説明

遊技機用の照光式押圧スイッチ

【課題】遊技機に適用される照光式押圧スイッチにおいて押圧面の面積を大きくして照光面を広くしても、均一性の高い照光が得られ、薄型で、電力の使用効率が高く、遊技機の斬新な意匠と融合させることができるものを提供する。
【解決手段】長手形状の押圧面(21)が照光する遊技機用の照光式押圧スイッチ(20)において、遊技機に固定されるとともに付勢部材(33)を収納する筐体(22)と、押圧面(21)を押圧する動作に応じて付勢部材(33)の付勢力に抗して移動するとともに開口面(S)からのぞむ内部に反射面(41,42)を有する移動子(40)と、光軸(Z)が前記付勢力の方向と略直交し押圧面(21)の長手方向に沿うとともに反射面(41)に光を入射させる光源(52)と、開口面(S)に設けられ反射面(41,42)を反射してこの開口面(S)に達した光を透過して押圧面(21)を照光させる光透過部(30)と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に適用される照光式押圧スイッチに関し、特に照光する押圧面が長手形状を有する遊技機用の照光式押圧スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコやパチスロ等に代表される遊技機では、遊技者が操作して遊技を実行する押圧スイッチが遊技機の操作パネル上に設けられている。この押圧スイッチは、賭け率を選択したり、回転しているリールを停止させたり、遊技玉(メダル)の補給・排出を行ったり、チャンススイッチと呼ばれる遊技の演出を多用化させたりする手段として適用されている。さらに、これら押圧スイッチは、光源を内臓させて押圧面を照光させることにより、多彩色を発光・点滅させて発光装飾を行ったり、遊技者に対し操作を示唆したりして、遊技機の趣向を凝らす工夫がなされている。
【0003】
このような遊技機に好適に用いられる照光式押圧スイッチとしては、操作性の観点から押圧面の面積が大きいことと、装飾性の観点から押圧面の照光むらが少ないこととが望まれる。
一方、従来から遊技機には、内臓する光源を押圧面に対しその光軸が略直交するように配置させた照光式押圧スイッチが広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−311971号公報(図2、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来から採用されている照光式押圧スイッチには、次のような問題があった。
すなわち、光源として広く用いられているLEDは、指向性が強く、押圧面(照光面)が広いと光軸が交わる中心部分とその周辺部分との輝度コントラストが大きくなる照光むらの問題が発生する。この問題を回避するためには、光源を押圧面(照光面)から離間して配置したり、光源の数を増やして押圧面(照光面)に沿って均等に配置したり、光を拡散するために厚い光拡散膜を介在させたりする構成が考えられる。ところが、このように構成された照光式押圧スイッチは、大型化したり、消費電力が大きくなったり、照光効率が低下したりする問題がある。
【0005】
さらに、近年の遊技機においては、操作パネルに曲面や流線形状を多用して意匠の斬新さを凝らした製品が数多く登場している。このため、そのような曲面に嵌め込まれても、その押圧面が操作パネル面に沿って連続性を損なわず、意匠性を低下させない照光式押圧スイッチが求められている。
しかし、前記した従来型の照光式押圧スイッチにおいては、設計自由度が小さいために、そのような曲面や流線形状を有する操作パネルに意匠性を低下させずに適用するのが困難であった。
【0006】
本発明は、以上の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、押圧面の面積が大きくなり照光面を広くしても、均一性の高い照光が得られ、薄型で、電力の使用効率が高く、遊技機の斬新な意匠と融合させることができる遊技機用の照光式押圧スイッチを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記した目的を達成するために創案されたものであり、請求項1に記載の遊技機用の照光式押圧スイッチは、長手形状の押圧面が照光するものであって、遊技機に固定されるとともに付勢部材を収納する筐体と、前記押圧面を押圧する動作に応じて前記付勢部材の付勢力に抗して移動するとともに開口面からのぞむ内部に反射面を有する移動子と、光軸が前記付勢力の方向と略直交し前記押圧面の長手方向に沿うとともに前記反射面に光を入射させる光源と、前記開口面に設けられ前記反射面を反射してこの開口面に達した光を透過して前記押圧面を照光させる光透過部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、光源から出射した光は、押圧面の長手方向に沿って進行し、移動子の反射面で反射してから押圧面(照光面)を透過する。そして、光は、この反射面から押圧面(照光面)に到るまでに、この押圧面に略平行な面内において光強度の面分布の均一化する。これにより、照光式押圧スイッチの厚み方向の光の光路が短くても、照光面における光強度の面分布の均一化が図れ、照光面を広くしても、照光の均一性が高く薄型の照光式押圧スイッチを得ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機用の照光式押圧スイッチにおいて、前記押圧面は頂点から前記光源に向かって末広がりに広がる略三角形状であり、前記反射面は、第1反射面と、この第1反射面から前記光源をのぞむ部位を隔てて設けられている第2反射面とから構成されることを特徴とする。
かかる構成によれば、遊技機の意匠の斬新さを凝らすために流線形状が多用されている操作パネルに融合させることを可能にするとともに押圧面(照光面)のアスペクト比の大きな照光式押圧スイッチを得ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の遊技機用の照光式押圧スイッチにおいて、前記光源と、前記押圧面が押圧されて下死点に到達したことを検知する検知手段と、前記光源の電力供給及び検知手段の信号出力を行う端子とが装着される基板が前記筐体に設けられていることを特徴とする。
かかる構成によれば、光源、検知手段、端子といった電子部品関係を一つの基板にまとめて装備して、この基板を筐体に固定される構成をとるので、全体構成が単純化する。これにより、組み立て容易で小型(薄型)化に寄与する照光式押圧スイッチを得ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊技機用の照光式押圧スイッチにおいて、前記押圧面は前記遊技機の水平面に対して前記長手方向に傾斜していることを特徴とする。
かかる構成によれば、遊技機の意匠の斬新さを凝らすために曲線形状が多用されている操作パネルに融合させることを可能にする照光式押圧スイッチを得ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、押圧面が長手形状を有する遊技機用の照光式押圧スイッチにおいて、この押圧面の面積が大きくなり照光面が広くなっても、均一性の高い照光が得られ、薄型で、電力の使用効率が高く、遊技機の斬新な意匠と融合する遊技機用の照光式押圧スイッチが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1から図6を参照して本発明の実施形態に係る遊技機用の照光式押圧スイッチについて説明する。
図1は、本発明に係る遊技機用の照光式押圧スイッチ20が適用される遊技機10として例示するパチンコ機の操作パネル13の部分を拡大して示す斜視図である。
パチンコ機は、遊技者の視覚により認識される表示パネル12(図示略)と、遊技者が操作する操作パネル13とが支持枠11により保持されて構成されている。そして、パチンコ機は、遊技者が操作する打球レバー15の回転角に依存して初速度が可変する鋼鉄玉を下方から弾き上げ、表示パネル12(記載略)に設けられている障害釘を抜けて所定の穴に落ちると所定量の玉を獲得するものである。
【0014】
このようにして獲得した玉は、回収皿14に一旦回収され、打球レバー15の操作により再び弾き出される。このような動作が繰り返されることにより、獲得した玉数と消費した玉数の差分が、逐次、回収皿14に蓄積されていくことになる。そして、この回収皿14の所定の容量を超えたところで、超過分の出球が貯留皿16に自動的に配送される機構となっている。
【0015】
押圧スイッチ20aは、出球の回収皿14から貯留皿16への配送を、遊技者が自発的に実行するための操作スイッチである。
押圧スイッチ20bは、このようにして配送されて貯留皿16に貯留した出球を外部(図示略の箱)に向けて排出させる操作スイッチである。
押圧スイッチ20cは、遊技の演出を多用化さるための操作スイッチである。
これら押圧スイッチ20(20a,20b,20c)は、遊技者に押圧されることにより所定の操作を実行するとともに、係る操作を遊技者に示唆したり遊技機10を発光装飾したりするために、操作パネル13から露出する押圧面が照光するようになっている。
【0016】
図2は、これら照光式押圧スイッチ20のうち押圧スイッチ20cが、操作パネル13に、組立時に装着される直前の状態を示す斜視図である。
図2に示されるように照光式押圧スイッチ20は、その外観において、押圧面(照光面)21と、筐体22と、外部端子(端子)25(図4参照)とをのぞむことができる。このように構成される照光式押圧スイッチ20は、遊技者が押圧面21を押圧状態又は無押圧状態に切り替えるのに対応させて、遊技機10(図1参照)に所定の操作を与えるものである。
【0017】
押圧面21は、直交する二方向のうち一方の寸法が他方の寸法に対して長い長手形状を有するとともに、面全体がが照光する照光面となっている。この押圧面21の面内で直交する二方向の各寸法の比率の最大値(アスペクト比)は、本実施形態においては1:3となっているが、本発明は、押圧面21のアスペクト比が1:2を超える遊技機用の照光式押圧スイッチに好適に用いられる。
また押圧面21は頂点から末広がりに広がる略三角形状を示し、筐体22の底面に対して前記長手方向に傾斜している。
【0018】
筐体22は、後記する各種構成部品(図3参照)をその内部に収容するとともに、操作パネル13に穿孔された固定孔19に挿入され、遊技機10(図1参照)に組み込まれた状態では鍔部位23を除いてその外観を目視することができない部分である。
鍔部位23は、押圧面21の外周を囲む位置に、筐体22の縁端から延出するようにして設けられている。このように構成される鍔部位23は、係止片24と協同して固定孔19の周縁を厚み方向に挟み、筐体22を操作パネル13に対して確実に係止させるものである。このように構成されることにより、照光式押圧スイッチ20は、操作パネル13が有する曲面形状の連続性を維持したまま、押圧面21のみ露出させて嵌め込まれる。
【0019】
外部端子25(図4参照)は、筐体22から突出して設けられ、遊技機10(図1参照)の本体内部又は照光式押圧スイッチ20の制御器(図示せず)から延びる配線17の先端に設けられている接続端子18と接続するものである。このように構成される外部端子25は、照光式押圧スイッチ20が照光するのに必要な電力の供給や、押圧状態又は無押圧状態を識別する信号を出力するものである。
【0020】
このように照光式押圧スイッチ20が構成されることにより、遊技機10(図1参照)の意匠の斬新さを凝らすために流線形状や曲面形状が多用されている操作パネル13に融合させることが可能となる。さらに、遊技機10の組み立て時において、このような曲面を有する操作パネル13に対し、照光式押圧スイッチ20を遊技機10の外側から垂直方向に挿入することにより取り付けることができる。
【0021】
図3は、照光式押圧スイッチ20を構成部品単位で分解して示す斜視図であり、図4は図3の死角となる方角から望む分解斜視図である。
図3に示されるように照光式押圧スイッチ20は、内部が、光透過部30と、移動子40と、電装部50と、側筒部60と、底板部70と、付勢部材33とから構成されている。
【0022】
光透過部30は、透明蓋31と、光拡散膜32とから構成されている。このように構成される光透過部30は、後記する移動子40の開口面Sを覆うように設けられ、反射面41,42(図5参照)を反射してこの開口面Sに達した光を透過して、押圧面21を照光させるものである。
【0023】
透明蓋31は、その周縁が、押圧面21に対して移動子40の移動方向に延出して構成され、その開口面Sの外周部分に嵌合するようになっている。また透明蓋31は、光を減衰させることなく透過させるとともに、遊技者の操作(繰り返し押打)に耐えられるよう充分な機械的強度を有する材質で構成されている。
そして、透明蓋31の係入孔33に、移動子40の係入片48が係合することにより、光透過部30と移動子40とが一体化する。
【0024】
光拡散膜32は、その形状が移動子40の開口面Sの外周と同じになるように切り出されたものであって、光透過部30の押圧面21とは反対側の面に密着するようにして設けられる。この光拡散膜32は、光が入射すると、その進行方向に対しさらに多方向に向けて光が拡散して透過するものである。
これにより、光拡散膜32の入射面に入射する光の面分布に多少のむらがあったとしても、光拡散膜32を透過すれは均一化されることとなり、押圧面21は均一に照光することになる。
【0025】
移動子40は、第1反射面41(図5参照)と、第2反射面42(図5参照)と、係合片45と、被検板47(図4参照)とから構成されている。このように構成される移動子40は、遊技者が押圧面21を押圧する動作に応じて、付勢部材33の付勢力に抗して移動するものである。この移動子40が有する開口面Sは、頂点から光源52に向かって末広がりに広がる略三角形状を示す押圧面21と相似形を有し、移動子40の移動方向と直交する直交面に対し傾斜すると共にその傾斜方向が長手方向になる形状を有している。
【0026】
第1反射面41、第2反射面42(適宜、図5参照)は、移動子40の開口面Sから望むと、連続しているように形成されている。
第1反射面41は移動子40の頂点部分から光源52に向かって末広がりに成形されており、第2反射面42は第1反射面41から光源52をのぞむ空間部位を隔てて設けられている(適宜図5(a)(b)参照)。さらに第1反射面41、第2反射面42及び光透過部30に囲まれる空間部位は、光源52から発せられる光が通過する(光軸Zが貫く)部分となっている。この光源52から発せられる光は、この空間部位の内部で繰り返し反射して、最終的に開口面Sから光透過部30を透過して押圧面21を照光させる。
また、第1反射面41、第2反射面42の表面は、図示略とするが、その表面で反射光が効果的に散乱するように公知の光学的なレンズカットが施されていることが望ましい。
【0027】
光透過部30と移動子40との一体物は、その側周面の少なくとも一部が、筐体22の側筒部60の内周面に摺接するように構成されている。このように構成されることにより、照光式押圧スイッチ20を操作して押圧状態、無押圧状態を繰り返す際に、往復する移動子40を筐体22に対し円滑に案内することになる(適宜、図5,図6参照)。
【0028】
そして、この光透過部30と移動子40との一体物は、押圧状態において、少なくとも一部が、筐体22の側筒部60の内周面の一部に当接するように構成されている。これにより、往復する移動子40の下死点の位置が規定されることになる。
なお、ここで上死点及び下死点とは、厳密に移動子40の最上位位置及び最下位位置を指すわけではなく、ある程度のあそびも含む概念である。
【0029】
図4を参照して説明を続ける。
係合片45は、移動子40からその移動方向に向かって延出して形成されているものであって、側筒部60の内側面から突出する係止端62に係合し、往復する移動子40の上死点の位置を規定するものである。すなわち、無押圧状態において移動子40は、付勢部材33が反発する方向に付勢力を受けるが、この係合片45が係止端62に係止されることにより、その上死点を超えて移動することが止められる。
さらに、係止片45は、その撓み方向に弾性変形するので、押圧スイッチ20の製造時に、図4の下方向矢印が示す方向に側筒部60に挿入するだけで組み付けが完了し、組み付け及び分解を容易にする。
【0030】
被検板47は、移動子40のいずれかの部位に一端が固定されているものであって、移動子40に同期して移動して、照光式押圧スイッチ20が押圧状態において電装部50の検知手段53に検知されるように位置調整されているものである。
ここで、検知手段53(適宜、図3参照)は、赤外光の発振器53aとその検出器53bとが対向するように配置されてなる断面U字形状の素子である。そして、照光式押圧スイッチ20が無押圧状態にあるときは、発振器53aの赤外光は検出器53bに検出された状態にあり、押圧状態にあるときは、被検板47がこのU字形状の窪み部分に配置され、赤外光が検出され無い状態となる。このように検知手段53は、赤外光の検出の有無に対応させて照光式押圧スイッチ20の無押圧状態及び押圧状態を判別する信号を出力するようになっている。
このように、照光式押圧スイッチ20の無押圧状態及び押圧状態を判別する手段としては、実施形態において例示したように、無接触方式であることが好ましいが、特に限定されるものではなく電気接点方式のような接触方式を採用してもよい。
【0031】
図3を参照して説明を続ける。
電装部50は、基板51の上に、光源52と、検知手段53と、さらに前記した外部端子25と、を集約して一体化して構成され、締結部材54により筐体22に固定されている。このように構成される電装部50は、電子部品関係を一つの基板にまとめて装備して、筐体22に固定される構成をとる。このため、照光式押圧スイッチ20の全体構成が単純化することにより、その組み立ての容易化及び小型(薄型)化に寄与する。
【0032】
光源52は、その光軸Z(図5参照)が、付勢部材33による付勢力の方向と略直交し、押圧面21の長手方向に沿うとともに第1反射面41に光が入射するように配置されている。この光源52は、基板51の回路上に構成することが可能な高輝度のLED(light-emitting diode)素子であることが好ましい。
この、光源52は、外部端子25を経由して供給される電力により点灯するが、図示しない制御装置により連続点灯や間歇点灯などを任意に設定することができる。また、光源52は、検知手段53からの判別信号に対応させて点灯させることも可能である。さらに光源52自身が発色する場合もあり、図示では1個であるが、互いに異色を点灯する複数の光源52を設けて、照光する押圧面21の色を可変することも可能である。さらに複数の異色の光源52を同時に点灯させることにより、混色により多彩な色を照光させることができる。
【0033】
側筒部60は、筐体22の側面を形成するのもであって、係止端62(図4参照)と、係入孔63と、さらに前記した鍔部位23と、係止片24とから構成されている。
底板部70は、筐体22の底面を形成するものであって、この底板部70の周縁から突起する係入片71が、側筒部60に穿孔されている係入孔63に係入することにより、側筒部60及び底板部70は一体化して筐体22が形成されることになる。
【0034】
次に図5及び図6を参照して、照光式押圧スイッチ20の動作説明を行う。ここで、図5は照光式押圧スイッチ20の無押圧状態を示し、図6は照光式押圧スイッチ20の押圧状態を示している。図5(a)図6(a)は照光式押圧スイッチ20の長軸方向に沿って切断したもののうち片側半分を示す斜視図であり、図5(b)図6(b)は照光式押圧スイッチ20の長軸方向に沿う縦断面図である。
【0035】
照光式押圧スイッチ20が、無押圧状態を示す場合(図5)は、移動子40は、付勢部材33が反発する方向に付勢されるが、移動子40に設けられている係合片45(図4参照)が、側筒部60に設けられている係止端62(図4参照)に係合するので、押圧面21は、鍔部位23から突出した位置の上死点で静止することになる。
この無押圧状態では、被検板47は、検知手段53により検知されない状態にあるので、その旨を判別した信号が外部端子25から出力されることとなる。
【0036】
一方、照光式押圧スイッチ20が、押圧状態を示す場合(図6)は、光透過部30と移動子40との一体物は、遊技者により付勢部材33の付勢力に抗して押圧されるが、この一体物の一部(図では、光透過部30の縁部分)が、側筒部60の内周面の一部に当接するので、押圧面21は、鍔部位23に面があう位置の下死点で静止することになる。
この押圧状態では、被検板47は、検知手段53により検知される状態にあるので、その旨を判別した信号が外部端子25から出力されることとなる。
【0037】
図5(b)において、照光する照光式押圧スイッチ20の光の伝達経路を模式的に示している。
光源52は、照光式押圧スイッチ20が押圧状態又は無押圧状態であることに関係して又は無関係に点灯するように制御される。そして、光源52を出射した光は、押圧面21の長手方向に沿って進行し、光透過部30の内壁及び反射面41,42等で閉じられた空間の内部で反射を繰り返して、光透過部30を透過して押圧面21を照光させることとなる。
【0038】
このように光が反射を繰り返す過程において、図示しない光学的なレンズカットが施されている第1反射面41、第2反射面42の表面で散乱し、光透過部30を透過する直前の光は、押圧面21に略平行な面内において光強度の面分布が均一化されることとなる。さらに、光拡散膜32の作用により、これを透過した光はさらに拡散して広がるために、押圧面21の照光はさらに均一性を増すこととなる。
このように、本実施形態に係る照光式押圧スイッチでは、その厚み方向の光の光路を長くとる必要なく光強度の面分布の均一化が図れるために、照光面を広くしても、照光の均一性が高く薄型にすることができる。
【0039】
以上説明した実施形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
例えば、実施形態に係る照光式押圧スイッチ20の押圧面21は、傾斜した略三角形状として示されているがこれに限定されることはなく、長手形状を有すれば水平な任意形状も含まれる。また、反射面についても実施形態に係る照光式押圧スイッチ20では、第1反射面41と第2反射面42と二つに分離されているものを例示したが、分離されている必要はなく連続していてもよいし、三つ以上に分離されているものでもよい。
【0040】
また、本発明は、移動子40を下死点においてロックするロック機構を備える照光式押圧スイッチにおいても適用することができる。
さらに、本発明は、照光式押圧スイッチが押圧状態にあることを認識するのに必要な、検知手段53を必須の構成要素としない。すなわち、図1の押圧スイッチ20a,20bに示されるような、その押圧状態、無押圧状態に呼応して、閉栓が開く等、他の部品の機械的動作を引き起こすものにも適用することができる。
【0041】
さらに、光源52は、筐体22側に設けられる場合に限定されるものでなく、移動子40側に設けられている場合もある。この場合、移動子40の往復運動を妨げることなく、光源52に電力を供給するために、筐体22と移動子40とが摺動接点により電気的に接続される必要がある。
このように照光式押圧スイッチが構成されることにより、押圧面21の押し込み量にかかわらずこの押圧面21と光源52との相対位置関係が常に一定となる。これにより、押圧面21の移動ストロークを長くした場合であっても、押圧状態及び無押圧状態の両状態において押圧面21の輝度は常に一定となる。
【0042】
さらに、移動子40の反射面に導光板を採用することもできる。
導光板とは、その端面から入射した光を内部伝導させるとともに、表面に刻設された溝によりこの内部伝導する光を乱反射させ、この表面に垂直な方向に光を照光させるものである。つまり、側面からの点光源を正面に向かう面光源に変換するものである。
このように照光式押圧スイッチが構成されることにより、光透過部30に向かって進行する光は、すでにその面内において光強度の均一性が高いので、押圧面21における照光の均一性はさらに向上するとともに照光式押圧スイッチ20の薄型化にも寄与することとなる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る遊技機用の照光式押圧スイッチが適用される遊技機として例示するパチンコ機の操作パネル部分を拡大して示す斜視図である。
【図2】照光式押圧スイッチが、遊技機の操作パネルに、組立時に装着される直前の状態を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る照光式押圧スイッチを構成する部品を分解して示す斜視図である。
【図4】実施形態に係る照光式押圧スイッチにおいて図3の死角となる方角から望む分解斜視図である。
【図5】(a)は無押圧状態の照光式押圧スイッチを長軸方向に沿って縦に切断したもののうち片側半分を示す斜視図であり、(b)は長軸方向に沿う縦断面図である。
【図6】(a)は押圧状態の照光式押圧スイッチを長軸方向に沿って縦に切断したもののうち片側半分を示す斜視図であり、(b)は長軸方向に沿う縦断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10 遊技機
20,20a,20b 照光式押圧スイッチ
21 押圧面
22 筐体
25 外部端子(端子)
30 光透過部
33 付勢部材
40 移動子
41 第1反射面(反射面)
42 第2反射面(反射面)
51 基板
52 光源
53 検知手段
S 開口面
Z 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手形状の押圧面が照光する遊技機用の照光式押圧スイッチにおいて、
遊技機に固定されるとともに付勢部材を収納する筐体と、
前記押圧面を押圧する動作に応じて前記付勢部材の付勢力に抗して移動するとともに開口面からのぞむ内部に反射面を有する移動子と、
光軸が前記付勢力の方向と略直交し前記押圧面の長手方向に沿うとともに前記反射面に光を入射させる光源と、
前記開口面に設けられ前記反射面を反射してこの開口面に達した光を透過して前記押圧面を照光させる光透過部と、を備えることを特徴とする遊技機用の照光式押圧スイッチ。
【請求項2】
前記押圧面は頂点から前記光源に向かって末広がりに広がる略三角形状であり、
前記反射面は、第1反射面と、この第1反射面から前記光源をのぞむ部位を隔てて設けられている第2反射面とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の遊技機用の照光式押圧スイッチ。
【請求項3】
前記光源と、前記押圧面が押圧されて下死点に到達したことを検知する検知手段と、前記光源の電力供給及び検知手段の信号出力を行う端子とが装着される基板が前記筐体に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機用の照光式押圧スイッチ。
【請求項4】
前記押圧面は前記遊技機の水平面に対して前記長手方向に傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遊技機用の照光式押圧スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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