運動靴又はランニングシューズ選定システム及び提示システム
【課題】 顧客のランニング時における足首の傾斜角、並びに、走法及び靴の使用目的に基づいて、顧客に最も適した運動靴又はランニングシューズを選定し、提示できるようにした運動靴又はランニングシューズの選定及び提示システムを提供することにある。
【解決手段】 靴の使用目的、走法、足首の傾斜角に基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から顧客に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段とを備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システムである。
【解決手段】 靴の使用目的、走法、足首の傾斜角に基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から顧客に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段とを備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動靴又はランニングシューズの購入希望者(以下、顧客という)の足首の傾き、走法又は靴の使用目的に基づき、当該顧客に適した運動靴又はランニングシューズを選定し、提示できるようにした運動靴又はランニングシューズの選定及び提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種のランナーに適した運動靴又はランニングシューズの構造については様々な研究がされ、様々な構造と特性を有する運動靴又はランニングシューズが製造され、販売されている。
【0003】
そして、運動靴又はランニングシューズを購入する際には、顧客が店頭へ出かけて好みの運動靴又はランニングシューズを選定している。ここで、各顧客に適した運動靴又はランニングシューズは、本来、顧客のランニング時の足首の傾き又は走法等に基づき選定することが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、一般的に、顧客は、運動靴又はランニングシューズを明確な基準によることなく、履き心地、重さ、価格又はデザインに基づいて選定していたため、販売店の店員に勧められる運動靴又はランニングシューズをそのまま購入したり、単に価格とか外観に基づいて選定する場合が多く、各運動靴又はランニングシューズの顧客の身体的特徴(ランニング時の足首の傾き)と、その走法や靴の使用目的に適した運動靴又はランニングシューズを的確に購入することは困難であった。
【0005】
一方、特許文献1には、図24に示すように、顧客の足首の傾斜角を測定して、顧客の足首の傾斜角に適した運動靴又はランニングシューズを選定する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2004−305374 前記特許文献1においては、足の形状を三次元で計測する。そして、該計測によって得た足の形状の三次元データに基づいて、踵断面を含む、前後方向向きの足の二次元断面100を求める。そして、該二次元断面の左右方向における中心線101を求め、地面に対する垂線102と該中心線101の傾角αから該足の傾斜角を求めるものである。
【0006】
以上のように、前記特許文献1には、顧客の通常時の足首の傾斜角を測定する旨が開示され、顧客の通常時における足首の静的な傾斜角に基づいて顧客に適した靴を選定する発明が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の発明は、顧客が通常の生活において一般的に履く靴を対象にしているものであって、運動靴又はランニングシューズを対象にしているものではない。
【0008】
つまり、特許文献1においては、顧客は静止した直立の姿勢で計測されるものであって、且つ、足の向きは両足が平行であるため、外旋、内旋は生じず、図25(a)に示すように、回内、回外が起きずに、足後部の角度は外反、内反の角度の計測のみにとどまるものである。
【0009】
一方、ランニング時においては、たとえば、距骨下関節の外旋、背屈、外反のそれぞれの方向の回転が重なり、その結果、図25(b)に示すように、地面に対して傾斜するという現象がある。当該傾斜には、以下の特徴がある。
傾斜は、人によって異なる。
傾斜は、ランニングフォームで異なる。
傾斜は、路面状況で異なる。
傾斜は、運動靴又はランニングシューズによって異なる。
【0010】
このように、ランニング時の足首の傾斜角は、様々な要因で起きるものであって、顧客が静止した直立の姿勢で当該傾斜角を測定することは不可能である。
【特許文献1】つまり、特許文献1に記載の発明で、顧客に適した運動靴又はランニングシューズを選定することは困難であった。
【0011】
そこで、本発明は、前記従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、顧客のランニング時における足首の傾斜角、並びに、顧客の身体的特徴、走法及び靴の使用目的に基づいて、顧客に最も適した運動靴又はランニングシューズを選定し、提示できるようにした運動靴又はランニングシューズの選定及び提示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、運動靴又はランニングシューズの顧客の身長又は脚長データと、当該顧客の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、当該顧客による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態から顧客の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、
当該顧客による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態から顧客の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から顧客に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段とを備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システムである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、運動靴又はランニングシューズの購入希望者の身長又は脚長データと、当該顧客の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、当該顧客による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態を側方及び後方又は前方から撮影するための撮影手段と、当該撮影手段によって得られた顧客の側面の画像から顧客の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、前記撮影手段によって得られた顧客の後方又は前方の画像から顧客の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から顧客に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段とを備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システムである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、シューズ特性記憶手段は、靴の重量、耐久性及びソールの硬度特性に関する特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズに適した用途として、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用といった使用目的別のカテゴリーに分類して靴の用途を記憶することを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、前記シューズ特性記憶手段は、靴底の衝撃吸収材が踵部に多く用いられている又は全体的に均等に用いられているといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特性をストライド走法に向いている又はピッチ走法に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、前記シューズの特性記憶手段は、靴底先端部が曲がりやすい又は曲がりにくいといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特徴をストライド走法に向いている又はピッチ走法に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、前記シューズ特性記憶手段は、靴底の硬度が内側ほど大きい又は外側ほど大きいといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特性を足首の外方への傾斜の矯正に向いている又は足首の内方への傾斜の矯正に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とするものである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、前記傾斜角判定手段は、顧客による靴の装着時におけるランニングの状態から顧客の足首の傾きに関する傾斜角データを算出することができ、前記シューズ選定手段による靴の選定が妥当であったか否かを検証することができることを特徴とするものである。
【0019】
請求項8に記載の発明は、複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、それらの運動靴又はランニングシューズの在庫の有無を記憶するための在庫管理手段と、運動靴又はランニングシューズの顧客の身長又は脚長データと、当該顧客の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、当該顧客による素足又は素足の状態に近い靴でのランニングの状態から顧客の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、当該顧客による素足又は素足の状態に近い靴でのランニングの状態から顧客の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から顧客に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段と、当該シューズ選定手段によって選定された運動靴又はランニングシューズの内、在庫として存在する運動靴又はランニングシューズを運動靴又はランニングシューズ購入希望者に提示するために、選定された運動靴又はランニングシューズの在庫の有無を前記在庫管理手段について検索するための検索手段とを備えていることを特徴とする運動靴又はランニングシューズの提示システムである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、顧客の身長又は脚長データと、顧客の歩幅と、運動靴又はランニングシューズの顧客の使用目的、及び顧客のランニング時の足首の傾斜角とから顧客に適した特性の運動靴又はランニングシューズを客観的に選定することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、撮影手段によって顧客のランニング時の歩幅、及び顧客のランニング時の足首の傾斜を求めることができ、またディスプレイなどの表示装置により傾斜状態を顧客に視覚化することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的な競技参加用又はトレーニング用といった使用目的別に顧客に適した運動靴又はランニングシューズを選定することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、顧客の走法が、ストライド走法又はピッチ走法の別によって、靴底の衝撃部材が踵部に多く用いられている又は全体に均等に用いられているといった特性の運動靴又はランニングシューズを選定することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、顧客の走法が、ストライド走法又はピッチ走法の別によって、靴底先端部が曲がり易い、又は曲がりにくいといった特性の運動靴又はランニングシューズを選定することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、ランニング時に、顧客の足首が傾斜傾向にある場合には、傾斜を矯正できる運動靴又はランニングシューズを選定することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、選定した運動靴又はランニングシューズを顧客が実際に装着した状態で、顧客の足首の傾斜角を求めることにより、選定した運動靴又はランニングシューズが適したものであるか否かを検証することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、顧客に適した運動靴又はランニングシューズであって在庫中に存在するものを顧客に提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本実施形態の運動靴又はランニングシューズ選定システムは、顧客自身の客観的なデータを求め、当該顧客のデータに適した特性を有する運動靴又はランニングシューズを選定するシステムである。
【0029】
運動靴又はランニングシューズKを選定する際に重要な顧客のデータとしては、顧客の走法データ、運動靴又はランニングシューズKの使用目的、並びに、顧客のランニング時の足首の傾斜に関するデータが該当する。
【0030】
前記走法データとは、顧客の走法が、ストライド走法とピッチ走法との何れの走法であるかを意味する。図1に示すように、ストライド走法は、歩幅が広い走法であって、図2に示すように、着地の際には、運動靴又はランニングシューズKの踵部K1から着地する一方、図3に示すように、つま先K2で地面を後方へ強く蹴り出すようにして前進する点に特徴を有する走法であって、比較的上下動の大きな走法である。
【0031】
一方、ピッチ走法とは、図4に示すように、歩幅が狭い走法であって、図5に示すように、着地の際には、靴裏K3全体で着地する点に特徴を有する走法であって、ストライド走法と比較した場合に、図6に示すように、後方への蹴り出しは小さいが、小股でランニングするため、足の動きが素早く、且つ、上下動の比較的小さな走法である。このように、双方の走法は全く対称的であるため、顧客の走法が何れの走法であるかによって、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKの選定が大きく左右されるものである。
【0032】
つまり、顧客の走法から顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選択する場合、顧客がストライド走法の場合には、着地の際に、踵部K1の衝撃吸収が大きく、しかも、ソールの反発力を利用して、つま先K2で地面を強く後方へ蹴り出すことができるように撓み特性の大きな運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適している。
【0033】
一方、顧客がピッチ走法の場合には、素早く足を動かすことでスピードを得ることができるように、着地、体重移動、蹴り出しという足の動きを速くできるように、ソールが柔軟に対応できるように撓み特性の小さな運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適している。
【0034】
又、前記運動靴又はランニングシューズKの使用目的とは、顧客が運動靴又はランニングシューズKを、本格的なトップレベルの競技参加用に用いるものか、又は、一般的なレベルの競技参加用やトレーニング用に用いるものかを意味する。つまり、顧客が運動靴又はランニングシューズKを、本格的なトップレベルの競技参加用に用いる場合には、軽量であって、ソールの硬度が比較的大きな運動靴又はランニングシューズKが適しているものである。一方、顧客が運動靴又はランニングシューズKを、一般的なレベルの競技参加用やトレーニングに用いる場合には、運動靴又はランニングシューズKが長期間使用できるように耐久性があって、しかも、足に作用する負担を軽くするために、ソールの硬度が比較的小さなものが適している。このように、顧客が、運動靴又はランニングシューズKを何れの使用目的に用いるかも、当該運動靴又はランニングシューズKを選択する際の重要な要素になるものである。
【0035】
更に、前記顧客のランニング時の足首の傾斜に関するデータとは、顧客がランニング時において、図7(a)に示すように、正常状態にあるか、又は、図7(b)に示すように、プロネーション(以下、回内という)であるか、更には、図7(c)に示すように、サピネーション(以下、回外という)の何れの状態であるかを意味する。図7は、右足の足首近傍を後方から観た状態を示す図である。ここで、回内とは、距骨下関節における、外旋、背屈及び外反が起きることで、ふくらはぎの中心線Lと、足後部中心線Mが、一直線にならずに、同図7(b)に示すように、ふくらはぎの中心線Lが外側に傾いた状態をいう。又、回外とは、距骨下関節における、内旋、底屈及び内反が起きることで、ふくらはぎの中心線Lと、足後部中心線Mが、一直線にならずに、同図7(c)に示すように、ふくらはぎの中心線Lが内側に傾いた状態をいう。又、過回内とは回内が過度に進行した状態であり、過回外とは回外が過度に進行した状態をいうものである。顧客の足首が、過回内、又は過回外である場合に、運動靴又はランニングシューズKの選定を間違った場合には、ランニングを継続することによって、大きな足の障害に繋がる虞がある。回内、又は回外が進行していない場合、即ち、回内傾向(軽度の回内)、又は回外傾向(軽度の回外)であっても、ランニングを継続することによって、大きな足の障害に繋がる虞がある。回内及び回外は足の状態であって、意識して調整することが困難である。このような場合には、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選定することにより、回内又は回外を矯正することができる。
【0036】
顧客の足首が回内の場合には、図8に示すように、運動靴又はランニングシューズKが(a)の状態から、(b)の状態のように、靴底の内側がつぶれるように変形してしまうため、(c)に示すように、靴底の内側K4が堅い素材で形成された運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適している。一方、顧客の足首が回外の場合には、図9に示すように、運動靴又はランニングシューズKが(a)の状態から、(b)の状態に示すように、靴底の外側がつぶれるように変形してしまうため、(c)に示すように、靴底の外側K5が堅い素材で形成された運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適している。図8、図9は右側の運動靴又はランニングシューズKを後方から観ている状態を示す。
【0037】
本実施形態に係わる運動靴又はランニングシューズ選定システムは、以上の観点から、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを客観的に選定できるシステムである。
【0038】
本実施形態に係わる運動靴又はランニングシューズ選定システムの構成を図10に示す。当該選定システム1は、入力手段2と、パーソナルコンピュータ(以下、PCと言う)本体3と、走行機Rとを備えている。
【0039】
入力手段2は、キーボード4と、撮影手段5を備えている。キーボード4からは顧客の氏名や性別、身長、脚長等が入力され、又、複数の運動靴又はランニングシューズKの用途や特性が入力される。
【0040】
ここで、複数の運動靴又はランニングシューズKの用途とは、各運動靴又はランニングシューズKが、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的な競技参加用又はトレーニング用であるかを意味する。又、複数の運動靴又はランニングシューズKの特性とは、各運動靴又はランニングシューズKがストライド走法の顧客に適しているか又はピッチ走法の顧客に適しているかの特性が該当する。当該特性には、重量、耐久性、ソールの硬度特性や、図2に示すように、靴底の衝撃吸収材が踵部K1に多く用いられているか、又は、図5に示すように、靴裏K3に全体的に均等に用いられているかという特性、更には、図3に示すように、靴底先端部K2が曲がり易いか、又は、図6に示すように、曲がりにくいかという特性が該当する。又、運動靴又はランニングシューズKの特性には、図9(c)に示すように、靴底の外側K5が硬いか、図8(c)に示すように、内側K4が硬いかの特性、即ち、回内の足首の顧客に適しているか、又は、回外の足首の顧客に適しているかの特性も該当する。
【0041】
図2に示すように、靴底の衝撃吸収材が踵部K1に多く用いられているか、又は、図5に示すように、全体的に均等に用いられているかは、たとえば以下のようにして、数値化される。図11は、運動靴又はランニングシューズKを側方から見た状態の図であって、該運動靴又はランニングシューズKの前側と後側に、直径20mmで10kgの円柱を落下させた時の衝撃時の加速度IF、IRを測定して、シューズの衝撃特性(IR/IF)を求めることにより、図11(a)に示すように、靴底の衝撃吸収材が踵部K1に多く用いられているか、又は、図11(b)に示すように、靴裏K3に全体的に均等に用いられているかを数値化することができる。
【0042】
又、図3に示すように、靴底先端部K2が曲がり易いか、又は、図6に示すように、曲がりにくいかという特性は、たとえば以下のようにして数値化できる。図12は、運動靴又はランニングシューズKを側方から見た状態の図であって、運動靴又はランニングシューズKを離間した二つの支柱S,S上に置き、この支柱S,S間の中心において、運動靴又はランニングシューズKに上方から荷重を加えるようにしている。そして、荷重が加えられた状態において、荷重点における運動靴又はランニングシューズKの撓み量を測定して、荷重/撓み量を演算することにより、靴底先端部が撓み易いか、又は撓みにくいかというシューズの撓み特性Ksを数値化できるものである。
【0043】
更に、図8に示すように、靴底の内側K4が硬いか、図9に示すように、外側K5が硬いかの特性はたとえば以下のようにして数値化させることができる。図13は、右側の運動靴又はランニングシューズKを後方から観た状態の図である。そして、運動靴又はランニングシューズKの内側K4と外側K5にそれぞれ上方から荷重を加えた場合において、外側K5の部分のバネ定数Foと内側K4の部分のばね定数Fiとを測定し、シューズの傾斜特性Fi/Foを求めることにより、靴底の内側K4が硬いか、外側K5が硬いかの特性を数値化させることができる。
【0044】
図10に示すように、前記撮影手段5は、走行機R上でランニングする顧客を撮影するために、当該顧客の側方から顧客を撮影する第1カメラ7と、当該顧客の前方又は後方から顧客を撮影する第2カメラ8とから構成される。第1カメラ7は、図14に示すように、顧客のランニング時の歩幅Hを特に撮影できるように位置設定されている。又、第2カメラ8は、図7に示すように、顧客のランニング時の足首の角度を特に撮影できるように位置設定されている。
【0045】
図10に示すように、前記走行機Rは、駆動輪9と従動輪10とにベルト11を巻回し、駆動輪9を電動モータ(図示せず)で回転駆動させる構成であって、ベルト11上で顧客がランニングできるようになっている。該電動モータは前記PC本体3に制御されてベルト11のランニングスピードを増減制御するように構成されている。該PC本体3は、ベルト11上をランニングする顧客の心拍数等に基づきベルトのランニングスピードを増減制御するようにプログラムで設定されている。
【0046】
図10に示すように、前記PC本体3は、ディスプレイ12を備えている。該PC本体3は、CPU(図示せず)と、記憶手段とを備えている。該記憶手段には、予め所定にプログラムが内蔵され、CPUが該プログラムを読み出すことにより、図15に示すように、シューズ特性記憶手段13と、顧客データ記憶手段14と、走法データ判定手段15と、傾斜角判定手段16と、シューズ選定手段17と、検索手段18と、在庫管理手段19とが構成されるものである。
【0047】
前記シューズ特性記憶手段13には、運動靴又はランニングシューズKを用途別と、特性別に記憶されている。ここで、用途別に運動靴又はランニングシューズKを記憶するとは、運動靴又はランニングシューズKを本格的なトップレベルの競技参加用、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用といった使用目的別のカテゴリに分類して運動靴又はランニングシューズKを記憶することを意味する。又、特性別に運動靴又はランニングシューズKを記憶するとは、顧客の走法が、ストライド走法、又はピッチ走法のカテゴリーに分けて運動靴又はランニングシューズKを記憶することを意味する。更に、特性別に運動靴又はランニングシューズKを記憶するとは、図9(c)に示すように、靴底の硬度が外側K5ほど大きいか、又は、図8(c)に示すように、内側K4ほど大きいかといったカテゴリーに分けて運動靴又はランニングシューズKを記憶することも意味する。運動靴又はランニングシューズKの前記用途、及び特性は、キーボード4から入力されるものである。
【0048】
前記顧客データ記憶手段14には、顧客の氏名、性別、顧客の身長又は脚長データ等が記憶される。これらの顧客データは、図10に示すキーボードから入力されるものである。
【0049】
前記走法データ判定手段15は、顧客のランニング時の歩幅と、顧客の身長又は脚長に基づき、顧客の走法がストライド走法かピッチ走法かを判定する手段である。顧客の歩幅は、図10に示す第1カメラ7で撮影された画像データから顧客の平均的な歩幅H(図14に示す)を測定することにより求められる。又、顧客の身長や脚長は、身長計等で実測することにより求めることができる。そして、走法データ判定手段は、歩幅及び身長又は脚長に基づき、歩幅/身長、又は歩幅/脚長*2を演算することによって、顧客の走法がストライド走法かピッチ走法かを判定することができるものである。ここで、本実施形態において、身長とは、足裏から頭頂部までの長さであり、脚長とは、足裏から転子点までの長さである。図16に示すように、上式の演算結果が、1.0以上の場合には、顧客の走法がストライド走法で、1.0以下の場合には、ピッチ走法であると判定される。顧客の歩幅を求める場合、顧客は、素足、又は、素足に近い靴で走行機Rの上で実際にランニングすることにより、装着した場合の靴に左右されることのない、各顧客の本来の正確な歩幅を求めることができる。
【0050】
図15に示す傾斜角判定手段16は、図10に示す第2カメラ8で撮影された画像データに基づき、顧客のランニング時の足首の傾斜角度を求める手段である。顧客のランニング時の足首の傾斜角度を求めることにより、顧客の足首が正常であるか、又は、回内であるか、更には、回外であるかを判定できるものである。ここで、顧客のランニング時の足首の傾斜角とは、図7中、ふくらはぎの中心線Lと、足後部中心線Mとで形成される角度θをいう。顧客のランニング時の足首の傾斜角を求める場合、顧客は、素足、又は、素足に近い靴で走行機Rの上で実際にランニングすることにより、たとえば、クッション性を備えた厚みのある靴を用いた場合とは異なり、靴に左右されることのない、各顧客の足首の本来の正確な傾斜角を求めることができる。
【0051】
次に、図17を参照して、顧客の足首の傾斜角の測定のタイミングについて説明する。先ず、同図17(a)は、顧客が静止している時の脚の状態を概念的に示す側面図である。又、同図17(b)は、顧客がランニング中の脚の状態を概念的に示す側面図である。同図17(b)に示すように、ランニングは、大きく分けて、着地期、体重移動期、蹴出期からなる。
【0052】
そして、図17(c)は、顧客が同図に示すように静止している時における顧客の右足の足首を後方から観た状態の図である。又、図17(d)は、図17(b)に示すように、ランニング中での体重移動期における顧客の右足の足首を後方から観た状態の図である。図17(b)と図17(d)とを対比して明確なように、足首の傾斜角は、図17(b)に示す静止した直立時と、図17(d)に示すランニング中とでは、全く異なるものである。しかも、図17(d)に示すランニング中では、体重移動期において、足首に最大荷重が加わるため、当該体重移動期において足首の傾斜角を測定し、適切な運動靴又はランニングシューズを顧客に選定することができるものである。
【0053】
図15に示すシューズ選定手段17は、同図15に示す顧客データ記憶手段14に記憶されている運動靴又はランニングシューズKの使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、同図15に示すシューズ特性記憶手段13に記憶されている運動靴又はランニングシューズKの内から顧客に好適な運動靴又はランニングシューズKを選定する手段である。図18乃至図20を参照して、前記シューズ選定手段17が、顧客に好適な運動靴又はランニングシューズKを選定する手法について説明する。
【0054】
先ず、図18は、ストライド走法又はピッチ走法を示す走法特性SRと、前記シューズの衝撃特性IR/IFとの関係を示す。図18(a)は一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKについての走法特性SRとシューズの衝撃特性IR/IFとの関係を示し、図18(b)はトレーニング用の運動靴又はランニングシューズKについての走法特性SRとシューズの衝撃特性(IR/IF)との関係を示す。尚、運動靴又はランニングシューズKの使用目的が、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用であるかの別は、キーボードのキー操作によって選択することができる。
【0055】
両図18(a),図18(b)に示すように、走法特性SRが0.6から1.0までがピッチ走法であって、1.0から1.1までがストライド走法である。そして、同図18(a)に示すように、一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKの場合には、ピッチ走法においては、シューズの衝撃特性(IR/IF)が0.60から1.12の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定し、一方、ストライド走法においては、シューズの衝撃特性(IR/IF)が1.12から1.4の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定する。
【0056】
又、同図(b)に示すように、トレーニング用の運動靴又はランニングシューズKの場合には、ピッチ走法においては、シューズの衝撃特性(IR/IF)が0.60から1.19の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定し、一方、ストライド走法においては、シューズの衝撃特性が1.19から1.30の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定する。
【0057】
次に、図19は、ストライド走法又はピッチ走法を示す走法特性SRと、前記シューズの撓み特性Ksとの関係を示す。図19(a)は一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKについての走法特性SRとシューズの撓み特性Ksとの関係を示し、図19(b)はトレーニング用の運動靴又はランニングシューズKについての走法特性SRとシューズの撓み特性Ksとの関係を示す。
【0058】
図19(a)に示すように、一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKの場合には、ピッチ走法においては、シューズの撓み特性Ksが0.9から1.5の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定し、一方、ストライド走法においては、シューズの撓み特性Ksが1.5から1.8の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定する。
【0059】
又、図19(b)に示すように、トレーニング用の運動靴又はランニングシューズKの場合には、ピッチ走法においては、シューズの撓み特性Ksが0.9から1.3の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定し、一方、ストライド走法においては、シューズの撓み特性Ksが1.3から1.4の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定する。
【0060】
次に、顧客の足首の傾斜角に基づき、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選定する手法について図20を参照して説明する。図20は、足首の傾斜角と、シューズの傾斜特性(Fi/Fo)との関係について示す。同図20に示すように、傾斜角が0度から−5度の範囲が回外傾向であって、傾斜角が0度から15度の範囲が正常であって、傾斜角が15度から20度の範囲が回内傾向である。そして、顧客が回外傾向である場合には、シューズの傾斜特性が0.9から1.0の範囲の運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適しているとして選定する。又、顧客が正常範囲内である場合には、シューズの傾斜特性が1.0から1.3の範囲の運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適しているとして選定する。更に、顧客が回内傾向である場合には、シューズの傾斜特性が1.3から1.4の範囲の運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適しているとして選定する。
【0061】
図21は、前述の図18と図20を1つの図にまとめた図である。尚、同図21は一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKを選定する場合について図示している。同図21の縦軸は、足首の傾斜角とシューズの傾斜特性(Fi/Fo)を示し、横軸は、走法特性SRとシューズの衝撃特性(IR/IF)を示している。
【0062】
同図21には、それぞれの特性の運動靴又はランニングシューズA,B、C、D、Eが記載され、又、顧客の状態Xが記載されている。同図21に示すように、顧客の状態Xに一致する特性の運動靴又はランニングシューズKがない場合には、顧客の状態Xに最も近い運動靴又はランニングシューズDが選定される。
【0063】
図22は、前述の図19と図20を1つの図にまとめた図である。尚、同図22は一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKを選定する場合について図示している。同図22の縦軸は、足首の傾斜角とシューズの傾斜特性(Fi/Fo)を示し、横軸は、走法特性SRとシューズの撓み特性Ksを示している。
【0064】
次に、図15に示す検索手段18及び在庫管理手段19について説明する。在庫管理手段19は、店に在庫として存在する運動靴又はランニングシューズKについて、前記走法特性SR、シューズの衝撃特性(IR/IF)、シューズの撓み特性Ksを記憶しておき、検索手段18は、図15に示すシューズ選定手段17の選定結果に一致するか又は最も近い特性の運動靴又はランニングシューズKをディスプレイに表示して顧客に提示するものである。
【0065】
次に、図23を参照しながら、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選定する手法について説明する。ステップS1において、顧客の氏名、身長、脚長等をキーボードから入力すると、これらの顧客データは図15に示す顧客データ記憶手段14に記憶される。
【0066】
次に、ステップS2において、キーボード4をキー操作することにより、顧客が、運動靴又はランニングシューズKを本格的なトップレベルの競技参加用に用いるものか、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用に用いるかを選択する。
【0067】
次に、ステップS3において、図10に示す走行機Rの上で顧客がランニングしている状態を同図10に示す第1カメラ7で側面から撮影し、又、第2カメラ8で顧客の正面又は真後ろから撮影する。
【0068】
ステップS4において、顧客の身長又は脚長と、歩幅に基づき、顧客の走法がストライド走法かピッチ走法かを判定する。
【0069】
一方、ステップS5において、図15に示す傾斜角判定手段16が、顧客の足首の傾斜角を求める。ステップS6において、顧客の足首の傾斜角が矯正可能範囲外の場合には、ステップS7において、医師の治療を推奨する。
【0070】
ステップS6において、顧客の足首の傾斜角が矯正可能範囲内の場合には、ステップS8において、顧客の足首の傾斜角と歩幅に基づき、図15に示すシューズ選定手段17が、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選定する。
【0071】
そして、図15に示す検索手段18が顧客に提示した運動靴又はランニングシューズKを顧客が装着して、ステップS9において、走行機R上でランニングを実施し、ステップS10において、その状態を第2カメラ8で撮影することにより、顧客の足首の傾斜角を求め、ステップS11において当該運動靴又はランニングシューズが顧客に適していることを検証した場合には終了する一方、適していない場合には、ステップS8に戻って以上の工程と同様の工程を実行する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態においては、顧客のデータと運動靴又はランニングシューズKの特性とに基づき、顧客に適した特性の運動靴又はランニングシューズKを客観的に選定することができるものである。
【0073】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、走法を判定するため脚長データとして、足裏から股下までの長さを用いたり、着用しているズボンの丈(長さ)を用いて適宜適切な計算を行うようにしても良い。
【0074】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、ランニングシューズ、運動靴に使用される新素材により、それぞれの判定値、上限値、下限値などを適切な尺度に調整しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】ストライド走法の状態を概念的に示す図である。
【図2】ストライド走法における着地時の踵の状態を示す図である。
【図3】ストライド走法において、つま先で地面を蹴り出すようにして前進する状態を示す図である。
【図4】ピッチ走法の状態を概念的に示す図である。
【図5】ピッチ走法における着地時の踵の状態を示す図である。
【図6】ピッチ走法において、つま先の状態を示す図である。
【図7】ランニング時における足首の傾斜を示す図である。
【図8】ランニング時における足首の傾斜を矯正する状態を示す図である。
【図9】ランニング時における足首の傾斜を矯正する状態を示す図である。
【図10】本実施形態の構成を示す図である。
【図11】運動靴又はランニングシューズに荷重を加えてシューズの衝撃特性を求める状態を示す図である。
【図12】運動靴又はランニングシューズに荷重を加えてシューズの撓み特性を求める状態を示す図である。
【図13】運動靴又はランニングシューズに荷重を加えてシューズの傾斜特性を求める状態を示す図である。
【図14】顧客のランニング時の状態を示す図である。
【図15】本実施形態のブロック構成図である。
【図16】シューズの走法特性と、ストライド走法及びピッチ走法との関係を示す図である。
【図17】足首の傾斜角を測定するタイミングを示す図である。
【図18】シューズの走法特性と、シューズの衝撃特性との関係を示す図である。
【図19】シューズの走法特性と、シューズの撓み特性との関係を示す図である。
【図20】顧客のランニング時の足首の傾斜角と、シューズの傾斜特性の関係を示す図である。
【図21】足首の傾斜角及びシューズの傾斜特性と、シューズの走法特性及びシューズの衝撃特性との関係を示す図である。
【図22】足首の傾斜角及びシューズの傾斜特性と、シューズの走法特性及びシューズの撓み特性との関係を示す図である。
【図23】フローチャートである。
【図24】従来技術によって顧客の足首の傾斜角を計測する手法を示すである。
【図25】静止直立の場合と、ランニング時における足首の傾斜の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 運動靴又はランニングシューズの選定システム
13 シューズ特性記憶手段
14 顧客データ記憶手段
15 走法データ判定手段
16 傾斜角判定手段
17 シューズ選定手段
18 検索手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動靴又はランニングシューズの購入希望者(以下、顧客という)の足首の傾き、走法又は靴の使用目的に基づき、当該顧客に適した運動靴又はランニングシューズを選定し、提示できるようにした運動靴又はランニングシューズの選定及び提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種のランナーに適した運動靴又はランニングシューズの構造については様々な研究がされ、様々な構造と特性を有する運動靴又はランニングシューズが製造され、販売されている。
【0003】
そして、運動靴又はランニングシューズを購入する際には、顧客が店頭へ出かけて好みの運動靴又はランニングシューズを選定している。ここで、各顧客に適した運動靴又はランニングシューズは、本来、顧客のランニング時の足首の傾き又は走法等に基づき選定することが好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、一般的に、顧客は、運動靴又はランニングシューズを明確な基準によることなく、履き心地、重さ、価格又はデザインに基づいて選定していたため、販売店の店員に勧められる運動靴又はランニングシューズをそのまま購入したり、単に価格とか外観に基づいて選定する場合が多く、各運動靴又はランニングシューズの顧客の身体的特徴(ランニング時の足首の傾き)と、その走法や靴の使用目的に適した運動靴又はランニングシューズを的確に購入することは困難であった。
【0005】
一方、特許文献1には、図24に示すように、顧客の足首の傾斜角を測定して、顧客の足首の傾斜角に適した運動靴又はランニングシューズを選定する発明が開示されている。
【特許文献1】特開2004−305374 前記特許文献1においては、足の形状を三次元で計測する。そして、該計測によって得た足の形状の三次元データに基づいて、踵断面を含む、前後方向向きの足の二次元断面100を求める。そして、該二次元断面の左右方向における中心線101を求め、地面に対する垂線102と該中心線101の傾角αから該足の傾斜角を求めるものである。
【0006】
以上のように、前記特許文献1には、顧客の通常時の足首の傾斜角を測定する旨が開示され、顧客の通常時における足首の静的な傾斜角に基づいて顧客に適した靴を選定する発明が記載されている。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の発明は、顧客が通常の生活において一般的に履く靴を対象にしているものであって、運動靴又はランニングシューズを対象にしているものではない。
【0008】
つまり、特許文献1においては、顧客は静止した直立の姿勢で計測されるものであって、且つ、足の向きは両足が平行であるため、外旋、内旋は生じず、図25(a)に示すように、回内、回外が起きずに、足後部の角度は外反、内反の角度の計測のみにとどまるものである。
【0009】
一方、ランニング時においては、たとえば、距骨下関節の外旋、背屈、外反のそれぞれの方向の回転が重なり、その結果、図25(b)に示すように、地面に対して傾斜するという現象がある。当該傾斜には、以下の特徴がある。
傾斜は、人によって異なる。
傾斜は、ランニングフォームで異なる。
傾斜は、路面状況で異なる。
傾斜は、運動靴又はランニングシューズによって異なる。
【0010】
このように、ランニング時の足首の傾斜角は、様々な要因で起きるものであって、顧客が静止した直立の姿勢で当該傾斜角を測定することは不可能である。
【特許文献1】つまり、特許文献1に記載の発明で、顧客に適した運動靴又はランニングシューズを選定することは困難であった。
【0011】
そこで、本発明は、前記従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、顧客のランニング時における足首の傾斜角、並びに、顧客の身体的特徴、走法及び靴の使用目的に基づいて、顧客に最も適した運動靴又はランニングシューズを選定し、提示できるようにした運動靴又はランニングシューズの選定及び提示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、運動靴又はランニングシューズの顧客の身長又は脚長データと、当該顧客の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、当該顧客による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態から顧客の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、
当該顧客による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態から顧客の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から顧客に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段とを備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システムである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、運動靴又はランニングシューズの購入希望者の身長又は脚長データと、当該顧客の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、当該顧客による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態を側方及び後方又は前方から撮影するための撮影手段と、当該撮影手段によって得られた顧客の側面の画像から顧客の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、前記撮影手段によって得られた顧客の後方又は前方の画像から顧客の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から顧客に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段とを備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システムである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、シューズ特性記憶手段は、靴の重量、耐久性及びソールの硬度特性に関する特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズに適した用途として、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用といった使用目的別のカテゴリーに分類して靴の用途を記憶することを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、前記シューズ特性記憶手段は、靴底の衝撃吸収材が踵部に多く用いられている又は全体的に均等に用いられているといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特性をストライド走法に向いている又はピッチ走法に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とするものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、前記シューズの特性記憶手段は、靴底先端部が曲がりやすい又は曲がりにくいといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特徴をストライド走法に向いている又はピッチ走法に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とするものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、前記シューズ特性記憶手段は、靴底の硬度が内側ほど大きい又は外側ほど大きいといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特性を足首の外方への傾斜の矯正に向いている又は足首の内方への傾斜の矯正に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とするものである。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システムにおいて、前記傾斜角判定手段は、顧客による靴の装着時におけるランニングの状態から顧客の足首の傾きに関する傾斜角データを算出することができ、前記シューズ選定手段による靴の選定が妥当であったか否かを検証することができることを特徴とするものである。
【0019】
請求項8に記載の発明は、複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、それらの運動靴又はランニングシューズの在庫の有無を記憶するための在庫管理手段と、運動靴又はランニングシューズの顧客の身長又は脚長データと、当該顧客の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、当該顧客による素足又は素足の状態に近い靴でのランニングの状態から顧客の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、当該顧客による素足又は素足の状態に近い靴でのランニングの状態から顧客の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から顧客に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段と、当該シューズ選定手段によって選定された運動靴又はランニングシューズの内、在庫として存在する運動靴又はランニングシューズを運動靴又はランニングシューズ購入希望者に提示するために、選定された運動靴又はランニングシューズの在庫の有無を前記在庫管理手段について検索するための検索手段とを備えていることを特徴とする運動靴又はランニングシューズの提示システムである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載の発明によれば、顧客の身長又は脚長データと、顧客の歩幅と、運動靴又はランニングシューズの顧客の使用目的、及び顧客のランニング時の足首の傾斜角とから顧客に適した特性の運動靴又はランニングシューズを客観的に選定することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明によれば、撮影手段によって顧客のランニング時の歩幅、及び顧客のランニング時の足首の傾斜を求めることができ、またディスプレイなどの表示装置により傾斜状態を顧客に視覚化することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明によれば、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的な競技参加用又はトレーニング用といった使用目的別に顧客に適した運動靴又はランニングシューズを選定することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、顧客の走法が、ストライド走法又はピッチ走法の別によって、靴底の衝撃部材が踵部に多く用いられている又は全体に均等に用いられているといった特性の運動靴又はランニングシューズを選定することができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、顧客の走法が、ストライド走法又はピッチ走法の別によって、靴底先端部が曲がり易い、又は曲がりにくいといった特性の運動靴又はランニングシューズを選定することができる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、ランニング時に、顧客の足首が傾斜傾向にある場合には、傾斜を矯正できる運動靴又はランニングシューズを選定することができる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、選定した運動靴又はランニングシューズを顧客が実際に装着した状態で、顧客の足首の傾斜角を求めることにより、選定した運動靴又はランニングシューズが適したものであるか否かを検証することができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、顧客に適した運動靴又はランニングシューズであって在庫中に存在するものを顧客に提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本実施形態の運動靴又はランニングシューズ選定システムは、顧客自身の客観的なデータを求め、当該顧客のデータに適した特性を有する運動靴又はランニングシューズを選定するシステムである。
【0029】
運動靴又はランニングシューズKを選定する際に重要な顧客のデータとしては、顧客の走法データ、運動靴又はランニングシューズKの使用目的、並びに、顧客のランニング時の足首の傾斜に関するデータが該当する。
【0030】
前記走法データとは、顧客の走法が、ストライド走法とピッチ走法との何れの走法であるかを意味する。図1に示すように、ストライド走法は、歩幅が広い走法であって、図2に示すように、着地の際には、運動靴又はランニングシューズKの踵部K1から着地する一方、図3に示すように、つま先K2で地面を後方へ強く蹴り出すようにして前進する点に特徴を有する走法であって、比較的上下動の大きな走法である。
【0031】
一方、ピッチ走法とは、図4に示すように、歩幅が狭い走法であって、図5に示すように、着地の際には、靴裏K3全体で着地する点に特徴を有する走法であって、ストライド走法と比較した場合に、図6に示すように、後方への蹴り出しは小さいが、小股でランニングするため、足の動きが素早く、且つ、上下動の比較的小さな走法である。このように、双方の走法は全く対称的であるため、顧客の走法が何れの走法であるかによって、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKの選定が大きく左右されるものである。
【0032】
つまり、顧客の走法から顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選択する場合、顧客がストライド走法の場合には、着地の際に、踵部K1の衝撃吸収が大きく、しかも、ソールの反発力を利用して、つま先K2で地面を強く後方へ蹴り出すことができるように撓み特性の大きな運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適している。
【0033】
一方、顧客がピッチ走法の場合には、素早く足を動かすことでスピードを得ることができるように、着地、体重移動、蹴り出しという足の動きを速くできるように、ソールが柔軟に対応できるように撓み特性の小さな運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適している。
【0034】
又、前記運動靴又はランニングシューズKの使用目的とは、顧客が運動靴又はランニングシューズKを、本格的なトップレベルの競技参加用に用いるものか、又は、一般的なレベルの競技参加用やトレーニング用に用いるものかを意味する。つまり、顧客が運動靴又はランニングシューズKを、本格的なトップレベルの競技参加用に用いる場合には、軽量であって、ソールの硬度が比較的大きな運動靴又はランニングシューズKが適しているものである。一方、顧客が運動靴又はランニングシューズKを、一般的なレベルの競技参加用やトレーニングに用いる場合には、運動靴又はランニングシューズKが長期間使用できるように耐久性があって、しかも、足に作用する負担を軽くするために、ソールの硬度が比較的小さなものが適している。このように、顧客が、運動靴又はランニングシューズKを何れの使用目的に用いるかも、当該運動靴又はランニングシューズKを選択する際の重要な要素になるものである。
【0035】
更に、前記顧客のランニング時の足首の傾斜に関するデータとは、顧客がランニング時において、図7(a)に示すように、正常状態にあるか、又は、図7(b)に示すように、プロネーション(以下、回内という)であるか、更には、図7(c)に示すように、サピネーション(以下、回外という)の何れの状態であるかを意味する。図7は、右足の足首近傍を後方から観た状態を示す図である。ここで、回内とは、距骨下関節における、外旋、背屈及び外反が起きることで、ふくらはぎの中心線Lと、足後部中心線Mが、一直線にならずに、同図7(b)に示すように、ふくらはぎの中心線Lが外側に傾いた状態をいう。又、回外とは、距骨下関節における、内旋、底屈及び内反が起きることで、ふくらはぎの中心線Lと、足後部中心線Mが、一直線にならずに、同図7(c)に示すように、ふくらはぎの中心線Lが内側に傾いた状態をいう。又、過回内とは回内が過度に進行した状態であり、過回外とは回外が過度に進行した状態をいうものである。顧客の足首が、過回内、又は過回外である場合に、運動靴又はランニングシューズKの選定を間違った場合には、ランニングを継続することによって、大きな足の障害に繋がる虞がある。回内、又は回外が進行していない場合、即ち、回内傾向(軽度の回内)、又は回外傾向(軽度の回外)であっても、ランニングを継続することによって、大きな足の障害に繋がる虞がある。回内及び回外は足の状態であって、意識して調整することが困難である。このような場合には、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選定することにより、回内又は回外を矯正することができる。
【0036】
顧客の足首が回内の場合には、図8に示すように、運動靴又はランニングシューズKが(a)の状態から、(b)の状態のように、靴底の内側がつぶれるように変形してしまうため、(c)に示すように、靴底の内側K4が堅い素材で形成された運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適している。一方、顧客の足首が回外の場合には、図9に示すように、運動靴又はランニングシューズKが(a)の状態から、(b)の状態に示すように、靴底の外側がつぶれるように変形してしまうため、(c)に示すように、靴底の外側K5が堅い素材で形成された運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適している。図8、図9は右側の運動靴又はランニングシューズKを後方から観ている状態を示す。
【0037】
本実施形態に係わる運動靴又はランニングシューズ選定システムは、以上の観点から、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを客観的に選定できるシステムである。
【0038】
本実施形態に係わる運動靴又はランニングシューズ選定システムの構成を図10に示す。当該選定システム1は、入力手段2と、パーソナルコンピュータ(以下、PCと言う)本体3と、走行機Rとを備えている。
【0039】
入力手段2は、キーボード4と、撮影手段5を備えている。キーボード4からは顧客の氏名や性別、身長、脚長等が入力され、又、複数の運動靴又はランニングシューズKの用途や特性が入力される。
【0040】
ここで、複数の運動靴又はランニングシューズKの用途とは、各運動靴又はランニングシューズKが、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的な競技参加用又はトレーニング用であるかを意味する。又、複数の運動靴又はランニングシューズKの特性とは、各運動靴又はランニングシューズKがストライド走法の顧客に適しているか又はピッチ走法の顧客に適しているかの特性が該当する。当該特性には、重量、耐久性、ソールの硬度特性や、図2に示すように、靴底の衝撃吸収材が踵部K1に多く用いられているか、又は、図5に示すように、靴裏K3に全体的に均等に用いられているかという特性、更には、図3に示すように、靴底先端部K2が曲がり易いか、又は、図6に示すように、曲がりにくいかという特性が該当する。又、運動靴又はランニングシューズKの特性には、図9(c)に示すように、靴底の外側K5が硬いか、図8(c)に示すように、内側K4が硬いかの特性、即ち、回内の足首の顧客に適しているか、又は、回外の足首の顧客に適しているかの特性も該当する。
【0041】
図2に示すように、靴底の衝撃吸収材が踵部K1に多く用いられているか、又は、図5に示すように、全体的に均等に用いられているかは、たとえば以下のようにして、数値化される。図11は、運動靴又はランニングシューズKを側方から見た状態の図であって、該運動靴又はランニングシューズKの前側と後側に、直径20mmで10kgの円柱を落下させた時の衝撃時の加速度IF、IRを測定して、シューズの衝撃特性(IR/IF)を求めることにより、図11(a)に示すように、靴底の衝撃吸収材が踵部K1に多く用いられているか、又は、図11(b)に示すように、靴裏K3に全体的に均等に用いられているかを数値化することができる。
【0042】
又、図3に示すように、靴底先端部K2が曲がり易いか、又は、図6に示すように、曲がりにくいかという特性は、たとえば以下のようにして数値化できる。図12は、運動靴又はランニングシューズKを側方から見た状態の図であって、運動靴又はランニングシューズKを離間した二つの支柱S,S上に置き、この支柱S,S間の中心において、運動靴又はランニングシューズKに上方から荷重を加えるようにしている。そして、荷重が加えられた状態において、荷重点における運動靴又はランニングシューズKの撓み量を測定して、荷重/撓み量を演算することにより、靴底先端部が撓み易いか、又は撓みにくいかというシューズの撓み特性Ksを数値化できるものである。
【0043】
更に、図8に示すように、靴底の内側K4が硬いか、図9に示すように、外側K5が硬いかの特性はたとえば以下のようにして数値化させることができる。図13は、右側の運動靴又はランニングシューズKを後方から観た状態の図である。そして、運動靴又はランニングシューズKの内側K4と外側K5にそれぞれ上方から荷重を加えた場合において、外側K5の部分のバネ定数Foと内側K4の部分のばね定数Fiとを測定し、シューズの傾斜特性Fi/Foを求めることにより、靴底の内側K4が硬いか、外側K5が硬いかの特性を数値化させることができる。
【0044】
図10に示すように、前記撮影手段5は、走行機R上でランニングする顧客を撮影するために、当該顧客の側方から顧客を撮影する第1カメラ7と、当該顧客の前方又は後方から顧客を撮影する第2カメラ8とから構成される。第1カメラ7は、図14に示すように、顧客のランニング時の歩幅Hを特に撮影できるように位置設定されている。又、第2カメラ8は、図7に示すように、顧客のランニング時の足首の角度を特に撮影できるように位置設定されている。
【0045】
図10に示すように、前記走行機Rは、駆動輪9と従動輪10とにベルト11を巻回し、駆動輪9を電動モータ(図示せず)で回転駆動させる構成であって、ベルト11上で顧客がランニングできるようになっている。該電動モータは前記PC本体3に制御されてベルト11のランニングスピードを増減制御するように構成されている。該PC本体3は、ベルト11上をランニングする顧客の心拍数等に基づきベルトのランニングスピードを増減制御するようにプログラムで設定されている。
【0046】
図10に示すように、前記PC本体3は、ディスプレイ12を備えている。該PC本体3は、CPU(図示せず)と、記憶手段とを備えている。該記憶手段には、予め所定にプログラムが内蔵され、CPUが該プログラムを読み出すことにより、図15に示すように、シューズ特性記憶手段13と、顧客データ記憶手段14と、走法データ判定手段15と、傾斜角判定手段16と、シューズ選定手段17と、検索手段18と、在庫管理手段19とが構成されるものである。
【0047】
前記シューズ特性記憶手段13には、運動靴又はランニングシューズKを用途別と、特性別に記憶されている。ここで、用途別に運動靴又はランニングシューズKを記憶するとは、運動靴又はランニングシューズKを本格的なトップレベルの競技参加用、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用といった使用目的別のカテゴリに分類して運動靴又はランニングシューズKを記憶することを意味する。又、特性別に運動靴又はランニングシューズKを記憶するとは、顧客の走法が、ストライド走法、又はピッチ走法のカテゴリーに分けて運動靴又はランニングシューズKを記憶することを意味する。更に、特性別に運動靴又はランニングシューズKを記憶するとは、図9(c)に示すように、靴底の硬度が外側K5ほど大きいか、又は、図8(c)に示すように、内側K4ほど大きいかといったカテゴリーに分けて運動靴又はランニングシューズKを記憶することも意味する。運動靴又はランニングシューズKの前記用途、及び特性は、キーボード4から入力されるものである。
【0048】
前記顧客データ記憶手段14には、顧客の氏名、性別、顧客の身長又は脚長データ等が記憶される。これらの顧客データは、図10に示すキーボードから入力されるものである。
【0049】
前記走法データ判定手段15は、顧客のランニング時の歩幅と、顧客の身長又は脚長に基づき、顧客の走法がストライド走法かピッチ走法かを判定する手段である。顧客の歩幅は、図10に示す第1カメラ7で撮影された画像データから顧客の平均的な歩幅H(図14に示す)を測定することにより求められる。又、顧客の身長や脚長は、身長計等で実測することにより求めることができる。そして、走法データ判定手段は、歩幅及び身長又は脚長に基づき、歩幅/身長、又は歩幅/脚長*2を演算することによって、顧客の走法がストライド走法かピッチ走法かを判定することができるものである。ここで、本実施形態において、身長とは、足裏から頭頂部までの長さであり、脚長とは、足裏から転子点までの長さである。図16に示すように、上式の演算結果が、1.0以上の場合には、顧客の走法がストライド走法で、1.0以下の場合には、ピッチ走法であると判定される。顧客の歩幅を求める場合、顧客は、素足、又は、素足に近い靴で走行機Rの上で実際にランニングすることにより、装着した場合の靴に左右されることのない、各顧客の本来の正確な歩幅を求めることができる。
【0050】
図15に示す傾斜角判定手段16は、図10に示す第2カメラ8で撮影された画像データに基づき、顧客のランニング時の足首の傾斜角度を求める手段である。顧客のランニング時の足首の傾斜角度を求めることにより、顧客の足首が正常であるか、又は、回内であるか、更には、回外であるかを判定できるものである。ここで、顧客のランニング時の足首の傾斜角とは、図7中、ふくらはぎの中心線Lと、足後部中心線Mとで形成される角度θをいう。顧客のランニング時の足首の傾斜角を求める場合、顧客は、素足、又は、素足に近い靴で走行機Rの上で実際にランニングすることにより、たとえば、クッション性を備えた厚みのある靴を用いた場合とは異なり、靴に左右されることのない、各顧客の足首の本来の正確な傾斜角を求めることができる。
【0051】
次に、図17を参照して、顧客の足首の傾斜角の測定のタイミングについて説明する。先ず、同図17(a)は、顧客が静止している時の脚の状態を概念的に示す側面図である。又、同図17(b)は、顧客がランニング中の脚の状態を概念的に示す側面図である。同図17(b)に示すように、ランニングは、大きく分けて、着地期、体重移動期、蹴出期からなる。
【0052】
そして、図17(c)は、顧客が同図に示すように静止している時における顧客の右足の足首を後方から観た状態の図である。又、図17(d)は、図17(b)に示すように、ランニング中での体重移動期における顧客の右足の足首を後方から観た状態の図である。図17(b)と図17(d)とを対比して明確なように、足首の傾斜角は、図17(b)に示す静止した直立時と、図17(d)に示すランニング中とでは、全く異なるものである。しかも、図17(d)に示すランニング中では、体重移動期において、足首に最大荷重が加わるため、当該体重移動期において足首の傾斜角を測定し、適切な運動靴又はランニングシューズを顧客に選定することができるものである。
【0053】
図15に示すシューズ選定手段17は、同図15に示す顧客データ記憶手段14に記憶されている運動靴又はランニングシューズKの使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、同図15に示すシューズ特性記憶手段13に記憶されている運動靴又はランニングシューズKの内から顧客に好適な運動靴又はランニングシューズKを選定する手段である。図18乃至図20を参照して、前記シューズ選定手段17が、顧客に好適な運動靴又はランニングシューズKを選定する手法について説明する。
【0054】
先ず、図18は、ストライド走法又はピッチ走法を示す走法特性SRと、前記シューズの衝撃特性IR/IFとの関係を示す。図18(a)は一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKについての走法特性SRとシューズの衝撃特性IR/IFとの関係を示し、図18(b)はトレーニング用の運動靴又はランニングシューズKについての走法特性SRとシューズの衝撃特性(IR/IF)との関係を示す。尚、運動靴又はランニングシューズKの使用目的が、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用であるかの別は、キーボードのキー操作によって選択することができる。
【0055】
両図18(a),図18(b)に示すように、走法特性SRが0.6から1.0までがピッチ走法であって、1.0から1.1までがストライド走法である。そして、同図18(a)に示すように、一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKの場合には、ピッチ走法においては、シューズの衝撃特性(IR/IF)が0.60から1.12の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定し、一方、ストライド走法においては、シューズの衝撃特性(IR/IF)が1.12から1.4の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定する。
【0056】
又、同図(b)に示すように、トレーニング用の運動靴又はランニングシューズKの場合には、ピッチ走法においては、シューズの衝撃特性(IR/IF)が0.60から1.19の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定し、一方、ストライド走法においては、シューズの衝撃特性が1.19から1.30の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定する。
【0057】
次に、図19は、ストライド走法又はピッチ走法を示す走法特性SRと、前記シューズの撓み特性Ksとの関係を示す。図19(a)は一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKについての走法特性SRとシューズの撓み特性Ksとの関係を示し、図19(b)はトレーニング用の運動靴又はランニングシューズKについての走法特性SRとシューズの撓み特性Ksとの関係を示す。
【0058】
図19(a)に示すように、一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKの場合には、ピッチ走法においては、シューズの撓み特性Ksが0.9から1.5の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定し、一方、ストライド走法においては、シューズの撓み特性Ksが1.5から1.8の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定する。
【0059】
又、図19(b)に示すように、トレーニング用の運動靴又はランニングシューズKの場合には、ピッチ走法においては、シューズの撓み特性Ksが0.9から1.3の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定し、一方、ストライド走法においては、シューズの撓み特性Ksが1.3から1.4の間の運動靴又はランニングシューズKが適しているものとして選定する。
【0060】
次に、顧客の足首の傾斜角に基づき、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選定する手法について図20を参照して説明する。図20は、足首の傾斜角と、シューズの傾斜特性(Fi/Fo)との関係について示す。同図20に示すように、傾斜角が0度から−5度の範囲が回外傾向であって、傾斜角が0度から15度の範囲が正常であって、傾斜角が15度から20度の範囲が回内傾向である。そして、顧客が回外傾向である場合には、シューズの傾斜特性が0.9から1.0の範囲の運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適しているとして選定する。又、顧客が正常範囲内である場合には、シューズの傾斜特性が1.0から1.3の範囲の運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適しているとして選定する。更に、顧客が回内傾向である場合には、シューズの傾斜特性が1.3から1.4の範囲の運動靴又はランニングシューズKが当該顧客に適しているとして選定する。
【0061】
図21は、前述の図18と図20を1つの図にまとめた図である。尚、同図21は一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKを選定する場合について図示している。同図21の縦軸は、足首の傾斜角とシューズの傾斜特性(Fi/Fo)を示し、横軸は、走法特性SRとシューズの衝撃特性(IR/IF)を示している。
【0062】
同図21には、それぞれの特性の運動靴又はランニングシューズA,B、C、D、Eが記載され、又、顧客の状態Xが記載されている。同図21に示すように、顧客の状態Xに一致する特性の運動靴又はランニングシューズKがない場合には、顧客の状態Xに最も近い運動靴又はランニングシューズDが選定される。
【0063】
図22は、前述の図19と図20を1つの図にまとめた図である。尚、同図22は一般的なレベルの競技参加用の運動靴又はランニングシューズKを選定する場合について図示している。同図22の縦軸は、足首の傾斜角とシューズの傾斜特性(Fi/Fo)を示し、横軸は、走法特性SRとシューズの撓み特性Ksを示している。
【0064】
次に、図15に示す検索手段18及び在庫管理手段19について説明する。在庫管理手段19は、店に在庫として存在する運動靴又はランニングシューズKについて、前記走法特性SR、シューズの衝撃特性(IR/IF)、シューズの撓み特性Ksを記憶しておき、検索手段18は、図15に示すシューズ選定手段17の選定結果に一致するか又は最も近い特性の運動靴又はランニングシューズKをディスプレイに表示して顧客に提示するものである。
【0065】
次に、図23を参照しながら、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選定する手法について説明する。ステップS1において、顧客の氏名、身長、脚長等をキーボードから入力すると、これらの顧客データは図15に示す顧客データ記憶手段14に記憶される。
【0066】
次に、ステップS2において、キーボード4をキー操作することにより、顧客が、運動靴又はランニングシューズKを本格的なトップレベルの競技参加用に用いるものか、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用に用いるかを選択する。
【0067】
次に、ステップS3において、図10に示す走行機Rの上で顧客がランニングしている状態を同図10に示す第1カメラ7で側面から撮影し、又、第2カメラ8で顧客の正面又は真後ろから撮影する。
【0068】
ステップS4において、顧客の身長又は脚長と、歩幅に基づき、顧客の走法がストライド走法かピッチ走法かを判定する。
【0069】
一方、ステップS5において、図15に示す傾斜角判定手段16が、顧客の足首の傾斜角を求める。ステップS6において、顧客の足首の傾斜角が矯正可能範囲外の場合には、ステップS7において、医師の治療を推奨する。
【0070】
ステップS6において、顧客の足首の傾斜角が矯正可能範囲内の場合には、ステップS8において、顧客の足首の傾斜角と歩幅に基づき、図15に示すシューズ選定手段17が、顧客に適した運動靴又はランニングシューズKを選定する。
【0071】
そして、図15に示す検索手段18が顧客に提示した運動靴又はランニングシューズKを顧客が装着して、ステップS9において、走行機R上でランニングを実施し、ステップS10において、その状態を第2カメラ8で撮影することにより、顧客の足首の傾斜角を求め、ステップS11において当該運動靴又はランニングシューズが顧客に適していることを検証した場合には終了する一方、適していない場合には、ステップS8に戻って以上の工程と同様の工程を実行する。
【0072】
以上説明したように、本実施形態においては、顧客のデータと運動靴又はランニングシューズKの特性とに基づき、顧客に適した特性の運動靴又はランニングシューズKを客観的に選定することができるものである。
【0073】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、走法を判定するため脚長データとして、足裏から股下までの長さを用いたり、着用しているズボンの丈(長さ)を用いて適宜適切な計算を行うようにしても良い。
【0074】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、ランニングシューズ、運動靴に使用される新素材により、それぞれの判定値、上限値、下限値などを適切な尺度に調整しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】ストライド走法の状態を概念的に示す図である。
【図2】ストライド走法における着地時の踵の状態を示す図である。
【図3】ストライド走法において、つま先で地面を蹴り出すようにして前進する状態を示す図である。
【図4】ピッチ走法の状態を概念的に示す図である。
【図5】ピッチ走法における着地時の踵の状態を示す図である。
【図6】ピッチ走法において、つま先の状態を示す図である。
【図7】ランニング時における足首の傾斜を示す図である。
【図8】ランニング時における足首の傾斜を矯正する状態を示す図である。
【図9】ランニング時における足首の傾斜を矯正する状態を示す図である。
【図10】本実施形態の構成を示す図である。
【図11】運動靴又はランニングシューズに荷重を加えてシューズの衝撃特性を求める状態を示す図である。
【図12】運動靴又はランニングシューズに荷重を加えてシューズの撓み特性を求める状態を示す図である。
【図13】運動靴又はランニングシューズに荷重を加えてシューズの傾斜特性を求める状態を示す図である。
【図14】顧客のランニング時の状態を示す図である。
【図15】本実施形態のブロック構成図である。
【図16】シューズの走法特性と、ストライド走法及びピッチ走法との関係を示す図である。
【図17】足首の傾斜角を測定するタイミングを示す図である。
【図18】シューズの走法特性と、シューズの衝撃特性との関係を示す図である。
【図19】シューズの走法特性と、シューズの撓み特性との関係を示す図である。
【図20】顧客のランニング時の足首の傾斜角と、シューズの傾斜特性の関係を示す図である。
【図21】足首の傾斜角及びシューズの傾斜特性と、シューズの走法特性及びシューズの衝撃特性との関係を示す図である。
【図22】足首の傾斜角及びシューズの傾斜特性と、シューズの走法特性及びシューズの撓み特性との関係を示す図である。
【図23】フローチャートである。
【図24】従来技術によって顧客の足首の傾斜角を計測する手法を示すである。
【図25】静止直立の場合と、ランニング時における足首の傾斜の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 運動靴又はランニングシューズの選定システム
13 シューズ特性記憶手段
14 顧客データ記憶手段
15 走法データ判定手段
16 傾斜角判定手段
17 シューズ選定手段
18 検索手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、
運動靴又はランニングシューズの購入希望者の身長又は脚長データと、当該購入希望者の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、
当該購入希望者による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態から購入希望者の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、
当該購入希望者による素足でのランニングの状態から購入希望者の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、
前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から購入希望者に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段と、
を備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項2】
複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、
運動靴又はランニングシューズの購入希望者の身長又は脚長データと、当該購入希望者の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、
当該購入希望者による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態を側方及び後方又は前方から撮影するための撮影手段と、
当該撮影手段によって得られた購入希望者の側面の画像から購入希望者の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、
前記撮影手段によって得られた購入希望者の後方又は前方の画像から購入希望者の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、
前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から購入希望者に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段と、
を備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項3】
前記シューズ特性記憶手段は、靴の重量、耐久性及びソールの硬度特性に関する特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズに適した用途として、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用といった使用目的別のカテゴリーに分類して靴の用途を記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項4】
前記シューズ特性記憶手段は、靴底の衝撃吸収材が踵部に多く用いられている又は全体的に均等に用いられているといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特性をストライド走法に向いている又はピッチ走法に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項5】
前記シューズの特性記憶手段は、靴底先端部が曲がりやすい又は曲がりにくいといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特徴をストライド走法に向いている又はピッチ走法に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定方法。
【請求項6】
前記シューズ特性記憶手段は、靴底の硬度が内側ほど高い又は外側ほど高いといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特性を足首の外方への傾斜の矯正に向いている又は足首の内方への傾斜の矯正に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項7】
前記傾斜角判定手段は、購入希望者による靴の装着時におけるランニングの状態から購入希望者の足首の傾きに関する傾斜角データを算出することができ、
前記シューズ選定手段による靴の選定が妥当であったか否かを検証することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項8】
複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、
それらの運動靴又はランニングシューズの在庫の有無を記憶するための在庫管理手段と、
運動靴又はランニングシューズの購入希望者の身長又は脚長データと、当該購入希望者の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、
当該購入希望者による素足又は素足の状態に近い靴でのランニングの状態から購入希望者の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、
当該購入希望者による素足又は素足の状態に近い靴でのランニングの状態から購入希望者の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、
前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から購入希望者に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段と、
当該シューズ選定手段によって選定された運動靴又はランニングシューズの内、在庫として存在する運動靴又はランニングシューズを運動靴又はランニングシューズ購入希望者に提示するために、選定された運動靴又はランニングシューズの在庫の有無を前記在庫管理手段について検索するための検索手段と、
を備えていることを特徴とする運動靴又はランニングシューズの提示システム。
【請求項1】
複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、
運動靴又はランニングシューズの購入希望者の身長又は脚長データと、当該購入希望者の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、
当該購入希望者による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態から購入希望者の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、
当該購入希望者による素足でのランニングの状態から購入希望者の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、
前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から購入希望者に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段と、
を備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項2】
複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、
運動靴又はランニングシューズの購入希望者の身長又は脚長データと、当該購入希望者の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、
当該購入希望者による素足又は素足に近い靴でのランニングの状態を側方及び後方又は前方から撮影するための撮影手段と、
当該撮影手段によって得られた購入希望者の側面の画像から購入希望者の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、
前記撮影手段によって得られた購入希望者の後方又は前方の画像から購入希望者の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、
前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から購入希望者に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段と、
を備えたことを特徴とする運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項3】
前記シューズ特性記憶手段は、靴の重量、耐久性及びソールの硬度特性に関する特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズに適した用途として、本格的なトップレベルの競技参加用、一般的なレベルの競技参加用又はトレーニング用といった使用目的別のカテゴリーに分類して靴の用途を記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項4】
前記シューズ特性記憶手段は、靴底の衝撃吸収材が踵部に多く用いられている又は全体的に均等に用いられているといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特性をストライド走法に向いている又はピッチ走法に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項5】
前記シューズの特性記憶手段は、靴底先端部が曲がりやすい又は曲がりにくいといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特徴をストライド走法に向いている又はピッチ走法に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定方法。
【請求項6】
前記シューズ特性記憶手段は、靴底の硬度が内側ほど高い又は外側ほど高いといった特徴に応じ、複数種の運動靴又はランニングシューズの特性を足首の外方への傾斜の矯正に向いている又は足首の内方への傾斜の矯正に向いているというカテゴリーに分類して靴の特性を記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項7】
前記傾斜角判定手段は、購入希望者による靴の装着時におけるランニングの状態から購入希望者の足首の傾きに関する傾斜角データを算出することができ、
前記シューズ選定手段による靴の選定が妥当であったか否かを検証することができることを特徴とする請求項1又は2に記載の運動靴又はランニングシューズ選定システム。
【請求項8】
複数の運動靴又はランニングシューズの用途及び特性を記憶するためのシューズ特性記憶手段と、
それらの運動靴又はランニングシューズの在庫の有無を記憶するための在庫管理手段と、
運動靴又はランニングシューズの購入希望者の身長又は脚長データと、当該購入希望者の靴の使用目的を記憶するための顧客データ記憶手段と、
当該購入希望者による素足又は素足の状態に近い靴でのランニングの状態から購入希望者の歩幅を算出し、当該算出された歩幅と、前記顧客データ記憶手段に記憶されている身長又は脚長データとから走法に関する走法データを算出するための走法データ判定手段と、
当該購入希望者による素足又は素足の状態に近い靴でのランニングの状態から購入希望者の足首の傾きに関する傾斜角データを算出するための傾斜角判定手段と、
前記顧客データ記憶手段に記憶されている靴の使用目的と、前記走法データと、前記傾斜角データに基づいて、シューズ特性記憶手段に記憶されている靴の中から購入希望者に好適な靴を選定するためのシューズ選定手段と、
当該シューズ選定手段によって選定された運動靴又はランニングシューズの内、在庫として存在する運動靴又はランニングシューズを運動靴又はランニングシューズ購入希望者に提示するために、選定された運動靴又はランニングシューズの在庫の有無を前記在庫管理手段について検索するための検索手段と、
を備えていることを特徴とする運動靴又はランニングシューズの提示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2007−185328(P2007−185328A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5504(P2006−5504)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)
【Fターム(参考)】
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