説明

連続状木質テープ

【課題】鴨居のレール溝のように、屈折縁を介して幅方向で相互に屈折する複数の連続面部からなる連続状被接合部に接合するに最適な構造を備えた連続状木質テープを提供する。
【解決手段】連続状木質テープ1は、連続状突板2の裏面に接着層3が形成され、その外表面を覆うように剥離紙4が接合された基本構造から成る。この連続状木質テープ1はロール状に巻き取られており、鴨居20のレール溝23のような連続状被接合部に接合されるものであり、レール溝23の屈折縁24,24等に一致するように、同数のミシン目7が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鴨居のレール溝のように、平行な屈折縁を介して幅方向で相互に屈折する複数の連続面部からなる連続状被接合部に適した連続状木質テープに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の極薄状突板を一列に接続した連続状突板を表面に配し、裏面に接着層が形成され、該接着層に剥離紙を剥離可能に被着して覆うようにした連続状木質テープは、特許文献1で示すように種々提案されている。この連続状木質テープは、木材面の補修材や、表面化粧材などに用いられている。
【特許文献1】特開平11−129210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
鴨居材料として、芯材として低廉な集成基材やMDF〈中密度繊維板)を用い、その外表面に銘木からなる突板を接合し、あたかも銘木の無垢材かの外観を呈するようにした集成材がよく用いられている。この鴨居にあっては、その一面に長手方向に沿って襖の上縁が嵌合して、開閉案内するためのレール溝が形成される。ところで、このレール溝は突板を接合後に形成されるため、その削成により芯材が溝内で露出してしまい、溝内表面の粗れが目立ち、突板からなる外表面の木質との相違が露呈し、敷居が比較的低廉な集成材であることが露見してしまうという問題があった。
【0004】
これを修正する手段としては、溝内面に外表面が突板からなる連続状木質テープを被着することが有効である。しかし、該レール溝は天面部と両側面部とからなり、このため木質テープの貼着を90度づつ異なる三面にわたって施工しなければならず、しかも幅20mm程度の狭幅内での手作業となり、極めて面倒なこととなる。さらには、一面づつ貼着するために、施工過程で表面に接着剤や油分などの手垢が付き易く、木質テープの外表面から手垢を除去する後作業を要したり、未加工面に付着した場合にも経時変化により手垢が浮き出てくるなどの問題も派生する。このように従来手段では、熟練を要し、施工結果にも問題が発生しやすく、実際には、レール溝内での集成材の露出を放置しているのが現状である。
本発明は、この鴨居のレール溝のように、屈折縁を介して幅方向で相互に屈折する複数の連続面部からなる連続状被接合部に接合するに最適な構造を備えた連続状木質テープの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表面に連続状突板が配され、裏面に接着層が形成され、さらに該接着層に剥離紙を剥離可能に被着した連続状木質テープにおいて、
屈折縁を介して幅方向で隣接する複数の連続面部からなる連続状被接合部に接合するものであって、その連続方向に沿って厚み方向に貫通するミシン目を形成して、該ミシン目により各連続面部に接合される同数の長尺部分領域を区画形成してなり、各ミシン目で折り返して、各長尺部分領域を当該連続面部に被着して、連続状被接合部に倣って接合するものであることを特徴とする連続状木質テープに係る。
【0006】
かかる構成にあって、連続状被接合部に倣うように、ミシン目で折り込んで、木質テープを山折り、又は谷折りとする。次に屈折縁にミシン目を一致させ、各長尺部分領域ごとに剥離紙を分離し、長尺部分領域を当該連続面部に接着する。この場合に、ミシン目は厚み方向に貫通しているから、剥離紙も長尺部分領域ごとに分離することができる。この接合作業は、ミシン目の折込により木質テープを連続状被接合部の形状と倣った形態としているから、一の長尺部分領域を当該連続面部に位置合わせて接合することにより保持すれば、他の長尺部分領域については、端縁から剥離紙を除去するだけで、長尺方向に沿って順次長尺部分領域を連続面部に面押しするだけで、簡単に接合することができる。このため、作業者は木質テープの接着面や、露出した連続面部に手で触れる必要なく、接合作業を行うことができるから、施工を容易かつ美麗に行うことができる。
【0007】
かかる構成にあって、二以上の平行な屈折縁を介して幅方向で隣接する三以上の連続面部からなる連続状被接合部に接合する場合に特に有用となる。この場合には、少なくともミシン目間の長尺部分領域の幅を、接合すべき当該連続面部の幅に予め一致させる様にする。この構成にあっては、かかるミシン目間の長尺部分領域を当該連続面部に接合してから、その他の端縁側の長尺部分領域を連続面部に接合する。
【0008】
かかる構成にあっては、鴨居のレール溝に用いる場合に最適となる。
この場合には木質テープには、二本のミシン目が形成され、該ミシン目間の長尺部分領域の幅が、レール溝の天面部である連続面部の幅と合致し、ミシン目の両側の長尺部分領域の幅が、レール溝の側面部である連続面部の幅とほぼ合致したものとなる。
【0009】
かかる構成にあって、ミシン目間隔はレール溝の天面部の幅と一致するから、該ミシン目は天面部と両側縁部間の屈折縁と一致することとなる。このため、ミシン目で直角に折曲げて、木質テープを凹状とする。この形態にあって、木質テープはレール溝の三面に沿った形状に合致する。そこで、まず、中央の長尺部分領域の裏面の剥離紙を剥がして、該接着面を天面部に沿って座定する。これにより、天面部がレール溝内に接合することとなる。次に直角状に折り込んだ両側の長尺部分領域ごとに、端縁から剥離紙を引き剥がして、レール溝の当該側面部に接合する作業を繰り返す。
これにより木質テープは鴨居のレール溝の内面に整一に接合され、該レール溝表面が覆われることとなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の木質テープは、その連続方向に沿って厚み方向に貫通するミシン目を形成して、該ミシン目により連続状被接合部の各連続面部に接合される同数の長尺部分領域を区画形成してなり、各ミシン目で折り返して、各長尺部分領域を当該連続面部に被着して、連続状被接合部に倣って接合するものである。このため、ミシン目の折込により木質テープを連続状被接合部の形状と倣った形態とすることができる。これにより、一の長尺部分領域を当該連続面部に位置合わせして接合することにより保持すれば、他の長尺部分領域については、端縁から剥離紙を除去するだけで、長尺方向に沿って順次長尺部分領域を連続面部に面押しするだけで、簡単に接合することができ、作業者は木質テープの接着面や、露出した連続面部に手で触れる必要なく、接合作業を行うことができるから、施工を容易かつ美麗に行うことができる。
【0011】
特に、鴨居のレール溝のように、その削成により芯材が溝内で露出してしまい、溝内表面の粗れが目立ち、突板からなる外表面の木質との相違が露呈し、比較的低廉な集成材からなるものであることが露見してしまうような箇所で有用と成り、この木質テープの接合により、無垢の銘木材からなるものと、ほぼ同一の外観とすることができる。また、この場合に、鴨居のレール溝のように、作業性が悪いとされる、内部に切り込まれた細幅の連続状接合部の修正にあっても、容易に接合修正ができる優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施例を添付図面に従って説明する。
本発明にかかる連続状木質テープ1は、図1、2に示すように、連続状突板2の裏面に接着層3が形成され、その外表面を覆うように剥離紙4が接合された基本構造から成る。この連続状木質テープ1はロール状に巻き取られており、このロール2から引き出されて、レール溝23の長さに対応して切断され、後述するように所要の連続状被接合部に施工される。接着層3は連続状突板の裏面に接合される両面テープの裏面側によっても構成される。
【0013】
前記連続状突板2は、天然銘木からなる厚さ0.2〜1.0mm程度の複数の極薄状突板をフィンガージョイントによって一列に接続してなる。連続状突板2の裏面に、厚さ0.01〜0.80mm程度の不織紙からなる連続状裏貼りシートを接合させ、該シートの裏面に接着層3、剥離紙4を配しても良い。このように連続状木質テープの断面構成は種々提案され、要は表面側に突板が、裏面側に剥離紙4で覆われた接着層が形成されていれば良い。
【0014】
かかる構成からなる連続状木質テープ1は、二以上の平行な屈折縁を介して幅方向で相互に屈折する複数の連続面部からなる連続状被接合部に接合されるものであり、その屈折縁に一致するように、同数のミシン目7が形成され、該ミシン目7を介して長尺状部分領域8(9)が区画形成される。このミシン目7は木質テープを横断しており(不完全横断も含む)、該ミシン目7で折曲させて、連続状被接合部に倣うことが可能となる。
その適用例を以下説明する。
【実施例1】
【0015】
図3、4は、連続状木質テープ1aを鴨居20のレール溝23の内面に適用した実施例を示す。
この実施例の連続状木質テープ1aは、レール溝23に適合するように、レール溝23内の屈折縁27に合致するように、その長手方向に沿って二本のミシン目7a,7aを形成している。
【0016】
この鴨居20は集成材から成る芯材21の外表面に突板22を被着し、その下面を削って、複数本のレール溝23を形成したものであり、このレール溝23の内面は、後切削加工によるため、突板22が除去されて、低廉な材料などから成る芯材21がレール溝23内で露出している。そこで芯材21の露出面を隠蔽するため、本発明の連続状木質テープ1aがレール溝23に接合されることとなる。
【0017】
ここで、レール溝23は天面部25と両側の側面部26とが屈折縁27を介して幅方向に連続した凹面からなり、この凹面が連続状被接合部24となる。また天面部25、両側の側面部26が連続面部に相当する。そして、連続状木質テープ1aは、図4で示すように、ミシン目7a,7aにより、該ミシン目7a,7a間の長尺部分領域8aとその両側の長尺部分領域9a,9aとを区画形成している。
【0018】
この長尺部分領域8aの幅は、天面部25の幅と予め整一に一致させている。また長尺部分領域9a,9aの幅は、側面部26の幅とほぼ一致させているものであり、厳密に一致させなくとも、短い場合にも接合状態で目立つことはなく、長ければ、後処理で除去すればよい。
【0019】
かかる構成の連続状木質テープ1aにあって、該ミシン目7a,7aは天面部25と両側面部26,26間の屈折縁27,27と一致することとなる。このため、ミシン目7a,7aで直角状に谷折りにより屈折して、木質テープ1aを凹状とすると、木質テープ1はレール溝23の三面に沿った形状に合致することとなる。そこで、まず、中央の長尺部分領域8aの裏面の剥離紙4を剥がして、該接着面を天面部25に沿って座定する。これにより、接着層4により長尺部分領域8aがレール溝23内の天面部25に接合することとなる。
【0020】
この天面部25への接合により、連続状木質テープ1aは確実に保持される。そこで次には、直角状に折り込んだ両側の長尺部分領域9a,9aごとに、端縁から剥離紙4を引き剥がしてから、端縁から長尺方向に沿って順次面押しして、レール溝23の当該側面部26,26に長尺部分領域9a,9aを接合する作業を行う。
【0021】
これにより木質テープ1は鴨居20のレール溝25の内面に整一に接合され、該レール溝25の表面全体が木質テープ1覆われることとなる。この木質テープ1により、銘木からなる突板面が表面に露出するから、該レール溝25内は銘木の木感を呈することとなり、突板22で外表面が覆われた敷居20と違和感無く融合して、銘木による単一材であるかのような高級感を保持し得ることとなる。
【実施例2】
【0022】
図5,6は、テーブル板30の前縁に、本発明の連続状木質テープ1bを適用した実施例を示すものである。
ここでテーブル板30は、間隔を置いて上面板31と下面板33とを連結材34を介して平行となるように連結し、かつその周縁に端縁板35を接合して、板状形態を構成している。上面板31の露出面には化粧板32が接合される。
【0023】
この端縁板35は、機械的衝撃がかかる部位にあり、肉厚材が適用され、一方、最も目立つ部位となる。そこで、この端縁板35には、本発明の連続状木質テープ1bが被着される。この場合にこの端縁板35の外表面が連続状被接合部36に、その上下の角縁が屈折縁37,37に、端縁板35の側面及び上下面が夫々幅方向で隣接する連続面部に夫々相当する。
【0024】
この連続状木質テープ1bには、図6で示すように、二本のミシン目7b,7bが形成され、該ミシン目7b,7b間の幅を端縁板35の高さ寸法と一致させて、ミシン目7と連続状木質テープ1の側縁までの間隔を端縁板35の幅寸法と一致させている。
【0025】
かかる構成にあって、ミシン目7b,7bを直角状に山折りして断面凹状とし、まず中央の長尺部分領域8bの裏面の剥離紙4を除去して、その接着層3により長尺部分領域8bを端縁板35の側面に接合する。これにより連続状木質テープ1bをテーブル板30に固定してから、長尺部分領域9b,9bの裏面の剥離紙4を除去して、縁縁から順次長尺方向に押し当てて接合する。これにより、容易に連続状木質テープ1bの側端縁にある端縁板35の露出面を連続状木質テープ1で覆うことができる。そして端縁板35は連続状木質テープ1bの突板で外装されて、銘木からなるものとの印象を与え、また上面板31の化粧板32との連続性も確保され、これによりテーブル板30の周縁の修正によって、テーブル板30の高級感を向上させることが可能となる。
【実施例3】
【0026】
図7,8は、框40の前縁に、本発明の連続状木質テープ1を適用した実施例を示すものである。
この框40の前縁部41には、合板が接合される。この合板は二度屈曲してその角縁に傾斜状の面取り部が形成され、これにより前縁部41の外面は前面42、上面43、傾斜面44が連成された形態をなす。この前縁部41の外面は本発明の連続状被接合部に相当し、前面42、上面43、傾斜面44が本発明の連続面部に相当し、前面42と傾斜面44間の角縁及び、傾斜面44と上面43間の角縁が屈折縁47,47となる。
【0027】
本発明の連続状木質テープ1cはかかる前縁部41に被着されるものであり、二本のミシン目7c,7cが形成され、このミシン目7c,7c間を傾斜面44の幅間隔に整一に一致させて長尺部分領域8cとし、ミシン目7c,7cと側端縁間の幅を前面42の幅間隔にほぼ一致させて長尺部分領域9c,9cとし、さらにミシン目7c,7cと側端縁間の幅を上面43の高さにほぼ一致させて長尺部分領域9c,9cとするようにしている。これによりミシン目7c,7cが屈折縁45a、45bに一致することとなる。
【0028】
かかる構成にあって、連続状木質テープ1のミシン目7c,7cを傾斜面44の角度に合わせて、ほぼ45°づつ山折り状に折曲する。そして、ミシン目7c,7cの長尺部分領域8の裏面の剥離紙4を除去し、その接着層3により傾斜面44に接合して保持し、次に長尺部分領域9c,9cの剥離紙4を除去してその接着層3により前面42、上面43に夫々接合する。これにより、連続状木質テープ1cを簡単かつ美麗に前縁部41の外面に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明にかかる連続状木質テープ1のロール2から引き出した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明にかかる連続状木質テープ1の縦断面図である。
【図3】連続状木質テープ1aを鴨居20に適用した状態を示す縦断側面図である。
【図4】連続状木質テープ1aの平面図である。
【図5】連続状木質テープ1bをテーブル板30に適用した状態を示す縦断側面図である。
【図6】連続状木質テープ1bの平面図である。
【図7】連続状木質テープ1cを框40に適用した状態を示す縦断側面図である。
【図8】連続状木質テープ1cの平面図である。
【符号の説明】
【0030】
1、1a、1b、1c 連続状木質テープ
2 連続状突板
3 接着層
4 剥離紙
7、7a、7b、7c ミシン目
8、8a、8b、8c 長尺部分領域
9、9a、9b、9c 長尺部分領域
20 鴨居
23 レール溝
24 連続状被接合部
25 天面部
26 側面部
27 屈折縁
30 テーブル板
40 框

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に連続状突板が配され、裏面に接着層が形成され、さらに該接着層に剥離紙を剥離可能に被着した連続状木質テープにおいて、
屈折縁を介して幅方向で隣接する複数の連続面部からなる連続状被接合部に接合するものであって、その連続方向に沿って厚み方向に貫通するミシン目を形成して、該ミシン目により各連続面部に接合される同数の長尺部分領域を区画形成してなり、各ミシン目で折り返して、各長尺部分領域を当該連続面部に被着して、連続状被接合部に倣って接合するものであることを特徴とする連続状木質テープ。
【請求項2】
二以上の平行な屈折縁を介して幅方向で隣接する三以上の連続面部からなる連続状被接合部に接合するものであって、その連続方向に沿って厚み方向に貫通する複数のミシン目を形成して、該ミシン目により各連続面部に接合される同数の長尺部分領域を区画形成するとともに、少なくともミシン目間の長尺部分領域の幅を、接合すべき当該連続面部の幅に予め一致させてなることを特徴とする請求項1記載の連続状木質テープ。
【請求項3】
連続状被接合部が、鴨居のレール溝であり、二本のミシン目が形成され、該ミシン目間の長尺部分領域の幅が、レール溝の天面部である連続面部の幅と合致し、ミシン目の両側の長尺部分領域の幅が、レール溝の側面部である連続面部の幅とほぼ合致してなるものである請求項2記載の連続状木質テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−184242(P2009−184242A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27135(P2008−27135)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(597161539)株式会社オムニツダ (1)
【Fターム(参考)】