することにより、この連結天板の下方空間のどこへでもワゴンを随意に配置することができるようにした連結机に対し、その机の天板下にスペース効率よく配置することできる机とワゴンの組合せ、並びに、前記天板下にスペース効率よく配置するために左右幅を小さく形成したワゴンであっても転倒することのないように形成したワゴンに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、長目(正面幅)の天板、例えば長さ3m前後の天板を少なくとも2枚乃至3枚或はそれ以上を連結した、例えば長さが9m前後にも及ぶ長大な連結天板(以下、単に「連結天板」という)により形成した机がオフィス等で用いられるようになった。
【0003】
この種の連結天板を有する机(以下、単位「連結机」という)では、天板連結部を下から支える中間脚の前後幅(天板の奥行方向に関し)を小さく押えた形態とすることにより、天板下方の空間に左右方向を通して障害物(主として中間脚)がないため、通常タイプの机にあっては天板下の右側又は左側に固定的に配置されていた袖キャビネットに代わるワゴン(キャスタ付袖キャビネット)を、連結天板下方の任意の位置に配置できるという利点があって利用効率の高い連結天板(連結机)の利用を可能にしていた。
【0004】
しかし、従来の連結天板の下に配設するワゴンは、通常タイプの机用として作製された標準サイズの袖キャビネットと同じ幅(正面幅、具体的には400mm前後)であったため、連結天板の下面側に形成される広大な空間の利用効率をそれ程高めることができないという現状がある。
【0005】
一方、長大な連結天板は、その左右側エンドには一例としてパネル状の脚体が設けられ、中間脚は前後幅の小さな支柱状の脚体が連結天板の奥側下面にしか配設されないため、連結天板の中間部に集中的に荷重が掛かるとその長いスパンゆえに、連結天板の左側端或は右側端に設けたパネル状脚体の奥側が浮き上ることがあるという問題を抱えていた。
【0006】
なお、天板下に配置できるワゴンとしては、特許文献1〜3などのワゴンが知られているが、これらの公知ワゴンは、通常タイプの机用の袖キャビネットの一種として提案されているものであるため、連結天板下の広大な空間の有効利用を意図したものではなく、また、長大な連結天板における左,右側端の脚体の浮上り防止効果を狙ったものでもない。
【特許文献1】特開2004−105276号公報
【特許文献2】特許第3669267号公報
【特許文献3】特開平9−164026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、上記のような長大な連結天板における中間部の撓みや、左側エンド又は右側エンドの脚体の浮上り現象を、新機軸を備えたワゴンにより効果的に抑止すると共に、当該ワゴンによって天板下方の空間の有効利用を一段と促進することのできるようにした連結机とワゴンの組合せ、並びに、その連結机のためには勿論、通常机に組合せても有用なワゴンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明連結机とワゴンの組合せの構成は、少なくとも2枚の天板を連結し、その左右側エンドには通常脚体を設けると共に、当該連結天板下面の内奥側には、前後幅の小さい中間脚を設けた連結天板を備えた連結机と、この連結机に対し前記連結天板下の任意の位置に配置されるワゴンであって、その上面に、当該天板下面に当接乃至近接してその連結天板にかかる荷重の一部を支持する高さ調節可能な連結天板への当接部を備えたワゴンとを組合せたことを特徴とするものである。
【0009】
そして、上記連結机と組合せて使用する上で好適な本発明ワゴンの構成は、前記連結机の連結天板下に配置されるワゴンであって、そのワゴン天板の少なくとも奥行き方向の向う側(又は前方側)に、上端部が前記連結天板下に当接乃至近接できる昇降自在の連結天板への当接部を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明では、上記構成において、ワゴン天板における手前側の少なくとも略1/2は、連結天板面と面を揃えられる昇降機構乃至昇降可能構造を備えたものとすることができる。また、ワゴンの正面幅を、従来公知の通常サイズ(通常タイプ)の机用ワゴンのいずれのワゴンにも付与された正面幅、例えば400mm前後にすることは勿論のこと、その正面幅を小さく、具体的には300mm以下、望ましくは200〜150mm程度にすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、天板の長さが大きな連結机と組合せて使用するワゴンの正面幅を小さくできるので、多くの台数のワゴンを連結天板下に配置でき、この結果多くの人員が個々のワゴンをプライベートユース用として使用しつつ前記連結机をスペース効率よく利用することができる。
【0012】
ここで、ワゴンの正面幅を小さくすると、そのワゴンが左方又は右方へ転倒し易くなる。そこで本発明では、ワゴン天板の少なくとも奥行き方向の奥側に高さ調節自在の機構を付与し、連結天板の下に配置したワゴン天板に設けた高さ調節機構を作動して当該連結天板の下面に前記高さ調節機構による当接部を当接乃至近接させるようにした。これにより当該ワゴンを連結天板中間部を支える脚体として作用させ、連結天板の撓み易さや左右側端脚体の浮上がりを防ぐと共に、正面幅が小さな当該ワゴン自体の側方転倒を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明による連結机と本発明ワゴンの組合せ、並びに、本発明ワゴンについての実施形態の例について、図を参照して説明する。
図1は本発明による連結机と本発明ワゴンの第1例の3台を組合せた例の斜視図、図2は図1の連結机とワゴンの組合せの例における要部の正面図、図3は本発明ワゴンの第2例の斜視図、図4は本発明ワゴンの第3例の斜視図、図5は本発明ワゴンの第4例の斜視図である。
【0014】
図1において、CDは本発明を適用する連結机の一例で、ここでは1枚が2〜3m程度の長さ(正面幅)を有する3枚の天板1〜3を、公知の連結手段(図に表われないが、一例としてボルト,ナットを利用した連結手段がある)により、各天板1〜3の長さ方向で連結して連結天板Tの一例を形成している。
【0015】
連結天板Tの左右外側端には、図の例では一例としてパネル状の脚体4,5を夫々に設けると共に、各天板1〜3の連結部の内奥側には、前後幅(奥行幅)が小さい中間脚6,7が設けられ、連結机CDの基本形に形成されている。
【0016】
図1に示した連結天板Tの上面において、奥行き方向先端側に3枚の天板1〜3を通して形成された細幅部は、配線などを天板の上面側と天板の下面側の間で挿通するための配線挿通用溝の3枚の蓋8,9,10によりカバーされた状態を示したものである。なお、11は連結天板Tの奥行き方向の前方(連結机CDの前面)に垂設した幕板である。
【0017】
上記の天板1〜3から幕板11までの各部材によって、本発明を適用する連結机CDの一例(シングルタイプ)に形成されているが、本発明が適用できる連結机CDには、天板1〜3,左右側エンドの脚体4,5、中間脚6,7を備えた基本形の連結机CDの2本を、配線挿通用溝の側を対向させて向い合せ配置したいわゆるダブルタイプの連結机(図示せず)もある。
【0018】
また、図1に示したシングルタイプの連結机、或は、図示しないダブルタイプの連結机において、左右側エンドの脚体4,5は、図示したパネルタイプ脚体のほか、略門形,略コ字形,略Z形などの金属パイプ製や金属型材製の脚体を用いたものもある。
【0019】
上記のような連結机CDにおいて、連結天板Tの下方には、図1〜図3に例示するように、ワゴン正面幅w1が400mm程度のスタンダードタイプのワゴンに比べ、約1/2の正面幅w2(約200mm)に形成すると共に、当該ワゴン自体の転倒防止並びに中間脚として作用する高さ調節機構12を備えた連結机CDと組合せて使用する本発明ワゴンWを配置するようにした。
【0020】
すなわち、本発明ワゴンWは、その正面幅w2が、この例では公知ワゴン(図4,図5のワゴンの幅w1を参照)の略1/2である200mm程度に形成されていると共に、図1のワゴンWでは、その天板13の奥行き側に、4個のネジ式アジャスタ12a〜12dによる高さ調節機構12を連結天板Tへの当接部の一例として設けた。なお、図3の本発明ワゴンWの第2例では、高さ調節機構12による当接部が2個のネジ式アジャスタ12a,12bにより形成されている。前記アジャスタ12a〜12dの設置数は、少なくとも1個あれば本発明の目的とする機能を果すが、何個設けるかは任意である。
【0021】
上記ワゴンWの型式,構造は、いずれも公知のスタンダードタイプのワゴンと同じように、引出しCtを備えたもの(図1〜図3の例参照)や、図示しないがヒンジ扉を備えたもの、或は、扉,引出しなどを設けないオープンタイプなどのいずれであってもよい。
【0022】
本発明ワゴンWは、高さ調節機構12による連結天板下面への当接部を低位にセットした状態でそのまま連結天板Tの任意の位置における天板下に押込む。この移動のため、図1〜図3のワゴンWには滑り子を兼ねたアジャスタAjが設けられ、図4,図5のワゴンWではキャスタCaが設けられている。図1〜図3の例ではアジャスタAjの滑り子(スライダー)作用で図1の矢印方向に進ませている。各ワゴンWを天板下で位置決めをしてから各ワゴンWの高さ調節機構12のアジャスタ12a〜12dを上昇方向に回転させて各アジャスタ12a〜12dの頂部が連結天板Tの下面に当接したところで、各アジャスタ12a〜12dの回転を止めて、連結天板Tに対するワゴンWのセットを終了する(図2参照)。
【0023】
本発明ワゴンWの3台を上記のようにして連結天板Tの下方にセットすると、当該各ワゴンWは、アジャスタ12a〜12dの頂部が連結天板Tの下面に当接していることによって、連結天板Tに掛かる縦荷重を分散支持すると共に、各ワゴンW自体が幅狭(この例では200mm程度)であるにも拘らず、側方へ転倒するおそれがないという固有の効果を奏する。そして、各ワゴンWの幅が、従来品の略半分であることにより、より多くの台数の本発明ワゴンWを連結天板Tの下方へ配置することができる。
【0024】
図1〜図3により説明した上記の本発明ワゴンWは、その前面(引出しの鏡板面)が連結天板Tの前縁(手前側辺)と略同等になるように、連結天板Tの下方に配置した例である。
【0025】
本発明ワゴンでは、高さ調節機構12による連結天板Tの下面への当接部がワゴン天板13の内奥側に設けられているので、当該ワゴン天板13の手前側の少なくとも半分を、連結天板Tの前縁より手前側に位置付けて使用することができる。ワゴンWをこのように配置した場合、連結天板Tの前縁より手前に露出した部分のワゴン天板13は、連結天板Tの拡張天板部として利用することができる。
【0026】
上記の拡張天板機能をさらに進展させるため本発明では、ワゴン天板13において拡張天板部として利用できる部位を、高さ調節機構12が設けられている天板部位13aと分離した形態を採った拡張天板部位13bとして形成し、図4や図5に例示するように、その拡張天板部位13bに、昇降機構乃至昇降可能構造14を組込み、連結天板Tの前縁から露出している当該拡張天板部位13bを、その昇降機構乃至昇降可能構造14によって、当該部位13bの上面を連結天板Tの上面と揃えてやれば、天板面が揃った拡張天板となるので、より利用し易くなる。
【0027】
なお、図4,図5の本発明ワゴンは、ワゴン天板13の奥行き方向の前方(13a)に連結天板下の当接部としての高さ調節機構12を具備している。図4,図5のワゴンにおける当接部としての高さ調節機構12には、ワゴン天板13の奥行き方向の前方に穴や凹部などを設け、その穴や凹部などに入るブロック材や枕部材などの高さ調節部材を配置したり(図4参照)、ネジ式の棒などによる当該部材を昇降させるタイプ(図5参照)などがある。そして、前記ワゴン天板13の手前側の部分は、昇降機構乃至昇降可能構造14を組込んだ拡張天板部位13bに形成したものである。
【0028】
ここで、図4,図5のワゴンWの正面幅w1は、従来公知のスタンダードタイプと同じ幅に形成したものである。また、図4のワゴンWにおいては、拡張天板部位13bの天板部材の昇降機構乃至昇降可能構造14に、天板13の奥行き方向の前方部位13aに配設した穴や凹部とその凹部などに入れて支持されるブロック材や枕部材による高さ調節機構12と同じ構造,形態のものを用いることができる。図4のワゴンWのワゴン天板13に、上記の構成を適用すると、拡張天板部位13bの天板部材を、当該ワゴン天板13の奥行き方向の前方又は後方のいずれかに選択的に配置することが可能になる。
【0029】
このことは、図4のワゴンW(引戸式キャビネット)を、その扉Dを図4に示した状態と同じ側(図4では左側)、又は、逆側に向けて使用することを自由に選択できる。換言すれば、拡張天板部位13bの天板部材を、ワゴン天板13の前方側で高さ調節機構12に載架支持させるのか、或は、当該天板13の後方側で昇降可能構造14に載架支持させるのかを選択して、図4のワゴンWの扉Dの向きを左向き(図4の側)、又は、右向きにして使用することができるので便利である。なお、当然のことながら図4,図5のワゴンWも、図1に例示した連結机CDの連結天板Tの下に配置して、連結天板の持上りや撓みを防止できる点は、図1〜図3に例示したワゴンWと同じである。
【0030】
以上の説明において、天板下面への当接部として設けた高さ調節機構12は、ネジ式アジャスタ12a〜12dの例であったが、この調節機構12としてはネジ式アジャスタ以外の機構、例えば平行リンクを利用したジャッキタイプ,ラック・ピニオンタイプ,送りネジタイプなどの高さ調節機構により形成した当接部を用いることができる。
また、拡張天板部位13bの昇降機構乃至昇降可能構造14も、上記の高さ調節機構12と同様の高さ調節機構、或は、や嵩上げ用のダボ状部材や駒部材などを選択的に採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は以上の通りであって、少なくとも2枚の天板を連結し、その左右側エンドには通常脚体を設けると共に、当該連結天板下面の内奥側には、前後幅の小さい中間脚を設けた連結天板を備えた連結机と、この連結机に対し前記連結天板下の任意の位置に配置されるワゴンであって、その上面に、当該天板下面に当接乃至近接してその連結天板にかかる荷重の一部を支持する高さ調節可能な連結天板への当接部を備えたワゴンとを組合せたから、より多くの台数のワゴンを連結天板下に配置して、多くの人員が個々のワゴンをプライベートユース用として使用しつつ連結机をスペース効率よく使用することができる。
また、本発明では、ワゴン天板の少なくとも奥行き方向の奥側に連結天板下への当接部として高さ調節自在の機構を設け、連結天板の中間部を、当該連結天板の下に配置したワゴン天板に設けた前記高さ調節機構を作動して当該連結天板の下面に当接乃至近接させるようにしたことにより、当該ワゴンを連結天板中間部の脚体として作用させ当該連結天板の撓みや左右側端脚体の浮上がりを防ぐと共に、正面幅が小さな当該ワゴン自体の側方転倒を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による連結机と本発明ワゴンの第1例の3台を組合せた例の斜視図。
【図2】図1の連結机とワゴンの組合せの例における要部の正面図。
【図3】本発明ワゴンの第2例の斜視図。
【図4】本発明ワゴンの第3例の斜視図。
【図5】本発明ワゴンの第4例の斜視図。
【符号の説明】
【0033】
CD 連結机
T 連結天板
1〜3 天板
4,5 左右側端の脚体
6,7 中間脚
W 本発明ワゴン
12 当接部としての高さ調節機構
13 ワゴン天板
14 ワゴン天板の昇降機構
w1 従来ワゴンにおける正面幅
w2 本発明ワゴンの正面幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2枚の天板を連結し、その左右側エンドには通常脚体を設けると共に、当該連結天板下面の内奥側には、前後幅の小さい中間脚を設けた連結天板を備えた連結机と、この連結机に対し前記連結天板下の任意の位置に配置されるワゴンであって、その上面に、当該天板下面に当接乃至近接してその連結天板にかかる荷重の一部を支持する高さ調節可能な連結天板への当接部を備えたワゴンとを組合せたことを特徴とする連結机とワゴンの組合せ。
【請求項2】
中間脚は、連結天板における天板連結部の下面又はその他の部位の下面に設けた請求項1の連結机とワゴンの組合せ。
【請求項3】
机の天板下に配置されるワゴンであって、そのワゴン天板の少なくとも奥行き方向の前方側に、上端部が前記連結天板下に当接乃至近接できる昇降自在の連結天板への当接部を設けたことを特徴とする机と組合せて使用するワゴン。
【請求項4】
ワゴン天板における手前側の少なくとも略1/2は、天板面と面を揃えられる昇降機構乃至昇降可能構造を備えた請求項3のワゴン。
【請求項5】
ワゴンの正面幅を200mm程度に形成した請求項1〜4のいずれかのワゴン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate