説明

運搬用容器

【課題】 簡単な構成で、嵌め込み部と上開口枠部との嵌め込み部分におけるがたつきが抑制しながら、該嵌め込み部分から外部の冷気を内部に導入して効果的に冷却することができる。
【解決手段】 運搬用容器Aの底面部に下段の運搬用容器Aの上開口枠部4内に嵌め込み自在となった嵌め込み部5を設ける。運搬用容器Aの嵌め込み部5を上開口枠部4内に嵌め込んで上下に積み重ねた状態で、嵌め込み部5と上開口枠部4との嵌め込み部分において嵌め込み部5の外面と上開口枠部4の内面の一方又は両方に、外部と下段の運搬用容器A内とを連通して冷気を外部から下段の運搬用容器A内に導入するための冷気導入用通路6となる通気凹所7を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫や冷凍庫内に入れて内部に冷気を導入して収納物を冷却するようにした運搬用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、底面部及び側面部に通気用孔を有する運搬用容器が特許文献1により知られている。
【0003】
この特許文献1に示された従来例は、運搬用容器は上開口枠部に開閉自在に蓋を設けたもので、内部への通気性を良くするために、蓋にも通気用孔を形成し、更に、上開口枠部にも通気用孔を形成したものである。
【0004】
この特許文献1に示された従来例において、運搬用容器を上下多段に積み重ねる場合、下段の運搬用容器の蓋の上に上段の運搬用容器を載置するというようにして積み重ねるようになっている。
【0005】
したがって、この従来例にあっては、冷蔵庫や冷凍庫内に入れて収納物を冷却する場合、側面部に形成した通気用孔から冷気が進入して内部の収納物を冷却し、該冷気は側面部に形成した通気用孔から外部に出たり、あるいは、上段の運搬用容器内から下段の運搬用容器内に流れる。ここで、上記従来例にあっては、収納物により通気用孔を塞ぐという問題がある。しかも、下段の運搬用容器と上段の運搬用容器との重ね合わせ部分からは外部の冷気が下段の運搬用容器内には導入されない。
【0006】
また、上下に多段に積み重ねることができるようにした蓋を設けない運搬用容器も知られている。この運搬用容器は、側面部及び底面部に通気用孔を形成し、運搬用容器の底面部に嵌め込み部を設け、上段の運搬用容器の嵌め込み部を下段の運搬用容器の上開口枠部に嵌め込んで、上下に積み重ねるようになっている。
【0007】
このものは、上段の運搬用容器の嵌め込み部と下段の運搬用容器の上開口枠部との嵌め込み部分においては、外部から冷気が進入せず、このため、下段の運搬用容器の内部の上端部の周囲の部分は外部から直接進入する冷気により冷やされないという問題がある。
【0008】
また、このように嵌め込み部を上開口枠部に嵌め込むようにして積み重ねる運搬用容器の上開口枠に外面側から内面側に貫通した通気用孔を形成することも考えられるが、上下多段に積み重ねて、上開口枠部に嵌め込み部が嵌め込まれると、上開口枠部の上部に設けた通気用孔が嵌め込み部により塞がれ、結局、嵌め込み部分においては外部から下段の運搬用容器の内部の上端部に外気を進入させることはできず、上開口枠部に通気用孔を形成したとしても、嵌め込み部分よりも下方において外部から冷気を導入できるにすぎない。
【0009】
しかも、運搬用容器内に入れた収納物が底面部に設けた通気用孔を塞いだり、側面部に設けた通気用孔を塞いだり、あるいは、収納物の背が高い場合、上開口枠部に設けた通気用孔を塞いだりすることがあり、このような場合は外部からの冷気の進入が阻害されてしまって、収納物を効果的に冷却できなくなる。
【特許文献1】特開2002−19779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、簡単な構成で、嵌め込み部と上開口枠部との嵌め込み部分におけるがたつきが抑制しながら、該嵌め込み部分から外部の冷気を内部に導入して効果的に冷却することができる運搬用容器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る運搬用容器は、上下に多段に積み重ねることが可能で且つ底面部1及び側面部2に通気用孔3を有する運搬用容器Aであって、運搬用容器Aの底面部に下段の運搬用容器Aの上開口枠部4内に嵌め込み自在となった嵌め込み部5を設け、上記運搬用容器Aの嵌め込み部5を上開口枠部4内に嵌め込んで上下に積み重ねた状態で、嵌め込み部5と上開口枠部4との嵌め込み部分において嵌め込み部5の外面と上開口枠部4の内面の一方又は両方に、外部と下段の運搬用容器A内とを連通して冷気を外部から下段の運搬用容器A内に導入するための冷気導入用通路6となる通気凹所7を形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】
このような構成とすることで、運搬用容器A内に収納物を入れた状態で、運搬用容器Aを上下に多段に積み重ねて冷蔵庫、冷凍庫内に入れた場合、上段の運搬用容器Aの下部の嵌め込み部5と下段の運搬用容器Aの上開口枠部4との嵌め込み部分に設けた冷気導入用通路6から外部の冷気を下段の運搬用容器A内の上端部に導入することができる。しかも、冷気導入用通路6は嵌め込み部5の外面と上開口枠部4の内面の一方又は両方に通気凹所7を形成することで構成してあるので、嵌め込み部分における通気凹所7以外の箇所は、従来と同様に嵌め込み部5の内面と上開口枠部4の外面とがほぼぴったり、またはわずかな隙間を介して嵌め合わされるような寸法関係としても、上記冷気の導入をすることができ、これにより、嵌め込み部分において外部からの冷気の導入ができながら嵌め込み部5と上開口枠部4との嵌め込み部分におけるがたつきを防止できる。
【0013】
また、運搬用容器Aの下部に、上下に積み重ねる際上開口枠部4に載置するための載置部8を設けると共に、載置部8の下部に外面が載置部8よりも内側に引き込んだ嵌め込み部5を設け、載置部8の一部に上記通気凹所7と外部とに連通した凹部9を形成することが好ましい。
【0014】
このような構成とすることで、載置部8に設けた凹部9を介して外部の冷気を、嵌め込み部5と上開口枠部4との嵌め込み部分に形成した冷気導入用通路6となる通気凹所7に下段の運搬用容器A内の上端部に導入することができる。
【0015】
また、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7の上部が上下に積み重ねた際に外部に開口していることが好ましい。
【0016】
このような構成とすることで、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7に直接外部から冷気を導入して下段の運搬用容器A内の上端部に導入することができる。
【0017】
また、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7を内側に行くほど低くなるようにしたことが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、通気凹所7に導入した冷気を斜め下方に流して、下段の上開口枠部4内の上端部の隅から斜め下方に冷気を流すことができ、下段の運搬用容器A内の上端部の内側に嵌め込み部分から効果的に冷気を導入できる。
【0019】
また、嵌め込み部5の外面に形成した通気凹所7に、上開口枠部4から内側に離れた位置で冷気を下段の運搬用容器A内に流す下開口10を形成することが好ましい。
【0020】
このような構成とすることで、通気凹所7に導入した冷気を上開口枠部4から内側に離れた位置で下段の運搬用容器A内の上端部の内側に嵌め込み部分から効果的に冷気を導入できる。
【0021】
また、載置部8の一部に設けた凹部9に運搬用容器Aの下端部内に連通する下部通気用孔11を形成することが好ましい。
【0022】
このような構成とすることで、凹部9に設けた下部通気用孔11を介して外部の冷気を上段の運搬用容器A内の下端部に導入することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、上記のように、嵌め込み部と上開口枠部との嵌め込み部分において嵌め込み部の外面と上開口枠部の内面の一方又は両方に、外部と下段の運搬用容器内とを連通して冷気を外部から下段の運搬用容器内に導入するための冷気導入用通路となる通気凹所を形成するので、簡単な構成で、嵌め込み部と上開口枠部との嵌め込み部分におけるがたつきが抑制しながら、嵌め込み部と上開口枠部との嵌め込み部分から外部の冷気を直接下段の運搬用容器内に導入して、下段の運搬用容器内を効果的に冷却できる。しかも、運搬用容器内に収納物を収納する場合、収納の仕方によっては、底面部や側面部に設けた通気用孔を収納物で塞ぐことがあるが、上下に積み重ねることを前提とした運搬用容器にいては、必ず収納物の上端は上記嵌め込み部分よりも下方となるため、本発明における上記冷気導入用通路は収納物に塞がれることがなく、したがって、運搬用容器内の上端部に確実に外部から直接冷気を導入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0025】
添付図面には運搬用容器Aとして折り畳み運搬用容器の例が示してある。
【0026】
図1乃至図5に示すように、運搬用容器Aは、底板部12と、一対の折り畳み側板13と、一対の回動側板14と、上開口枠部4とで構成してある。
【0027】
底板部12は外周部に載置部8が設けてあり、載置部8の下部に外面が載置部8よりも内側に引き込んだ嵌め込み部5が下方に向けて突出形成してある。
【0028】
折り畳み側板13は、上側板半体15の下端と、下側板半体16の上端とを軸支手段により内側に向けてく字状に折り畳み自在に連結することで構成してあり、底板部12の対向する一対の辺(実施形態では対向する長辺)にそれぞれ折り畳み側板13の下側板半体16の下端を軸支手段により回動自在に軸支すると共に、上開口枠部4の対向する一対の辺(実施形態では対向する長辺)の下端部にそれぞれ上側板半体15の上端を軸支手段により回動自在に軸支してある。
【0029】
また、上開口枠部4の対向する他の一対の辺の下端部にはそれぞれ回動側板14の上端部が軸支手段により回動自在に軸支してある。
【0030】
上記構成の運搬用容器Aは、両折り畳み側板13を下側板半体16と上側板半体15とが上下に真っ直ぐになるように展延し、その後、両回動側板14を回動して起立させることで、図1に示すような上方が開口した箱形状に組み立てるものである。この場合、回動側板14の下端部が底板部12に係止手段により着脱自在に係止され、また、回動側板14の側端部が折り畳み側板13に係止手段により着脱自在に係止して、上記箱形状を保形するようになっている。
【0031】
ここで、本実施形態の運搬用容器Aは、底板部12により底面部1が構成してあると共に、折り畳み側板13、回動側板14により側面部2が構成してある。
【0032】
上記底面部1を構成する底板部12及び側面部2を構成する折り畳み側板13、回動側板14にはそれぞれ多数の通気用孔3が形成してある。
【0033】
また、添付図面に示す実施形態においては、底板部12の上面及び回動側板14の内面にはそれぞれ収納物を支持するための複数の支持突部17が突設してある。
【0034】
図1のように箱形状に組み立てた状態で運搬用容器A内には収納物が収納されるのであるが、図1の実施形態では上記支持突部17間に略板状をした収納物を嵌め込んで、略板状の収納物の下縁部及び両側縁部を支持するようにして収納するようになっている。板状の収納物としては一例を挙げると蓄冷剤などであるが、もちろんこれにのみ限定されるものではない。
【0035】
収納物を収納した運搬用容器Aは、上下に積み重ね、冷蔵庫や冷凍庫内に入れて収納した収納物を冷却するようになっている。運搬用容器Aを上下に積み重ねた場合、図7に示すように、上段の運搬用容器Aの載置部8が下段の運搬用容器Aの上開口枠部4の上面に載置されると共に、上段の運搬用容器Aの嵌め込み部5が下段の運搬用容器Aの上開口枠部4内に嵌め込まれ、安定した積み重ねができるようになっている。
【0036】
冷蔵庫や冷凍庫内において、冷気が側面部2に設けた通気用孔3から運搬用容器A内に導入され、更に、上段の運搬用容器Aの底面部1に設けた通気用孔3を通って下段の運搬用容器A内に導入される。
【0037】
このように内部に冷気を導入することで、収納物を冷却するようになっている。
【0038】
一方、収納物を収納しない時は、両回動側板14を横向きとなるように回動し、両折り畳み側板13を内側にく字状に折り畳み、折り畳んだ折り畳み側板13の上に回動側板14を重ねることで、図2に示すように折り畳んでコンパクトにする。
【0039】
上記のような構成の運搬用容器Aにおいて、本発明においては、上段の運搬用容器Aの嵌め込み部5と、下段の運搬用容器Aの上開口枠部4との嵌め込み部分において、嵌め込み部5の外面と上開口枠部4の内面の一方又は両方に、外部と下段の運搬用容器A内とを連通して冷気を外部から下段の運搬用容器A内に導入するための冷気導入用通路6となる通気凹所7を形成してある。
【0040】
図6には、嵌め込み部5の外面と上開口枠部4の内面の両方に通気凹所7を設けて、両通気凹所7により嵌め込み部分に冷気導入用通路6を形成した例が示してある。
【0041】
また、図6、図8、図9の各実施形態は、上開口枠部4の内面に通気凹所7を設けて冷気導入用通路6を形成した例が示してある。
【0042】
また、図10には、上開口枠部4の内面には通気凹所7を設けることなく、嵌め込み部5の外面にのみ通気凹所7を設けて冷気導入用通路6を形成した例が示してある。この例では上開口枠部4に通気凹所7を設けることなく通気できるようにしたので、上開口枠部4の強度の低下がない。
【0043】
上記のように嵌め込み部分に形成される冷気導入用通路6は上流側端部が外部に開口した導入口20に連通し、下流側端部が下段の運搬用容器A内に連通する導出口21に連通しており、外部の冷気を上記嵌め込み部分に形成した冷気導入用通路6を介して下段の運搬用容器A内に導入するようにしている。
【0044】
外部に開口した導入口20を形成する例につき幾つかの例を説明する。
【0045】
図6、図8乃至図10の各実施形態においては、載置部8の一部に通気凹所7と外部とに連通する凹部9が形成してあって導入口20を構成している。つまり、載置部8の一部に設けた通気凹所7は外面側と下面とが開口しており、凹部9の外面側の開口から外部の冷気が凹部9内に導入され、凹部9内に導入された冷気が凹部9の下面の開口から冷気導入用通路6の上端部内に導入され、該冷気導入用通路6の下端部から下段の運搬用容器A内の上端部に導入されるようになっている。
【0046】
この図6、図8、図10に示す実施形態においては、上開口枠部4の外面に導入口20を形成する必要がなく、外観が良いと共に上開口枠部4の強度低下を防ぐことができる。また、段積みのときスライドにより上段の運搬用容器Aの底面が下段の運搬用容器Aの上開口枠部4に引っ掛からないようにできる。
【0047】
また、図9は上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7の上部を外部に連通させ、更に、これに加えて、載置部8の一部に外部及び通気凹所7と連通する凹部9を形成した例が示してあり、この実施形態においては、凹部9及び上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7の上部が導入口20を構成している。
【0048】
この、図9に示す実施形態においては、外部から冷気を凹部9と、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7の上部から導入できて、外部からの冷気の導入量を増やすことができる。
【0049】
また、図示を省略しているが、載置部8に凹部9を設けることなく、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7の上部のみ上下に積み重ねた際に外部に開口させてもよい(つまり、図9において凹部9を設けない例である)。この実施形態では、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7の上部が直接外部に連通していて導入口20を構成しており、外部から冷気を直接通気凹所7内に導入して下段の運搬用容器A内の上端部に導入できるようにしている。また、この実施形態では、載置部8に導入口20を設ける必要がなく、安定した載置が可能となる。
【0050】
次に、導出口21の例につき説明する。
【0051】
図6、図10に示す実施形態においては、嵌め込み部5の外面に形成した通気凹所7に下方に開口する下開口10を形成して導出口21を構成した例である。この実施形態では、冷気導入用通路6を形成する通気凹所7の下開口10から直接下段の運搬用容器A内に冷気を流すようになっている。この実施形態においては、嵌め込み部5の外面に形成した通気凹所7の下面に下方に開口する下開口10を形成して導出口21を構成するので、該下開口10の内側端部は上開口枠部4の内面よりも内側に離れて位置する(図6において寸法Lだけ内側に離れている)ことになり、このため、通気凹所7に導入した冷気を上開口枠部4から内側に離れた位置で下段の運搬用容器A内の上端部の内側に向けて効果的に冷気を導入できることになる。
【0052】
また、図8、図9に示すように、上開口枠部4の内面に通気凹所7を形成し、該通気凹所7の下端部を嵌め込み部5よりも下方まで形成し、通気凹所7の嵌め込み部5より下方の部分が導出口21を構成してもよい。
【0053】
更に、図示を省略しているが、嵌め込み部5の外面に通気凹所7を形成して該通気凹所7の下面に下方に開口する下開口10を形成すると共に、上開口枠部4の内面に通気凹所7を形成して該通気凹所の下端部を嵌め込み部5よりも下方まで形成することで、嵌め込み部5の内面に形成した通気凹所7及び上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7の両方に導出口21を形成してもよく、この場合は、冷気導入用通路6から下段の運搬用容器A内に流す冷気の量を多くできる。
【0054】
また、上開口枠部4に通気凹所7を形成する場合、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7を内側に行くほど低くなるようにすることが好ましい。図6乃至図9には上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7を内側に行くほど低くなるように傾斜面とした例が示してある。
【0055】
このように、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7を内側に行くほど低くなるように構成すると、通気凹所7に導入した冷気を斜め下方に流して、下段の上開口枠部4内の上端部の隅から斜め下方に冷気を流すことができ、下段の運搬用容器A内の上端部の内側に嵌め込み部分から効果的に冷気を導入することができる。
【0056】
ここで、図6のように、上開口枠部4の内面に形成した通気凹所7を内側に行くほど低くなるように構成することと、嵌め込み部5の外面に形成した通気凹所7の下面に下方に開口する下開口10を形成するという構成の双方を備えると、冷気を冷気導入用通路6を斜め下方となった流れとして上開口枠部4から内側に離れる方向に流し、上開口枠部4から離れた位置で下段の運搬用容器A内の上端部の内側に向けてより確実に冷気を導入できることになる。
【0057】
いずれの実施形態においても、本発明においては、嵌め込み部5と上開口枠部4との嵌め込み部分において嵌め込み部5の外面と開口枠部4の内面の一方又は両方に、外部と下段の運搬用容器A内とを連通して冷気を外部から下段の運搬用容器A内に導入するための冷気導入用通路6となる通気凹所7を形成するので、上段の運搬用容器Aの下部の嵌め込み部5と下段の運搬用容器Aの上開口枠部4との嵌め込み部分から外部の冷気を下段の運搬用容器A内に導入することができるのである。
【0058】
ところで、本発明のように嵌め込み部5を上開口枠部4に嵌め込んで上下に積み重ねるようにした運搬用容器Aにおいては、運搬用容器A内に入れる収納物の上端が、嵌め込み部5を上開口枠部4に嵌め込んで上下に積み重ねた場合、上段の運搬用容器Aの下面(嵌め込み部5の下面)に当らないように収納するのが一般的であり、このため、下段の運搬用容器A内に収納した収納物の上端と上段の運搬用容器Aの下面との間には隙間が生じている。
【0059】
そして、本発明においては、嵌め込み部5と上開口枠部4との嵌め込み部分に冷気導入用通路6を形成することで、上記下段の運搬用容器A内に収納した収納物の上端と上段の運搬用容器Aの下面との間には隙間に外部から冷気を導入でき、該隙間から下段の運搬用容器A内の上端部の内側に冷気を導入し、下段の運搬用容器A内に収納した収納物をほぼ等しく且つ効果的に冷却することができることになる。
【0060】
また、冷気導入用通路6は嵌め込み部5の外面と上開口枠部4の内面の一方又は両方に通気凹所7を形成することで構成してあるので、嵌め込み部分における通気凹所7以外の箇所は、従来と同様に嵌め込み部5の内面と上開口枠部4の外面とがほぼぴったり、またはわずかな隙間を介して嵌め合わされるような寸法関係としても、上記冷気の導入をすることができる。したがって、嵌め込み部分において外部からの冷気の導入ができながら嵌め込み部5と上開口枠部4との嵌め込み部分におけるがたつきを防止できる。
【0061】
もちろん、嵌め込み部5の外面と上開口枠部4の内面との間に多少の隙間が生じるようなものの場合であっても、嵌め込み部5がずれて嵌め込み部5の一外面が上開口枠部4の一内面に当接したとしても、この当接部分においても、嵌め込み部5の外面又は上開口枠部4の内面に通気凹所7が形成するので、確実に冷気を通気することができる。
【0062】
また、運搬用容器A内に板状の収納物を入れて支持突部17で支持する場合、冷気導入用通路6の位置は支持突部17で支持する板状の収納物と平行な方向(支持突部17の突出方向と平行な方向)に設けるとより効率的に冷却ができる。
【0063】
また、嵌め込み部5の外面に通気凹所7を形成すると共に該通気凹所7に下方に開口する下開口10を形成して導出口21を構成し、更に、載置部8の一部に嵌め込み部5に設けた通気凹所7と外部とに連通する凹部9が形成して導入口20を構成したものにおいては、上開口枠部4に通気凹所7を設けなくても外部から冷気を導入できるものであり、したがって、この場合、上開口枠部4に通気凹所7を設けるにしても、通気凹所7を小さくでき、更に、通気凹所7に外部に連通する導入口20を形成する場合であっても導入口20を小さくできる。このように本実施形態では、上開口枠部4に通気凹所7を設けない、又は設けるとしても小さくてよく、更に、導入口20を設けるとしても小さくてよく、この結果、上開口枠部4の強度の低下を防止しながら、効率的に冷却することが可能となる。
【0064】
また、添付図面に示す各実施形態では、載置部8の一部に設けた凹部9に運搬用容器Aの下端部内に連通する下部通気用孔11を形成してあって、凹部9に設けた下部通気用孔11を介して外部の冷気を上段の運搬用容器A内の下端部に導入することができるようにしてあって、上段の運搬用容器A内の下部に凹部9から冷気を導入することができる。
【0065】
この場合、図6、図8乃至図10の各実施形態に示すように凹部9が冷気導入用通路6の導入口20となっている場合は、凹部9から導入した冷気を下段の運搬用容器A内の上端部と、上段の運搬用容器A内の下端部とに導入することができ、簡単な構成でより冷却効果を上げることができる。
【0066】
添付図面に示す実施形態においては、運搬用容器Aとして折り畳み運搬用容器の例で説明したが、必ずしも折り畳み運搬用容器にのみ限定されず、上下に多段に積み重ねることが可能で且つ底面部1及び側面部2に通気用孔3を有するものであれば、一体成形された上方が開口した運搬用容器であってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の運搬用容器の斜視図である。
【図2】同上の折り畳み状態の斜視図である。
【図3】同上の正面図である。
【図4】同上の平面図である。
【図5】同上の底面図である。
【図6】同上の積み重ね状態における冷気導入用通路部分の断面図である。
【図7】同上の積み重ね状態における嵌め込み部分の断面図である。
【図8】同上の他の実施形態の積み重ね状態の断面図である。
【図9】同上の更に他の実施形態の積み重ね状態の断面図である。
【図10】同上の更に他の実施形態の積み重ね状態の断面図である。
【符号の説明】
【0068】
A 運搬用容器
1 底面部
2 側面部
3 通気用孔
4 上開口枠部
5 嵌め込み部
6 冷気導入用通路
7 通気凹所
8 載置部
9 凹部
10 下開口
11 下部通気用孔



【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に多段に積み重ねることが可能で且つ底面部及び側面部に通気用孔を有する運搬用容器であって、運搬用容器の底面部に下段の運搬用容器の上開口枠部内に嵌め込み自在となった嵌め込み部を設け、上記運搬用容器の嵌め込み部を上開口枠部内に嵌め込んで上下に積み重ねた状態で、嵌め込み部と上開口枠部との嵌め込み部分において嵌め込み部の外面と上開口枠部の内面の一方又は両方に、外部と下段の運搬用容器内とを連通して冷気を外部から下段の運搬用容器内に導入するための冷気導入用通路となる通気凹所を形成して成ることを特徴とする運搬用容器。
【請求項2】
運搬用容器の下部に、上下に積み重ねる際上開口枠部に載置するための載置部を設けると共に、載置部の下部に外面が載置部よりも内側に引き込んだ嵌め込み部を設け、載置部の一部に上記通気凹所と外部とに連通した凹部を形成して成ることを特徴とする請求項1記載の運搬用容器。
【請求項3】
上開口枠部の内面に形成した通気凹所の上部が上下に積み重ねた際に外部に開口していることを特徴とする請求項1記載の運搬用容器。
【請求項4】
上開口枠部の内面に形成した通気凹所を内側に行くほど低くなるようにして成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の運搬用容器。
【請求項5】
嵌め込み部の外面に形成した通気凹所に、上開口枠部から内側に離れた位置で冷気を下段の運搬用容器内に流す下開口を形成して成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の運搬用容器。
【請求項6】
上記載置部の一部に設けた凹部に運搬用容器の下端部内に連通する下部通気用孔を形成して成ることを特徴とする請求項2記載の運搬用容器。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−126234(P2010−126234A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305280(P2008−305280)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000010054)岐阜プラスチック工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】