遅延ダイバーシティと空間−周波数ダイバーシティによる送信方法
【課題】小さな遅延CDDコードワード循環方法と小さな遅延及び大きい遅延のCDDの相異な再転送の間のコードワード循環方法とを含む開ループソリューションを提案する。また、SFBC+FSTD方式とSFBC+FSTD基盤のHARQへの拡張のための開ループコードワード循環方法を提案する。
【解決手段】一方法において、複数の情報ビットは複数の変調シンボルを生成するようにコーディング、スクランブル、及び変調される。複数の変調シンボルは転送資源の少なくとも1つの転送階層で副搬送波とマッピングされる。変調シンボルは複数のプリコーディングされたシンボルを生成するように循環式遅延ダイバーシティ用行列と一定なコードブックからのコードワードセットを用いてプリコーディングされる。コードワードは一定な個数の副搬送波毎に循環される。プリコーディングされたシンボルは複数の送信アンテナを介して送信される。
【解決手段】一方法において、複数の情報ビットは複数の変調シンボルを生成するようにコーディング、スクランブル、及び変調される。複数の変調シンボルは転送資源の少なくとも1つの転送階層で副搬送波とマッピングされる。変調シンボルは複数のプリコーディングされたシンボルを生成するように循環式遅延ダイバーシティ用行列と一定なコードブックからのコードワードセットを用いてプリコーディングされる。コードワードは一定な個数の副搬送波毎に循環される。プリコーディングされたシンボルは複数の送信アンテナを介して送信される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遅延ダイバーシティと空間周波数ダイバーシティを用いて信号を送信する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、参照用として、非特許文献1乃至非特許文献5を含み、このような公開物の写しは本明細書に添付されて本出願の一部となる。
【0003】
典型的なセルラー無線システムは、多数の固定基地局と多数の移動局を含んでいる。各基地局はセルとして定義される地理的領域をカバーする。
典型的に、非視線(NLOS)無線伝播経路は、基地局と移動局との間に置かれた自然的な物体及び人工物体により移動局と基地局との間で存在する。結果的に、無線波は、反射、回折、及び散乱を経験しながら伝播される。ダウンリンク方向で移動局のアンテナに到達するか、アップリンク方向で基地局のアンテナに到達する無線波は、反射、回折、散乱、及び外れた位相の再結合により発生する個別波長の互いに異なる位相のため、建設的な付加及び破壊的な付加を経験するようになる。これは、典型的に現在のセルラー無線通信で使われる高い搬送波周波数で伝播遅延の小さな変化が個別波形の位相を格段に変化させるという事実に起因する。移動局が移動中である場合または散乱環境に変化がある場合に、合成受信信号の振幅及び位相での空間偏差は多重経路受信によるレイリーフェーディング(Rayleigh fading)または高速フェーディングと知られた時間偏差であることを自ら証明するようになる。無線チャンネルの時変特性は、好ましいビットエラーあるいはパケットエラー信頼度を提供するように極めて高い信号−対−雑音比(SNR)を要求する。
【0004】
ダイバーシティ方法は、同一情報保持信号の多数のフェーディング複製物を受信機に提供することで、高速フェーディング効果の解消に広く使われている。
ダイバーシティ方法は、一般的に空間、角度、偏光、フィールド、周波数、時間、及び多重経路ダイバーシティのカテゴリーに分けられる。空間ダイバーシティは、多数の送信アンテナまたは受信アンテナを使用することによって達成可能である。ダイバーシティブランチ、即ち多数のアンテナから送信された信号が殆ど相関されないままにフェーディングを経験するように、多数のアンテナの間の空間分離が選択される。空間ダイバーシティの一種である送信ダイバーシティは、同一信号の多数の相関されない複製物を受信機に提供するように多数の送信アンテナを使用する。送信ダイバーシティ方法は、開ループ送信ダイバーシティ方法と閉ループ送信ダイバーシティ方法に更に分けられることができる。開ループ送信ダイバーシティ方式では、受信機からの如何なる帰還も要求されない。ある種の閉ループ送信ダイバーシティでは、受信機は送信機アンテナ構成を知っており、受信機で受信された信号電力の最大化のために送信機アンテナに適用されるべき振幅と位相調整を計算する。選択送信ダイバーシティ(STD)と称される別の閉ループ送信ダイバーティー構成では、受信機は送信に使われるアンテナに関する帰還情報を送信機に提供する。
【0005】
循環式遅延ダイバーシティ(CDD)は、OFDM−基盤情報通信システムで使われるダイバーシティ方式であって、空間ダイバーシティをシンボル間干渉を防止する周波数ダイバーシティに変換する。
第3世代パートナーシッププロジェクト(the 3rd Generation Partnership Project;3GPP)寄稿文R1−072633、TS 36.211バージョン1.1.0(非特許文献3)はPMI(Precoder Matrix Indication)フィードバックを要求するCDDプリコーダ構造を提案した。また、TS 36.211バージョン1.1.0で説明されたCDDにおいて、開ループ(大きい遅延)及び閉ループ(小さな遅延)構造は互いに異なる。互いに異なるプリコーダ値を用いることで、開ループと閉ループ全てのための1つの構造を持つことが好ましい。このような2つの構造はフルランクの場合やプリコーダ行列が恒等行列の場合に同一である。閉ループ構造はフルランク場合の以下で如何なるPMIも利用できない場合に対してソリューションがない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】"High Delay CDD in Rank Adapted Spatial Multiplexing Mode for LTE DL", 3GPP RAN1 contribution R1-072461, May 2007, Kobe, Japan
【非特許文献2】"CDD precoding for 4 Tx antennas", 3GPP RAN1 contribution R1-072019, May 2007, Kobe, Japan
【非特許文献3】"Physical Channels and Modulation", 3GPP TS 36.211, v 1.1.0
【非特許文献4】"Text Proposal for 36.211 regarding CDD Design", 3GPP RAN1 contribution R1-073096, June 2007, Orlando, USA
【非特許文献5】"Physical Channels and Modulation", 3GPP TS 36.211, v 8.2.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、信号送信のための改善された方法と装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、転送中に大きい遅延CDDと小さな遅延CDDダイバーシティ方法両方との両方に適用可能な改善された開ループプリコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、複数の情報ビットは複数の変調シンボルを生成するためにコーディングされ、スクランブルされて変調される。このような複数の変調シンボルは転送資源の少なくとも1つの転送階層で副搬送波とマッピングされる。以後、このような変調シンボルは複数のプリコーディングされたシンボルを生成するために、循環式遅延ダイバーシティ用行列と一定なコードブックからのコードワードセットを用いてプリコーディングされる。コードワードは一定な個数の副搬送波毎に循環される。最後に、プリコーディングされたシンボルは複数の送信アンテナを介して送信される。
【0009】
大きい遅延CDDの場合に、i番目副搬送波に対応するプリコーディングされたシンボルは:
y(i)=W(i)・D(i)・U・x(i)
x(i)はi番目副搬送波に対応する変調シンボルブロックであり、x(i)=[x(0)(i)…x(υ−1)(i)]T、υは転送階層の個数であり、Uは一定な固定型行列であり、Uの要素はUmn=e−j2πmn/υにより設定され(ここで、m=0,1,…,υ−1であり、n=0,1,…,υ−1である)、D(i)は大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートする対角行列である。
【0010】
小さな遅延CDDの場合に、i番目副搬送波に対応するプリコーディングされたシンボルは:
y(i)=D(i)・W(i)・x(i)
ここで、D(i)は小さな遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートする対角行列である。
【0011】
小さな遅延CDDと大きい遅延CDDの全ての場合に、i番目サブキャリヤに対応するプリコーディングされたシンボルは:
y(i)=D(i)・W(i)・C(i)・x(i)
ここで、D(i)は小さな遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートする第1対角行列であり、C(i)は大きい遅延循環式遅延ダイバーシティをサポートする第2対角行列である。
【0012】
値qは1と一致したり、転送ランクに一致したり、または12mに一致することがあり、ここでmは正の整数である。
コードワードセットは一定なコードブックの全てのコードワードを含むことができる。代案的に、コードワードセットは一定なコードブックのコードワードサブセットを含むこともできる。
【0013】
本発明の他の態様によれば、複数の情報ビットは複数の変調シンボルを生成するようにコーディングされ、スクランブルされて変調される。このような複数の変調シンボルは転送資源の少なくとも1つの転送階層で副搬送波とマッピングされる。マッピングされたシンボルは循環式遅延ダイバーシティ用行列を利用し、相異な再転送に対して互いに異なるコードワードを適用することによって繰り返してプリコーディングされ、複数のアンテナを介して送信される。
【0014】
本発明の更に他の態様によれば、送信される4個のシンボルはランク−2空間周波数ブロックシンボルを生成するために、ランク−2空間周波数ブロックコードを用いてコーディングされる。以後、シンボルブロックは複数のプリコーディングされたシンボルを生成するために、循環式遅延ダイバーシティ用行列と一定なコードブックからのコードワードセットを用いてプリコーディングされる。このようなコードワードは一定な個数の副搬送波毎に循環される。最後に、プリコーディングされたシンボルは複数のアンテナを介して送信される。
【0015】
本発明の更に他の態様によれば、送信される4個のシンボルはランク−2空間周波数ブロックシンボルを生成するように、ランク−2空間周波数ブロックコードを用いてコーディングされる。シンボルのブロックは循環式遅延ダイバーシティ用行列を利用し、相異な再転送のための互いに異なるコードワードを適用することによって繰り返してプリコーディングされ、複数のアンテナを介して送信される。
【0016】
本発明の追加的な態様によれば、送信される4個のシンボルは2つの転送行列を生成するようにコーディングされる。2つの転送行列T1及びT2は、次の通りである。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、Tijはi番目アンテナとj番目副搬送波を通じて送信されるシンボルを表す。周波数ドメインで2つの転送行列T1及びT2を交互に適用することによって、このような4個のシンボルは4個のアンテナを介して繰り返して転送される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の原理を適切に実施するための直交周波数分割多重接続(OFDM)送受信チェーンを概略的に示す図である。
【図2A】OFDMシステムにおける周波数−選択多重−ユーザスケジューリング、及び周波数ダイバーシティに対する2つの方式の副搬送波割当を概略的に示す図である。
【図2B】OFDMシステムにおける周波数−選択多重−ユーザスケジューリング、及び周波数ダイバーシティに対する2つの方式の副搬送波割当を概略的に示す図である。
【図3】多重入力/多重出力(MIMO)システムにおける送信及び受信方式を概略的に示す図である。
【図4A】MIMOシステムにおけるプリコーディング方式を概略的に示す図である。
【図4B】MIMOシステムにおけるプリコーディング方式を概略的に示す図である。
【図5A】受信機でプリコーディングされた信号を処理する方式を概略的に示す図である。
【図5B】受信機でプリコーディングされた信号を処理する方式を概略的に示す図である。
【図6A】副搬送波に位相遷移を適用する2つの方式を示す図である。
【図6B】副搬送波に位相遷移を適用する2つの方式を示す図である。
【図7】循環式遅延ダイバーシティプリコーディング方式を概略的に示す図である。
【図8】本発明の原理に従う一実施形態として、ハイブリッド自動反復及び要請(HARQ)の相異な再転送において、互いに異なるコードワードを用いた場合を概略的に示す図である。
【図9】本発明の原理に従う他の実施形態において、ランク−2空間周波数ブロックコードをプリコーディングする方式を概略的に示す図である。
【図10】本発明の原理に従う他の実施形態として、HARQ方式の相異な再転送において、互いに異なるコードワードを適用することによって、ランク−2空間周波数ブロックコードをプリコーディングする方式を概略的に示す図である。
【図11】本発明の原理に従う更に他の実施形態として、周波数転換型送信ダイバーシティ(FSTD)と結合された空間周波数ブロックコード(SFBC)用アンテナとシンボルのマッピングを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のより完全な理解及び伴われる種々の利点は、添付の図面を参照して下記の詳細な説明から明らかとなる。図面の同一の参照符号は、同一または類似の構成要素を表す。
【0021】
図1は、直交周波数分割多重接続(OFDM)送受信機チェーンを図示する。OFDM技術を用いた通信システムの送信機チェーン110において、制御信号あるいはデータ111は変調器112により一連の変調シンボルに変調され、以後、一連の変調シンボルは直列/並列(S/P)変換器113により直列から並列に変換される。逆高速フーリエ変換器(IFFT)114は、周波数ドメイン信号を時間ドメインの複数のOFDMシンボルへの転送に使われる。循環プリフィクス(CP)またはゼロプリフィクス(ZP)がCP挿入器116により各OFDMシンボルに追加されて多重経路フェーディングによる影響を防止または緩和させる。結果的に、信号はアンテナ(図示せず)や代案的に固定型ワイヤーや、あるいはケーブルなどの送信機(Tx)フロントエンド処理器117により送信される。完全な時間及び周波数同期化の達成を仮定する受信機チェーン120において、受信機(Rx)フロントエンド処理器121により受信された信号はCP除去器122により処理される。高速フーリエ変換器(FFT)124は、時間ドメインで受信された信号を後続処理のために周波数ドメインに変換する。
【0022】
OFDMシステムの全帯域幅は、副搬送波と呼ばれる狭帯域周波数単位に分かれる。副搬送波の個数はOFDMシステムで使われるFFT/IFFTサイズNと一致する。一般的に、データで使われる副搬送波の個数はN個以下であるが、周波数スペクトルの縁の一部副搬送波が保護副搬送波として保有されるためである。一般的に、保護副搬送波の上にはどんな情報も送信できない。
通信リンクにおいて、多重−経路チャンネルは周波数−選択性フェーディングを発生させる。また、移動通信無線環境で、チャンネルは時変フェーディング(time-varying fading)を発生させる。したがって、OFDM基盤の接続を用いた無線移動通信システムにおいて、全システム性能及び効率は時間ドメインスケジューリングの以外に、周波数−選択性多重−ユーザスケジューリングを用いることにより改善可能である。時変周波数−選択性移動通信無線チャンネルにおいて、副搬送波に亘って情報を拡散し、及び/またはコーディングすることで、チャンネル信頼度の改善も可能である。
【0023】
周波数−選択性多重−ユーザスケジューリングの場合に、潜在的にアップフェード(upfade)を経験する連続的な副搬送波セットがユーザに対する転送のために割り当てられる。全帯域幅は図2Aで図示されたように、多数の連続した副搬送波をグループ化したサブ帯域に分かれるが、ここで、副搬送波f1、f2、f3、及びf4は周波数−選択性多重−ユーザスケジューリングモードでユーザに送信のためのサブ帯域にグループ化される。しかしながら、周波数−ダイバーシティ送信の場合に、このような割り当てられた副搬送波は好ましく全スペクトルに亘って均一に分布する。図2Bに図示されたように、副搬送波f1、f5、f9、及びf13は送信のためにサブ帯域にグループ化される。周波数−選択性多重−ユーザスケジューリングは、一般的にチャンネル品質が追跡される低移動性ユーザに有益である。しかしながら、チャンネル品質は一般的にチャンネル品質フィードバック遅延により高移動性ユーザに対して(特に、ダウンリンクとアップリンクとの間のフェーディングが独立的な周波数−分割−デュプレックスシステムで)追跡されず、したがって周波数ダイバーシティ送信モードが好ましい。
【0024】
多重入力多重出力(MIMO)方式は、多重送信アンテナと多重受信アンテナを使用して無線通信チャンネルの性能と信頼度を改善する。MIMOシステムは、K性能の線形的な増加を保証するが、ここでKは最小送信(M)及び最小受信(N)アンテナ個数である。即ち、K=min(M,N)となる。4×4MIMOシステムの簡略化した例が図3に図示される。本例において、4個の異なるデータストリームは4個の送信アンテナから個別的に転送される。送信信号は4個の受信アンテナで受信される。一部形態の空間信号処理が4個のデータストリームを復元するために受信信号に対して遂行される。空間信号処理の例は、V−BLAST(vertical Bell Laboratories Layered Space-Time)であるが、これは送信データフレームを復元するために連続的な干渉消去原理を用いる。他の形態のMIMO方式は、送信アンテナに亘って一種の空間−時間コーディングを遂行する方式(例えば、diagonal Bell Laboratories Layered Space-Time(D−BLAST))及び空間分割多重接続(SDMA)などのビーム形成方式を含む。
MIMOチャンネル推定は、各送信アンテナから各受信アンテナへのリンクに対するチャンネル利得と位相情報を推定することによりなされる。したがって、M×N MIMOシステムのチャンネルはN×M行列からなる。
【0025】
【数2】
【0026】
ここで、aijは送信アンテナjから受信アンテナiへのチャンネル利得を表す。MIMOチャンネル行列要素の推定のために、個別パイロットが各送信アンテナから送信される。
データストリームを物理的アンテナにマッピングする以前に単位プリコーディングを用いる選択的なプリコーディングプロトコルが図5A及び5Bに図示される。選択的なプリコーディングは、プリコーディング以前に仮想アンテナ(VA)171セットを生成する。この場合に、各コードワードは潜在的に全ての物理的送信アンテナ172を介して送信される。2つの送信アンテナ172の場合に単位プリコーディング行列の2つの例P1及びP2は、次の通りである。
【0027】
【数3】
【0028】
変調シンボルS1及びS2が所定の時間に各々第1ストリームと第2ストリームを通じて送信されることと仮定する。以後、図5Aに図示された例における行列P1にプリコーディングされた以後の変調シンボルT1と、図5Bに図示された例における行列P2にプリコーディングされた以後の変調シンボルT2は、各々次の通り記録される。
【0029】
【数4】
【0030】
したがって、シンボル
【数5】
は、図4Aに図示されたようなプリコーディング行列(P1)を用いてプリコーディングが遂行された時に各々第1アンテナと第2アンテナとを介して送信される。同様に、シンボル
【数6】
は、図4Bに図示されたようなプリコーディング行列P2を用いてプリコーディングが遂行された時に各々第1アンテナと第2アンテナとを介して送信される。プリコーディングは図4A及び4Bに例示されたように、IFFT演算の以前のOFDM副搬送波レベルで遂行されることに留意されたい。
プリコーディングされたMIMOシステムにおいて、逆演算が送信シンボルを復元するために受信機で遂行される。受信信号は逆プリコーディング行列と掛けられる。逆プリコーディング行列は、次の通りである。
【0031】
【数7】
【0032】
逆単位プリコーディング行列は単純にプリ−コーディング行列の複素共役転置を遂行することによって獲得可能であるということに留意されたい。送信シンボルは受信シンボルベクトルと逆プリコーディング行列を乗算することによって、デコーディングされる。したがって、送信シンボルは次の通り提供される。
【0033】
【数8】
【0034】
ダウンリンク物理チャンネルは、上位階層から起源した情報を運搬するリソースエレメントセットに対応する。まず、複数の情報ビットが複数のコードワードでコーディングされて複数のブロックを生成する。物理チャンネルのダウンリンク送信において、各コードワード(q)のビットブロック
【数9】
は変調の以前にスクランブルされ、スクランブルビットブロック
【数10】
を発生させる。ここで、
【数11】
は物理ダウンリンクチャンネルを介して送信されるコードワード(q)のビット個数である。2つまでのコードワードが1つのサブフレームで送信される。即ち、q∈{0,1}の以後、各コードワードqに対するスクランブルビットブロック
【数12】
は直交位相−遷移方式(QPSK)、16次直交振幅変調(16QAM)、あるいは64次直交振幅変調(64QAM)を用いて変調され、複素値変調シンボルブロック
【数13】
を発生させる。送信される各コードワードに対する複素値変調シンボルは1つ以上の転送階層でマッピングされる。コードワード(q)に対する複素値変調シンボル
【数14】
は3GPP TS 36.211のセクション5.3.3で説明された一定なコードワード−対−階層マッピング方式に従って階層x(i)=[x(0)(i)…x(υ−1)(i)]Tでマッピングされるが、ここでυは階層の個数である。次に、階層マッピングからのベクトルブロックx(i)=[x(0)(i)…x(υ−1)(i)]Tはベクトルブロックy(i)=[y(0)(i)…y(p−1)(i)]Tを生成するようにプリコーディングされ、ここでPはアンテナポートの個数であり、転送ランクρと等しいかそれ以上である。複素値シンボルブロック
【数15】
は、まずインデックスkと以後のインデックスlの昇順で、他の目的に使われないアンテナポートp上のリソースエレメント(k,l)とマッピングされる。
【0035】
ここまで送信ダイバーシティとMIMO空間多重化両方共に適用されるプリコーディング方式を説明した。合成プリコーダは循環式遅延ダイバーシティなどの送信ダイバーシティ方式を表す他の単位プリコーダと掛けられるフーリエマトリックスプリコーダのような単位プリコーダに基づいて構成される。また、本発明の原理は非−単位プリコーディングやフーリエマトリックスプリコーダの以外の単位プリコーダの場合に適用されることに留意されたい。
フーリエマトリックスは、次の通りエントリーを持つN×N正方行列である。
PN=ej2πmn/N m,n=0,1,…(N−1) (6)
例えば、2×2フーリエマトリックスは、次の通り表現可能である。
【0036】
【数16】
【0037】
同様に、4×4フーリエマトリックスは、次の通り表現可能である。
【0038】
【数17】
【0039】
多重フーリエマトリックスは、フーリエマトリックスでシフトパラメータ(g/G)を導入することによって定義できる。多重フーリエマトリックスのエントリーは次の通り提供される。
【0040】
【数18】
【0041】
4個の2×2フーリエマトリックスセットは、G=4及びg=0、1、2、及び3を取ることによって定義され、次の通り記録される。
【0042】
【数19】
【0043】
循環式遅延ダイバーシティ方式は、i番目送信アンテナから送信された副搬送波kに適用された位相遷移
【数20】
により周波数ドメインで遂行可能である。角度φiは次の通り提供される。
【0044】
【数21】
【0045】
ここで、Diはi番目アンテナから適用されたサンプルにおける循環式遅延である。他の関数が周波数ドメイン位相遷移を導出することに使用できることに留意されたい。位相遷移は1グループの副搬送波に対して一定に維持される。図6Aに図示されたように、位相遷移φ1はサブ帯域(SB)1に亘って一定であり、φ2はSB2に亘って一定である。また、各グループの副搬送波毎に位相遷移を異にすることができる。図6Bに図示されたように、位相遷移は第1副搬送波から第512副搬送波に周波数範囲に亘って2π/N乃至2πに変わる。
循環式遅延ダイバーシティは、4個の送信アンテナの場合に、下記のプリコーディング行列でプリコーディングできる。
【0046】
【数22】
【0047】
図7は、上記プリコーディング行列を用いたCDDプリコーディング方式が提供された送信機を概略的に例示する。アンテナと周波数(副搬送波)従属位相遷移を持つ同一シンボルが多重アンテナから送信されることに留意されたい。第1アンテナから送信されたシンボルにはどんな位相遷移が適用されない。
【0048】
2007年6月米国、オーランドで公表された3GPP RAN1寄稿文 R1−073096“CDD設計に関する36.211用テキスト提案”(非特許文献4)では、小さな遅延CDDと大きい遅延CDDとの両方を含む共同提案が提示される。
ゼロ−遅延及び小さな−遅延CDDで、空間多重化のためのプリコーディングは、下記の式により遂行される。
y(i)=D(i)・W(i)・x(i) (13)
ここで、プリコーディング行列W(i)はP×υのサイズであり、Pはアンテナポートの個数であり、υは階層の個数であり、行列D(i)は小さな、またはゼロ循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、そして行列x(i)はi番目副搬送波を通じて送信される信号を表示する。ここで、x(i)=[x(0)(i)…x(υ−1)(i)]Tであり、x(j)(i)はj番目階層でi番目副搬送波を通じて送信される信号を表示する。行列D(i)は<表1>から選択され、ユーザ装置(UE)−特定値δは上位階層によりUE及びノードB(即ち、基地局)で半静的に(semi-statically)構成される。<表1>の数量ηは集合{128,256,512,1024,2048}からの最小数字であり、従って
【数23】
であり、ここではダウンリンク帯域幅での副搬送波の個数である。
【0049】
【表1】
【0050】
このような値は送信ダイバーシティが送信ランク1から構成されない時のみに適用されることに留意する。
空間多重化において、W(i)値はノードBとUEで構成されたコードブックでのプリコーダ要素の中から選択される。ノードBはコードブックサブセット制限を用いてUEのプリコーダ選択をコードブック要素のサブセットに更に限定する。TS 36.211、バージョン1.1.0によれば、このように構成されたコードブックは、<表2>と一致するようになる。階層の個数υは空間多重化の場合に転送ランクρと一致されることに留意する。
【0051】
【表2】
【0052】
TS 36.211、バージョン8.2.0によれば、2つのアンテナポートp∈{0,1}を介した送信の場合に、ゼロ遅延、小さな遅延、及び大きい遅延CDDのためのプリコーディング行列W(i)は<表3>やそのサブセットから選択される。
【0053】
【表3】
【0054】
4個のアンテナポートp∈{0,1,2,3}を介した送信において、ゼロ遅延CDD、小さい遅延CDD、及び大きい遅延CDDのためのプリコーディング行列Wは<表4>またはそのサブセットから選択される。数量
【数24】
は式
【数25】
からの集合{s}により提供されたコラムにより定義された行列を表し、ここでIは4×4恒等行列であり、ベクトルunは<表4>により提供される。
【0055】
【表4】
【0056】
大きい遅延CDDにおいて、空間多重化のためのプリコーディングは、下記の式により遂行される。
y(i)=W(i)・D(i)・U・x(i) (14)
ここで、プリコーディング行列W(i)はP×υのサイズであり、Pはアンテナポートの個数であり、υは階層の個数であり、数量D(i)は大きい循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、Uは固定型行列である。行列UとD(i)のサイズはυ×υである。固定型行列Uの要素はUmn=e−j2πmn/υと定義され、ここでm=0,1,…,υ−1であり、n=0,1,…,υ−1である。TS 36.211、バージョン1.1.0によれば、行列D(i)は<表5>から選択される。
【0057】
【表5】
【0058】
<表1>の値δと表5の値δとは同一でないことに留意されたい。
TS 36.211、バージョン8.2.0によれば、行列UとD(i)は<表6>から選択される。
【0059】
【表6】
【0060】
空間多重化に対し、W(i)の値はノードBとUEに構成されたコードブックのプリコーダ要素から選択される。ノードBはコードブックサブセット制限を用いてUEのプリコーダ選択をコードブック要素のサブセットに更に限定する。構成されたコードブックは<表3>及び<表4>に一致する。階層の個数υは空間多重化の場合に転送ランクρと一致するようになることに留意されたい。
さらに、大きい遅延での式y(i)=D(i)・W(i)・U・x(i)に対するコードワード循環方法が提案され、W(i)は2つのアンテナポートに対する<表3>のコードブックと4個のアンテナポートに対する<表4>のコードブック、あるいはコードブックサブセットでのコードワードのうちの1つとして循環式で選択される。コードワードは、毎副搬送波、あるいは毎ν個の副搬送波毎に変更されるものであることが提案され、ここでνは転送ランクである。
【0061】
本発明の原理に従う第1実施形態において、毎資源ブロック(RB)毎に、あるいはRBの毎整数個数毎に大きい遅延CDD方法y(i)=W(i)・D(i)・U・x(i)でコードワード循環を遂行することと提案する。LTEシステムにおいて、1つのRBは12つの副搬送波から構成される。したがって、コードワードW(i)はW(i)=Ckに従って選択され、ここでkは下記の通りである。
【0062】
【数26】
【0063】
または、より簡潔には
【数27】
である。ここで、m>0は負でない整数であり、12はRFでの副搬送波の個数である。さらに、Ckは2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義された単一−ユーザMIMO(SU−MIMO)プリコーディングコードブックのk番目のコードワードを表し、Nはコードブックサイズあるいはサブセットのサイズである。また、mod(x)はモジュロ演算であり、
【数28】
はシーリング演算(ceiling operation)であることに留意されたい。
【0064】
本発明の原理に従う第2実施形態において、毎q個の副搬送波毎に小さな遅延CDD方法y(i)=D(i)・W(i)・x(i)でコードワード循環を遂行することと提案する。したがって、コードワードW(i)はW(i)=Ckに従って選択され、ここでkは下記の通りである。
【0065】
【数29】
【0066】
または、より簡潔には
【数30】
である。ここで、q>0は任意の負でない整数である。q値の例はq=1またはq=υであり、ここでυは転送ランクである。または、q=12m(毎m個のRB循環)であり、ここでm>0は負でない整数であり、12はRBで副搬送波の個数である。さらに、Ckは2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義された単一−ユーザMIMO(SU−MIMO)プリコーディングコードブックのk番目のコードワードを表し、Nはコードブックサイズ、あるいはサブセットのサイズである。また、mod(x)はモジュロ演算であり、
【数31】
はシーリング演算であることに留意されたい。
【0067】
本発明の原理に従う第3実施形態において、毎q個の副搬送波毎に下記のような均一で、かつ小さな遅延と大きい遅延のCDD方法におけるコードワード循環を遂行することを提案する。
y(i)=D(i)・W(i)・C(i)・x(i) (17)
上記の式において、D(i)は小さな遅延CDD動作をサポートするための対角行列を表し、D(i)はi番目副搬送波のために<表1>から選択され、C(i)はi番目副搬送波に対する大きい遅延CDD動作を表し、C(i)=D´(i)・Uであり、ここでD´(i)は大きい遅延CDD動作をサポートするための対角行列であり、Uは固定型行列である。行列D´(i)と
のサイズはυ×υであり、これらは<表6>から選択される。したがって、コードワードW(i)はW(i)=Ckに従って選択され、kは下記の通りである。
【0068】
【数32】
【0069】
または、より簡潔には
【数33】
である。ここで、q>0は任意の負でない整数である。q値の例はq=1またはq=υであり、ここでυは転送ランクである。または、q=12m(毎m個のRB循環)であり、ここでm>0は負でない整数であり、12はRBで副搬送波の個数である。さらに、Ckは2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義された単一−ユーザMIMO(SU−MIMO)プリコーディングコードブックのk番目のコードワードを表し、Nはコードブックサイズあるいはサブセットのサイズである。また、mod(x)はモジュロ演算であり、
【数34】
はシーリング演算(ceiling operation)であることに留意されたい。
【0070】
本発明の原理に従う第4実施形態において、小さな−遅延CDD方法y(i)=D(i)・W(i)・x(i)、または大きい遅延方法y(i)=W(i)・D(i)・U・x(i)、均一な小さい−大きい遅延方法y(i)=D(i)・W(i)・C(i)・x(i)を用いるハイブリッド自動反復−要請(HARQ)システムにおける相異する再転送に対し、互いに異なるコードワードを適用することを提案する。HARQシステムでT回の再転送があり、このようなT回の再転送に使われるコードワードはW1(i),W2(i),…,WT(i)である。各再転送のための送信信号は、次の通りである。
小さい遅延CDDの場合に、yt(i)=D(i)・Wt(i)・x(i) (19)
大きい遅延CDDの場合に、yt(i)=Wt(i)・D(i)・U・x(i) (20)
均一な小さな遅延と大きい遅延CDDの場合に、yt(i)=D(i)・Wt(i)・C(i)・x(i) (21)
【0071】
さらに、t=1,…,Tで
【数35】
であり、ここで
【数36】
は2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義されたプリコーディングコードブックのコードブックでk番目のコードワードを表し、また
【数37】
の選択が各再転送と関係がなく、即ちt番目の再転送に対して
【数38】
は以前の転送でどのコードワードが使われたかに関わらず、任意のN個のコードワードになることができるように、このようなコードワードを選択するように提案する。図8は、互いに異なるコードワードが相異な再転送で使われる方法を例示する。
【0072】
本発明の原理に従う第5実施形態において、下記のようなランク−2空間周波数ブロックコード(SFBC)ブロックの出力において、行列W(i)により表示されるプリコーディング過程(ここで、iは副搬送波インデックスである)を追加することを提案する。
【0073】
【数39】
【0074】
このように、プリコーディングされたランク−2方法は、図9に図示される。全送信信号は、次の通りである。
y(i)=W(i)・A(i) (23)
ここで、ランク−2 SFBC転送行列が副搬送波インデックス関数になることを強調するために記号A(i)を使用した。
【0075】
【数40】
【0076】
さらに、S1乃至S4は同一コードワードから生成されることに留意されたい。
コードワードを選択する1つの方法は、フィードバックでプリコーディングマトリックスインデックス(PMI)に従ってW(i)を選択するものであり、W(i)は2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義されたコードブックに属する。
コードワードを選択する他の方法は、W(i)を毎q個の副搬送波毎に変わる任意の単位行列(ここで、q>0は任意の負でない整数である)として選択するものである。したがって、コードワードW(i)はW(i)=Ckに従って選択され、ここでkは、次の通りである。
【0077】
【数41】
【0078】
または、より簡潔には
【数42】
である。q値の例はq=1またはq=υであり、ここでυは転送ランクである。または、q=12m(毎m個のRB循環)であり、ここでm>0は負でない整数であり、12はRBで副搬送波の個数である。さらに、Ckは2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義された単一−ユーザMIMO(SU−MIMO)プリコーディングコードブックのk番目のコードワードを表し、Nはコードブックサイズあるいはサブセットのサイズである。また、mod(x)はモジュロ演算であり、
【数43】
はシーリング演算(ceiling operation)であることに留意されたい。
【0079】
本発明の原理に従う第6実施形態において、ランク−2 SFBC転送を用いるハイブリッド自動反復−要請(HARQ)システムにおける相異な再転送に対し、互いに異なるコードワードを適用することを提案する。HARQシステムで、T回の再転送があり、このようなT回の再転送に使われるコードワードはW1(i),W2(i),…,WT(i)である。各再転送のための送信信号は、次の通りである。
yt(i)=Wt(i)・A(i) (26)
さらに、t=1,…,Tで
【数44】
であり、ここで
【数45】
は2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義されたプリコーディングコードブックのコードブックでk番目のコードワードを表し、また
【数46】
の選択が各再転送と関わらず、即ちt番目の再転送に対して
【数47】
は以前の転送でどのコードワードが使われたかに関わらず、任意のN個のコードワードになることができるように、このようなコードワードを選択するように提案する。図10は、互いに異なるコードワードが相異な再転送で使われる方法を例示する。
【0080】
本発明の原理に従う第7実施形態において、図11に図示されたように、アンテナに対するシンボルマッピングが反復されるシンボルで変更される方式を提案する。本例において、4個のシンボルS1、S2、S3、及びS4は、1反復で8個の副搬送波に亘って送信されるか、または2つのサブフレームで2グループの副搬送波で(ここで、各グループには4個の副搬送波があること)送信されることを仮定する。第1の4個の副搬送波で、シンボルS1及びS2はアンテナポートANT0及びANT1を介して送信され、シンボルS3及びS4はアンテナポートANT2及びANT3を介して送信される。反復時の最後の4個の副搬送波において、シンボルS1及びS2はアンテナポートANT2及びANT3を介して送信され、シンボルS3及びS4はアンテナポートANT0及びANT1を介して送信される。このように提案されたマッピングは反復時にマッピングが変わらない転送に比べて大きいダイバーシティ利得を発生させる。このようなダイバーシティ利得は、一回反復の以後の4個の全てのシンボルが4個の全ての送信アンテナから送信されるという事実に由来する。
提案されたマッピング方式において、下記に図示された転送行列T1は初期転送で使われる。
【0081】
【数48】
【0082】
Tijは4個の送信アンテナの場合にi番目アンテナとj番目副搬送波と、またはj番目タイムスロット(i=1、2、3、4及びj=1、2、3、4)を通じて送信されるシンボルを表す。同一なシンボルが反復される時に、下記に図示された異なるマッピング行列T2が転送のために使われる。
【0083】
【数49】
【0084】
本発明の原理は、送信機から受信された情報をデコーディングすることに適用されることができる。この場合に、プリコーディング行列の選択は時間関数(サブフレーム個数)と周波数関数(副搬送波個数)であるため、受信機はサブフレーム個数と副搬送波個数を単純に観察して同一関数をこのようなプリコーダ行列を解析することに使用可能である。周波数に関するプリコーディング行列選択の従属性は、<式13>及び<式14>から明白である。時間に関するプリコーディング行列選択の従属性はHARQ転送方式から明確に分かる。
本発明は、特定の実施形態を参考にして図示及び説明されたが、特許請求の範囲に定義された本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、多様な変更が可能であることを当業者は理解する。
【符号の説明】
【0085】
110 送信機チェーン
111 制御信号またはデータ
112 変調器
113 直列/並列(S/P)変換器
114 逆高速フーリエ変換器(IFFT)
115 並列/直列(P/S)変換器
116 循環プリフィクス(CP)挿入器
117 送信機フロントエンド処理器
120 受信機チェーン
121 受信機フロントエンド処理器
122 循環プリフィクス(CP)除去器
123 直列/並列(S/P)変換器
124 高速フーリエ変換器(FFT)
125 並列/直列(P/S)変換器
126 復調器
【技術分野】
【0001】
本発明は、遅延ダイバーシティと空間周波数ダイバーシティを用いて信号を送信する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、参照用として、非特許文献1乃至非特許文献5を含み、このような公開物の写しは本明細書に添付されて本出願の一部となる。
【0003】
典型的なセルラー無線システムは、多数の固定基地局と多数の移動局を含んでいる。各基地局はセルとして定義される地理的領域をカバーする。
典型的に、非視線(NLOS)無線伝播経路は、基地局と移動局との間に置かれた自然的な物体及び人工物体により移動局と基地局との間で存在する。結果的に、無線波は、反射、回折、及び散乱を経験しながら伝播される。ダウンリンク方向で移動局のアンテナに到達するか、アップリンク方向で基地局のアンテナに到達する無線波は、反射、回折、散乱、及び外れた位相の再結合により発生する個別波長の互いに異なる位相のため、建設的な付加及び破壊的な付加を経験するようになる。これは、典型的に現在のセルラー無線通信で使われる高い搬送波周波数で伝播遅延の小さな変化が個別波形の位相を格段に変化させるという事実に起因する。移動局が移動中である場合または散乱環境に変化がある場合に、合成受信信号の振幅及び位相での空間偏差は多重経路受信によるレイリーフェーディング(Rayleigh fading)または高速フェーディングと知られた時間偏差であることを自ら証明するようになる。無線チャンネルの時変特性は、好ましいビットエラーあるいはパケットエラー信頼度を提供するように極めて高い信号−対−雑音比(SNR)を要求する。
【0004】
ダイバーシティ方法は、同一情報保持信号の多数のフェーディング複製物を受信機に提供することで、高速フェーディング効果の解消に広く使われている。
ダイバーシティ方法は、一般的に空間、角度、偏光、フィールド、周波数、時間、及び多重経路ダイバーシティのカテゴリーに分けられる。空間ダイバーシティは、多数の送信アンテナまたは受信アンテナを使用することによって達成可能である。ダイバーシティブランチ、即ち多数のアンテナから送信された信号が殆ど相関されないままにフェーディングを経験するように、多数のアンテナの間の空間分離が選択される。空間ダイバーシティの一種である送信ダイバーシティは、同一信号の多数の相関されない複製物を受信機に提供するように多数の送信アンテナを使用する。送信ダイバーシティ方法は、開ループ送信ダイバーシティ方法と閉ループ送信ダイバーシティ方法に更に分けられることができる。開ループ送信ダイバーシティ方式では、受信機からの如何なる帰還も要求されない。ある種の閉ループ送信ダイバーシティでは、受信機は送信機アンテナ構成を知っており、受信機で受信された信号電力の最大化のために送信機アンテナに適用されるべき振幅と位相調整を計算する。選択送信ダイバーシティ(STD)と称される別の閉ループ送信ダイバーティー構成では、受信機は送信に使われるアンテナに関する帰還情報を送信機に提供する。
【0005】
循環式遅延ダイバーシティ(CDD)は、OFDM−基盤情報通信システムで使われるダイバーシティ方式であって、空間ダイバーシティをシンボル間干渉を防止する周波数ダイバーシティに変換する。
第3世代パートナーシッププロジェクト(the 3rd Generation Partnership Project;3GPP)寄稿文R1−072633、TS 36.211バージョン1.1.0(非特許文献3)はPMI(Precoder Matrix Indication)フィードバックを要求するCDDプリコーダ構造を提案した。また、TS 36.211バージョン1.1.0で説明されたCDDにおいて、開ループ(大きい遅延)及び閉ループ(小さな遅延)構造は互いに異なる。互いに異なるプリコーダ値を用いることで、開ループと閉ループ全てのための1つの構造を持つことが好ましい。このような2つの構造はフルランクの場合やプリコーダ行列が恒等行列の場合に同一である。閉ループ構造はフルランク場合の以下で如何なるPMIも利用できない場合に対してソリューションがない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】"High Delay CDD in Rank Adapted Spatial Multiplexing Mode for LTE DL", 3GPP RAN1 contribution R1-072461, May 2007, Kobe, Japan
【非特許文献2】"CDD precoding for 4 Tx antennas", 3GPP RAN1 contribution R1-072019, May 2007, Kobe, Japan
【非特許文献3】"Physical Channels and Modulation", 3GPP TS 36.211, v 1.1.0
【非特許文献4】"Text Proposal for 36.211 regarding CDD Design", 3GPP RAN1 contribution R1-073096, June 2007, Orlando, USA
【非特許文献5】"Physical Channels and Modulation", 3GPP TS 36.211, v 8.2.0
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、信号送信のための改善された方法と装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、転送中に大きい遅延CDDと小さな遅延CDDダイバーシティ方法両方との両方に適用可能な改善された開ループプリコーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、複数の情報ビットは複数の変調シンボルを生成するためにコーディングされ、スクランブルされて変調される。このような複数の変調シンボルは転送資源の少なくとも1つの転送階層で副搬送波とマッピングされる。以後、このような変調シンボルは複数のプリコーディングされたシンボルを生成するために、循環式遅延ダイバーシティ用行列と一定なコードブックからのコードワードセットを用いてプリコーディングされる。コードワードは一定な個数の副搬送波毎に循環される。最後に、プリコーディングされたシンボルは複数の送信アンテナを介して送信される。
【0009】
大きい遅延CDDの場合に、i番目副搬送波に対応するプリコーディングされたシンボルは:
y(i)=W(i)・D(i)・U・x(i)
x(i)はi番目副搬送波に対応する変調シンボルブロックであり、x(i)=[x(0)(i)…x(υ−1)(i)]T、υは転送階層の個数であり、Uは一定な固定型行列であり、Uの要素はUmn=e−j2πmn/υにより設定され(ここで、m=0,1,…,υ−1であり、n=0,1,…,υ−1である)、D(i)は大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートする対角行列である。
【0010】
小さな遅延CDDの場合に、i番目副搬送波に対応するプリコーディングされたシンボルは:
y(i)=D(i)・W(i)・x(i)
ここで、D(i)は小さな遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートする対角行列である。
【0011】
小さな遅延CDDと大きい遅延CDDの全ての場合に、i番目サブキャリヤに対応するプリコーディングされたシンボルは:
y(i)=D(i)・W(i)・C(i)・x(i)
ここで、D(i)は小さな遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートする第1対角行列であり、C(i)は大きい遅延循環式遅延ダイバーシティをサポートする第2対角行列である。
【0012】
値qは1と一致したり、転送ランクに一致したり、または12mに一致することがあり、ここでmは正の整数である。
コードワードセットは一定なコードブックの全てのコードワードを含むことができる。代案的に、コードワードセットは一定なコードブックのコードワードサブセットを含むこともできる。
【0013】
本発明の他の態様によれば、複数の情報ビットは複数の変調シンボルを生成するようにコーディングされ、スクランブルされて変調される。このような複数の変調シンボルは転送資源の少なくとも1つの転送階層で副搬送波とマッピングされる。マッピングされたシンボルは循環式遅延ダイバーシティ用行列を利用し、相異な再転送に対して互いに異なるコードワードを適用することによって繰り返してプリコーディングされ、複数のアンテナを介して送信される。
【0014】
本発明の更に他の態様によれば、送信される4個のシンボルはランク−2空間周波数ブロックシンボルを生成するために、ランク−2空間周波数ブロックコードを用いてコーディングされる。以後、シンボルブロックは複数のプリコーディングされたシンボルを生成するために、循環式遅延ダイバーシティ用行列と一定なコードブックからのコードワードセットを用いてプリコーディングされる。このようなコードワードは一定な個数の副搬送波毎に循環される。最後に、プリコーディングされたシンボルは複数のアンテナを介して送信される。
【0015】
本発明の更に他の態様によれば、送信される4個のシンボルはランク−2空間周波数ブロックシンボルを生成するように、ランク−2空間周波数ブロックコードを用いてコーディングされる。シンボルのブロックは循環式遅延ダイバーシティ用行列を利用し、相異な再転送のための互いに異なるコードワードを適用することによって繰り返してプリコーディングされ、複数のアンテナを介して送信される。
【0016】
本発明の追加的な態様によれば、送信される4個のシンボルは2つの転送行列を生成するようにコーディングされる。2つの転送行列T1及びT2は、次の通りである。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、Tijはi番目アンテナとj番目副搬送波を通じて送信されるシンボルを表す。周波数ドメインで2つの転送行列T1及びT2を交互に適用することによって、このような4個のシンボルは4個のアンテナを介して繰り返して転送される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の原理を適切に実施するための直交周波数分割多重接続(OFDM)送受信チェーンを概略的に示す図である。
【図2A】OFDMシステムにおける周波数−選択多重−ユーザスケジューリング、及び周波数ダイバーシティに対する2つの方式の副搬送波割当を概略的に示す図である。
【図2B】OFDMシステムにおける周波数−選択多重−ユーザスケジューリング、及び周波数ダイバーシティに対する2つの方式の副搬送波割当を概略的に示す図である。
【図3】多重入力/多重出力(MIMO)システムにおける送信及び受信方式を概略的に示す図である。
【図4A】MIMOシステムにおけるプリコーディング方式を概略的に示す図である。
【図4B】MIMOシステムにおけるプリコーディング方式を概略的に示す図である。
【図5A】受信機でプリコーディングされた信号を処理する方式を概略的に示す図である。
【図5B】受信機でプリコーディングされた信号を処理する方式を概略的に示す図である。
【図6A】副搬送波に位相遷移を適用する2つの方式を示す図である。
【図6B】副搬送波に位相遷移を適用する2つの方式を示す図である。
【図7】循環式遅延ダイバーシティプリコーディング方式を概略的に示す図である。
【図8】本発明の原理に従う一実施形態として、ハイブリッド自動反復及び要請(HARQ)の相異な再転送において、互いに異なるコードワードを用いた場合を概略的に示す図である。
【図9】本発明の原理に従う他の実施形態において、ランク−2空間周波数ブロックコードをプリコーディングする方式を概略的に示す図である。
【図10】本発明の原理に従う他の実施形態として、HARQ方式の相異な再転送において、互いに異なるコードワードを適用することによって、ランク−2空間周波数ブロックコードをプリコーディングする方式を概略的に示す図である。
【図11】本発明の原理に従う更に他の実施形態として、周波数転換型送信ダイバーシティ(FSTD)と結合された空間周波数ブロックコード(SFBC)用アンテナとシンボルのマッピングを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のより完全な理解及び伴われる種々の利点は、添付の図面を参照して下記の詳細な説明から明らかとなる。図面の同一の参照符号は、同一または類似の構成要素を表す。
【0021】
図1は、直交周波数分割多重接続(OFDM)送受信機チェーンを図示する。OFDM技術を用いた通信システムの送信機チェーン110において、制御信号あるいはデータ111は変調器112により一連の変調シンボルに変調され、以後、一連の変調シンボルは直列/並列(S/P)変換器113により直列から並列に変換される。逆高速フーリエ変換器(IFFT)114は、周波数ドメイン信号を時間ドメインの複数のOFDMシンボルへの転送に使われる。循環プリフィクス(CP)またはゼロプリフィクス(ZP)がCP挿入器116により各OFDMシンボルに追加されて多重経路フェーディングによる影響を防止または緩和させる。結果的に、信号はアンテナ(図示せず)や代案的に固定型ワイヤーや、あるいはケーブルなどの送信機(Tx)フロントエンド処理器117により送信される。完全な時間及び周波数同期化の達成を仮定する受信機チェーン120において、受信機(Rx)フロントエンド処理器121により受信された信号はCP除去器122により処理される。高速フーリエ変換器(FFT)124は、時間ドメインで受信された信号を後続処理のために周波数ドメインに変換する。
【0022】
OFDMシステムの全帯域幅は、副搬送波と呼ばれる狭帯域周波数単位に分かれる。副搬送波の個数はOFDMシステムで使われるFFT/IFFTサイズNと一致する。一般的に、データで使われる副搬送波の個数はN個以下であるが、周波数スペクトルの縁の一部副搬送波が保護副搬送波として保有されるためである。一般的に、保護副搬送波の上にはどんな情報も送信できない。
通信リンクにおいて、多重−経路チャンネルは周波数−選択性フェーディングを発生させる。また、移動通信無線環境で、チャンネルは時変フェーディング(time-varying fading)を発生させる。したがって、OFDM基盤の接続を用いた無線移動通信システムにおいて、全システム性能及び効率は時間ドメインスケジューリングの以外に、周波数−選択性多重−ユーザスケジューリングを用いることにより改善可能である。時変周波数−選択性移動通信無線チャンネルにおいて、副搬送波に亘って情報を拡散し、及び/またはコーディングすることで、チャンネル信頼度の改善も可能である。
【0023】
周波数−選択性多重−ユーザスケジューリングの場合に、潜在的にアップフェード(upfade)を経験する連続的な副搬送波セットがユーザに対する転送のために割り当てられる。全帯域幅は図2Aで図示されたように、多数の連続した副搬送波をグループ化したサブ帯域に分かれるが、ここで、副搬送波f1、f2、f3、及びf4は周波数−選択性多重−ユーザスケジューリングモードでユーザに送信のためのサブ帯域にグループ化される。しかしながら、周波数−ダイバーシティ送信の場合に、このような割り当てられた副搬送波は好ましく全スペクトルに亘って均一に分布する。図2Bに図示されたように、副搬送波f1、f5、f9、及びf13は送信のためにサブ帯域にグループ化される。周波数−選択性多重−ユーザスケジューリングは、一般的にチャンネル品質が追跡される低移動性ユーザに有益である。しかしながら、チャンネル品質は一般的にチャンネル品質フィードバック遅延により高移動性ユーザに対して(特に、ダウンリンクとアップリンクとの間のフェーディングが独立的な周波数−分割−デュプレックスシステムで)追跡されず、したがって周波数ダイバーシティ送信モードが好ましい。
【0024】
多重入力多重出力(MIMO)方式は、多重送信アンテナと多重受信アンテナを使用して無線通信チャンネルの性能と信頼度を改善する。MIMOシステムは、K性能の線形的な増加を保証するが、ここでKは最小送信(M)及び最小受信(N)アンテナ個数である。即ち、K=min(M,N)となる。4×4MIMOシステムの簡略化した例が図3に図示される。本例において、4個の異なるデータストリームは4個の送信アンテナから個別的に転送される。送信信号は4個の受信アンテナで受信される。一部形態の空間信号処理が4個のデータストリームを復元するために受信信号に対して遂行される。空間信号処理の例は、V−BLAST(vertical Bell Laboratories Layered Space-Time)であるが、これは送信データフレームを復元するために連続的な干渉消去原理を用いる。他の形態のMIMO方式は、送信アンテナに亘って一種の空間−時間コーディングを遂行する方式(例えば、diagonal Bell Laboratories Layered Space-Time(D−BLAST))及び空間分割多重接続(SDMA)などのビーム形成方式を含む。
MIMOチャンネル推定は、各送信アンテナから各受信アンテナへのリンクに対するチャンネル利得と位相情報を推定することによりなされる。したがって、M×N MIMOシステムのチャンネルはN×M行列からなる。
【0025】
【数2】
【0026】
ここで、aijは送信アンテナjから受信アンテナiへのチャンネル利得を表す。MIMOチャンネル行列要素の推定のために、個別パイロットが各送信アンテナから送信される。
データストリームを物理的アンテナにマッピングする以前に単位プリコーディングを用いる選択的なプリコーディングプロトコルが図5A及び5Bに図示される。選択的なプリコーディングは、プリコーディング以前に仮想アンテナ(VA)171セットを生成する。この場合に、各コードワードは潜在的に全ての物理的送信アンテナ172を介して送信される。2つの送信アンテナ172の場合に単位プリコーディング行列の2つの例P1及びP2は、次の通りである。
【0027】
【数3】
【0028】
変調シンボルS1及びS2が所定の時間に各々第1ストリームと第2ストリームを通じて送信されることと仮定する。以後、図5Aに図示された例における行列P1にプリコーディングされた以後の変調シンボルT1と、図5Bに図示された例における行列P2にプリコーディングされた以後の変調シンボルT2は、各々次の通り記録される。
【0029】
【数4】
【0030】
したがって、シンボル
【数5】
は、図4Aに図示されたようなプリコーディング行列(P1)を用いてプリコーディングが遂行された時に各々第1アンテナと第2アンテナとを介して送信される。同様に、シンボル
【数6】
は、図4Bに図示されたようなプリコーディング行列P2を用いてプリコーディングが遂行された時に各々第1アンテナと第2アンテナとを介して送信される。プリコーディングは図4A及び4Bに例示されたように、IFFT演算の以前のOFDM副搬送波レベルで遂行されることに留意されたい。
プリコーディングされたMIMOシステムにおいて、逆演算が送信シンボルを復元するために受信機で遂行される。受信信号は逆プリコーディング行列と掛けられる。逆プリコーディング行列は、次の通りである。
【0031】
【数7】
【0032】
逆単位プリコーディング行列は単純にプリ−コーディング行列の複素共役転置を遂行することによって獲得可能であるということに留意されたい。送信シンボルは受信シンボルベクトルと逆プリコーディング行列を乗算することによって、デコーディングされる。したがって、送信シンボルは次の通り提供される。
【0033】
【数8】
【0034】
ダウンリンク物理チャンネルは、上位階層から起源した情報を運搬するリソースエレメントセットに対応する。まず、複数の情報ビットが複数のコードワードでコーディングされて複数のブロックを生成する。物理チャンネルのダウンリンク送信において、各コードワード(q)のビットブロック
【数9】
は変調の以前にスクランブルされ、スクランブルビットブロック
【数10】
を発生させる。ここで、
【数11】
は物理ダウンリンクチャンネルを介して送信されるコードワード(q)のビット個数である。2つまでのコードワードが1つのサブフレームで送信される。即ち、q∈{0,1}の以後、各コードワードqに対するスクランブルビットブロック
【数12】
は直交位相−遷移方式(QPSK)、16次直交振幅変調(16QAM)、あるいは64次直交振幅変調(64QAM)を用いて変調され、複素値変調シンボルブロック
【数13】
を発生させる。送信される各コードワードに対する複素値変調シンボルは1つ以上の転送階層でマッピングされる。コードワード(q)に対する複素値変調シンボル
【数14】
は3GPP TS 36.211のセクション5.3.3で説明された一定なコードワード−対−階層マッピング方式に従って階層x(i)=[x(0)(i)…x(υ−1)(i)]Tでマッピングされるが、ここでυは階層の個数である。次に、階層マッピングからのベクトルブロックx(i)=[x(0)(i)…x(υ−1)(i)]Tはベクトルブロックy(i)=[y(0)(i)…y(p−1)(i)]Tを生成するようにプリコーディングされ、ここでPはアンテナポートの個数であり、転送ランクρと等しいかそれ以上である。複素値シンボルブロック
【数15】
は、まずインデックスkと以後のインデックスlの昇順で、他の目的に使われないアンテナポートp上のリソースエレメント(k,l)とマッピングされる。
【0035】
ここまで送信ダイバーシティとMIMO空間多重化両方共に適用されるプリコーディング方式を説明した。合成プリコーダは循環式遅延ダイバーシティなどの送信ダイバーシティ方式を表す他の単位プリコーダと掛けられるフーリエマトリックスプリコーダのような単位プリコーダに基づいて構成される。また、本発明の原理は非−単位プリコーディングやフーリエマトリックスプリコーダの以外の単位プリコーダの場合に適用されることに留意されたい。
フーリエマトリックスは、次の通りエントリーを持つN×N正方行列である。
PN=ej2πmn/N m,n=0,1,…(N−1) (6)
例えば、2×2フーリエマトリックスは、次の通り表現可能である。
【0036】
【数16】
【0037】
同様に、4×4フーリエマトリックスは、次の通り表現可能である。
【0038】
【数17】
【0039】
多重フーリエマトリックスは、フーリエマトリックスでシフトパラメータ(g/G)を導入することによって定義できる。多重フーリエマトリックスのエントリーは次の通り提供される。
【0040】
【数18】
【0041】
4個の2×2フーリエマトリックスセットは、G=4及びg=0、1、2、及び3を取ることによって定義され、次の通り記録される。
【0042】
【数19】
【0043】
循環式遅延ダイバーシティ方式は、i番目送信アンテナから送信された副搬送波kに適用された位相遷移
【数20】
により周波数ドメインで遂行可能である。角度φiは次の通り提供される。
【0044】
【数21】
【0045】
ここで、Diはi番目アンテナから適用されたサンプルにおける循環式遅延である。他の関数が周波数ドメイン位相遷移を導出することに使用できることに留意されたい。位相遷移は1グループの副搬送波に対して一定に維持される。図6Aに図示されたように、位相遷移φ1はサブ帯域(SB)1に亘って一定であり、φ2はSB2に亘って一定である。また、各グループの副搬送波毎に位相遷移を異にすることができる。図6Bに図示されたように、位相遷移は第1副搬送波から第512副搬送波に周波数範囲に亘って2π/N乃至2πに変わる。
循環式遅延ダイバーシティは、4個の送信アンテナの場合に、下記のプリコーディング行列でプリコーディングできる。
【0046】
【数22】
【0047】
図7は、上記プリコーディング行列を用いたCDDプリコーディング方式が提供された送信機を概略的に例示する。アンテナと周波数(副搬送波)従属位相遷移を持つ同一シンボルが多重アンテナから送信されることに留意されたい。第1アンテナから送信されたシンボルにはどんな位相遷移が適用されない。
【0048】
2007年6月米国、オーランドで公表された3GPP RAN1寄稿文 R1−073096“CDD設計に関する36.211用テキスト提案”(非特許文献4)では、小さな遅延CDDと大きい遅延CDDとの両方を含む共同提案が提示される。
ゼロ−遅延及び小さな−遅延CDDで、空間多重化のためのプリコーディングは、下記の式により遂行される。
y(i)=D(i)・W(i)・x(i) (13)
ここで、プリコーディング行列W(i)はP×υのサイズであり、Pはアンテナポートの個数であり、υは階層の個数であり、行列D(i)は小さな、またはゼロ循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、そして行列x(i)はi番目副搬送波を通じて送信される信号を表示する。ここで、x(i)=[x(0)(i)…x(υ−1)(i)]Tであり、x(j)(i)はj番目階層でi番目副搬送波を通じて送信される信号を表示する。行列D(i)は<表1>から選択され、ユーザ装置(UE)−特定値δは上位階層によりUE及びノードB(即ち、基地局)で半静的に(semi-statically)構成される。<表1>の数量ηは集合{128,256,512,1024,2048}からの最小数字であり、従って
【数23】
であり、ここではダウンリンク帯域幅での副搬送波の個数である。
【0049】
【表1】
【0050】
このような値は送信ダイバーシティが送信ランク1から構成されない時のみに適用されることに留意する。
空間多重化において、W(i)値はノードBとUEで構成されたコードブックでのプリコーダ要素の中から選択される。ノードBはコードブックサブセット制限を用いてUEのプリコーダ選択をコードブック要素のサブセットに更に限定する。TS 36.211、バージョン1.1.0によれば、このように構成されたコードブックは、<表2>と一致するようになる。階層の個数υは空間多重化の場合に転送ランクρと一致されることに留意する。
【0051】
【表2】
【0052】
TS 36.211、バージョン8.2.0によれば、2つのアンテナポートp∈{0,1}を介した送信の場合に、ゼロ遅延、小さな遅延、及び大きい遅延CDDのためのプリコーディング行列W(i)は<表3>やそのサブセットから選択される。
【0053】
【表3】
【0054】
4個のアンテナポートp∈{0,1,2,3}を介した送信において、ゼロ遅延CDD、小さい遅延CDD、及び大きい遅延CDDのためのプリコーディング行列Wは<表4>またはそのサブセットから選択される。数量
【数24】
は式
【数25】
からの集合{s}により提供されたコラムにより定義された行列を表し、ここでIは4×4恒等行列であり、ベクトルunは<表4>により提供される。
【0055】
【表4】
【0056】
大きい遅延CDDにおいて、空間多重化のためのプリコーディングは、下記の式により遂行される。
y(i)=W(i)・D(i)・U・x(i) (14)
ここで、プリコーディング行列W(i)はP×υのサイズであり、Pはアンテナポートの個数であり、υは階層の個数であり、数量D(i)は大きい循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、Uは固定型行列である。行列UとD(i)のサイズはυ×υである。固定型行列Uの要素はUmn=e−j2πmn/υと定義され、ここでm=0,1,…,υ−1であり、n=0,1,…,υ−1である。TS 36.211、バージョン1.1.0によれば、行列D(i)は<表5>から選択される。
【0057】
【表5】
【0058】
<表1>の値δと表5の値δとは同一でないことに留意されたい。
TS 36.211、バージョン8.2.0によれば、行列UとD(i)は<表6>から選択される。
【0059】
【表6】
【0060】
空間多重化に対し、W(i)の値はノードBとUEに構成されたコードブックのプリコーダ要素から選択される。ノードBはコードブックサブセット制限を用いてUEのプリコーダ選択をコードブック要素のサブセットに更に限定する。構成されたコードブックは<表3>及び<表4>に一致する。階層の個数υは空間多重化の場合に転送ランクρと一致するようになることに留意されたい。
さらに、大きい遅延での式y(i)=D(i)・W(i)・U・x(i)に対するコードワード循環方法が提案され、W(i)は2つのアンテナポートに対する<表3>のコードブックと4個のアンテナポートに対する<表4>のコードブック、あるいはコードブックサブセットでのコードワードのうちの1つとして循環式で選択される。コードワードは、毎副搬送波、あるいは毎ν個の副搬送波毎に変更されるものであることが提案され、ここでνは転送ランクである。
【0061】
本発明の原理に従う第1実施形態において、毎資源ブロック(RB)毎に、あるいはRBの毎整数個数毎に大きい遅延CDD方法y(i)=W(i)・D(i)・U・x(i)でコードワード循環を遂行することと提案する。LTEシステムにおいて、1つのRBは12つの副搬送波から構成される。したがって、コードワードW(i)はW(i)=Ckに従って選択され、ここでkは下記の通りである。
【0062】
【数26】
【0063】
または、より簡潔には
【数27】
である。ここで、m>0は負でない整数であり、12はRFでの副搬送波の個数である。さらに、Ckは2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義された単一−ユーザMIMO(SU−MIMO)プリコーディングコードブックのk番目のコードワードを表し、Nはコードブックサイズあるいはサブセットのサイズである。また、mod(x)はモジュロ演算であり、
【数28】
はシーリング演算(ceiling operation)であることに留意されたい。
【0064】
本発明の原理に従う第2実施形態において、毎q個の副搬送波毎に小さな遅延CDD方法y(i)=D(i)・W(i)・x(i)でコードワード循環を遂行することと提案する。したがって、コードワードW(i)はW(i)=Ckに従って選択され、ここでkは下記の通りである。
【0065】
【数29】
【0066】
または、より簡潔には
【数30】
である。ここで、q>0は任意の負でない整数である。q値の例はq=1またはq=υであり、ここでυは転送ランクである。または、q=12m(毎m個のRB循環)であり、ここでm>0は負でない整数であり、12はRBで副搬送波の個数である。さらに、Ckは2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義された単一−ユーザMIMO(SU−MIMO)プリコーディングコードブックのk番目のコードワードを表し、Nはコードブックサイズ、あるいはサブセットのサイズである。また、mod(x)はモジュロ演算であり、
【数31】
はシーリング演算であることに留意されたい。
【0067】
本発明の原理に従う第3実施形態において、毎q個の副搬送波毎に下記のような均一で、かつ小さな遅延と大きい遅延のCDD方法におけるコードワード循環を遂行することを提案する。
y(i)=D(i)・W(i)・C(i)・x(i) (17)
上記の式において、D(i)は小さな遅延CDD動作をサポートするための対角行列を表し、D(i)はi番目副搬送波のために<表1>から選択され、C(i)はi番目副搬送波に対する大きい遅延CDD動作を表し、C(i)=D´(i)・Uであり、ここでD´(i)は大きい遅延CDD動作をサポートするための対角行列であり、Uは固定型行列である。行列D´(i)と
のサイズはυ×υであり、これらは<表6>から選択される。したがって、コードワードW(i)はW(i)=Ckに従って選択され、kは下記の通りである。
【0068】
【数32】
【0069】
または、より簡潔には
【数33】
である。ここで、q>0は任意の負でない整数である。q値の例はq=1またはq=υであり、ここでυは転送ランクである。または、q=12m(毎m個のRB循環)であり、ここでm>0は負でない整数であり、12はRBで副搬送波の個数である。さらに、Ckは2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義された単一−ユーザMIMO(SU−MIMO)プリコーディングコードブックのk番目のコードワードを表し、Nはコードブックサイズあるいはサブセットのサイズである。また、mod(x)はモジュロ演算であり、
【数34】
はシーリング演算(ceiling operation)であることに留意されたい。
【0070】
本発明の原理に従う第4実施形態において、小さな−遅延CDD方法y(i)=D(i)・W(i)・x(i)、または大きい遅延方法y(i)=W(i)・D(i)・U・x(i)、均一な小さい−大きい遅延方法y(i)=D(i)・W(i)・C(i)・x(i)を用いるハイブリッド自動反復−要請(HARQ)システムにおける相異する再転送に対し、互いに異なるコードワードを適用することを提案する。HARQシステムでT回の再転送があり、このようなT回の再転送に使われるコードワードはW1(i),W2(i),…,WT(i)である。各再転送のための送信信号は、次の通りである。
小さい遅延CDDの場合に、yt(i)=D(i)・Wt(i)・x(i) (19)
大きい遅延CDDの場合に、yt(i)=Wt(i)・D(i)・U・x(i) (20)
均一な小さな遅延と大きい遅延CDDの場合に、yt(i)=D(i)・Wt(i)・C(i)・x(i) (21)
【0071】
さらに、t=1,…,Tで
【数35】
であり、ここで
【数36】
は2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義されたプリコーディングコードブックのコードブックでk番目のコードワードを表し、また
【数37】
の選択が各再転送と関係がなく、即ちt番目の再転送に対して
【数38】
は以前の転送でどのコードワードが使われたかに関わらず、任意のN個のコードワードになることができるように、このようなコードワードを選択するように提案する。図8は、互いに異なるコードワードが相異な再転送で使われる方法を例示する。
【0072】
本発明の原理に従う第5実施形態において、下記のようなランク−2空間周波数ブロックコード(SFBC)ブロックの出力において、行列W(i)により表示されるプリコーディング過程(ここで、iは副搬送波インデックスである)を追加することを提案する。
【0073】
【数39】
【0074】
このように、プリコーディングされたランク−2方法は、図9に図示される。全送信信号は、次の通りである。
y(i)=W(i)・A(i) (23)
ここで、ランク−2 SFBC転送行列が副搬送波インデックス関数になることを強調するために記号A(i)を使用した。
【0075】
【数40】
【0076】
さらに、S1乃至S4は同一コードワードから生成されることに留意されたい。
コードワードを選択する1つの方法は、フィードバックでプリコーディングマトリックスインデックス(PMI)に従ってW(i)を選択するものであり、W(i)は2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義されたコードブックに属する。
コードワードを選択する他の方法は、W(i)を毎q個の副搬送波毎に変わる任意の単位行列(ここで、q>0は任意の負でない整数である)として選択するものである。したがって、コードワードW(i)はW(i)=Ckに従って選択され、ここでkは、次の通りである。
【0077】
【数41】
【0078】
または、より簡潔には
【数42】
である。q値の例はq=1またはq=υであり、ここでυは転送ランクである。または、q=12m(毎m個のRB循環)であり、ここでm>0は負でない整数であり、12はRBで副搬送波の個数である。さらに、Ckは2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義された単一−ユーザMIMO(SU−MIMO)プリコーディングコードブックのk番目のコードワードを表し、Nはコードブックサイズあるいはサブセットのサイズである。また、mod(x)はモジュロ演算であり、
【数43】
はシーリング演算(ceiling operation)であることに留意されたい。
【0079】
本発明の原理に従う第6実施形態において、ランク−2 SFBC転送を用いるハイブリッド自動反復−要請(HARQ)システムにおける相異な再転送に対し、互いに異なるコードワードを適用することを提案する。HARQシステムで、T回の再転送があり、このようなT回の再転送に使われるコードワードはW1(i),W2(i),…,WT(i)である。各再転送のための送信信号は、次の通りである。
yt(i)=Wt(i)・A(i) (26)
さらに、t=1,…,Tで
【数44】
であり、ここで
【数45】
は2つのアンテナポートに対する<表3>と4個のアンテナポートに対する<表4>とにおける、またはそのサブセットで定義されたプリコーディングコードブックのコードブックでk番目のコードワードを表し、また
【数46】
の選択が各再転送と関わらず、即ちt番目の再転送に対して
【数47】
は以前の転送でどのコードワードが使われたかに関わらず、任意のN個のコードワードになることができるように、このようなコードワードを選択するように提案する。図10は、互いに異なるコードワードが相異な再転送で使われる方法を例示する。
【0080】
本発明の原理に従う第7実施形態において、図11に図示されたように、アンテナに対するシンボルマッピングが反復されるシンボルで変更される方式を提案する。本例において、4個のシンボルS1、S2、S3、及びS4は、1反復で8個の副搬送波に亘って送信されるか、または2つのサブフレームで2グループの副搬送波で(ここで、各グループには4個の副搬送波があること)送信されることを仮定する。第1の4個の副搬送波で、シンボルS1及びS2はアンテナポートANT0及びANT1を介して送信され、シンボルS3及びS4はアンテナポートANT2及びANT3を介して送信される。反復時の最後の4個の副搬送波において、シンボルS1及びS2はアンテナポートANT2及びANT3を介して送信され、シンボルS3及びS4はアンテナポートANT0及びANT1を介して送信される。このように提案されたマッピングは反復時にマッピングが変わらない転送に比べて大きいダイバーシティ利得を発生させる。このようなダイバーシティ利得は、一回反復の以後の4個の全てのシンボルが4個の全ての送信アンテナから送信されるという事実に由来する。
提案されたマッピング方式において、下記に図示された転送行列T1は初期転送で使われる。
【0081】
【数48】
【0082】
Tijは4個の送信アンテナの場合にi番目アンテナとj番目副搬送波と、またはj番目タイムスロット(i=1、2、3、4及びj=1、2、3、4)を通じて送信されるシンボルを表す。同一なシンボルが反復される時に、下記に図示された異なるマッピング行列T2が転送のために使われる。
【0083】
【数49】
【0084】
本発明の原理は、送信機から受信された情報をデコーディングすることに適用されることができる。この場合に、プリコーディング行列の選択は時間関数(サブフレーム個数)と周波数関数(副搬送波個数)であるため、受信機はサブフレーム個数と副搬送波個数を単純に観察して同一関数をこのようなプリコーダ行列を解析することに使用可能である。周波数に関するプリコーディング行列選択の従属性は、<式13>及び<式14>から明白である。時間に関するプリコーディング行列選択の従属性はHARQ転送方式から明確に分かる。
本発明は、特定の実施形態を参考にして図示及び説明されたが、特許請求の範囲に定義された本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、多様な変更が可能であることを当業者は理解する。
【符号の説明】
【0085】
110 送信機チェーン
111 制御信号またはデータ
112 変調器
113 直列/並列(S/P)変換器
114 逆高速フーリエ変換器(IFFT)
115 並列/直列(P/S)変換器
116 循環プリフィクス(CP)挿入器
117 送信機フロントエンド処理器
120 受信機チェーン
121 受信機フロントエンド処理器
122 循環プリフィクス(CP)除去器
123 直列/並列(S/P)変換器
124 高速フーリエ変換器(FFT)
125 並列/直列(P/S)変換器
126 復調器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信システムにおける送信方法であって、
1つのサブフレームで転送される複数のビットをスクランブルするステップと、
複数の変調シンボルを生成するために前記複数のスクランブルされたビットを変調するステップと、
前記複数の変調シンボルを少なくとも1つの転送階層にマッピングして
【数1】
を生成するステップと、
【数2】
によりプリコーディングされたシンボルを生成するステップと
を有し、
ここで、前記行列W(i)はP×υのサイズであり、
前記行列D(i)は、υ×υのサイズであり、かつ大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、
前記行列Uはυ×υのサイズであり、
前記Pはアンテナポートの個数であり、
前記υは前記転送階層の数であり、
ここで、前記行列W(i)は、前記Pと前記転送階層の数υに対応するコードブックサブセットで循環的に選択されることを特徴とする通信システムにおける送信方法。
【請求項2】
前記行列Uの要素は、m=0,1,…,υ−1及びn=0,1,…,υ−1に対して
【数3】
で定義されることを特徴とする請求項1に記載の通信システムにおける送信方法。
【請求項3】
前記行列W(i)は、i/qから導出される値のモジュロN演算により循環的に選択され、
ここで、前記iは前記複数の変調シンボルを前記少なくとも1つの転送階層にマッピングした後のシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項1に記載の通信システムにおける送信方法。
【請求項4】
【数4】
であり、
ここでCkはコードブックサブセットにおけるプリコーディングインデックスであり、
インデックスkは
【数5】
により設定され、
ここで、前記iは前記複数の変調シンボルを前記少なくとも1つの転送階層にマッピングした後のシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項1に記載の通信システムにおける送信方法。
【請求項5】
通信システムにおける送信装置であって、
1つのサブフレームで転送される複数のビットをスクランブルする手段と、
複数の変調シンボルを生成するために前記複数のスクランブルされたビットを変調する手段と、
前記複数の変調シンボルを少なくとも1つの転送階層にマッピングして
【数6】
を生成する手段と、
【数7】
によりプリコーディングされたシンボルを生成する手段と
を具備し、
ここで、前記行列W(i)はP×υのサイズであり、
前記行列D(i)は、υ×υのサイズであり、かつ大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、
前記行列Uはυ×υのサイズであり、
前記Pはアンテナポートの個数であり、
前記υは前記転送階層の数であり、
ここで、前記行列W(i)は、前記Pと前記転送階層の数υに対応するコードブックサブセットで循環的に選択されることを特徴とする通信システムにおける送信装置。
【請求項6】
前記行列Uの要素は、m=0,1,…,υ−1及びn=0,1,…,υ−1に対して
【数8】
で定義されることを特徴とする請求項5に記載の通信システムにおける送信装置。
【請求項7】
前記行列W(i)は、i/qから導出される値のモジュロN演算により循環的に選択され、
ここで、前記iは前記複数の変調シンボルを前記少なくとも1つの転送階層にマッピングした後のシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項5に記載の通信システムにおける送信装置。
【請求項8】
【数9】
であり、
ここでCkはコードブックサブセットにおけるプリコーディングインデックスであり、
インデックスkは
【数10】
により設定され、
ここで、前記iは前記複数の変調シンボルを前記少なくとも1つの転送階層にマッピングした後のシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項5に記載の通信システムにおける送信装置。
【請求項9】
通信システムにおける受信方法であって、
1つの受信されたサブフレームでプリコーディングされたシンボルy(i)から
【数11】
を復元するステップと、
複数のスクランブルされたビットを生成するために複数の変調シンボルを復調するステップと、
前記複数のスクランブルされたビットを前記1つの受信されたサブフレームに含まれた複数のビットにデスクランブルするステップと
を有し、
ここで、前記x(i)は少なくとも1つの転送階層にマッピングされた複数の変調シンボルを示し、
前記プリコーディングされたシンボルy(i)は
【数12】
により生成され、
ここで、前記行列W(i)はP×υのサイズであり、
前記行列D(i)はυ×υのサイズであり、かつ大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、
前記行列Uはυ×υのサイズであり、
前記Pはアンテナポートの個数であり、
前記υは前記転送階層の数であり、
ここで、前記行列W(i)は、前記Pと前記転送階層の数υに対応するコードブックサブセットで循環的に選択されることを特徴とする通信システムにおける受信方法。
【請求項10】
前記行列Uの要素は、m=0,1,…,υ−1及びn=0,1,…,υ−1に対して
【数13】
で定義されることを特徴とする請求項9に記載の通信システムにおける受信方法。
【請求項11】
前記行列W(i)は、i/qから導出される値のモジュロN演算により循環的に選択され、
ここで、前記iは前記少なくとも1つの転送階層にマッピングされたシンボルのシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項9に記載の通信システムにおける受信方法。
【請求項12】
【数14】
であり、
ここでCkはコードブックサブセットにおけるプリコーディングインデックスであり、
インデックスkは
【数15】
により設定され、
ここで、前記iは前記少なくとも1つの転送階層にマッピングされたシンボルのシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項9に記載の通信システムにおける受信方法。
【請求項13】
通信システムにおける受信装置であって、
1つの受信されたサブフレームでプリコーディングされたシンボルy(i)から
【数16】
を復元する手段と、
複数のスクランブルされたビットを生成するために複数の変調シンボルを復調する手段と、
前記複数のスクランブルされたビットを前記1つの受信されたサブフレームに含まれた複数のビットにデスクランブルする手段と
を具備し、
ここで、前記x(i)は少なくとも1つの転送階層にマッピングされた複数の変調シンボルを示し、
前記プリコーディングされたシンボルy(i)は
【数17】
により生成され、
ここで、前記行列W(i)はP×υのサイズであり、
前記行列D(i)は、υ×υのサイズであり、かつ大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、
前記行列Uはυ×υのサイズであり、
前記Pはアンテナポートの個数であり、
前記υは前記転送階層の数であり、
ここで、前記行列W(i)は、前記Pと前記転送階層の数υに対応するコードブックサブセットで循環的に選択されることを特徴とする通信システムにおける受信装置。
【請求項14】
前記行列Uの要素は、m=0,1,…,υ−1及びn=0,1,…,υ−1に対して
【数18】
で定義されることを特徴とする請求項13に記載の通信システムにおける受信装置。
【請求項15】
前記行列W(i)は、i/qから導出される値のモジュロN演算により循環的に選択され、
ここで、前記iは前記少なくとも1つの転送階層にマッピングされたシンボルのシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項13に記載の通信システムにおける受信装置。
【請求項16】
【数19】
であり、
ここでCkはコードブックサブセットにおけるプリコーディングインデックスであり、
インデックスkは
【数20】
により設定され、
ここで、前記iは前記少なくとも1つの転送階層にマッピングされたシンボルのシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項13に記載の通信システムにおける受信装置。
【請求項1】
通信システムにおける送信方法であって、
1つのサブフレームで転送される複数のビットをスクランブルするステップと、
複数の変調シンボルを生成するために前記複数のスクランブルされたビットを変調するステップと、
前記複数の変調シンボルを少なくとも1つの転送階層にマッピングして
【数1】
を生成するステップと、
【数2】
によりプリコーディングされたシンボルを生成するステップと
を有し、
ここで、前記行列W(i)はP×υのサイズであり、
前記行列D(i)は、υ×υのサイズであり、かつ大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、
前記行列Uはυ×υのサイズであり、
前記Pはアンテナポートの個数であり、
前記υは前記転送階層の数であり、
ここで、前記行列W(i)は、前記Pと前記転送階層の数υに対応するコードブックサブセットで循環的に選択されることを特徴とする通信システムにおける送信方法。
【請求項2】
前記行列Uの要素は、m=0,1,…,υ−1及びn=0,1,…,υ−1に対して
【数3】
で定義されることを特徴とする請求項1に記載の通信システムにおける送信方法。
【請求項3】
前記行列W(i)は、i/qから導出される値のモジュロN演算により循環的に選択され、
ここで、前記iは前記複数の変調シンボルを前記少なくとも1つの転送階層にマッピングした後のシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項1に記載の通信システムにおける送信方法。
【請求項4】
【数4】
であり、
ここでCkはコードブックサブセットにおけるプリコーディングインデックスであり、
インデックスkは
【数5】
により設定され、
ここで、前記iは前記複数の変調シンボルを前記少なくとも1つの転送階層にマッピングした後のシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項1に記載の通信システムにおける送信方法。
【請求項5】
通信システムにおける送信装置であって、
1つのサブフレームで転送される複数のビットをスクランブルする手段と、
複数の変調シンボルを生成するために前記複数のスクランブルされたビットを変調する手段と、
前記複数の変調シンボルを少なくとも1つの転送階層にマッピングして
【数6】
を生成する手段と、
【数7】
によりプリコーディングされたシンボルを生成する手段と
を具備し、
ここで、前記行列W(i)はP×υのサイズであり、
前記行列D(i)は、υ×υのサイズであり、かつ大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、
前記行列Uはυ×υのサイズであり、
前記Pはアンテナポートの個数であり、
前記υは前記転送階層の数であり、
ここで、前記行列W(i)は、前記Pと前記転送階層の数υに対応するコードブックサブセットで循環的に選択されることを特徴とする通信システムにおける送信装置。
【請求項6】
前記行列Uの要素は、m=0,1,…,υ−1及びn=0,1,…,υ−1に対して
【数8】
で定義されることを特徴とする請求項5に記載の通信システムにおける送信装置。
【請求項7】
前記行列W(i)は、i/qから導出される値のモジュロN演算により循環的に選択され、
ここで、前記iは前記複数の変調シンボルを前記少なくとも1つの転送階層にマッピングした後のシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項5に記載の通信システムにおける送信装置。
【請求項8】
【数9】
であり、
ここでCkはコードブックサブセットにおけるプリコーディングインデックスであり、
インデックスkは
【数10】
により設定され、
ここで、前記iは前記複数の変調シンボルを前記少なくとも1つの転送階層にマッピングした後のシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項5に記載の通信システムにおける送信装置。
【請求項9】
通信システムにおける受信方法であって、
1つの受信されたサブフレームでプリコーディングされたシンボルy(i)から
【数11】
を復元するステップと、
複数のスクランブルされたビットを生成するために複数の変調シンボルを復調するステップと、
前記複数のスクランブルされたビットを前記1つの受信されたサブフレームに含まれた複数のビットにデスクランブルするステップと
を有し、
ここで、前記x(i)は少なくとも1つの転送階層にマッピングされた複数の変調シンボルを示し、
前記プリコーディングされたシンボルy(i)は
【数12】
により生成され、
ここで、前記行列W(i)はP×υのサイズであり、
前記行列D(i)はυ×υのサイズであり、かつ大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、
前記行列Uはυ×υのサイズであり、
前記Pはアンテナポートの個数であり、
前記υは前記転送階層の数であり、
ここで、前記行列W(i)は、前記Pと前記転送階層の数υに対応するコードブックサブセットで循環的に選択されることを特徴とする通信システムにおける受信方法。
【請求項10】
前記行列Uの要素は、m=0,1,…,υ−1及びn=0,1,…,υ−1に対して
【数13】
で定義されることを特徴とする請求項9に記載の通信システムにおける受信方法。
【請求項11】
前記行列W(i)は、i/qから導出される値のモジュロN演算により循環的に選択され、
ここで、前記iは前記少なくとも1つの転送階層にマッピングされたシンボルのシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項9に記載の通信システムにおける受信方法。
【請求項12】
【数14】
であり、
ここでCkはコードブックサブセットにおけるプリコーディングインデックスであり、
インデックスkは
【数15】
により設定され、
ここで、前記iは前記少なくとも1つの転送階層にマッピングされたシンボルのシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項9に記載の通信システムにおける受信方法。
【請求項13】
通信システムにおける受信装置であって、
1つの受信されたサブフレームでプリコーディングされたシンボルy(i)から
【数16】
を復元する手段と、
複数のスクランブルされたビットを生成するために複数の変調シンボルを復調する手段と、
前記複数のスクランブルされたビットを前記1つの受信されたサブフレームに含まれた複数のビットにデスクランブルする手段と
を具備し、
ここで、前記x(i)は少なくとも1つの転送階層にマッピングされた複数の変調シンボルを示し、
前記プリコーディングされたシンボルy(i)は
【数17】
により生成され、
ここで、前記行列W(i)はP×υのサイズであり、
前記行列D(i)は、υ×υのサイズであり、かつ大きい遅延の循環式遅延ダイバーシティをサポートするための対角行列であり、
前記行列Uはυ×υのサイズであり、
前記Pはアンテナポートの個数であり、
前記υは前記転送階層の数であり、
ここで、前記行列W(i)は、前記Pと前記転送階層の数υに対応するコードブックサブセットで循環的に選択されることを特徴とする通信システムにおける受信装置。
【請求項14】
前記行列Uの要素は、m=0,1,…,υ−1及びn=0,1,…,υ−1に対して
【数18】
で定義されることを特徴とする請求項13に記載の通信システムにおける受信装置。
【請求項15】
前記行列W(i)は、i/qから導出される値のモジュロN演算により循環的に選択され、
ここで、前記iは前記少なくとも1つの転送階層にマッピングされたシンボルのシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項13に記載の通信システムにおける受信装置。
【請求項16】
【数19】
であり、
ここでCkはコードブックサブセットにおけるプリコーディングインデックスであり、
インデックスkは
【数20】
により設定され、
ここで、前記iは前記少なくとも1つの転送階層にマッピングされたシンボルのシンボルインデックスであり、
前記qはυであり、
前記Nはコードブックサブセットのサイズであることを特徴とする請求項13に記載の通信システムにおける受信装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−66208(P2013−66208A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−250179(P2012−250179)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2010−514618(P2010−514618)の分割
【原出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2010−514618(P2010−514618)の分割
【原出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】
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