説明

遠隔制御システム

【課題】中央制御装置あるいは中継制御装置により制御対象装置を遠隔制御する遠隔制御システムにおいて、各制御対象装置置毎に、待機時の電力として、信号線による給電を使用するのか、あるいは、商用電源から供給される電力を使用するのかを、選択しなくても、システム全体としての安定性を確保しながら、待機時の消費電力を必要最小限に低減する。
【解決手段】中央制御装置あるいは中継制御装置は、信号線で接続された複数台の制御対象装置を遠隔制御するとともに、この信号線に、各制御対象装置の通信部と制御部の動作に必要な直流電圧を重畳する。各制御対象装置は、この直流電圧が所定値以上である場合、これを待機電力として各制御対象装置の通信部と制御部に供給するとともに、各制御対象装置に接続される商用電源を遮断する。そして、この直流電圧が所定値未満である場合、商用電源を所定値以上の値に変換した直流電圧を待機電力として、制御対象装置の通信部と制御部に供給するよう、待機電力を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央制御装置あるいは中継制御装置が、信号線で接続された複数台の制御対象装置、例えば電動ブラインド装置を遠隔制御する遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、このような遠隔制御システムの一例として、複数の電動ブラインド装置を制御対象として遠隔制御により集中制御して、採光や冷暖房効率などが適切な状態になるように、各ブラインド装置のスラットの高さや角度を調節したり、建物全体の美観を維持するために、各ブラインド装置のスラットの高さや角度を揃えたりする電動ブラインドシステムが、商業施設や事務所が入居しているオフィスビル等で広く普及している。なお、各ブラインド装置のスラットの高さや角度の調整は、各電動ブラインド装置の駆動装置に接続される商用電源から電力が供給されるようになっている。
【0003】
このような電動ブラインドシステムでは、常時スラットの昇降や開閉動作を実施している訳ではなく、待機状態になっている場合が多い。電動ブラインド装置1台当りの待機電力は大きくないが、大規模なオフィスビルでは、電動ブラインド装置の設置台数が多いため、待機時に消費される電力が無視できない値になり、省エネルギーの観点から問題となっている。
特に各電動ブラインド装置は、スラットの昇降や開閉動作を行うモータ等の駆動装置へ電力を供給するための個別の電源回路を備えており、この電源回路は、モータ等の高負荷時に合わせて設計されているため、この電源回路により待機時のような微弱な電力を供給する場合は、電源回路の効率が非常に低下し、それによる損失が電動ブラインド装置の設置台数分だけ積算されることになる。
したがって、各電動ブラインド装置への待機電力は、個別の電源回路により行うより、中央制御装置あるいは中継制御装置及び各電動ブラインド装置間の信号線を介して供給するようにした方が、システム全体としてのエネルギー効率を高めることができる。
【0004】
このような観点から、例えば、下記特許文献1では、パーソナルコンピュータのプリンタ等の周辺機器で、動作時の電力は商用電源から供給するが、待機時の電力はUSB(Universal Serial Bus)インターフェースによる給電によって供給し、かつ、商用電源からの電力供給を停止することによって、待機時の消費電力を低減する発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−189541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、配線距離が短いパソコン用周辺機器と異なり、例えば、電動ブラインドシステムのような遠隔制御システムの場合、中央制御装置あるいは中継制御装置と、制御対象装置としての各電動ブラインド装置間の配線距離は、設置場所によって数mから数百mにもなる。
このため、装置間の通信に使用する信号線を利用して待機時の電力を供給しても、配線距離の増加による損失のため、待機時の消費電力をまかなうのに十分な電力を供給できない電動ブラインド装置が発生する。そのため、配線距離が最も長いブラインド装置へも十分な待機電力を供給できるよう、多大な電力消費を余儀なくされたり、あるいは、電動ブラインド装置毎に、待機時の電力として、信号線による給電を使用するのか、あるいは、各電動ブラインド装置に接続される商用電源から給電するのかを選択しなければならず、設定が面倒になるという問題点がある。
また、このような設定を行う場合も、信号線を介した電力供給の不安定性から、ある程度の安全率を考慮した大きめの待機電力が必要であった。
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、例えば、電動ブラインドシステムのような遠隔制御システムの場合、管理者が電動ブラインド装置毎に、待機時の電力として、信号線による給電を使用するのか、あるいは、各電動ブラインド装置に接続される商用電源から供給される電力を使用するのかを選択しなくても、システム全体としての安定性を確保しながら、待機時の消費電力を必要最小限に低減できる遠隔制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の遠隔制御システムにおいては、次のような技術的手段を講じた。すなわち、
(1)中央制御装置あるいは中継制御装置が、信号線で接続された複数台の制御対象装置を制御するとともに、前記信号線に、各制御対象装置の通信部と制御部の動作に必要な直流電圧を重畳した遠隔制御システムにおいて、各制御対象装置は、前記直流電圧が所定値以上である場合、該直流電圧を待機電力として前記通信部と前記制御部に供給するとともに、各制御対象装置に接続される商用電源を遮断し、前記直流電圧が前記所定値未満である場合、前記商用電源を前記所定値以上の値に変換した直流電圧を、待機電力として前記通信部と前記制御部に供給する待機電力切換手段を有するようにした。
【0009】
(2)中央制御装置あるいは中継制御装置が、信号線で接続された複数台の制御対象装置を制御する遠隔制御システムにおいて、前記中央制御装置あるいは中継制御装置は、それぞれの制御対象装置と通信する第1通信部と、直流電圧を出力する電力供給部と、該電力供給部から供給される直流電圧を第1通信部から出力される通信信号に重畳して前記信号線に出力する電力給電部を備え、前記制御対象装置のそれぞれは、前記制御対象装置の可動部を駆動する駆動部と、商用電源を直流に変換する交流・直流変換部からの直流電圧を前記駆動部の動作に必要な直流電圧に変換する第1電源部と、前記通信信号に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、前記中央制御装置あるいは中継制御装置と通信する第2通信部と、前記信号線に重畳された直流電圧と通信信号を分離する電力受電部と、該電力受電部から出力される直流電圧と前記交流・直流変換部からの直流電圧を切り換える電源切換部と、該電源切換部から出力される直流電圧を、前記第2通信部と前記制御部の動作に必要な直流電圧に変換し、前記駆動部の待機時に待機電力として供給する第2電源部とを備え、前記駆動部の待機時に、前記電力受電部から出力される直流電圧が所定値以上の場合、前記制御部によって前記電源切換部を制御して、前記電力受電部から出力される直流電圧を第2電源部に入力するとともに、前記交流・直流変換部と商用電源とを遮断するようにした。
【0010】
(3)上記の(2)の遠隔制御システムにおいて、前記交流・直流変換部は、商用電源の接続を制御する交流制御部から出力される交流電圧を直流電圧に変換するものであり、前記駆動部の待機時に、前記電力受電部から出力される直流電圧が前記所定値未満である場合、前記交流電圧の0V通過を検出するゼロクロス検出部の検出値に基づいて、検出した交流電圧が0Vを通過する付近で前記交流制御部を遮断し、かつ、その遮断期間を変化させることにより、前記第2電源部に入力される前記交流・直流変換部から出力される直流電圧を前記所定値以上の最小値に制御するようにした。
【0011】
(4)上記の(2)または(3)の遠隔制御システムにおいて、前記中央制御装置あるいは中継制御装置は、管理対象のすべての制御対象装置において前記駆動部が待機状態である時に、前記電力受電部から出力される直流電圧の値を調べ、その最小値が前記所定値と等しくなるように、前記電力供給部から供給される直流電圧の値を変更するようにした。
【0012】
(5)上記(2)〜(4)の遠隔制御システムにおいて、前記駆動部の待機時であり、かつ、前記電力受電部から出力される直流電圧が前記所定値以上であって、前記電力受電部から出力される直流電圧が前記第2電源部に入力されているとき、前記制御部が前記可動部を駆動する指示を受けた場合、前記交流・直流変換部との遮断を解除するまでの遅延時間を、制御対象装置毎に設定されている固有の識別番号の値に応じて変更するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明による上記(1)の遠隔制御システムによれば、通信信号に重畳された直流電圧が所定値以上であるか否かに応じて、各制御対象装置が、待機電力としてこの直流電圧を使用するか、各制御対象装置に接続された直流電圧を使用するかを自動的に切り換えることができ、遠隔制御システムの管理者に負担を与えることなく、遠隔制御システム全体としての安定性を確保しながら、待機時の消費電力を必要最小限に低減できる。
【0014】
本発明による上記(2)の遠隔制御システムによれば、制御対象装置の駆動部の待機時に、通信信号に重畳された直流電圧を電力受電部により出力させ、この直流電圧が所定値以上の場合、これを待機電力として出力するよう切り換えるとともに、各制御対象装置の交流・直流変換部と商用電源とを遮断することにより、遠隔制御システムの管理者に負担を与えることなく、遠隔制御システム全体としての安定性を確保しながら、待機時の消費電力を必要最小限に低減できる。
【0015】
本発明による上記(3)の遠隔制御システムによれば、第2電源部に入力される第1電源部の直流電圧を必要最小限の値に制御することにより、第1電源部から供給される待機電力を最小限に抑制することができる。
【0016】
本発明による上記(4)の遠隔制御システムによれば、中央制御装置あるいは中継制御装置が、管理対象のすべての制御対象装置において、その駆動部が待機状態である時に、電力供給部から供給される直流電圧の値を調べ、その値を必要最小限のものに変更することができ、電力受電部から供給される待機電力を電動ブラインド毎に最小限に設定することができる。
【0017】
本発明による上記(5)の遠隔制御システムによれば、各制御対象装置毎に交流電圧が印加されるタイミングをずらし、突入電流を分散でき、周辺に設置された他の機器に対する瞬時電圧降下等の悪影響を防止することができる。
【0018】
以上のように、本発明によれば、待機時の電力として、信号線による給電を使用するのか、あるいは、商用電源から供給される電力を使用するのかを、システムの管理者が選択する必要がなくなり、面倒な設定をなくすことができるとともに、各電動ブラインド装置に必要最小限の待機電力を供給し、その安定した作動を確保しながら、待機時の消費電力を大幅に低減することが可能な電動ブラインドシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1の実施の形態における電動ブラインドシステムの全体の構成図である。
【図2】第1の実施の形態における中央制御装置と中継制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態における中継制御装置がない場合の中央制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態における電動ブラインド装置の概略構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態において電動ブラインド装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施の形態における電動ブラインド装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】第2の実施の形態における交流制御部の遮断制御機能を説明するための波形図である。
【図8】第2の実施の形態において電動ブラインド装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態において中央制御装置の中央制御部あるいは中継制御装置の中継制御部の動作を示すフローチャートである。
【図10】第4の実施の形態において電動ブラインド装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細を説明する。なお、以下の説明では、同一のまたは相当する部品には同一の符号を付しており、それらの名称および機能は同様であるので、それらの詳細な説明は繰返さない。
【実施例】
【0021】
以下において、実施例は電動ブラインドシステムを例にとって記載されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、制御対象となる装置が比較的待機状態が長く、時折装置内の駆動部を遠隔制御するシステムに適用した際に効果を発揮するものである。すなわち、家庭内機器遠隔制御システム、遠隔撮影システム、遠隔自動検査及び測定システム、遠隔照明制御システム、などにも広く応用可能である。
【0022】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態における電動ブラインドシステムの全体の構成図である。
電動ブラインドシステムは、ビル全体の管理を行う中央監視センター等に設置される中央制御装置10と、各フロア等に設置される複数台の中継制御装置20a、20b、…、と、各中継制御装置20mに信号線40で接続された複数台の電動ブラインド装置30m1、30m2、…で構成されており、中央制御装置10と中継制御装置20mも信号線40で接続されている。
【0023】
図2は、第1の実施の形態における中央制御装置10と中継制御装置20の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、中央制御装置10は、中央表示部101、中央操作部102、中央制御部103、中央通信部104、中央電源部105から構成されている。また、中継制御装置20は、中継通信部201、中継制御部202、第1通信部203、中継電源部204、電力供給部205、電力給電部206から構成されている。
【0024】
中央監視センター等の管理者が中央操作部102で指示を入力すると、中央制御部103はその指示に対応した指示電文を中央通信部104から、対象となる中継制御装置20に送信する。中継制御装置20は、中継通信部201で中央制御装置10からの指示電文を受信し、中継制御部202でその電文内容を解析し、対象となる電動ブラインド装置に第1通信部203を介して、中央制御装置10からの指示電文を送信する。
【0025】
中継電源部204は商用の交流電源線と接続され、中継制御装置20で必要な電圧を発生し、中継通信部201、中継制御部202、第1通信部203に供給する。また、中継電源部204は、中継制御装置20に信号線40で接続された電動ブラインド装置に待機時の電力を給電するための直流電圧を、電力供給部205に供給する。
電力供給部205は中継制御部202の指示により、電動ブラインド装置に待機時の電力を給電するための直流電圧を、電力給電部206に供給する。電力給電部206は、第1通信部203から出力される通信信号に、電力供給部205から供給される直流電圧を重畳して信号線40に出力する。
【0026】
中央制御装置10からの指示電文を受信した電動ブラインド装置は、指示内容に対応した動作を実施し、その結果に対応した応答電文を返信する。そして、中継制御装置20は、その応答電文を第1通信部203で受信し、中継通信部201から中央制御装置10に応答電文を転送する。中央制御装置10は、中央通信部104で応答電文を受信し、中央制御部103でその電文内容を解析し、中央表示部101に応答結果を表示する。また、中央制御部103は、応答電文に含まれる電動ブラインド装置の状態等に関する情報を中央制御部103に内蔵されている記憶領域に保存する。
なお、中央電源部105は商用の交流電源線と接続され、中央制御装置10で必要な電圧を発生し、中央表示部101、中央操作部102、中央制御部103、中央通信部104に供給する。
【0027】
図3は、第1の実施の形態において、中継制御装置20がない場合の中央制御装置50の概略構成を示すブロック図である。小規模な電動ブラインドシステムでは、中継制御装置20が存在せず、中央制御装置50が直接電動ブラインド装置30と信号線40で接続されている。
図3に示すように、中央制御装置50は、中央表示部101、中央操作部102、中央制御部103、中央電源部105、第1通信部106、電力供給部107、電力給電部108から構成されている。
中央電源部105は商用の交流電源線と接続され、中央制御装置50で必要な電圧を発生し、中央表示部101、中央操作部102、中央制御部103、第1通信部106に供給する。また、中央電源部105は、中央制御装置50に信号線40で接続された電動ブラインド装置に待機時の電力を給電するための直流電圧を、電力供給部107に供給する。
【0028】
中央監視センター等の管理者が中央操作部102で指示を入力すると、中央制御部103はその指示に対応した指示電文を第1通信部106から、対象となる電動ブラインド装置に送信する。また、電力供給部107は中央制御部103の指示により、電動ブラインド装置に待機時の電力を給電するための直流電圧を、電力給電部108に供給する。電力給電部108は、第1通信部106から出力される通信信号に、電力供給部107から供給される直流電圧を重畳して信号線40に出力する。
図4は、第1の実施の形態における電動ブラインド装置30の概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、電動ブラインド装置30は、電力受電部301、第2通信部302、制御部303、操作部304、駆動部305、スラット306、交流制御部307、交流・直流変換部308、第1電源部309、電源切換部310、第2電源部311から構成されている。
【0029】
電動ブラインド装置30は、中継制御装置20あるいは中央制御装置50と信号線40で接続されている。信号線40には、中継制御装置20あるいは中央制御装置50から供給される直流電圧が重畳されており、電力受電部301で信号線40に重畳された通信信号と直流電圧が分離され、通信信号は第2通信部302に、また、直流電圧は電力切換部310に供給される。
【0030】
中央監視センター等の管理者が入力した指示に対応した指示電文は、第2通信部302で受信され、制御部303でその電文内容を解析し、電動ブラインド装置を識別するために制御部303に設定されている固有の識別番号の値がその電文の指示対象に該当する場合、指示内容に対応した動作を実施するため、駆動部305を動作させ、スラット306を昇降あるいは開閉させる。そして、制御部303は、その動作結果に対応した応答電文を、第2通信部302から返信する。
また、電動ブラインド装置30は、操作部304を備え、電動ブラインド装置30の近くにいる人が直接操作の指示を与えることもできる。操作の指示により、操作部304を有する電動ブラインド装置30を単独で動作させることも、操作部304を有する電動ブラインド装置30が属するグループ単位で動作させることも可能である。
【0031】
制御部303は操作部304から入力された指示に対応した指示電文を作成し、第2通信部302から送信する。また、制御部303は、第2通信部302から送信した指示電文を、同時に第2通信部302で受信し、制御部303でその電文内容を解析し、その指示電文の対象に自端末が含まれる場合、指示内容に対応した動作を実施するため、駆動部305を動作させ、スラット306を昇降あるいは開閉させる。
【0032】
以上の処理により、電動ブラインド装置は、中央監視センター等による集中制御と、電動ブラインド装置に備えられた操作部を使用した分散制御の両方が可能となる。また、すべての電動ブラインド装置30が、操作部304を備える必要はなく、電動ブラインド装置30が属するグループ単位で1台から数台程度の操作部304を備えるようにしてもよい。さらに、中央監視センター等からの設定により、分散制御の有効・無効を切り換えられるようにしてもよい。
【0033】
交流制御部307は商用の交流電源線と接続され、制御部303の指示により、交流・直流変換部308に交流電圧を供給するかどうかを制御する。交流・直流変換部308は交流制御部307から供給される交流電圧を電動ブラインド装置30の制御用に使用する直流電圧と駆動用に使用する直流電圧に変換し、前者を電源切換部310に、後者を第1電源部309に入力する。
第1電源部309は、交流・直流変換部308から供給される直流電圧を駆動部305の動作に必要な直流電圧に変換すると共に、制御部303の指示により、その直流電圧を駆動部305に供給するかどうかを制御する。
【0034】
待機電力切り換え手段としての電源切換部310は、制御部303の指示により、第2電源部311に供給する直流電圧として、電力受電部301で信号線40から分離された直流電圧と、交流・直流変換部308で制御用に変換された直流電圧のどちらを供給するか制御する。
第2電源部311は、電源切換部310から供給される直流電圧から、第2通信部302、制御部303、操作部304の動作に必要な直流電圧を発生する。
【0035】
以上のように構成される電動ブラインドシステムの動作について説明する。
図5は、第1の実施の形態において電動ブラインド装置30の制御部303の動作を説明するためのフローチャートである。
図5に示すように、まず、ステップS101にて、制御部303は、電動ブラインド装置30が待機状態であるかどうか調べるために、後述するステップ103で使用するタイマーをリセットする。
【0036】
次に、ステップS102では、現在スラットの操作(昇降あるいは開閉)の指示を中央制御装置20あるいは操作部304から受けているかどうか調べる。指示を受けている場合(ステップS102でYES)、電動ブラインド装置30は動作状態あるいは待機状態から動作状態への移行時であるから、処理を終了する。指示を受けていない場合(ステップS102でNO)、ステップS103に進み、タイマーが規定時間を経過したかどうか調べる。規定時間を経過していない場合(ステップS103でNO)、ステップS102に戻る。また、規定時間を経過した場合(ステップS103でYES)、規定時間の間、スラットの操作を実施していないので、待機状態と判断し、ステップS111に移行する。
【0037】
ステップS111では、制御部303は、第1電源部309の出力をオフにして、駆動部305に直流電圧を供給しないようにする。これにより、待機状態では、制御関係以外で消費される電力をゼロにできる。
【0038】
ステップS121では、電動ブラインド装置30の待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなうために必要な最小電圧値を、電力受電部301の出力直流電圧値に換算して、第1の閾値電圧と名付け、レジスタV0に格納する。また、実際の電力受電部301の出力直流電圧値を測定し、その値をレジスタVに格納する。
【0039】
そして、ステップS122では、実際の電力受電部301の出力直流電圧値Vが第1の閾値電圧V0より小さいかどうか調べる。小さくない場合(ステップS122でNO)、電動ブラインド装置30の待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなうことができる。そこで、ステップS131では、交流制御部307の出力電圧がオフになっているかどうか調べる。オフになっていない場合(ステップS131でNO)、電動ブラインド装置30は、商用の交流電源線から供給される電力で動作している。このため、ステップS132に進み、電力受電部301の出力電圧が第2電源部311に入力されるように、電源切換部310を制御する。これにより、制御関係で消費される電力は、信号線40から給電される直流電圧でまかなわれるようになる。また、この場合、交流・直流変換部308で消費される電力は無駄になるため、ステップS133では、交流制御部307の交流電圧出力をオフにして、交流・直流変換部308で消費される電力をゼロにする。そして、ステップS151に移行する。
また、ステップS131で、交流制御部307の出力電圧がオフになっている場合(ステップS131でYES)、電動ブラインド装置30の待機時電力は、既に信号線40からの給電でまかなわれているので、ステップS151に移行する。
【0040】
次に、ステップS122で、実際の電力受電部301の出力直流電圧値Vが第1の閾値電圧V0より小さい場合(ステップS122でYES)、電動ブラインド装置30の待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなうことができない。そこで、ステップS141では、交流制御部307の出力電圧がオフになっているかどうか調べる。オフになっていない場合(ステップS141でNO)、電動ブラインド装置30は、商用の交流電源線から供給される電力で動作しているので、ステップS151に移行する。
【0041】
ステップS141で、交流制御部307の出力電圧がオフになっている場合(ステップS141でYES)、電動ブラインド装置30の待機時電力は、信号線40からの給電でまかなわれている。このため、ステップS142に進み、交流制御部307の交流電圧出力をオンにして、交流・直流変換部308に交流電圧を印加する。さらに、ステップS143に進み、交流・直流変換部308の出力電圧が安定した後第2電源部311に入力されるように、電源切換部310を制御する。これにより、電動ブラインド装置30の制御関係で消費される電力は、商用の交流電源線から供給される電力でまかなわれるようになる。そして、ステップS151に移行する。
【0042】
ステップS151では、スラットの操作(昇降あるいは開閉)の指示を中央制御装置10あるいは操作部304から受けているかどうか調べる。指示を受けていない場合(ステップS151でNO)、待機状態が継続しているので、ステップS121に戻る。指示を受けている場合(ステップS151でYES)、電動ブラインド装置30は待機状態から動作状態に移行するため、ステップS161に進む。
ステップS161では、交流制御部307の出力電圧がオフになっているかどうか調べる。オフになっていない場合(ステップS161でNO)、電動ブラインド装置30は商用の交流電源線から供給される電力で動作しているので、ステップS171に移行する。
【0043】
ステップS161で、交流制御部307の出力電圧がオフになっている場合(ステップS161でYES)、電動ブラインド装置30の待機時電力は、信号線40から給電される直流電圧でまかなわれていた。このため、ステップS162に進み、交流制御部307の交流電圧出力をオンにして、交流・直流変換部308に交流電圧を印加する。さらに、ステップS163に進み、交流・直流変換部308の出力電圧が第2電源部311に入力されるように、電源切換部310を制御する。これにより、制御関係で消費される電力は、商用の交流電源線から供給される電力でまかなわれるようになる。そして、ステップS171に移行する。
【0044】
ステップS171では、制御部303は、第1電源部309の出力をオンにして、商用の交流電源線から供給される電力を、駆動部305に供給する。これにより、電動ブラインド装置30は、スラットの操作(昇降あるいは開閉)が可能になる。
【0045】
以上のように、第1の実施の形態における電動ブラインドシステムによると、電動ブラインド装置30の電力受電部301の出力直流電圧値が、電動ブラインド装置30の待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなうために必要な最小電圧値以上の場合、電動ブラインド装置30の待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかない、小さい場合は、商用の交流電源線から供給される電力でまかなうように、制御部303が電源を切り換えるように制御する。これにより、電動ブラインド装置毎に、待機時の電力として、信号線による給電を使用するのか、あるいは、商用電源から供給される電力を使用するのかを、システムの管理者が選択する必要がなくなり、面倒な設定をなくすことができるとともに、待機時の電動ブラインド装置30の低消費電力化を図ることができる。
【0046】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態における電動ブラインドシステムは、交流電圧の0V通過を検出するゼロクロス検出部を備え、電動ブラインド装置が待機状態で商用電源から供給される電力を使用している場合、ゼロクロス検出部で検出した交流電圧の0V通過付近で交流制御部を遮断して、交流・直流変換部から出力される直流電圧を変化させる機能を有する点で、前述の第1の実施の形態と異なる。
図6は、第2の実施の形態における電動ブラインド装置60の概略構成を示すブロック図である。電動ブラインド装置60は、図4に示される電動ブラインド装置30の構成に加えて、更に、ゼロクロス検出部312を備える。
【0047】
ゼロクロス検出部312は、商用の交流電源線から供給される交流電圧の0V通過を検出した瞬間にパルスを発生させ、制御部303に通知する。制御部303は、ゼロクロス検出部312から出力されるパルスの時間間隔から、電源周波数を判別するとともに、パルスの位相に同期して、交流制御部307で交流電圧を遮断する期間を変化させることにより、交流電圧の遮断制御を実施する。
図7は、第2の実施の形態におけるゼロクロス検出部312、交流制御部307、交流・直流変換部308の電圧波形を説明するための波形図である。
【0048】
図7(a)は、交流制御部307で交流電圧を遮断しない場合の波形図である。
交流制御部307の入力電圧が0Vを通過すると、ゼロクロス検出部312はパルスを出力する。しかし、制御部303は、交流制御部307に交流電圧を遮断する制御信号を送信しないので、交流制御部307の出力電圧は入力電圧と同じ波形になる。交流制御部307の出力電圧は交流・直流変換部308で整流・平滑化されて図7(a)のような出力電圧になる。
【0049】
図7(b)は、交流制御部307で交流電圧を遮断する場合の波形図である。
交流制御部307の入力電圧が0Vを通過すると、ゼロクロス検出部312はパルスを出力する。制御部303は、ゼロクロス検出部312から出力されるパルスに同期して、交流電圧が0Vを通過する付近で、交流制御部307に交流電圧を遮断する制御信号を送信する。交流制御部307はトライアック等の双方向性の電力制御素子を内蔵し、制御部303からの制御信号に対応して、交流電圧の遮断・導通を切り換える。その結果、交流制御部307の出力電圧は、交流電圧が0Vを通過する付近で遮断された波形になる。この交流制御部307の出力電圧が交流・直流変換部308で整流・平滑化されると、図7(b)のような出力電圧になり、リプル分の影響で直流電圧の最小値は、交流電圧の遮断を実施しない図7(a)に比べて低下する。
【0050】
電動ブラインド装置60の待機時電力をまかなうために必要な最小電圧値は、電力受電部301の出力直流電圧値に換算すると、第1の閾値電圧V0になるが、電力受電部301の出力は電源切換部310の入力に接続されているので、電動ブラインド装置60の待機時電力をまかなうために必要な最小電圧値は、電源切換部310の入力直流電圧値に換算しても、第1の閾値電圧V0になる。
また、交流・直流変換部308の出力も電源切換部310の入力に接続されているので、電動ブラインド装置60の待機時電力を交流電源線から供給される電力でまかなうために必要な最小電圧値は、交流・直流変換部308の出力直流電圧値に換算しても、第1の閾値電圧V0になる。
【0051】
交流・直流変換部308の出力直流電圧は、図7のように、リプル分を含んでいるため、交流・直流変換部308の出力直流電圧の最小値が、第1の閾値電圧V0よりも大きければ、電動ブラインド装置60の待機時電力をまかなうことができる。また、交流・直流変換部308の出力直流電圧が低い方が、電動ブラインド装置60全体としての消費電力を低減できる。
そこで、信号線40による給電電圧が低いために、商用電源から供給される電力を待機時に使用する場合、交流・直流変換部308の出力直流電圧の最小値は、第1の閾値電圧V0以上にする必要があるが、大きくなり過ぎると消費電力が増加するので、第1の閾値電圧V0よりも僅かに大きい第2の閾値V1を設定し、交流・直流変換部308の出力直流電圧の最小値が、第1の閾値電圧V0以上で、かつ、第2の閾値V1より小さくなるように、制御部303は交流制御部307に対して交流電圧を遮断する期間を変更する制御信号を送信することにより、待機時の電動ブラインド装置60の低消費電力化を図ることができる。
【0052】
以上で説明した交流制御部307で交流電圧の0V通過付近の遮断期間を変化させる制御を、以下では交流制御部307の遮断制御機能と呼ぶことにする。
図8は、第2の実施の形態において電動ブラインド装置の制御部の動作を示すフローチャートである。ここでは、図5に示す第1の実施の形態の電動ブラインド装置と異なる行程について説明する。
【0053】
ステップS122で、電力受電部301の出力直流電圧値Vが第1の閾値電圧V0より小さい場合(ステップS122でYES)、電動ブラインド装置60の待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなうことができない。そこで、ステップS141では、交流制御部307の出力電圧がオフになっているかどうか調べる。オフになっていない場合(ステップS141でNO)、電動ブラインド装置30は、商用の交流電源線から供給される電力で動作しているので、ステップS201に移行する。
【0054】
ステップS141で、交流制御部307の出力電圧がオフになっている場合(ステップS141でYES)、電動ブラインド装置30の待機時電力は、信号線40からの給電でまかなわれている。このため、ステップS142に進み、交流制御部307の交流電圧出力をオンにして、交流・直流変換部308に交流電圧を印加する。さらに、ステップS143に進み、交流・直流変換部308の出力電圧が第2電源部311に入力されるように、電源切換部310を制御する。これにより、電動ブラインド装置30の制御関係で消費される電力は、商用の交流電源線から供給される電力でまかなわれるようになり、ステップS201に移行する。
【0055】
ステップS201では、交流制御部307の遮断制御機能がオン(有効)になっているかどうか調べる。オンになっていれば(ステップS201でYES)、交流・直流変換部308の出力直流電圧の最小値が第1の閾値電圧V0以上、かつ、第2の閾値V1より小さくなるように、制御部303は交流制御部307に対して交流電圧を遮断する期間を変更する制御信号を送信することにより、待機時の電動ブラインド装置60の低消費電力化を実現しているので、ステップS151に移行する。
ステップS201で、交流制御部307の遮断制御機能がオン(有効)になっていない場合(ステップS201でNO)、ステップS202で、制御部303は交流制御部307に対して遮断制御を開始し、ステップS151に移行する。
【0056】
ステップS151で、スラットを操作する指示を受けている場合(ステップS151でYES)、電動ブラインド装置60は待機状態から動作状態に移行するため、ステップS161に進む。
ステップS161では、交流制御部307の出力電圧がオフになっているかどうか調べる。オフになっていない場合(ステップS161でNO)、電動ブラインド装置60は商用の交流電源線から供給される電力で動作しているので、ステップS211に移行する。
【0057】
ステップ211では、交流制御部307の遮断制御機能がオン(有効)になっているかどうか調べる。オンになっていなければ(ステップS211でNO)、制御部303は交流制御部307に対して遮断制御を実施していないので、ステップS171に移行する。
ステップ211で、交流制御部307の遮断制御機能がオン(有効)になっている場合(ステップS211でYES)、制御部303は交流制御部307に対して遮断制御をオフ(無効)にし、ステップS171に移行する。
【0058】
以上のように、第2の実施の形態に係る電動ブラインドシステムでは、信号線40による給電電圧が低いために、商用電源から供給される電力を待機時に使用する場合、交流・直流変換部308の出力直流電圧の最小値が、第1の閾値電圧V0以上で、かつ、第2の閾値V1より小さくなるように、制御部303は交流制御部307に対して交流電圧が0Vを通過する付近で遮断する期間を変更する制御信号を送信することにより、電動ブラインド装置60で消費される待機時の電力を低減することができる。
【0059】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態における電動ブラインドシステムは、電動ブラインド装置の電力受電部301から出力される直流電圧の値に応じて、中央制御装置50の電力供給部107あるいは中継制御装置20の電力供給部205の出力電圧の値を変更する機能を有する点で、前述の実施の形態と異なる。
図9は、第3の実施の形態において中央制御装置50の中央制御部103あるいは中継制御装置20の中継制御部202の動作を示すフローチャートである。以下では、中継制御装置20の中継制御部202の場合について説明する。
【0060】
図9に示すように、ステップS301では、中継制御装置20の電力給電部206と直接信号線40で接続され、中継制御部202が管理対象としている電動ブラインド装置の台数を、中継制御部202のレジスタNに格納する。
【0061】
ステップS302では、中継制御部202のレジスタV0に第1の閾値電圧の値を格納する。また、実際の電力給電部205の出力直流電圧値を測定し、その値をレジスタVSに格納する。さらに、電力給電部205で供給可能な最大出力電圧値をレジスタVMAXに格納し、管理対象としている電動ブラインド装置30に内蔵されている電力受電部301の出力直流電圧の最小値を格納するためのレジスタVMINに、レジスタVMAXの値を格納する。
【0062】
ステップS303では、ループ変数Iに1を代入し、ステップS311では、中継制御部202は管理対象としているI番目の電動ブラインド装置に対して状態問合せコマンドを、第1通信部203を介して送信する。
ステップS312では、中継制御部202は管理対象としているI番目の電動ブラインド装置から状態応答メッセージを、第1通信部203を介して受信する。
そして、ステップS321では、中継制御部202は管理対象としているI番目の電動ブラインド装置から受信した状態応答メッセージの内容から、現在スラットを操作中かどうか調べる。スラットを操作中の場合(ステップS321でYES)、管理対象としている電動ブラインド装置の中に、待機状態ではない電動ブラインド装置が存在するため、処理を終了する。
【0063】
ステップ321で、管理対象としているI番目の電動ブラインド装置がスラットを操作中でない場合(ステップS321でNO)、ステップS322では、中継制御部202は管理対象としているI番目の電動ブラインド装置から受信した状態応答メッセージの内容から、電力受電部301の出力電圧値に関するデータを調べ、レジスタVに格納する。
そして、ステップS323では、レジスタVとレジスタVMINの値を比較し、レジスタVの方が小さいかどうか調べる。レジスタVの方が小さい場合(ステップS323でYES)、I番目の電動ブラインド装置の電力受電部301の出力電圧値は、1〜I−1番目までの電動ブラインド装置の電力受電部301の出力電圧値より小さいので、ステップS324では、レジスタVの値をレジスタVMINに格納し、ステップS331に移行する。また、レジスタVMINの方が小さい場合(ステップS323でNO)、レジスタVMINの値を変更する必要はないので、ステップS331に移行する。
【0064】
ステップS331では、中継制御部202は中央制御装置10あるいは管理対象としている電動ブラインド装置30からスラットを操作する指示を受けているかどうか調べる。指示を受けている場合(ステップS331でYES)、管理対象としている電動ブラインド装置30の中に、待機状態から動作状態に移行する電動ブラインド装置が存在するため、処理を終了する。
ステップ331で、スラットを操作する指示を受けていない場合(ステップS331でNO)、ステップS341では、ループ変数Iを1だけ増加させ、ステップS342では、ループ変数Iが管理対象としている電動ブラインド装置の台数Nより大きいかどうかを調べる。ループ変数Iの方が大きい場合(ステップS342でYES)、中継制御部202は管理対象としているすべての電動ブラインド装置30が待機状態で、かつ、すべての電動ブラインド装置30に内蔵されている電力受電部301の出力直流電圧の最小値を調べてレジスタVMINに格納したので、ステップS351に移行する。ループ変数Iの方が大きくない場合(ステップS342でNO)、中継制御部202は管理対象としているすべての電動ブラインド装置30について調査を完了していないので、ステップS311に戻る。
【0065】
ステップS351では、レジスタVMINとレジスタV0の値を比較し、レジスタVMINの方が小さいかどうか調べる。レジスタVMINの方が小さい場合(ステップS351でYES)、管理対象としている電動ブラインド装置30の中に、電力受電部301の出力直流電圧が第1の閾値電圧V0より低いため、待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなうことができない電動ブラインド装置30が存在する。本発明の第3の実施の形態では、電力供給部205の出力電圧の値を増加させるために、ステップS371に移行する。
【0066】
ステップ351で、レジスタVMINの方が小さくない場合(ステップS351でNO)、管理対象としている電動ブラインド装置30の中で、電力受電部301の出力直流電圧が1番低いものでも、第1の閾値電圧V0に比べて(VMIN−V0)だけ高くなっている。この電圧差は待機時の消費電力を増加させる要因となる。そこで、ステップS361では、電力供給部205の出力電圧の値を、現在の値VSから(VMIN−V0)だけ低い値に変更し、処理を終了する。これにより、電動ブラインドシステムとしての待機時の消費電力を更に削減することができる。
【0067】
ステップS371では、電力供給部205の出力電圧の値をどれだけ増加させられるかを調べるために、電力給電部205で供給可能な最大出力電圧値VMAXと実際の電力給電部205の出力直流電圧値VSの差(VMAX−VS)を計算し、レジスタVAに格納する。また、管理対象としている電動ブラインド装置30の中で、電力受電部301の出力直流電圧が一番低い電動ブラインド装置が、待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなうために必要な電圧の増加分、つまり、第1の閾値電圧V0と電力受電部301の出力直流電圧の最小値VMINの差(V0−VMIN)を計算し、レジスタVBに格納する。
【0068】
ステップS372では、レジスタVAとレジスタVBの値を比較し、レジスタVAの方が大きいかどうか調べる。レジスタVAの方が大きい場合(ステップS372でYES)、電力供給部205の出力電圧の値を、現在の値VSからVB=(V0−VMIN)だけ高い値に変更可能であるから、ステップS381では、電力供給部205の出力電圧の値をVS+VBに変更し、処理を終了する。これにより、管理対象としているすべての電動ブラインド装置の待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなうことができる。
【0069】
ステップS372で、レジスタVAの方が大きくない場合(ステップS372でNO)、電力供給部205の出力電圧の値を、現在の値VSからVB=(V0−VMIN)だけ高い値に変更できないので、電力供給部205の出力電圧を例え供給可能な最大出力電圧値VMAXに変更しても、管理対象としているいずれかの電動ブラインド装置の待機時電力は信号線40から給電される直流電圧でまかなうことができない。また、電力供給部205の出力電圧を増加すると、待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなっている電動ブラインド装置での消費電力を増加させる要因となる。このため、電力供給部205の出力電圧は変更せずに、処理を終了する。
【0070】
以上のように、第3の実施の形態に係る電動ブラインドシステムでは、中央制御装置50あるいは中継制御装置20が管理対象としている電動ブラインド装置に内蔵されている電力受電部301の出力電圧値の最小値が第1の閾値電圧V0に等しくなるように、中央制御装置50の電力供給部107あるいは中継制御装置20の電力供給部205の出力電圧の値を変更することによって、管理対象としているすべての電動ブラインド装置の待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかない、さらに、電動ブラインドシステムとしての待機時の消費電力を削減することができる。
【0071】
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態における電動ブラインドシステムは、交流制御部307で交流電圧出力を遮断して、待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなっている電動ブラインド装置30がスラットを動作させる指示を受けた場合、電動ブラインド装置30の制御部303が交流制御部307で交流電圧の遮断状態を一斉に解除すると、大きな突入電流が流れ、周辺に設置された他の機器に悪影響を与える可能性があるため、電動ブラインド装置毎に設定されている固有の識別番号の値に応じて、交流制御部307で交流電圧の遮断解除を開始するまでの遅延時間を変更する点で、前述の実施の形態と異なる。
【0072】
図10は、第4の実施の形態において電動ブラインド装置30の制御部303の動作を示すフローチャートである。ここでは、図5に示す第1の実施の形態の電動ブラインド装置と異なる行程について説明する。
図10に示すように、待機状態にある電動ブラインド装置30は、スラットの操作(昇降あるいは開閉)の指示を受けて、待機状態から動作状態に移行するため、ステップS161に進む。
ステップS161では、交流制御部307の出力電圧がオフになっているかどうか調べる。オフになっていない場合(ステップS161でNO)、電動ブラインド装置30は商用の交流電源線から供給される電力で動作しているので、ステップS171に移行する。
【0073】
ステップS161で、交流制御部307の出力電圧がオフになっている場合(ステップS161でYES)、電動ブラインド装置30の待機時電力は、信号線40から給電される直流電圧でまかなわれており、ステップS401に進む。
ステップS401では、制御部303は、交流制御部307で交流電圧の遮断解除を開始するまでの遅延時間を算出するための単位となる遅延時間をレジスタT0に格納する。また、制御部303は、電動ブラインド装置30に設定されている固有の識別番号の値をレジスタAに格納する。
【0074】
ステップS402では、制御部303は、レジスタT0×レジスタAの値を計算し、その値を減算タイマーにセットして、タイマーを起動する。そして、タイマーの値がゼロになるまで待機する。
タイマーの値がゼロになると、ステップS162に移行して、交流制御部307の交流電圧出力をオンにし、交流・直流変換部308に交流電圧を印加する。さらに、ステップS163に進み、交流・直流変換部308の出力電圧が第2電源部311に入力されるように、電源切換部310を制御する。これにより、制御関係で消費される電力は、商用の交流電源線から供給される電力でまかなわれるようになる。そして、ステップS171に移行する。
【0075】
以上のように、第4の実施の形態に係る電動ブラインドシステムでは、交流制御部307で交流電圧出力を遮断して、待機時電力を信号線40から給電される直流電圧でまかなっている電動ブラインド装置30がスラットを動作させる指示を受けた場合、電動ブラインド装置毎に設定されている固有の識別番号の値に応じて、交流制御部307で交流電圧の遮断解除を開始するまでの遅延時間を変更することによって、電動ブラインド装置毎に交流電圧が印加されるタイミングが異なるので、突入電流を分散でき、周辺に設置された他の機器に対する瞬時電圧降下等の悪影響を防止することができる。
なお、識別番号のビット数が大きい場合、スラットの操作指示を受信して実際に操作ができるまでの遅延時間が長くなる。このため、例えば、識別番号の下位4ビットだけを使用して遅延時間を算出するようにしてもよい。
【0076】
また、上述した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、中央制御装置あるいは中継制御装置が、信号線で接続された複数台の制御対象装置を制御する遠隔制御システムに広く適用でき、実施例で例示したような商業施設や事務所が入居しているオフィスビルの窓に設置された電動ブラインドのみならず、家庭内機器遠隔制御システム、遠隔撮影システム、遠隔自動検査及び測定システム、遠隔照明制御システム等に広く利用することができ、こうした各種システムにおいて、優れた省エネルギー効果を発揮できるとともに、保守コストを低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0078】
10、50 中央制御装置
20 中継制御装置
30、60 電動ブラインド装置
40 信号線
101 中央表示部
102 中央操作部
103 中央制御部
104 中央通信部
105 中央電源部
106、203 第1通信部
107、205 電力供給部
108、206 電力給電部
201 中継通信部
202 中継制御部
204 中継電源部
301 電力受電部
302 第2通信部
303 制御部
304 操作部
305 駆動部
306 スラット
307 交流制御部
308 交流・直流変換部
309 第1電源部
310 電源切換部
311 第2電源部
312 ゼロクロス検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央制御装置あるいは中継制御装置が、信号線で接続された複数台の制御対象装置を遠隔制御するとともに、前記信号線に、各制御対象装置の通信部と制御部の動作に必要な直流電圧を重畳した遠隔制御システムにおいて、
各制御対象装置は、前記直流電圧が所定値以上である場合、該直流電圧を待機電力として前記通信部と前記制御部に供給するとともに、各制御対象装置に接続される商用電源を遮断し、前記直流電圧が前記所定値未満である場合、前記商用電源を前記所定値以上の値に変換した直流電圧を、待機電力として前記通信部と前記制御部に供給する待機電力切換手段を有することを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項2】
中央制御装置あるいは中継制御装置が、信号線で接続された複数台の制御対象装置を遠隔制御する遠隔制御システムにおいて、
前記中央制御装置あるいは中継制御装置は、それぞれの制御対象装置と通信する第1通信部と、直流電圧を出力する電力供給部と、該電力供給部から供給される直流電圧を第1通信部から出力される通信信号に重畳して前記信号線に出力する電力給電部を備え、
前記制御対象装置のそれぞれは、該制御対象装置の可動部を駆動する駆動部と、商用電源を直流に変換する交流・直流変換部からの直流電圧を前記駆動部の動作に必要な直流電圧に変換する第1電源部と、前記通信信号に基づいて前記駆動部を制御する制御部と、前記中央制御装置あるいは中継制御装置と通信する第2通信部と、前記信号線に重畳された直流電圧と通信信号を分離する電力受電部と、該電力受電部から出力される直流電圧と前記交流・直流変換部からの直流電圧を切り換える電源切換部と、該電源切換部から出力される直流電圧を、前記第2通信部と前記制御部の動作に必要な直流電圧に変換し、前記駆動部の待機時に待機電力として供給する第2電源部とを備え、
前記駆動部の待機時に、前記電力受電部から出力される直流電圧が所定値以上の場合、前記制御部によって前記電源切換部を制御して、前記電力受電部から出力される直流電圧を第2電源部に入力するとともに、前記交流・直流変換部と商用電源とを遮断するようにしたことを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の遠隔制御システムにおいて、前記交流・直流変換部は、商用電源の接続を制御する交流制御部から出力される交流電圧を直流電圧に変換するものであり、前記駆動部の待機時に、前記電力受電部から出力される直流電圧が前記所定値未満である場合、前記交流電圧の0V通過を検出するゼロクロス検出部の検出値に基づいて、検出した交流電圧が0Vを通過する付近で前記交流制御部を遮断し、かつ、その遮断期間を変化させることにより、前記第2電源部に入力される前記交流・直流変換部から出力される直流電圧を前記所定値以上の最小値に制御することを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の遠隔制御システムにおいて、前記中央制御装置あるいは中継制御装置は、管理対象のすべての制御対象装置において前記駆動部が待機状態である時に、前記電力受電部から出力される直流電圧の値を調べ、その最小値が前記所定値と等しくなるように、前記電力供給部から供給される直流電圧の値を変更することを特徴とする遠隔制御システム。
【請求項5】
請求項2ないし4に記載の遠隔制御システムにおいて、前記駆動部の待機時であり、かつ、前記電力受電部から出力される直流電圧が前記所定値以上であって、前記電力受電部から出力される直流電圧が前記第2電源部に入力されているとき、前記制御部が前記可動部を駆動する指示を受けた場合、前記交流・直流変換部との遮断を解除するまでの遅延時間を、制御対象装置毎に設定されている固有の識別番号の値に応じて変更することを特徴とする遠隔制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−109197(P2011−109197A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259471(P2009−259471)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】