説明

運搬箱用の長尺衣類収納具

【課題】 きわめて簡単にネクタイなどの長尺衣類を梱包することなく、そのままの状態で例えばハンガーボックスのような運搬箱内に収納して汚れや皺などの心配をすることなく搬送することを可能とする運搬箱用の長尺衣類収納具を提供する。
【解決手段】 全体が線材を屈曲して形成されており、中央部に上方に向けて屈曲させた山形の掛止部2が形成されているとともに掛止部2の裾部分21,21がそれぞれ所定の長さだけ上方へ向けて折り返して一対の吊下げ部3,3が形成されており、且つ両吊下げ部3,3の頂部が屈曲面と直交する方向に向けて所定の長さだけそれぞれ下方に折り返して差込部4,4を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引越等の際にネクタイ、ストールなどのような長尺衣類を運搬用の箱にまとめて収納させることが可能な運搬箱用の長尺衣類収納具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引越等の際には荷物を段ボール製の運搬箱に収納して搬送するのが一般的である。そして、一般には段ボール箱のように単に箱状の運搬箱が用いられているが、近頃は搬送物に適した専用の運搬箱が用いられており、例えば洋服をハンガーに掛けたままの状態で収納できるハンガーボックスと称されるものもその1つである。
【0003】
このハンガーボックスは、例えば特開平8−72924号公報や特開2001−12370号公報などに提示されているように、箱内に架設した棒状のハンガー掛けにハンガーに掛けた状態の洋服をそのまま掛けることにより吊り下げ状態で収納するものであり、例えば洋服ダンスに掛けてある洋服をそのままの状態で特別に梱包することなく運んで、さらに運送先でそのまま洋服ダンスに再収納できることからきわめて便利で省力化を図ることができるばかりか余分な梱包材も不要であり、資源的にも優れている。
【0004】
ところで、前記洋服を運ぶ際に、一般に洋服ダンスには、洋服だけでなく、ネクタイ、ストール、マフラーなどの長尺衣類も一緒に保管しているのが一般的であり、引越時などにはこれらを洋服と一緒の運搬箱に収納するの場合がきわめて効率がよい。
【0005】
しかしながら、前記従来の所謂ハンガーボックスと称される運搬箱はハンガーに掛けた状態の洋服を収納する目的で作成されているため前記長尺衣類を収納する設備が施されていない。
【0006】
そのため、前記ハンガーボックスに長尺衣類を収納するには、例えば束にして丸めて運搬箱内にそのまま投入することが考えられるが、そのまま投入する場合には取り出しが困難なばかりか汚れたり、皺になったりして余分な手間が掛かる。また、前記棒状のハンガー掛けのあいた部分に掛けておく手段も考えられるが掛け渡す手間が掛かるとともに搬送中に落下することもあり、また、洋服が多い場合には掛ける隙間も生じない。
【0007】
さらに、例えば特開2000−5033号公報、特開2007−61158号公報などに提示されているようなネクタイなどを掛けることが可能なハンガーも知られているが、これらのハンガーを用いる場合にはハンガーに設けられた多数の掛止部にネクタイを一本づつ掛け止める作業が必要であることから煩雑であり時間が制約される引越などには向かない。
【0008】
さらにまた、運送箱自体に長尺衣類の収納部を形成することも考えられるが、運送箱の構造が複雑となり多量生産に向かないとともに収納作業も繁雑となる。
【特許文献1】特開平8−72924号公報
【特許文献2】特開2001−12370号公報
【特許文献3】特開2000−5033号公報
【特許文献4】特開2007−61158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたのであり、きわめて簡単にネクタイなどの長尺衣類を梱包することなく、そのままの状態で例えばハンガーボックスのような運搬箱内に収納して汚れや皺などの心配をすることなく搬送することを可能にするばかりか、使用する運搬箱に特別な部品や加工を必要とせず、各種の運搬箱について使用することができるばかりか、取付けや取り外しも簡単で単体として使用可能であることから使用する運搬箱が消耗したとしてもそのまま永く使用することができ、きわめて経済的である運搬箱用の長尺衣類収納具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するためになされた本発明は、全体が線材を屈曲して形成されており、上方に向けて屈曲させた山形の掛止部が中央部に形成されているとともに前記掛止部の裾部分がそれぞれ所定の長さだけ上方へ向けて折り返して一対の吊下げ部が形成されており、且つ前記両吊下げ部の頂部が前記屈曲面と直交する方向に向けて所定の長さだけそれぞれ下方に折り返されて運搬箱への差込部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
以上の構成を有する本発明は、頂面を開放した運搬箱の周壁の頂端面や周壁の内部に付設した補助部材の頂端面或いは周壁の内面に付設した補助部材との間に形成される隙間に前記差込部を差し込んで運搬箱における周壁の内面に沿って吊り下げ、中央部に形成されている掛止部に長尺衣類を掛け止めることにより簡単且つ確実に運搬箱内に長尺衣類を収納し、蓋をして運搬し、運搬先では長尺衣類をそのまま抜き取ればよい。
【0012】
また、本発明は、何れかの運搬箱に専用でなく汎用できるので長期にわたって使用することも可能であり、さらに、使用時には運搬箱における周壁の内面に沿って配置されることから例えば一緒に収納されるハンガーに掛けた洋服等と位置的に緩衝することがなく、周壁の補強としての作用も発揮させることができる。
【0013】
また、本発明おいて、前記線材を金属により形成する場合には全体として強靱で多量の長尺衣装を掛けても変形する心配がなく、箱体の補強効果もおおきい。特に、表面にメッキが施されている場合には耐蝕性にも優れ、耐久性も増す。
【0014】
さらに、本発明において、前記掛止部が滑り止め部材によりコーティングされている場合には、掛止部に掛け止めた長尺衣類が滑り易い材質であっても確実に掛止され、移送中に滑り落ちたりする心配がない。
【0015】
加えて、本発明において、前記運搬箱への差込部の先端が尖っている場合には、取り付ける運搬箱が段ボール製の場合などに予め差込穴を形成することなく押圧するだけで自由な位置に取り付けることができ、きわめて便利である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、長尺衣類を包装することなくハンガーボックスのような運搬箱にきわめて簡単に収納させることができ、使用時には比較的空きのある運搬箱の周壁に沿って配置されることから多量の長尺衣類を確実に保持させた状態で収納させることができる。また、使用する運搬箱は任意に選択することができるのでききわめて便利であるとともに経済的、資源的にも優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0018】
図1は本発明の好ましい実施の形態を示し、図1(a)は正面図、(b)は側面図であり、長尺衣類収納具1は、全体が例えば表面にクロムメッキを施した直径が3mm程度の適宜の剛性を有する鋼材線材を屈曲して形成されており、中央部に上方に向けて屈曲させた山形の掛止部2が形成されているとともにこの掛止部2の裾部分21,21がそれぞれ所定の長さだけ上方へ向けて折り返して一対の吊下げ部3,3が形成されており、これらの両吊下げ部3,3の頂部が前記屈曲面と直交する方向に向けて所定の長さだけそれぞれ下方に折り返されて運搬箱への差込部4,4が形成されている。
【0019】
図2は、本実施の形態である長尺衣類収納具1を紙製段ボールにより形成される周壁6に形成した凹部7にハンガー(図示せず)を掛止するハンガー掛止棒8などを架設した所謂ハンガーボックスと称される運搬箱5への使用例を示すものであり、はじめに図2(a)に示すように、頂面を開放した運搬箱5の周壁6に沿って掛止部2の屈曲面を沿わせて配置し、運搬箱5の一つの周壁6における頂端面61に差込部4,4を差し込んで図2(b)に示すように運搬箱5における周壁6の内面62に沿って吊り下げ、中央に形成されている掛止部2に例えばネクタイなどの長尺衣類9を掛け止めることにより簡単且つ確実に運搬箱5内に長尺衣類9を収納することができる。尚、本説明では、使用状態を明確にするため長尺衣類として一本のネクタイを示したが、長尺衣類はネクタイに限らず、また、複数本をまとめて掛ける止めることが可能である。
【0020】
このとき、長尺衣類9は山形の掛止部2と両吊下げ部3,3との間に差し込まれて挟持されるので確実に保持され、取り外すには例えば長尺衣類9の山形の掛止部2の部分を持ってそのまま引き抜けばよくきわめて簡単である。
【0021】
尚、長尺衣類収納具1は使用時に運搬箱5に装着してもよいが、予め装着しておいても何ら支障なく、また、繰り返しの使用により運搬箱5が消耗した場合には取り外して新たな運搬箱5に耐久部材として順次、使用可能であってきわめて経済的である。
【0022】
また、本実施の形態では長尺衣類収納具1は金属線材を屈曲させて形成したが、例えば合成樹脂材により成形するなど他の素材により形成してもよい。
【0023】
図3乃至図5は本発明の異なる実施の形態を示すものであり、図3に示すものは掛止部2が滑り止め部材10によりコーティングされているものであり、掛止部2に掛け止めた長尺衣類9が滑り易い材質であっても確実に掛止され、移送中にスベリ落ちたりする心配がない。
【0024】
図4に示すものは差込部4,4の先端が尖っているものであり、運搬箱への差し込みを容易にしたものであり、例えばプラスチック段ボールなどのように運搬箱が差し込みにくい素材により形成されている場合にもそのままでの差し込みを可能にしたものであり、予め差し込み用の穴を形成しておかなくても装着可能である。
【0025】
また、図5に示す実施の形態は、複数の掛止部2,2を形成したものであり、収容量を増やすことができる。
【0026】
さらに、図6はプラスチック段ボールにより形成された運搬箱5についての使用例を示すものであり、周壁6の内面62に付設された補助部材11における頂端面111に取り付けたものであり、可能であれば周壁6と補助部材11との隙間に差し込んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明における最適な実施形態の一例を示すものであり、(a)は正面図、(b)側面図。
【図2】図1に示した実施の形態の使用状態を示す説明図。
【図3】本発明の異なる実施の形態を示す部正面図。
【図4】本発明の異なる実施の形態を示す側面図。
【図5】本発明の異なる実施の形態を示す正面図。
【図6】図1に示した実施の形態の異なる使用状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0028】
1 長尺衣類収納具、2 掛止部、3 吊下げ部、4 差込部、5 運搬箱 22 裾部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が線材を屈曲して形成されており、上方に向けて屈曲させた山形の掛止部が中央部に形成されているとともに前記掛止部の裾部分がそれぞれ所定の長さだけ上方へ向けて折り返して一対の吊下げ部が形成されており、且つ前記両吊下げ部の頂部が前記屈曲面と直交する方向に向けて所定の長さだけそれぞれ下方に折り返されて運搬箱への差込部が形成されていることを特徴とする運搬箱用の長尺衣類収納具。
【請求項2】
前記線材が金属により形成されているとともに表面にメッキが施されている請求項1記載の運搬箱用の長尺衣類収納具。
【請求項3】
前記掛止部が滑り止め部材によりコーティングされている請求項1または2記載の運搬箱用の長尺衣類収納具。
【請求項4】
前記運搬箱への差込部の先端が尖っている請求項1または2記載の運搬箱用の長尺衣類収納具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−23701(P2009−23701A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189458(P2007−189458)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(599055865)株式会社エスツー・コーポレーション (4)
【Fターム(参考)】