運転適性診断装置、運転適性診断プログラム及び運転適性診断プログラムが記憶された記憶媒体
【課題】使用される被操作部の形態及び配置間隔が相違する場合であっても、運転適性診断その診断結果同士を適正に比較評価することが可能な運転適性診断装置の提供。
【解決手段】記憶部10には、被操作部の形態及び被操作部の配置間隔から一意的に定まる入力ボタン7の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶され、制御部9は、記憶部10から読み出した対応関係を用いて、入力ボタン7の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、判断テストの測定結果である判断時間と動作テストの測定結果である動作時間とを、算出した補正時間を用いて補正し、補正した判断時間及び動作時間を用いて運転適性評価値を算出する。
【解決手段】記憶部10には、被操作部の形態及び被操作部の配置間隔から一意的に定まる入力ボタン7の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶され、制御部9は、記憶部10から読み出した対応関係を用いて、入力ボタン7の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、判断テストの測定結果である判断時間と動作テストの測定結果である動作時間とを、算出した補正時間を用いて補正し、補正した判断時間及び動作時間を用いて運転適性評価値を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転適性診断装置、運転適性診断プログラム及び運転適性診断プログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特公昭57−4341号公報には、自動車の運転に際し、普段の対応に対して非常事態となった時に即座に安全な対応を選ぶ頭の切替能力(頭の柔軟性)を測定する制御能力測定器が開示されている。
【0003】
この制御能力測定器では、○、△、□の三種の識別シグナルを所定の測定時間ランダムに表示し、この三種のシグナル○、△、□にそれぞれ対応する鍵盤A,B,Cを正確に押した回数(応答数)をカウントし、測定時間を応答数で除算することにより、被験者の判断+動作の合計時間(以下、単に判断時間と称する)を求めるとともに、鍵盤A,Cを交互に所定の測定時間内に押した回数(応答数)をカウントし、測定時間を応答数で除算することにより、動作時間を求める。
【0004】
【特許文献1】特公昭57−4341号公報
【特許文献2】特開平5−317296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、被験者が複数の被操作部を交互に押下する場合、被操作部の形態(寸法形状)や配置間隔が相違すると、押下操作の容易性(困難性)が相違し、診断結果が大きく相違する可能性が生じる。このため、形態及び配置間隔の被操作部が相違する場合には、その診断結果同士を比較評価することができない。
【0006】
そこで、本発明は、使用される被操作部の形態及び配置間隔が相違する場合であっても、その診断結果同士を適正に比較評価することが可能な運転適性診断装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の運転適性診断装置は、表示手段と入力手段と表示制御手段と判断時間検出手段と動作時間検出手段と記憶手段と補正手段と算出手段と出力手段とを備える。
【0008】
入力手段は、直線状且つ等間隔に配置された複数の被操作部を有し、各被操作部が被験者からの押下操作を受ける。表示制御手段は、表示手段に判断時間測定用画像と動作時間測定用画像とを表示させる。判断時間検出手段は、判断時間測定用画像の表示に対する被験者からの被操作部への押下操作を検知することにより、被験者の判断時間を検出する。動作時間検出手段は、動作時間測定用画像の表示に従って行われる被験者からの被操作部への押下操作を検知することにより、被験者の動作時間を検出する。記憶手段には、被操作部の形態及び被操作部の配置間隔から一意的に定まる入力手段の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶される。補正手段は、記憶手段から読み出した対応関係を用いて、入力手段の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、判断時間検出手段が検出した判断時間と動作時間検出手段が検出した動作時間とを、算出した補正時間を用いて補正する。算出手段は、補正手段が補正した判断時間及び動作時間を用いて、予め設定された演算式に従って運転適性評価値を算出する。出力手段は、算出手段が算出した運転適性評価値を出力する。
【0009】
上記構成では、記憶手段には、被操作部の形態及び被操作部の配置間隔から一意的に定まる入力手段の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶され、補正手段は、記憶手段から読み出した対応関係を用いて、入力手段の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、判断時間検出手段が検出した判断時間と動作時間検出手段が検出した動作時間とを、算出した補正時間を用いて補正し、算出手段は、補正手段が補正した判断時間及び動作時間を用いて、予め設定された演算式に従って運転適性評価値を算出する。
【0010】
すなわち、算出手段は、基準形状特性を有する被操作部を使用した場合と同等に評価可能に補正された運転適性評価値を、運転適性診断の結果として常に算出する。従って、使用される被操作部の形態及び配置間隔が相違する場合であっても、その診断結果同士を適正に比較評価することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用される被操作部の形態及び配置間隔が相違する場合であっても、その診断結果同士を適正に比較評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本実施形態の運転適性診断装置を示すブロック構成図、図2は図1の表示装置及び入力装置を示す模式図、図3は丸型ボタンを示す平面図、図4〜図6は角型ボタンをそれぞれ示す平面図、図7はピアノボタンを示す平面図、図8は形状特性と動作反応基準時間との対応関係を示す図、図9は図1の運転適性診断装置が実行する運転適性診断処理の概要を示すフローチャート、図10は補正処理の詳細を示すフローチャート、図11は図1の運転適性診断装置が評価結果として被験者に提供する結果解説シートを示す図である。
【0014】
[運転適性診断装置の構成]
図1及び図2に示すように、運転適性診断テストを行うための運転適性診断装置1は、診断実行処理装置2と表示装置3と入力装置4と印刷装置5とを備える。表示装置3は、液晶ディスプレイ等の表示画面6を有し、表示手段として機能する。また、入力装置4は入力手段として機能する。
【0015】
図2〜図7に示すように、入力装置4の上面には、被験者によって押下操作される入力部としての3つの入力ボタン7(7a,7b,7c)が、直線状に等間隔に並んで設けられ、一つの入力装置4において、3つの入力ボタン7a,7b,7cの被操作部13〜17は同一の寸法形状を有している。なお、運転適性診断を受ける被験者には、3つの入力ボタン7のそれぞれに「○」、「△」及び「□」の記号が対応していることが予め知らさせる。
【0016】
入力装置4の入力ボタン7としては、図2及び図3に示す丸型ボタンの他に、例えば、図4〜図7に示すような様々なタイプのものが使用可能である。
【0017】
図2及び図3に示す丸型ボタンでは、各入力ボタン7a,7b,7cの被操作部13は平面視円形状を有し、隣接する被操作部13の重心の間は、所定距離(以下、ボタン間距離と称する)Lに設定されている。ボタン間距離Lは、被操作部13の半径rの2倍よりも大きく設定され(L>2r)、隣接する被操作部13の外縁同士は離間している。
【0018】
図4〜図6に示す入力ボタン7は、被操作部14,15,16の形状が相互に異なる角型ボタンであり、図7に示す入力ボタン7は、被操作部17同士が近接するピアノボタンである。なお、以下の説明において、入力ボタン7a,7b,7cの配列方向を横方向、入力ボタン7a,7b,7cの配列方向に直交する方向を縦方向、横方向に沿った各被操作部14〜17の幅を横幅、縦方向に沿った各被操作部14〜17の幅を縦幅とそれぞれ称する。
【0019】
図4に示す入力ボタン7の被操作部14は平面視六角形状を有する。ボタン間距離Lは、被操作部14の横幅を直径とする円の半径(外接円の半径)r2の2倍よりも大きく設定され(L>2r2)、隣接する被操作部14の外縁同士は離間している。
【0020】
図5に示す入力ボタン7の被操作部15は、横幅が縦幅よりも長い横長状の平面視長方形状を有する。ボタン間距離Lは、被操作部15の横幅を直径とする円の半径r2の2倍よりも大きく設定され(L>2r2)、隣接する被操作部15外縁同士は離間している。
【0021】
図6に示す入力ボタン7の被操作部16は、2対の対角が横方向及び縦方向を向く平面視正方形状を有する。ボタン間距離Lは、被操作部16の横幅を直径とする円の半径r2の2倍よりも大きく設定され(L>2r2)、隣接する被操作部16外縁同士は離間している。
【0022】
図7に示す入力ボタン7の被操作部17は、縦幅が横幅よりも長い縦長状の平面視長方形状を有する。ボタン間距離Lは、被操作部17の横幅を直径とする円の半径r2の2倍とほぼ等しく設定され、隣接する被操作部15外縁同士は近接している。
【0023】
なお、何れのタイプの入力ボタン7を標準タイプとするかは、上記丸タイプボタンに限定されるものではなく任意であり、また標準タイプの入力ボタン7の寸法形状をどのように設定するかも任意である。
【0024】
なお、上記各種タイプの入力ボタン7において、ボタン間距離Lが短すぎると、被験者が片手の異なる指を複数の入力ボタン7の上にそれぞれ載せ、手を動かさずに入力ボタン7を押下操作してしまう可能性が生じる。このような押下操作では、動作が簡単すぎて反応時間の差が現れ難くなる。このため、ボタン間距離Lは、比較的大きな手が拡げられたときの親指から小指までの最大距離の半分以上(例えば、100mm以上)に設定されることが好ましい。
【0025】
診断実行処理装置2は、入出力部8と制御部9と記憶部10とを備える。入出力部8と制御部9と記憶部10とは、バス11を介して接続されている。入出力部8は出力手段として機能し、制御部9は、表示制御手段、判断時間検出手段、動作時間検出手段、補正手段、及び算出手段として機能する。なお、診断実行処理装置2は、専用の装置であってもよく、汎用のパーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0026】
入出力部8は、インターフェースであり、表示装置3、入力装置4及び印刷装置5との間でデータを送受信する。また、入出力部8にはキーボード(図示省略)が接続され、適性診断の実施者や被験者がキーボードに対して入力操作を行うことにより、各種制御信号や各種データが入出力部8から診断実行処理装置2へ入力する。
【0027】
記憶部10は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)によって構成され、制御部9が各種処理を実行するための各種プログラムや各種データが記憶されている。各種プログラムには、制御部9が運転適性診断処理を実行するための運転適性診断プログラムが含まれ、運転適性診断プログラムには、運転適性診断処理で用いられる判断時間測定データ記憶テーブル、動作時間測定データ記憶テーブル、判断時間積算記憶領域、動作時間積算記憶領域、及び補正用データ記憶領域が含まれる。運転適性診断プログラム及び各記憶テーブルは、各種CDメディア(Compact Disc Media)などの外部の記憶媒体から読み出されて記憶部10に記憶されてもよく、またインターネットなどのネットワークを介して取得されて記憶部10に記憶されてもよい。
【0028】
補正用データ記憶領域には、標準タイプ以外の入力ボタン7を使用して運転適性診断テストを実行した場合の測定結果を、標準タイプの入力ボタン7を使用した場合と同等に評価可能とするための補正用データが予め記憶されている。
【0029】
一般に、入力ボタン7のタイプや寸法形状が相違すると、複数並んだ入力ボタン7を繰り返して押下する際の容易性(困難性)が相違し、同じ被験者であっても、使用する入力ボタン7のタイプや寸法形状が相違すると、測定結果が大きく相違してしまう可能性がある。このような不都合を解消するため、補正用データ記憶領域には、入力ボタン7の形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係が補正用データとして予め記憶されている。
【0030】
入力ボタン7の形状特性Cとは、被操作部13〜17の形態(寸法形状)及び配置間隔(ボタン間距離L)に起因した操作性の難易を表すパラメータである。例えば、複数並んだ入力ボタン7を繰り返して押下する場合、その打点は被操作部13〜17の重心Oに収束する。このため、被操作部13〜17の形状に依らず、重心Oを中心として所定の半径(以下、ボタン有効半径rと称する)で規定される円の内側を、入力ボタン7の有効な操作範囲と見做すことができる。本実施形態では、ボタン有効半径rとして、重心Oを中心とした被操作部13〜17の内接円の半径r1を用いている。入力ボタン7の押下操作は、有効な操作範囲が狭いほど困難となる傾向を示し、ボタン間距離Lが長いほど困難となる傾向を示すことから、本実施形態では、入力ボタン7の形状特性Cとして、ボタン間距離Lとボタン有効半径r(内接円の半径r1)との比(r1/L)を用いている。
【0031】
被操作部13〜17の内接円の半径r1の最大値はボタン間距離Lの1/2であることから、形状特性Cの範囲は、0(0%)を超えて0.5(50%)以下に制限され、形状特性Cが小さいほど入力ボタン7の押下操作が困難となる傾向を示す。
【0032】
補正用データ記憶領域に記憶される形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係は、形状特性Cに応じて動作反応基準時間tが一意的に決定されるものであれば演算式やテーブルやマップなどの何れであってもよい。本実施形態では、形状特性Cと動作反応基準時間tとの関係を示す演算式として、次式(1)が記憶されている。
【0033】
y=αx2+βx+γ…(1)
上式において、yは動作反応基準時間t(sec)の値であり、xは形状特性Cの値であり、α、β及びγは、予め定められた所定の係数である。
【0034】
上記α、β及びγの値は、例えば、形状特性Cが異なる複数の入力装置4を使用し、各入力装置4において所定の2つの入力ボタン7を自律的に交互にできるだけ早く押下させ、1つの入力ボタン7の押下に要する平均時間を動作反応基準時間tとして予め測定し、図8に示すように、形状特性Cを縦軸(x軸)とし動作反応基準時間tを横軸(y軸)とした座標内に各測定値をプロットし、それらの近似曲線(2次曲線)を求めることによって決定する。なお、1つの入力装置4において、隣接する2つの入力ボタン7(例えば、入力ボタン7aと入力ボタン7b)を使用する場合の形状特性C1と両端の入力ボタン7(入力ボタン7aと入力ボタン7c)を使用する場合の形状特性C2とは、C1=2×C2となり、両者は相違するため、1つの入力装置4によって異なる2つの形状特性Cに対する動作反応基準時間tを測定することが可能である。形状特性Cと動作反応基準時間tとの関係を求めるための測定において、その実施者は、1人であってもよく、複数であってもよい。
【0035】
図8の例において、α、β及びγの各値は、α=+0.6375、β=−0.5658、γ=+0.2649となる。この場合、形状係数C=0.2(20%)に対する動作反応基準時間tは、0.177secと算出され、形状係数C=0.5(50%)に対する動作反応基準時間tは、0.141secと算出される。標準タイプの入力ボタン7の形状係数C0が0.2であると仮定すると、形状係数Cが0.5の入力ボタン7を使用して後述する運転適性診断テストを実施した際に測定される動作時間及び反応時間は、同じ被験者が標準タイプの入力ボタン7を使用した場合に比べて、0.177−0.141=0.036secだけ早くなる。すなわち、形状係数Cが0.5の入力ボタン7を使用して運転適性診断テストを実施した場合の診断結果は、測定された動作時間及び反応時間に対してそれぞれ0.036secを加算することにより、標準タイプを使用した場合の運転適性診断テストの診断結果と同等に評価することができる。
【0036】
なお、形状特性Cと動作反応基準時間tとの関係を示す演算式は、上記(1)式に限定されるものではない。
【0037】
また、有効半径rは、被操作部13〜17の内接円の半径r1に限定されるものではない。例えば、図4に示すように、被操作部14の内接円の半径r1と被操作部14の横幅を直径とする円の半径r2との差が比較的小さい場合と、図5に示すように、被操作部15の内接円の半径r1と被操作部15の横幅を直径とする円の半径r2との差が比較的大きい場合とでは、半径r1が同じであっても、半径r2が大きい方(図5に示す方)が小さい方(図4に示す方)よりも有効な操作範囲が拡大する。このため、有効半径rを被操作部15の内接円の半径r1と被操作部15の横幅を直径とする円の半径r2とに基づいて算出してもよい。具体的には、r=m×r1+n×r2(m+n=1,m及びnは所定の正の係数)に従って、有効半径rを算出してもよい。
【0038】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、記憶部10から運転適性診断プログラムを読み出して運転適性診断処理を実行する。制御部9は、後述する総合測定時間と単位測定時間とを算出するための時間を示すカウント値(例えば時刻)を取得可能なタイマ12を含む。また、制御部9は、各種制御信号や各種データや検出信号を、入出力部8を介して外部と送受信し、画像データを生成して表示装置3へ出力することによって、表示画面6に所望の画像を表示させる。入力ボタン7が押下されると、その検出信号が入出力部8を介して制御部9に入力する。また、制御部9は、3つの入力ボタン7a,7b,7cのうち何れのボタンが押下されたかを判別可能である。
【0039】
[運転適性診断テストの概要]
次に、運転適性診断装置1を使用した運転適性診断テストの概要について説明する。
【0040】
この運転適性診断テストでは、被験者は、所定回数(本実施形態では3回)の判断時間測定テストと、所定回数(本実施形態では2回)の動作時間測定テストとを行う。判断時間測定テストによって、被験者の判断+動作の合計時間(判断時間)が測定され、動作時間測定テストによって、被験者の動作のみの時間(動作時間)が測定される。
【0041】
各回の判断時間測定テストでは、表示装置3の表示画面6に、テストの開始を報知する画像が表示された後、「○」、「△」及び「□」の3種類のうちの1つの記号(測定用識別画像)が、所定時間(本実施形態では10秒間)順次ランダムに表示され、所定時間経過後にテストの終了を報知する画像が表示される。被験者は、表示画面6に表示された記号を視認によって識別し、表示された記号に対応する入力ボタン7(例えば、記号が「○」の場合には入力ボタン7a、「△」の場合には入力ボタン7b、「□」の場合には入力ボタン7c)を、記号の表示後できるだけ早く押下する。本テストでは、記号の表示から入力ボタン7の押下までに要する時間が順次測定されて記憶され、その平均値が1回のテストの判断時間として算出される。そして、上記テストが3回行われ、最終的に3回のテストの平均値が、被験者の判断時間として算出される。
【0042】
各回の動作時間測定テストでは、表示装置3の表示画面6に、テストの開始を報知する画像が表示され、所定時間(本実施形態では10秒間)経過後にテストの終了を報知する画像が表示される。その間に、被験者は、2つの入力ボタン7(例えば、入力ボタン7aと入力ボタン7c)を、表示画面6の表示に依らず自律的に交互にできるだけ早く押下する。本テストでは、1つの入力ボタン7の押下に要する時間が順次測定されて記憶され、その平均値が1回のテストの動作時間として算出される。そして、上記テストが2回行われ、最終的に2回のテストの平均値が、被験者の動作時間として算出される。なお、入力ボタン7が押下されたことを被験者に対して報知するため、表示画面6には、入力ボタン7が押下される毎に上下に移動する所定の記号(例えば、星型の記号(図示省略))が表示される。
【0043】
[運転適性診断処理]
次に、制御部9が実行する運転適性診断処理について説明する。
【0044】
図3に示すように、運転適性診断処理は、被験者情報取得処理(ステップS1)と判断時間算出処理(ステップS2)と動作時間算出処理(ステップS3)と補正処理(ステップS4)と診断結果出力処理(ステップS5)とを含み、制御部9は、キーボードから運転適性診断処理の開始を指示する制御信号を受信すると、被験者情報取得処理(ステップS1)から順次処理を開始する。
【0045】
[被験者情報取得処理]
被験者情報取得処理では、制御部9が、適性診断の実施者や被験者に対して各種情報の入力を要求する画像を表示画面6に表示させる。この各種情報には、被験者の識別番号又は名前や年齢や性別が含まれる。適性診断の提供者や被験者が表示画面6の表示に従ってキーボードを操作して各種情報(データ)を順次入力すると、入力されたデータが診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は、受信した各種情報のデータを記憶部10に記憶させる。要求された情報の入力が全て完了すると、被験者情報取得処理が終了し、判断時間算出処理へ移行する。
【0046】
[判断時間算出処理]
判断時間算出処理へ移行すると、制御部9が、適性診断の被験者に対して判断時間測定テストの開始指示の入力を促す画像を表示画面6に表示させる。被験者が表示画面6の表示に従ってキーボードを操作して判断時間測定テストの開始指示を入力すると、開始指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、制御部9が判断時間測定テストを開始する。
【0047】
判断時間測定テストが開始すると、制御部9は、判断時間測定テストの練習の開始を報知する画像を表示画面6に表示させた後、練習の処理を実行する。なお、練習の処理は、後述する本テストの内容と同様であるためその説明を省略する。但し、練習において取得したデータは、最終的な診断結果となる平均判断時間の算出には使用しない。
【0048】
練習が終了すると、制御部9は、本テスト(本番)を開始して良いかを問う画像を表示画面6に表示させる。被験者がキーボードを操作して本テストの開始指示(開始OK)を入力すると、本テストを開始する指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は、本テストを開始する。一方、被験者がキーボードを操作して本テストの開始拒否(開始NO)を入力すると、練習を再度実行する指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、被験者は再度練習を行うことができる。
【0049】
本テストが開始されると、制御部9は、本テストの開始及び何回目の本テストであるかを報知する画像を表示画面6に表示させ、タイマ12のカウント値を本テスト開始時として取得して記憶部10に記憶させる。
【0050】
続いて、制御部9は、「○」、「△」及び「□」の3種類の記号から1つの記号をランダムに選択し、選択した記号の画像を表示画面6に表示させる(刺激表示の呈示)とともに、タイマ12による総測定時間の計時と単位測定時間の計時とを開始する。なお、既に記憶部10に前回の単位時間測定基準時が記憶されている場合には、今回取得した単位時間測定基準時に更新する。また、図2は、「△」の記号が選択され表示された場合の例である。
【0051】
被験者は、表示画面6に表示された記号を視認によって識別し、表示された記号に対応する入力ボタン7を、記号の表示後できるだけ早く押下する。入力ボタン7が押下されると、その検出信号が入力装置4から診断実行処理装置2へ送信される。入出力部8が入力装置4から検出信号を受信すると、制御部9は、タイマ12のカウント値を今回の単位時間測定基準時として取得し、記憶部10から前回の単位時間測定基準時を読み出し、前回の単位時間測定基準時と今回の単位時間測定基準時との時間差を単位測定時間として算出し、算出した単位測定時間を記憶部10の判断時間測定データ記憶テーブルに記憶させるとともに、記憶部10に記憶されている前回の単位時間測定基準時を最新(今回)の単位時間測定基準時に更新する。
【0052】
次に、制御部9は、タイマ12のカウント値を取得し、記憶部10から本テスト開始時を読み出し、取得したカウント値と本テスト開始時との時間差を総測定時間として算出し、総測定時間が所定時間(10秒)に達したか否か(テスト開始から所定時間が経過したか否か)を判断し、所定時間が経過していない場合には、再度3種類の記号から1つの記号をランダムに選択し、選択した記号の画像を表示画面6に表示させ、入力ボタン7の押下の度に単位測定時間を順次算出して記憶させる。このように、判断時間測定テストでは、表示された記号を被験者が識別して入力操作を行うまでに実際に要した時間が繰り返して測定され記憶される。
【0053】
総測定時間が所定時間(10秒)に達すると、1回目の判断時間測定テストが終了し、制御部9は、判断時間測定テストの終了を報知する画像を表示画面6に表示させる。1回目の判断時間測定テストの終了後、引き続き2回目の判断時間測定テスト及び3回目の判断時間測定テストが実行され、判断時間測定処理が終了する。これにより、判断時間測定データ記憶テーブルには、3回の判断時間測定テストの結果が記憶される。
【0054】
制御部9は、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶された測定結果から1回の判断時間測定テストの平均判断時間、及び診断のために使用される全体の平均判断時間(以下、判断時間平均値T1と称する)とを算出し、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶する。
【0055】
次に、制御部9は、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶された測定結果から1回の判断時間測定テストの平均判断時間、及び診断のために使用される全体の平均判断時間(以下、判断時間平均値T1と称する)とを算出し、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶して判断時間測定処理を終了し、動作時間測定処理へ移行する。
【0056】
[動作時間算出処理]
動作時間算出処理へ移行すると、制御部9が、適性診断の被験者に対して動作時間測定テストの開始指示の入力を促す画像を表示画面6に表示させる。被験者が表示画面6の表示に従ってキーボードを操作して動作時間測定テストの開始指示を入力すると、開始指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、制御部9が動作時間測定テストを開始する。
【0057】
動作時間測定テストが開始すると、制御部9は、動作時間測定テストの練習の開始を報知する画像を表示画面6に表示させた後、練習の処理を実行する。なお、練習の処理は、後述する本テストの内容と同様であるためその説明を省略する。但し、練習において取得したデータは、最終的な診断結果となる平均動作時間の算出には使用しない。
【0058】
練習が終了すると、制御部9は、本テスト(本番)を開始して良いかを問う画像を表示画面6に表示させる。被験者がキーボードを操作して本テストの開始指示(開始OK)を入力すると、本テストを開始する指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は本テストを開始する。一方、被験者がキーボードを操作して本テストの開始拒否(開始NO)を入力すると、練習を再度実行する指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、被験者は再度練習を行うことができる。
【0059】
本テストが開始されると、制御部9は、本テストの開始及び何回目の本テストであるかを報知する画像を表示画面6に表示させ、タイマ12のカウント値を本テスト開始時及び単位時間算出用時刻として取得して記憶部10に個別に記憶させる。
【0060】
被験者は、本テストの開始後、入力ボタン7aと入力ボタン7cとを、表示画面6の表示に依らず自律的にできるだけ早く交互に押下する。入力ボタン7が押下されると、その検出信号が入力装置4から診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は、タイマ12のカウント値を単位時間測定基準時として取得して記憶部10に記憶させる。なお、既に記憶部10に前回の単位時間測定基準時が記憶されている場合には、今回取得した単位時間測定基準時に更新する。
【0061】
次に、入力ボタン7が押下されると、その検出信号が入力装置4から診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は、タイマ12のカウント値を今回の単位時間測定基準時として取得し、記憶部10から前回の単位時間測定基準時を読み出し、前回の単位時間測定基準時と今回の単位時間測定基準時との時間差を単位測定時間として算出し、算出した単位測定時間を記憶部10の動作時間測定データ記憶テーブルに記憶させるとともに、記憶部10に記憶されている前回の単位時間測定基準時を最新(今回)の単位時間測定基準時に更新する。なお、動作時間測定テストの実行中、制御部9は、入力ボタン7の押下操作が検知されたことを被験者に対して報知するため、表示画面6に、入力ボタン7が押下される毎に上下に移動する所定の記号(星型の記号)を移動表示させる。
【0062】
次に、制御部9は、記憶部10の施行数記憶領域(押下回数を積算して記憶する領域)の施行数(押下回数)を1回加算する。また、タイマ12のカウント値を取得し、記憶部10から本テスト開始時を読み出し、取得したカウント値と本テスト開始時との時間差を総測定時間として算出し、総測定時間が所定時間(10秒)に達したか否か(テスト開始から所定時間が経過したか否か)を判断し、所定時間が経過していない場合には、操作ボタン7への次の押下を待ち、入力ボタン7の押下の度に単位測定時間を順次算出して記憶させる。このように、動作時間測定テストでは、被験者が入力ボタン7に対する入力操作を交互に行う時間が繰り返して測定され記憶される。
【0063】
総測定時間が所定時間(10秒)に達すると、1回目の動作時間測定テストが終了し、制御部9は、動作時間測定テストの終了を報知する画像を表示画面6に表示させる。1回目の動作時間測定テストの終了後、引き続き2回目の動作時間測定テストが実行され、動作時間測定処理が終了する。これにより、動作時間測定データ記憶テーブルには、2回の動作時間測定テストの結果が記憶される。
【0064】
次に、制御部9は、動作時間測定データ記憶テーブルに記憶された測定結果から1回の動作時間測定テストの平均動作時間、及び診断のために使用される全体の平均動作時間(以下、動作時間平均値T2と称する)とを算出し、動作時間測定データ記憶テーブルに記憶して動作時間測定処理を終了し、補正処理へ移行する。
【0065】
[補正処理]
補正処理へ移行すると、制御部9は、図10に示すように、ボタン間距離L及びボタン有効半径r(被操作部13〜17の内接円の半径r1)を取得し(ステップS11)、形状特性Cを算出する(ステップS12)。なお、ボタン間距離L及びボタン有効半径rは、運転適性診断テストの提供者や被験者などによって入力され、記憶部10に記憶されており、制御部9は記憶部10からこれらを読み出す。上記提供者等によるボタン間距離L及びボタン有効半径rの入力は、補正処理の実行開始であってもよく、それ以前(例えば被験者情報の入力時など)であってもよい。
【0066】
次に、制御部9は、上記式(1)に従って、ステップS12で算出した形状特性Cに基づく動作反応基準時間tと、標準タイプの形状特性(基準形状特性)C0に基づく動作反応基準時間t0とを算出し(ステップS13)、動作反応基準時間t0から動作反応基準時間tを減算することにより、補正時間Δt(Δt=t0−t)を算出する(ステップS14)。
【0067】
例えば、被操作部13の半径(内接円の半径)r(r1)が20mm、ボタン間距離Lが100mmの丸型ボタン(図3に示す)を使用して運転適性診断テストが実施された場合、形状特性Cは0.2であり、上記式(1)に従って動作反応基準時間tは0.1772secと算出される。標準タイプとして、被操作部13の半径(内接円の半径)r(r1)が30mm、ボタン間距離Lが100mmの丸型ボタン(図3に示す)を想定すると、標準タイプの形状特性C0は0.3であり、この形状特性C0が基準形状特性として記憶部10に予め記憶され、基準形状特性C0に対応する動作反応基準時間t0は、上記式(1)に従って0.1525secと算出される。これは、標準タイプ(形状特性C0=0.3)の入力ボタン7を使用した場合に0.1525secで反応することができる被験者が、形状特性Cが0.2の入力ボタン7を使用した場合に、0.1772secだけ反応が遅延することを意味し、この差分(Δt=−0.1772sec)が補正時間として算出される。
【0068】
次に、制御部9は、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶された平均判断時間及び判断時間平均値T1と、動作時間測定データ記憶テーブルに記憶された平均動作時間及び動作時間平均値T2とに対し、それぞれ補正時間Δtを加算し、判断時間測定データ記憶テーブル及び動作時間測定データ記憶テーブルにそれぞれ記憶して補正処理を終了し(ステップS15)、診断結果出力処理へ移行する。
【0069】
[診断結果出力処理]
運転適性評価値算出処理へ移行すると、制御部9は、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶された補正後の平均判断時間及び判断時間平均値T1と、動作時間測定データ記憶テーブルに記憶された補正後の平均動作時間及び動作時間平均値T2とを読み出し、予め記憶された下記の演算式に従って、運転適性評価値を算出して記憶部10に記憶する。
【0070】
運転適性評価値=3/T1−1/(T2×2)
運転適性評価値算出処理が終了すると、診断結果出力処理へ移行し、制御部9は、図11に示す運転適性診断結果解説シートを表示するための画像データを生成し、生成した画像データを入出力部8から表示装置3や印刷装置5へ出力する。これにより、運転適性診断結果解説シートが表示画面6に表示され、また所定の用紙にプリントアウトされて被験者に提供される。なお、運転適性診断結果解説シートの画像データには、上記運転適性評価値を表す画像データ(評価値データ)も含まれるが、運転適性評価値を数値データ(評価値データ)として画像データとは別に出力させてもよい。
【0071】
運転適性診断結果解説シートには、被験者から入力された氏名や年齢や性別などの個人的な情報20と、判断時間測定テストの結果(1回目〜3回目の平均判断時間及び全体の平均判断時間(判断時間平均値T1))21と、動作時間測定テストの結果(1回目及び2回目の平均動作時間及び全体の平均動作時間(動作時間平均値T2))22と、運転適性評価値23と、第1の運転適性評価用グラフ24と、第2の運転適性評価用グラフ25とが表示される。また、運転適性評価値23の下には、運転適性評価値23に対応する被験者のタイプを表示するタイプ表示欄26が設けられ、第1の運転適性評価用グラフ24の隣には、動作時間と判断時間のバランスに関する評価やこの評価に基づく安全運転上の留意点などの記載欄27が設けられ、第2の運転適性評価用グラフ25の隣には、年齢を考慮した運転適性評価やこの評価に基づく安全運転上の留意点などの記載欄28が設けられている。
【0072】
第1の運転適性評価用グラフ24では、主に、動作時間と判断時間のバランスや運転適性評価値の診断結果を、被験者に対して視覚的に表示する。すなわち、第1の運転適性評価用グラフ24には、判断時間をパラメータとする縦軸と動作時間をパラメータとして縦軸と直交する横軸とによって区画される診断結果表示領域が表示される。この診断結果表示領域において、判断時間が長く動作時間が短い左上の部分に近いほど、行動が感覚的(軽率・おっちょこちょい型)となる傾向があり、反対に、判断時間が短く動作時間が長い右下の部分に近いほど、行動が論理的(慎重気疲れ型)となる傾向がある。診断結果表示領域には、各部分の傾向が適宜表示される。
【0073】
また、この診断結果表示用域内には、複数の境界31〜38と診断結果表示点39とが表示される。各境界31〜38は、それぞれ運転に対する適性判断の閾値となる運転適性評価値を表している。具体的には、境界31は運転適性評価値が0.5となる判断時間及び動作時間を、境界32は運転適性評価値が1.0となる判断時間及び動作時間を、境界33は運転適性評価値が1.5となる判断時間及び動作時間を、境界34は運転適性評価値が2.0となる判断時間及び動作時間を、境界35は運転適性評価値が2.5となる判断時間及び動作時間を、境界36は運転適性評価値が3.0となる判断時間及び動作時間を、境界37は運転適性評価値が3.5となる判断時間及び動作時間を、境界38は運転適性評価値が4.0となる判断時間及び動作時間をそれぞれ連続した線である。そして、境界31から上方の細分領域Iはカンで運転するタイプであり、境界31と境界32との間の細分領域IIは感覚に頼りすぎのタイプであり、境界32と境界33との間の細分領域IIIは感覚に頼りがちのタイプであり、境界33と境界34との間の細分領域IVは行動が先に立つタイプであり、境界34と境界35との間の細分領域Vは最適(行動的)なタイプであり、境界35と境界36との間の細分領域VIは最適(思考的)なタイプであり、境界36と境界37との間の細分領域VIIは思考が先に立つタイプであり、境界37と境界38との間の細分領域VIIIは思考に頼りがちのタイプであり、境界38から下方の細分領域IXは思考に頼りすぎのタイプである。診断結果表示領域やその欄外には、各細分領域別の上記タイプが適宜表示される。
【0074】
診断結果表示点39は、判断時間平均値T1と動作時間平均値T2とに対応する点である。従って、被験者は、診断結果表示領域における診断結果表示点39の位置を視て自己の動作時間と判断時間とのバランスを視覚的に認識することができる。また、診断結果表示点39が属する細分領域を視覚によって認識することができ、自己のタイプを容易に理解することができる。
【0075】
第2の運転適性評価用グラフ25では、同じ年齢層の運転者との比較における運転適性の評価を、被験者に対して視覚的に表示する。すなわち、第2の運転適性評価用グラフ25には、判断時間をパラメータとする縦軸と動作時間をパラメータとして縦軸と直交する横軸とによって区画される診断結果表示領域が表示される。この診断結果表示領域において、判断時間が長く動作時間が短い左上の部分に近いほど、行動が感覚的(軽率・おっちょこちょい型)となる傾向があり、反対に、判断時間が短く動作時間が長い右下の部分に近いほど、行動が論理的(慎重気疲れ型)となる傾向がある点は、上記第1の運転適性評価用グラフ24と同様である。
【0076】
また、この診断結果表示用域内には、年齢別標準範囲41〜46と上記診断結果表示点39とが表示される。各年齢別標準範囲41〜46は、それぞれ各年齢層に属する運転者にとって標準的な判断時間及び動作時間の範囲を表している。具体的には、範囲41は10代(20歳未満)、範囲42は20代(20歳以上30歳未満)、範囲43は30代(30歳以上40歳未満)、範囲44は40代(40歳以上50歳未満)、範囲45は50代(50歳以上60歳未満)、範囲46は60代以上(60歳以上)の運転者にとって、それぞれ標準的な判断時間及び動作時間の範囲である。なお、この標準的な範囲とは、例えば、各年齢層における判断時間及び動作時間のそれぞれの平均値±標準偏差などである。
【0077】
従って、被験者は、第1の運転適性評価用グラフ24の場合と同様に、診断結果表示領域における診断結果表示点39の位置を視て自己の動作時間と判断時間とのバランスを視覚的に認識することができる。また、診断結果表示点39と自己の年齢が属する年齢別標準範囲41〜46とを比較することによって、同じ年齢層の運転者との比較における運転適性の評価を、視覚的に認識することができる。例えば、自己の年齢が属する年齢別標準範囲41〜46に診断結果表示点39が入っていない場合には、被験者は、同じ年齢層の運転者と比較して動作時間及び判断時間がそれぞれ早い又は遅いと判断することができる。また、自己の年齢が属する年齢別標準範囲41〜46に診断結果表示点39が入っている場合には、被験者は、その年齢別標準範囲41〜46の何れの部分に診断結果表示点39が位置するかによって、同じ年齢層の運転者との比較における動作時間と判断時間のバランスの評価を視覚的に認識することができる。
【0078】
このように、本実施形態によれば、基準形状特性を有する標準タイプの被操作部13を使用した場合と同等に評価可能に補正された運転適性評価値が、運転適性診断の結果として常に算出され、被験者に提供される。従って、形態や配置間隔が相違する被操作部13〜17を使用して運転適性診断テストを行った場合であっても、その診断結果同士を適正に比較評価することができる。
【0079】
なお、制御部9は、運転適性評価テストを実施する度に、形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係(演算式)を更新して補正用データ記憶領域に記憶する処理(対応関係更新処理)を実行してもよい。
【0080】
対応関係更新処理は、上記補正処理において動作反応基準時間tを算出する前に実行する方が好ましい。
【0081】
対応関係更新処理を開始すると、制御部9は、例えば図12に示すように、ボタン間距離L及びボタン有効半径r(被操作部13〜17の内接円の半径r1)を取得し(ステップS21)、隣接する2つの入力ボタン7を押下する場合の形状特性C1(C1=r/L)と、両端の入力ボタン7を押下する場合の形状特性C2(C2=r/2L)とを算出する(ステップS22)。なお、既に形状特性C1及び形状特性C2の一方又は双方が算出され、記憶部10に記憶されている場合には、本処理を省略し、形状特性C1及び形状特性C2を記憶部10から読み出す。
【0082】
次に、制御部9は、被験者に対して動作時間測定テストと同様の入力操作を要求する。この要求に従い、被験者は、隣接する2つの入力ボタン7(例えば、入力ボタン7aと入力ボタン7b)を自律的にできるだけ早く交互に押下し、続いて、両端の入力ボタン7(入力ボタン7aと入力ボタン7c)を自律的にできるだけ早く交互に押下する。制御部9は、上記動作時間算出処理の場合と同様の処理を実行し、それぞれの平均動作時間を動作反応基準時間t1,t2としてそれぞれ算出する(ステップS23,S24)。
【0083】
次に、制御部9は、算出した値(C1,t1)及び(C2,t2)を、形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係を求めるためのサンプルデータとして、補正用データ記憶領域に記憶(登録)する(ステップS25)。なお、上記動作時間算出処理が既に実行され、両端の入力ボタン7(入力ボタン7aと入力ボタン7c)を用いた場合の平均動作時間が記憶部10に記憶されている場合には、ステップS24の処理を省略し、動作時間算出処理で算出した平均動作時間を動作反応基準時間t2として用いてもよい。また、複数のサンプルデータを初期設定用サンプルデータとして補正用データ記憶領域に予め記憶しておいてもよい。
【0084】
次に、制御部9は、補正用データ記憶領域に登録されたサンプルデータの数(登録数)が所定数(例えば20個)以上であるか否かを判定し(ステップS26)、登録数が所定数以上の場合(ステップS26:Yes)、登録されたサンプルデータに基づいて形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係(演算式)を求め、補正用データ記憶領域に記憶された対応関係(演算式)を更新して(ステップS27)、本処理を終了する。なお、初期設定用サンプルデータを上記サンプルデータの数に含めてもよく、また含めなくてもよい。
【0085】
一方、登録数が所定数未満の場合(ステップS26:No)、形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係(演算式)を更新することなく、本処理を終了する。この場合、補正処理では、予め設定され記憶された対応関係(演算式)がそのまま使用される。
【0086】
このように、運転適性評価テストを実施する度に形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係(演算式)を更新するので、両者の対応関係の信頼性が向上する。従って、形態や配置間隔が相違する被操作部13〜17を使用して運転適性診断テストを行った場合であっても、その診断結果同士をさらに適正に比較評価することができる。
【0087】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、運転適性診断を行う装置やその実行プログラムや実行プログラムを記憶した記憶媒体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態の運転適性診断装置を示すブロック構成図である。
【図2】図1の表示装置及び入力装置を示す模式図である。
【図3】丸型ボタンを示す平面図である。
【図4】角型ボタンを示す平面図である。
【図5】他の角型ボタンを示す平面図である。
【図6】さらに他の角型ボタンを示す平面図である。
【図7】ピアノボタンを示す平面図である。
【図8】形状特性と動作反応基準時間との対応関係を示す図である。
【図9】図1の運転適性診断装置が実行する運転適性診断処理の概要を示すフローチャートである。
【図10】補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図1の運転適性診断装置が評価結果として被験者に提供する結果解説シートを示す図である。
【図12】対応関係更新処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1:運転適性診断装置
2:診断実行処理装置
3:表示装置(表示手段)
4:入力装置(入力手段)
5:印刷装置
6:表示画面
7,7a,7b,7c:入力ボタン
8:入出力部(出力手段)
9:制御部(表示制御手段、判断時間検出手段、動作時間検出手段、算出手段、判断入力判定手段、動作入力判定手段)
10:記憶部
13,14,15,16,17:被操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転適性診断装置、運転適性診断プログラム及び運転適性診断プログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特公昭57−4341号公報には、自動車の運転に際し、普段の対応に対して非常事態となった時に即座に安全な対応を選ぶ頭の切替能力(頭の柔軟性)を測定する制御能力測定器が開示されている。
【0003】
この制御能力測定器では、○、△、□の三種の識別シグナルを所定の測定時間ランダムに表示し、この三種のシグナル○、△、□にそれぞれ対応する鍵盤A,B,Cを正確に押した回数(応答数)をカウントし、測定時間を応答数で除算することにより、被験者の判断+動作の合計時間(以下、単に判断時間と称する)を求めるとともに、鍵盤A,Cを交互に所定の測定時間内に押した回数(応答数)をカウントし、測定時間を応答数で除算することにより、動作時間を求める。
【0004】
【特許文献1】特公昭57−4341号公報
【特許文献2】特開平5−317296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、被験者が複数の被操作部を交互に押下する場合、被操作部の形態(寸法形状)や配置間隔が相違すると、押下操作の容易性(困難性)が相違し、診断結果が大きく相違する可能性が生じる。このため、形態及び配置間隔の被操作部が相違する場合には、その診断結果同士を比較評価することができない。
【0006】
そこで、本発明は、使用される被操作部の形態及び配置間隔が相違する場合であっても、その診断結果同士を適正に比較評価することが可能な運転適性診断装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の運転適性診断装置は、表示手段と入力手段と表示制御手段と判断時間検出手段と動作時間検出手段と記憶手段と補正手段と算出手段と出力手段とを備える。
【0008】
入力手段は、直線状且つ等間隔に配置された複数の被操作部を有し、各被操作部が被験者からの押下操作を受ける。表示制御手段は、表示手段に判断時間測定用画像と動作時間測定用画像とを表示させる。判断時間検出手段は、判断時間測定用画像の表示に対する被験者からの被操作部への押下操作を検知することにより、被験者の判断時間を検出する。動作時間検出手段は、動作時間測定用画像の表示に従って行われる被験者からの被操作部への押下操作を検知することにより、被験者の動作時間を検出する。記憶手段には、被操作部の形態及び被操作部の配置間隔から一意的に定まる入力手段の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶される。補正手段は、記憶手段から読み出した対応関係を用いて、入力手段の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、判断時間検出手段が検出した判断時間と動作時間検出手段が検出した動作時間とを、算出した補正時間を用いて補正する。算出手段は、補正手段が補正した判断時間及び動作時間を用いて、予め設定された演算式に従って運転適性評価値を算出する。出力手段は、算出手段が算出した運転適性評価値を出力する。
【0009】
上記構成では、記憶手段には、被操作部の形態及び被操作部の配置間隔から一意的に定まる入力手段の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶され、補正手段は、記憶手段から読み出した対応関係を用いて、入力手段の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、判断時間検出手段が検出した判断時間と動作時間検出手段が検出した動作時間とを、算出した補正時間を用いて補正し、算出手段は、補正手段が補正した判断時間及び動作時間を用いて、予め設定された演算式に従って運転適性評価値を算出する。
【0010】
すなわち、算出手段は、基準形状特性を有する被操作部を使用した場合と同等に評価可能に補正された運転適性評価値を、運転適性診断の結果として常に算出する。従って、使用される被操作部の形態及び配置間隔が相違する場合であっても、その診断結果同士を適正に比較評価することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用される被操作部の形態及び配置間隔が相違する場合であっても、その診断結果同士を適正に比較評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本実施形態の運転適性診断装置を示すブロック構成図、図2は図1の表示装置及び入力装置を示す模式図、図3は丸型ボタンを示す平面図、図4〜図6は角型ボタンをそれぞれ示す平面図、図7はピアノボタンを示す平面図、図8は形状特性と動作反応基準時間との対応関係を示す図、図9は図1の運転適性診断装置が実行する運転適性診断処理の概要を示すフローチャート、図10は補正処理の詳細を示すフローチャート、図11は図1の運転適性診断装置が評価結果として被験者に提供する結果解説シートを示す図である。
【0014】
[運転適性診断装置の構成]
図1及び図2に示すように、運転適性診断テストを行うための運転適性診断装置1は、診断実行処理装置2と表示装置3と入力装置4と印刷装置5とを備える。表示装置3は、液晶ディスプレイ等の表示画面6を有し、表示手段として機能する。また、入力装置4は入力手段として機能する。
【0015】
図2〜図7に示すように、入力装置4の上面には、被験者によって押下操作される入力部としての3つの入力ボタン7(7a,7b,7c)が、直線状に等間隔に並んで設けられ、一つの入力装置4において、3つの入力ボタン7a,7b,7cの被操作部13〜17は同一の寸法形状を有している。なお、運転適性診断を受ける被験者には、3つの入力ボタン7のそれぞれに「○」、「△」及び「□」の記号が対応していることが予め知らさせる。
【0016】
入力装置4の入力ボタン7としては、図2及び図3に示す丸型ボタンの他に、例えば、図4〜図7に示すような様々なタイプのものが使用可能である。
【0017】
図2及び図3に示す丸型ボタンでは、各入力ボタン7a,7b,7cの被操作部13は平面視円形状を有し、隣接する被操作部13の重心の間は、所定距離(以下、ボタン間距離と称する)Lに設定されている。ボタン間距離Lは、被操作部13の半径rの2倍よりも大きく設定され(L>2r)、隣接する被操作部13の外縁同士は離間している。
【0018】
図4〜図6に示す入力ボタン7は、被操作部14,15,16の形状が相互に異なる角型ボタンであり、図7に示す入力ボタン7は、被操作部17同士が近接するピアノボタンである。なお、以下の説明において、入力ボタン7a,7b,7cの配列方向を横方向、入力ボタン7a,7b,7cの配列方向に直交する方向を縦方向、横方向に沿った各被操作部14〜17の幅を横幅、縦方向に沿った各被操作部14〜17の幅を縦幅とそれぞれ称する。
【0019】
図4に示す入力ボタン7の被操作部14は平面視六角形状を有する。ボタン間距離Lは、被操作部14の横幅を直径とする円の半径(外接円の半径)r2の2倍よりも大きく設定され(L>2r2)、隣接する被操作部14の外縁同士は離間している。
【0020】
図5に示す入力ボタン7の被操作部15は、横幅が縦幅よりも長い横長状の平面視長方形状を有する。ボタン間距離Lは、被操作部15の横幅を直径とする円の半径r2の2倍よりも大きく設定され(L>2r2)、隣接する被操作部15外縁同士は離間している。
【0021】
図6に示す入力ボタン7の被操作部16は、2対の対角が横方向及び縦方向を向く平面視正方形状を有する。ボタン間距離Lは、被操作部16の横幅を直径とする円の半径r2の2倍よりも大きく設定され(L>2r2)、隣接する被操作部16外縁同士は離間している。
【0022】
図7に示す入力ボタン7の被操作部17は、縦幅が横幅よりも長い縦長状の平面視長方形状を有する。ボタン間距離Lは、被操作部17の横幅を直径とする円の半径r2の2倍とほぼ等しく設定され、隣接する被操作部15外縁同士は近接している。
【0023】
なお、何れのタイプの入力ボタン7を標準タイプとするかは、上記丸タイプボタンに限定されるものではなく任意であり、また標準タイプの入力ボタン7の寸法形状をどのように設定するかも任意である。
【0024】
なお、上記各種タイプの入力ボタン7において、ボタン間距離Lが短すぎると、被験者が片手の異なる指を複数の入力ボタン7の上にそれぞれ載せ、手を動かさずに入力ボタン7を押下操作してしまう可能性が生じる。このような押下操作では、動作が簡単すぎて反応時間の差が現れ難くなる。このため、ボタン間距離Lは、比較的大きな手が拡げられたときの親指から小指までの最大距離の半分以上(例えば、100mm以上)に設定されることが好ましい。
【0025】
診断実行処理装置2は、入出力部8と制御部9と記憶部10とを備える。入出力部8と制御部9と記憶部10とは、バス11を介して接続されている。入出力部8は出力手段として機能し、制御部9は、表示制御手段、判断時間検出手段、動作時間検出手段、補正手段、及び算出手段として機能する。なお、診断実行処理装置2は、専用の装置であってもよく、汎用のパーソナルコンピュータなどであってもよい。
【0026】
入出力部8は、インターフェースであり、表示装置3、入力装置4及び印刷装置5との間でデータを送受信する。また、入出力部8にはキーボード(図示省略)が接続され、適性診断の実施者や被験者がキーボードに対して入力操作を行うことにより、各種制御信号や各種データが入出力部8から診断実行処理装置2へ入力する。
【0027】
記憶部10は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)によって構成され、制御部9が各種処理を実行するための各種プログラムや各種データが記憶されている。各種プログラムには、制御部9が運転適性診断処理を実行するための運転適性診断プログラムが含まれ、運転適性診断プログラムには、運転適性診断処理で用いられる判断時間測定データ記憶テーブル、動作時間測定データ記憶テーブル、判断時間積算記憶領域、動作時間積算記憶領域、及び補正用データ記憶領域が含まれる。運転適性診断プログラム及び各記憶テーブルは、各種CDメディア(Compact Disc Media)などの外部の記憶媒体から読み出されて記憶部10に記憶されてもよく、またインターネットなどのネットワークを介して取得されて記憶部10に記憶されてもよい。
【0028】
補正用データ記憶領域には、標準タイプ以外の入力ボタン7を使用して運転適性診断テストを実行した場合の測定結果を、標準タイプの入力ボタン7を使用した場合と同等に評価可能とするための補正用データが予め記憶されている。
【0029】
一般に、入力ボタン7のタイプや寸法形状が相違すると、複数並んだ入力ボタン7を繰り返して押下する際の容易性(困難性)が相違し、同じ被験者であっても、使用する入力ボタン7のタイプや寸法形状が相違すると、測定結果が大きく相違してしまう可能性がある。このような不都合を解消するため、補正用データ記憶領域には、入力ボタン7の形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係が補正用データとして予め記憶されている。
【0030】
入力ボタン7の形状特性Cとは、被操作部13〜17の形態(寸法形状)及び配置間隔(ボタン間距離L)に起因した操作性の難易を表すパラメータである。例えば、複数並んだ入力ボタン7を繰り返して押下する場合、その打点は被操作部13〜17の重心Oに収束する。このため、被操作部13〜17の形状に依らず、重心Oを中心として所定の半径(以下、ボタン有効半径rと称する)で規定される円の内側を、入力ボタン7の有効な操作範囲と見做すことができる。本実施形態では、ボタン有効半径rとして、重心Oを中心とした被操作部13〜17の内接円の半径r1を用いている。入力ボタン7の押下操作は、有効な操作範囲が狭いほど困難となる傾向を示し、ボタン間距離Lが長いほど困難となる傾向を示すことから、本実施形態では、入力ボタン7の形状特性Cとして、ボタン間距離Lとボタン有効半径r(内接円の半径r1)との比(r1/L)を用いている。
【0031】
被操作部13〜17の内接円の半径r1の最大値はボタン間距離Lの1/2であることから、形状特性Cの範囲は、0(0%)を超えて0.5(50%)以下に制限され、形状特性Cが小さいほど入力ボタン7の押下操作が困難となる傾向を示す。
【0032】
補正用データ記憶領域に記憶される形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係は、形状特性Cに応じて動作反応基準時間tが一意的に決定されるものであれば演算式やテーブルやマップなどの何れであってもよい。本実施形態では、形状特性Cと動作反応基準時間tとの関係を示す演算式として、次式(1)が記憶されている。
【0033】
y=αx2+βx+γ…(1)
上式において、yは動作反応基準時間t(sec)の値であり、xは形状特性Cの値であり、α、β及びγは、予め定められた所定の係数である。
【0034】
上記α、β及びγの値は、例えば、形状特性Cが異なる複数の入力装置4を使用し、各入力装置4において所定の2つの入力ボタン7を自律的に交互にできるだけ早く押下させ、1つの入力ボタン7の押下に要する平均時間を動作反応基準時間tとして予め測定し、図8に示すように、形状特性Cを縦軸(x軸)とし動作反応基準時間tを横軸(y軸)とした座標内に各測定値をプロットし、それらの近似曲線(2次曲線)を求めることによって決定する。なお、1つの入力装置4において、隣接する2つの入力ボタン7(例えば、入力ボタン7aと入力ボタン7b)を使用する場合の形状特性C1と両端の入力ボタン7(入力ボタン7aと入力ボタン7c)を使用する場合の形状特性C2とは、C1=2×C2となり、両者は相違するため、1つの入力装置4によって異なる2つの形状特性Cに対する動作反応基準時間tを測定することが可能である。形状特性Cと動作反応基準時間tとの関係を求めるための測定において、その実施者は、1人であってもよく、複数であってもよい。
【0035】
図8の例において、α、β及びγの各値は、α=+0.6375、β=−0.5658、γ=+0.2649となる。この場合、形状係数C=0.2(20%)に対する動作反応基準時間tは、0.177secと算出され、形状係数C=0.5(50%)に対する動作反応基準時間tは、0.141secと算出される。標準タイプの入力ボタン7の形状係数C0が0.2であると仮定すると、形状係数Cが0.5の入力ボタン7を使用して後述する運転適性診断テストを実施した際に測定される動作時間及び反応時間は、同じ被験者が標準タイプの入力ボタン7を使用した場合に比べて、0.177−0.141=0.036secだけ早くなる。すなわち、形状係数Cが0.5の入力ボタン7を使用して運転適性診断テストを実施した場合の診断結果は、測定された動作時間及び反応時間に対してそれぞれ0.036secを加算することにより、標準タイプを使用した場合の運転適性診断テストの診断結果と同等に評価することができる。
【0036】
なお、形状特性Cと動作反応基準時間tとの関係を示す演算式は、上記(1)式に限定されるものではない。
【0037】
また、有効半径rは、被操作部13〜17の内接円の半径r1に限定されるものではない。例えば、図4に示すように、被操作部14の内接円の半径r1と被操作部14の横幅を直径とする円の半径r2との差が比較的小さい場合と、図5に示すように、被操作部15の内接円の半径r1と被操作部15の横幅を直径とする円の半径r2との差が比較的大きい場合とでは、半径r1が同じであっても、半径r2が大きい方(図5に示す方)が小さい方(図4に示す方)よりも有効な操作範囲が拡大する。このため、有効半径rを被操作部15の内接円の半径r1と被操作部15の横幅を直径とする円の半径r2とに基づいて算出してもよい。具体的には、r=m×r1+n×r2(m+n=1,m及びnは所定の正の係数)に従って、有効半径rを算出してもよい。
【0038】
制御部9は、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、記憶部10から運転適性診断プログラムを読み出して運転適性診断処理を実行する。制御部9は、後述する総合測定時間と単位測定時間とを算出するための時間を示すカウント値(例えば時刻)を取得可能なタイマ12を含む。また、制御部9は、各種制御信号や各種データや検出信号を、入出力部8を介して外部と送受信し、画像データを生成して表示装置3へ出力することによって、表示画面6に所望の画像を表示させる。入力ボタン7が押下されると、その検出信号が入出力部8を介して制御部9に入力する。また、制御部9は、3つの入力ボタン7a,7b,7cのうち何れのボタンが押下されたかを判別可能である。
【0039】
[運転適性診断テストの概要]
次に、運転適性診断装置1を使用した運転適性診断テストの概要について説明する。
【0040】
この運転適性診断テストでは、被験者は、所定回数(本実施形態では3回)の判断時間測定テストと、所定回数(本実施形態では2回)の動作時間測定テストとを行う。判断時間測定テストによって、被験者の判断+動作の合計時間(判断時間)が測定され、動作時間測定テストによって、被験者の動作のみの時間(動作時間)が測定される。
【0041】
各回の判断時間測定テストでは、表示装置3の表示画面6に、テストの開始を報知する画像が表示された後、「○」、「△」及び「□」の3種類のうちの1つの記号(測定用識別画像)が、所定時間(本実施形態では10秒間)順次ランダムに表示され、所定時間経過後にテストの終了を報知する画像が表示される。被験者は、表示画面6に表示された記号を視認によって識別し、表示された記号に対応する入力ボタン7(例えば、記号が「○」の場合には入力ボタン7a、「△」の場合には入力ボタン7b、「□」の場合には入力ボタン7c)を、記号の表示後できるだけ早く押下する。本テストでは、記号の表示から入力ボタン7の押下までに要する時間が順次測定されて記憶され、その平均値が1回のテストの判断時間として算出される。そして、上記テストが3回行われ、最終的に3回のテストの平均値が、被験者の判断時間として算出される。
【0042】
各回の動作時間測定テストでは、表示装置3の表示画面6に、テストの開始を報知する画像が表示され、所定時間(本実施形態では10秒間)経過後にテストの終了を報知する画像が表示される。その間に、被験者は、2つの入力ボタン7(例えば、入力ボタン7aと入力ボタン7c)を、表示画面6の表示に依らず自律的に交互にできるだけ早く押下する。本テストでは、1つの入力ボタン7の押下に要する時間が順次測定されて記憶され、その平均値が1回のテストの動作時間として算出される。そして、上記テストが2回行われ、最終的に2回のテストの平均値が、被験者の動作時間として算出される。なお、入力ボタン7が押下されたことを被験者に対して報知するため、表示画面6には、入力ボタン7が押下される毎に上下に移動する所定の記号(例えば、星型の記号(図示省略))が表示される。
【0043】
[運転適性診断処理]
次に、制御部9が実行する運転適性診断処理について説明する。
【0044】
図3に示すように、運転適性診断処理は、被験者情報取得処理(ステップS1)と判断時間算出処理(ステップS2)と動作時間算出処理(ステップS3)と補正処理(ステップS4)と診断結果出力処理(ステップS5)とを含み、制御部9は、キーボードから運転適性診断処理の開始を指示する制御信号を受信すると、被験者情報取得処理(ステップS1)から順次処理を開始する。
【0045】
[被験者情報取得処理]
被験者情報取得処理では、制御部9が、適性診断の実施者や被験者に対して各種情報の入力を要求する画像を表示画面6に表示させる。この各種情報には、被験者の識別番号又は名前や年齢や性別が含まれる。適性診断の提供者や被験者が表示画面6の表示に従ってキーボードを操作して各種情報(データ)を順次入力すると、入力されたデータが診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は、受信した各種情報のデータを記憶部10に記憶させる。要求された情報の入力が全て完了すると、被験者情報取得処理が終了し、判断時間算出処理へ移行する。
【0046】
[判断時間算出処理]
判断時間算出処理へ移行すると、制御部9が、適性診断の被験者に対して判断時間測定テストの開始指示の入力を促す画像を表示画面6に表示させる。被験者が表示画面6の表示に従ってキーボードを操作して判断時間測定テストの開始指示を入力すると、開始指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、制御部9が判断時間測定テストを開始する。
【0047】
判断時間測定テストが開始すると、制御部9は、判断時間測定テストの練習の開始を報知する画像を表示画面6に表示させた後、練習の処理を実行する。なお、練習の処理は、後述する本テストの内容と同様であるためその説明を省略する。但し、練習において取得したデータは、最終的な診断結果となる平均判断時間の算出には使用しない。
【0048】
練習が終了すると、制御部9は、本テスト(本番)を開始して良いかを問う画像を表示画面6に表示させる。被験者がキーボードを操作して本テストの開始指示(開始OK)を入力すると、本テストを開始する指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は、本テストを開始する。一方、被験者がキーボードを操作して本テストの開始拒否(開始NO)を入力すると、練習を再度実行する指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、被験者は再度練習を行うことができる。
【0049】
本テストが開始されると、制御部9は、本テストの開始及び何回目の本テストであるかを報知する画像を表示画面6に表示させ、タイマ12のカウント値を本テスト開始時として取得して記憶部10に記憶させる。
【0050】
続いて、制御部9は、「○」、「△」及び「□」の3種類の記号から1つの記号をランダムに選択し、選択した記号の画像を表示画面6に表示させる(刺激表示の呈示)とともに、タイマ12による総測定時間の計時と単位測定時間の計時とを開始する。なお、既に記憶部10に前回の単位時間測定基準時が記憶されている場合には、今回取得した単位時間測定基準時に更新する。また、図2は、「△」の記号が選択され表示された場合の例である。
【0051】
被験者は、表示画面6に表示された記号を視認によって識別し、表示された記号に対応する入力ボタン7を、記号の表示後できるだけ早く押下する。入力ボタン7が押下されると、その検出信号が入力装置4から診断実行処理装置2へ送信される。入出力部8が入力装置4から検出信号を受信すると、制御部9は、タイマ12のカウント値を今回の単位時間測定基準時として取得し、記憶部10から前回の単位時間測定基準時を読み出し、前回の単位時間測定基準時と今回の単位時間測定基準時との時間差を単位測定時間として算出し、算出した単位測定時間を記憶部10の判断時間測定データ記憶テーブルに記憶させるとともに、記憶部10に記憶されている前回の単位時間測定基準時を最新(今回)の単位時間測定基準時に更新する。
【0052】
次に、制御部9は、タイマ12のカウント値を取得し、記憶部10から本テスト開始時を読み出し、取得したカウント値と本テスト開始時との時間差を総測定時間として算出し、総測定時間が所定時間(10秒)に達したか否か(テスト開始から所定時間が経過したか否か)を判断し、所定時間が経過していない場合には、再度3種類の記号から1つの記号をランダムに選択し、選択した記号の画像を表示画面6に表示させ、入力ボタン7の押下の度に単位測定時間を順次算出して記憶させる。このように、判断時間測定テストでは、表示された記号を被験者が識別して入力操作を行うまでに実際に要した時間が繰り返して測定され記憶される。
【0053】
総測定時間が所定時間(10秒)に達すると、1回目の判断時間測定テストが終了し、制御部9は、判断時間測定テストの終了を報知する画像を表示画面6に表示させる。1回目の判断時間測定テストの終了後、引き続き2回目の判断時間測定テスト及び3回目の判断時間測定テストが実行され、判断時間測定処理が終了する。これにより、判断時間測定データ記憶テーブルには、3回の判断時間測定テストの結果が記憶される。
【0054】
制御部9は、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶された測定結果から1回の判断時間測定テストの平均判断時間、及び診断のために使用される全体の平均判断時間(以下、判断時間平均値T1と称する)とを算出し、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶する。
【0055】
次に、制御部9は、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶された測定結果から1回の判断時間測定テストの平均判断時間、及び診断のために使用される全体の平均判断時間(以下、判断時間平均値T1と称する)とを算出し、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶して判断時間測定処理を終了し、動作時間測定処理へ移行する。
【0056】
[動作時間算出処理]
動作時間算出処理へ移行すると、制御部9が、適性診断の被験者に対して動作時間測定テストの開始指示の入力を促す画像を表示画面6に表示させる。被験者が表示画面6の表示に従ってキーボードを操作して動作時間測定テストの開始指示を入力すると、開始指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、制御部9が動作時間測定テストを開始する。
【0057】
動作時間測定テストが開始すると、制御部9は、動作時間測定テストの練習の開始を報知する画像を表示画面6に表示させた後、練習の処理を実行する。なお、練習の処理は、後述する本テストの内容と同様であるためその説明を省略する。但し、練習において取得したデータは、最終的な診断結果となる平均動作時間の算出には使用しない。
【0058】
練習が終了すると、制御部9は、本テスト(本番)を開始して良いかを問う画像を表示画面6に表示させる。被験者がキーボードを操作して本テストの開始指示(開始OK)を入力すると、本テストを開始する指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は本テストを開始する。一方、被験者がキーボードを操作して本テストの開始拒否(開始NO)を入力すると、練習を再度実行する指示信号が診断実行処理装置2へ送信され、被験者は再度練習を行うことができる。
【0059】
本テストが開始されると、制御部9は、本テストの開始及び何回目の本テストであるかを報知する画像を表示画面6に表示させ、タイマ12のカウント値を本テスト開始時及び単位時間算出用時刻として取得して記憶部10に個別に記憶させる。
【0060】
被験者は、本テストの開始後、入力ボタン7aと入力ボタン7cとを、表示画面6の表示に依らず自律的にできるだけ早く交互に押下する。入力ボタン7が押下されると、その検出信号が入力装置4から診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は、タイマ12のカウント値を単位時間測定基準時として取得して記憶部10に記憶させる。なお、既に記憶部10に前回の単位時間測定基準時が記憶されている場合には、今回取得した単位時間測定基準時に更新する。
【0061】
次に、入力ボタン7が押下されると、その検出信号が入力装置4から診断実行処理装置2へ送信され、制御部9は、タイマ12のカウント値を今回の単位時間測定基準時として取得し、記憶部10から前回の単位時間測定基準時を読み出し、前回の単位時間測定基準時と今回の単位時間測定基準時との時間差を単位測定時間として算出し、算出した単位測定時間を記憶部10の動作時間測定データ記憶テーブルに記憶させるとともに、記憶部10に記憶されている前回の単位時間測定基準時を最新(今回)の単位時間測定基準時に更新する。なお、動作時間測定テストの実行中、制御部9は、入力ボタン7の押下操作が検知されたことを被験者に対して報知するため、表示画面6に、入力ボタン7が押下される毎に上下に移動する所定の記号(星型の記号)を移動表示させる。
【0062】
次に、制御部9は、記憶部10の施行数記憶領域(押下回数を積算して記憶する領域)の施行数(押下回数)を1回加算する。また、タイマ12のカウント値を取得し、記憶部10から本テスト開始時を読み出し、取得したカウント値と本テスト開始時との時間差を総測定時間として算出し、総測定時間が所定時間(10秒)に達したか否か(テスト開始から所定時間が経過したか否か)を判断し、所定時間が経過していない場合には、操作ボタン7への次の押下を待ち、入力ボタン7の押下の度に単位測定時間を順次算出して記憶させる。このように、動作時間測定テストでは、被験者が入力ボタン7に対する入力操作を交互に行う時間が繰り返して測定され記憶される。
【0063】
総測定時間が所定時間(10秒)に達すると、1回目の動作時間測定テストが終了し、制御部9は、動作時間測定テストの終了を報知する画像を表示画面6に表示させる。1回目の動作時間測定テストの終了後、引き続き2回目の動作時間測定テストが実行され、動作時間測定処理が終了する。これにより、動作時間測定データ記憶テーブルには、2回の動作時間測定テストの結果が記憶される。
【0064】
次に、制御部9は、動作時間測定データ記憶テーブルに記憶された測定結果から1回の動作時間測定テストの平均動作時間、及び診断のために使用される全体の平均動作時間(以下、動作時間平均値T2と称する)とを算出し、動作時間測定データ記憶テーブルに記憶して動作時間測定処理を終了し、補正処理へ移行する。
【0065】
[補正処理]
補正処理へ移行すると、制御部9は、図10に示すように、ボタン間距離L及びボタン有効半径r(被操作部13〜17の内接円の半径r1)を取得し(ステップS11)、形状特性Cを算出する(ステップS12)。なお、ボタン間距離L及びボタン有効半径rは、運転適性診断テストの提供者や被験者などによって入力され、記憶部10に記憶されており、制御部9は記憶部10からこれらを読み出す。上記提供者等によるボタン間距離L及びボタン有効半径rの入力は、補正処理の実行開始であってもよく、それ以前(例えば被験者情報の入力時など)であってもよい。
【0066】
次に、制御部9は、上記式(1)に従って、ステップS12で算出した形状特性Cに基づく動作反応基準時間tと、標準タイプの形状特性(基準形状特性)C0に基づく動作反応基準時間t0とを算出し(ステップS13)、動作反応基準時間t0から動作反応基準時間tを減算することにより、補正時間Δt(Δt=t0−t)を算出する(ステップS14)。
【0067】
例えば、被操作部13の半径(内接円の半径)r(r1)が20mm、ボタン間距離Lが100mmの丸型ボタン(図3に示す)を使用して運転適性診断テストが実施された場合、形状特性Cは0.2であり、上記式(1)に従って動作反応基準時間tは0.1772secと算出される。標準タイプとして、被操作部13の半径(内接円の半径)r(r1)が30mm、ボタン間距離Lが100mmの丸型ボタン(図3に示す)を想定すると、標準タイプの形状特性C0は0.3であり、この形状特性C0が基準形状特性として記憶部10に予め記憶され、基準形状特性C0に対応する動作反応基準時間t0は、上記式(1)に従って0.1525secと算出される。これは、標準タイプ(形状特性C0=0.3)の入力ボタン7を使用した場合に0.1525secで反応することができる被験者が、形状特性Cが0.2の入力ボタン7を使用した場合に、0.1772secだけ反応が遅延することを意味し、この差分(Δt=−0.1772sec)が補正時間として算出される。
【0068】
次に、制御部9は、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶された平均判断時間及び判断時間平均値T1と、動作時間測定データ記憶テーブルに記憶された平均動作時間及び動作時間平均値T2とに対し、それぞれ補正時間Δtを加算し、判断時間測定データ記憶テーブル及び動作時間測定データ記憶テーブルにそれぞれ記憶して補正処理を終了し(ステップS15)、診断結果出力処理へ移行する。
【0069】
[診断結果出力処理]
運転適性評価値算出処理へ移行すると、制御部9は、判断時間測定データ記憶テーブルに記憶された補正後の平均判断時間及び判断時間平均値T1と、動作時間測定データ記憶テーブルに記憶された補正後の平均動作時間及び動作時間平均値T2とを読み出し、予め記憶された下記の演算式に従って、運転適性評価値を算出して記憶部10に記憶する。
【0070】
運転適性評価値=3/T1−1/(T2×2)
運転適性評価値算出処理が終了すると、診断結果出力処理へ移行し、制御部9は、図11に示す運転適性診断結果解説シートを表示するための画像データを生成し、生成した画像データを入出力部8から表示装置3や印刷装置5へ出力する。これにより、運転適性診断結果解説シートが表示画面6に表示され、また所定の用紙にプリントアウトされて被験者に提供される。なお、運転適性診断結果解説シートの画像データには、上記運転適性評価値を表す画像データ(評価値データ)も含まれるが、運転適性評価値を数値データ(評価値データ)として画像データとは別に出力させてもよい。
【0071】
運転適性診断結果解説シートには、被験者から入力された氏名や年齢や性別などの個人的な情報20と、判断時間測定テストの結果(1回目〜3回目の平均判断時間及び全体の平均判断時間(判断時間平均値T1))21と、動作時間測定テストの結果(1回目及び2回目の平均動作時間及び全体の平均動作時間(動作時間平均値T2))22と、運転適性評価値23と、第1の運転適性評価用グラフ24と、第2の運転適性評価用グラフ25とが表示される。また、運転適性評価値23の下には、運転適性評価値23に対応する被験者のタイプを表示するタイプ表示欄26が設けられ、第1の運転適性評価用グラフ24の隣には、動作時間と判断時間のバランスに関する評価やこの評価に基づく安全運転上の留意点などの記載欄27が設けられ、第2の運転適性評価用グラフ25の隣には、年齢を考慮した運転適性評価やこの評価に基づく安全運転上の留意点などの記載欄28が設けられている。
【0072】
第1の運転適性評価用グラフ24では、主に、動作時間と判断時間のバランスや運転適性評価値の診断結果を、被験者に対して視覚的に表示する。すなわち、第1の運転適性評価用グラフ24には、判断時間をパラメータとする縦軸と動作時間をパラメータとして縦軸と直交する横軸とによって区画される診断結果表示領域が表示される。この診断結果表示領域において、判断時間が長く動作時間が短い左上の部分に近いほど、行動が感覚的(軽率・おっちょこちょい型)となる傾向があり、反対に、判断時間が短く動作時間が長い右下の部分に近いほど、行動が論理的(慎重気疲れ型)となる傾向がある。診断結果表示領域には、各部分の傾向が適宜表示される。
【0073】
また、この診断結果表示用域内には、複数の境界31〜38と診断結果表示点39とが表示される。各境界31〜38は、それぞれ運転に対する適性判断の閾値となる運転適性評価値を表している。具体的には、境界31は運転適性評価値が0.5となる判断時間及び動作時間を、境界32は運転適性評価値が1.0となる判断時間及び動作時間を、境界33は運転適性評価値が1.5となる判断時間及び動作時間を、境界34は運転適性評価値が2.0となる判断時間及び動作時間を、境界35は運転適性評価値が2.5となる判断時間及び動作時間を、境界36は運転適性評価値が3.0となる判断時間及び動作時間を、境界37は運転適性評価値が3.5となる判断時間及び動作時間を、境界38は運転適性評価値が4.0となる判断時間及び動作時間をそれぞれ連続した線である。そして、境界31から上方の細分領域Iはカンで運転するタイプであり、境界31と境界32との間の細分領域IIは感覚に頼りすぎのタイプであり、境界32と境界33との間の細分領域IIIは感覚に頼りがちのタイプであり、境界33と境界34との間の細分領域IVは行動が先に立つタイプであり、境界34と境界35との間の細分領域Vは最適(行動的)なタイプであり、境界35と境界36との間の細分領域VIは最適(思考的)なタイプであり、境界36と境界37との間の細分領域VIIは思考が先に立つタイプであり、境界37と境界38との間の細分領域VIIIは思考に頼りがちのタイプであり、境界38から下方の細分領域IXは思考に頼りすぎのタイプである。診断結果表示領域やその欄外には、各細分領域別の上記タイプが適宜表示される。
【0074】
診断結果表示点39は、判断時間平均値T1と動作時間平均値T2とに対応する点である。従って、被験者は、診断結果表示領域における診断結果表示点39の位置を視て自己の動作時間と判断時間とのバランスを視覚的に認識することができる。また、診断結果表示点39が属する細分領域を視覚によって認識することができ、自己のタイプを容易に理解することができる。
【0075】
第2の運転適性評価用グラフ25では、同じ年齢層の運転者との比較における運転適性の評価を、被験者に対して視覚的に表示する。すなわち、第2の運転適性評価用グラフ25には、判断時間をパラメータとする縦軸と動作時間をパラメータとして縦軸と直交する横軸とによって区画される診断結果表示領域が表示される。この診断結果表示領域において、判断時間が長く動作時間が短い左上の部分に近いほど、行動が感覚的(軽率・おっちょこちょい型)となる傾向があり、反対に、判断時間が短く動作時間が長い右下の部分に近いほど、行動が論理的(慎重気疲れ型)となる傾向がある点は、上記第1の運転適性評価用グラフ24と同様である。
【0076】
また、この診断結果表示用域内には、年齢別標準範囲41〜46と上記診断結果表示点39とが表示される。各年齢別標準範囲41〜46は、それぞれ各年齢層に属する運転者にとって標準的な判断時間及び動作時間の範囲を表している。具体的には、範囲41は10代(20歳未満)、範囲42は20代(20歳以上30歳未満)、範囲43は30代(30歳以上40歳未満)、範囲44は40代(40歳以上50歳未満)、範囲45は50代(50歳以上60歳未満)、範囲46は60代以上(60歳以上)の運転者にとって、それぞれ標準的な判断時間及び動作時間の範囲である。なお、この標準的な範囲とは、例えば、各年齢層における判断時間及び動作時間のそれぞれの平均値±標準偏差などである。
【0077】
従って、被験者は、第1の運転適性評価用グラフ24の場合と同様に、診断結果表示領域における診断結果表示点39の位置を視て自己の動作時間と判断時間とのバランスを視覚的に認識することができる。また、診断結果表示点39と自己の年齢が属する年齢別標準範囲41〜46とを比較することによって、同じ年齢層の運転者との比較における運転適性の評価を、視覚的に認識することができる。例えば、自己の年齢が属する年齢別標準範囲41〜46に診断結果表示点39が入っていない場合には、被験者は、同じ年齢層の運転者と比較して動作時間及び判断時間がそれぞれ早い又は遅いと判断することができる。また、自己の年齢が属する年齢別標準範囲41〜46に診断結果表示点39が入っている場合には、被験者は、その年齢別標準範囲41〜46の何れの部分に診断結果表示点39が位置するかによって、同じ年齢層の運転者との比較における動作時間と判断時間のバランスの評価を視覚的に認識することができる。
【0078】
このように、本実施形態によれば、基準形状特性を有する標準タイプの被操作部13を使用した場合と同等に評価可能に補正された運転適性評価値が、運転適性診断の結果として常に算出され、被験者に提供される。従って、形態や配置間隔が相違する被操作部13〜17を使用して運転適性診断テストを行った場合であっても、その診断結果同士を適正に比較評価することができる。
【0079】
なお、制御部9は、運転適性評価テストを実施する度に、形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係(演算式)を更新して補正用データ記憶領域に記憶する処理(対応関係更新処理)を実行してもよい。
【0080】
対応関係更新処理は、上記補正処理において動作反応基準時間tを算出する前に実行する方が好ましい。
【0081】
対応関係更新処理を開始すると、制御部9は、例えば図12に示すように、ボタン間距離L及びボタン有効半径r(被操作部13〜17の内接円の半径r1)を取得し(ステップS21)、隣接する2つの入力ボタン7を押下する場合の形状特性C1(C1=r/L)と、両端の入力ボタン7を押下する場合の形状特性C2(C2=r/2L)とを算出する(ステップS22)。なお、既に形状特性C1及び形状特性C2の一方又は双方が算出され、記憶部10に記憶されている場合には、本処理を省略し、形状特性C1及び形状特性C2を記憶部10から読み出す。
【0082】
次に、制御部9は、被験者に対して動作時間測定テストと同様の入力操作を要求する。この要求に従い、被験者は、隣接する2つの入力ボタン7(例えば、入力ボタン7aと入力ボタン7b)を自律的にできるだけ早く交互に押下し、続いて、両端の入力ボタン7(入力ボタン7aと入力ボタン7c)を自律的にできるだけ早く交互に押下する。制御部9は、上記動作時間算出処理の場合と同様の処理を実行し、それぞれの平均動作時間を動作反応基準時間t1,t2としてそれぞれ算出する(ステップS23,S24)。
【0083】
次に、制御部9は、算出した値(C1,t1)及び(C2,t2)を、形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係を求めるためのサンプルデータとして、補正用データ記憶領域に記憶(登録)する(ステップS25)。なお、上記動作時間算出処理が既に実行され、両端の入力ボタン7(入力ボタン7aと入力ボタン7c)を用いた場合の平均動作時間が記憶部10に記憶されている場合には、ステップS24の処理を省略し、動作時間算出処理で算出した平均動作時間を動作反応基準時間t2として用いてもよい。また、複数のサンプルデータを初期設定用サンプルデータとして補正用データ記憶領域に予め記憶しておいてもよい。
【0084】
次に、制御部9は、補正用データ記憶領域に登録されたサンプルデータの数(登録数)が所定数(例えば20個)以上であるか否かを判定し(ステップS26)、登録数が所定数以上の場合(ステップS26:Yes)、登録されたサンプルデータに基づいて形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係(演算式)を求め、補正用データ記憶領域に記憶された対応関係(演算式)を更新して(ステップS27)、本処理を終了する。なお、初期設定用サンプルデータを上記サンプルデータの数に含めてもよく、また含めなくてもよい。
【0085】
一方、登録数が所定数未満の場合(ステップS26:No)、形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係(演算式)を更新することなく、本処理を終了する。この場合、補正処理では、予め設定され記憶された対応関係(演算式)がそのまま使用される。
【0086】
このように、運転適性評価テストを実施する度に形状特性Cと動作反応基準時間tとの対応関係(演算式)を更新するので、両者の対応関係の信頼性が向上する。従って、形態や配置間隔が相違する被操作部13〜17を使用して運転適性診断テストを行った場合であっても、その診断結果同士をさらに適正に比較評価することができる。
【0087】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、上述の実施形態以外であっても種々の変更が可能であることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、運転適性診断を行う装置やその実行プログラムや実行プログラムを記憶した記憶媒体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一実施形態の運転適性診断装置を示すブロック構成図である。
【図2】図1の表示装置及び入力装置を示す模式図である。
【図3】丸型ボタンを示す平面図である。
【図4】角型ボタンを示す平面図である。
【図5】他の角型ボタンを示す平面図である。
【図6】さらに他の角型ボタンを示す平面図である。
【図7】ピアノボタンを示す平面図である。
【図8】形状特性と動作反応基準時間との対応関係を示す図である。
【図9】図1の運転適性診断装置が実行する運転適性診断処理の概要を示すフローチャートである。
【図10】補正処理の詳細を示すフローチャートである。
【図11】図1の運転適性診断装置が評価結果として被験者に提供する結果解説シートを示す図である。
【図12】対応関係更新処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
1:運転適性診断装置
2:診断実行処理装置
3:表示装置(表示手段)
4:入力装置(入力手段)
5:印刷装置
6:表示画面
7,7a,7b,7c:入力ボタン
8:入出力部(出力手段)
9:制御部(表示制御手段、判断時間検出手段、動作時間検出手段、算出手段、判断入力判定手段、動作入力判定手段)
10:記憶部
13,14,15,16,17:被操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
直線状且つ等間隔に配置された複数の被操作部を有し、各被操作部が被験者からの押下操作を受ける入力手段と、
前記表示手段に判断時間測定用画像と動作時間測定用画像とを表示させる表示制御手段と、
前記判断時間測定用画像の表示に対する前記被験者からの前記被操作部への押下操作を検知することにより、当該被験者の判断時間を検出する判断時間検出手段と、
前記動作時間測定用画像の表示に従って行われる前記被験者からの前記被操作部への押下操作を検知することにより、当該被験者の動作時間を検出する動作時間検出手段と、
前記被操作部の形態及び該被操作部の配置間隔から一意的に定まる前記入力手段の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶された記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記対応関係を用いて、前記入力手段の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、前記求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、前記判断時間検出手段が検出した判断時間と前記動作時間検出手段が検出した動作時間とを、前記補正時間を用いて補正する補正手段と、
前記補正手段が補正した判断時間と動作時間とを用いて、予め設定された演算式に従って運転適性評価値を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した運転適性評価値を出力する出力手段と、を備えた
ことを特徴とする運転適性診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転適性診断装置であって、
前記入力手段の形状特性は、前記被操作部の内接円の半径に基づいて決定される有効半径と前記被操作部の配置間隔との比である
ことを特徴とする運転適性診断装置。
【請求項3】
表示手段と、直線状且つ等間隔に配置された複数の被操作部を有し、各被操作部が被験者からの押下操作を受ける入力手段と、前記被操作部の形態及び該被操作部の配置間隔から一意的に定まる前記入力手段の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶された記憶手段と、を備えた運転適性診断装置のコンピュータを、
前記表示手段に判断時間測定用画像と動作時間測定用画像とを表示させる表示制御手段、
前記判断時間測定用画像の表示に対する前記被験者からの前記被操作部への押下操作を検知することにより、当該被験者の判断時間を検出する判断時間検出手段、
前記動作時間測定用画像の表示に従って行われる前記被験者からの前記被操作部への押下操作を検知することにより、当該被験者の動作時間を検出する動作時間検出手段、
前記記憶手段から読み出した前記対応関係を用いて、前記入力手段の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、前記求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、前記判断時間検出手段が検出した判断時間と前記動作時間検出手段が検出した動作時間とを、前記補正時間を用いて補正する補正手段、
前記補正手段が補正した判断時間と動作時間とを用いて、予め設定された演算式に従って運転適性評価値を算出する算出手段、及び
前記算出手段が算出した運転適性評価値を出力する出力手段
として機能させることを特徴とする運転適性診断プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載の運転適性診断プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
表示手段と、
直線状且つ等間隔に配置された複数の被操作部を有し、各被操作部が被験者からの押下操作を受ける入力手段と、
前記表示手段に判断時間測定用画像と動作時間測定用画像とを表示させる表示制御手段と、
前記判断時間測定用画像の表示に対する前記被験者からの前記被操作部への押下操作を検知することにより、当該被験者の判断時間を検出する判断時間検出手段と、
前記動作時間測定用画像の表示に従って行われる前記被験者からの前記被操作部への押下操作を検知することにより、当該被験者の動作時間を検出する動作時間検出手段と、
前記被操作部の形態及び該被操作部の配置間隔から一意的に定まる前記入力手段の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶された記憶手段と、
前記記憶手段から読み出した前記対応関係を用いて、前記入力手段の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、前記求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、前記判断時間検出手段が検出した判断時間と前記動作時間検出手段が検出した動作時間とを、前記補正時間を用いて補正する補正手段と、
前記補正手段が補正した判断時間と動作時間とを用いて、予め設定された演算式に従って運転適性評価値を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した運転適性評価値を出力する出力手段と、を備えた
ことを特徴とする運転適性診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転適性診断装置であって、
前記入力手段の形状特性は、前記被操作部の内接円の半径に基づいて決定される有効半径と前記被操作部の配置間隔との比である
ことを特徴とする運転適性診断装置。
【請求項3】
表示手段と、直線状且つ等間隔に配置された複数の被操作部を有し、各被操作部が被験者からの押下操作を受ける入力手段と、前記被操作部の形態及び該被操作部の配置間隔から一意的に定まる前記入力手段の形状特性と動作反応基準時間との対応関係が記憶された記憶手段と、を備えた運転適性診断装置のコンピュータを、
前記表示手段に判断時間測定用画像と動作時間測定用画像とを表示させる表示制御手段、
前記判断時間測定用画像の表示に対する前記被験者からの前記被操作部への押下操作を検知することにより、当該被験者の判断時間を検出する判断時間検出手段、
前記動作時間測定用画像の表示に従って行われる前記被験者からの前記被操作部への押下操作を検知することにより、当該被験者の動作時間を検出する動作時間検出手段、
前記記憶手段から読み出した前記対応関係を用いて、前記入力手段の形状特性に対応する動作反応基準時間と予め定められた基準形状特性に対応する動作反応基準時間とを求め、前記求めた2つの動作反応基準時間の差分を補正時間として算出し、前記判断時間検出手段が検出した判断時間と前記動作時間検出手段が検出した動作時間とを、前記補正時間を用いて補正する補正手段、
前記補正手段が補正した判断時間と動作時間とを用いて、予め設定された演算式に従って運転適性評価値を算出する算出手段、及び
前記算出手段が算出した運転適性評価値を出力する出力手段
として機能させることを特徴とする運転適性診断プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載の運転適性診断プログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−142457(P2010−142457A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323709(P2008−323709)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】
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