説明

進入装置

医療用品を患者の身体空間の内部へ配置する進入装置。この装置は、針本体とハブとを含んでいる針を有している。この装置は、同軸に配置され、かつ、上記針本体にわたってスライドすることのできる拡張器と、医療用品とをさらに含んでいる。観察用空間が拡張器と医療用品との間に配置され、医療用品には、観察用空間と針本体の内側繰り穴とを連結する少なくとも1つの通路または導管が備わっている。この通路は、針および拡張器の両側面を貫通する開口によって、少なくとも一部に画定されている。導管または通路の少なくともある部分は、針と拡張器との間の少なくとも1つの溝によって画定することができる。この装置は、案内用ワイヤと、案内用ワイヤと針および/または拡張器との間の連結装置とをさらに含んでいてもよい。この装置は、案内用ワイヤと針および/または拡張器との間に配置されて、案内用ワイヤが針に対して移動する(たとえば、推進される)程度を制限し、または、そのような相対移動(たとえば、後方移動)を阻止する1つ以上の止め部をさらに含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、出願番号60/912,645号(2007年4月18日に出願された)と出願番号60/948,136号(2007年7月5日に出願された)の米国仮特許出願に対する米国特許法第119条(e)の下での利益を主張するものであり、それらの仮特許出願のすべては、参照によってそれらの全部がこの明細書の中に明確に引用されている。
[背景]
【0002】
この発明は一般に、医療用品(たとえば、カテーテル、カニューレ、シースなどのようなもの)を、たとえば動脈、静脈、血管、体腔、または排液部位のような身体空間の中へ導入しかつ/または送出するための進入装置に関するものである。
[関連技術の説明]
【0003】
カテーテルまたは血管シースを血管の中へ挿入するための好ましい非外科的方法には、患者の血管の中へ挿入される進入針が含まれるセルディンガー法(Seldinger tecqnique)または修正セルディンガー法の使用が含まれている。この針と血管を通して案内用ワイヤが挿入される。この針が取り外され、その後、上記案内用ワイヤにわたって、拡張器およびシースが、組み合わされてまたは別々に挿入される。拡張器およびシースは、いっしょにまたは別々に、組織を通して血管の中へ短い距離だけ挿入され、その後、拡張器および案内用ワイヤは取り外されて廃棄される。その後、カテーテルまたは他の医療用品を、上記シースを通して血管の中へ所望の位置まで挿入することができ、または、上記シースを血管の中に容易に残すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの血管進入装置が知られている。米国特許第4,241,019号、第4,289,450号、第4,756,230号、第4,978,334号、第5,124,544号、第5,424,410号、第5,312,355号、第5,212,052号、第5,558,132号、第5,885,217号、第6,120,460号、第6,179,823号、第6,210,332号、第6,726,659号および第7,025,746号には、このような装置の例が開示されている。しかしながら、これらの装置のどれにも、医師および他の医療サービス提供者が選り好みするであろう使用の容易さおよび安全性がない。このため、より使いやすくてより安全な血管進入装置、とりわけ、血管が穿刺されたときにそれを明確にかつ直ちに表示するであろう同装置と、オーバーワイヤ式血管進入における不測の刺傷および他の付随的リスクを軽減するであろう同装置とについての要望が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の実施形態には、カテーテルまたはシースを患者の身体の内部における空間、たとえば血管または排液部位のような空間へ送出するのに有用である進入装置についてのいくつかの特徴が含まれている。この発明の適用範囲を制限することなく、そのいっそう顕著な特徴が簡単に論述される。この論述を考慮した後に、また具体的には、以下の好ましい実施形態の項における詳細な説明をこの項と組み合わせて読み込んだ後に、何人も、これらの実施形態の特徴および観点によって、従来の進入装置に優るいくつかの利点がどのようにもたらされるかを理解するであろう。
【0006】
この発明の1つの観点は、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置である。この装置には、針本体を有している針と、その針本体に対して同軸に配置されているとともに拡張器シャフトを有している拡張器とが含まれている。この装置には、上記拡張器に対して同軸に配置された医療用品と、上記針本体および上記拡張器シャフトの少なくとも一方の側面を貫通して延びている複数の開口とがさらに含まれている。この装置には、上記針本体および上記拡張器シャフトの他方に少なくとも1つの開口がさらに含まれている。上記複数の開口は、針本体が第1位置および第2位置において拡張器シャフトに対して回転ロックされると、上記複数の開口の少なくとも1つが針本体および拡張器シャフトの他方における少なくとも1つの開口に少なくとも一部が重なり合うように、針本体および拡張器シャフトの一方に対して間隔を置いて配置されている。上記第2位置は上記第1位置とは異なっている。この装置には、拡張器と医療用品との間に配置された観察用空間と、この観察用空間と針本体の内側繰り穴とを連結する少なくとも1つの通路とがさらに含まれている。この通路は、上記複数の開口と上記少なくとも1つの開口とによって少なくとも一部に画定されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、これらの側面開口は、血液または他の体液が上記針から上記観察用空間へ流れることができるように、整合しているか、または重なり合っている。他の実施形態では、これらの側面開口は、針に対する拡張器の回転方位にかかわりなく重なり合うように構成することができる。たとえば、これらの側面開口を針および拡張器の一方または両方に不規則に間隔を置いて配置し、かつ/または、開けることで、針および拡張器の側壁を貫通する1つ以上の通路を設けることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、針本体の上記内側繰り穴と上記観察用空間とを連結するために、拡張器および針における側面開口同士の間に導管または通路が(必須ではないが)形成されている。この導管または通路の少なくとも一部は、針の外側面に、拡張器表面の内側面に、または、針の外側面および拡張器の内側面の両方に(たとえば、筋付け処理によって)形成された1つ以上の溝によって画定することができる。この最後の形態では、これらの溝は、上記通路の一部を画定するために、互いに対向していてもよく、または1つ以上の箇所で重なり合っていてもよい。
【0009】
付加的な実施形態では、連通する側面開口が設けられる導管または通路は、針の外面と拡張器の内面との間における不調和な形状(たとえば、不調和な放射断面形状)によって形成することができる。たとえば、針の外面は円形形状であって、拡張器の内面は円の直径に実質的に等しい短径寸法がある楕円形状であってもよく、またはその逆であってもよい。針の外面と拡張器の内面は、三角形と円形、正方形と円形、および正方形と三角形のような、他の不調和な形状であってもよいが、これらに限定されるものではなく、ここで、針は拡張器を少なくとも2つの箇所で支持している。
【0010】
上記シースの内面と拡張器の外面との間に生じる上記観察用空間には、環状の形状があってもよく、また、シースの長さとほとんど同一の広がりのある軸方向長さがあってもよい。他の実施形態では、その環状空間は、今、説明された細長い環状空間よりもかなり小さいものであってもよい。たとえば、その空間は、シースの遠位部分、中間部分および/または近位部分に設けられた1つ以上の環状溝(または、そのような環状溝の小部分)の形態にあってもよいが、これに限定されるものではない。たとえば、拡張器の外面に溝を形成することができ、その拡張器は、拡張器の側面を貫通する上記溝の底から延びている側面開口を有するが、これに限定されることはない。上記空間は、代わりに、シースの軸方向長さに沿った直線状、曲線状またはらせん状の形状にあってもよく、または、このような形状の複数のものによって形成されていてもよい。たとえば、1つ以上の軸方向溝および/またはらせん溝を、拡張器の外面に、シースの内面に、または拡張器の外面とシースの内面との両方に(たとえば、筋付け処理によって)形成することができる。この最後の形態では、これらの溝は、上記通路を画定するために、互いに対向していてもよく、または1つ以上の箇所で重なり合っていてもよい。
【0011】
この発明の別の観点には、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置が含まれている。この装置には、針本体を有している針と、上記針本体に対して同軸に配置されているとともに拡張器シャフトを有している拡張器とが含まれている。この装置には、案内用ワイヤと、この案内用ワイヤと針および拡張器のうちの少なくとも一方との間の連結装置とが、さらに含まれている。
【0012】
この相互連結部または連結装置には、上記案内用ワイヤを針本体、針ハブ、および/または拡張器ハブにおける少なくとも1つの区域へ連結するためのアタッチメントが備わっていてもよい。加えて、この相互連結部または連結装置には、案内用ワイヤが斜切先端の中へ全体的引き込まれ、または不注意で遠くまで推進されて、結果として血管内の案内用ワイヤ損失にならないように、案内用ワイヤへのアタッチメントが備わっていてもよい。
【0013】
この連結装置または相互連結部は、推進されたときに針の先端を越える案内用ワイヤの長さを維持するように構成することができる。上記斜切先端を越える案内用ワイヤ延長部の長さは、患者の身体の内側および外側の両方における、好ましくないかまたは不測の穿刺および損傷を防止するためには充分なものである。加えて、この連結装置または相互連結部は、案内用ワイヤが患者の身体の中で誤った箇所に置かれたりまたは置き忘れられたりしないように案内用ワイヤをこの進入装置へ保持するために、構成することができる。
【0014】
この連結装置または相互連結部には、針および/または拡張器のいずれかにおけるロック部材に係合するように適合された解除部材が備わっていてもよい。このロック部材は、針ハブと拡張器ハブとを解除可能に互いにロックする。案内用ワイヤが充分な長さだけ推進されると、解除部材は、ロック部材と協働して、ロック部材を解除し、拡張器ハブを針ハブから解除する。ロック部材がいったん解除されると、拡張器(および、場合によっては医療用品)は針を越えて推進することができる。
【0015】
この発明の別の観点には、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置が含まれている。この装置には、針本体を有している針と、上記針本体に対して同軸に配置された拡張器とが含まれている。この装置には、ロック状態とロック解除状態との間で移動するように構成されたロック部材がさらに含まれている。このロック部材は、このロック部材が少なくともロック状態にあるときに、針の少なくとも一部と拡張器の少なくとも一部との間における少なくとも相対軸方向移動を阻止するように、針を拡張器へ連結する。この装置には、針本体の少なくとも一部分の内部に同軸に配置されるように構成された案内用ワイヤと、上記ロック部材がロック状態からロック解除状態へ少なくとも移動するように上記ロック部材に係合するように構成された解除部材とがさらに含まれている。
【0016】
この発明の別の観点には、案内用ワイヤを進入装置へロックする方法が含まれている。この方法には、針の少なくとも一部分と拡張器の少なくとも一部分との間における少なくとも相対軸方向移動を阻止するように、上記拡張器を上記針へ解除可能にロックするステップが含まれている。この方法には、解除部材とこの解除部材へ取り付けられている案内用ワイヤとをロックされた上記拡張器および上記針に対して遠位方向にスライドさせるステップと、上記拡張器を上記針からロック解除して、上記案内用ワイヤの少なくとも一部分と上記針の少なくとも一部分との間における少なくとも相対軸方向移動を阻止するように、上記解除部材を、上記拡張器および上記針の少なくとも一方に係合させるステップとが、さらに含まれている。
【0017】
この発明の別の観点には、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置が含まれている。この装置には、針本体を有している針と、上記針本体に対して同軸に配置されているとともに拡張器シャフトを有している拡張器と、案内用ワイヤと、この案内用ワイヤと針および拡張器の少なくとも一方との間に配置された1つ以上の止め部とが含まれている。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記1つ以上の止め部(調節可能であってもよい)によって、案内用ワイヤが針に対して移動する(たとえば、推進される)程度が制限され、または、そのような相対移動(たとえば、後方移動)が阻止される。いくつかのモードでは、案内ワイヤの近位端が針の近位端の中へ(たとえば、針ハブの中へ)滑り込むのを阻止するために、案内用ワイヤの近位端に止め部を配置することができる。他のモードでは、この止め部は、上記針先端から推進することのできる案内用ワイヤの長さの調整を支援するために、針ハブの直近に位置決めすることができる。さらに他のモードでは、この止め部は、案内用ワイヤに沿ってスライドすることができるとともに、その上におけるある箇所(たとえば、針ハブの近傍)に配置することができる。好ましいのは、案内用ワイヤと止め部との間の相対移動を阻止するために、これらの間に相互作用(たとえば、干渉、摩擦、機構的結合、接着など)が存在することである。
【0019】
この発明の別の観点には、解除可能な連結装置を有している進入装置が含まれている。この連結装置によれば、少なくとも針が患者の体内へ挿入されたときに、針と拡張器との間の相対回転移動が阻止される。このような相対回転移動が阻止されることで、針における側面開口および拡張器における側面開口は、血液または流体がそれを通って流れることのできる簡略型通路を設けるために、整合状態に保持することができる。したがって、針が患者の血管または排液部位へ入ると、血液または他の体液は通路の中へ迅速に流入する。その結果、血液または流体の噴出は、上記針先端が血管または排液部位へ入ったことを表示するために、医療用品(シースまたはカテーテル)を通して見ることができる。
【0020】
たとえば、拡張器は、いくつかの実施形態では、拡張器ハブを備えていてもよく、また、拡張器は1つ以上の側面開口を有していてもよいが、これらに限定されるものではない。この拡張器ハブには、ルアー継手と解除可能なロック機構とが備わっていてもよい。解除可能なロック機構は、拡張器を針ハブのような他の部分へ解除可能に係合させてその拡張器を固定するように構成することができる。針ハブと拡張器ハブとがこれらの間の回転を防止するために解除可能にロックされると、拡張器における上記1つ以上の側面開口が、針における1つ以上の側面開口に整合する。ロック機構は、針と拡張器との間の偶発的軸方向相対移動を阻止するように構成することもできる。
【0021】
この発明のこれらの観点および他の観点は、添付図面による好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、当業者に容易に明らかになるであろう。しかしながら、この発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
この明細書の中に開示されたこの発明の、これらのおよび他の特徴、観点、および利点は、この発明を図示するように、また、限定しないように意図された好ましい実施形態の図面を参照しながら、以下に説明される。加えて、図を通じて、同一の参照符号は、図示された実施形態の同一の構成要素を指定するために使用されてきた。以下は、それぞれの図面の簡単な説明である。
【0023】
【図1】図1は、この発明によって構成された進入装置の好ましい実施形態の斜視図であり、同軸に一線配置された針、拡張器、医療用品、および案内用ワイヤを示している。
【0024】
【図2A】図2Aは、図1に描かれた実施形態における針の側面図である。
【0025】
【図2B】図2Bは、図2Aに描かれた実施形態における針の、線A−Aに沿って得られた断面図である。
【0026】
【図3A】図3Aは、図1に描かれた実施形態における拡張器部分の側面図である。
【0027】
【図3B】図3Bは、図3Aの拡張器部分の近位端図である。
【0028】
【図3C】図3Cは、図3Aに描かれた実施形態における拡張器部分の、線B−Bに沿って得られた断面図である。
【0029】
【図4A】図4Aは、図1の実施形態におけるシースの側面図である。
【0030】
【図4B】図4Bは、図4Aにおけるシースの近位端図である。
【0031】
【図5】図5は、図1の進入装置の側面図である。
【0032】
【図6】図6は、図5に示された実施形態の、線C−Cによって囲まれた部分の拡大断面図である。
【0033】
【図7】図7は、この発明の別の好ましい実施形態によって構成された進入装置の一部分についての同様の断面図である。
【0034】
【図8】図8は、この発明の付加的な好ましい実施形態によって構成された進入装置の一部分についての同様の断面図である。
【0035】
【図9】図9は、針ハブとそれを貫通して延びている案内用ワイヤとの拡大断面図であり、針ハブおよび案内用ワイヤは、この発明の別の好ましい実施形態によって構成されている。
【0036】
【図10】図10は、針ハブとそれを貫通して延びている案内用ワイヤとの拡大断面図であり、針ハブおよび案内用ワイヤは、この発明のさらに別の好ましい実施形態によって構成されている。
【0037】
【図11】図11は、針ハブとそれを貫通して延びている案内用ワイヤとの拡大断面図であり、針ハブおよび案内用ワイヤは、この発明の追加の好ましい実施形態によって構成されている。
【0038】
【図12】図12は、この発明のさらに別の好ましい実施形態によって構成された案内用ワイヤのある部分の拡大図である。
【0039】
【図13】図13は、この発明の別の好ましい実施形態によって構成された案内用ワイヤのある部分の拡大図である。
【0040】
【図14】図14は、この発明の追加の好ましい実施形態によって構成されている、解除機構を有する案内用ワイヤを含む、進入装置の近位端の拡大側面図である。
【0041】
【図15】図15は、この発明の別の実施形態によって構成されている進入装置の近位端の拡大側面図である。
【0042】
【図16】図16は、この発明の別の実施形態によって構成された案内用ワイヤの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
この開示によれば、たとえば、カテーテルまたはシースといった医療用品を、血管または排液部位へ送出するための進入装置であって、従来の非外科的カテーテル挿入技術に関する欠点を克服する進入装置がもたらされる。
【0044】
この開示によれば、医療用品(たとえば、カテーテルまたはシース)を、血管または排液部位へ送出するための進入装置がもたらされる。図1は、この発明の好ましい実施形態によって血管(たとえば、静脈または動脈)の中へ挿入されるように構成された進入装置102を示している。この進入装置は、以下ではこの状況(すなわち、血管進入についての状況)において説明されるが、この進入装置は、医療用品(たとえば、カテーテルまたはシース)を患者の身体の内部における他の箇所(たとえば排液部位)の中へ進入させるとともに配置するために、また、他の諸目的(たとえば、膿瘍を排出すること)のために使用することもできる。
【0045】
この進入装置のこの実施形態は、代表的な単一部材型管状医療用品を患者の体内における身体空間の中へ配置する状況において開示されている。いったん配置されると、管状用品はその後、他の医療用品(たとえば、カテーテル、案内用ワイヤなど)を受け入れて身体空間の中への進入をもたらすために使用することができ、かつ/または、流体を身体空間の中へ導入しまたは流体を身体空間から除去する(たとえば排液)ための通路をもたらすために使用することができる。図示されたこの実施形態では、上記管状医療用品は、静脈の中への流体の流れをもたらすために本来、構成されたシースまたはカテーテルである。しかしながら、この発明の原理は、単一部材型のシースまたはカテーテルの配置に、または、シースまたはカテーテルを介する医療用品のその後の挿入に限定されるものではない。そうではなくて、この明細書に開示された進入装置を、他の型のシース、流体排出・送出チューブ、および単一内腔カテーテルまたは複数内腔カテーテルを含む1つ以上の他の型の医療用品を患者の体内に直接、または別の医療用品を介して間接的に配置することと組み合わせて首尾よく利用することもできるということは、この開示を考慮すれば、当業者によって理解されるであろう。
【0046】
たとえば、この明細書に開示された進入装置は、中心静脈カテーテル、周辺に挿入された中心カテーテル、血液透析カテーテル、外科的排液チューブ、引き剥がし型シース、多部材型シース、検査鏡、および外部のまたは移植された電子装置またはセンサへ接続されたワイヤまたはケーブルのための電線用導管を直接または間接的に配置するように構成することもできるが、このような構成に限定されることはない。先に説明したように、上掲の医療用品は、この進入装置の拡張器、針、および案内用ワイヤを介して患者の体内へ直接配置してもよく、または、この進入装置の拡張器、針、および案内用ワイヤを介して患者の体内へ配置された医療用品を介してその後、患者の体内へ配置してもよい。
【0047】
さらに、この明細書に開示された実施形態は、単一の医療用品の同軸挿入に限定されるものではない。たとえば、2つのカテーテルは挿入されたあるカテーテルを介して患者の体内へ挿入してもよく、第2カテーテルは挿入された第1カテーテルを介して患者の体内へ挿入してもよい。さらに、ある導管を血管または他の身体空間の中へ供給するのに加えて、拡張器、針、および案内用ワイヤを介して挿入された医療用品に、その後に挿入された医療用品の管腔に加えて、管腔を形成することができる。当業者は、この明細書に開示された装置およびシステムのための付加的な用途を発見することもできる。したがって、シース(たとえば微小穿刺用のための)と組み合わされたこの進入装置の図示および説明は、この進入装置における可能性のある1つの用途の単なる典型である。
【0048】
進入装置102は、針20、拡張器28、シース58(たとえば、カテーテルやカニューレ)、および案内用ワイヤ120が備わっている。好ましい実施形態では、拡張器28は針20に同軸に取り付けられ、また、シース58は拡張器28に同軸に取り付けられている。
【0049】
図示されたこの実施形態では、針20、拡張器28、およびシース58が、進入装置102の近位端110で、取り外し可能に連結されている。いくつかの実施形態では、針20、拡張器28、およびシース58の間における取り外し可能な連結は、拡張器28が界接部101で針20へロックされ、かつ、シース58が界接部103で拡張器28へロックされた直線状連結である。針20は、ロック機構26によって拡張器28へロックされるのが好ましい。ロック機構26には、クリップ側面29のあるヒンジ型クリップ27のような係合機構が備わっていてもよい。ヒンジ型クリップ27は、拡張器28を針20へ取り外し可能に係合させて固定することができる。いくつかの実施形態では、クリップ側面29は、拡張器28を、拡張器28におけるルアー継手33の外側リップへ、クリッピングによって係合させて固定している。ヒンジ型クリップ27が示されているが、ロック機構26には、当業界において知られた任意の適切な係合機構が備わっていてもよい。図示されたこの実施形態では、図3Bに最も良好に認められるように、ヒンジ型クリップ27が係合する上記外側リップの部分は、針ハブ21と拡張器ハブ32との間におけるある角度(たとえば、180度)の相対回転の後に拡張器ハブ32に対する針ハブ21の回転を阻止するために、平坦である。
【0050】
同様に、シース58はロック部材59によって拡張器28へ固定されている。シース58には、使用者が拡張器28をシース58へ取り外し可能に係合させて固定することができるように、ツイストロック部材59が備わっていてもよい。いくつかの好ましい実施形態では、拡張器28には、シース58における対応区域へ噛み合わされるかまたは取り付けられるように構成された歯または突起が備わっている。好ましいのは、針20、拡張器28、およびシース58は、医師または使用者が、処置の必要に応じて、この進入装置の区画または部分を取り外すことができるように取り外し可能にロックされることである。
【0051】
図2Aおよび図2Bには、図1に示された好ましい実施形態の針20が描かれている。図2Aは針20の側面図を示し、図2Bは針20の断面図を提供している。図2Aおよび図2Bの両方に示されたように、針20には、針本体22、遠位端106、および近位部分24がある。近位部分24には、針ハブ21とロック部材26とがあるのが好ましい。
【0052】
針本体22には、円形で一定直径の内側繰り穴と円形で一定直径の外面とを有している細長い管状形状があるのが好ましい。しかしながら、他の実施形態では、針本体22には、他の繰り穴と外側形状(たとえば、楕円形断面形状のような形状であるが、これに限定されるものではない)とがあってもよい。
【0053】
針本体22には、目標とされた皮下身体空間へ進入するための充分に長い長さがあり、また、過度の外傷を引き起こすことなくその身体空間へ進入するときの挿入力に耐えるための充分な太さ寸法がある。多くの用途では、上記針本体には、3〜20cmの長さが、また、より好ましくは3〜10cmの長さがある。たとえば、成人の胸部における身体空間(たとえば血管)へ進入するためには、針本体22には、7cm以上の長さがあるのが好ましく、また、9cm以上の長さがあるのがより好ましく、また、9〜10cmの長さがあるのが最も好ましい。この針の寸法は、18ゲージ以下であるのが好ましく、また、18〜28ゲージであるのがより好ましく、また、微小穿刺の用途(周辺静脈内注射)については18〜26ゲージであるのが最も好ましい。新生児への用途については、針本体22の長さおよび太さは、顕著にいっそう短くかついっそう小さいものでなければならず、たとえば、長さが3〜4cmで太さが26〜28ゲージであるのが好ましい。
【0054】
図2Aおよび図2Bに最も良好に認めることができるように、針本体22には、針本体22の遠位端の近傍に、少なくとも1つの開窓または開口34が含まれている。この開窓34は、針本体22の壁を貫通して延びている。加えて、針本体22には、遠位部分106に配置された斜切先端108があってもよい。
【0055】
針ハブ21には、針ハブ21の近位部分および遠位部分にロック構造体が含まれていてもよい。これらのロック構造体は、ルアー−ねじ型の継手であってもよく、別の型の継手であってもよい。図示されたこの実施形態では、ルアー型のロックまたはスリップのようなルアー継手35が、針20の近位部分24に配置されている。これによって、医師または医療サービス提供者はたとえば、案内用ワイヤ120を、ルアー継手35の中空部分を通して、針本体22を通して、次いで穿刺された血管の中へ導入することができる。加えて、医師または医療サービス提供者は、所望に応じて他の処置を実行するために、注射器をルアー継手35へ取り付けることもできる。
【0056】
上で述べられたように、好ましい実施形態では、針ハブ21にはロック部材26が備わっている。ロック部材26は、たとえば拡張器28またはシース58のような別の部品を針20へロックしまたは固定するように構成することができる。図2Aに示されたように、ロック部材26には、一対のヒンジ型クリップ27のような係合機構が備わっていてもよいが、タブおよび/または長穴がある他の型のロック機構を使用することもできる。好ましいのは、ヒンジ型クリップ27のクリップ側面29が、ルアー継手33の外側リップ37のような唇状表面を、図1に示された拡張器28へ係合させることである。いったん係合されると、クリップ側面29は、ロックされた部品が望ましくない滑りまたは解除を受けることが防止される。ある実施形態では、クリップ27は、針ハブ21の中心へ向かう偏倚力がもたらされるようにヒンジ留めされている。好ましいのは、固定された部品がヒンジ型クリップ27から滑りまたは係合解除されることが、上記偏倚力によって防止されることである。より好ましいのは、たとえば、針ハブ21からルアー継手33へのルアー連結を解除するために、同時にクリップ27の側面29に圧力を加えることによって、またはクリップ27の側面29を締め付けることによって、ヒンジ型クリップ27の偏倚力に打ち勝つことである。適切な解除圧力を加えることによって、医師または医療サービス提供者はたとえば、ヒンジ偏倚力に打ち勝つために、人差し指と親指とをヒンジ型クリップ27の側面29に置いて、締め付け圧力を加えることができる。ヒンジ型クリップ27は、クリップの両側面29に充分な解除圧力が加えられたときだけ解除されるのが好ましい。
【0057】
針の近位部分24には、拡張器28またはシース58に対する斜切先端108の位置をオペレータに表示するために、カラーコード、単語、または枢軸または切欠のような他の指標があってもよい。また、斜切先端108の位置を変更するために針本体22が回転されたときに、医師または医療サービス提供者がそのことを感触または音声によって(たとえば、クリック音によって)感知するように、拡張器28と針本体22との間に機構的嵌合があってもよい。針本体22は拡張器28およびシース58に対して回転することができるので、斜切先端108は、この斜切先端を上方へ向けて血管の中へ挿入することができるとともに、成功裏に挿入した後に斜切先端108が下方へ向けられるように、180度回転することができる。斜切先端108がこの位置にあるときには、針本体22の移動によって血管に損傷が引き起こされるおそれはほとんどないであろう。
【0058】
図3A、図3Bおよび図3Cによって、図1に説明された実施形態についての拡張器28全体の側面図、近位端45から見た拡張器ハブ32の側面図、および拡張器28の断面図がそれぞれもたらされている。示されたように、拡張器28には、拡張器シャフト30および拡張器ハブ32が備わっている。拡張器シャフト30には、1つ以上の側面開口または側面開窓111がさらに備わっている。拡張器ハブ32には、好ましいことに外側リップ37を有するルアー継手33が備わっている。いくつかの実施形態では、外側リップ37は、針20におけるロック部材26へ係合するように構成することができる。
【0059】
加えて、拡張器シャフト30は、拡張器シャフト30の中空区画113を針本体22にわたって滑らせるとともに、拡張器ハブ32を針ハブ21へ取り外し可能に固定することによって、針本体22へ同軸に取り付けることができる。好ましいのは、何らかの回転移動および軸方向移動を阻止するために、拡張器ハブ32の近位端45が機構的に嵌合して針ロック部材26と連結されることである。より好ましいのは、拡張器シャフト30が針本体22に対して、または針本体22が拡張器シャフト30に対して、同軸位置から取り付けられかつ取り外されるように、拡張器シャフト30が針本体22へ取り外し可能に取り付けられていることである。
【0060】
いくつかの実施形態では、拡張器ハブ32にはロック機構39がさらに備わっている。図3Aにおいて、ロック機構39は、拡張器ハブ32から突出している支柱、歯、または突起からなっている。これらの歯39は、シース58または針ハブ21のような別の部品に配置された対応受け入れ区域へ噛み合うかまたは取り付けられるように構成することができる。このロック機構39は以下の項でさらに詳細に説明される。
【0061】
図4Aおよび図4Bは、図1に示された医療用品またはシース58の側面図を示している。図4Bは、近位端57から見た側面図を提供している。この医療用品にはシース58が含まれているのが好ましいものの、必ずしも必要ではない。好ましい実施形態では、シース58には、シース本体54とシースハブ53とが備わっている。シース本体54は、一部または全部を透明材料、半透明材料、半透光性材料、または透光性材料から作ることができる。このような透光性材料、半透明材料、半透光性材料、および透明材料によれば、臨床医は、血液または他の体液が、針の側面開口を通して、拡張器の側面開口を通して、針の中へ流入し、次いで拡張器とシースとの間の観察用空間の中へ流入したときに、それを見ることができる。
【0062】
シース本体54は、カテーテルまたは他の医療用品(たとえば案内用ワイヤ)が血管の中に挿入される単一部材のシースである。そのような実施形態では、シース本体54によって、カテーテルまたは他の医療用品(たとえば案内用ワイヤ)の挿入のための導管が形成されている。導管を設けるのに加えて、上記シースまたは上記シースの一部によって、上記カテーテルの管腔とともに、管腔を形成することができる。たとえば、シース本体54それ自体が第3管腔を形成しているシース本体54を通して二重管腔カテーテルを挿入することで、三重管腔カテーテルに相当するものを形成することができる。シースハブ53には、翼状端55およびロック部材59がさらに備わっていてもよい。
【0063】
好ましいのは、ロック部材59に、対応する構造体に噛み合うかまたは係合するロック構造体または取付構造体が備わっていることである。たとえば、ロック部材59には、図2Aにおいて先に説明された拡張器ハブ32における歯39に係合してそれを固定するように設計されたくぼみ、こぶ、または溝が備わっていてもよい。図4Aおよび図4Bに最も良好に認められるように、シースハブ53は、拡張器ハブ32の歯39が実質的に妨げられることなくシースハブ53の中へ入ることができるように、設計されているのが好ましい。しかしながら、使用時に、シースハブ53が拡張器シャフト30を覆う所望箇所にいったん置かれると、医師または医療サービス提供者はシースハブ53をねじってロック部材59を係合解除することができる。ロック部材59はたとえば、拡張器ハブ32およびシースハブ53が解除可能に連結されるように機構的嵌合を作り出す突出状こぶ、くぼみなどであってよい。図示されたこの実施形態では、シースハブ53のロック部材59には、シースハブ53の一方端部から延びて突出状こぶ、くぼみなどで終わる、軸方向に配置された一対の溝が備わっている。ロック位置は、拡張器ハブ32をシースハブ53に対してねじることによって係合解除することができるのが好ましい。加えて、このシースハブには、シース本体54を他の部品から容易に解除しかつ取り外すことができるように、ウイング55または把手構造が備わっている。
【0064】
いくつかの用途では、ウイング55は、医療サービス提供者にシースハブ53を取り外すための梃子をもたらすように、寸法仕上げされている。たとえば、シースハブ53には、シースハブ53の半体同士を連結するための薄い膜61が備わっていてもよい。この膜61は、医療サービス提供者がシースハブ53をこの進入装置から取り外すことを決定するまで、シースハブ53の半体同士を維持するように、寸法仕上げされている。医療サービス提供者は、ウイング55を操作して膜61を破り、シースハブ53を取り外し可能な半体に分離する。
【0065】
進入装置102を採用した後に、血管の中に挿入されるカテーテルまたは医療用品の型に応じて、シース本体54の一部または全部を取り除くことは有利であるかも知れない。たとえば、カテーテルまたは他の医療用品が血管の中に挿入された後に、シース本体54の一部を分離するかまたは引き剥がして取り去ることができる。医師または他の医療サービス提供者がシース本体54の一部または全部を容易に取り去ることができるために、引き剥がしシースには、打ち抜き穴、鋸歯状切欠、または他の材料の構造体が含まれていてもよい。
【0066】
図5には、組み立てられた進入装置102の側面図が描かれており、この進入装置102では、針20、拡張器28、およびシース58が互いに連結されている。この組立体では、上で述べたように、針20、拡張器28、およびシース58は、共通の長手軸に関して同軸に配置されている。
【0067】
図6には、組み立てられた上記ユニットの部分断面図が描かれている。上で述べたように、針本体22には、その側壁に1つ以上の側面開口34が備わっているのが好ましい。加えて、上記拡張器には、1つ以上の側面開口111が備わっていてもよい。しかしながら、図6には、ただ一組の対応側面開口同士の間における整合が示されている。他の組の側面開口同士もまた、針20と拡張器28との相対方位によって、整合しまたは整合解除することができる。
【0068】
好ましいのは、針本体22と拡張器シャフト30との間の環状空間36を最小限にするために、拡張器シャフト30が同軸に配置されていることである。拡張器シャフト30の内面38は、針本体22の外面40に直接、接している必要はないが、そのように接していてもよい。好ましいのは、血液またはその成分(または他の体液)が拡張器シャフト30と針本体22との間における環状界接部36の中へ流入するのを阻止するために、針本体22の外面40と拡張器シャフト30の内面38との間における環状界接部36が最小限にされていることである。有利なことに、この特徴構成によって、複数の外面への血液の露出が最小限になり、汚染、感染、および凝固のおそれが減少する。
【0069】
シース本体54は、血液が、(1)針の側面開口34を通して、(2)拡張器の側面開口111を通して、針本体22の中へ流入したときに、また、(3)拡張器シャフト30とシース本体54との間の環状空間60の中へ流入したときに、医師または医療サービス提供者がその血液を見ることができるように、一部または全部が、透明材料、半透明材料、半透光性材料、または透光性材料から作られている。このことによって、針本体22の斜切先端108が血管を穿刺したことが医師または医療サービス提供者に表示されるであろう。
【0070】
いっそう好ましいのは、針本体22に配置された少なくとも1つの側面開口34が拡張器シャフト30における少なくとも1つの側面開口111に回転整合するように、拡張器シャフト30が針本体22に同軸に取り付けられていることである。いくつかの実施形態では、針本体22および拡張器シャフト30(両方)に複数の側面開口34,111があり、これらの側面開口34,111のいくつかまたはすべては回転整合することができる。好ましいのは、血液が針の側面開口34および拡張器の側面開口111を通して、実質的に妨げられることなく流れるように、針本体22および拡張器シャフト30が回転整合を維持していることである。
【0071】
いくつかの実施形態では、拡張器シャフト30および針本体22は解除可能な回転整合を維持しており、使用者は、拡張器シャフト30および針本体22を、針本体22に対する長手軸に関する第1環状位置から第2環状位置まで移行させることができる。第1位置から第2位置までのこの移行によって、針本体22および拡張器シャフト30におけるそれぞれの側面開口が整合されまたは整合解除される。この特徴構成によって、使用者は、血管が穿刺される前および/または後に、針本体22を所望の方位に変更することができる。たとえば、上で述べたように、一般的には、斜切先端108はそれを上方へ向けて血管の中へ入れられるのが好ましい。しかしながら、針本体22がいったん血管の中へ入ると、斜切先端108を180度回転させることで、血管への望ましくない損傷のおそれが防止される。好ましい実施形態では、医師または医療サービス提供者は、彼/彼女の必要に応じて、拡張器シャフト30と針本体22との間の回転整合を変更することができる。
【0072】
図7には、この発明の別の好ましい実施形態の断面図が描かれている。これに加えて、またはこれの代わりに、拡張器シャフト30とシース本体54との間の環状空間60は、この空間60の中への血液の流れを減少させるために、最小限にすることができる。好ましいのは、血液の流れを観察用空間43へ導く通路または導管62が設けられていることである。拡張器シャフト30の外側面またはシース本体54の内側面のいずれかに形成された(たとえば、筋付け処理によって)溝は、通路または導管62の少なくとも一部分を画定することができる。図示されたこの実施形態では、通路または導管62および観察用空間43によって、血液または流体が流入することのできる環状空間60における開放空間が減少する。
【0073】
図8には、この発明の別の好ましい実施形態の断面図が描かれている。いくつかの実施形態では、環状空間60は、血液またはその成分がシース本体54と拡張器シャフト30との間の環状空間の中へ流入することができないように、実質的に制限されている。好ましいのは、上記シースに、いくらかの血液が拡張器シャフト30とシース本体54との間における実質的に減少された空間の中へ流入することのできる観察用空間43が備わっていることである。好ましいのは、血液が観察用空間43または側面開口34,111から環状空間60の中へ流れることができないことである。観察用空間43の上方におけるシース本体54の一部分は、血液が、針の側面開口34を通して、拡張器の側面開口111を通して、針本体22の中へ流入したときに、また、観察用空間43の中へ流入したときに、医師または医療サービス提供者がその血液を見ることができるように、透明材料、半透明材料、半透光性材料、または透光性材料から作ることができる。最も好ましいのは、血液が針の側面開口34を通して、拡張器の側面開口111を通して、次いで観察用空間43の中へ流入したときに、実質的に妨げられることなく流れることができるように、拡張器の側面開口111、針の側面開口34、および観察用空間43が回転整合することである。いくつかの実施形態では、上記シースには2つ以上の観察用空間43があってもよい。
【0074】
図6、図7および図8に示された実施形態では、針20および拡張器シャフト30における側面開口34,111が整合しているが、これらの側面開口は、代わりに、互いに重なり合っていてもよく、または、通路または導管62によって連結されていてもよい。通路または導管62は、拡張器および針における側面開口34,111同士の間に形成することができる。この進入装置におけるいくつかの実施形態では、通路または導管62は、針の外側面に、拡張器の内側面に、または針の外側面および拡張器の内側面の両方に形成された(たとえば、筋付け処理によって)1つ以上の溝によって画定されている。この最後の形態では、これらの溝は、通路の一部を画定するために、互いに対向していてもよく、または1つ以上の箇所で重なり合っていてもよい。付加的な実施形態では、側面開口を連通状態に配置する通路または導管62は、針の外面と拡張器の内面との間における不調和な形状(たとえば、不調和な半径断面形状)によって形成することができる。たとえば、針の外面は横断面が円形形状であり、拡張器の内面は横断面が円の直径に実質的に等しい楕円の短径のある楕円形形状であってもよく、またはその逆であってもよい。針の外面および拡張器の内面は、三角形と円形、正方形と円形、および正方形と三角形のような、他の不調和な形状であってもよいが、これらに限定されるものではなく、ここで、針は拡張器を少なくとも2つの箇所で支持している。
【0075】
この発明の別の観点によれば、進入装置の案内用ワイヤと以下の構成要素、すなわち、(1)針本体、(2)針ハブ、および(3)拡張器ハブのうちの少なくとも1つとの間に、連結装置または相互連結部が設けられている。この連結装置または相互連結部によれば、案内用ワイヤの近位端が針の中へ遠くまで推進されること(および、血管内案内用ワイヤ損失の蓋然性を損なうこと)が阻止され、また、針、拡張器、および案内用ワイヤを全体として同時に引き出すことが可能になる。加えて、推進された案内用ワイヤが針の中へ引き出されるのを阻止することで、案内用ワイヤの遠位端が剪断されて案内用ワイヤが塞栓を有するおそれが減少する。この連結装置または相互連結部によれば、針の先端を保護するために案内用ワイヤの遠位端が針の遠位端を越えて延びた状態に残り、それによって、不測の刺傷が阻止されるということを保証することもできる。
【0076】
図9には、医療サービス提供者が案内用ワイヤ120をその完全展開位置(すなわち、案内用ワイヤ120が針本体22の遠位端108を越えて血管の中へ充分に延びる位置)へ推進したときに、案内用ワイヤ120を針ハブ21に連結するのに適している相互連結部の実施形態が示されている。図示されたこの実施形態では、この相互連結部には、針ハブ21の内側繰り穴によって画定された雌ルアーまたは内側繰り穴130と、案内用ワイヤ120に配置された雄ルアー122とが備わっている。雄ルアー122は、案内用ワイヤ120の近位端に存在しているのが好ましいものの、しかしながら、雄ルアー122が雌ルアー130に係合すると、充分な長さの案内用ワイヤ120が血管の内腔(または、他の体腔、内腔または空間)の中へ延びる場合には、雄ルアー122は、その案内用ワイヤの長さに沿った他の箇所に形成することができる。
【0077】
雄ルアー122は、案内用ワイヤ120の上にまたはその端部へ型成形(たとえばインサート成形)、圧着、接着することができ、さもなければ、案内用ワイヤ120の上にまたはその端部へ取り付けることができ、または、単一の方法で案内用ワイヤ120に形成することができる。たとえば、雄ルアー本体122は、そのルアー本体122を貫通する穴がある別の部材として型成形することができる。この穴は、型成形過程において作り出すことができ、またはその後に作り出すことができる。ルアー本体122はその後、案内用ワイヤ120にわたってねじ切りされる。この案内用ワイヤの近位端は、ルアー本体122が案内用ワイヤ120の近位端から滑り外れるのを阻止するために、他の材料の添加によって、圧着し、ねじり、または拡大することができる。案内用ワイヤ120は、ルアー本体122が遠位へ滑るのを阻止するために、また、この装置の使用を容易にするために、ルアー本体122の遠位である箇所で同じように改変することができる。しかしながら、そのようなさらに別の改変は、案内用ワイヤ120が完全に展開されたときに針ハブ21と案内用ワイヤ120とをともに相互連結するためには、必要ではない。
【0078】
図9に示された雄ルアーおよび雌ルアーは、案内用ワイヤ120と針ハブ21とを相互連結しまたは連結するために含まれていてもよい型の協働構造の一例にすぎない。他の型の相互係合用構造もまた、この目的のために使用することができる。たとえば、案内用ワイヤ120には、その近位端にまたはその近位端の近傍に1つ以上の拡大ビードが含まれていてもよく、また、針ハブ21には、その円錐状内側繰り穴130に対して画定された1つ以上の環状溝が含まれていてもよい。案内用ワイヤ120がその完全拡張位置へ推進されると、上記ビードが対応環状溝の中へパチンと嵌まり、案内用ワイヤ120が針ハブ21へ連結される。
【0079】
案内用ワイヤ120と針ハブ21との間の係合は、上記の実施形態からわかるように、針ハブ21に対する案内用ワイヤ120の簡単な軸方向移動によって行うことができる。この係合は、案内用ワイヤ120と針ハブ21との間の相対回転移動によって、または軸方向移動と回転移動との両方の組み合わせによってもまた、行うことができる。たとえば、案内用ワイヤ120の端部に含まれている雄ルアー122には、針ハブ21の内部に形成された1つ以上のらせん溝(たとえば雌ねじ)に係合する1つ以上の突出構造(たとえば雄ねじ)が含まれていてもよい。針ハブ21に対する案内用ワイヤ120の、組み合わされた軸方向移動および回転移動によって、これらの協働構造が相互に係合して案内用ワイヤ120と針ハブ21とが連結される。
【0080】
図10には、案内用ワイヤ120と針ハブ21との間に形成された別の連結装置が示されている。この実施形態では、案内用ワイヤ120の近位端は、針ハブ21における構造に係合するように構成されたクリップ140として形成されている。図示されたこの実施形態では、クリップ140には二次元形状があるが、他の実施形態では、このクリップは三次元形状を採ることができる。
【0081】
図10に示されたように、クリップ140は、針ハブ21の端部に配置された環状フランジ142に係合するように構成されているのが好ましい。この目的のために、クリップ140には、案内用ワイヤ120の長手軸から外方へ延びるとともにその長手軸に対して概ね垂直に位置する横断部分144が含まれている。しかしながら、この横断部分144は、案内用ワイヤ120の長手軸に対して鋭角状にまたは鈍角状に延びていてもよい。この横断部分の長さは、ハブフランジ142を横切る直径の半分よりわずかに長いものであるのが好ましい。
【0082】
クリップ140には、横断部分144から遠位に延びるばねクリップ146もまた含まれている。このばねクリップ146には、案内用ワイヤ120が、遠位へ推進され、次いで案内用ワイヤ120へ向かって反り返り、その後、ハブフランジ142の遠位側面に設けられた溝または空間の中へ入ると、外方へ偏向され、ハブフランジ142を乗り越える概ねV字状の端部が含まれている。図示されていないが、ばねクリップ146には、ばねクリップ146の内側面に当接面が含まれていてもよく、この当接面は、針ハブ21に対する案内用ワイヤ120の近位移動に対抗するために、上記長手軸に対して概ね垂直に延びるとともに、ハブフランジ142の遠位側面に対して当接するように設けられている。
【0083】
図11には、案内用ワイヤ120と針本体22との間に形成された連結装置の一例が示されている。この連結装置には、針本体22を貫通する穴150が一部に形成されている。図示されたこの実施形態では、貫通穴150のいずれか一方の側面におけるハブ材料もまた省略されているが、他の実施形態では、そのような起伏部は含まれていなくてもよい。加えて、この穴150は針本体22を貫通して延びている必要はない。
【0084】
案内用ワイヤ120には、その長さに沿って形成された隆起152(たとえばビード)が含まれており、この隆起は、変形可能であるとともに、針本体22の内径よりもわずかに大きいものである。隆起152は、案内用ワイヤ120と一体であってもよく、または案内用ワイヤ120へ取り付けられてもよい。隆起152は、案内用ワイヤ120から近位へ突出していて、それが貫通穴150に係合すると近位移動を阻止する偏向可能な返しの形態を採ることもできる。付加的な隆起は図12および図13に描かれている。図12では、隆起152bは、案内用ワイヤ120の一部分を平坦化することで形成されている。図13では、隆起152cは、案内用ワイヤ120の両側面に形成された一対のこぶ154によって形成されている。この案内用ワイヤは、上記こぶの遠位におけるある箇所まで分割されているとともに、これらのこぶ154を広げて離すように塑性変形されている。案内用ワイヤ120の分割端部156は、こぶ154を案内用ワイヤ120の長手軸から外方へ偏倚させる板ばねとして作用する。
【0085】
図11に戻ると、隆起152は、案内用ワイヤ120が所望長さだけ血管の中へ推進されたときに貫通穴150と相互作用するように、案内用ワイヤ120の表面に寸法仕上げされて設けられている。この箇所では、隆起152は貫通穴150の一方側面および両側面の中へパチンと嵌まるかまたは弾けて入り、案内用ワイヤ120は針本体22に対して保持される。案内用ワイヤ120には、案内用ワイヤ120についての複数の拡張長さを針本体22からもたらすように、かつ/または、複数の貫通穴と相互作用して案内用ワイヤ120と針本体22との間の向上したまたは重複した相互係合をもたらすように、複数の隆起が含まれていてもよい。
【0086】
図14には、案内用ワイヤ120と針ハブ21との間の連結装置のさらに別の実施形態が、拡張器シャフト30(および、図示されたこの実施形態ではシース本体54)を針ハブ21からロック解除する解除機構に加えて示されている。案内用ワイヤ120の近位端は、針ハブ21と相互作用するエンドキャップ160へ、上記のさまざまな方法のいずれかで取り付けられている。このエンドキャップ160には一対のカムアーム162がさらに含まれている。これらのカムアーム162は、エンドキャップ160が針ハブ21に係合すると、クリップ側面29を内方へ押し込むとともに、ヒンジ型クリップ27を拡張器ハブ32のフランジ33から取り外す。この位置では、案内用ワイヤ120は針ハブ21と連結されているかまたは相互連結されており、拡張器シャフト30は針本体22にわたって自由に推進することができる。
【0087】
図15には、案内用ワイヤ120と針ハブ21との間に相互連結部を含み、針本体22の中への挿入の前にある長さの案内用ワイヤ120を支持するのにも役立つ進入装置のさらに別の実施形態が示されている。この実施形態では、支持ロッド170が針ハブ21から近位へ延びている。いくつかの実施形態では、このロッド170の長さは、案内用ワイヤ120の長さに概ね等しく、また、他の実施形態では、その長さはかなり短いもの(たとえば、その案内用ワイヤの長さの25%〜50%)でもよい。案内用ワイヤ120には、その近位端にまたはその近位端の近傍に形成されていて、案内用ワイヤ120が針本体22の中へ推進されるとロッド170にわたってスライドするループ172が含まれている。ループ172とロッド状支持体170との間の相互作用によって、案内用ワイヤ120の近位端が支持される。この同様の相互作用によって、案内用ワイヤ120が完全に推進されたときに、案内用ワイヤ120が針20から離脱するのが阻止される。別の実施形態では、このループは、上記ロッドの一部であってもよく、また、上記案内用ワイヤがそのループの内部に置かれると、処置の前か処置の間に上記ワイヤがこの装置から抜けるという傾向が減少する。
【0088】
図16には、この進入装置の上記実施形態の1つ以上に使用することのできる案内用ワイヤ120の別の実施形態が示されている。この案内用ワイヤ120には、針20、拡張器28、およびシース58からなる組立体の内部における案内用ワイヤ120の前方推進または後方移動を制限するために、所望に応じて案内用ワイヤシャフト120に沿ってスライドすることのできる移動可能な1つ以上の位置決め部または止め部180が備わっている。図示されたこの実施形態では、この止め部180は、シリコーン製ボールである。この止め部180はもちろん、たとえば、中空円筒形状または中空円錐台形状(たとえば、針ハブの内側繰り穴の形状に実質的に一致する形状)のような他の形状を有していてもよいが、これらに限定されるものではなく、また、他の種類の材料から同じように作られていてもよい。
【0089】
図示されたこの実施形態におけるそれぞれのボール180には、ボール180を貫通する繰り穴182がある。この繰り穴182には、案内用ワイヤ120の直径にほぼ等しい直径がある。シリコーン製ボール180の圧縮性によって、これらのボールは、力が加えられると、上記案内用ワイヤに沿って所望箇所までスライドすることができる。充分なスライド力がもはや加えられなくなると、ボール180と案内用ワイヤ120との間の干渉およびその結果により生じる摩擦によって、ボール180が案内用ワイヤ120にわたってスライドするのが阻止される。加えて、1つ以上の止め部180は、案内用ワイヤ120の端部を越えることなく、この止め部を案内用ワイヤ120へ取り付けることができるようにまたは案内用ワイヤ120から取り外すことができるように、その長さに沿って分割することができる(たとえば、溝、切れ込み、または細長い開口によって)。したがって、この構成によって、止め部180は、案内用ワイヤの近位端または遠位端のいずれかを越えることなく、外方延出状近位構造体(たとえば、図9、図10、図14および図15に示された案内用ワイヤ120)とともに、その案内用ワイヤから取り外すことができる。
【0090】
ボール180の外径は、針本体22における近位開口よりも大きいように寸法仕上げされている。図示されたこの実施形態では、ボール180の外側寸法は針ハブ21の内側繰り穴130よりも大きい。しかしながら、他の実施形態では、このボール180は、内側繰り穴130の内部には嵌まるが針本体22の中には嵌まらないように寸法仕上げすることができる。止め部180と針ハブ21および/または針本体22との間に結果として生じる干渉によって、針20の中への案内用ワイヤ120の前方推進が制限され、また、針本体22からの案内用ワイヤ120の後退(後方移動)が阻止される。これらのボール180はまた、進入装置102がその包装状態にあるときに案内用ワイヤ120を支持し、さらに、使用に先立つ滅菌、輸送および保管の間に、案内用ワイヤ120が上記の針/拡張器/シースの組立体に対して移動するのを阻止する。
【0091】
この明細書において説明されたこれらの実施形態は、慣用の生体適合性材料から構成されている。たとえば、上記針は、セラミック、硬質ポリマー、または、ステンレス鋼、ニチノールなどのような金属からなっているのが好ましい。他の諸要素は、ポリカーボネート、ナイロン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、フルオロポリマーおよびパーフルオロ(エチレン−プロピレン)コポリマーのようなコポリマー、ポリウレタンポリマーまたはコポリマーのような適切なポリマー材料から形成することができる。
【0092】
上で述べたように、この進入装置は、カテーテルを患者の体内における他の部位へ配置するために使用することができる。したがって、たとえば、この進入装置は、膿瘍から流体を排出するために、気胸から空気を排出するために、また、腹腔へ進入するために、さまざまなカテーテルとして、またはさまざまなカテーテルとともに使用することができるが、これらに限定されるものではない。そのような用途では、体液は、上記針が適切に配置された時点を表示するために、観察空間へ流入する。
【0093】
この発明はいくつかの好ましい実施形態および実施例の状況で開示されてきたが、この発明が、具体的に開示された実施形態を越えて他の代替実施形態および/または発明の使用および明らかな改造およびその同等物まで及ぶ、ということは当業者によって理解されるであろう。加えて、この発明のいくつかの変形例が示され、かつ、詳細に説明されてきたが、この発明の適用範囲の内部にある他の改造は、この開示に基づいて当業者に容易に明らかであろう。これらの実施形態の特定の諸構成および諸観点のさまざまな主結合または副結合は、これらを行うことができるとともに、この発明の適用範囲の内部になお属している、ということが予想される。したがって、開示されたこれらの実施形態のさまざまな構成および観点は、開示された発明の変形モードを形成するために、互いに組み合わせたり、置き換えたりすることができる、ということを理解すべきである。すなわち、この明細書に開示されたこの発明の適用範囲は、上で述べられた特定の開示実施形態によって限定されるべきではなく、この開示および以下の特許請求の範囲の公正な読み取りによってだけ決定されるべきである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
針本体と内側繰り穴とを有している針、
前記針本体に対して同軸に配置され、かつ、拡張器シャフトを有している拡張器、
この拡張器に対して同軸に配置された医療用品、
前記針本体および前記拡張器シャフトの少なくとも一方の側面を貫通して延びている複数の開口、
前記針本体および前記拡張器シャフトの他方における少なくとも1つの開口であって、前記複数の開口は、前記針本体が前記拡張器シャフトに対して、第1位置とこの第1位置とは異なっている第2位置とにおいて回転ロックされたときに、前記複数の開口の少なくとも1つが前記針本体および前記拡張器シャフトの他方における少なくとも1つの開口に少なくとも一部で重なり合うように、前記針本体または前記拡張器シャフトの一方に対して間隔を置いて配置されている、少なくとも1つの開口、
前記拡張器と前記医療用品との間に配置された観察用空間、および
この観察用空間と前記針本体の前記内側繰り穴とを連結する少なくとも1つの通路であって、この通路は、前記複数の開口と前記少なくとも1つの開口とによって、少なくとも一部に画定されている少なくとも1つの通路
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項2】
前記医療用品は、カテーテルである、請求項1に記載の進入装置。
【請求項3】
前記医療用品は、シースである、請求項1に記載の進入装置。
【請求項4】
前記シースは、本体とハブとから構成されている、請求項3に記載の進入装置。
【請求項5】
前記シースの少なくとも一部分が透明である、請求項3に記載の進入装置。
【請求項6】
前記シースの少なくとも一部分が半透明である、請求項3に記載の進入装置。
【請求項7】
前記シースの少なくとも一部分が半透光性である、請求項3に記載の進入装置。
【請求項8】
血液または他の体液が、前記複数の開口および前記少なくとも1つの開口を通して、前記針本体の中へ流入し、次いで前記観察用空間の中へ流入したときに、視覚的表示をもたらすように、前記シースの少なくとも一部分が透光性である、請求項3に記載の進入装置。
【請求項9】
前記複数の開口の少なくとも1つは、前記針本体に対する前記拡張器シャフトの回転方位にかかわりなく、前記針本体および前記拡張器シャフトの他方における少なくとも1つの開口に少なくとも一部で重なり合う、請求項1に記載の進入装置。
【請求項10】
前記複数の開口は、前記針本体または前記拡張器シャフトの一方に対して不規則に間隔を置いて配置されている、請求項1に記載の進入装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの開口および前記複数の開口は、複数の通路を画定し、それぞれの通路が前記観察用空間を前記針本体の内側繰り穴に連結している、請求項1に記載の進入装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの通路は、前記針の外面と前記拡張器の内面との間における不調和な形状を有しており、この不調和な形状は放射断面形状である、請求項1に記載の進入装置。
【請求項13】
前記拡張器シャフトの内側面が楕円形形状を有し、前記針本体の外側面が円形形状を有している、請求項12に記載の進入装置。
【請求項14】
前記観察用空間は、前記医療用品の遠位部分に配置されている、請求項1に記載の進入装置。
【請求項15】
前記観察用空間の少なくとも一部分は、前記医療用品の軸方向長さの少なくとも一部分に沿った直線状形状を有している、請求項1に記載の進入装置。
【請求項16】
前記観察用空間の少なくとも一部分は、前記医療用品の軸方向長さの少なくとも一部分に沿った曲線状形状を有している、請求項1に記載の進入装置。
【請求項17】
前記観察用空間の少なくとも一部分は、前記医療用品の軸方向長さの少なくとも一部分に沿ったらせん状形状を有している、請求項1に記載の進入装置。
【請求項18】
前記観察用空間は、環状形状を有している、請求項1に記載の進入装置。
【請求項19】
前記観察用空間の軸方向長さは、前記医療用品の長さと実質的に同一の広がりがある、請求項18に記載の進入装置。
【請求項20】
前記観察用空間の軸方向長さは、前記医療用品の長さよりも実質的に短い、請求項18に記載の進入装置。
【請求項21】
針本体を有している針、
前記針本体に対して同軸に配置され、かつ、拡張器シャフトを有している拡張器、
案内用ワイヤ、および
この案内用ワイヤと前記針および前記拡張器のうちの少なくとも一方との間の連結装置
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項22】
前記連結装置は、前記案内用ワイヤをこの進入装置へ保持するように構成されている、請求項21に記載の進入装置。
【請求項23】
前記拡張器に対して同軸に配置された医療用品をさらに備えている、請求項21に記載の進入装置。
【請求項24】
前記連結装置は、前記案内用ワイヤを前記針および前記拡張器のうちの少なくとも一方の少なくとも1つの区域へ連結するアタッチメントを備えている、請求項21に記載の進入装置。
【請求項25】
前記1つの区域は、前記針本体における表面である、請求項24に記載の進入装置。
【請求項26】
前記針は、針ハブを含み、前記1つの区域は、その針ハブにおける表面である、請求項24に記載の進入装置。
【請求項27】
前記拡張器は、拡張器ハブを含み、前記1つの区域は、その拡張器ハブにおける表面である、請求項24に記載の進入装置。
【請求項28】
前記アタッチメントは、前記案内用ワイヤを少なくとも2つの区域へ連結し、これら2つの区域は、前記針、前記拡張器、および前記針の一方の表面と、前記拡張器の表面とである、請求項24に記載の進入装置。
【請求項29】
前記アタッチメントは、前記案内用ワイヤが、前記針本体に対して軸方向に移動するときに少なくとも1つの方向に移動の全域を有しないように、前記案内用ワイヤに対して配置されている、請求項24に記載の進入装置。
【請求項30】
前記アタッチメントは、前記案内用ワイヤが前記針本体の中へ完全に引き込まれるのを防止するために、前記案内用ワイヤが近位方向に移動するのが制限されるように、前記案内用ワイヤに対して配置されている、請求項24に記載の進入装置。
【請求項31】
前記アタッチメントは、前記案内用ワイヤが前記針本体から完全に出るのを防止するために、前記案内用ワイヤが遠位方向に移動するのが制限されるように、前記案内用ワイヤに対して配置されている、請求項24に記載の進入装置。
【請求項32】
前記アタッチメントは、前記針先端を越える前記案内用ワイヤの最小長さを維持するために、前記案内用ワイヤが遠位方向に移動するのが制限されるように、前記案内用ワイヤに対して配置されている、請求項24に記載の進入装置。
【請求項33】
針本体を有している針、
前記針本体に対して同軸に配置された拡張器、
ロック状態とロック解除状態との間で移動するように構成されたロック部材であって、このロック部材は、このロック部材が少なくともロック状態にあるときに、前記針の少なくとも一部分と前記拡張器の少なくとも一部分との間における少なくとも相対軸方向移動を阻止するように、前記針を前記拡張器へ連結しているロック部材、
前記針本体の少なくとも一部分の内部に同軸に配置されるように構成された案内用ワイヤ、および
前記ロック部材を前記ロック状態から前記ロック解除状態まで少なくとも移動させるように、前記ロック部材に係合するように構成された解除部材
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項34】
前記案内用ワイヤは、前記解除部材が移動して前記ロック部材に係合して、前記ロック部材を前記係合解除状態へ移動させると、前記案内用ワイヤが前記解除部材とともに同時に移動するように、前記解除部材へ取り付けられている、請求項33に記載の進入装置。
【請求項35】
前記案内用ワイヤは、前記解除部材が前記ロック部材に係合して、前記ロック部材を前記係合解除状態へ移動させると、前記案内用ワイヤの少なくとも一部分と前記針および前記拡張器の少なくとも一方との間の少なくとも相対回転移動が阻止されるように、前記解除部材へ取り付けられている、請求項33に記載の進入装置。
【請求項36】
前記ロック部材は、前記針へ取り付けられ、かつ、前記拡張器へ取り外し可能に取り付けられている、請求項33に記載の進入装置。
【請求項37】
前記ロック部材は、前記拡張器へ取り付けられ、かつ、前記針へ取り外し可能に取り付けられている、請求項33に記載の進入装置。
【請求項38】
前記針および前記拡張器のそれぞれは、ハブを備えており、前記ロック部材は、これらのハブを連結している、請求項33に記載の進入装置。
【請求項39】
案内用ワイヤを進入装置へロックする方法であって、この方法は、
針の少なくとも一部分と拡張器の少なくとも一部分との間における少なくとも相対軸方向移動を阻止するように、前記拡張器を前記針へ解除可能にロックするステップ、
解除部材とこの解除部材へ取り付けられている案内用ワイヤとをロックされた前記拡張器および前記針に対して遠位方向にスライドさせるステップ、および
前記拡張器を前記針からロック解除して、前記案内用ワイヤの少なくとも一部分と前記針の少なくとも一部分との間における少なくとも相対軸方向移動を阻止するように、前記解除部材を、前記拡張器および前記針の少なくとも一方に係合させるステップ
を含んでいる方法。
【請求項40】
前記拡張器を前記針に対して遠位方向に推進させるステップをさらに含んでいる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
針本体を有している針、
前記針本体に対して同軸に配置され、かつ、拡張器シャフトを有している拡張器、
案内用ワイヤ、および
前記案内ワイヤと前記針および前記拡張器の少なくとも一方との間に配置された1つ以上の止め部
を備えてなる、医療用品を身体空間の内部へ配置するための進入装置。
【請求項42】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤの最小円周よりも大きい最大円周を有している、請求項41に記載の進入装置。
【請求項43】
前記1つ以上の止め部は、シリコーンからなっている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項44】
前記1つ以上の止め部は、概ね丸みを帯びた形状を有している、請求項41に記載の進入装置。
【請求項45】
前記1つ以上の止め部は、少なくとも前記案内用ワイヤが遠位方向にスライドしたときに、前記針本体における内面に接する、請求項41に記載の進入装置。
【請求項46】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤを前記針および前記拡張器の一方の少なくともある区域へ連結するように配置されている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項47】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤが前記針本体に対して軸方向に移動するときに少なくとも1つの方向に移動の全域を有しないように、前記案内用ワイヤの表面に配置されている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項48】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤが前記針本体の中へ完全に引き込まれるのを防止するために、前記案内用ワイヤが近位方向に移動するのが制限されるように、前記案内用ワイヤの表面に配置されている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項49】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤが前記針本体から完全に出るのを防止するために、前記案内用ワイヤが遠位方向に移動するのが制限されるように、前記案内用ワイヤの表面に配置されている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項50】
前記1つ以上の止め部は、前記針の先端を越える前記案内用ワイヤの最小長さを維持するために、前記案内用ワイヤが遠位方向に移動するのが制限されるように、前記案内用ワイヤの表面に配置されている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項51】
前記拡張器に対して同軸に配置された医療用品をさらに備えている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項52】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤへ取り付けられている、請求項41に記載の進入装置。
【請求項53】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤの長さに沿って移動可能である、請求項52に記載の進入装置。
【請求項54】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤの長さに沿って移動するのが阻止されている、請求項52に記載の進入装置。
【請求項55】
前記1つ以上の止め部と前記案内用ワイヤとの間に干渉嵌合が存在している、請求項52に記載の進入装置。
【請求項56】
前記1つ以上の止め部と前記案内用ワイヤとの間に摩擦嵌合が存在している、請求項52に記載の進入装置。
【請求項57】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤへ機構的に連結されている、請求項52に記載の進入装置。
【請求項58】
前記1つ以上の止め部は、前記案内用ワイヤへ接着されている、請求項52に記載の進入装置。



【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2010−524586(P2010−524586A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504295(P2010−504295)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060914
【国際公開番号】WO2008/131289
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(507324142)アクセス サイエンティフィック、インク. (7)
【Fターム(参考)】