説明

連続記録紙搬送装置

【課題】 搬送ローラを用いて連続記録紙を搬送するよう構成され、ワンウェイクラッチを利用したたるみ防止機構を備え、画像形成待機時に記録紙の移動を規制するロック機構が設けられた連続記録紙搬送装置を提供すること。
【解決手段】 駆動モータによる回転駆動力をその回転方向により選択的に搬送ローラに伝達させる第1伝達手段と、駆動モータによる回転駆動力をその回転方向によらず搬送ローラに伝達させる第2伝達手段と、搬送ローラに対し、回転駆動力を直接伝達手段により伝達するか否かを切り替える機能を有する切替手段と、を備え、第1伝達手段は、搬送ローラが連続記録紙の送り正方向に回転するよう回転駆動力を伝達すると共に、外力により搬送ローラが該送り正方向に回転することを許容し、第2伝達手段は、搬送ローラが連続記録紙の送り逆方向に回転するよう回転駆動力を伝達する連続記録紙搬送装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法を利用して連続記録紙に画像を形成する画像形成装置に関し、特に、該画像形成装置に用いられ、画像形成待機時に連続記録紙の移動を規制することの可能な、連続記録紙搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真法を利用した画像形成装置が広く用いられている。この種の画像形成装置は、一様に帯電させた感光体ドラム表面の感光体を画像情報に応じて変調された光で露光して静電潜像を形成し、その潜像にトナーを付着させて現像(トナー像化)する。給紙部に配置された記録紙搬送ローラにより装置内に導入された記録紙に対し、印字部(画像形成部)においてこのトナー像を転写し、定着装置によってトナー像を記録紙に定着させる。このような画像形成装置の例として複写機やレーザビームプリンタ等が知られている。このような電子写真法を利用する画像形成装置には、記録用紙としてロール紙(連続記録紙)を使用するものがある。
【0003】
ロール紙を使用する画像形成装置においては、画像形成時の記録紙のたるみを防止するため、給紙部の紙送り速度が印字部よりやや遅くなるよう設定されていた。記録紙は給紙部の紙送り機構により印字部へと搬送される。記録紙が印字部に達した後は、印字部側の紙送り速度で記録紙が搬送される。このとき、給紙部側の記録紙が印字部の搬送速度に追随して所定の張力を受けつつ印字部側へと搬送されるよう、給紙部の搬送ローラに駆動力を伝える部分にはワンウェイクラッチ等、駆動源からの駆動力に対して空転させる機構を設けていた。しかし、ローラ下流側からの負荷(印字部の記録紙搬送速度)により給紙部の搬送ローラが従動し、給紙部の搬送ローラを駆動する駆動手段に対して空転する機構であるため、画像形成待機時に該装置の排紙部側から記録紙を引いたときに記録紙がそのまま引き出され、画像形成を再開した時、記録紙の正しい位置に画像を形成することができなくなるという問題があった。
【0004】
下記特許文献1では、側端に送り孔を有するファンホールド紙に対しその送り孔に嵌合可能な突起が突設されているトラクタベルトを用いた電子写真式プリンタが記載されている。当該電子写真式プリンタは、電磁クラッチや、複数のワンウェイクラッチ等を利用したファンホールド紙のロック機構を備えている。このロック機構を用いることにより、プリント時のファンホールド紙の移動を規制している。このような構成により、プリントの再開時には、ファンホールド紙上の正しい位置に印刷がなされる。
【特許文献1】特開平5−142893
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ロール紙を使用する画像形成装置において、その給紙部の搬送ローラに、特許文献1に記載のような電磁クラッチを用いたロック機構を採用することは比較的容易であると考えられるが、電磁クラッチを用いると電源及び制御装置等が必要となり、画像形成装置には余分な電力及び配置スペースが必要とされる。また、特許文献1の電子写真プリンタに記載のような複数のワンウェイクラッチを用いたロック機構は、送り孔のある記録紙を搬送するためのトラクタベルトを用いた搬送機構に対するロック機構であるため、送り孔のないロール紙を搬送ローラで搬送する画像形成装置においては容易に採用しえない機構である。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、搬送ローラを用いて連続記録紙を搬送するよう構成され、ワンウェイクラッチを利用したたるみ防止機構を備え、画像形成待機時に連続記録紙の移動を規制するロック機構が設けられた連続記録紙搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、連続記録紙を搬送するための搬送ローラ(給紙ローラ2a)と、搬送ローラに回転駆動力を供給する駆動モータと、駆動モータによる回転駆動力を、その回転方向により選択的に搬送ローラに伝達させる第1伝達手段と、駆動モータによる回転駆動力を、その回転方向によらず搬送ローラに伝達させる第2伝達手段と、搬送ローラに対し、回転駆動力を第2伝達手段により伝達するか否かを切り替える機能を有する切替手段と、を備え、第1伝達手段は、搬送ローラが連続記録紙の送り正方向に回転するよう回転駆動力を伝達すると共に、外力により搬送ローラが該送り正方向に回転することを許容し、第2伝達手段は、駆動モータと搬送ローラとを連動させることにより、搬送ローラが連続記録紙の送り逆方向に回転するよう回転駆動力を伝達し、切替手段は、連続記録紙への印刷の待機時には、第2伝達手段により駆動モータの停止トルクを搬送ローラに伝達させることを特徴とする連続記録紙搬送装置を提供する。
【0008】
上記の構成により、本発明は、搬送ローラを用いて連続記録紙を搬送するよう構成された連続記録紙搬送装置において、画像形成時、印字部での搬送速度が搬送ローラにより供給される搬送速度が速くなったとしても、搬送ローラは、印字部での搬送速度に応じた搬送速度となるような回転速度を許容するため、常に搬送方向下流側から連続記録紙が引っ張られる状態となるので、連続記録紙のたるみを防止することができる。また、画像形成待機時には、駆動モータと搬送ローラが連結されているので、駆動モータの停止トルクにより、搬送ローラを回転不可な状態とすることができる。したがって、電気的な構成を用いずとも、また通常のロール紙を用いて、画像形成待機時に記録紙の移動を規制するロック機構を実現することができる連続記録紙搬送装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明の連続記録紙搬送装置は、搬送ローラの回転軸(軸15)に固定された第1のギア(歯車13b)と、搬送ローラの回転軸に、駆動モータからの送り方向の回転駆動力を搬送ローラに伝達すると共にその逆方向の回転に対しては空転する機構を有するワンウェイクラッチを介して配置された第2のギア(歯車13a)と、を有し、第2伝達手段は、第1のギアにより駆動モータの回転駆動力を伝達させ、第1伝達手段は、第2のギアにより駆動モータの回転駆動力を伝達させることを特徴とする。
【0010】
また、切替手段は、主伝達ギア(歯車11)と第1の中間ギア(歯車12b)と第2の中間ギア(歯車12a)とを備え、第1の中間ギアと第2の中間ギアとはそれぞれ主伝達ギアと噛合しており、主伝達ギアは駆動モータにより回転駆動力を供給され、第1のギアは第1の中間ギアを介して回転駆動力が伝達され、第2のギアは第2の中間ギアを介して回転駆動力が伝達されることを特徴とする。
【0011】
また、主伝達ギアと第1の中間ギアと第2の中間ギアとがそれぞれ主伝達ギアの回転軸(軸16)を中心に所定量回転可能な支持部材(レバー14)に軸支されており、第1の中間ギアと第2の中間ギアとは、主伝達ギアの回転軸を中心として主伝達ギアの周囲に沿って所定量移動可能であり、第1の中間ギアと第1のギアが噛合した状態と、第2の中間ギアと第2のギアが噛合した状態とのいずれか一方の状態を取り得ることを特徴とする。
【0012】
また、第1の中間ギアと第2の中間ギアは、主伝達ギアの回転力により、主伝達ギアの周囲を移動することを特徴とする。さらに、第1の中間ギアと第2の中間ギアは、支持部材の所定の位置に取り付けられた付勢手段(バネ41)により支持部材が回転することにより、主伝達ギアの周囲を移動することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の連続記録紙搬送装置では、第2伝達手段は、駆動モータと連動する第1の連動ギア(歯車311b)と、第1の連動ギアに常に噛合すると共に、搬送ローラに固定された固定ギア(歯車313)に噛合可能な第2の連動ギア(歯車312b)と、を有し、第1伝達手段は、第1の連動ギアが送り正方向に所定量回転した後に第1の連動ギアと一体となって回転する第1の間接回転ギア(歯車311a)と、第1の間接回転ギアに常に噛合すると共に、固定ギアに常に噛合する第2の間接回転ギア(歯車312a)と、を有し、第1の間接回転ギアは、第1の連動ギアに対して、外力による送り正方向の回転が許容されるように設けられていることを特徴とする。
【0014】
また、切替手段は、第1の連動ギアの回転軸を中心に所定量回転可能であり且つ第1の連動ギアと第2の連動ギアとを軸支している切替支持部材(レバー314)を有し、切替支持部材は、第2の連動ギアを、第1の連動ギアの回転軸を中心として第1の連動ギアの周囲に沿って所定量移動可能に保持することにより、第2の連動ギアが固定ギアと噛合する状態と噛合しない状態とを取り得るようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、第2の連動ギアは、第1の連動ギアの回転力により、第1の連動ギアの周囲を移動することを特徴とする。
【0016】
また、第1の連動ギアと第1の間接回転ギアとは同一の回転軸に沿って近接して配置されると共にそれぞれ当該回転軸を中心とした外周面を有しており、第1の連動ギアと第1の間接回転ギアの外周面には、一方の外周面から他方の外周面にまでコイル状のバネが巻回されており、そのバネは、第1の連動ギアが送り正方向に回転するときには両外周面を締め付ける方向に巻回されていることを特徴とする。また、固定ギアが、その回転軸方向に沿って、小径部と、小径部よりも径の大きい大径部とを有し、第2の間接回転ギアは小径部と噛合し、第2の連動ギアは大径部と噛合することを特徴とする。
【0017】
また、本発明では、連続記録紙を搬送し、画像形成装置内の所定の搬送路に導入する給紙部と、該連続記録紙を搬送しつつ、該連続記録紙上に画像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置であって、給紙部による該連続記録紙の搬送速度は、画像形成部による該連続記録紙の搬送速度より遅く設定されており、給紙部は、連続記録紙を搬送するための搬送ローラと、搬送ローラに回転駆動力を供給する駆動モータと、駆動モータによる回転駆動力を、その回転方向により選択的に搬送ローラに伝達させる第1伝達手段と、駆動モータによる回転駆動力を、その回転方向によらず搬送ローラに伝達させる第2伝達手段と、搬送ローラに対し、回転駆動力を第2伝達手段により伝達するか否かを切り替える機能を有する切替手段と、を備え、第1伝達手段は、搬送ローラが連続記録紙の送り正方向に回転するよう回転駆動力を伝達すると共に、外力により搬送ローラが該送り正方向に回転することを許容し、第2伝達手段は、搬送ローラが連続記録紙の送り逆方向に回転するよう回転駆動力を伝達し、切替手段は、連続記録紙への印刷の待機時には、第2伝達手段により駆動モータの停止トルクを搬送ローラに伝達させることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、搬送ローラを用いて連続記録紙を搬送するよう構成され、ワンウェイクラッチを利用したたるみ防止機構を備え、画像形成待機時に連続記録紙の移動を規制するロック機構が設けられた連続記録紙搬送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る連続記録紙搬送装置を備える画像形成装置の具体的な実施形態を図を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る連続記録紙搬送装置を備える画像形成装置100の概略構成を示す側断面図である。また、図2は画像形成装置100の給紙部付近を示す側断面図である。画像形成装置100は、入力される画像情報に基づいて変調されたレーザ光で、回転する感光体ドラム4の表面の感光体を露光し、電子写真法を利用して連続紙(ロール紙)である記録紙10に画像形成を行って出力するものであり、コンピュータ等の出力装置として用いられるものである。
【0020】
画像形成装置100は、ロール軸1及びロール状の記録紙10、駆動方向切替手段200(図2)、給紙ローラ2a,2b、給紙センサ3、駆動モータ23(図2)等を備える給紙部と、感光体ドラム4、中間転写ローラ5、2次転写ローラ6、レーザビーム9を出力するための光学ユニット等を備える印字部(画像形成部)と、定着ローラ7a,7b、排紙センサ8等を備える排紙部と、を有する。
【0021】
画像形成装置100では、画像形成時に記録紙10が給紙部、印字部、排紙部へと順に搬送される。画像形成終了時には、記録紙10の印刷された部分が画像形成装置100の外部へ排出され、記録紙10はカッター等で自動或いは手動で切断される。したがって、画像形成待機時には記録紙10の先端部は排出部に位置している。この場合、記録紙10の先端部が排出部に位置した状態から次回の画像形成が開始されることとなる(通常印刷)。しかし、画像形成待機時に印字部から排出部にある記録紙10上には何等画像形成が行われないため、紙の無駄遣いとなってしまう。このため、画像形成装置100は、画像形成待機時に排紙部にある記録紙10の先端部を画像形成開始時に給紙部にまで巻き戻す機能を備えていてもよい(巻戻し後印刷)。
【0022】
記録紙10は、図2に示すように、紙面奥側に配置されており装置本体に固定されているロール支持部21に回転可能に軸支持されたロール軸1上にロール状に巻回されている。記録紙10は、紙面手前側の押さえ板22とロール支持部21とによって挟まれている。押さえ板22は取り外し可能であり、記録紙10の交換は押さえ板22の方向から行うことができる。また、押さえ板22をロール軸1に取り付ける際には、所定の方法により押さえ板22がロール状の記録紙10の側面を押圧することができるように構成されている。ロール軸1に巻回されている記録紙10は、ロール軸1の軸方向に延びるガイド1aにより給紙ローラ2a,2bのほうへ方向を変えられている。ロール軸1は、給紙ローラ2aの回転力による紙送り動作により図中時計回りに回転する(送り正方向)。また、巻戻し後印刷時には、画像形成終了時や画像形成開始時に、給紙ローラ2a,2bにより紙戻し動作を行う。ロール軸1には、後に詳述するが、トルクリミッタ及びロール軸1を図中反時計回りに回転させ、記録紙10にバックテンションを加えるためのプーリ等が備えられている。その構成により、記録紙10がたるんでしまうことなく、ロール軸1を図中反時計回りに回転させることができる(送り逆方向)。さらに、ロール状の記録紙10は、ロール支持部21と押さえ板22により両側面を押圧されているため、記録紙10が軸方向にずれることなくロール軸1に巻き取られる。
【0023】
給紙ローラ2aは、駆動モータ23から駆動方向切替手段200を介して伝達される駆動力により回転する。給紙ローラ2aは紙送り動作時には図中反時計回りに回転する(送り正方向)。給紙ローラ2aは紙戻し動作時には図中時計回りに回転する(送り逆方向)。巻戻し後印刷時には、給紙ローラ2aが送り逆方向に回転して紙戻し動作を行って、排紙部付近にある記録紙10の先端部を給紙ローラ2aと給紙センサ3の間の位置にくるようにする。記録紙10の先端を給紙ローラ2aと給紙センサ3の間の位置にまで巻き戻すとき、パルスモータである駆動モータ23に対し、巻き戻し時のパルス数をあらかじめ決めておいて、巻き戻す距離を固定しておいてもよい。また、給紙ローラ2aの回転軸は、後述する駆動方向切替手段200の所定の歯車の回転軸と同一である。一方、給紙ローラ2bの回転軸は、駆動方向切替え手段200とは関係なく装置本体に軸支されており、給紙ローラ2aに従動して回転する。給紙ローラ2bは給紙ローラ2a側に多少圧力を加えるように配置されているため、記録紙10は一対の給紙ローラ2a,2bにより搬送される。
【0024】
給紙センサ3は、記録紙10の通過を感知するためのセンサである。記録紙10の先端部若しくは記録紙10上の所定の位置を感知するよう構成されている。給紙ローラ2a,2bにより搬送される記録紙10の所定の位置が給紙センサ3を通過したときを基準として、レーザ9の発光するタイミングが算出される。記録紙10が給紙センサ3を通過したときを基準としてレーザの発光するタイミングが制御されるので、記録紙10上の適切な位置に画像を形成することが可能となる。
【0025】
感光体ドラム4は、反時計回りに回転しており、図示しない帯電器により約+700Vに帯電された後、画像形成情報に基づいて感光体ドラム4の回転軸方向(主走査方向)に走査されるレーザビーム9により露光される。レーザビーム9が照射された位置(点)は電位が+100V程度にまで低下し、その結果+700Vと+100Vのコントラストを有する静電潜像が感光体ドラム4上に形成される。
【0026】
静電潜像が形成された感光体ドラム4がさらに回転し、その後、約+500Vが印加された現像ローラ91から、感光体ドラム4上の電位が低下した位置のみにトナーが引き寄せられて移動する。すなわち、現像ローラ91の表面付近の電位が+500Vであり、感光体ドラム4の露光された部分の電位が+100Vであるとき、トナーは、現像ローラ91に約+500Vを印加することにより形成される現像電界によって静電潜像に移動する。一方、電位が+700Vの部位にはトナーは付着しないため、感光体ドラム4上には、静電潜像に対応したトナー像が形成される。
【0027】
時計回りに回転する中間転写ローラ5には−100V程度が印加されているため、プラス電荷を有するトナーが感光体ドラム4から中間転写ローラ5へと移動する。その結果、中間転写ローラ5上にトナー像が転写される。
【0028】
反時計回りに回転する2次転写ローラ6は、−1kV程度が印加されており、中間転写ローラ5と2次転写ローラ6に挟持される記録紙10上では、中間転写ローラ5上のトナーが2次転写ローラ6側へと引き寄せられる。この結果、記録紙10上側にトナー像が転写される。また、この印字部では、記録紙10は、中間転写ローラ5及び2次転写ローラ6の一対のローラにより搬送される。なお、この印字部による記録紙10の搬送速度は、給紙部の給紙ローラ2a,2bにより供給される搬送速度よりも多少速く設定されている。
【0029】
また、2次転写ローラ6は図中下方向の破線で示される位置に移動(退避)することができる。2次転写ローラ6を退避させると、記録紙10と中間転写ローラ5との接触を解除することができる。したがって、記録紙10を巻き取る際に(巻戻し後印刷時)、2次転写ローラ6を退避させると、記録紙10は中間転写ローラ5と2次転写ローラ6により挟持された状態から開放される。これにより、給紙ローラ2aを図中時計回りに回転させることにより、記録紙10を巻き戻すことが出来る。又、記録紙10は中間転写ローラ5と非接触状態であるので、記録紙10との摩擦で中間転写ローラ5の表面が傷つくことがない。
【0030】
印字部を通過した記録紙10は、定着ローラ7a,7bの方向へ進む。定着ローラ7aは記録紙10を加熱する機能を有する。定着ローラ7bは記録紙10を定着ローラ7aの方向へ加圧する機能を有する。この定着ローラ7a,7bによって、記録紙10上のトナー像は加熱及び加圧によって記録紙10に定着される。定着ローラ7bは、図中下方向の破線で示される位置に退避することができる。
【0031】
排紙センサ8は、トナー像が加熱・加圧されて定着された後の記録紙10の所定の位置の通過を感知する。例えば、記録紙10の所定の位置が給紙センサ3を通過してから一定時間内に排紙センサ8を通過しない場合は、画像形成装置100は紙詰まり等の判断をすることができる。
【0032】
図2から図4を用いて本発明の実施形態による駆動方向切替手段200について説明する。図3は駆動方向切替手段200の拡大斜視図であり、図4は図2の紙面奥側から見た駆動方向切替手段200の斜視図である。駆動方向切替手段200は、駆動モータ23からの駆動力を給紙ローラ2aに伝達するための機構であって、給紙ローラ2aの回転方向の切替えを行うことができる。また、駆動方向切替手段200は、図2では、給紙ローラ2aに対し紙面奥側に配置されている。なお、各部材(11、12a、12b、13a、13b、24)は図中円形で示されているが、それぞれは歯車であって、歯の先端部に対応する円周を示している。
【0033】
駆動方向切替手段200は、駆動モータ23に連動する歯車24(図4参照)に噛合し軸16を中心に回転する歯車11、軸16を中心に回転可能なレバー14、歯車11に噛合しレバー14に固定された軸121aを中心に回転する歯車12a、歯車11に噛合しレバー14に固定された軸121bを中心に回転する歯車12b、給紙ローラ2aの回転軸と同一の軸である軸15、軸15を中心に回転する歯車13a、軸15を中心に回転する歯車13b、装置本体に固定されておりレバー14の凹部141に当接することによってレバー14の回転位置を規制するピン25を有する。
【0034】
図3に示すように、歯車12aは回転軸方向において、歯車12bよりもレバー14に近い位置に配置されている。歯車12a及び歯車12bはともに、回転軸と垂直な方向からみると歯車11の厚みの範囲内に配置されているが、互いに重ならないように配置されている。そして、軸15を中心に回転する歯車13a、13bの回転軸方向の配置は、歯車12aが歯車13aと、歯車12bが歯車13bに対応するように配置されている。後述するように駆動モータ23が送り正方向に回転した場合には(図4中反時計回り)、歯車12aと歯車13aが噛合し、駆動モータ23が送り逆方向に回転した場合には(図4中時計回り)、歯車12bと歯車13bが噛合するように構成されている。なお、本発明の実施形態では、歯車12a及び歯車12bは歯車11と常時噛合しているが、歯車12a及び歯車12bによって歯車13a及び歯車13bに同時に駆動力が伝達されることはない。
【0035】
歯車13aは、軸15との間に、歯車13aに対して軸15を送り正方向に空転(図2中反時計回り)させることが可能なワンウェイクラッチ機構を備えている。紙送り時に、駆動モータ23は、歯車11を図2中反時計回りに、歯車12aを図中時計回りに、歯車13aを図中反時計回りに回転させる(図2)。記録紙10が印字部、すなわち中間転写ローラ5及び2次転写ローラ6に挟持される位置に到達すると、記録紙10の搬送速度は、給紙ローラ2aの回転による搬送速度よりも速くなる。給紙部において記録紙10の搬送速度が、給紙ローラ2aが供給する回転速度よりも速い場合、ワンウェイクラッチの作用により、給紙ローラ2aの軸15は図2反中時計回りに空転して、記録紙10の搬送速度が印字部の搬送速度と等しくなる。給紙ローラ2bも印字部の記録紙10の搬送速度に応じた速度で回転する。軸15の回転には、駆動モータ23の回転駆動力による回転と、記録紙10の搬送による回転とがある。つまり、歯車13aが歯車12aと噛合していても、駆動モータ23の回転駆動力を軸15に伝達する場合と、伝達しない場合とがある。すなわち、歯車13aは、駆動モータ23の回転方向に応じて回転駆動力を伝達する機能を有する。一方で、歯車13bは、軸15に対し、駆動モータ23の回転方向によらず回転駆動力を伝達する。
【0036】
図4に示すように、歯車12aの軸121aには、バネ41が取り付けられている。バネ41の他端はロール支持部21のバネ支持部43に取り付けられている。バネ41は、軸121aをバネ支持部43側へ付勢している。したがって、駆動モータ23の停止時では、バネ41の作用により軸121aを介して軸16を中心に回転するレバー14(図4では駆動方向切替手段200の裏側に配置。図2及び図4参照)に回転モーメントが加えられているので、レバー14は図4中反時計回りに回転し、歯車12bと歯車13bが噛合した状態となっている。
【0037】
プーリ44は、ロール軸1がロール支持部21を貫いた位置に配置されている。プーリ44はトルクリミッタを介してロール軸1に係合している。プーリ44のバネ掛部45にはバネ42が取り付けられている。バネ42の他端はロール支持部21のバネ係止部46に取り付けられている。記録紙10が紙送り方向に搬送されると、ロール軸1の回転(図4中反時計回り)により、プーリ44はトルクリミッタを介して同方向に回転し、バネ42を引っ張る。プーリ44の反時計回りの回転とともに、バネ42はプーリ44の周囲に巻回される。プーリ44が180度回転すると、プーリ44のバネ掛部45がローラ支持部21の係止突部47に当接し、プーリ44がそれ以上回転しなくなる。プーリ44の回転停止後は、トルクリミッタの働きにより、ロール軸1のみが回転する。すなわち、本発明の実施形態では、トルクリミッタはプーリ44に対するロール軸1の回転をトルク約600g/cm以上で許容しており、バネ42によるプーリ44の回転に必要なトルクが約580g/cmに設定されているため、プーリ44が180度回転して停止するまでは、プーリ44とロール軸1が一体となって回転する構成となっている。給紙ローラ2aが停止し又は送り逆方向に記録紙10を搬送すると、プーリ44はバネ42の張力により、図4中時計回りに回転力が働き、ロール軸1が記録紙10を巻き取る方向に回転しようとする。この構成により、記録紙10は、給紙ローラ2a,2bよりも送り方向上流側でたるむことがない。
【0038】
次に、図5及び図6を用いて、駆動方向切替手段200の機構について説明する。なお、図5及び図6に示す駆動方向切替手段200は、図2の駆動方向切替手段200と同方向である。
【0039】
図5は、画像形成待機時(駆動モータ23無回転時)または記録紙10の紙戻し時の駆動方向切替手段200を示す図である。上述したような軸121aに取り付けられたバネ41の張力により、レバー14は軸16を中心に時計回りに回転し、ピン25の図中右側がレバー14の凹部141に当接する位置で静止している。この状態では、歯車12bが歯車13bと噛合している。歯車13bは軸15に常時係合しているので、駆動モータ23の無回転時に軸15を図中反時計回りに回転させようとすると、歯車12bは歯車13bに対して、噛み込み方向となり、同時に、歯車13b、歯車12b、歯車11を介して駆動モータ23を回転させなければならない。しかし、駆動モータ23はパルスモータであって、駆動モータ23を回転させるためにはある程度のトルクが必要となる。本発明の実施形態によるギア比では、軸15は容易に回転することができない構成となっている。すなわち、駆動モータ23の無回転時に給紙ローラ2aを回転させるにはある程度の負荷が必要となるため、記録紙10を排紙側から容易に引き出すことができない。本発明の実施形態では、駆動モータ23の無回転時の給紙ローラ2aの回転負荷により、駆動方向切替手段200によるロック機構を構成している。また、装置本体の電源がONとなっている時、パルスモータに電流を流しておくことにより、パルスモータの最大静止トルクを発生させておき、これによりモータを回転させるのに必要なトルクをさらに大きくすることができる。
【0040】
図5において、駆動モータ23が送り逆方向に回転すると、歯車11が図中時計回りに回転し、歯車11の回転により歯車12bが反時計回りに回転し、歯車12bにより歯車13bが時計回りに回転する。そして歯車13bにより軸15が回転し、給紙ローラ2aを図1中時計回りに回転させることにより、記録紙10を排紙部或いは印字部のほうから給紙部のほうへ巻き戻すことができる。この紙戻し動作により、巻戻し後印刷時に、記録紙10を排紙部から給紙部のセンサ3と給紙ローラ2aの間にまで巻き戻すことができる。
【0041】
図6は、紙送り時の駆動方向切替手段200を示す図である。紙送り時には、駆動モータ23が送り正方向に回転し、歯車11を反時計回りに回転させる。歯車12a,12bはそれぞれ歯車12a,12bの回転に対して所定の摩擦力を有するように軸121a,121bに軸支されている。したがって、歯車11が反時計回りに回転すると、歯車12a,12bはそれぞれの軸121a,121bに対して回転を始める前に、歯車12a,12bと軸121a,121bが一体となって軸16を中心として図中左側へ回動する。すなわち、歯車12a,12bのそれぞれは、歯車11との噛合点において、歯車11とのピッチ円の接線方向(歯車11の回転方向側)へ働く回転モーメントにより軸121a,121bと一体に形成されているレバー14が図中反時計回りに回転する。
【0042】
上述の所定の摩擦力について詳しく説明する。歯車12aでは、歯車12aが軸121aの周りを単独で回転する時のトルクがFaとなるように設定されている。又、歯車12bも同様にFbとなるように設定されている。また、軸16と軸121aの距離をLaとし、歯車12aが歯車11と噛み合うときのピッチ円の半径をr12a、同様に歯車12bの半径をr12bとする。バネ41がレバー14を引っ張る力をF41とし、F41のうち、レバー14を軸16を中心として回転させる方向に働く分力をF411とする。このとき、バネ41によってレバー14を図中反時計方向に回転させるためのトルクはLa×F411となる。摩擦力によってレバー14を反時計方向に回転させるトルクは、(Fa/r12a)×r11+(Fb/r12b)×r11>La×F411の関係となるように設定されている。従って、レバー14は軸16を中心に回転する。レバー14は、軸16を中心として回転するが、その凹部141がピン25の左側に当接した位置で静止する。この状態では、歯車12aに伝達された回転力がワンウェイクラッチを有する歯車13aに伝達される。歯車13aは図中反時計回りに回転する。歯車13aの回転力は、軸15を介して給紙ローラ2aを図1中反時計回りに回転させる。
【0043】
また、本発明の実施形態では、印刷が終了し記録紙10の印刷された部分が排紙された後に駆動モータ23を歯車13aと歯車12aの噛合が外れるまで逆転させる(すなわち、歯車11を図5,6中時計回りに回転させる)。紙送り時には、駆動方向切替手段200は図6に示すように歯車11−歯車12a−歯車13aの順に噛合して駆動力を伝達していたが、印刷終了時には図5に示すように歯車11−歯車12b−歯車13bの順に噛合する状態に切り替えて駆動方向切替手段200のロック機構を作動させるためである。なお、図4で示したようなバネ41による駆動方向切替手段200に対する付勢は、そのような駆動方向切替手段200のロック機構への切替を助力するものである。
【0044】
また、レバー14を回転させるには、歯車12a,12bと軸121a,121bに対する摩擦力に起因するものでなくてもよい。例えば、歯車11とレバー14の間に所定の摩擦力が発生するよう構成することにより、歯車11の回転に従ってレバー14を回転させることが可能となる。また、摩擦によらず、ソレノイド等のアクチュエータにより強制的に歯車12a、歯車12bの切替えを歯車11の駆動に合わせて行っても良い。
【0045】
上述の駆動方向切替手段200は、駆動モータ23からの駆動力を給紙ローラ2aに伝達する機構を有するものである。また、駆動方向切替手段200は、駆動モータ23の回転方向に応じて給紙ローラ2aの回転方向を切替える機構、及び、駆動モータ23の停止時(すなわち画像形成待機時)には給紙ローラ2aを回転不可にするロック機構を備えるものである。駆動方向切替手段200は、それらの機構を備えればよいのであって、上述のような構成に限定されるものではない。以下、本発明の駆動方向切替手段の他の実施形態について説明する。図7から図10は、駆動方向切替手段200と置き換え可能な駆動方向切替手段300について説明するための図である。各部材(311a、311b、312a、312b、313、24)は、円板形状で示されているが、上述の図同様、各々は歯車であって、各円板の外周面は歯の先端部に対応する。また、上述の図に示される部材と同一部材には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0046】
図7は、画像形成装置100を図2の紙面奥側から見た場合の駆動方向切替手段300の斜視図である。図8は、図7を紙面奥側から見た場合の駆動方向切替手段300の斜視図である。図9は、駆動方向切替手段300の部分側断面図である。
【0047】
駆動方向切替手段300は、歯車311aと、歯車311bと、歯車312aと、歯車312bと、歯車313と、レバー314とを有する。歯車311aと歯車311bとは軸316を中心に回転し、その軸方向に沿って近接して配置されている。また、レバー314も軸316を中心に回転可能に設けられている。また、レバー314は、歯車311b側に配置されている。歯車311bは、常に、歯車24と噛合しており、駆動モータ23からの回転力は歯車24を介して歯車311bに伝達される。
【0048】
歯車311bには常に歯車312bが噛合している。歯車312bの回転軸321bは、レバー314に設けられている。レバー314は、ピン25(図3等参照)と係合する凹部341を有する。レバー314は、レバー14同様、ピン25との係合により、その回転量が規制される。歯車312bは、歯車311bと噛合しながら、レバー314の回転と共に所定量移動可能である。レバー314は、レバー14同様、歯車311bの回転方向と同一方向に回転する。すなわち、歯車312bは回転軸321bとの間の摩擦力に逆らって回転する。歯車311bの回転により歯車312bを回転させようとすると、最初は、歯車311bのピッチ円の接線方向へ働く回転モーメントにより、歯車312bと回転軸321bとは一体となって、レバー314を回転させようとする。レバー314は、所定量回転すると、凹部341とピン25との係合によりそれ以上回転しなくなり、その回転位置を維持する。本発明の実施形態では、歯車312bは、歯車313と噛合する位置と歯車313との噛合が解除される位置との間を移動するように構成されている。
【0049】
歯車311aには常に歯車312aが噛合している。また、歯車312aは常に歯車313に噛合している。
【0050】
図9は、歯車311aと歯車311bの側断面図である。歯車311aと歯車311bとの間には、コイルバネ330が配置されている。歯車311aと歯車311bはそれぞれの内部に、軸316を中心軸とする周面Sa,Sbを有する。コイルバネ330は、周面Sa,Sbに沿って所定回数巻回するように配置されている。この時、バネの片方の端面を周面Sa又はSbのどちらかで固定しても良い。なお、コイルバネ330の内径の寸法は、周面Sa,Sbに巻回させる前においてSa、Sbの外周直径より小さくなっており、Sa,Sbに巻回させる際に、コイルバネの内径を広げる方向にねじりながら挿入する。これにより、コイルバネは一定の締め付け力を持ってSa,Sbに巻きついている。
【0051】
コイルバネ330は、駆動モータ23の送り正方向の回転力により歯車311bが回転する場合に、周面Sa,Sbに対し締め付ける方向となるように配置されている。歯車311bの回転によりコイルバネ330が周面Sa,Sbを締め付ける力が増大すると、歯車311bの回転力がコイルバネ330を介して歯車311aに伝達される。その状態では、歯車311bと歯車311aとは一体となって回転する。
【0052】
図10は、駆動モータ23が送り正方向に回転しているときの駆動方向切替手段300の様子を示す図である(図7と同方向)。駆動モータ23が送り正方向に回転すると、歯車24は図中反時計回りに回転する。歯車24の回転により、歯車311bは図中時計回りに回転する。歯車311bの回転により、レバー314も図中時計回りに回転するので、歯車312bは歯車313と噛合しない位置に配置されている。
【0053】
一方、歯車311bが所定量回転した後はコイルバネ330を介して歯車311bと歯車311aとが一体となって回転する。歯車311aの回転により、歯車312aは図中反時計回りに回転する。歯車312aの回転により、歯車313は図中時計回りに回転する。この状態では、歯車312bと歯車313とは噛合していないので、歯車313は、歯車312aのみと噛合し、歯車312aのみから回転力を受ける。歯車313は、軸15を図中時計回りに回転させる。すなわち、給紙ローラ2aを送り正方向に回転させる。この状態において、印字部での紙送り速度が、給紙ローラ2aの回転による給紙部での紙送り速度よりも速い場合は、軸15は記録紙から図中時計回り方向への回転力を受ける。記録紙からの回転力は歯車313を図中時計回りに回転させる。そして歯車313は、歯車312aを図中反時計回りに回転させる。歯車312aは、歯車311aを図中時計回りに回転させる。このとき、歯車311aの図中時計回り方向の回転速度は、歯車311bの図中時計回り方向の回転よりも速くなる。この場合、歯車311aは、コイルバネ330に対し、バネが緩む方向に力を与える。そのような方向に対しては、歯車311aは歯車311bに対して空回り可能であり、歯車311aのその方向の回転は許容される。これは、歯車311aおよび歯車311bの構成が、軸15に対してのワンウェイクラッチとしての機能を果たすことを意味する。また、歯車311aと歯車311bとにより、駆動モータ23からの回転駆動力がその回転方向に応じて軸15に伝達されることを意味する。したがって、印字部での紙送り速度が給紙部での紙送り速度よりも速い場合であっても、記録紙を印字部の紙送り速度で搬送することが可能となる。
【0054】
次に、図7を用いて駆動方向切替手段300におけるロック機構について説明する。駆動モータ23の送り正方向の回転が停止すると、歯車24および歯車311bは停止する。駆動モータ23の停止後、通常印刷であれば駆動モータ23を少しだけ送り逆方向に回転させ、巻戻し後印刷であれば記録紙10(図2)の先端が給紙ローラ2aと給紙センサ3の間の位置にまで戻るように駆動モータ23を送り逆方向に回転させる。
【0055】
駆動モータ23が送り逆方向に回転すると、歯車24は図中時計回りに回転する。歯車24により、歯車311bは図中反時計回りに回転する。歯車311bの回転により、レバー314も図中反時計回りに回転する。その結果、歯車312bは歯車313と噛合する位置に移動する。その後、歯車312bは、歯車311bの回転により図中時計回りに回転しており、歯車313を図中反時計回りに回転させる。歯車313が図中反時計回りに回転することにより、軸15も同方向に回転し、給紙ローラ2aが紙戻し方向に回転する。歯車311bと歯車312bとは、駆動モータ23と軸15とを直結させる機能を有する。すなわち、歯車311bと歯車312bとは、駆動モータ23の回転駆動力を直接的に軸15に伝達する。なお、歯車313が図中反時計回りに回転すると、歯車313に噛合している歯車312aは図中時計回りに回転する。そして、歯車312aは、歯車311aを図中反時計回りに回転させる。この状態では、歯車311bと歯車311aとは同一の回転速度で同方向に回転する(なお、歯車311aと歯車311bは同じ歯数を有し、歯車312aと歯車312bも同じ歯数を有する)。
【0056】
駆動モータ23は所定量送り逆方向に回転した後停止する。駆動モータ23の停止後は、画像形成待機状態となる。この状態では、歯車312bは、歯車313と噛合したままの状態となっている。したがって、駆動モータ23の停止トルクは、歯車24−歯車311b−歯車312b−歯車313−軸15という経路を経て給紙ローラ2aへ伝達される(この状態を「ロック状態」とする)。つまり、給紙ローラ2aは、回転不可能な状態となる。この構成により、画像形成待機状態において、記録紙の移動を防止することができる。その後、画像形成が開始されると(すなわち駆動モータ23が送り正方向に回転すると)、ロック状態が解除される。
【0057】
駆動方向切替手段200では、画像形成時に、レバー14を所定量回転させるためには(図6において時計回りに回転)、バネ41がレバー14を引っ張る力と、歯車12aと歯車12bのそれぞれの軸に対する摩擦力との関係を考慮する必要があった。しかし、駆動方向切替手段300では、コイルバネ330の張力、レバー314の回転のために必要な力等はそれぞれ独立して考慮すればよい。したがって、駆動方向切替手段300では、それらの調整が容易となる。
【0058】
次に、駆動方向切替手段300の一部を改良した駆動方向切替手段300’について図11を用いて説明する。駆動方向切替手段300の部材と同一部材には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0059】
駆動方向切替手段300’は、駆動方向切替手段300の歯車313と置き換え可能な歯車313’を有する。歯車313’は小径部313aと大径部313bとを有する。小径部313aは、歯車312aと常に噛合する。大径部313bは、歯車312bの移動に応じて噛合する。
【0060】
このような構成とすれば、駆動モータ23の送り逆方向の回転時、歯車311b(反時計回り)および歯車312bの回転により歯車313’が図中反時計回りに回転する。この状態では、歯車313’の回転により、歯車312aおよび歯車311a(反時計回り)も回転する。よって、歯車311bおよび歯車311aは、共に図中反時計回りに回転する。ここで、歯車313’の小径部313aに噛合する歯車312aの回転速度は、大径部313bに噛合する歯車312bの回転速度よりも遅くなる。したがって、歯車311aは歯車311bよりも遅い速度で図中反時計回りに回転する。歯車311aが歯車311bよりも遅い速度で図中反時計回りに回転すれば、コイルバネ330を締め付けてしまうことがない。駆動モータ23の送り逆方向時にコイルバネ330が締め付けられると、コイルスプリング330の破損の恐れがある。なお、駆動方向切替手段300では、歯車311aと歯車311bが同回転速度であった。歯車311aと歯車311bとが同回転速度であれば基本的にはコイルバネ330を締め付けてしまうことはないが、歯車の形状等のわずかな誤差によりコイルバネ330を多少締め付けてしまうということも考えられる。したがって、駆動方向切替手段300’における構成のほうが、駆動方向切替手段に負担をかけることなく、記録紙の送り逆方向の搬送を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態における画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態における駆動方向切替手段の配置を示す図である。
【図3】本発明の実施形態における駆動方向切替手段の拡大斜視図である。
【図4】図2と反対側の面を示す駆動方向切替手段の斜視図である。
【図5】駆動方向切替手段の動作を示す図である。
【図6】駆動方向切替手段の動作を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態における駆動方向切替手段の斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態における駆動方向切替手段の斜視図である(図7の裏面)。
【図9】駆動方向切替手段の部分側断面図である。
【図10】記録紙搬送時の駆動方向切替手段の斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態における駆動方向切替手段を一部改良したものを説明するための図である。
【符号の説明】
【0062】
1 ロール軸
1a ガイド
2a,2b 給紙ローラ
3 給紙センサ
4 感光体ドラム
5 中間転写ローラ
6 2次転写ローラ
7a,7b 定着ローラ
8 排紙センサ
9 レーザビーム
91 現像ローラ
10 記録紙
11,12a,12b,13a,13b,24 歯車
121a、121b 軸
14 レバー
141 凹部
15,16 軸
21 ロール支持部
22 押さえ板
23 駆動モータ
25 ピン
41 バネ
42 バネ
43 バネ支持部
44 プーリ
45 バネ掛部
47 係止突部
100 画像形成装置
200,300,300’ 駆動方向切替手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続記録紙を搬送するための搬送ローラと、
前記搬送ローラに回転駆動力を供給する駆動モータと、
前記駆動モータによる回転駆動力を、その回転方向により選択的に前記搬送ローラに伝達させる第1伝達手段と、
前記駆動モータによる回転駆動力を、その回転方向によらず前記搬送ローラに伝達させる第2伝達手段と、
前記搬送ローラに対し、前記回転駆動力を前記第2伝達手段により伝達するか否かを切り替える機能を有する切替手段と、を備え、
前記第1伝達手段は、前記搬送ローラが前記連続記録紙の送り正方向に回転するよう前記回転駆動力を伝達すると共に、外力により前記搬送ローラが該送り正方向に回転することを許容し、
前記第2伝達手段は、前記搬送ローラが前記連続記録紙の送り逆方向に回転するよう前記回転駆動力を伝達し、
前記切替手段は、前記連続記録紙への印刷の待機時には、前記第2伝達手段により前記駆動モータの停止トルクを前記搬送ローラに伝達させることを特徴とする連続記録紙搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ローラの回転軸に固定された第1のギアと、
前記搬送ローラの回転軸に、前記駆動モータからの前記送り方向の回転駆動力を前記搬送ローラに伝達すると共にその逆方向の回転に対しては空転する機構を有するワンウェイクラッチを介して配置された第2のギアと、を有し、
前記第2伝達手段は、前記第1のギアにより前記駆動モータの回転駆動力を伝達させ、
前記第1伝達手段は、前記第2のギアにより前記駆動モータの回転駆動力を伝達させることを特徴とする請求項1に記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項3】
前記切替手段は、主伝達ギアと第1の中間ギアと第2の中間ギアとを備え、前記第1の中間ギアと前記第2の中間ギアとはそれぞれ前記主伝達ギアと噛合しており、前記主伝達ギアは前記駆動モータにより回転駆動力を供給され、前記第1のギアは前記第1の中間ギアを介して回転駆動力が伝達され、前記第2のギアは前記第2の中間ギアを介して回転駆動力が伝達されることを特徴とする請求項2に記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項4】
前記主伝達ギアと第1の中間ギアと第2の中間ギアとがそれぞれ前記主伝達ギアの回転軸を中心に所定量回転可能な支持部材に軸支されており、前記第1の中間ギアと前記第2の中間ギアとは、前記主伝達ギアの回転軸を中心として前記主伝達ギアの周囲に沿って所定量移動可能であり、前記第1の中間ギアと前記第1のギアが噛合した状態と、前記第2の中間ギアと前記第2のギアが噛合した状態とのいずれか一方の状態を取り得ることを特徴とする請求項3に記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項5】
前記第1の中間ギアと前記第2の中間ギアは、前記主伝達ギアの回転力により、前記主伝達ギアの周囲を移動することを特徴とする請求項4に記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項6】
前記第1の中間ギアと前記第2の中間ギアは、前記支持部材の所定の位置に取り付けられた付勢手段により前記支持部材が回転することにより、前記主伝達ギアの周囲を移動することを特徴とする請求項4または5に記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項7】
前記第2伝達手段は、
前記駆動モータと連動する第1の連動ギアと、
前記第1の連動ギアに常に噛合すると共に、前記搬送ローラに固定された固定ギアに噛合可能な第2の連動ギアと、を有し、
前記第1伝達手段は、
前記第1の連動ギアが前記送り正方向に所定量回転した後に前記第1の連動ギアと一体となって回転する第1の間接回転ギアと、
前記第1の間接回転ギアに常に噛合すると共に、前記固定ギアに常に噛合する第2の間接回転ギアと、を有し、
前記第1の間接回転ギアは、前記第1の連動ギアに対して、外力による送り正方向の回転が許容されるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項8】
前記切替手段は、前記第1の連動ギアの回転軸を中心に所定量回転可能であり且つ前記第1の連動ギアと前記第2の連動ギアとを軸支している切替支持部材を有し、
前記切替支持部材は、前記第2の連動ギアを、前記第1の連動ギアの回転軸を中心として前記第1の連動ギアの周囲に沿って所定量移動可能に保持することにより、前記第2の連動ギアが前記固定ギアと噛合する状態と噛合しない状態とを取り得るようにしたことを特徴とする請求項7に記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項9】
前記第2の連動ギアは、前記第1の連動ギアの回転力により、前記第1の連動ギアの周囲を移動することを特徴とする請求項8に記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項10】
前記第1の連動ギアと前記第1の間接回転ギアとは同一の回転軸に沿って近接して配置されると共にそれぞれ当該回転軸を中心とした外周面を有しており、
前記第1の連動ギアと前記第1の間接回転ギアの外周面には、一方の外周面から他方の外周面にまでコイル状のバネが巻回されており、
前記バネは、前記第1の連動ギアが前記送り正方向に回転するときには両外周面を締め付ける方向に巻回されていることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項11】
前記固定ギアが、その回転軸方向に沿って、小径部と、前記小径部よりも径の大きい大径部とを有し、
前記第2の間接回転ギアは前記小径部と噛合し、前記第2の連動ギアは前記大径部と噛合することを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の連続記録紙搬送装置。
【請求項12】
連続記録紙を搬送し、画像形成装置内の所定の搬送路に導入する給紙部と、
該連続記録紙を搬送しつつ、該連続記録紙上に画像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置であって、
前記給紙部による該連続記録紙の搬送速度は、前記画像形成部による該連続記録紙の搬送速度より遅く設定されており、
前記給紙部は、
連続記録紙を搬送するための搬送ローラと、
前記搬送ローラに回転駆動力を供給する駆動モータと、
前記駆動モータによる回転駆動力を、その回転方向により選択的に前記搬送ローラに伝達させる第1伝達手段と、
前記駆動モータによる回転駆動力を、その回転方向によらず前記搬送ローラに伝達させる第2伝達手段と、
前記搬送ローラに対し、前記回転駆動力を前記第2伝達手段により伝達するか否かを切り替える機能を有する切替手段と、を備え、
前記第1伝達手段は、前記搬送ローラが前記連続記録紙の送り正方向に回転するよう前記回転駆動力を伝達すると共に、外力により前記搬送ローラが該送り正方向に回転することを許容し、
前記第2伝達手段は、前記搬送ローラが前記連続記録紙の送り逆方向に回転するよう前記回転駆動力を伝達し、
前記切替手段は、前記連続記録紙への印刷の待機時には、前記第2伝達手段により前記駆動モータの停止トルクを前記搬送ローラに伝達させること
を特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−341996(P2006−341996A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121526(P2006−121526)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】